JP2006512884A - 電気機械の巻線のための回路部材 - Google Patents

Abstract

絶縁材料から成る支持体（２０）と、該支持体（２０）に配置された、コイル（１２）間に回路接続を生ぜしめるための電気的な導体ストリップとが設けられている、電気機械、特に小型ブラシレスモータの、複数のコイル（１２）から構成されたマルチストランド巻線（１１）のための回路部材が記載されている。材料コストの削減のためには、導体ストラップが、有利には支持体（２０）に形成された溝に挿入され且つ絶縁材料から成る２つの環状のカバー部材（３１，３２）によって固定された、曲げられた線材（２７〜３０）として構成されている。

Description

背景技術
本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の、電気機械、特に小型ブレシレスモータの、複数のコイルから構成されたマルチストランド巻線のための回路部材から出発する。

このような形式の公知の回路部材（ヨーロッパ特許第１０６２７２０号明細書）では、絶縁材料から成る支持体は支持体プレートであり、この支持体プレートはハブによって、積層鉄心として構成された、巻線を支持するステータボディと一緒に軸受け支持管に固定されており、この軸受け支持管自体は、モータフランジに固定されている。コイル間に回路接続を生ぜしめるための電気的な導体ストリップは、ハブに対して同心的に支持体プレートに固定された導体レールとして形成されており、これらの導体レールは打抜き部材として製作されている。この場合、第１の導体レールは、この導体レールから折り曲げられた舌片を以て、中性点を形成するために全ての巻線ストランドのコイル端部と接続されている。別の３つの導体レールは、それぞれ第１の導体レールを同心的に取り囲んで支持体プレートに固定されており、この場合、当該の別の導体レールの舌片は、コイル始端部に接続するために配置されている。同心的なレールと、これらのレールから突出した舌片との間の交差点を回避するためには、第２の導体レールの舌片が、支持体プレートの凹部に配置されたガイドを介して第３の導体レール及び第４の導体レールの下方へ貫通案内されており、第３の導体レールの舌片は、凹部に配置されたガイドを介して第４の導体レールの下方へ貫通案内されている。打抜き材料から成る導体レールの製作時の切削屑の限度を保持するためには、第１の導体レールと第３の導体レールとが第１の打抜き工具で、第２の導体レールと第４の導体レールとが第２の打抜き工具で各１回の打抜き過程で製作され、この場合、第２、第３及び第４の導体レールにはピグテール用の各１つの接続舌片が設けられる。

発明の利点
請求項１の特徴部に記載の構成を有する本発明による回路部材は、電気的な導体ストリップ用に曲げられた線材を使用することによって、回路部材のための金属材料コストの著しい削減が得られるという利点を有している。それというのも、特に公知の回路部材において最高８０％になる打抜き時の膨大な材料切削屑を懸念する必要がなくなるからである。材料切削屑は、製作過程に基づいて場合によっては生ぜしめられる線材端部の調整カットのみに限定される。材料屑を概ね無くすことにより、節約される廃棄物処理コストも有効になる。丸形又は多角形（方形、正方形、六角形等）の横断面を有していてよい線材の曲げに基づいて、打抜き工具はより廉価な曲げ・ハンドリング工具によって代替される。独自の打抜き加工所を持たない企業は、本発明による回路部材の製作に際して、僅かな投資コストだけで実施可能な、簡単且つ廉価な線材曲げ過程を用いることができるので、企業価値を高めることができる。

別の請求項２〜９記載の構成手段によって、請求項１記載の回路部材の有利な改良が可能である。

本発明の有利な構成では、支持体が、線材を収容するための部分的に半径方向及び軸方向でずらされ且つ部分的に側方に開かれた同軸的な複数の溝を備えた円形のプラスチックリングとして形成されている。半径方向の幅が、モータのステータの帰路リングの半径方向の厚みにほぼ等しいこの円形のプラスチックリングは、プラスチック射出成形部材として製作され、公知の回路部材における支持体プレートに比べて細幅なそのリング形状に基づいて、材料コストが新たに節減される。

本発明による回路部材に使用されているステータは、請求項１０〜１３に記載されている。

以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

図１に上から見た斜視図で示した回路部材１０は、電子的に整流される直流モータ（ＥＣモータ）又は同期モータであってよい小型ブラシレスモータのステータ１３の合計９つのコイル１２を有するスリーストラング巻線用に構想されている。図１に斜視図で示したステータ１３はステータボディ１４を有しており、このステータボディ１４は、公知の形式で中空円筒形の帰路リング（Ｒｕｅｃｋｓｃｈｌｕｓｓｒｉｎｇ）１５及びこの帰路リング１５からそれぞれ半径方向で突出する、本実施例では合計９つのステータ歯１６を有しており、これらのステータ歯１６はロータ（図示せず）と相俟ってモータの作動空隙を制限する。各ステータ歯１６には環状のコイル１２が巻き付けられており、各コイル１２のコイル端部１２１，１２２は、それぞれ平らな接続ピン１７に接続されている。これらの接続ピン１７は、周方向で見て等間隔で配置されており且つ帰路リング１５の端面から軸方向に突出している。この場合、当該の接続ピン１７は、帰路リング１５に対して絶縁リング１８によって電気的に絶縁されている。

回路部材１０は、コイル１２間に回路接続を生ぜしめるために役立つ。この場合、本実施例では、回路接続はスリーストランド巻線１１の各巻線ストランド又は３相巻線１１の各巻線相に３つのコイル１２が並列接続されているように設計されている。

図２では上から見た分解図が、図３では下から見た分解図がそれぞれ見られる回路部材１０は、コイル１２を回路接続するために役立つ合計４本の曲げられた線材２７〜３０を収容するための、合計４つの同軸的な溝２３〜２６を備えたプラスチック製の環状の支持体２０を有している。２つの溝２４，２６は支持体２０の１平面内で半径方向にずらされている、即ち互いに同心的に位置している。上側の溝２３と下側の溝２６とは、支持体２０の真ん中の共通平面内の溝２４，２５に対して軸方向でずらされており且つ外側の環状壁に溝開口２３１；２６１を有している。更に、上側の溝２３は、溝２４，２５に対して半径方向内側にずらされている。適当に曲げられた線材２７〜３０が溝２３〜２６に挿入され且つこれらの溝内で、支持体２０の上下から軸方向で被せ嵌められた、２つの環状のプラスチック製のカバー部材３１，３２によって固定されている。上側のカバー部材３１は上側の溝２５を閉じて、軸方向下向きに突出し且つ半径方向でカバー部材３１を越えて突出する閉鎖体３３を以て部分的に真ん中の２つの溝２４，２５を被覆する。下側のカバー部材３２は、線材３０の挿入された下側の溝２６を閉じ且つ下向きに突出した、周面にそれぞれずらされて配置された複数の緊締ウェブ３４を支持している。これらの緊締ウェブ３４は、帰路リング１５の端面に回路部材１０が被せ嵌められた状態で、コイルの巻き付けられたステータ歯１６間に侵入して、半径方向で摩擦接続的に帰路リング１５の内壁に当て付けられる。両カバー部材３１，３２は支持体２０と固着結合されており、このことは例えばクリップ留め、接着又は超音波溶接によって行うことができる。

支持体２０には、プラスチックから射出成形された端子盤３６が取り付けられており、この端子盤３６には各１本の巻線ストランドのための３つの接続端子３７，３８，３９が配置されている。線材２７〜２９の線材端部は、接続端子３７〜３９とホットスタッキング（Ｈｏｔ−Ｓｔａｃｋｉｎｇ）によって電気的且つ機械的に結合される。線材２７〜３０は、その延在部に曲げ加工部３５を有しており、これらの曲げ加工部３５は、線材２７〜３０をステータ１３の接続ピン１７に接続するために役立つ。巻線ストランド毎に３つの並列コイル１２を備えた３相巻線又はスリーストランド巻線１１に対応して、線材２７〜２９はそれぞれ３つの曲げ加工部３５を有しており、線材３０は巻線ストランドの中性点を形成するために合計９つの曲げ加工部３５を有している。真ん中の２つの溝２４，２５に挿入される、線材２８，２９に設けられた曲げ加工部３５は、それぞれ溝２４，２５の溝上縁部を越えて半径方向で接続ピン１７に向かってガイドされており、上側の溝２３若しくは下側の溝２６に挿入される線材２７，３０に設けられた曲げ加工部３５は、それぞれ溝開口２３１；２６１を介して側方に導出されてから軸方向に曲げられており、これによって接続ピン１７の平面に到達することができる。曲げ加工部３５と接続ピン１７との間の電気的な接続は、溶接、ろう接又は切断式端子によって行われる。択一的な実施例では接続ピン１７は省略可能であり、コイル端部１２１，１２２を曲げ加工部３５に直接に溶接することができる。

回路部材１０の支持体２０は、取付け部材に関して別の固定手段を有していてよい。緊締ウェブ３４は同時に、ステータ１３に対して回路部材１０をセンタリングするために役立つ。ステータ１３に回路部材１０を取り付ける際に、コイル１２のコイル端部１２１，１２２に曲げ加工部３５を自動的に正しく対応配置する位置固定部材を付加的に設けることができる。

勿論、説明した回路部材は９つのコイルを備えたスリーストランド巻線の回路接続に限定されるものではない。コイルを接続するための曲げられた線材及びこれらの線材に設けられる曲げ加工部の数を適宜適合させると、任意のストランド数及びコイル数を備えたあらゆる巻線が回路接続可能である。

小型ブラシレスモータのステータの巻線のための、ステータに対応配置された回路部材の平面図である。 図１に示した回路部材の分解図である。 図１に示した回路部材を下から見た分解図である。

Claims (13)

1. 電気機械の、複数のコイル（１２）から構成されたマルチストランド巻線（１１）のための回路部材であって、絶縁材料から成る支持体（２０）と、該支持体（２０）に配置された、コイル（１２）間に回路接続を生ぜしめるための電気的な導体ストリップとが設けられている形式のものにおいて、
   電気的な導体ストリップが曲げられた線材（２７〜３０）として構成されていることを特徴とする、電気機械の巻線のための回路部材。
2. 線材（２７〜３０）が、部分的に半径方向で且つ部分的に軸方向で互いにずらされて支持体（２０）に形成された同心的な溝（２３〜２６）に収容されている、請求項１記載の回路部材。
3. 溝（２３〜２６）における線材（２７〜３０）の固定が、絶縁材料から成る２つの環状のカバー部材（３１，３２）によって行われており、これらのカバー部材が、それぞれ支持体（２０）の上面及び下面に被せ嵌められて支持体と固着結合されている、請求項２記載の回路部材。
4. 支持体（２０）の下面に配置されたカバー部材（３２）に、機械内での空間固定用の固定手段が設けられている、請求項３記載の回路部材。
5. 上側の溝（２５）が上側のカバー部材（３１）によって被覆されており且つ下側の溝（２６）が下側のカバー部材（３２）によって被覆されており、上側のカバー部材（３１）が、周方向でずらされて軸方向下向きに突出した閉鎖体（３３）を有しており、これらの閉鎖体が、互いに半径方向でずらされた真ん中の２つの溝（２４，２５）に支持される、請求項３又は４記載の回路部材。
6. 線材（２７〜３０）がその延在部に、巻線（１１）のコイル（１２）のコイル端部（１２１，１２２）を接続するための曲げ加工部（３５）を有している、請求項１から５までのいずれか１項記載の回路部材。
7. 曲げ加工部（３５）が、部分的に溝上縁部を越えて、側方溝開口（２３１，２６１）から部分的に半径方向で溝（２３〜２６）から導出されている、請求項６記載の回路部材。
8. 支持体（２０）に、接続端子（３７〜３９）を備えた端子盤（３６）が配置されており、線材（２７〜２９）の各１つの線材端部が前記接続端子（３７〜３９）と接続されている、請求項１から７までのいずれか１項記載の回路部材。
9. 支持体（２０）が円形のプラスチックリングとして形成されており、該プラスチックリングに溝（２３〜２６）が一体に加工形成されている、請求項２から８までのいずれか１項記載の回路部材。
10. 電気機械のためのステータであって、ステータボディ（１４）と、該ステータボディに封入される、複数のコイル（１２）から構成されたマルチストランド巻線（１１）とを備えている形式のものにおいて、
    請求項１記載の、コイル（１２）を接続する回路部材（１０）が設けられていることを特徴とする、電気機械のためのステータ。
11. 回路部材（１０）がステータボディ（１４）の一方の端面に配置されており、支持体（２０）に形成された固定手段が、支持体（２０）の周面にずらされて配置された緊締ウェブ（３４）によって形成されており、これらの緊締ウェブが半径方向で摩擦接続式でステータボディ（１４）の内壁に当て付けられている、請求項１０記載のステータ。
12. コイル（１２）のコイル端部（１２１，１２２）が、ステータボディ（１４）の端面において該ステータボディから軸方向で突出する接続ピン（１７）に配置されており、これらの接続ピン（１７）が、回路部材（１０）の線材（２７〜３０）に設けられた曲げ加工部（３５）と導電接続されている、請求項１０又は１１記載のステータ。
13. コイル（１２）が、ステータボディ（１４）の帰路リング（１５）から半径方向で突出するステータ歯（１６）に巻き付けられたリングコイルとして形成されている、請求項１から１２までのいずれか１項記載のステータ。

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