JPH0826768A - Ybレーザーガラス及び該ガラスを用いたレーザー装置 - Google Patents
Ybレーザーガラス及び該ガラスを用いたレーザー装置Info
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- JPH0826768A JPH0826768A JP16658194A JP16658194A JPH0826768A JP H0826768 A JPH0826768 A JP H0826768A JP 16658194 A JP16658194 A JP 16658194A JP 16658194 A JP16658194 A JP 16658194A JP H0826768 A JPH0826768 A JP H0826768A
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- glass
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- doped
- metal oxide
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C4/00—Compositions for glass with special properties
- C03C4/0071—Compositions for glass with special properties for laserable glass
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
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- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
- Lasers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 Yb3+発光遷移 (2F5/2-2F7/2)の誘導放出断
面積が約1×10-20cm2以上であり、長い蛍光寿命を有
し、かつ量子効率の高いレーザーガラス及びこれを用い
たレーザー装置の提供。 【構成】 ニオブ酸化物、2価金属酸化物及びリン酸を
含むガラス母材にYbイオンを含有することを特徴とす
るYbレーザーガラス。2価金属酸化物は、例えばMg
O、CaO、SrO、BaO、ZnO及びPbOから選
ばれる。各成分の含有率は、モルパーセントで表して、
P2 O5 が15〜35%、Nb2 O5 が5〜23%、2
価金属酸化物が40%以上である。レーザー媒体が上記
レーザーガラスであるレーザー装置。
面積が約1×10-20cm2以上であり、長い蛍光寿命を有
し、かつ量子効率の高いレーザーガラス及びこれを用い
たレーザー装置の提供。 【構成】 ニオブ酸化物、2価金属酸化物及びリン酸を
含むガラス母材にYbイオンを含有することを特徴とす
るYbレーザーガラス。2価金属酸化物は、例えばMg
O、CaO、SrO、BaO、ZnO及びPbOから選
ばれる。各成分の含有率は、モルパーセントで表して、
P2 O5 が15〜35%、Nb2 O5 が5〜23%、2
価金属酸化物が40%以上である。レーザー媒体が上記
レーザーガラスであるレーザー装置。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来、一般に用いられる
Nd3+ドープレーザーにない優れた特徴を有し、高出力
レーザー及びPr3+ドープファイバ増幅器の励起光源と
なるファイバレーザーの媒質となるYb3+レーザーガラ
ス及びこれを用いたレーザー装置に関するものである。
Nd3+ドープレーザーにない優れた特徴を有し、高出力
レーザー及びPr3+ドープファイバ増幅器の励起光源と
なるファイバレーザーの媒質となるYb3+レーザーガラ
ス及びこれを用いたレーザー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体レーザーは、一般に活性イオン濃度
が比較的高く、蛍光寿命も長いため、レーザーの増幅効
率や蓄積エネルギーが大きく、高出力レーザーとして急
激な成長を遂げつつある。特にガラス母材中にNd3+活
性物質を含有する燐酸系或いはケイ酸系レーザーガラス
は、加工性が良く、任意形状、かつ大きな寸法のロッド
やディスクを安価でかつ容易に作成できるため、大出力
用の固体レーザー材料として汎用されている。従来、こ
のようなNd3+ドープレーザーの励起光源としてはクセ
ノンランプまたは波長0.8μmのレーザーを発生する
半導体レーザーが用いられている。しかし、クセノンラ
ンプで励起する場合には、励起効率が低く、消費電力も
高いという欠点がある。0.8μmの半導体レーザーで
励起する場合には、励起効率はかなり高いが、Nd3+の
蛍光寿命が約0.35msec程度と比較的短いため、
励起用半導体レーザーのパルス幅が小さいことが必要で
ある。その結果、半導体レーザーの使用寿命が短かくな
る。特に0.8μmのGaAlAs半導体レーザーは、
Alが酸化するため劣化しやすい。
が比較的高く、蛍光寿命も長いため、レーザーの増幅効
率や蓄積エネルギーが大きく、高出力レーザーとして急
激な成長を遂げつつある。特にガラス母材中にNd3+活
性物質を含有する燐酸系或いはケイ酸系レーザーガラス
は、加工性が良く、任意形状、かつ大きな寸法のロッド
やディスクを安価でかつ容易に作成できるため、大出力
用の固体レーザー材料として汎用されている。従来、こ
のようなNd3+ドープレーザーの励起光源としてはクセ
ノンランプまたは波長0.8μmのレーザーを発生する
半導体レーザーが用いられている。しかし、クセノンラ
ンプで励起する場合には、励起効率が低く、消費電力も
高いという欠点がある。0.8μmの半導体レーザーで
励起する場合には、励起効率はかなり高いが、Nd3+の
蛍光寿命が約0.35msec程度と比較的短いため、
励起用半導体レーザーのパルス幅が小さいことが必要で
ある。その結果、半導体レーザーの使用寿命が短かくな
る。特に0.8μmのGaAlAs半導体レーザーは、
Alが酸化するため劣化しやすい。
【0003】そこで、半導体レーザーの寿命を長くする
ためには、まずパルス幅を長くし、ピーク出力を低下さ
せることが必要とされる。そのためには、長い蛍光寿命
を有するレーザー活性物質及びそのガラス母材が必要と
なる。また、十分なレーザー利得を得るためには、活性
イオンの誘導放出断面積が約1×10-20cm2以上である
ことも必要である。さらに、0.8μmの半導体レーザ
ーに比べて寿命が長く、比較的安定な0.98μmのG
aInAs半導体レーザーを励起光源として使用できれ
ばより好ましい。
ためには、まずパルス幅を長くし、ピーク出力を低下さ
せることが必要とされる。そのためには、長い蛍光寿命
を有するレーザー活性物質及びそのガラス母材が必要と
なる。また、十分なレーザー利得を得るためには、活性
イオンの誘導放出断面積が約1×10-20cm2以上である
ことも必要である。さらに、0.8μmの半導体レーザ
ーに比べて寿命が長く、比較的安定な0.98μmのG
aInAs半導体レーザーを励起光源として使用できれ
ばより好ましい。
【0004】これらの条件を満たすには、今までに使用
されているNd3+活性イオンは適当でない。即ち、ガラ
ス母材中にドープされたNd3+は波長0.98μmに吸
収バンドを持たないため0.98μmの半導体レーザー
が使用できない。その上、0.8μmの半導体レーザー
励起においてもNd3+の蛍光寿命は約0.35msec
程度と短いので、励起光としての半導体レーザーのパル
ス幅を長くすると励起効率が低下する。
されているNd3+活性イオンは適当でない。即ち、ガラ
ス母材中にドープされたNd3+は波長0.98μmに吸
収バンドを持たないため0.98μmの半導体レーザー
が使用できない。その上、0.8μmの半導体レーザー
励起においてもNd3+の蛍光寿命は約0.35msec
程度と短いので、励起光としての半導体レーザーのパル
ス幅を長くすると励起効率が低下する。
【0005】これに対し、Nd3+レーザーの発振波長に
ほぼ近い1.01〜1.05μmの波長範囲のレーザー
光を発生できるYb3+ドープガラスは0.95〜1.0
μm波長範囲で強い吸収バンドをもち、Nd3+より2倍
以上長い蛍光寿命を有する。そのため、0.98μmの
半導体レーザーを励起光として用いることができ、励起
光パルス幅を長くすることもできるという特徴がある。
また、Yb3+は単一の発光準位をもつので励起エネルギ
ーを消耗するようなアップコンバージョンがなく、励起
の量子効率が1に近いレーザーが期待される。しかし、
今までのYb3+ドープガラスレーザーの誘導放出断面積
はあまりにも小さく、十分なレーザー利得が得られなか
った。従って、1×10-20cm2程度或いはそれより大き
い誘導放出断面積を有するYb3+ドープガラスマトリッ
クスの開発が当面重要な課題となってきている。
ほぼ近い1.01〜1.05μmの波長範囲のレーザー
光を発生できるYb3+ドープガラスは0.95〜1.0
μm波長範囲で強い吸収バンドをもち、Nd3+より2倍
以上長い蛍光寿命を有する。そのため、0.98μmの
半導体レーザーを励起光として用いることができ、励起
光パルス幅を長くすることもできるという特徴がある。
また、Yb3+は単一の発光準位をもつので励起エネルギ
ーを消耗するようなアップコンバージョンがなく、励起
の量子効率が1に近いレーザーが期待される。しかし、
今までのYb3+ドープガラスレーザーの誘導放出断面積
はあまりにも小さく、十分なレーザー利得が得られなか
った。従って、1×10-20cm2程度或いはそれより大き
い誘導放出断面積を有するYb3+ドープガラスマトリッ
クスの開発が当面重要な課題となってきている。
【0006】また、次世代に向かっての情報、通信ネッ
トワークシステムの一大潮流としてマルチメディア(通
信(音声)、放送(画像)、コンピュータの統合媒体)
構想があげられている。このマルチメディアシステムの
構築には波長1.3μmの信号光を伝送するガラスファ
イバ及びその信号光を増幅するPr3+ドープ1.3μm
光ファイバ増幅器が非常に重要な役割を果たすことが期
待されている。最近このPr3+ドープ1.3μm光増幅
器の研究開発が盛んに行われている。これを実用化する
までにはなおいくつかの問題を解決する必要がある。そ
の一つとして、励起光源がある。Pr3+ドープ1.3μ
m光増幅器には1.017〜1.025μm波長範囲の
励起光源が必要とされる。現在、研究ではチタンサファ
イアレーザーが用いられるが、実用デバイスには1.0
17μmの半導体レーザーの使用が検討されている。し
かし、この半導体レーザーは非常に高価であり、コスト
を考えた場合、デバイスへの応用には問題が多い。
トワークシステムの一大潮流としてマルチメディア(通
信(音声)、放送(画像)、コンピュータの統合媒体)
構想があげられている。このマルチメディアシステムの
構築には波長1.3μmの信号光を伝送するガラスファ
イバ及びその信号光を増幅するPr3+ドープ1.3μm
光ファイバ増幅器が非常に重要な役割を果たすことが期
待されている。最近このPr3+ドープ1.3μm光増幅
器の研究開発が盛んに行われている。これを実用化する
までにはなおいくつかの問題を解決する必要がある。そ
の一つとして、励起光源がある。Pr3+ドープ1.3μ
m光増幅器には1.017〜1.025μm波長範囲の
励起光源が必要とされる。現在、研究ではチタンサファ
イアレーザーが用いられるが、実用デバイスには1.0
17μmの半導体レーザーの使用が検討されている。し
かし、この半導体レーザーは非常に高価であり、コスト
を考えた場合、デバイスへの応用には問題が多い。
【0007】最近、Nd3+からPr3+へのエネルギー伝
達を利用した0.8μm帯の半導体レーザー励起による
Pr3+ドープ1.3μm光増幅器(特開平4−5013
7を参照)及びYb3+からPr3+へのエネルギー伝達を
利用した0.98μmの帯の半導体レーザー励起による
Pr3+ドープ1.3μm光増幅器(Electronics Letter
s, Vol.27, (1991)p1012-1014 を参照)などが報告され
ている。しかし、いずれも期待できる程の効率を有する
光ファイバ型増幅器は得られていない。その後、Yb3+
からPr3+へのエネルギー伝達を利用するのでなく、直
接Pr3+を励起する波長1.02μmの励起光を発生で
きるYb3+ドープ石英ガラスファイバレーザーが(Elec
tronics Letters, Vol.29, No.3,(1993)p309-310を参
照)報告された。既に、いくつかのYb3+ドープ石英ガ
ラスファイバレーザーの発振実験が報告されている。し
かし、これらの石英ガラスにおけるYb3+の誘導放出断
面積は0.5〜0.55×10-20cm2と小さく、高効率
の1.02μmレーザーを得るのは難しい。従って、比
較的大きなYb3+の誘導放出断面積を有するガラスマト
リックスの開発が当面の課題となっている。
達を利用した0.8μm帯の半導体レーザー励起による
Pr3+ドープ1.3μm光増幅器(特開平4−5013
7を参照)及びYb3+からPr3+へのエネルギー伝達を
利用した0.98μmの帯の半導体レーザー励起による
Pr3+ドープ1.3μm光増幅器(Electronics Letter
s, Vol.27, (1991)p1012-1014 を参照)などが報告され
ている。しかし、いずれも期待できる程の効率を有する
光ファイバ型増幅器は得られていない。その後、Yb3+
からPr3+へのエネルギー伝達を利用するのでなく、直
接Pr3+を励起する波長1.02μmの励起光を発生で
きるYb3+ドープ石英ガラスファイバレーザーが(Elec
tronics Letters, Vol.29, No.3,(1993)p309-310を参
照)報告された。既に、いくつかのYb3+ドープ石英ガ
ラスファイバレーザーの発振実験が報告されている。し
かし、これらの石英ガラスにおけるYb3+の誘導放出断
面積は0.5〜0.55×10-20cm2と小さく、高効率
の1.02μmレーザーを得るのは難しい。従って、比
較的大きなYb3+の誘導放出断面積を有するガラスマト
リックスの開発が当面の課題となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、1×10-20cm2程度及びそれよりも大きい誘導放出
断面積をもち、かつ1msec程度の長い蛍光寿命を有する
Yb3+ドープレーザーガラスを提供することにある。さ
らに本発明の別の目的は、0.98μmのGaInAs
半導体レーザーも励起光源として使用でき、励起光源で
ある半導体レーザーの使用寿命を長くすることができ、
かつ十分なレーザー利得を得られる、レーザー装置を提
供することにある。
は、1×10-20cm2程度及びそれよりも大きい誘導放出
断面積をもち、かつ1msec程度の長い蛍光寿命を有する
Yb3+ドープレーザーガラスを提供することにある。さ
らに本発明の別の目的は、0.98μmのGaInAs
半導体レーザーも励起光源として使用でき、励起光源で
ある半導体レーザーの使用寿命を長くすることができ、
かつ十分なレーザー利得を得られる、レーザー装置を提
供することにある。
【0009】レーザーの発振は、利得が反射やガラスマ
トリックス中の吸収散乱などの損失を上回った時開始す
る。それゆえ、利得係数(g)を大きくする必要があ
る。3準位レーザーに対して利得係数は通常、吸収断面
積σabs 、誘導放出断面積σemi 、反転分布率P(=上
準位にある活性化イオン数/下準位にある活性イオン
数)及び活性イオン濃度Nで表される。 g(λ)=N{Pσemi (λ)−(1−P)σabs )
(λ)} レーザー発振しきい値を高めずに、Yb3+レーザー利得
効率を増すためにはYb3+の誘導放出断面積を大きくす
ることが必要とされる。即ちYb3+の2F5/2-2F7/2 輻射
遷移確率が大きなガラスマトリックスの開発が要求され
る。
トリックス中の吸収散乱などの損失を上回った時開始す
る。それゆえ、利得係数(g)を大きくする必要があ
る。3準位レーザーに対して利得係数は通常、吸収断面
積σabs 、誘導放出断面積σemi 、反転分布率P(=上
準位にある活性化イオン数/下準位にある活性イオン
数)及び活性イオン濃度Nで表される。 g(λ)=N{Pσemi (λ)−(1−P)σabs )
(λ)} レーザー発振しきい値を高めずに、Yb3+レーザー利得
効率を増すためにはYb3+の誘導放出断面積を大きくす
ることが必要とされる。即ちYb3+の2F5/2-2F7/2 輻射
遷移確率が大きなガラスマトリックスの開発が要求され
る。
【0010】衆知のようにYb3+の輻射遷移確率は強度
パラメーター(Ωt )の値に、特にΩ2 の値に比例す
る。これらの強度パラメータを大きくするにはガラス中
にあるYb3+配位子場の非対称性を増す必要がある。従
って、本発明者はガラス骨格が複数のユニットから形成
されるガラスを作製することによってガラス構造の非対
称性を増すことを考えた。このような考えを元に、上記
従来のNd3+ドープレーザーガラス或いはYb3+ドープ
石英ファイバレーザーガラスの有する諸欠点を克服する
べく、種々の試験研究を重ねた結果、約1×10-20cm2
以上の誘導放出断面積をもち、かつ1msec程度の長い蛍
光寿命を有するYb3+ドープレーザーガラスを見い出し
て本発明を完成した。
パラメーター(Ωt )の値に、特にΩ2 の値に比例す
る。これらの強度パラメータを大きくするにはガラス中
にあるYb3+配位子場の非対称性を増す必要がある。従
って、本発明者はガラス骨格が複数のユニットから形成
されるガラスを作製することによってガラス構造の非対
称性を増すことを考えた。このような考えを元に、上記
従来のNd3+ドープレーザーガラス或いはYb3+ドープ
石英ファイバレーザーガラスの有する諸欠点を克服する
べく、種々の試験研究を重ねた結果、約1×10-20cm2
以上の誘導放出断面積をもち、かつ1msec程度の長い蛍
光寿命を有するYb3+ドープレーザーガラスを見い出し
て本発明を完成した。
【0011】本発明は、ニオブ酸化物、2価金属酸化物
及びリン酸を含むガラス母材にYbイオンを含有するこ
とを特徴とするYbレーザーガラスに関する。さらに本
発明は、このYbレーザーガラスを用いたレーザー装置
に関する。以下本発明について説明する。
及びリン酸を含むガラス母材にYbイオンを含有するこ
とを特徴とするYbレーザーガラスに関する。さらに本
発明は、このYbレーザーガラスを用いたレーザー装置
に関する。以下本発明について説明する。
【0012】本発明のレーザーガラスは、リン酸を含む
ガラスを母材とする。リン酸を含むガラスとしては、例
えばリン酸ガラス及びホウリン酸ガラスを挙げることが
できる。リン酸(P2 O5 )はガラス形成酸化物として
働き、ガラス構造の安定化即ち失透に対する安定性を増
す。またNb2 O5 或いはB2 O3 などのガラス構造形
成物とを組み合わせることによってYb3+配位子場の対
称性を低下させるためにも、ガラスの高温粘性を調整す
るためにも不可欠な成分である。ただし、P2O5 はガ
ラスの成分として35%より多くなると得られたガラス
のYb3+の誘導放出断面積は低下してしまうのに対し、
15%より少ないとガラスの安定性が悪化するので、P
2 O5 の組成範囲は15〜35%となることが適当であ
る。特に16〜34%の範囲が好ましい。
ガラスを母材とする。リン酸を含むガラスとしては、例
えばリン酸ガラス及びホウリン酸ガラスを挙げることが
できる。リン酸(P2 O5 )はガラス形成酸化物として
働き、ガラス構造の安定化即ち失透に対する安定性を増
す。またNb2 O5 或いはB2 O3 などのガラス構造形
成物とを組み合わせることによってYb3+配位子場の対
称性を低下させるためにも、ガラスの高温粘性を調整す
るためにも不可欠な成分である。ただし、P2O5 はガ
ラスの成分として35%より多くなると得られたガラス
のYb3+の誘導放出断面積は低下してしまうのに対し、
15%より少ないとガラスの安定性が悪化するので、P
2 O5 の組成範囲は15〜35%となることが適当であ
る。特に16〜34%の範囲が好ましい。
【0013】ニオブ酸化物(Nb2 O5 )はガラスにド
ープしたYb3+に大きな誘導放出断面積を付与する成分
としても、P2 O5 とともにガラス構造の安定化及びそ
の耐久性を高める成分としても非常に重要である。特に
Nb2 O5 でP2 O5 を置換してガラスに導入する場合
は、ガラス構造の非対称性を高め、Yb3+の2F5/2-2F
7/2 輻射遷移確率を増大する効果が大きい。即ち、Nb
2 O5 はYb3+の誘導放出断面積を向上させるために不
可欠な成分である。しかし、Nb2 O5 の含有量を5%
より少なくすると、Yb3+の誘導放出断面積を十分に向
上させないのに対し、23%を超えて導入するとガラス
の失透に対する安定性が悪化するので、その含有量は5
〜23%の範囲に限定することが適当である。特に7〜
20%が好ましい。
ープしたYb3+に大きな誘導放出断面積を付与する成分
としても、P2 O5 とともにガラス構造の安定化及びそ
の耐久性を高める成分としても非常に重要である。特に
Nb2 O5 でP2 O5 を置換してガラスに導入する場合
は、ガラス構造の非対称性を高め、Yb3+の2F5/2-2F
7/2 輻射遷移確率を増大する効果が大きい。即ち、Nb
2 O5 はYb3+の誘導放出断面積を向上させるために不
可欠な成分である。しかし、Nb2 O5 の含有量を5%
より少なくすると、Yb3+の誘導放出断面積を十分に向
上させないのに対し、23%を超えて導入するとガラス
の失透に対する安定性が悪化するので、その含有量は5
〜23%の範囲に限定することが適当である。特に7〜
20%が好ましい。
【0014】本発明のレーザーガラスのリン酸を含むガ
ラス母材は2価金属酸化物を含む。2価金属酸化物は、
例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO及び
PbOからなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物
である。また、これら2価金属酸化物は合計の含有率が
40%以上であることがYb3+誘導放出断面積を1×1
020cm2以上とするという観点から好ましい。特に好
ましくは、42%以上である。
ラス母材は2価金属酸化物を含む。2価金属酸化物は、
例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO及び
PbOからなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物
である。また、これら2価金属酸化物は合計の含有率が
40%以上であることがYb3+誘導放出断面積を1×1
020cm2以上とするという観点から好ましい。特に好
ましくは、42%以上である。
【0015】MgOはガラスの耐久性及び高温溶解性を
改良するために添加される成分である。少量のMgOで
BaOなどのイオン半径の大きいアルカリ土類金属酸化
物を置換する場合、ガラスの高温溶解性などを改善する
効果があるが、15%以上に導入するとガラスの失透に
対する安定性も低下するし、Yb3+の発光特性にもあま
りよい影響を与えないので、その導入量を15%以下、
特に13.5%以下とすることが好ましい。
改良するために添加される成分である。少量のMgOで
BaOなどのイオン半径の大きいアルカリ土類金属酸化
物を置換する場合、ガラスの高温溶解性などを改善する
効果があるが、15%以上に導入するとガラスの失透に
対する安定性も低下するし、Yb3+の発光特性にもあま
りよい影響を与えないので、その導入量を15%以下、
特に13.5%以下とすることが好ましい。
【0016】CaOはガラスの耐久性を高め、ガラスの
失透に対する安定性を増すには非常に有効な成分ではあ
るが、あまりにも多く添加すると、例えば28%を超え
るとガラスの失透に対する安定性は逆に悪化する。その
ため、ガラスの安定性に応じてその含有量を28%以下
とすることが好ましく、特に25%以下が好ましい。
失透に対する安定性を増すには非常に有効な成分ではあ
るが、あまりにも多く添加すると、例えば28%を超え
るとガラスの失透に対する安定性は逆に悪化する。その
ため、ガラスの安定性に応じてその含有量を28%以下
とすることが好ましく、特に25%以下が好ましい。
【0017】SrOとBaOなどのイオン半径の比較的
に大きいアルカリ土類金属酸化物はガラスの失透に対す
る安定性を向上するには不可欠な成分である。またYb
3+の輻射遷移確率を大きくするにもある程度寄与する成
分である。但し、工業的規模で製造できる程の安定性を
もつガラスを得るという観点から、SrOの添加量は0
〜30%の範囲、またBaOの添加量は5〜40%の範
囲であることが好ましい。特にSrOの含有量を25%
以下、BaOの含有量を5〜38%にすることが好まし
い。
に大きいアルカリ土類金属酸化物はガラスの失透に対す
る安定性を向上するには不可欠な成分である。またYb
3+の輻射遷移確率を大きくするにもある程度寄与する成
分である。但し、工業的規模で製造できる程の安定性を
もつガラスを得るという観点から、SrOの添加量は0
〜30%の範囲、またBaOの添加量は5〜40%の範
囲であることが好ましい。特にSrOの含有量を25%
以下、BaOの含有量を5〜38%にすることが好まし
い。
【0018】ZnOとPbOはガラスの失透に対する安
定性、特にB2 O3 を導入する場合の安定性を向上させ
るには効果的に寄与する成分である。さらにファイバを
作成する時にコア−クラッド屈折率差を調整するために
も非常に有効な成分である。しかし、ZnOとPbOの
添加量がそれぞれ35%と20%を超えると、得られた
ガラスがかなり不安定になるので、それぞれの添加量を
0〜35%、0〜20%の範囲とすることが望ましい。
特にZnOの含有量を0〜32%に、PbOの含有量を
0〜15%にすることが好ましい。
定性、特にB2 O3 を導入する場合の安定性を向上させ
るには効果的に寄与する成分である。さらにファイバを
作成する時にコア−クラッド屈折率差を調整するために
も非常に有効な成分である。しかし、ZnOとPbOの
添加量がそれぞれ35%と20%を超えると、得られた
ガラスがかなり不安定になるので、それぞれの添加量を
0〜35%、0〜20%の範囲とすることが望ましい。
特にZnOの含有量を0〜32%に、PbOの含有量を
0〜15%にすることが好ましい。
【0019】B2 O3 はP2 O5 とともにガラスの失透
に対する安定性及びその耐久性を高め、Yb3+配位子場
の対称性を低下させる目的で添加することができる成分
である。適当量のB2 O3 を添加することでYb3+の誘
導放出断面積を向上させる効果があり、ガラスの失透に
対する安定性も向上する。しかし、20%を超えるとガ
ラスの失透に対する安定性は悪化し、Yb3+の蛍光寿命
も短くなる。そこで、B2 O3 の含有量は20%以下と
することが好ましい。特に18.5%以下が好ましい。
に対する安定性及びその耐久性を高め、Yb3+配位子場
の対称性を低下させる目的で添加することができる成分
である。適当量のB2 O3 を添加することでYb3+の誘
導放出断面積を向上させる効果があり、ガラスの失透に
対する安定性も向上する。しかし、20%を超えるとガ
ラスの失透に対する安定性は悪化し、Yb3+の蛍光寿命
も短くなる。そこで、B2 O3 の含有量は20%以下と
することが好ましい。特に18.5%以下が好ましい。
【0020】Li2 O、Na2 O 、K2 Oなどのアル
カリ金属酸化物はガラスの助融剤として、特にNb2O5
を多く添加する場合にNb2 O5 を十分に溶かすために
添加することができる成分である。しかし、合計量で1
0%を超えて添加するとYb3+の誘導放出断面積を低下
させる傾向があるので、アルカリ金属酸化物の全添加量
は10%以下、好ましくは7%以下であることが適当で
ある。
カリ金属酸化物はガラスの助融剤として、特にNb2O5
を多く添加する場合にNb2 O5 を十分に溶かすために
添加することができる成分である。しかし、合計量で1
0%を超えて添加するとYb3+の誘導放出断面積を低下
させる傾向があるので、アルカリ金属酸化物の全添加量
は10%以下、好ましくは7%以下であることが適当で
ある。
【0021】本発明のレーザーガラスは、レーザー光を
発生する活性化物質としてYb2 O3 を含有する。Yb
2 O3 はYb3+レーザーガラスの不可欠な成分である。
高出力レーザーあるいは、マイクロチップ型レーザーの
場合には、Yb2 O3 のドープ量を多くし、レーザーフ
ァイバの場合には、Yb2 O3 のドープ量は比較的少な
くする。従って、Yb2 O3 のドープ量は、本発明のレ
ーザーガラスの適用対象に応じて、0.0001〜4%
の範囲で調整することができる。4%を超えてYb2 O
3 を導入すると、ガラスの失透に対する安定性が悪化す
る傾向があるので、その含有量は4%以下に抑えること
が適当である。さらに、濃度消光及び自己吸収の影響に
よる量子効率の低下傾向を考慮すると、Yb2 O3 のド
ープ量は3%以下にすることがより好ましい。
発生する活性化物質としてYb2 O3 を含有する。Yb
2 O3 はYb3+レーザーガラスの不可欠な成分である。
高出力レーザーあるいは、マイクロチップ型レーザーの
場合には、Yb2 O3 のドープ量を多くし、レーザーフ
ァイバの場合には、Yb2 O3 のドープ量は比較的少な
くする。従って、Yb2 O3 のドープ量は、本発明のレ
ーザーガラスの適用対象に応じて、0.0001〜4%
の範囲で調整することができる。4%を超えてYb2 O
3 を導入すると、ガラスの失透に対する安定性が悪化す
る傾向があるので、その含有量は4%以下に抑えること
が適当である。さらに、濃度消光及び自己吸収の影響に
よる量子効率の低下傾向を考慮すると、Yb2 O3 のド
ープ量は3%以下にすることがより好ましい。
【0022】レーザーガラスに適した失透に対する安定
性を得るという観点から、上記のガラス組成においてガ
ラス骨格形成酸化物として用いられるP2 O5 、Nb2
O5、B2 O3 の全含有量は42%以上であることが適
当である。また、十分大きなYb3+誘導放出断面積を得
るという観点からは、P2 O5 、Nb2 O5 、B2 O3
の全含有量は55%以下であることが適当である。ま
た、アルカリ金属酸化物に比べ、アルカリ土類金属酸化
物のほうがYb3+の誘導放出断面積を向上させる効果が
大きいので、なるべくアルカリ金属酸化物成分を抑え、
アルカリ土類金属酸化物成分を多く添加することが望ま
しい。尚、アルカリ土類金属酸化物成分間の割合の調整
は、主にガラスの失透に対する安定性を考慮しながら行
うことができる。
性を得るという観点から、上記のガラス組成においてガ
ラス骨格形成酸化物として用いられるP2 O5 、Nb2
O5、B2 O3 の全含有量は42%以上であることが適
当である。また、十分大きなYb3+誘導放出断面積を得
るという観点からは、P2 O5 、Nb2 O5 、B2 O3
の全含有量は55%以下であることが適当である。ま
た、アルカリ金属酸化物に比べ、アルカリ土類金属酸化
物のほうがYb3+の誘導放出断面積を向上させる効果が
大きいので、なるべくアルカリ金属酸化物成分を抑え、
アルカリ土類金属酸化物成分を多く添加することが望ま
しい。尚、アルカリ土類金属酸化物成分間の割合の調整
は、主にガラスの失透に対する安定性を考慮しながら行
うことができる。
【0023】本発明のレーザー装置は、上記発明のレー
ザーガラスをレーザー媒体として用いたものである。よ
り具体的には、図1に概略図を示すように、共振器1及
び2の間に設けた発明のレーザーガラスを用いたレーザ
ー媒体3と、レーザー媒体3に対する励起光源4からな
る。レーザー媒体3は、共振器1及び2と向かい合う面
を研磨したものであり、共振器1は全反射鏡(励起光及
び発振レーザー光を反射する)であり、共振器2は部分
透過鏡(励起光は反射し、発振レーザー光を透過する)
であり、共振器1及び2が一対となって共振器を構成す
る。励起光源4は、サファイアレーザー等の固体レーザ
ー及びGaInAs半導体レーザー等の半導体レーザー
であることができる。励起光源4からレーザー媒体1に
励起光が照射され、レーザー媒体1から発振されたレー
ザー光は、部分透過鏡である共振器2を透過して外部に
供給される。
ザーガラスをレーザー媒体として用いたものである。よ
り具体的には、図1に概略図を示すように、共振器1及
び2の間に設けた発明のレーザーガラスを用いたレーザ
ー媒体3と、レーザー媒体3に対する励起光源4からな
る。レーザー媒体3は、共振器1及び2と向かい合う面
を研磨したものであり、共振器1は全反射鏡(励起光及
び発振レーザー光を反射する)であり、共振器2は部分
透過鏡(励起光は反射し、発振レーザー光を透過する)
であり、共振器1及び2が一対となって共振器を構成す
る。励起光源4は、サファイアレーザー等の固体レーザ
ー及びGaInAs半導体レーザー等の半導体レーザー
であることができる。励起光源4からレーザー媒体1に
励起光が照射され、レーザー媒体1から発振されたレー
ザー光は、部分透過鏡である共振器2を透過して外部に
供給される。
【0024】
【発明の効果】本発明のYb3+レーザーガラスは1×1
0-20 cm2 程度或いはそれ以上の大きな誘導放出断面積
を持ち、1msec程度或いはそれ以上に長い蛍光寿命を有
し、さらにガラスとしても比較的安定に得ることがで
き、工業的規模での生産が容易であるため、高利得、高
効率のレーザーガラスとして期待される。また、本発明
のYb3+ドープレーザーガラスから、容易にファイバを
作成できるため、Pr3+ドープ1.3μmファイバ型増
幅器の励起光源となりうる1.02μmのファイバレー
ザー用ガラスとしても非常に有望である。さらに本発明
のレーザー装置では、励起光源として半導体レーザーを
用いた場合でも長時間使用でき(励起光源を長くで
き)、かつ高い励起効率でレーザー光を得ることができ
る。
0-20 cm2 程度或いはそれ以上の大きな誘導放出断面積
を持ち、1msec程度或いはそれ以上に長い蛍光寿命を有
し、さらにガラスとしても比較的安定に得ることがで
き、工業的規模での生産が容易であるため、高利得、高
効率のレーザーガラスとして期待される。また、本発明
のYb3+ドープレーザーガラスから、容易にファイバを
作成できるため、Pr3+ドープ1.3μmファイバ型増
幅器の励起光源となりうる1.02μmのファイバレー
ザー用ガラスとしても非常に有望である。さらに本発明
のレーザー装置では、励起光源として半導体レーザーを
用いた場合でも長時間使用でき(励起光源を長くで
き)、かつ高い励起効率でレーザー光を得ることができ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。 実施例1〜43 表1〜4に、実施例1〜43のガラス組成をモル%で示
した。これらのガラスを溶解する際の出発原料として
は、P2 O5 、Nb2 O5 、B2 O3 、MgO、CaC
O3 、SrCO3 、BaCO3 、ZnO、Pb(N
O3 )2 、Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 な
ど或いはそれらの2価、1価成分のメタ燐酸塩を用い
る。これらの出発原料を表1に示した所定の割合に10
0g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを
白金ルツボに入れ、バッチ組成に応じて1250℃から
1380℃までの温度範囲で空気中或いはNb5+イオン
の低原子価イオンへの変化を防止するために、若干の酸
化雰囲気で1.5〜2時間ガラスの溶解を行った。溶解
後、ガラス溶液をカーボンの金型に流し、ガラスの転移
温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス
転移温度範囲で約1時間アニールした。得られたガラス
は無色透明或いは浅黄色で肉眼で観察できる結晶は析出
しなかった。
る。 実施例1〜43 表1〜4に、実施例1〜43のガラス組成をモル%で示
した。これらのガラスを溶解する際の出発原料として
は、P2 O5 、Nb2 O5 、B2 O3 、MgO、CaC
O3 、SrCO3 、BaCO3 、ZnO、Pb(N
O3 )2 、Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 な
ど或いはそれらの2価、1価成分のメタ燐酸塩を用い
る。これらの出発原料を表1に示した所定の割合に10
0g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを
白金ルツボに入れ、バッチ組成に応じて1250℃から
1380℃までの温度範囲で空気中或いはNb5+イオン
の低原子価イオンへの変化を防止するために、若干の酸
化雰囲気で1.5〜2時間ガラスの溶解を行った。溶解
後、ガラス溶液をカーボンの金型に流し、ガラスの転移
温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス
転移温度範囲で約1時間アニールした。得られたガラス
は無色透明或いは浅黄色で肉眼で観察できる結晶は析出
しなかった。
【0026】これらのガラスを25×25×5mmに4面
研磨し、鏡面仕上げをした後、光学特性の測定サンプル
とした。蛍光寿命の測定を図2に示した方法で、発光ス
ペクトルの測定を図3に示した方法でそれぞれ行った。
測定した蛍光寿命をガラス組成とともに表1〜4に示
す。また、Yb3+ドープガラスの600nm〜1200
nm波長範囲の吸収スペクトルの測定を日立−330型
分光光度計を用いて行った。発光及び吸収スペクトルの
測定データを元に、次の式でYb3+の誘導放出断面積
(σemi )を計算した。 σemi = λe 4Arad /8πcn2 Δλ ここでλe は発光スペクトルのピーク波長(約1.02
μm)、cは光の速度、nはガラスの屈折率、Δλは発
光スペクトルの半値幅、 Arad はYb3+(2F5/2-
2F7/2 )の輻射遷移確率であり、次式により計算でき
る。 Arad =〔8πn2c (2J1+1)/Nλp 4(2J+1)〕∫k(λ)
dλ ここでNはガラスにドープしたYb3+イオン数、λp は
Yb3+の吸収スペクトルのピーク波長(約0.978μ
m)、∫k(λ)dλはYb3+の吸収スペクトルの積分面
積、J 、J1は上下準位の全角運動量子数であり、Yb3+
に対しては(2J1+1)/ (2J+1)=1.3333となる。
これらの式を用いて計算したYb3+の誘導放出断面積を
表1〜4に示した。
研磨し、鏡面仕上げをした後、光学特性の測定サンプル
とした。蛍光寿命の測定を図2に示した方法で、発光ス
ペクトルの測定を図3に示した方法でそれぞれ行った。
測定した蛍光寿命をガラス組成とともに表1〜4に示
す。また、Yb3+ドープガラスの600nm〜1200
nm波長範囲の吸収スペクトルの測定を日立−330型
分光光度計を用いて行った。発光及び吸収スペクトルの
測定データを元に、次の式でYb3+の誘導放出断面積
(σemi )を計算した。 σemi = λe 4Arad /8πcn2 Δλ ここでλe は発光スペクトルのピーク波長(約1.02
μm)、cは光の速度、nはガラスの屈折率、Δλは発
光スペクトルの半値幅、 Arad はYb3+(2F5/2-
2F7/2 )の輻射遷移確率であり、次式により計算でき
る。 Arad =〔8πn2c (2J1+1)/Nλp 4(2J+1)〕∫k(λ)
dλ ここでNはガラスにドープしたYb3+イオン数、λp は
Yb3+の吸収スペクトルのピーク波長(約0.978μ
m)、∫k(λ)dλはYb3+の吸収スペクトルの積分面
積、J 、J1は上下準位の全角運動量子数であり、Yb3+
に対しては(2J1+1)/ (2J+1)=1.3333となる。
これらの式を用いて計算したYb3+の誘導放出断面積を
表1〜4に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】表1〜4から明らかなように本発明のYb
レーザーガラスは、Yb3+の誘導放出断面積が比較例の
Ybドープ石英ガラスに比べて約2倍程度と大きく、か
つより長い蛍光寿命をもつ。このことは、本発明のレー
ザーガラスが優れた性能を有する固体レーザーであるこ
とを示すものである。
レーザーガラスは、Yb3+の誘導放出断面積が比較例の
Ybドープ石英ガラスに比べて約2倍程度と大きく、か
つより長い蛍光寿命をもつ。このことは、本発明のレー
ザーガラスが優れた性能を有する固体レーザーであるこ
とを示すものである。
【0032】実施例44実施例4の組成でYb2 O3 ド
ープ量が4.5wt%(1.68モル%)のガラスを厚
さ1.5mmに加工研磨し、片面に1.02μmの光を
99%反射し、0.978μmの光を80%透過するコ
ートを施し、他面に1.02μm、0.978μmの光
を97%反射するコートを施す。図4に示すような構成
でチタンサファイアレーザー或いは半導体レーザーを励
起光源として、レーザー発振を達成した。チランサファ
イアレーザーで励起した場合、発振のしきい値は約10
mW、スロープ効率は約30%、最大出力として30m
Wが得られた。
ープ量が4.5wt%(1.68モル%)のガラスを厚
さ1.5mmに加工研磨し、片面に1.02μmの光を
99%反射し、0.978μmの光を80%透過するコ
ートを施し、他面に1.02μm、0.978μmの光
を97%反射するコートを施す。図4に示すような構成
でチタンサファイアレーザー或いは半導体レーザーを励
起光源として、レーザー発振を達成した。チランサファ
イアレーザーで励起した場合、発振のしきい値は約10
mW、スロープ効率は約30%、最大出力として30m
Wが得られた。
【図1】 本発明のレーザー装置の概略図。
【図2】 蛍光寿命の測定方法の概略図。
【図3】 発光スペクトルの測定方法の概略図。
【図4】 実施例44で用いたレーザー装置の概略図。
1、2:共振器 3:レーザー媒体 4:励起光源
Claims (7)
- 【請求項1】 ニオブ酸化物、2価金属酸化物及びリン
酸を含むガラス母材にYbイオンを含有することを特徴
とするYbレーザーガラス。 - 【請求項2】 2価金属酸化物が、MgO、CaO、S
rO、BaO、ZnO及びPbOからなる群から選ばれ
る少なくとも1種の酸化物である請求項1記載のレーザ
ーガラス。 - 【請求項3】 各成分の含有率がモルパーセントで表示
して、P2 O5 が15〜35%、Nb2 O5 が5〜23
%、2価金属酸化物が40%以上である請求項1又は2
記載のレーザーガラス。 - 【請求項4】 各成分の含有率がモルパーセントで表示
して、B2O3が0〜20%、MgOが0〜15%、Ca
Oが0〜28%、SrOが0〜30%、BaOが5〜4
0%、ZnOが0〜35%及びPbOが0〜20%であ
る請求項3記載のレーザーガラス。 - 【請求項5】 各成分の含有率がモルパーセントで表示
して、Li2 Oが0〜10%、Na2 Oが0〜10%、
K2 Oが0〜10%であり、かつLi2 O+Na2 O+
K2 Oの合計含有率が10%以下である請求項4記載の
レーザーガラス。 - 【請求項6】 Y2 O3 の含有率がモルパーセントで表
示して0.0001〜4%である請求項1〜5のいずれ
か1項に記載のレーザーガラス。 - 【請求項7】 レーザー媒体、共振器及び励起光源を含
むレーザー装置であって、前記レーザー媒体が請求項1
〜6のいずれか1項に記載のレーザーガラスからなるレ
ーザー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16658194A JPH0826768A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | Ybレーザーガラス及び該ガラスを用いたレーザー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16658194A JPH0826768A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | Ybレーザーガラス及び該ガラスを用いたレーザー装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0826768A true JPH0826768A (ja) | 1996-01-30 |
Family
ID=15833934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16658194A Pending JPH0826768A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | Ybレーザーガラス及び該ガラスを用いたレーザー装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0826768A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003062162A1 (fr) * | 2002-01-24 | 2003-07-31 | Kabushiki Kaisha Ohara | Verre ayant une constante dielectrique specifique elevee et substrat de verre |
JPWO2006132285A1 (ja) * | 2005-06-07 | 2009-01-08 | 古河電気工業株式会社 | 光源 |
JP2010184847A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Asahi Glass Co Ltd | レーザー用ガラス、ファイバレーザーおよび2重クラッド光ファイバ |
JP2015171963A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 株式会社オハラ | 光学ガラス、レンズプリフォーム及び光学素子 |
JP2017007942A (ja) * | 2016-09-30 | 2017-01-12 | 株式会社オハラ | 光学ガラス、光学素子、及びガラス成形体の製造方法 |
JP2018058715A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | 光ガラス株式会社 | 光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置 |
JP2019178047A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 株式会社住田光学ガラス | 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 |
-
1994
- 1994-07-19 JP JP16658194A patent/JPH0826768A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003062162A1 (fr) * | 2002-01-24 | 2003-07-31 | Kabushiki Kaisha Ohara | Verre ayant une constante dielectrique specifique elevee et substrat de verre |
US7396786B2 (en) | 2002-01-24 | 2008-07-08 | Kabushiki Kaisha Ohara | Glass and glass substrate having high dielectric constant |
JPWO2006132285A1 (ja) * | 2005-06-07 | 2009-01-08 | 古河電気工業株式会社 | 光源 |
JP2010184847A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Asahi Glass Co Ltd | レーザー用ガラス、ファイバレーザーおよび2重クラッド光ファイバ |
JP2015171963A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 株式会社オハラ | 光学ガラス、レンズプリフォーム及び光学素子 |
JP2017007942A (ja) * | 2016-09-30 | 2017-01-12 | 株式会社オハラ | 光学ガラス、光学素子、及びガラス成形体の製造方法 |
JP2018058715A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | 光ガラス株式会社 | 光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置 |
JP2019178047A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 株式会社住田光学ガラス | 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040428 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20041201 |