JP2006516925A - ベッドの物理特性を制御する装置と方法 - Google Patents

Abstract

ベッドに入っているヒトの状態に基づいてベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するシステムと方法である。ベッドの横臥用部分１０２が、ヒトの状態の測定値としての物理量を連続的に測定するようにされた複数センサを備えている。センサからの測定値は、レジスタ・ユニット１０４によって受信・処理・分析され、ベッドの物理特性の制御に使用される。

Description

本発明は、ヒトが入っているベッドの物理特性を制御する装置と方法に関するものである。

睡眠中、使用されているベッドは、眠っているヒトの状態や体質に最適適合していないことがしばしばある。眠りに落ちた後、しばらくすると、凝りが増して目が覚め、背中の痛みを覚えたりする。ベッドを購入する際のよく知られた条件は、個々ヒトの体重や体形に合った最適な反発力及び硬さを入念にテストして見つけ出すことである。しかし、長時間にわたり寝ている場合、夜寝る場合、いずれの場合も、時間を経るにつれて、必要なベッド特性は変わってくる。更に、睡眠のリズムは、個ヒト個ヒトで大きく異なれば、また例えば熟睡時、夢見の時、鼾をかいている時など、その時々で大きく異なっている。

入眠が困難な場合や睡眠障害の場合には、温度や通風を適宜に調節することで、また横臥姿勢を変えることで、或る程度は対応できる。しかし、そうした措置は、本ヒトが行わねばならず、そのことがまた入眠や睡眠の妨げになる。したがって、同じ一ヒトのヒトが、ベッドに横になっている間に、冷／暖のきわめて異なるものを必要としている。例えば、夜の就寝時には比較的暖かなベッドで眠りたいと思うが、睡眠中には、また目を覚ました時には、より低温の状態を必要とするかもしれない。発汗は、睡眠時や、例えば夢や熱で目が覚めた時に、しばしば起こることである。

したがって、ベッド上にいるヒトにとっての快適さを最適化することが望ましい。だが、例えば、ベッド上に留まる全時間にわたって、ベッドに横臥するヒトにとって快適な、適当な温度や硬さにベッドを維持することは難しい。例えば体の外傷、病気、機能障害、老年等の何らかの理由で、あまり動けずに長期にわたって病床にある場合には、外傷や褥瘡が生じることがある。また長時間、とくに同じ姿勢で横臥するのは、一般的に言っても、不快であり、しばしば凝りやしびれ感を生じさせる。このようなわけで、ヒトが横臥しているベッドの特性を種々制御して、十分に快適なものにし、かつ不快感や外傷が防止されるようにする必要がある。また、個々ヒトが就眠する部屋の内部環境を制御できるようにすることも望ましい。

別の問題領域は、鼾による呼吸の一時停止であり、これは、睡眠時無呼吸と呼ばれ、眠りの質を低下させ、最悪の場合、脳損傷を引き起こす。もちろん、鼾は、ほかのヒトの邪魔にもなる。この問題には、例えば外科手段や口内へはめ込む鼾防止用の器具等、幾つかの解決策が開発された。しかし、それらの処置は、言うまでもなく、当ヒトにとっては煩わしいものである。鼾を防止するのに役立つかなり簡単な方法は多少の差はあれ、直立姿勢で眠ることである。このような睡眠姿勢は、しかし、長時間になると楽ではないので、しばしば睡眠中に姿勢を変えて、再び鼾をかき始める。

本発明の一目的は、ベッドに横臥するヒトがベッド上で十分に快適に過ごせるようにすることである。本発明の別の目的は、鼾を防止し、鼾による睡眠中の呼吸停止を防止することである。本発明の別の目的は、ベッド内の衛生状態を改善することである。

前記目的及びその他の目的は、特許請求の範囲に記載された、ベッド上のヒトの状態に基づいて、ベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するシステムと方法によって達成された。本発明によるシステムは、ベッドに含まれる横臥用部分と、ヒトの状態の尺度である物理量を連続測定するようにされた複数センサとを含んでいる。このシステムは、またセンサからの測定値を保持するためのレジスタ・ユニットを含んでいる。
以下で、添付図面を参照にして、本発明を一好適実施例につき、より詳細に説明する。

図１は、ヒトが入ったベッドの少なくとも１つの物理特性及び／又は周囲の環境を制御するためのシステム１００の略示図である。このシステムは、ベッドに含まれる横臥用部分１０２と、レジスタ・ユニット１０４とを備えている。横臥用部分はマットレス等でよく、該マットレスは、ベッドと一体形成されたものでも、ベッド上に配置された別個の部分でもよい。横臥用部分１０２には、ベッド上のヒトについての１つ以上の物理量を測定するための複数センサ１０６を備えている。センサ１０６は、１つ以上の次の物理量を測定できるようにされている：温度（体温）、圧力、動き、音、湿度。システム１００は、更に、ベッド脇又は他の便利な箇所等の横臥用部分の外部に、例えば音や空気温度の測定用に配置された１つ以上のセンサ１０６ａを含んでいる。

更に、測定された物理量は、他の量の間接測定値を構成することができる。例えば横臥用部分１０２内の測定温度は、ヒトがベッドに横臥している場合に、横臥用部分上の圧力分布を分析するのに使用できる。一定時間にわたる横臥用部分表面の或る箇所叉は小区域での温度上昇は、残余の表面と比較した圧力増大を示すものとして解釈できる。
レジスタ・ユニット１０４は、センサ１０６からの測定値Ｍを受信し、処理するプログラム可能なプロセッサ１０８を含んでいる。したがって、レジスタ・ユニット１０４は、センサ１０６から得られた測定値を受信、処理、分析して、ヒトに関する情報を得ることができる。例えば異なるパラメータを計算でき、センサにより覆われた表面にわたる物理量の分布、すなわち空間的情報を説明し、かつまた或る時間間隔中の物理量の変化の仕方、つまり時間的な情報を説明できる。本発明により、この情報は、ベッド及び／又は周囲環境の少なくとも１つの物理特性を制御するのに使用できる。

注意すべき点は、本発明が、センサからレジスタ・ユニットへ物理量の測定値を送るために、必ずしも特別の構成又は特別の構成部品を要しない点である。
このようにして、ヒトに関する以下の情報をセンサからの測定値によって得ることができる：
− ベッド上での寝返り等のヒトの動き
− 鼾等で検出される音
− 動き及び／又は音によって記録できるヒトの呼吸活動
− 体温又は空気温度
− 温度を介して間接的に記録可能な、ベッド横臥面に加わる圧力
− ベッド及び空気の湿度
− 横臥面に対するヒトの姿勢。

レジスタ・ユニット１０４は、受信した測定値を処理するようにプログラムされ、例えば覚醒状態、睡眠の深さ、夢の活動、睡眠周期の位相等についてのヒトの状態を、多少の差はあれ連続的に分析することができる。次いで、この情報は、１つ以上の処置をとることで快適性と睡眠の質を最適化するのに使用できる。以下に、そうした処置の比較的簡単な幾つかの例を挙げる：
１． ベッド温度は、ベッド測定温度にしたがって調整できる。この目的のために、ベッドには温度コイル１１０又は類似部材が備えられ、温度制御ユニット１１２によって制御される。温度コイル１１０は、横臥用部分を、例えば電気コイル又は適当な流動媒体によって加熱及び／又は冷却するようにされている。１個以上のセンサ１０６によって、例えばベッド温度が一定時間の間に予め決めた値を超えたことが指示されると、レジスタ・ユニット１０４が温度制御ユニット１１２に制御信号Ｓ１を発し、ユニット１１２が温度コイル１１０を起動することでベッド温度が目標レベルまで引き下げられる。更に加えて、レジスタ・ユニット１０４は、睡眠周期中の時間又は時点に応じて、あるいはまた発汗が検出されるか否かに応じて、異なる温度が設定されるようにプログラムできる。例えば、入眠時には比較的高い温度が望ましいが、後の睡眠段階には比較的低い温度は望ましいだろう。

２． 横臥面の硬さは、ヒトの体重、状態、時点にあわせることができる。この目的のために、ベッドには硬さ調節機構（図示せず）が備えられ、この機構が、硬さ制御ユニット１１４によって制御されている。例えば、ヒトがベッドに入るときには比較的柔らであるのが往々にして望ましいが、睡眠中は、硬めのほうが、より好ましい。ヒトが眠入ったことを１個以上のセンサが指示すると、レジスタ・ユニット１０４が制御信号Ｓ２を硬さ制御ユニット１１４へ送り、ユニット１１４が、横臥面の硬さを柔らかめから、より硬めに確実に変更する。目覚めが指示されると、それに関連して新たな制御信号が発せられて、横臥面は、再び柔らかになる。このことは、ヒトが、入眠時と目覚め時には、柔らかなベッド上に在ることを意味している。

ベッドの硬さは、また横臥面の１箇所又は限定区域で局所的に変更できる。一定時間の間、横臥面の或る一箇所又は小区域で温度が上昇することは、他の横臥面より圧力が増したことの指示となる。だが、もとより圧力も圧力センサを使用して直接測定してもよい。圧力が上昇すると、凝りや感覚麻痺といった不快感を覚えたり、褥瘡など望ましくない結果が生じることがある。圧力の情報は、この場合、ベッド硬さを局所的に変更して、その箇所の圧力を軽減するのに使用できる。この用途は、例えば病気、老年、麻痺、外傷などで運動障害のある人びとには、とりわけ有用だが、一般的にも横臥の快適性を増すのに役立つ。この圧力についての情報は、またヒトの体重にベッド硬さを最適適合させるために使用することもできる。

３． ある時点での睡眠分析でヒトが目覚めたことが指示されると、適当な時間の後に、例えば朝であれば、点灯し、太陽の光にシミュレートするために、照明を次第に強めるのが好ましい。この目的のために、レジスタ・ユニット１０４は、適当な光源１１６に接続されており、この光源に制御信号Ｓ３が送られる。

４． レジスタ・ユニット１０４は、ヒトが鼾をかいて、鼾のために呼吸停止、いわゆる睡眠時無呼吸が発生したか否かを検出するようにプログラム化できる。プログラム化された適当なアルゴリズムは、その場合、呼吸停止の回数と持続時間の記録によって、ヒトの睡眠中に重大な呼吸停止が生じたか否かを、また呼吸停止が予め決められた時間にわたって継続したか否かを検出する。この重大な呼吸停止が検出されるか、又は長い鼾持続時間が、例えば音の記録によって検出されると、制御信号Ｓ４が発せられ、この信号が、ベッドの頭部端部に配置された垂直方向に調節可能な部分１１６を、図面に破線の矢印で示した方向に起動することで、ヒトの上体を起こして、鼾を軽減するようにされる。鼾／呼吸停止が続くようであれば、垂直方向に調節可能な部分１１６を、更に起こす。予め決めた時間後には、目を覚ます前に、新たな信号が発せられることができるので、垂直方向に調節可能な部分１１６は、再び平らな位置へ戻されるので、ヒトは横臥姿勢で目覚めることになる。

５． 時折生じる睡眠困難は、適当なセンサによる測定値で検出できる、その場合、例えば何度も寝返りを打っていることがセンサによって指示される。その場合には、入眠を容易にするために、例えば空気温度の変更、通気、リラックス音を流すこと等を行って、睡眠環境を変えることができる。
６． ヒトがベッドを離れたことが検出されると、マットレス内へ空気を噴射することでベッドへの通気を自動的に実施でき、寝具を乾燥させ、ダニ・アレルゲンを除去できる。例えば、マットレス内へ空気を噴射するように圧縮機を自動式に操作でき、例えば洗浄薬又は防腐薬の微小滴を、マットレスに組み込んだ小たわみ管（図示せず）を介して空気に混入できる。

前記センサ１０６，１０６ａは、個々に、又はグループでケーブル１０６Ａ−Ｃを介して、又はワイヤレスでレジスタ・ユニット１０４に接続されており、該ユニット１０４がセンサからの測定値を保持する。グループで接続される場合は、各グループのセンサと関連ケーブル接続部材とが、直列接続されたセンサを有する測定コイルを形成し、これによりグループ内の個々のセンサからの測定値を順次に読み出すことができるが、このこと自体は、測定分野での従来技術に属している。
本発明は、ヒトが入っているベッド上で最適の快適性と睡眠の質を得るための円滑かつ信頼の置ける解決策を、ヒトに何らかの煩わしさを与えることなしに提供するものである。
本発明は、既述の実施例に限定されるものではなく、全体的には特許請求の範囲により定義されるものである。

ベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するシステムの略示斜視図。

符号の説明

１００ 制御システム
１０２ 横臥用部分
１０４ レジスタ・ユニット
１０６ センサ
１０８ プログラム可能なプロセッサ
１１０ 温度コイル
１１２ 温度制御ユニット
１１４ 硬さ調節ユニット
１１６ 垂直方向に調節可能な部分
１１６ 光源

Claims (14)

1. ヒトが入っているベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するシステムにおいて、
   − ベッドに含まれ、１つ以上の物理的量を測定するための複数のセンサ（１０６）を備えた横臥用部分と、
   − センサからの測定値を受信・処理・分析し、かつセンサから受信した測定値に基づいてベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するようにされたレジスタ・ユニット（１０４）とを特徴とする、ヒトの入っているベッドの少なくとも１つの物理特性を制御するシステム。
2. 前記センサが次の物理量、すなわち温度、圧力、動き、音、湿度のうちの１つ以上を測定するようにされていることを特徴とする、請求項１に記載されたシステム。
3. １つ以上のセンサ（１０６ａ）が横臥用部分の外側に配置されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載されたシステム。
4. 前記レジスタ・ユニット（１０４）が、センサ（１０６，１０６ａ）からの測定値を受信・処理するためのプログラム可能なプロセッサ（１０８）を含むことを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項に記載されたシステム。
5. 前記レジスタ・ユニットがセンサからの測定値により次の情報、すなわち動き、音、呼吸活動、心臓の働き、体温、空気温度、横臥面に及ぼされる圧力、ベッドの湿度、横臥面に対するヒトの姿勢に関する情報を形成するようにされていることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項に記載されたシステム。
6. 次の要因の１つ、すなわちベッドの測定温度、時刻、睡眠周期の時点に応じて、かつまた発汗が検出された場合に、ベッド温度を調整する温度制御ユニット（１１２）を特徴とする、請求項１から請求項５までのいずれか１項に記載されたシステム。
7. 横臥面も硬さがヒトの体重、状態、時点のいずれか又はすべてに適合するようにベッド硬さを調節する機構を制御する硬さ制御ユニット（１１４）を特徴とする、請求項１から請求項６までのいずれか１項に記載されたシステム。
8. 前記硬さ制御ユニットが、横臥面の１箇所又は限定された区域で局所的にベッド硬さを変更できるようにされていることを特徴とする、請求項７に記載されたシステム。
9. 前記レジスタ・ユニットが、当該時点での睡眠分析によりヒトが目を覚ましかかっていることを指示した場合、その後の適当な時点に点灯するため、光源（１１６）に接続されていることを特徴とする、請求項１から請求項８までのいずれか１項に記載されたシステム。
10. 前記レジスタ・ユニットが、ヒトが鼾をかき、鼾で呼吸が停止する恐れがあるか否かを検出するようにされており、かつまた重大な呼吸停止が検出されるか、鼾の長い持続時間が検出されると、ベッド頭部に配置された垂直方向に調節可能な部分（１１６）が起こされるようにされていることを特徴とする、請求項１から請求項９までのいずれか１項に記載されたシステム。
11. 時折の睡眠困難が検出されると、前記システムが、入眠を容易にするために、睡眠環境を変更するようにされていることを特徴とする、請求項１から請求項１０までのいずれか１項に記載されたシステム。
12. ベッドからヒトが降りたことが検出されると、前記システムが、ベッドのマットレス内へ空気を噴射することにより、自動式にベッドに通気するようにされていることを特徴とする、請求項１から請求項１１までのいずれか１項に記載されたシステム。
13. ヒトが入っているベッドの少なくとも１つの物理特性を制御する方法において、
    ベッドに含まれる横臥用部分（１０２）内に配置された複数センサ（１０６）によって１つ以上の物理量を測定する作業と、センサからの測定値を受信し、処理し、分析する作業と、センサから受信した測定値に基づいてベッドの少なくとも１つの物理特性を制御する作業とを特徴とする、ヒトの入っているベッドの少なくとも１つの物理特性を制御する方法。
14. 次の物理量の少なくとも１つ、すなわち温度、圧力、動き、音、湿度を測定する作業と、
    次の物理特性の少なくとも１つ、すなわち横臥面の温度、横臥面の硬さ、ベッド頭部に配置された垂直方向に調節可能な部分の傾斜の１つを制御する作業とを特徴とする、請求項１３に記載された方法。

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