JP2006518046A - 光学部材、重合性組成物及びチオ化合物 - Google Patents

光学部材、重合性組成物及びチオ化合物 Download PDF

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Abstract

【手段】 ポリマーからなるマトリックスと、下記一般式(1a)又は(2a)から選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む光学材料を開示する。式中、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表すし、式中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1a、L2a、L3a、L4a及びL5aはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
一般式(1a)
【化1】
Figure 2006518046

一般式(2a)
【化2】

Description

本発明は、光学部材の製造に用いられる重合性組成物、該組成物を用いて製造された屈折率分布光学部材、及び屈折率の調整のための剤として有用な新規なチオ化合物に関する。また本発明は、光ファイバ、光導波路または光学レンズ等の光学部材、その製造に用いられる重合性組成物及び方法に関する。
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路など種々の用途にもちい応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光ファイバと比較して、口径の大きいファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有する。従って、伝送損失の大きさが問題とならない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている(POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第1〜8頁)。
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様な屈折率分布型光学部材の製法の一つに、界面ゲル重合を利用して、光学部材母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が提案されている(POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第66〜72頁;特許3332922号 (WO93/08488)など)。
光伝送体には、伝送損失が小さく、且つ伝送帯域が広いことが要求される。屈折率分布型の光学部材は、広い伝送帯域を示すことが理解されているが、屈折率分布構造が全て伝送帯域を改善し得るのではない。例えば、Polymer Jounal 28巻272〜275頁に記載されているように、広い伝送帯域を得るためには、屈折率分布構造を制御して、コア部とクラッド部との間に十分な屈折率差をつける必要がある。そのために、コア部にはマトリックスの材料のみならず、マトリックス材料とは屈折率の異なるドーパントを添加することがしばしば行われる。このソーパントとしては、これまでWO93/08488等に種々提案されている。ドーパントを利用することによって、上記光学特性のある程度の改善が得られるが、実際には光伝送体は、種々の環境条件で使用されるので、上記光学特性のみならず、種々の環境に耐え得る機械的特性および耐熱性も要求される。さらに上記光学特性を初期条件で満たしているのみならず、実用時には外力等が加わることもあるので、曲げ等の変形が起こった際にも、上記光学特性を維持することが求められる。そうした中で、これまでに、耐熱性の改善されたドーパントとして芳香族スルフィド化合物がJPA No.2002−236222号(以下、JPAは、日本特許出願未審査公開公報を意味するものとする)に提案されている。しかし、その様なドーパントは、芳香族C−H伸縮振動低倍音吸収があり、波長850nmの光の伝送損失を大きく悪化させる原因となる。
以上のように、光学特性、機械特性ならびに耐熱特性の全てについて実用上充分な特性を有する光伝送体は未だ提供されていないのが実状である。
光伝送体には、前述した様に、伝送損失が小さく、且つ伝送帯域が広いことが要求される。特にプラスチック光ファイバでは、用いる光源波長が850nmの近赤外光域の場合、原子間結合の伸縮振動の倍音による吸収が伝送損失を増大させる原因となっている。マトリックス材料においては、ポリマーの構成基であるC−H結合の伸縮振動の倍音が吸収損失を悪化させるため、水素原子をより重い原子(重水素あるいはフッ素など)に置換することが行われている(JPA No.1996−167030号等)。また、所望の屈折率分布に制御し、かつコア中心部位とコア外周部位との屈折率差を充分に確保するために添加される、マトリックス材料とは屈折率の異なる化合物(屈折率上昇剤もしくはドーパントと称される。それらは重合性であっても非重合性であってもよい化合物である)に関しては、大半がベンゼン環を含んだ化合物である。先述したようにマトリックスの伝送損失を改良するため、マトリックス材料の水素原子をフッ素原子に置換し、その置換率を増加させると、ドーパントの溶解性が著しく悪化する。そのため、ドーパント側も改良が必要となり、同様にフッ素原子の含有率を増加させることが考えられるが、両者の屈折率差が小さくなる。特に含フッ素メタクリレートポリマーの屈折率は、全フッ素系ポリマーのそれに比べて約0.1高く、1.4付近にあり、ドーパントとの屈折率差がさらに小さくなり、その結果、伝送容量が悪化する傾向にある。しかしながら、含フッ素メタクリレートポリマーは、全フッ素系ポリマーに比べて、低コストであり、界面ゲル重合を利用した屈折率分布型光学部材を容易に作製できる利点があるため、含フッ素メタクリレートポリマーに適したドーパントの開発が望まれている。一方、芳香族スルフィドの屈折率上昇剤も提案されている(例えば、JPA No.2002−236222)が、マトリクスとの相溶性があまり高くないものがある。
本発明の目的は、光伝送損失が小さく、且つ耐熱性が高い光学部材を作製可能な光学部材用重合性組成物を提供することである。また、本発明の目的は、光伝送損失が小さく、且つ耐熱性が高い光学部材を提供することである。また、本発明の目的は、光学部材の作製に利用される屈折率上昇剤として有用な新規なチオ化合物を提供することである。
本発明の目的は、850nmにおける光伝送損失が小さく、伝送容量の大きい含フッ素メタクリレートポリマー系重合性組成物を提供することである。また、本発明の目的は、850nmにおける光伝送損失が小さく、伝送容量の大きい含フッ素メタクリレートポリマー系光学部材を提供することである。
本発明者らは、ドーパントについて種々の研究をし、その結果、特定構造を有するチオ化合物を光学材料のドーパントとして用いることができること、その様なドーパントを用いることにより、光学部材の光学特性が改善されることを見出した。特に、トリアジン誘導体が含フッ素メタクリレートポリマーに溶解し、かつ、充分な屈折率差を有することを見出した。これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
一側面において、本発明は、ポリマーからなるマトリックスと、下記一般式(1a)又は(2a)から選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む光学材料を提供する。
一般式(1a)
Figure 2006518046
式中、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
一般式(2a)
Figure 2006518046
式中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1a、L2a、L3a、L4a及びL5aはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
本発明の態様として、前記一般式(1a)又は(2a)で表される化合物が、少なくとも1つのフッ素原子を有する前記光学材料;及びプラスチック光ファイバに用いられる前記光学材料;が提供される。
他の側面において、本発明は、重合性モノマー組成物、および前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有し、一般式(1a)または(2a)で表される化合物の少なくとも一種を含有する光学部材用重合性組成物;前記重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成してなる光学部材;前記屈折率分布領域が、屈折率の大きさが断面の中央から外側に向かって変化する領域である前記光学部材;及び前記光学部材を延伸してなる光ファイバ;を提供する。
他の側面において、本発明は、一般式(2a)で表される化合物及び一般式(3a)で表される化合物を提供する。
一般式(2a)
Figure 2006518046
式中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1a、L2a、L3a、L4a及びL5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
一般式(3a)
Figure 2006518046
式中、R6a、R7aおよびR8aはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい分岐鎖状のアルキル基を表す。
他の側面において、本発明は、一般式(1b)で表される化合物の少なくとも一種を含有する重合性モノマー組成物と、重合開始剤と、前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有する一般式(2b)で表される化合物の少なくとも一種とを含有する光学部材用重合性組成物を提供する。
一般式(1b)
Figure 2006518046
式中、X1bは水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、2つのX1bは同一でも異なっていてもよい。Y1bはH、D、フッ素原子(F)、CH3基、CD3基またはCF3基を表し、Y2bは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素数1〜7個のフッ素化アルキル基を表す。
一般式(2b)
Figure 2006518046
式中、R1b、R2bおよびR3bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表すが、R1b、R2bおよびR3bのすべてが同時にアリール基になることはない。
本発明の態様として、前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有する化合物が、一般式(3b)で表される化合物から選ばれる前記重合性組成物:
一般式(3b)
Figure 2006518046
式中、R4bおよびR5bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1b、L2b、L3b、L4b及びL5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である;前記重合性モノマー組成物が、前記一般式(1b)で表される重合性モノマーを5〜100重量%含有する前記重合性組成物;前記一般式(1b)で表される重合性モノマーが、C−D結合を少なくとも一有する前記重合性組成物;及び前記一般式(2b)中、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す前記重合性組成物;が提供される。
他の側面において、本発明は、前記重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成してなる光学部材;前記屈折率分布領域が、屈折率の大きさが断面の中央から外側に向かって変化する領域である前記光学部材;及び前記光学部材を延伸してなる光ファイバ;を提供する。
発明の実施の形態
本発明の態様を詳細に説明する。
「光学材料」の用語は、例えば光ファイバ、光導波路等の光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡、ポリゴン等の鏡類、ペンタプリズム類等のプリズム類等の光学部材の作製に用いられる全ての材料に対して用いられる。また、本発明の光学部材用重合性組成物を用いることによって得られる光学部材とは、例えば光ファイバ、光導波路等の光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡、ポリゴン等の鏡類、ペンタプリズム類等のプリズム類が含まれる。中でも、光導性素子類、レンズ類、鏡類に用いられるのが好ましく、光ファイバ、光導波路、レンズ類に用いられるのがより好ましい。
1.重合性組成物
まず、本発明の重合性組成物の態様について詳細を説明する。
1−1 重合性組成物の第1の態様
本発明の第1の態様の重合性組成物は、1種又は2種以上の重合性モノマーからなる重合性モノマー組成物と前記重合性モノマー組成物の屈折率と異なる屈折率を有する化合物(「屈折率上昇剤」または「ドーパント」という場合がある)とを含有する。第1の態様の重合性組成物は、さらに、重合開始剤及び連鎖移動剤を含有していてもよい。本態様では、ドーパントとして、トリアジン骨格を有する化合物を用いることによって、重合により作製される光学部材の光学特性を改善している。前記第1の態様の重合性組成物は、屈折率分布型光学部材の製造に用いることができる。
以下、前記第1の態様に用いられる各々の材料について詳細に説明する。
1−1−1 重合性モノマー組成物
第1の態様において、重合性モノマー組成物は、プロペン酸およびその誘導体のエステルから選ばれる少なくとも1種を主成分とするのが好ましい。前記プロペン酸およびその誘導体の例には、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル(以下、双方を含めて(メタ)アクリル酸エステル類という)が含まれる。ここで、あるモノマーを主成分とするという語は、そのモノマーのみからなる態様に対してのみならず、光学的性能を損なわない限りにおいて、他のモノマーを含んでいる態様に対しても用いられる。前記重合性モノマー組成物は、共重合を形成するように、(メタ)アクリル酸エステル類系モノマーから選ばれる少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外のモノマーから選ばれる、例えば、スチレン、マレイミド化合物等の少なくとも1種とを含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸エステル類の少なくとも一部の水素が重水素で置換されていると、光伝送損失を軽減できるので好ましい。また、フッ素原子で置換されている(メタ)アクリル酸エステル類を用いると、フッ素置換されていないモノマーの共重合体との間で屈折率差を大きく持たせやすく、その結果屈折率分布構造を形成し易いので好ましい。以下に、第1の態様に使用可能な、(メタ)アクリル酸エステル類の具体例を列挙するが、以下の具体例に限定されるものではない。
(a) フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステル
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸フェニル等;
(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステル
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート等;が例示される。
前記(メタ)アクリル酸系エステル以外の重合性モノマーを用いてもよい。以下に、前記第1の態様に使用可能な他の重合性モノマーの具体例を列挙するが、以下の具体例に限定されるものではない。
(c) スチレン系化合物
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;
(d) ビニルエステル類
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート;
(e)マレイミド類
N―n−ブチルマレイミド、N―t−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド;
等が例示される。
前記第1の態様では、(メタ)アクリル酸エステル類の一種または二種以上を重合性モノマーの主成分として用いる。(メタ)アクリル酸エステル類は、単量体の全重量中50重量%以上であるのが好ましく、60重量%以上であるのがより好ましく、70重量%以上であるのがさらに好ましく、すべてが(メタ)アクリル酸エステル類であることが最も好ましい。
光学部材の光伝送損失を軽減するためには、C−H結合の水素原子がフッ素原子で置換された、C−F結合を含む重合性モノマーを用いるのが好ましい。具体的には、前述のフッ素不含メタクリル酸エステル、フッ素不含アクリル酸エステル、もしくは含フッ素(メタ)アクリル酸エステルとフッ素不含(メタ)アクリル酸エステルとの混合物が好ましい。さらには、C−H伸縮振動の低倍音吸収による損失を低減させるために、上記モノマーの重水素置換体がより好ましい。
1−1−2 重合開始剤
前記第1の態様の重合性組成物は、電子線照射などで硬化させることができるが、屈折率分布の付与や重合反応などの制御を考えると、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−t−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
1−1−3 連鎖移動剤
前記第1の態様の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
例えば、重合性モノマーとしてメチルメタクリレートを用いた場合は、連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
1−1−4 ドーパント:屈折率調整剤
前記第1の態様の重合性組成物は、前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有する化合物を含有する。前記ドーパントは屈折率調整剤とも称され、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものをいう。その屈折率差は、0.001以上であるのが好ましい。
第1の態様では、前記ドーパントとして、下記一般式(1a)または(2a)で表されるトリアジン骨格を有するチオ化合物を用いる。前記チオ化合物をドーパントとして用いることにより、プラスチック光学部材の屈折率を容易に調整できるとともに、伝送損失を小さくできる。特に、前記チオ化合物は、後述する界面ゲル重合法において屈折率の分布を形成するのに適している。
まず、一般式(1)について詳述する。
一般式(1)
Figure 2006518046
式(1a)中、R1a〜R3aはそれぞれ、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。前記アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜24であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6である。前記アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。分岐状アルキル基の中では、硫黄原子に近い側より分岐しているのが好ましい。R1a〜R3aの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルが挙げられる。但し、ここでR1a〜R3aが表すアルキル基とは、重合性基を含まないものを指す。R1a、R2aおよびR3aがJPA No. 1990−268170号公報やJPA No. 2002−255945号公報で示されるような重合性基を含む場合、重合性基がエチレン性不飽和モノマーと重合して共重合体を形成してしまうため、屈折率の制御が困難となる。
また、R1a〜R3aは、置換基(但し、重合性基を除く)を有していてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、置換もしくは無置換のアルキル基〔好ましくはC数が1〜24であり、より好ましくは1〜10であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシル〕、置換もしくは無置換の、単環もしくは多環からなるアリール基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル)、置換もしくは無置換の、単環もしくは多環からなる複素環基(好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、アルコキシ基〔好ましくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキシ)〕、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜24、例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、およびシアノ基が挙げられる。
1a〜R3a中の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよい。例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基が挙げられる。
また、R1a〜R3a中の水素原子の一部または全部が重水素原子で置換されていてもよい。
次に一般式(2a)について詳述する。
Figure 2006518046
式(2a)中、R4aおよびR5aはそれぞれ、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。前記アルキル基は少なくとも1つの置換基、重合性基をのぞく、を有していてもよい。前記アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜24であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6である。前記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルが含まれる。但し、R4aまたはR5aで表されるアルキル基とは、重合性基を含まないものを指す。また、分岐鎖状の場合の好ましい形態もR1〜R3と同様である。
また、R4aおよびR5aは、少なくとも1つの置換基、但し、重合性基を除く、を有していてもよい。前記置換基の好ましい例は、R1a〜R3a上の置換基として前述したものが挙げられる。さらにR4aおよびR5aは、水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されたものであってもよい。また、R4aおよびR5aは、水素原子の一部または全部が重水素原子によって置換されていてもよい。
式(2a)中、L1a〜L5aはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基である。前述したように、光学部材が850nmといった近赤外領域の光源波長とともに用いられる場合、芳香族C−H伸縮振動の低倍音吸収が伝送損失を悪化させる原因となる。前記一般式で表される化合物は、ベンゼン環上の5つの水素原子のうち、少なくとも2つは置換基によって置換されているので、前記原因による伝送損失を低減させることができる。
前記L1a〜L5aで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、前記アルキル基の炭素原子数は、1〜24であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましく、1〜6であるのがさらに好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルが含まれる。
前記L1a〜L5aで表されるアルコキシ基の炭素数は、1〜24であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましく、1〜6であるのがさらに好ましい。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシが含まれる。
前記L1a〜L5aで表されるアルキルチオ基の炭素原子数は、1〜24であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましく、1〜6であるのがさらに好ましい。前記アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオが含まれる。
前記L1a〜L5aで表されるハロゲン原子の例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれるが、耐候性から見て、フッ素、塩素あるいは臭素が好ましい。
前記L1a〜L5aで表されるアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基は、少なくとも1つの置換基、但し、重合性基を除く、を有していてもよい。好ましい置換基としてはR1a〜R3a上の置換基として前述したものが挙げられる。さらにL1a〜L5a中の水素原子の一部または全部は、フッ素原子によって置換されていてもよい。また、L1a〜L5a中の水素原子の一部または全部は、重水素原子によって置換されていてもよい。
次に、前記一般式(1a)の範囲に含まれる、一般式(3a)について詳細に説明する。
一般式(3a)
Figure 2006518046
一般式(3a)中、R6a〜R8aはそれぞれ、置換されていてもよい、但し、重合性基によって置換されているものは除く、分岐鎖状のアルキル基を表す。分岐鎖状のアルキル基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基は、硫黄原子に近い方から分岐しているものが好ましい。また、置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、R1a〜R3a上の置換基として上述したものが挙げられる。さらに、(置換基を有する場合にはそれらの置換基も含め)R6a〜R8a中の水素原子の一部もしくは全部が、フッ素原子によって置換されていてもよい。また、R6a〜R8a中の水素原子の一部もしくは全部が、重水素原子によって置換されていてもよい。
以下に、前記一般式(1a)または(2a)で表されるチオ化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
Figure 2006518046
Figure 2006518046
前記一般式(2a)および(3a)でそれぞれ表される化合物は、以下の合成方法によって合成することができる。
Figure 2006518046
前記第1の態様のチオ化合物は、チオシアヌル酸とハロゲン体、あるいはシアヌル酸クロリドとチオール体を塩基存在下、反応させることにより得ることができる。チオシアヌル酸に対するハロゲン体の合計使用量、あるいはシアヌル酸クロリドに対するチオール体の合計使用量は3〜7.5倍モルが好ましく、3〜4.5倍モルがより好ましい。
塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の第3級アミン、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブチラート等の金属アルコラート類が挙げられる。塩基の使用量はハロゲン体に対して2〜5倍モル、好ましくは2〜3倍モルである。
反応溶媒は、非プロトン性の極性溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性の極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
反応温度は、室温〜200℃の範囲であり、好ましくは室温〜160℃の範囲である。
また、一般式(2a)で表されるトリアジン誘導体の合成では、最初にチオフェノール誘導体をシアヌルクロリドに対して1〜1.2倍量加え、室温〜60℃で塩基存在下反応させて1置換体を合成した後に、アルキルチオール体を導入する方法をとるのが生成物の収率を高める点で好ましい。
なお、上記合成法は、本発明のトリアジン骨格を有するチオ化合物の製造方法の一例であって、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
前記第1の態様の重合性組成物において、ドーパントは2種類以上併用してもよい。
前記第1の態様の重合性組成物を用いて光学部材を作製する際に、ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。ドーパントの濃度に傾斜を持たせる方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法等がある。
前記第1の態様の重合性組成物において、各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーに対して0.005〜0.5重量%であるのが好ましく、0.01〜0.5重量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマーに対して0.10〜0.40重量%であるのが好ましく、0.15〜0.30重量%であるのがより好ましい。また、前記ドーパントは、重合性モノマーに対して1〜30重量%であるのが好ましく、1〜25重量%であるのがより好ましい。
本発明の重合性組成物には、その他、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他のドーパントを添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
本発明の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、前記重合性モノマーの重合が開始される。本発明の重合性組成物はドーパントを含んでいるので、例えば、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進行方向を制御して、ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。連鎖移動剤を含有する前記重合性組成物を用いる場合は、ポリマーの分子量は連鎖移動剤によって制御でき、延伸に好適な機械的特性とすることができる。従って、そのような重合性組成物を用いることは、その組成物を重合して得られるプリフォームを延伸して比亜kリファイバを作成する場合に、生産性の向上にも寄与する。
1−2 本発明の第2の態様の重合性組成物
第2の態様の重合性組成物は、光源波長850nmに対応した光学部材にもちいられるであろう。該重合性組成物は、1種又は2種以上の重合性モノマーからなる重合性モノマー組成物と、該重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤と、前記モノマーの屈折率と異なる屈折率を有する化合物(以下、「屈折率上昇剤」または「ドーパント」という場合がある)とを含有する。第2の態様では、ドーパントとして、ある特定の群から選ばれる化合物を用い、それによって、850nmでのドーパント自身に起因する光伝送損失を低減させている。さらに、用いる含フッ素マトリックス、特に含フッ素メタクリレートとの相溶性を改良した、ある特定のトリアジン誘導体をドーパントとして用い、それによって、該組み合わせからなる光学部材の光伝送損失、伝送容量を改良している。前記第2の態様の重合性組成物は、光学部材、特に屈折率分布型光学部材の製造に用いることができる。
以下、第2の態様に用いられる種々の材料について詳細に説明する。
1−2−1 重合性モノマー組成物
前記第2の態様では、重合性モノマー組成物は、プロペン酸およびその誘導体のエステルから選ばれる少なくとも1種を主成分とするのが好ましい。前記プロペン酸およびその誘導体には、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル(以下、双方を含めて(メタ)アクリル酸エステル類という)が含まれる。ここで、あるモノマーを主成分とするという語は、そのモノマーのみからなる態様に対してのみならず、光学的性能を損なわない限りにおいて、他のモノマーを含んでいる態様に対しても用いられる。前記重合性モノマー組成物は、共重合を形成するように、(メタ)アクリル酸エステル類系モノマーから選ばれる少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外のモノマーから選ばれる、例えば、スチレン、マレイミド化合物等の少なくとも1種とを含んでいてもよい。
前記第2の態様では、特に伝送損失と吸湿性を良化させる観点から、下記一般式(1b)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステル類(重合性モノマー(A)と称することがある)を含有する。
一般式(1b)
Figure 2006518046
式(1b)中、X1bは水素(H)または重水素(D)を表し、2つのX1bは同一でも異なっていてもよい。Y1bはH、D、フッ素(F)、CH3基、CD3基またはCF3基を表し、Y2bは置換もしくは無置換の炭素数1〜7のアルキル基を表すが、Y1bがH、D、CH3基またはCD3基を表すときは、Y2bは、1〜15個のフッ素置換基を有する炭素数1〜7個のフッ素化アルキル基を表す。
該重合性モノマー(A)は、側鎖(Y2)が1〜15個のフッ素置換基を有する炭素数1〜7個のフッ化アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、α−フルオロアクリレート系モノマー、およびα−トリフルオロメチルアクリレート系モノマーである。これらの重合性モノマーの具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、メタクリル酸モノフルオロメチル、メタクリル酸ジフルオロエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸1H、1H−ペンタフルオロプロピル、メタクリル酸1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチル、α−フルオロメタクリレ−ト系モノマーとしては、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸エチル、α−フルオロアクリル酸イソプロピル、α−フルオロアクリル酸t−ブチル、α−フルオロアクリル酸モノフルオロメチル、α−フルオロアクリル酸ジフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸1H、1H−ペンタフルオロプロピル、α−フルオロアクリル酸1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、α−フルオロアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、α−フルオロアクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、α−フルオロアクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、α−フルオロアクリル酸パーフルオロ−t−ブチル、α−トリフルオロメチルアクリレート系モノマーとしてはα−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸エチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸イソプロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸モノフルオロメチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸1H、1H−ペンタフルオロプロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸パーフルオロ−t−ブチルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチル、メタクリル酸1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸イソプロピル、α−フルオロアクリル酸t−ブチル、α−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸イソプロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピルが好ましく、さらにメタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチル、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸t−ブチル、α−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、α−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピルが特に好ましい。
本発明の組成物のより好ましい態様は、耐熱性、光学特性、塑性などを鑑みると、前記重合性モノマー(A)と、下記一般式(4b)で表される重合性モノマー(重合性モノマー(B)と称することがある)とを含有する重合性モノマーを含有する組成物である。
一般式(4b)
Figure 2006518046
式(4b)中、X2bは水素原子(H)、または重水素原子(D)を表し、2つのX2bは同一でも異なっていてもよい。Y3bはH、D、フッ素原子(F)、CH3、CD3またはCF3を表し、Y4bは炭素数7〜20個の脂環式炭化水素基を表す。
前記重合性モノマー(B)は、Y3が炭素数7〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、α−フルオロアクリレート系モノマー、およびα−トリフルオロメチルアクリレート系モノマーである。具体的な例を挙げるとすると、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ−2,2,1−ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸l−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3,1,1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4,1,0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、α−フルオロアクリレート系モノマーとしては、α−フルオロアクリル酸(ビシクロ−2,2,1−ヘプチル−2)、α−フルオロアクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、α−フルオロアクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、α−フルオロアクリル酸l−メンチル、α−フルオロアクリル酸(ノル)ボルニル、α−フルオロアクリル酸イソボルニル、α−フルオロアクリル酸フエンチル、α−トリフルオロメチルアクリレート系モノマーとしては、α−トリフルオロメチルアクリル酸(ビシクロ−2,2,1−ヘプチル−2)、α−トリフルオロメチルアクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸l−メンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸(ノル)ボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸イソボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸フエンチルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フエンチル、メタクリル酸l−メンチル、α−フルオロアクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、α−フルオロアクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、α−フルオロアクリル酸l−メンチル、α−フルオロアクリル酸(ノル)ボルニル、α−フルオロアクリル酸イソボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸l−メンチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸(ノル)ボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸イソボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸フエンチルなどが好ましく、さらに、メタクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸l−メンチル、α−フルオロアクリル酸(ノル)ボルニル、α−フルオロアクリル酸イソボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸(ノル)ボルニル、α−トリフルオロメチルアクリル酸イソボルニルが特に好ましい。ただし、上述した具体例に限定されるものではない。
重合性モノマー(A)は、組成物中の重合性モノマーの全重量中、5〜100重量%であるのが好ましい。前記第2の態様では、重合性モノマー(A)を主成分として用いるのが好ましく、重合性モノマー(A)は重合性モノマーの全重量中15〜99重量%であるのがより好ましく、15〜95重量%であるのがさらに好ましく、20〜95重量%であるのが特に好ましい。その他の重合性モノマーの成分としては、重合性モノマー(B)が好ましく、その中で、重合性モノマー(B)は、重合性モノマーの全重量中5〜95重量%であるのが好ましく、10〜95重量%であるのがより好ましく、15〜90重量%であるのがさらに好ましい。重合性モノマー(A)/(B)の比率は、4/1〜1/3が好ましく、さらに3/1〜1/2が好ましい。
ポリマーの脆性または力学物性を補う観点で、重合性モノマー(A)を、重合性モノマー(B)および/または重合性モノマー以外の重合性モノマーと共重合させてもよい。例えば、重合性モノマー(A)は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸フェニル等と共重合させてもよく、その中でもメタクリル酸メチルとの共重合が好ましい。
重合性モノマー(A)および(B)以外の重合性モノマーの含有量は、重合性モノマーの全重量中、5〜50重量%であるのが好ましく、5〜45重量%であるのがより好ましく、5〜40重量%であるのがさらに好ましい。
前記第2の態様の重合性組成物では、さらに前記(メタ)アクリル酸系エステル以外の重合性モノマーを用いてもよい。以下に、本発明に使用可能な他の重合性モノマーの具体例を列挙するが、以下の具体例に限定されるものではない。
(モノマーC: スチレン系化合物)
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;
(モノマーD :ビニルエステル類)
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート;
(モノマーE :マレイミド類)
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド;
等が例示される。
前記第2の態様では、(メタ)アクリ酸エステル類を重合性モノマーの主成分として用いる。該(メタ)アクリル酸エステル類は、単量体の全重量中50重量%以上であるのが好ましく、60重量%以上であるのがより好ましく、70重量%以上であるのがさらに好ましく、すべてが(メタ)アクリル酸エステル類であることが最も好ましい。
850nmの伝送損失を軽減するためには、C−H結合の水素原子が重水素原子で置換された、C−D結合を含む重合性モノマーを用いるのがより好ましい。
1−2−2 重合開始剤
前記第2の態様の重合性組成物は、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジーt−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
1−2−3 連鎖移動剤
前記第2の態様の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
例えば、重合性モノマーとしてメチルメタクリレート類を用いた場合は、連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
1−2−4 ドーパント:屈折率調整剤
前記第2の態様の重合性組成物は、前記重合性モノマーと異なる屈折率を有する化合物を含有する。前記ドーパントは屈折率調整剤とも称され、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものをいう。その屈折率差は、0.001以上であるのが好ましい。
前記第2の態様では、前記ドーパントとして、下記一般式(2b)で表されるトリアジン骨格を有する化合物を少なくとも1種用いる。前記トリアジン骨格を有する化合物をドーパントとして用いることにより、プラスチック光学部材の屈折率を容易に調整できるとともに、伝送損失を小さくできる。特に、前記チオ化合物は、後述する界面ゲル重合法において屈折率の分布を形成するのに適している。
一般式(2b)
Figure 2006518046
前記式(2b)中、R1b〜R3bはそれぞれ、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す。但し、R1b〜R3bが同時にアリール基になることはない。前記アルキル基の炭素原子数は、1〜24が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6である。直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルが含まれる。但し、ここで、R1b〜R3bで表されるアルキル基とは重合性基を含まないものを指す。
1b〜R3bで表されるアリール基の例には、置換もしくは無置換のフェニル基が含まれる。
1b〜R3bは、置換基、但し、重合性基を除く、を有していてもよい。前記置換基の好ましい例には、ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等;置換もしくは無置換の、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいアルキル基、好ましくはC数が1〜24であり、より好ましくは1〜10のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシル;置換もしくは無置換の、単環もしくは多環のアリール基、好ましくはC数6〜24のアルキル基、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル;置換もしくは無置換の、単環もしくは多環の複素環基、好ましくはC数2〜24の複素環基、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル;アルコキシ基、好ましくはC数1〜24のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキシ);アルキルチオ基、好ましくはC数1〜24のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基;アシルオキシ基、好ましくはC数1〜24のアシルオキシ基、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ;アルコキシカルボニル基、好ましくはC数2〜24のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル;およびシアノ基が含まれる。
1b〜R3b中の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよい。例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基が挙げられる。
前記一般式(2b)で表される化合物には、下記一般式(3b)で表される化合物が含まれる。
一般式(3b)
Figure 2006518046
式(3b)中、R4bおよびR5bはそれぞれ、置換基を有していてもよい、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、好ましくはC数1〜24であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルを表す。但し、ここでアルキル基とは重合性基を含まないものを指す。
また、R4bおよびR5bは、置換基、但し、重合性基を除く、を有していてもよく、好ましい置換基には、R1b〜R3b上の置換基として前述したものが挙げられる。さらにR4bおよびR5bは、水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されたものであってもよい。
前述したように、光源波長が850nmの場合、芳香族C−H伸縮振動の倍音吸収が伝送損失を悪化させる原因となる。前記一般式(3b)では、ベンゼン環上の5つの水素原子のうち、少なくとも2つは置換基によって置換されているので、そのような化合物を用いることは、伝送損失を低減するのに寄与する。
前記式(3b)中、L1b〜L5bは各々、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基(但し、重合性基は除く)、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基である。前記アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。L1b〜L5bで表されるアルキル基の炭素原子数は、1〜24であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましく、1〜6であるのがさらに好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシルが挙げられる。
1b〜L5bで表されるアルコキシ基は、C数1〜24のアルコキシ基が好ましく、1〜10のアルコキシ基がより好ましく、1〜6のアルコキシ基がさらに好ましい。例えばメトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシが挙げられる。
1b〜L5bで表されるアルキルチオ基は、C数1〜24であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましく、1〜6であるのがさらに好ましい。例えばメチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基が挙げられる。
1b〜L5bで表されるハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるが、耐候性から見てフッ素、塩素あるいは臭素が好ましい。
1b〜L5bで表されるアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、好ましい置換基としてはR1b〜R3b上の置換基として前述したものが挙げられる。さらにL1b〜L5b中の水素原子の一部または全部は、フッ素原子によって置換されていてもよい。
以下に、前記一般式(2b)または(3b)で表されるチオ化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006518046
Figure 2006518046
前記第2の態様におけるチオ化合物は、チオシアヌル酸とハロゲン体、あるいはシアヌル酸クロリドとチオール体を塩基存在下、反応させることにより得ることができる。チオシアヌル酸に対するハロゲン体の合計使用量、あるいはシアヌル酸クロリドに対するチオール体の合計使用量は3〜7.5倍モルが好ましく、3〜4.5倍モルがより好ましい。
塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の第3級アミン、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブチラート等の金属アルコラート類が挙げられる。塩基の使用量はハロゲン体に対して2〜5倍モル、好ましくは2〜3倍モルである。
反応溶媒は、非プロトン性の極性溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性の極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
反応温度は、室温〜200℃の範囲であり、好ましくは室温〜160℃の範囲である。
また、前記一般式(2b)で表されるトリアジン誘導体の合成では、最初にチオフェノール誘導体をシアヌルクロリドに対して1〜1.2倍量加え、室温〜60℃で塩基存在下反応させて1置換体を合成した後に、アルキルチオール体を導入する方法をとるのが生成物の収率を高める点で好ましい。
なお、上記合成法は、前記チオ化合物の製造方法の一例であって、これに限定されるものではない。
前記第2の態様の重合性組成物において、ドーパントは2種類以上併用してもよく、かかる態様では、効果を損なわない限り、前記一般式(2b)で表される化合物とともに、それら以外の化合物を用いてもよい。
前記第2の態様の重合性組成物を重合する際に、ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。ドーパントの濃度に傾斜を持たせる方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法等がある。
前記第2の態様において、各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマー組成物に対して0.005〜0.5重量%であるのが好ましく、0.01〜0.5重量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマー組成物に対して0.10〜0.40重量%であるのが好ましく、0.15〜0.30重量%であるのがより好ましい。また、前記ドーパントは、重合性モノマー組成物に対して1〜30重量%であるのが好ましく、1〜25重量%であるのがより好ましい。
前記第2の態様の重合性組成物には、その他、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他のドーパントを添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
前記第2の態様の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、前記重合性モノマーの重合が開始される。前記第2の態様の重合性組成物はドーパントを含んでいるので、例えば、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進行方向を制御して、ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。第2の態様では、ベンゼン環のC−H伸縮振動の4倍音吸収極大波長が850nmの光源波長に対して影響しないように、そのような吸収が大きく長波長シフトするように改良したドーパントを用いているので、ドーパントに由来する伝送損失を低減することができる。また、連鎖移動剤を含有する組成物を用いた場合は、ポリマーの分子量を、延伸に対して好適な機械的特性になるように、連鎖移動剤によって調整することができ、例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、生産性の向上にも寄与する。
2.光学部材
前記第1又は第2の態様の重合性組成物を用いた、光学部材の作製方法の例を詳細に説明する。前記第1又は第2の態様の重合性組成物は、コア部とクラッド部とを有する屈折率分布型光学部材のコア部の作製に用いられる。
GI型光学部材の製造方法の例として、方法(1)と方法(2)を以下に説明する。
方法(1)は、重合性組成物を重合してクラッド部に相当する中空体(例えば円筒管)を作製する第1の工程;前記中空体の中空部で、前記第1又は第2の態様の重合性組成物を重合させることによりコア部となる領域を形成し、コア部およびクラッド部に各々対応する領域からなるプリフォームを作製する第2の工程と、得られたプリフォームを所望の形態に加工する第3の工程とを含むプラスチック光学部材の製造方法である。
方法(2)は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂のような含フッ素樹脂からなる、クラッド部に相当する中空体の中空部で、重合性組成物を重合してアウターコア層を形成することにより、少なくとも同心円状の2層、一方がクラッド部に相当し、他方がアウターコア層に相当する、からなる中空体を製造する第1の工程、前記同心状の少なくとも2層からなる中空体の中空部で、前記第1又は第2の態様の重合性組成物を重合し、インナーコア部を形成して、インナーコア部、アウターコア層及びクラッド部にそれぞれ相当する領域からなるプリフォームを作製する第2の工程と;、得られたプリフォームを所望の形態に加工する第3の工程とを含むプラスチック光学部材の製造方法である。
同心状の少なくとも2層からなる中空体は、クラッド部用のフッ素ポリマーと、アウターコア用のポリマーを溶融共押し出しする一工程で作製してもよい。
前記方法(1)でクラッド部の作製に用いられる又は前記方法(2)でアウターコア層の作製に用いられる重合性組成物は、重合性モノマー組成物と、前記重合性モノマー組成物の重合を開始させる重合開始剤と、連鎖移動剤を含有していてもよい。
前記方法(1)でコア部の作製に用いられる又は前記方法(2)でインナーコア部の作製に用いられる重合性組成物は、前記第1の態様の重合性組成物であって、前記式(1a)又は(2a)で表される群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の重合性モノマー、好ましくは(メチル)アクリレート類から選ばれる少なくとも1種の重合性モノマーと、所望により、前記モノマーの重合を開始させる重合開始剤と、連鎖移動剤とを含有する。もしくは、前記方法(1)でコア部の作製に用いられる又は前記方法(2)でインナーコア部の作製に用いられる重合性組成物は、前記第2の態様の重合性組成物であって、前記一般式(2b)で表される少なくとも1種の化合物と、前記一般式(1b)で表される少なくとも1種の重合性モノマーと、所望により、前記モノマーの重合を開始させる重合開始剤と、連鎖移動剤とを含有する。前記一般式(1a)、(2a)または(2b)から選ばれるチオ化合物は、前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有し、屈折率調整剤として機能する。本発明では、前記一般式(1a)、(2a)又は(2b)から選ばれる少なくとも1種を含有する重合性組成物を重合し、それによって屈折率分布を有するコア部又はインナーコア部を作製しているので、得られる光学部材は、伝送損失及び伝送帯域に優れている。前記第2の態様の重合性組成物では、前記組成物は、光源波長850nmに吸収をもたないドーパントを用い、且つ疎水化マトリックスを与え得るフッ素含有重合性モノマーを用いているので、結果として、光伝送損失および耐湿性に優れている。
第1の工程で用いられる重合性モノマー組成物と第2の工程に用いられる重合性モノマー組成物とは、主成分において等しいのが好ましい。その比及び副成分については、同一であっても異なっていてもよい。主成分において等しい重合性モノマーを用いることによって、クラッド部/コア部またはアウターコア部/インナーコア部界面における光透過性および接着性を向上させることができる。
前記方法(2)では、クラッド部とコア部との間にアウターコア部を形成することによって、クラッド部とコア部との材質が違う場合であっても、接着性の低下を改善している。その結果、クラッド部およびコア部に用いる材料の選択の幅を広げることができる。前記方法(2)で用いられるクラッド部に相当する中空体は、疎水性で低屈折率の、フッ素系ポリマーからなっているのが好ましく、その例には、ポリフッ化ビニリデンが含まれる。また、前記クラッド部に相当する中空体は、例えば、市販されているフッ素樹脂を溶融押出しして、所望の径と厚みのパイプに成形することで作製することができる。前記同心状の少なくとも2層からなる中空体は、前記クラッド部に相当する中空体の中空部で重合性組成物を重合して、アウターコア層を径紙絵することによって作製することができる。また、前記同心状の少なくとも2層からなる中空体は、クラッド部用のフッ素系ポリマーとアウターコア用のポリマーを共押し出しすることによって作製することもできる。
前記重合性組成物中の各成分の含有量の好ましい範囲は、その種類に応じて異なるが、重合開始剤は、重合性モノマー組成物に対して0.005〜0.5重量%であるのが好ましく、0.01〜0.5重量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマー組成物に対して0.10〜0.40重量%であるのが好ましく、0.15〜0.30重量%であるのがより好ましい。また、前記屈折率調整剤は、重合性モノマー組成物に対して1〜30重量%であるのが好ましく、1〜25重量%であるのがより好ましい。
前記クラッド部及びコア部(以下「コア部」の用語は、前記方法(1)で得られるコア部及び前記方法(2)で得られるインナーコア部に対して用いる)用のポリマーは、容易に延伸されるように、重量平均分子量で1万〜100万の範囲であることが好ましく、3万〜50万であることがさらに好ましい。さらに延伸性の観点で分子量分布(MWD:重量平均分子量/数平均分子量)も影響する。MWDが大きくなると、極端に分子量の高い成分がわずかでもあると延伸性が悪くなり、場合によっては延伸できなくなることもある。したがって、好ましい範囲としては、MWDが4以下が好ましく、さらには3以下が好ましい。
前記クラッド部、アウターコア部およびコア部形成用重合性組成物にはそれぞれ、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他の屈折率調整成分を添加することができる。例えば、耐候性や耐久性等を向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤等の安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
次に、前記方法(1)及び(2)に含まれる各工程について詳細に説明する。
前記方法(1)では、第1の工程により、前記クラッド部に相当する中空体、例えば、円筒管を作製し、前記方法(2)では、第1の工程により、クラッド部及びアウターコア層にそれぞれ相当する、同心状の少なくとも2層からなる中空体を作製する。前記中空管は、モノマーの重合の進行と同時に加工されてもよいし、ポリマーの押出し成形もしくはインジェクション成形によって加工されてもよい。
前者の方法は、例えば、国際特許WO93/08488公報、日本国特許3332922号公報等に典型的に記載されている。具体的には、重合組成物を円筒形状の重合容器に、またはフッ素樹脂よりなるパイプに注入し、該重合容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ、前記重合性モノマーを重合、以下、回転重合という、させて、1層または同心状の2層の重合体からなる円筒管を作製することができる。重合容器に注入する前にフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。重合温度および重合時間は、用いるモノマーや重合開始剤によって異なるが、一般的には、重合温度は60〜150℃であるのが好ましく、重合時間は5〜24時間であるのが好ましい。この時に、JPA No.1996−110419に記載されている様に、原料をプレ重合して原料粘度を上昇させてから行い成形に要する重合時間を短縮しても良い。また、重合に使用する容器が回転によって変形してしまうと、得られる円筒管に歪みを生じさせることから、充分な剛性を持つ金属管・ガラス管を用いることが望ましい。
ペレット状や粉末状の樹脂(好ましくはフッ素樹脂)を円筒形状の容器に入れ、両端を塞ぎ、該容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ該樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させることにより、重合体からなる中空管を作製することができる。この時に、溶融による樹脂の熱または酸化、および熱酸化分解を防ぐために、該重合容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行うことや、樹脂を事前に充分乾燥させておくことが好ましい。
重合体を溶融押出ししてクラッド部を形成する場合は、一旦、重合体を作製した後、押出し成形等の成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得ることもできる。これらに用いられる溶融押出装置としては、主として、インナーサイジングダイ方式とアウターダイ減圧吸引方式の2つのタイプがある。
図1に、インナーサイジングダイ方式の溶融押出装置の断面図の一例を示して、インナーサイジングダイ方式の成形の概略を説明する。
装置本体11からベント付き1軸スクリュー押出機(不図示)により、クラッド部の原料ポリマー40がダイ本体14に押出される。ダイ本体14の内部には、原料ポリマー40を流路40a,40bに導くガイド30が挿入されている。原料ポリマー40は、このガイド30を経て、ダイ本体14とインナーロッド31との間の流路40a,40bを通り、ダイの出口14aから押出され、円筒中空管の形状のクラッド19が形成される。クラッド19の押出速度については特に制限されないが、形状を均一に保つとともに、生産性の点から、押出し速度は1cm/min〜100cm/minの範囲であることが好ましい。
ダイ本体14には、原料ポリマー40を加熱するための加熱装置が設置されているのが好ましい。例えば、原料ポリマー40の進行方向に沿って、ダイ本体14を覆うように1つまたは2以上の加熱装置(例えば、蒸気、熱媒油、電気ヒータなど利用した装置)を設置してもよい。一方、ダイの出口14aでは、温度センサ41を取り付け、この温度センサ41によってダイの出口14aでのクラッド19の温度を測定して温度を調節するのが好ましい。温度は、原料ポリマー40のガラス転移温度以下であることが、クラッド19の形状を均一に保持することが可能となるために好ましい。また、クラッド19の温度が40℃以上であることが、急激な温度変化による形状の変化を抑制することが可能になり好ましい。このクラッド19の温度の制御は、例えば、冷却装置(例えば、水、不凍液、オイルなどの液体や、電子冷却などを使用した装置)をダイ本体14に取り付けてもよいし、ダイ本体14の自然空冷により冷却してもよい。ダイ本体に加熱装置が設置されている場合は、冷却装置は加熱装置の位置より下流に取り付けるのが好ましい。
次に、アウターダイ減圧吸引方式の溶融押出し装置の製造ラインの一例を図2に、および成形ダイス53の斜視図の一例を図3に示して、アウターダイ減圧吸引方式の成形の概略を説明する。
図2に示す製造ライン50は、溶融押出装置51と、押出しダイス52と、成形ダイス53と、冷却装置54と、引取装置55とを備える。ペレット投入ホッパ(以下、ホッパと称する)56から投入された原料ポリマーは、溶融押出装置51内部で溶融され、押出しダイス52によって押出され、成形ダイス53に送り込まれる。押出速度Sは、0.1≦S(m/min)≦10の範囲が好ましく、より好ましくは0.3≦S(m/min)≦5.0であり、最も好ましくは0.4≦S(m/min)≦1.0である。しかしながら、本発明において押出速度Sは、前述した範囲に限定されるものではない。
図3に示す様に、成形ダイス53は、成形管70を備えており、成形管70に溶融樹脂60を通すことにより、溶融樹脂60が成形され円筒形状のクラッド61が得られる。成形管70には、多数の吸引孔70aが設けられていて、成形管70の外側に設けられた減圧チャンバ71を真空ポンプ57(図2参照)により減圧にすることで、クラッド61の外壁面が、成形管70の成形面(内壁面)70bに密着するために、クラッド61の肉厚が一定になって成形される。なお、減圧チャンバ71内の圧力は、20kPa〜50kPaの範囲とすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、成形ダイス53の入口に、クラッド61の外径を規定するためのスロート(外径規定部材)58を取り付けるのが好ましい。
成形ダイス53により形状が調整されたクラッド61は、冷却装置54に送られる。冷却装置54には、多数のノズル80が備えられており、それらのノズル80から冷却水81をクラッド61に向けて放水することで、クラッド61を冷却して、固化させる。冷却水81は、受け器82で回収して、排出口82aから排出することもできる。クラッド61は、冷却装置54から引取装置55により引き出される。引取装置55は、駆動ローラ85と加圧ローラ86とが備えられている。駆動ローラ85には、モータ87が取り付けられており、クラッド61の引取速度の調整が可能になっている。また、クラッド61を挟んで駆動ローラ85と対向して配置されている加圧ローラ86により、クラッド61の微小な位置のずれを修正することが可能となっている。この駆動ローラ85の引取速度と溶融押出装置51の押出速度とを調整したり、加圧ローラ86によるクラッド61の移動位置を微調整したりすることにより、クラッド61の形状、特に肉厚を均一にすることが可能となる。
また、クラッド部は機械的強度向上や難燃性などの多種の機能性を付与させるために複層からなっていてもよく、内壁の算術平均粗さが特定の範囲の中空管を作製した後、その外壁面をフッ素樹脂等によって被覆することもできる。
得られるクラッドの外径D1は光学特性や生産性の観点から、D1≦(mm)50の範囲であることが好ましく、より好ましくは10≦D1(mm)≦30の範囲である。さらに、クラッド部の肉厚tは、2≦t(mm)≦20の範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明において、それらの範囲は、前述したものに限定されるものではない。
アウターコア層の原料となる重合性モノマー等の具体例については、コア部の原料の具体例と同様である。
アウターコア層は、主にコア部製造のために設けられるものであり、その厚みはコア部の塊状重合に必要な程度厚みであればよく、塊状重合の進行によって屈折率を有するインナーコア部と合一となり単独の層として存在しない、単なるコア部となっていてもよい。そのため、コア部形成前に設けるアウターコアの厚みとしては、塊状重合を行うためにコア部重合前に0.5〜1mm以上あればよく、その上限は充分な屈折率分布が形成できる空間が残る程度まで厚くしても構わないのでプリフォームのサイズに応じて選択することができる。
前記一重または二重円筒形状の重合体からなる構造体は、コア部の原料となる重合性組成物を注入できるように、底部を有しているのが好ましい。底部は前記円筒管を構成している重合体と密着性および接着性に富む材質であるのが好ましい。また、底部を前記円筒管と同一の重合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、例えば、重合容器を回転させて重合する前、もしくは、いずれかの方法による中空管形成後に、重合容器を垂直に静置した状態で、重合容器内に少量の重合性モノマーを注入し、重合することによって形成することができる。
前記回転重合後に、残存するモノマーや重合開始剤を完全に反応させることを目的として、該回転重合の重合温度より高い温度で得られた中空管に加熱処理を施してもよく、所望の中空管が得られた後、未重合の組成物を取り除いてもよい。
次に、前記第2の工程では、前記コア部が作製される。重合法は重合後の残留物の観点から溶媒等を用いない界面ゲル重合法が特に好ましい。この界面ゲル重合法を用いることで、重合性モノマーの重合は、前記円筒管のゲル効果によって、粘度の高くなった内壁表面から断面の半径方向、中心に向かって進行する。
前記屈折率調整成分を含有する重合性組成物を重合に用いると、前記円筒管を構成している重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒管の内壁面に偏在して重合し、外側には屈折率調整成分濃度が低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中の該屈折率調整成分の比率が増加する。このようにして、コア部となる領域内に屈折率調整成分の濃度分布が生じ、この濃度分布に基づいて、連続した屈折率の分布が導入される。
上記説明したように、第2の加熱重合工程において、形成されるコア部となる領域に屈折率の分布が導入されるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も互いに異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙動の違いからコア部となる領域は、重合反応に対して発生する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部に気泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得られたプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発生する可能性がある。重合温度が低すぎると、重合効率が低下し、反応終了までに時間がかかってしまい、生産性を著しく損なう。また、重合が不完全となって光透過性が低下し、作製される光ファイバの光伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高すぎると、コア部となる領域の収縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著しい。そのため、モノマーによって適切な温度範囲を選んで重合させることが望ましい。例えば、典型的なメタクリレート系のモノマーを使用した場合には、好ましくは、50℃〜160℃、更に好ましくは70℃〜140℃である。また、重合収縮に対する応答性を高めるために加圧した不活性ガス中で重合させることも好ましい。前記組成物を重合容器に注入する前にフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。
重合温度及び重合時間の好ましい範囲は、用いる重合性モノマーの種類によって異なるが、一般的には、重合は、60〜160℃で、5〜72時間行うのが好ましい。前記第2の態様の重合性組成物を用いる場合は、まず、初期重合温度を80〜110℃に4〜24時間維持し、120〜140℃まで昇温して24〜48時間重合するのが好ましい。重合温度および重合時間によって、用いる開始剤は異なるが、先記重合条件においては、高温分解型の開始剤、例えば、ジーtert−ブチルパーオキシド(PBD)や2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが好ましく用いられる。なお、昇温は段階的に行っても、連続的に行ってもよいが、昇温にかける時間は短いほうがよい。さらに、重合前のモノマーを減圧雰囲気で脱水および脱気することでさらに気泡の発生を低減させることができる。
重合は、加圧状態で行うのが好ましい(以下、加圧状態で行う重合を「加圧重合」という)。加圧重合を行う場合は、前記重合性組成物を注入したクラッド部となる円筒管を、治具の中空部に挿入して、治具に支持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具は、前記構造体を挿入可能な中空を有する形状であり、該中空部は前記構造体と類似の形状を有しているのが好ましい。本実施の形態では、クラッド部となる構造体が円筒管であるので、前記治具も円筒形状であるのが好ましい。治具は、加圧重合中に前記円筒管が変形するのを抑制するとともに、加圧重合が進むに従ってコア部となる領域が収縮するのを緩和可能に支持する。従って、治具の中空部は、前記クラッド部となる円筒管の外径より大きい径を有し、前記クラッド部となる円筒管を非密着状態で支持するのが好ましい。前記治具の中空部は、前記クラッド部となる円筒管の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有しているのがより好ましい。
前記一層の又は二層の円筒管を治具の中空部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができる。重合容器内において、前記クラッド部となる円筒管は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好ましい。前記治具に支持された状態で前記クラッド部となる円筒管を、重合容器内に配置した後、前記重合容器内を加圧することができる。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、不活性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好ましい。重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモノマーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には0.05〜1.0MPa程度が好ましい。
以上の工程を経て、光学部材のプリフォームを得ることができる。なお、上記第二の実施の形態では、1層のアウターコア部を有する円筒形状のプリフォームの作製方法を示したが、アウターコア部は2層以上であってもよい。また、アウターコア部は、加工によって種々の形態(例えば、延伸によって光ファイバーの形態)となった後は、インナーコア部と一体になり、双方が識別できなくなっていてもよい。
第3の工程では、作製されたプリフォームを加工して所望の形態の光学部材を得る。例えば、プリフォームを軸方向に垂直にスライスすれば断面が凹凸を有しない円盤状もしくは円柱状のレンズを得ることができる。また、延伸してプラスチック光ファイバを得る。
延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることによって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにおいては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変化する構造を有するため、この分布を破壊しないように、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向において均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用いことが好ましい。また、加熱炉は延伸軸方向に温度分布を持つことが好ましい。溶融部分が狭いほど屈折率分布の形状が歪みにくく収率があがるため好ましい。具体的には溶融部分の領域が狭くなるように溶融領域の前後では、予熱と徐冷を行うことが好ましい。さらに、溶融領域に用いる熱源としてはレーザーのようなせまい領域に対しても高出力のエネルギーを供給できるものがより好ましい。
延伸は線形とその真円度を維持させるため、中心位置を一定に保つ調芯機構を有する延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。延伸条件を選択することによりファイバの重合体の配向を制御することができ、線引きで得られるファイバの曲げ性能等の機械特性や熱収縮などを制御することもできる。
また、線引時の張力は、JPA No.1995−234322号公報に記載されているように、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上とすることができ、JPA No.7−234324号公報に記載されているように、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、JPA No.1996−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。
ファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度についてJPA No.7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。また、JPA No.8−54521のように低屈折率の層を外周に設けて反射層として機能させて伝送性能を向上させることもできる。
前述した方法で製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを押さえるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。
その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
素線を被覆することにより、プラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、例えば、コネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。
ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。
なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、本発明のような難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。
抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、本発明の光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明の光学部材としての光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。
以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[例1−1:例示化合物D−2の合成]
Figure 2006518046
チオシアヌル酸(8.00g,45.1mmol)、1−ブロモプロパン(17.46g,0.142mol)をジメチルホルムアミド(60ml)に溶解させ、炭酸カリウム(22.5g,0.163mol)を加え、70℃にて4時間攪拌した。反応混合物に水(100ml)を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。ろ過により、硫酸マグネシウムを除き、減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶媒:へキサン/塩化メチレン(体積比7/1))にて精製し、D−2(10.0g、収率:73%)を得た。1H−NMRおよびFAB−MSにより構造を同定した。また、屈折率も測定した。
NMR(300MHz、CDCl3、δ、ppm): 3.10(t,2H)、1.80−1.68(m,2H)、1.04(t,3H)。
屈折率=1.58 (測定波長:589nm 温度:23℃)
[例1−2:例示化合物D−16の合成]
Figure 2006518046
(中間体M−1の合成)
2−メシチレンスルホニルクロリド(98.1g、0.448mol)をテトラヒドロフラン(530ml)に溶解し、氷(90g)、水(90g)を加えた後、濃硫酸(61.2ml)を加えた。氷冷下、亜鉛(102.15g、1.562mol)を少しずつ加えた後、8時間加熱還流した。セライトろ過によって不溶物を除いた後、溶媒を減圧留去した。粗生成物を減圧蒸留により精製し(本留:72℃(2mmHg))、M−1(56.04g、収率:82%)を得た。
(D−16の合成)
シアヌル酸クロリド(6.00g,32.5mmol)、M−1(5.19g,34.1mmol)をジメチルホルムアミド(50ml)に溶解させ、炭酸カリウム(8.97g,65.0mmol)を加え、50℃にて3時間攪拌した。引き続いて、反応混合物にヨードメタン(9.69g,68.3mmol)と炭酸カリウム(17.94g,130mmol)を加え、80℃にて5時間攪拌した。反応混合物に水(100ml)を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過により、硫酸マグネシウムを除き、減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶媒:へキサン/塩化メチレン(体積比10/1→5/1))にて精製し、D−16(6.41g、収率:61%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3、δ、ppm): 6.90(s,2H)、3.13(s,6H)、2.25(s,3H)、2.19(s,6H)。
D-16 屈折率=1.65 (測定波長:589nm 温度:23℃)
[例1−3]
(クラッド部の作製)
予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する十分な剛性を持った内径22mmおよび長さ600mmの円筒状の重合容器に、モノマー(重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)(重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの))溶液を重合開始剤として、過酸化ベンゾイル(BPO)をモノマー溶液に対して0.5重量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー溶液に対して0.28重量%配合した混合溶液を所定量注入した。上記モノマー混合溶液の注入された重合容器を、80℃湯浴中に入れ、震盪を加えながら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を80℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱重合した。その後、100℃で24時間熱処理し、MMA−d8の重合体からなる円筒管を得た。
(コア部の作製)
次に、コア部の原料であるモノマー(MMA−d8(上記同様に、重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの))と、ドーパントとして本発明に記載の化合物(D−2、D−3またはD−16)または比較化合物(R−1またはR−2)をモノマー溶液に対して10重量%混合した。この混合溶液を、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、作製した円筒管の中空部に濾液を直接注入した。開始剤として、PBDをモノマー混合溶液に対し0.016重量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対し0.27重量%配合した(この系における連鎖移動係数は0.8)。この混合溶液等を注入した該円筒管を、該円筒管外径に対し9%だけ広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.6Mpaまで加圧し、100℃で、48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら120℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。
Figure 2006518046
得られたプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォームを230℃の熱延伸により線引きし、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバを製造した。延伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察されず、安定して300mのファイバを得ることができた。
得られたファイバの光伝送損失値(光源波長:650nm,850nm)を表1−1に示す。
[例1−4]
クラッド部およびコア部の作製に用いたモノマーとして、MMA−d8(上記同様に、重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの)と以下に示す重水素化モノマーtBMA−d14を1:1(重量比)で混合したものを使用した。また、ドーパントは例3で用いた化合物(D−2、D−3、D−16、R−1、またはR−2)をモノマー溶液に対して10重量%添加した。それ以外は、例3と同様の方法で光ファイバを作製した。
Figure 2006518046
得られたプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォームを230℃の熱延伸により線引きし、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバを製造した。延伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察されず、安定して300mのファイバを得ることができた。
得られたファイバの光伝送損失値(光源波長:650nm,850nm)を表1−2に示す。
表1−1
Figure 2006518046
表1−2
Figure 2006518046
表1−1・表1−2にみられるように、本発明のトリアジン骨格を有するチオ化合物をドーパントとして使用した場合は、それ以外の化合物(R−1,R−2)を用いた場合と比較して、いずれの光源波長(特に850nm)においても伝送損失が抑制されたファイバが得られることがわかる。
[実施例2−1〜4、比較例2−1〜2]
予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する充分な剛性を持った内径22mmおよび長さ600mmの円筒状の重合容器に、モノマー(ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(6FM)とt−ブチルメタクリレート(t−BMA)(両者とも重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの))溶液(重量比率が50/50(6FM/t−BMA))を重合開始剤として、メチルアゾビスイソブチレート(MAIB)をモノマー溶液に対して0.5重量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー溶液に対して0.28重量%配合した混合溶液を所定量注入した。上記モノマー混合溶液の注入された重合容器を、70℃湯浴中に入れ、震盪を加えながら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を70℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱重合した。その後、90℃で24時間の熱処理し、上記共重合体からなる円筒管を得た。
次に、コア部の原料であるモノマー(MMA−d8とt−BMA(上記同様に、重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの))混合液(重量比率が50/50)と、ドーパントとして本発明に記載の化合物D−3をモノマー溶液に対して9重量%混合し、コア部用重合性組成物をそれぞれ調製した。但し、比較化合物R−2はモノマー混合溶液に加熱しても溶解しなかった。
これらの混合溶液(したがって5種類)のそれぞれを、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、作製した円筒管の中空部に濾液を直接注入した。開始剤として、PBDをモノマー混合溶液に対し0.016重量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対し0.27重量%配合した(この系における連鎖移動係数は0.8)。これらの混合溶液等をそれぞれ注入した該円筒管を、該円筒管外径に対し9%だけ広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、90℃で、48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら120℃で、24時間加熱重合および熱処理して、それぞれプリフォームを得た(実施例2−1)。
D−3を、D−5、D−6またはD−20または比較化合物R−1またはR−2をモノマー溶液に対して用いた以外は、同様にしてプリフォームを作製した。但し、比較化合物R−2はモノマー混合溶液に加熱しても溶解しなかった。
Figure 2006518046
得られた実施例2−1〜2−4のプリフォームそれぞれには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。これらのプリフォームを230℃の熱延伸により線引きし、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバをそれぞれ製造した。延伸工程において、実施例2−1〜2−4のプリフォームには気泡の発生は観察されなかった。
得られたファイバそれぞれの光伝送損失値(光源波長:650nm、850nm)と、伝送帯域(650nm)、およびこの光ファイバ素線を50℃、95%RH条件下に150時間放置した後の、850nmでのそれぞれの損失上昇値を表2−1に示す。
[実施例2−5〜2−8、比較例2−3〜2−4]
クラッド部およびコア部の作製に用いたモノマーとして、下記に示す重水素化ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(6FM−d5)と重水素化t−ブチルメタクリレート(t−BMA−d14)(両者とも重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテルを除去し、水分を80ppm以下まで除去したもの))溶液(重量比率が50/50(6FM−d5/t−BMA−d14))を使用した。また、ドーパントは上記で用いた化合物(D−3、D−5、D−6およびD−20、R−1、またはR−2)をモノマー溶液に対して9重量%添加した。それ以外は、上記と同様の方法でプリフォームを作製した。
Figure 2006518046
得られた実施例2−5〜2−8のプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。これらのプリフォームを210℃の熱延伸により線引きし、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバをそれぞれ製造した。延伸工程において、実施例5〜8のプリフォームには気泡の発生は観察されず、安定して300mのファイバを得ることができた。得られたファイバそれぞれの光伝送損失値(光源波長:650nm、850nm)と、伝送帯域(650nm)を表2に示す。また、この光ファイバ素線を50℃、95%RH条件下に150時間放置した後の、850nmでのそれぞれの損失上昇値を表2−2にあわせて示す。
表2−1
Figure 2006518046
表2−2
Figure 2006518046
上記表にみられるように、本発明のフッ素マトリックスとトリアジン骨格を有する化合物との組み合わせは、相溶性に優れ、散乱損失の非常に少ない、低損失な光学材料を得ることができ、しかも、フッ素マトリックスの含量を多くしているので、伝送帯域を広くすることが可能である。また、本実施例の光ファイバは、耐湿性も良好である。
[実施例2−9]
クラッド部およびコア部の作製に用いたモノマーとして、下記に示すモノマーAと下記に示すモノマーBとを重量比で8:2で含有する混合溶液を使用した。また、ドーパントとして、化合物D−3をモノマー溶液に対して9重量%添加した。それ以外は、実施例2−1と同様の方法でプリフォームを作製し、さらに実施例2−1と同様にして光ファイバを作製した。
Figure 2006518046
上記と同様に評価したところ、以下の結果を得た。
表2−3
Figure 2006518046
[実施例2−10]
屈折率1.36のPVDF(住友3M製 Dyneon THV220G、THV415G、THV500G)を溶融押出しにより円筒形状に成形し、クラッドパイプを得た。このクラッドパイプを、これを内接する支持する支持管に挿入して、クラッドパイプの中空部に実施例9のクラッド部の作製で用いたモノマー溶液(前記モノマーAと前記モノマーB(重量比で8:2)との混合溶液を注入し、回転重合によりアウターコア部を作製した。
さらに、作製されたアウターコア部のさらに内側の中空部に、実施例2−9のコア部の作製で用いたモノマー溶液(前記モノマーAと前記モノマーB(重量比で8:2)との混合溶液であって、ドーパントD−3を9重量%含む)を注入し、界面ゲル重合によりインナーコア部を作製して、プリフォームを得た。その後は、実施例2−1と同様にして光ファイバを作製した。
作製した光ファイバは実施例2−1〜2−9と同様に、優れた性能を有していた。
以上説明した様に、本発明によれば、光伝送損失が小さい光学部材を作製可能な、光学部材用重合性組成物を提供できる。また、本発明によれば、光伝送損失が小さく、高い耐熱性を有する光学部材を提供することができる。本発明によれば、光学部材に利用される屈折率上昇剤として有用な新規なチオ化合物を提供することができる。
以上説明した様に、本発明によれば、光源波長850nmにおける光伝送損失が小さく、大きな伝送帯域を有する、フッ素含有メチルメタクリレートを含有する、光学部材用重合性組成物を提供することができる。
本明細書の開示は、2003年1月6日に出願された日本特許出願2003−000522号及び2003年2月6日に出願された日本特許出願2003−029556号に含まれる主題に関し、それらの出願の内容は全体が、参照としてここに取り込まれる。
本発明の光学部材の作製に使用可能なインナーサイジングダイ方式の溶融押出装置の断面図の一例である。 本発明の光学部材の作製に使用可能なアウターダイ減圧吸引方式の溶融押出し装置の製造ラインの一例である。 本発明の光学部材の作製に使用可能な成形ダイスの斜視図の一例である。

Claims (18)

  1. ポリマーからなるマトリックスと、下記一般式(1a)又は(2a)から選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む光学材料:
    一般式(1a)
    Figure 2006518046
    式中、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す;
    一般式(2a)
    Figure 2006518046
    式中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1a、L2a、L3a、L4a及びL5aはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
  2. 前記一般式(1a)又は(2a)で表される化合物が、少なくとも1つのフッ素原子を有する請求項1の光学材料。
  3. プラスチック光ファイバに用いられる請求項1の光学材料。
  4. 重合性モノマー組成物、および前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有し、一般式(1a)または(2a)で表される化合物の少なくとも一種を含有する光学部材用重合性組成物。
  5. 重合性開始剤を含有する請求項4の重合性組成物。
  6. 請求項4の重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成してなる光学部材。
  7. 前記屈折率分布領域が、屈折率の大きさが断面の中央から外側に向かって変化する領域である請求項6の光学部材。
  8. 請求項6の光学部材を延伸してなる光ファイバ。
  9. 一般式(2a)で表される化合物:
    一般式(2a)
    Figure 2006518046
    式中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1a、L2a、L3a、L4a及びL5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
  10. 一般式(3a)で表される化合物:
    一般式(3a)
    Figure 2006518046
    式中、R6a、R7aおよびR8aはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい分岐鎖状のアルキル基を表す。
  11. 一般式(1b):
    Figure 2006518046
    式中、X1bは水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、2つのX1bは同一でも異なっていてもよい。Y1bはH、D、フッ素原子(F)、CH3基、CD3基またはCF3基を表し、Y2bは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素数1〜7個のフッ素化アルキル基を表し;
    で表される化合物の少なくとも一種を含有する重合性モノマー組成物と、
    重合性開始剤と、
    前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有する一般式(2b);
    一般式(2b)
    Figure 2006518046
    式中、R1b、R2bおよびR3bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表すが、R1b、R2bおよびR3bのすべてが同時にアリール基になることはない;で表される化合物の少なくとも一種とを、
    含有する光学部材用重合性組成物。
  12. 前記重合性モノマー組成物と異なる屈折率を有する化合物が、一般式(3b)で表される化合物から選ばれる請求項11の重合性組成物:
    一般式(3b)
    Figure 2006518046
    式中、R4bおよびR5bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、L1b、L2b、L3b、L4b及びL5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基を表すが、少なくとも2つはハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。
  13. 前記重合性モノマー組成物が、前記一般式(1b)で表される重合性モノマーを5〜100重量%含有する請求項11の重合性組成物。
  14. 前記一般式(1b)で表される重合性モノマーが、C−D結合を少なくとも一有する請求項11の重合性組成物。
  15. 前記一般式(2b)中、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す請求項11の重合性組成物。
  16. 請求項11の重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成してなる光学部材。
  17. 前記屈折率分布領域が、屈折率の大きさが断面の中央から外側に向かって変化する領域である請求項16の光学部材。
  18. 請求項16の光学部材を延伸してなる光ファイバ。

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