JP2006516529A - フライアッシュコンクリート用の犠牲剤 - Google Patents
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Abstract
Description
・無機添加剤、例えば酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムの添加(米国特許第4,257,815号)。本発明は、フレッシュモルタルまたはコンクリートの他の特性、例えばスランプ低下の速度および凝結時間に影響を及ぼす無機添加剤の使用を規定する。
・C8脂肪酸塩の添加(米国特許第5,110,362号)。オクタン酸塩自体は界面活性剤であり、「連行空気を安定させ、空気損失の速度を低下させる」と言われている(米国特許第5,110,362号の請求項1)。
・高ポリマータンパク質と、ポリビニルアルコールと、石鹸ゲルとの混合物の使用(米国特許第5,654,352号)。これは空気連行混和剤を調合するためのタンパク質およびポリビニルアルコール、および場合によりコロイド(例えばベントナイト)の使用を開示する。
・オゾンによる処理(米国特許第6,136,089号)。オゾンはフライアッシュ−炭素を酸化し、界面活性剤に対するその吸収容量を低下させ、それゆえフライアッシュを空気連行システムで使用するのに、より好適にする。
水、セメント、フライアッシュ、(および場合により他のセメント質成分、砂、骨材など)および空気連行剤(および場合により他のコンクリート化学混和剤)を含む混合物を生成するステップと、
混合物中に空気を連行するステップと
を含む、フライアッシュを含有する空気連行セメント質混合物を生成する方法が提供され、その際、
少なくとも1つの犠牲剤の量も混合物に含まれ、少なくとも1つの犠牲剤は、その量で混合物中に存在する場合、それ自体は空気連行剤として作用する必要がなく、そうでなければ空気連行剤の活性を中和するフライアッシュの成分と優先的に相互作用し、それによって空気連行剤が混合物中に空気を連行するように機能させる物質である。
・フライアッシュが使用されないか、又は低い炭素含有率フライアッシュが使用される場合に、必要とされる空気連行剤を代表する従来の空気連行剤の用量と共に、妥当なレベル(通例5〜8体積%)のガス、通常は空気が、コンクリートまたは他のセメント質生成物中に連行されるようにでき、
・フライアッシュ物質、例えば供給源、炭素含有率、化学組成物の変動性とは無関係に、フライアッシュコンクリートに予測可能な空気連行挙動を与え、
・セメント水和およびコンクリート凝結時間を妨害せず、
・コンクリートの他の物理的および耐久性特性を変化させず、
・他のコンクリート化学混和剤、例えば減水剤、超可塑剤および凝結促進剤の存在下でのその作用を著しく変化させず、
・過剰用量で添加されたときに、例えば過剰な空気含有率、長い凝結時間、または強度低下などの有害な影響を引き起こさない。
「フライアッシュ」という用語は、ASTM C 618(コンクリートでの使用のための石炭フライアッシュまたは焼成天然ポゾラン)によって定義されるように、石炭燃焼の副産物を指す。しかしながら本発明は、各種の燃料と石炭との同時燃焼から生じた、またはポゾラン特性(水およびアッシュライムまたはアルカリなどのアクチベータと混合したときに固体を形成する能力)または水硬特性(水と混合したときに固体を形成して、凝結する能力)を有する灰を生成する他の燃料の燃焼から生じた細灰または煙塵である、同様の燃焼生成物を利用してよい。灰自体は、ポゾラン/水硬活性を有し、コンクリート、モルタルなどの調製において、ポルトランドセメントの部分に取って代わるセメント質物質として使用できる。一般に、本明細書で使用されるように、フライアッシュという用語は、
1)工業用ガス、石油コークス、石油製品、都市ゴミ、紙汚泥、木材、おがくず、ゴミ固形燃料、スイッチグラスまたは他のバイオマス物質を含む燃料を、単独でまたは石炭と組合せて同時燃焼することによって生成された灰
2)ソーダ灰またはトロナ(設備で使用される天然炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム)などの無機プロセス添加剤を加えた、石炭灰および/または代わりの燃料灰
3)水銀排出制御のための、有機プロセス添加剤、例えば活性炭、または他の炭素質物質を加えた、石炭灰および/または代わりの燃料灰
4)燃焼添加剤、例えばホウ砂を加えた、石炭灰および/または代わりの燃料灰
5)排煙またはフライアッシュ調整剤、例えばアンモニア、三酸化硫黄、リン酸などを加えた、石炭灰および/または代わりの燃料ガス
を含む。
本開示は、本発明で有効な複数の個々の化合物と同様に、複数のクラスの犠牲剤を挙げているが、他の化合物および化合物のクラスも有効である。そのような化合物および化合物のクラスを即座に識別できるようにするために、以下のプロトコルが開発されている。
ポルトランドセメントペーストにおいて候補による空気連行のレベルを評価する。好ましくは候補は、それ自体で低レベルの空気を連行するはずである(以下の表6のように)。
候補犠牲剤が、ポルトランドセメントペースト中の代表的なコンクリート空気連行混和剤との相互作用(妨害または相乗作用)を有するかどうかを判定する(以下の表8のように)。
フライアッシュが使用されないか、低い炭素含有率フライアッシュが使用される場合に必要とされる空気連行剤を代表する従来の空気連行剤の用量と共に、適切なレベル(通例5〜8体積%)の空気がコンクリートまたは他のセメント質生成物中に連行されるようにする。
フライアッシュ物質の変動性、例えば供給源、炭素含有率、化学組成と関係なく、予測可能な空気レベルをフライアッシュ−コンクリート中に連行する。
セメント水和およびコンクリート凝結時間への妨害を示さない。
コンクリートの他の物理的および耐久性特性に著しい変化を引き起こさない。
他のコンクリート化学混和剤、例えば減水剤、超可塑剤および凝結促進剤の存在により著しく影響されない。
過剰用量で添加されたときに、有害な影響、例えば過剰空気含有率、長い凝結時間、または強度低下などを引き起こさない。
上述の第1のプロトコルは犠牲剤の各種の群の相対的なメリットの信頼できる評価を与え、以下の実施例1〜31に示す結果を生じたが、該プロトコルは非常に労力を要し、時間および材料を必要とする。これらの問題を軽減するために、実施例1〜31ですでに収集された結果に基づいて、第2の試験プロトコルが考案された。
ポルトランドセメントペースト中のSAによるAE
ポルトランドセメントペースト中の標準AEAによるAE
FA−セメントペースト中の標準AEAによるAE
2倍のSA用量におけるFA−セメントペースト中の標準AEAによるAE
第2の犠牲剤の評価プロトコルは、最大5回のペースト空気測定によって候補犠牲剤の相対潜在値を評価するために設計されている。
1.固定された組成および流動性のセメントペースト中への標準空気連行混和剤によって連行された空気の測定。後者は、「基準」空気連行値を与える基準系である(図8の「A」)。この基準系では、以下の条件を採用した(そのような条件は、使用した特定の物質およびAEA混和剤に最も適応するように最適化できる):
・水:約200g(以下に記載の固定流動性を達成するように調整)
・セメント(A):400g
・比w/c:0.43〜0.44
・空気連行剤:ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート(DDBS)
・空気連行剤濃度:0.0125重量%(セメント質)
・ペースト流動性:105±5mmのミニスランプスプレッド直径(以下を参照)を生じるよう調整。
犠牲剤の相対性能の試験において、犠牲剤用量は0〜0.1重量%の範囲で選択され、これは表2、3および4ならびに表7〜34で報告したペースト、モルタルおよびコンクリート試験で観測された代表的な用量値に該当する。
理想的な犠牲剤の特性
フライアッシュコンクリートにおける空気連行に理想的な犠牲剤(SA)の特性は、用途の具体的な要求事項から直ちに識別される(第1プロトコルで概説したように)。性能の観点から、理想的な犠牲剤は、
通常の利用用量での、セメント質系におけるそれ自体による最小空気連行、
フライアッシュ炭素による空気連行減少の完全な回復、
合理的な範囲内での、空気連行に対するSA過剰用量の最小限の影響(このことは任意の過剰用量に、フライアッシュ炭素の変化または他の特性を相殺させる)、
空隙パラメータ(空隙平均サイズ、分布、平均間隔)に対する最小限の影響、
通常の利用用量での、他のコンクリート特性、例えば凝結時間、スランプ、時間の関数としてのスランプ低下、ブリーディングおよび分離に対するSAの最小限の影響、
を示すべきである。
水、または液体調合物中での高い溶解度、
SAが使用前に蒸発して著しく失われないようにするための、低い蒸気圧、
ヒトの健康および環境に対する最低限の悪影響(すなわち安全な化合物であることが既知であるSAを使用することが好ましい)、
低コスト、
を含む。
各種SAの相対性能を評価するために、上で概説した「他の所望の特性」についての考慮事項は最初に無視して、2種類の基準を使用できる。
定性的不合格基準
定量的性能基準。
以下の条件は、特定のSAの使用を除外する。
候補SAは、重大でない効果、ゼロ効果、または負の効果、すなわち消泡効果のいずれかを有する。
候補SAはそれ自体、その意図する用途の用量にて、過剰量の空気を連行する。
試験を行った候補犠牲剤は、上述のペースト空気試験プロトコルによって、それらが示す空気連行回復レベルに従って評価した。潜在的なSAとして選択され、表36に挙げた生成物の群の相対性能評価については、以下の評価一覧表(表AおよびB)を採用した(図8およびそこに規定した数量を参照):
最良:4、最悪:1;全ての酸化合物は、ナトリウム塩の形で試験を行った。
評価1(13の化合物):n−プロパノール、i−プロパノール、ヘキサノール、ソルビトール、エチレングリコールメチルエーテル、ラウリン酸メチル、カプロン酸エチル、フェニル酢酸、2−ナフトエ酸、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、n−ビニル−2−ピロリジノン。
1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、3−ペンタノール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン酸、Tween(登録商標)(POE(20)ソルビタンモノラウラート)、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、トリ−イソ−プロパノールアミン、n−ブチル尿素、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール2000、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール425、P(EG−ran−プロピレン−グリコール)2500。
上述のように、価値のあるSAは、化学化合物の多くの官能クラスで見出された。この調査結果は、SAの官能基の具体的な性質がおそらく、SAの性能を決定する際の有力な(または唯一の)因子でないことを示している。特定の理論に縛られることなく、フライアッシュコンクリート中のSAの推測される作用方式、すなわちSAおよびAEAの競合吸着に基づいて、重要であり得る第2の分子特徴は、その「疎水性特性」である。化学化合物のこの特有の特徴は、その「親水性親油性バランス」(HLB)評価、またはその油/水(またはオクタノール/水)分配係数(KOW)によって定量的に定義される。
コロイド化学におけるHLB概念およびその応用は、本明細書の最後に挙げた参考文献4および5で述べられており(参考文献の開示は、参照により本明細書に組み入れられている)、以下のように理解できる。親水性(水溶性)基および親油性(疎水性)部分を含む所与の分子は、その親水性および疎水性基の相対的な規模に依存する全体的な特性を示すであろう。HLBスケールは、この混合特性の尺度を提供する。HLBスケールは通例、0〜20で変化し、分子が親水性であればあるほど、HLB値はより高くなる。
HLB=20(1−S/A)
として得られ、式中、Sはエステルの鹸化数であり、Aは回収された酸の酸価である。
McGowan HLB基寄与スケール(参考文献9)を使用して、エチレングリコールフェニルエーテル(またはエタノール2−フェノキシ−、または2−フェノキシエタノール)、式:C6H5OCH2CH2OHのHLB計算の例を以下に記載する。
分子の疎水性−親水性特性は、油(オクタノール)および水中のその相対溶解度、すなわち油(オクタノール)中の溶解度/水中の溶解度の比によっても証明できる。この比は、油(オクタノール)と水との化合物の平衡分配から直接測定でき、平衡分配係数:KOWとして表せる。非常に油溶性である高度に疎水性化合物は、KOWの高い値を示す。反対に、親水性化合物は低いKOW値を示すであろう。便宜上、KOWの値はLogKOWとして対数スケール上で報告する。非イオン性界面活性剤型分子に最も良く適用されるHLBスケールとは異なり、LogKOW分類は、大半の種類の化合物を含むことができる。
参考文献11から入手できるKOWWinプログラムを使用して、エチレングリコールフェニルエーテル(EGPE)のKOW値を計算する手順を以下に示す。LogKOW値を予測するKOWWinプログラムは、以下の入力:
1.興味のある分子のChemical Abstract(CAS)登録番号、または
2.KOWWinプログラムで説明されている、「SMILES」表記法で表現した分子の構造
のいずれかを用いてその計算を実施できる。EGPEでは、以下の情報が提供可能である。
化合物:エチレングリコールフェニルエーテル(またはエタノール、2−フェノキシ−、または2−フェノキシエタノール)
化学式:C6H5OCH2CH2OH
SMILES構造表現:O(c(cccc1)c1)CCO
Chemical Abstract登録番号(CAS):000122−99−6
図11および12のアルコールおよびエーテルについて示したデータは、最適な空気増加および回復は、−1〜+2の範囲のLogKOW値を有する化合物で認められることを明確に示している。化学薬品のこれらの2つの族では、それゆえLogKOW値のこの範囲により、最も価値のある犠牲剤が確認される。
空気連行添加剤を含有するセメント質混合物中のフライアッシュを使用する問題を説明するために、異なる起源のフライアッシュおよびセメント粉末並びに種々の一般的な空気連行剤、すなわちトール油脂肪酸塩(Air40)およびアルキルアリールスルホン酸塩(Air30)を使用して、種々の混合物を調製した。そして空気連行パーセンテージを測定した。混合物の調製および測定技法の詳細な条件およびこれらの結果を得るための条件は、以下の小節に記載する。2つの市販タイプ10(US Type−1)ポルトランドセメント粉末を利用した。これらは、以下、PCAおよびPCCと呼ぶ。使用したフライアッシュの種々の種類を、これらの物質が識別されるコードおよびこれらのフライアッシュが続いての試験で使用される組成物と共に、以下の表1に示す。各種の試験手順、すなわちペースト、モルタルおよびコンクリートで使用したフライアッシュを表1に示す。使用した各フライアッシュについて、強熱減量の重量パーセントが報告され、フライアッシュの炭素含有率を示す。以下で述べる水性スラリーにおけるペースト空気連行および他の測定で使用したFAについて、以下の他の特性も報告される。
フライアッシュクラス:FまたはC
フライアッシュタイプ:瀝青質、亜瀝青質、亜炭、ウェスタン
BET比表面積:標準BET窒素表面積
比密度:溶媒としてイソプロパノールを使用して、標準ルシャトリエフラスコによって決定した。
[実施例]
実験プロトコル
pH12.5での10重量%水性フライアッシュスラリー中での犠牲剤(SA)または空気連行剤(AEA)の吸着/沈殿:
SAまたはAEA溶液の調製:犠牲剤の水溶液を0.03N NaOH(pH12.5)中で3mMまたは0.003Mの濃度で調製した。未知の分子量の市販のAEA(Air30およびAir40)の水溶液を、348g/molの分子量を有するDDBSの約3mMに相当する、1050mg/lで調製した。溶液のpHは、NaOHによって12.5に調整した。
FAまたはセメントスラリーにおける吸着/沈殿:本プロトコルでは、この場合は、SAまたはAEAの溶液中にセメントを以下の比率で直接添加することを除いて、10重量%のFAまたはセメントを含有する水性スラリーを上述のように調製した。直接添加の際の比率は、セメントまたはFA 3.0g、および3mM犠牲剤27g、または1050mg/l AEA 27gであり、後者は、上述の沈殿試験と同様の方法で調製した。溶液中の残留(溶解性)SAまたはAEA含有率も、UVまたはCODによって決定した。
結果
カッコ内の記入項目:フライアッシュスラリーから抽出した溶液と反応させたときの沈殿%(表5の結果)。
・増加するフライアッシュ炭素と共に増加する低吸着、例えばエチレングリコールフェニルエーテル、
・フライアッシュ炭素含有率に関連していない中程度の吸着:例えばベンジルアミンおよびジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、
・特定のフライアッシュ物質への強い吸着:例えば1−ナフトエ酸ナトリウム塩、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムおよび2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム。
実験プロトコル
以下の実施例の各種タイプのペースト組成物の流動性および空気連行の測定のために、以下のプロトコルに従った。
表7:異なるフライアッシュ:セメントペーストに連行された空気の平均値を比較し、かつ対応するRSD値を比較すると、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムと併せて使用した、ポリオールおよびアルコールエーテルの族内の複数の他の犠牲剤は、エチレングリコールフェニルエーテルで見出されるのと同様の結果を生じた。
1.ベンゼンまたはナフタレンに由来し、かつ他のアルキル残基(メチル、ブチル、イソプロピル)を有するスルホン化芳香族化合物の塩
2.低分子量グリコールおよびグリコール誘導体、すなわちアルキルまたはアリール基を有するエーテル。
実験プロトコル
空気連行は、ポルトランドセメントのみ(対照)、または70:30の比のポルトランドセメントおよびフライアッシュの組合せを含有するモルタルで測定した。
混合組成を以下の表に与え、測定はASTM C185−88に述べられている標準プロトコルに従って実施した。
モルタルの場合、Air30単独による空気連行は、炭素含有率の高いフライアッシュの多数および炭素含有率の低いフライアッシュの数種によって大きく減少する。RSD値は極めて高く、100%を超える。
Air40によって得られた結果は、Air30によって観測された結果と同様である。同じ犠牲剤の存在下で、連行空気%の著しい上昇およびRSD値の大幅な低下が見られる。
実験プロトコル
フレッシュコンクリート混合物中への空気連行は、以下に与える混合比を用いて、ASTM C 231−97に述べられているプロトコルに従って実施した。フライアッシュを含有する全てのコンクリートにおいて、フライアッシュ含有率は25%に固定した。空気連行剤および犠牲剤の用量は、以下に示す結果の各種表に報告されている。
1)水および空気連行剤溶液と共に混合
2)フライアッシュと事前混合
3)すでに空気連行剤を含有するフレッシュコンクリートコンクリートへ事後添加。
ポルトランドセメントコンクリート(フライアッシュ不含)中への空気連行に対する犠牲剤の影響に関する結果
本節は、普通PCコンクリート、または理想的な問題のないフライアッシュを含有するコンクリート中での犠牲剤および空気連行剤と犠牲剤との組合せの性能示すために含まれている。結果も、犠牲剤の特性と従来の空気連行剤の特性をさらに区別することを意図している。
セメントのみのコンクリート(空気連行剤なし)への、エチレングリコールフェニルエーテルなどの犠牲剤の添加は、非常に高い用量(ライン7)でも対照値より約1%高い連行空気の上昇を引き起こす。そのような効果はコンクリートプラクティスでは重要ではなく、それゆえフライアッシュなしのコンクリートでもエチレングリコールフェニルエーテルを使用できる(過剰量のエチレングリコールフェニルエーテルは、セメントコンクリート中の連行空気に影響を及ぼさない)。
空気連行剤を含まないセメントのみのコンクリートへのジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの包含は、連行空気の著しい上昇、すなわち対照の2〜3%超を引き起こす。
表16の結果によって示されるように、空気連行剤を含まないセメントのみのコンクリートへ、用量および比を変えて、2つの犠牲剤、エチレングリコールフェニルエーテルおよびジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムを添加すると、連行空気%を対照よりも2〜4%上昇させることが見出された。
空気連行剤を含有するセメントのみのコンクリート中のエチレングリコールフェニルエーテルの存在は、連行空気%の値のわずかな上昇を引き起こす。従って結果は、普通セメントコンクリート(フライアッシュ不含)において、かなり高い用量までEGPEレベルを上昇させての添加は、Air40(0.003または0.006重量%)の固定用量にて観測された空気連行に対して著しい影響を有さないことを示す。
Air40を空気連行剤として含有するセメントのみのコンクリートにおいて、連行空気%は、各種の犠牲剤の組合せ、エチレングリコールフェニルエーテルまたはエチレングリコールメチルエーテルのどちらかとジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムとの組合せ、の存在下で著しく変化しない。
Air40の固定用量において、連行空気%は、以下のいずれによっても著しく影響されなかった。
― SA用量の10倍増加(ライン2と4、ライン6と8を比較)
― 各種の他のコンクリート混和剤の同時添加:
― SP PNS超可塑剤(ライン1をライン2〜4と比較)
― LW:リグニンベース水(ライン5をライン6〜8と比較)
― AC:カルシウムベース凝結促進剤(ライン9をライン10〜12と比較)
代わりの犠牲剤の組合せ、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム/エチレングリコールメチルエーテルの存在下で、Air40による連行空気%は、超可塑剤の存在下で低下する(ライン1〜4を比較)が、減水剤(LW、ライン5〜7)または凝結促進剤(AC、ライン8〜10)のどちらかによって著しく改善されなかった。
他のコンクリート化学混和剤の主なタイプと併せた犠牲剤の使用は、不規則な空気連行挙動を引き起こさない。
本発明の犠牲剤は、他のタイプのコンクリート化学混和剤と適合性であり、すなわちこれらの混和剤それぞれの機能に対する有害な影響はない。
以下の実施例は、同じセメントおよび定まった供給源からであるが、LOIは異なるFAと最も好ましいSAとの比および用量の影響を調査するために実施した。
比較的LOIの低いフライアッシュの存在下では、通常のAir40用量(0.003重量%)による連行空気%は、強力に低下する。
この比較的高いLOIのフライアッシュでは、Air40単独による連行空気%は、調査した全ての用量で低いままである(2.6%)。
高炭素フライアッシュでは、通常用量のAir40による連行空気%は、大きく低下する(ライン1および2を比較)。
(前の実施例と比較して)より高い用量のAir40によって得られたデータは、
セメントのみのコンクリートにおいて、連行空気%がエチレングリコールフェニルエーテルの増加用量に著しく影響されないこと(ライン1〜4)、
このより高いAir40用量においても、連行空気%がこの高いLOIフライアッシュにおいて低いままであること(ライン5)、
を示している。
ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム/エチレングリコールフェニルエーテルの固定比(1/3)、および現実的な総犠牲剤用量(0.05〜0.07%)において、連行空気%は、フライアッシュのLOI値(2.1、3.7および5.7%)とは無関係に、Air40用量の増加と共にスムーズに変化する。
得られた空気%値が示すように、NDの用量を増加させると、空気含有率の上昇を引き起こすが、空気含有率は(本発明の利点であるように、空気レベルが上昇を続ける通常のAEAとは再度異なって)過剰のジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム用量が添加されると安定し、再び低下さえする。
種々の比および総用量での犠牲剤組合せ、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムナフタレンスルホナート/エチレングリコールメチルエーテルを用いたAir40による連行空気%は、大半の場合に妥当なコンクリート空気レベルを示す(5〜7%)。
この特別な場合において、空気連行は、非常に低いND:EGPE比および組合された犠牲剤の中程度の総用量によって、「通常」(フライアッシュ不含)レベル付近まで上昇する。
この一連の試験では、空気連行剤用量が高いため、セメントのみのコンクリートにおける空気%値は高い(9%)。
これらのFAのLOI値は比較的低いが、コンクリート中に存在する場合に空気%を急速に低下させる(7.9%から約1%まで)。
この特定のフライアッシュでは、比較的低いLOI値にもかかわらず、連行空気%は大きく低下する(ライン1〜2)。
以下の実施例は、活性炭を添加することによってフライアッシュの炭素含有率を故意に上昇させる効果を示す。活性炭は、フライアッシュ中に元々存在する炭素と同様でも、同様でなくてもよい。
低LOIのフライアッシュを含有するコンクリートへの少量の活性炭の添加は、Air40(ライン1〜3)による空気連行のレベルを大きく低下させる。
前の例において、犠牲剤はコンクリートバッチングプロセス中に空気連行剤と共に添加される。以下のデータは、犠牲剤の添加の他の手段に関する。
両方のタイプの一般的な空気連行剤を用いると、コンクリートのバッチング前にエチレングリコールフェニルエーテルをフライアッシュ物質と予備混合した場合に観測された空気%は、エチレングリコールフェニルエーテルの同時添加で観測された空気%に匹敵する。(ライン1と2*、3と4*を比較)。
ライン1〜3、またはライン4〜6の記入項目の比較は、コンクリート混合操作が完了した後に添加された場合でも、フライアッシュコンクリート中の空気連行を増加させるのに犠牲剤が有効であることを示している。この場合、達成された空気%は、犠牲剤および空気連行剤が同時に添加された場合よりもやや低い。
コンクリート中の連行空気の重要な態様は、ペースト内でのその分布である。米国コンクリート協会(ACI)またはASTMによって定義された標準コンクリートプラクティスは、「気泡サイズ」、サイズ分布、表面積などに関する具体的な要件を提供する。犠牲剤を用いた、および犠牲剤を用いない空気連行コンクリート中で得られた空隙の臨界パラメータは、表35に報告されている。
・列1:見込みのある犠牲剤として試験を行った化合物の化学名
・列2:ポルトランドセメントペースト中の0.1重量%の濃度での、候補犠牲剤による空気連行のレベル(図8の「A」)
・列3:候補犠牲剤0.05重量%の存在下でのFA/セメントペースト中のDDBS 0.0125重量%による空気連行
・列4:候補犠牲剤0.10重量%の存在下でのFA/セメントペースト中のDDBS 0.0125重量%による空気連行
・列5:犠牲剤の全体の評価指数(以下で述べる)
・列6:候補犠牲剤の親水性−親油性バランス(HLB)値(HLBデータの供給源および有意性を以下に記載する)
・列7:候補犠牲剤の油(オクタノール)/水分配係数の対数(KOW)(データの供給源および有意性を以下に記載する)。
Claims (94)
- フライアッシュを含有する空気連行セメント質混合物を生成する方法であって、
水、セメント、フライアッシュ、および空気連行剤を含むセメント質混合物を作成するステップと、
混合物に空気を連行するステップと
を含み、
ある量の犠牲剤もセメント質混合物に含まれており、犠牲剤は、前記セメント質混合物中に前記量で存在する場合に、前記空気連行剤の空気連行活性に対する前記フライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であり、前記量で存在する前記犠牲剤がセメント質混合物中に2体積%未満の追加の空気連行を引き起こす、方法。 - 前記犠牲剤の前記量が前記フライアッシュの前記成分の前記有害な影響を中和するために必要な量を超える、請求項1に記載の方法。
- 前記フライアッシュは、前記成分を、前記フライアッシュの供給源またはバッチに従い最小含有率から最大含有率までの種々の含有率で有することができ、かつ前記フライアッシュの前記成分が前記最大含有率で存在する場合に、前記少なくとも1つの犠牲剤の前記量は、前記成分の前記有害な影響を中和するのに必要な量を超える、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、スルホナート、カルボキシラートまたはアミノ官能基または前記基の組合せのいずれかを含む芳香族化合物、2000Da以下の分子量を有するグリコールおよびグリコール誘導体、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤がベンジルアミン、1−ナフトエ酸ナトリウム、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールおよび1−フェニル2−プロピレングリコールおよびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が有機化学薬品のクラスのメンバーであり、前記クラスがアルコール、ジオール、ポリオール、エーテル、エステル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、芳香族スルホナート、アミン、アルコールアミン、アミド、アンモニウム塩、およびポリグリコールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−3〜+2の範囲のLogKOWの値を有する、請求項6に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−2〜+2の範囲のLogKOWの値を有する、請求項6に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−5〜20の範囲のHLB値を有する、請求項6に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−4〜18の範囲のHLB値を有する、請求項6に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−5〜20の前記範囲のHLB値を有する犠牲剤を共に提供する、異なるHLB値の化合物の混合物である、請求項9に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、n−プロパノール、i−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、ネオペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコールからなる群より選択されるアルコールである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルおよびp−ジメトキシベンゼンから選択されるエーテルである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、オクタン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル、エチレングリコールモノ−エチルエーテルアセテート、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、カプロン酸エチルおよびPOE(20)ソルビタンモノラウラートからなる群より選択されるエステルである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、ヘキサン酸、フェニル酢酸および2−ナフトエ酸からなる群より選択されるカルボン酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、4−エチルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸およびメチルナフタレンスルホナートからなる群より選択される芳香族スルホナートである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、アニリンおよびベンジルアミンからなる群より選択されるアミンである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンからなる群より選択されるアルコールアミンである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、尿素、ジメチル尿素およびn−ブチル尿素からなる群より選択されるアミドである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラブチルアンモニウムクロリドからなる群より選択されるアンモニウム塩である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール2000、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール425およびP(EG−ran−プロピレン−グリコール)2500からなる群より選択されるポリグリコールである、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルデヒド、1−エチル−2−ピロリジノンおよびn−ビニル−2−ピロリジノンからなる群より選択される化合物である、請求項1に記載の方法。
- 存在する犠牲剤が2つ以上の化合物の混合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が−5〜20の範囲の疎水性親油性バランス評価を有する化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、LogKOWが−3〜+2の範囲内にある化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、LogKOWが−2〜+2の範囲内にある化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、1以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、2以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、3以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤が、4の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤がエチレングリコールフェニルエーテルとジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムとの組合せである、請求項1に記載の方法。
- 前記エチレングリコールフェニルエーテルおよび前記ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの相対比率が1:5から50:1までの相対重量比の範囲にある、請求項31に記載の方法。
- 前記空気連行剤をフライアッシュ、セメントおよび水と混合する前に、前記犠牲剤が前記空気連行剤に添加される、請求項1に記載の方法。
- 前記フライアッシュを前記セメント、水および前記空気連行剤と混合する前に、前記犠牲剤がフライアッシュに添加される、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤を含有する液体を前記フライアッシュにスプレーすることによって、前記犠牲剤が前記フライアッシュに添加される、請求項32に記載の方法。
- 前記犠牲剤を含有するスプレー乾燥固体を前記フライアッシュと混合することによって、前記犠牲剤が前記フライアッシュに添加される、請求項32に記載の方法。
- フライアッシュ、セメント、水および空気連行剤が共に混合された後に、前記犠牲剤が添加される、請求項1に記載の方法。
- 犠牲剤の前記量が前記フライアッシュの少なくとも0.01重量%である、請求項1に記載の方法。
- 犠牲剤の前記量が前記フライアッシュの0.01〜2.0重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 犠牲剤の前記量が前記フライアッシュの0.1〜1.0重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤の前記量が前記フライアッシュを含むセメント質物質の総量の0.01重量%〜0.5重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 前記犠牲剤の前記量がフライアッシュを含むセメント質物質の総量の0.01重量%〜0.2重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 砂、骨材、およびコンクリート改良剤、およびその組合せからなる群より選択される追加の物質が前記混合物に含まれる、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載のプロセスによって生成された空気連行セメント質混合物。
- 請求項44に記載の空気連行セメント質混合物を凝結および硬化することによって生成された、セメント質物質の硬化塊。
- 空気、水、セメント、フライアッシュ、空気連行剤およびある量の犠牲剤を含有する空気連行セメント質混合物であって、前記犠牲剤が、前記セメント質混合物中に前記量で存在する場合に、前記空気連行剤の空気連行活性に対する前記フライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であり、前記量で存在する前記犠牲剤がセメント質混合物中に2体積%未満の追加の空気連行を引き起こす、空気連行セメント質混合物。
- 空気、水、セメント、フライアッシュ、空気連行剤およびある量の犠牲剤を含有する空気連行硬化セメント質塊であって、犠牲剤が、前記硬化塊の前駆物質であるセメント質混合物中に存在する場合に、前記空気連行剤の空気連行活性に対する前記フライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であり、前記犠牲剤は、セメント質混合物中に2体積%未満の追加の空気連行を引き起こす量で、前記セメント質混合物中に使用される、空気連行硬化セメント質塊。
- 空気連行剤を含有するセメント質混合物の成分としての使用に適切なフライアッシュ組成物であって、前記組成物がフライアッシュおよび犠牲剤を含み、犠牲剤は、前記組成物を、セメント、前記空気連行剤および水と混合して、セメント質混合物を形成する時に、空気連行剤の空気連行活性に対する前記フライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であるが、それ自体は前記セメント質混合物中に2体積%未満の空気連行を引き起こす、フライアッシュ組成物。
- 前記犠牲剤が、前記混合物中で使用されるときに、それ自体は実質的に空気連行を引き起こさない物質または物質の混合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、スルホナート、カルボキシラートまたはアミノ官能基または前記基の組合せのいずれかを有する芳香族化合物、2000Da以下の分子量を有するグリコールおよびグリコール誘導体、およびその組合せからなる群より選択される、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤がベンジルアミン、1−ナフトエ酸ナトリウム、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールおよび1−フェニル2−プロピレングリコールおよびその組合せからなる群より選択される、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が有機化学薬品のクラスのメンバーであり、前記クラスがアルコール、ジオール、ポリオール、エーテル、エステル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、芳香族スルホナート、アミン、アルコールアミン、アミド、アンモニウム塩、およびポリグリコールからなる群より選択される、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−3〜+2の範囲のLogKOWの値を有する、請求項52に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−2〜+2の範囲のLogKOWの値を有する、請求項52に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−5〜20の範囲のHLB値を有する、請求項52に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−4〜18の範囲のHLB値を有する、請求項52に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−5〜20の前記範囲のHLB値を有する犠牲剤を共に提供する、異なるHLB値の化合物の混合物である、請求項55に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、n−プロパノール、i−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、ネオペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコールからなる群より選択されるアルコールである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルおよびp−ジメトキシベンゼンから選択されるエーテルである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、オクタン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル、エチレングリコールモノ−エチルエーテルアセテート、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、カプロン酸エチルおよびPOE(20)ソルビタンモノラウラートからなる群より選択されるエステルである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、ヘキサン酸、フェニル酢酸および2−ナフトエ酸からなる群より選択されるカルボン酸である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、4−エチルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸およびメチルナフタレンスルホナートからなる群より選択される芳香族スルホナートである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、アニリンおよびベンジルアミンからなる群より選択されるアミンである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンからなる群より選択されるアルコールアミンである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、尿素、ジメチル尿素およびn−ブチル尿素からなる群より選択されるアミドである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラブチルアンモニウムクロリドからなる群より選択されるアンモニウム塩である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール2000、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール425およびP(EG−ran−プロピレン−グリコール)2500からなる群より選択されるポリグリコールである、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルデヒド、1−エチル−2−ピロリジノンおよびn−ビニル−2−ピロリジノンからなる群より選択される化合物である、請求項48に記載の組成物。
- 犠牲剤が2つ以上の物質の混合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記セメント質混合物中で犠牲剤として単独で使用されるときに、前記物質の1つが前記セメント質混合物中の空気連行を減少させ、前記物質のうちもう1つが前記セメント質混合物中の空気連行を増加させ、前記犠牲剤自体がセメント質混合物中の空気連行を増加または減少させるのを回避するのに有効な相対量で、前記物質が一緒に使用される、請求項69に記載の組成物。
- 前記犠牲剤が−5〜20の範囲の疎水性親油性バランス評価を有する物質である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、LogKOWが−3〜+2の範囲内にある物質である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、LogKOWが−2〜+2の範囲内にある物質である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、1以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、2以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、3以上の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、4の第2のプロトコルランキングを有する化合物である、請求項48に記載の組成物。
- 前記犠牲剤は、エチレングリコールフェニルエーテルとジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムとの組合せである、請求項48に記載の組成物。
- 前記エチレングリコールフェニルエーテルおよび前記ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの相対比率が1:5から50:1までの相対重量比の範囲にある、請求項78に記載の組成物。
- 犠牲剤が前記組成物中に、前記フライアッシュの少なくとも0.01重量%の量の濃度で存在する、請求項48に記載の組成物。
- 犠牲剤が前記組成物中に、前記フライアッシュの0.01重量%〜2重量%の範囲の量で存在する、請求項48に記載の組成物。
- 犠牲剤が前記組成物中に、フライアッシュの0.01重量%〜1.0重量%の範囲の量で存在する、請求項48に記載の組成物。
- 空気連行剤を含有するセメント質混合物で使用するためのフライアッシュを予備処理する方法であって、
予備処理フライアッシュを作成するためにある量の犠牲剤をフライアッシュと混合するステップを含み、前記犠牲剤は、前記予備処理フライアッシュを、セメント、前記空気連行剤および水と混合してセメント質混合物を形成する時に、空気連行剤の空気連行活性に対する前記フライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であるが、前記犠牲剤自体は前記セメント質混合物中に2体積%未満の空気連行を引き起こす、方法。 - フライアッシュを含有する空気連行セメント質混合物の成分としての使用に好適な化合物の混合物であって、前記化合物の混合物が空気連行剤および犠牲剤を含み、前記犠牲剤は、前記物質の混合物とセメント、フライアッシュおよび水とを混合してセメント質混合物を形成する時に、空気連行剤の空気連行活性に対するフライアッシュの成分の有害な影響を少なくとも部分的に中和する物質または物質の混合物であるが、前記犠牲剤自体は前記セメント質混合物中に2体積%未満の空気連行を引き起こす、化合物の混合物。
- フライアッシュを含有する空気連行セメント質混合物の調製での犠牲剤としての使用に好適な化合物の混合物であって、前記混合物がエチレングリコールフェニルエーテルとジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムとの組合せを含む、化合物の混合物。
- 空気連行剤を包含する空気連行フライアッシュ含有セメント質混合物への添加のために有用な犠牲剤としての化学薬品を識別および選択するプロセスであって、候補化学薬品に対して任意の順序で以下のステップを実施することと、以下のステップに照らして適切であると識別された化学薬品のみを選択することを含むプロセスであって、
(a)空気連行に影響を及ぼす有害成分の各種レベルを有する各種フライアッシュを含有するセメント質系における候補化学薬品の溶解度を判定し、部分的に溶解する化学薬品全てを識別するステップと、
(b)候補化学薬品と空気連行に対するフライアッシュの有害成分との間の相互作用/反応のレベルを判定し、空気連行に対する有害成分を含有するフライアッシュ上への部分吸着を示す化学薬品を識別するステップと、
(c)ポルトランドセメントペースト中の候補化学薬品によって空気連行のレベルを評価し、それ自体で空気を連行しない、またはごく低いレベルの空気を連行する候補を識別するステップと、
(d)候補化学薬品がポルトランドセメントペースト中の代表的なコンクリート空気連行混和剤への妨害または相乗効果を示すかどうか判定し、それ自体でわずかな空気連行を示すか、空気連行を示さず、従来の空気連行混和剤の機能および性能に対するわずかな妨害を示す候補を識別するステップと、
(e)候補化学薬品が、フライアッシュセメントペースト中の従来の空気連行剤による空気連行の変動性を低下させるのにどれだけ有効であるかを判定し、広範囲の特性および残留炭素を有する種々のフライアッシュを含有するペースト中のペースト空気連行を評価し、種々のフライアッシュ−セメントペースト中で一定の流動性にて、混合物中の空気連行増加および連行空気の変動性における50%以上の(相対標準偏差)の低下の両方を示す化学薬品を識別するステップと、
(f)フライアッシュモルタルおよび/またはコンクリート中の候補化学薬品を、以下の特徴:
(i)フライアッシュが使用されないか、又は低い炭素含有率を有するフライアッシュ(低活性炭素)が使用される場合に必要とされる空気連行剤を代表する従来の空気連行剤の用量と共に、適切なレベル(通例5〜8体積%)の空気がコンクリートまたは他のセメント質生成物中に連行されるようにすること、
(ii)供給源、炭素含有率、化学組成などのフライアッシュ物質の変動性とは無関係に、予測可能な空気レベルをフライアッシュコンクリートに連行すること、
(iii)セメント水和およびコンクリート凝結時間への妨害を示さないこと、
(iv)コンクリートの他の物理的および耐久性特性に著しい変化を誘起しないこと、
(v)他のコンクリート化学混和剤、例えば減水剤、超可塑剤および凝結促進剤の存在によって著しく影響を受けず、過剰な用量で添加されたときに、過剰な空気含有率、長い凝結時間、または強度低下などの有害な影響を引き起こさないこと、
を有するそれらを識別する条件下で試験および確認するステップと、
を含むプロセス。 - 空気連行剤を包含する空気連行フライアッシュ含有セメント質組成物へ添加するのに有用な犠牲剤として、化学薬品を識別および選択するプロセスであって、候補犠牲剤に対して以下のステップ:
(a)セメント、水および空気連行剤の混合物を用意し、前記混合物によって連行された空気の体積Aを測定するステップと、
(b)セメント、フライアッシュ、水および前記空気連行剤の混合物を用意し、前記混合物によって連行された空気の体積Bを測定し、体積Aと体積Bの間の連行空気の減少である、体積Cを記録するステップと、
(c)セメント、フライアッシュ、水および空気連行剤の前記混合物に前記候補犠牲剤をある量で添加し、連行空気の体積を測定し、体積Bと比較した連行空気の任意の増加Eを記録するステップと、
(d)体積Eが体積Cの少なくとも50%である候補犠牲剤を選択するステップと、
を実施することを含む、プロセス。 - 前記候補犠牲剤がセメント、フライアッシュ、水および空気連行剤の混合物にステップ(c)の前記量より多い量で添加され、連行空気の体積が測定され、体積Bと比較した連行空気の任意の増加Fを記録し、増加Eが50%未満である場合でも、体積Fが体積Cの少なくとも50%であるように候補犠牲剤が選択される、請求項87に記載のプロセス。
- ステップ(c)の前記量が前記セメントおよびフライアッシュの約0.05重量%である、請求項87に記載のプロセス。
- 前記のより多い量が前記セメントおよびフライアッシュの約0.1重量%である、請求項88に記載のプロセス。
- 候補犠牲剤が、前記候補犠牲剤が−5〜20の範囲の親水性:親油性バランスを有する場合にのみ選択される、請求項87に記載のプロセス。
- 候補犠牲剤が、前記候補犠牲剤が−4〜−18の範囲の疎水性:親油性バランスを有する場合にのみ選択される、請求項87に記載のプロセス。
- 候補犠牲剤が、前記犠牲剤が−3〜+2の範囲のLogKOW値を有する場合にのみ選択される、請求項87に記載のプロセス。
- 候補犠牲剤が、前記犠牲剤が−2〜+2の範囲のLogKOW値を有する場合にのみ選択される、請求項87に記載のプロセス。
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