JP2006507003A - 二重鎖プロモーターの一本鎖をコードするプライマーの使用法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、二重鎖プロモーターの一本鎖をコードするプロモータープライマーを用いて環状の一本鎖DNA転写基質を得ることによる、標的配列に対応する転写産物を産生させるためのRNAポリメラーゼの使用のための方法、組成物およびキットを提供する。本発明には、mRNAに対応するcDNAの調製、センスプローブもしくはアンチセンスプローブの作製、遺伝子特異的もしくは生物特異的な配列の検出、またはRNAiの作製のような、研究用途、診断用途および治療用途のための幅広い適応性がある。

Description

発明の分野
本発明は、概して二重鎖プロモーターの一本鎖をコードするプロモータープライマーを用いて環状の一本鎖DNA転写基質を得ることによる、標的配列に対応する転写産物を産生させるためのRNAポリメラーゼの使用のための方法、組成物およびキットに関する。本発明には、mRNAに対応するcDNAの調製、センスもしくはアンチセンスプローブの作製、遺伝子特異的もしくは生物特異的な配列の検出、またはRNAiの作製のような、研究用途、診断用途および治療用途のための幅広い適応性がある。
関連出願の相互参照
本願は、2002年11月21日に出願された米国特許仮出願第60/428,013号の優先権を主張するものである。全ての優先出願の開示の全体が、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし。
発明の背景
関連技術の説明
標的配列を、以下に限定されることはないが、T7 RNAポリメラーゼプロモーターもしくは他のT7型RNAポリメラーゼプロモーターのような転写プロモーターの下流でクローニングベクターに挿入して、得られたクローンを転写条件下で、それぞれのプロモーターを認識するRNAポリメラーゼとインキュベートするか、またはそのクローンを、RNAポリメラーゼを発現できる宿主細胞に形質転換する場合に、標的配列をインビトロまたはインビボで転写できることは、当技術分野においてよく知られている(例えば、Studier, FW et al., pp. 60-89 Methods in Enzymology, Vol. 185, Goeddel, DV編, Academic Press, 1990(これは参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)。適当な条件下で、この系を用いて、遺伝子を含む標的配列がコードするタンパク質をインビトロにおいてまたは、インビボにおいて、適当な宿主細胞で発現させることもできる。
一つまたは複数の標的核酸配列を転写することが有益である理由は多い。例えば、インビトロ転写は、異なる条件または刺激に対する反応で、特定のタイプ 対 別のタイプまたは特定のタイプ 対 類似のタイプの細胞における遺伝子の発現をプロファイルするために、試料中のmRNA配列に対応するプローブを作製する方法で用いられることが多い。同時遺伝子発現のプロファイリングは、通常、数百または数千までの異なる遺伝子に対する配列が表面に結合されているアレイまたはマイクロアレイに、一つまたは複数の試料から調製した標識済みのプローブを同時にハイブリダイズさせることにより行われる。場合によっては、特定の遺伝子の発現または発現の喪失が、以下に限定されることはないが、ガンのような、病状の存在または状態と相関するか、またはその存在または状態の徴候となる可能性がある。
そのような目的で標的配列に対応するプローブを作製するための数多くの方法が当技術分野において知られている。遺伝子発現プロファイリング用のプローブを作製するためのインビトロ転写を含む方法の例が、以下に記載されている。
Figure 2006507003
さらに他の方法では、病気の原因因子となる、ウイルス病原体もしくは細菌病原体のような、病原体の存在を検出するために、または医療目的で病気もしくは病態と関連する遺伝子配列を検出するために、一つまたは複数の標的核酸配列を増幅して検出するためのプロセスの一部分としてインビトロ転写を用いている。この目的でインビトロ転写を用いる方法の例には、
Figure 2006507003
が含まれる。
転写のための一本鎖鋳型DNAの使用は一般的ではない。しかしながら、Milligan et al.(Nucleic Acids Res., 15: 8783-8798, 1987)により、一本鎖鋳型DNAに二重鎖の-17〜+1のT7プロモーター領域が含まれる場合には、T7 RNAポリメラーゼを用いてRNAを合成するのに、二本鎖鋳型DNAが必要とされないことが示された。また、相補的なプロモーター配列にアニーリングさせることにより固体支持体に非共有結合で固定化された一本鎖鋳型DNAを用いて、RNAを合成するための方法がU.S. Pat. No. 5,700,667に開示されている。さらに、Aono Toshiya et alの特許第JP4304900号には、二重鎖T7 RNAポリメラーゼプロモーターを有する環状の一本鎖の鋳型を用いたRNAの合成が開示されている。第JP4304900号に開示されている転写のための環状の基質は、直線状プローブが試料中の標的配列にアニーリングする場合に、隣接する標的相補的な3'末端配列と5'末端配列とを有する直線状プローブのライゲーションにより得られる。
それでもなお、標的核酸配列の複製によりプローブまたは転写基質を得る上記の方法の全てに、二本鎖鋳型に操作可能に連結された二重鎖転写プロモーターを含む直線状の二本鎖DNAの合成が含まれる。
標的配列の複製によりプローブまたは転写基質を得る当技術分野における方法に二本鎖鋳型DNAが使用されてきた理由は、これらの方法に対するプロセスが詳細に調べられる場合に理解される。例えば、Van Gelder et al.によりU.S. Patent Nos. 5,545,522; 5,716,785; および5,891,636に記載されている方法では、プロモータープライマーを用いて、二本鎖の転写基質を合成している。まず初めに、一つまたは複数のmRNA標的配列に相補的である3'末端部分の5'にあるプロモーター配列を含んだ、プロモータープライマーを使用して、mRNA標的を逆転写する。次いで、RNAまたは第一鎖cDNAのヘアピンをプライマーとして用い、第二鎖cDNAを合成する。RNAポリメラーゼは鋳型鎖を5'から3'方向に転写するので、この方法によるプロモータープライマーを用いて、プロモーター配列を標的配列に正しい方向で連結することができる唯一の方法は、プロモータープライマーのプロモーター配列を第二鎖cDNAの3'末端に複製することである。すなわち、このプロモータープライマーのプロモーター配列は、第二鎖cDNAを鋳型として用い、RNAの転写を導く。従って、転写の鋳型鎖は、試料中のmRNA標的配列と同一のWatson-Crick塩基対合配列を有しており、転写産物にはアンチセンスRNAが含まれる。Van Gelder et alのプロモータープライマーで使用される一本鎖のプロモーター配列(これは機能的な二重鎖プロモーターの片鎖となる)は、本明細書では「アンチセンスプロモーター」と呼ばれ、対応するプロモータープライマーは、本明細書では「アンチセンスプロモータープライマー」と呼ばれる。同様に、鋳型鎖に操作可能に連結される二重鎖プロモーターのプロモーター配列は、本明細書では「センスプロモーター配列」と呼ばれ、この配列を含むプロモータープライマーは、「センスプロモータープライマー」と呼ばれる。
本発明により、一つには、標的配列に対応する転写産物を得るためにセンスプロモータープライマーを使用するための新しい方法が提供される。この方法により、標的配列をコードする一本鎖の鋳型DNAであって、機能的な二重鎖プロモーターに操作可能に連結された鋳型ssDNAを含む転写基質が産生される。本発明のさらなる局面は、以下の詳述から理解されると思われる。
発明の概要
当技術分野における方法では、アンチセンスプロモータープライマーを使用するのに対して、本発明のいくつかの態様により、センスプロモータープライマーを使用する方法が提供される。従って、一例として、転写に使用するプロモーター配列またはそれぞれのRNAポリメラーゼに関して本発明を限定するわけではないが、U.S. Patent Nos. 5,545,522; 5,716,785; および5,891,636のプロモータープライマーで使用されているアンチセンスT7プロモーター配列および+1塩基は以下である。
Figure 2006507003
本発明のいくつかの態様のプロモータープライマーで使用できる対応するセンスT7プロモーター配列および+1塩基は以下である。
Figure 2006507003
本発明により、環状の転写基質の転写により試料中の標的核酸配列に対応する転写産物を産生させるための方法、組成物およびキットが提供される。図1に示されるように、環状の転写基質を得る方法の最初の段階は、標的配列を鋳型として用いた、センスプロモータープライマーのプライマー伸長である。得られたセンスプロモーターを含む第一鎖cDNAを次に、ライゲーション条件下でリガーゼを用いてライゲーションして、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得る。環状の転写基質は、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAとの相補的なアンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより得られる。環状の転写基質には、標的配列に対応する一本鎖の鋳型に操作可能に連結された二重鎖の転写プロモーターが含まれる。
本発明には、直線状の転写基質を得るための方法も含まれる。図2に示される、一つの態様の場合、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNA(上記のように得られた)を下記の方法により直線化する。その後、得られたセンスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを次いで、アンチセンスプロモーターオリゴと複合体化させて、直線状の転写基質を得る。または、環状の転写基質を直線化して、一本鎖の鋳型に操作可能に連結された二重鎖の転写プロモーターを含む直線状の転写基質を得ることができる。環状および直線状双方の転写基質を使用して、標的核酸配列に対応する転写産物を産生させることができる。
本発明には、転写基質の転写から得られる転写産物の量を増幅させるための方法も含まれる。図3に示される、一つの態様では、最初の転写基質の転写から得られる転写産物を用い、本明細書に記載の本発明の方法によるセンスプロモータープライマーを用いてさらなる転写基質を産生させる。
本発明には、センスプロモーターを含む第一鎖または第二鎖cDNAとのアンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより転写基質を得る方法の態様も含まれる。この態様では、表面に付着されたまたは固定化されたアンチセンスプロモーターオリゴを含むオリゴヌクレオチドを使用し、その際に、センスプロモーターを含む第一鎖または第二鎖cDNAは固定化されたアンチセンスプロモーターオリゴと複合体化して、標的核酸に対応する転写産物を得るのに使用される固定化された転写基質を得る。アンチセンスプロモーターオリゴの固定化により、尿試験紙、アレイおよび同様のものを用いた方法およびアッセイ法が可能になる。標的配列に対応する転写産物を検出するための固定化された環状のまたは直線状の転写基質の使用方法は、それぞれ図4および図5に示されている。
第一鎖cDNAの合成をプライミングするセンスプロモータープライマーと鋳型として標的核酸とを使用することにより転写基質を得る場合、転写基質の転写により、結果的にセンス転写産物が得られる。
しかしながら、本発明のいくつかの態様では、アンチセンス転写産物が得られる。アンチセンス転写産物を得るための一つの方法が図6に示されている。手短に言えば、この方法では、第一鎖cDNAの合成をプライミングするためにアンチセンスプロモーター配列を含むプライマーを使用する。次いで、ライゲーションにより第一鎖cDNAを環状化した後、鎖置換プライマーと鎖置換DNAポリメラーゼとを用いたローリングサークル複製により、鎖状体の第二鎖cDNAが得られる。第二鎖cDNAには、センスプロモーター配列が含まれる。センスプロモーター配列とのアンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより、標的核酸の標的配列に対するアンチセンス転写産物の転写が可能になる。
別の態様(図示せず)において、センスプロモータープライマーを本発明により使用して、アンチセンス転写産物の合成のための転写基質を得る。本発明のこれらの態様において、標的配列を含む標的核酸に相補的な第一鎖cDNAの合成は、プロモーター配列がないプロモーターを用いて行われる。第一鎖cDNAの配列が既知である場合、第一鎖cDNAの特定の3'配列に相補的な配列を3'末端に有するセンスプロモータープライマーを次に使用して、第二鎖cDNAの合成をプライミングすることができる。または、第一鎖cDNAは「尾部付け(tailed)」されてもよく、標的配列に相補的ではない付加配列を当技術分野において知られている方法(例えば、U.S. Patent No. 5,962,272およびSchmidt, WM and Mueller, MW, Nucleic Acids Res., 27: e31, 1999)のようなまたは本明細書に記載されているような、方法を用いて第一鎖cDNAの3'末端に付加することができる。第一鎖cDNAの3'末端に付加される付加配列は、本発明のセンスプロモータープライマーをアニーリングさせるための固有のプライミング部位として使用することができる。センスプロモータープライマーを結合させるための尾部および/または付加配列は、第一鎖cDNAの3'末端の配列が未知である場合、またはセンスプロモータープライマーが標的核酸を含む複数の標的配列の合成をプライミングするのに(例えば、試料中の実質的に全てのmRNA分子に対応する第一鎖cDNAの合成をプライミングするのに)使用される場合、特に有用である。第一鎖cDNAを鋳型(存在する場合、尾部または付加配列を含む)として用いたセンスプロモータープライマーのプライマー伸長により、センスプロモーターを含む第二鎖cDNAの合成が起こり、これを使用し、ライゲーション条件下でリガーゼを用いてライゲーションすることによりセンスプロモーターを含む環状の第二鎖cDNAを得ることができる。次いで、本発明の環状の転写基質は、センスプロモーターを含む環状の第二鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせることにより得ることができる。環状の転写基質を本明細書に記載の方法により直線化して、直線状の転写基質を得ることができる。または、センスプロモーターを含む環状の第二鎖cDNAを直線化し、その後、アンチセンスプロモーターオリゴにアニーリングさせて、直線状の転写基質を得ることができる。得られた環状のまたは直線状の転写基質の転写により、始めの標的核酸に対してアンチセンスな転写産物である転写産物が産生される。
本発明のさらに別の局面は、限定するわけではないが、タンパク質、糖質、核酸または他の分析物を含む、任意のタイプの分析物を検出するおよび/または定量化するためのシグナル伝達系である。本発明のこの局面の態様では、RCTシグナルプローブまたはLINTシグナルプローブを含む、シグナルプローブを使用する。このプローブには、アンチセンスプロモーター配列を含むオリゴヌクレオチドに連結された分析物結合物質を含んだABSオリゴを検出するおよび/または定量化するためにシグナルの鋳型の3'末端に連結されたセンスプロモーターが含まれる。シグナルプローブ-ABSオリゴの転写から、試料中の分析物の存在および/または量が示される。本発明のこの局面では、試料中の標的配列をコピーすることにより鋳型配列を得るわけではない。むしろ、分析物を検出するおよび/または定量化するためにRNAポリメラーゼにより転写される鋳型は、分析物結合物質に対するおよび分析物に対する「シグナル」として役立つ。シグナルプローブを使用する本発明の態様により、以下に限定されることはないが、図7および図8に図解されているもののような、単純なアッセイ法および方法が可能になる。
発明の詳細な説明
本発明は、試料中のまたは試料由来の一つまたは複数の標的核酸配列に対応するRNAを合成するための新しい方法、組成物、およびキットに関する。標的配列には、任意の供給源由来のRNAまたはDNAを含有する一つまたは複数の標的核酸の少なくとも一部分が含まれることができる。限定する目的ではなく、一例として、本発明の方法を用いて転写される標的核酸配列には、試料中の1種類から実質的に全種類のmRNA分子に対応する一本鎖cDNAが含まれることができる。または、転写される標的核酸配列には、特定生物のゲノムDNA中の特定配列が含まれることができる。本発明は、転写のための一本鎖の鋳型に操作可能に連結された二重鎖プロモーターを含む環状のDNA転写基質を得るための方法を提供することにより、当技術分野における不備を克服して、所望の配列のRNAを合成するための独自のシステムを提供する。環状の転写基質を使用して、アレイもしくはマイクロアレイを用いた発現実験のための、RNase保護実験のための、インサイチューハイブリダイゼーション実験のための、サザンおよびノザンブロット解析のための、特定のRNA:DNAハイブリッドの合成のための、RNA干渉のための、インビトロ翻訳のための、マイクロインジェクションのための、または核酸増幅のためのプローブとして用いるRNAを合成することができる。本発明により、これらのまたは他の用途のため、誘導体化されたRNAの合成も可能とされる。
概して、本明細書に記載のRNAまたは転写産物のプローブは、対応する遺伝子の発現の検出のための液相ハイブリダイゼーションの試薬としても、ならびに固相を用いる態様においても有用であると想定される。固相を含む態様の場合、試験DNA(またはRNA)は、選択の基材または表面に吸着されるかまたは別の方法で付着される。この固定化された、一本鎖核酸を次に、所望の条件下での選択プローブとのハイブリダイゼーションにかける。選択される条件は、必要とされる特定の基準に基づいた特定の環境に依存する(例えば、G+C含量、標的核酸のタイプ、核酸の供給源、ハイブリダイゼーションプローブのサイズ等に依存する)ものと思われる。ハイブリダイズされた表面を洗浄して、非特異的に結合したプローブ分子を除去した後、ハイブリダイゼーションが、標識を用いて検出されるか、場合によっては定量化される。
標的核酸配列に対応する転写産物の産生方法
本発明の一つの局面には、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物の産生方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
(a) 標的核酸を得る段階;
(b) センス転写プロモーターを含む5'末端部分と標的に相補的な3'末端部分とを含む、センスプロモータープライマーを得る段階;
(c) 標的核酸とセンスプロモータープライマーとの複合体を形成させるため、センスプロモータープライマーを標的核酸とアニーリングさせる段階;
(d) 標的配列に相補的な第一鎖cDNAを得るため、ポリメライゼーション反応条件下で、標的核酸とセンスプロモータープライマーとの複合体をDNAポリメラーゼと接触させる段階;
(e) 第一鎖cDNAを得る段階;
(f) センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、ライゲーション条件下で、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
(g) アンチセンスプロモーターオリゴを得る段階;
(h) 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
(i) 環状の転写基質を得る段階; および
(j) 転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させて、その際に転写産物を得る段階。
本発明は、転写プロモーターのセンス鎖を5'末端部分におよび標的相補的な配列を3'末端部分にコードする配列を含むセンスプロモータープライマーによる標的配列上でのプライマー伸長によって得られるプライマー伸長産物の環状化により得られる環状の転写基質を用いて転写産物を合成する任意のポリメラーゼの使用を含み、およびその際に、センスプロモーターは、センスプロモーター配列をプライマー伸長産物の3'末端にライゲーションして、センスプロモーター配列に相補的なアンチセンスプロモーター配列をその中に含むオリゴと得られた環状のssDNAとを複合体化することにより、標的配列を含むプライマー伸長産物に操作可能にまたは機能的に結合されるかまたは連結される(但し、一本鎖のセンス擬似プロモーターが二重鎖プロモーターのセンス鎖の代わりにプロモータープライマーに使用される場合を除く)。このように、本発明の方法では、適当なセンスプロモーター配列が知られているかまたは得られる任意のRNAポリメラーゼを使用することができる。
本発明の好ましいプロモーターには、T7型RNAポリメラーゼに対するプロモーターが含まれる。「T7型RNA」とは、T7、T3、φ、φIIH、W31、gh1、Y、A1122、SP6およびミトコンドリアRNAPのほかに、以下に限定されることはないが、T7 RNAP Y639F変異酵素、T3 RNAP Y573F変異酵素、SP6 RNAP Y631F変異酵素、639位および784位の双方でアミノ酸が改変されたT7 RNAP、573位および785位の双方でアミノ酸が改変されたT3 RNAP、もしくは631位および779位の双方でアミノ酸が改変されたSP6 RNAP、または本発明の方法で機能するRNAPの他の変異型のような、これらのRNAPの変異型
Figure 2006507003
も指す。
本発明のセンスプロモーターには、本発明の方法で機能するように、RNAポリメラーゼ(RNAP)により認識される一本鎖の擬似プロモーターまたは合成プロモーターも含まれる。本発明の「擬似プロモーター」または「合成プロモーター」は、プロモーターを特異的に結合するRNAポリメラーゼによるインビトロ転写のプロモーターとして機能的となるように同定されるおよび/または選択される任意の一本鎖配列であって、転写反応でRNAポリメラーゼのプロモーターとして機能するものとすることができる。すなわち、RNAポリメラーゼにより認識される一本鎖の擬似プロモーターまたは合成プロモーターは、シグナルプローブ(これは参照により本明細書に組み入れられる)を使った本発明の局面には適していない。ファージN4 vRNAPに対する一本鎖プロモーターをいくつかの態様で使用することもでき、その場合には、野生型または変異型のN4 ミニvRNAPを、本明細書の他の箇所に論じられている方法またはキットにおいて使用する。
擬似プロモーターまたは合成プロモーターを本発明の方法またはアッセイ法で使用する場合には、対応するRNAポリメラーゼ(これに対してその擬似プロモーターまたは合成プロモーターを同定および/または選択した)をその方法において使用する。限定する目的ではなく、一例として、ssDNAの擬似プロモーターを含むセンスプロモーターは、Ohmichi et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:54-59, 2002(これは参照により本明細書に組み入れられる))により報告されているように得ることができ、大腸菌(E. coli)RNAPまたはT7型ファージ RNAPを使用する本発明の方法またはアッセイ法のセンスプロモータープライマーに使用することができる。一本鎖の擬似プロモーターまたは合成プロモーターを本発明のセンスプロモータープライマーに使用する場合、本発明の方法を用いて得られた環状のセンスプロモーターを含む一本鎖cDNAには、アンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせるまでもなく、環状の転写基質が含まれる。従って、これらの態様の場合、アンチセンスプロモーターオリゴは必要とされない。ファージN4 vRNAPに対する一本鎖プロモーターをいくつかの態様で使用することもでき、その場合には、野生型または変異型のN4 ミニvRNAPを、本明細書の他の箇所に論じられている方法またはキットにおいて使用するが、それらの態様の場合、アンチセンスプロモーターオリゴは必要とされない。
A. 定義および一般法
1. 転写産物
本明細書では「転写産物」という用語は、RNAを含むことができ、または、以下に限定されることはないが、T7 RNAP Y639F変異酵素もしくは639位および784位の双方でアミノ酸が改変されたT7 RNAP
Figure 2006507003
を含む、本発明のある種のポリメラーゼが、5-アリルアミノ-UTPのような塩基置換リボヌクレオチド、またはdNTPもしくは2'-置換2'-デオキシリボヌクレオチド、例えば、以下に限定されることはないが2'-フルオロ-、2'-アミノ-、2'-メトキシ-、もしくは2'-アジド-置換2'-デオキシリボヌクレオチドのような標準的ではないヌクレオチド基質を用いる能力という観点から、転写産物にはRNAのほかに、DNAもしくは修飾DNA、もしくは修飾RNA、またはその混合物を含めることができる。転写産物は、必ずしも標的配列と完全な配列の相補性または同一性を有する必要はない。例えば、転写産物は、デオキシイノシンまたはデオキシウリジンのようなヌクレオチド類似体、標的配列にハイブリダイズするが、しかし相補的ではない配列を含むプライマーおよび/または転写の間に起こる配列の誤りを介して導入される配列変化のような、意図的な配列変化を含むことができる。
また、さまざまな理由のため、本発明の核酸またはポリヌクレオチドには、一つまたは複数の修飾核酸塩基、糖成分、またはヌクレオシド間の結合が含まれてもよい。一例として、修飾塩基、糖成分、またはヌクレオシド間の結合を含んだ核酸またはポリヌクレオチドを使用する理由のなかには、以下に限定されることはないが: (1) Tmの変更; (2) 一つまたは複数のヌクレアーゼに対するポリヌクレオチドの感受性の変更; (3) 標識を付着させる部分の供与; (4) 標識もしくは標識に対する失活剤の供与; または(5) 溶液中に存在するかまたは表面に結合する別の分子に結合させるための、ビオチンのような、成分の供与が含まれる。
2. 試料/標的/標的核酸/標的配列
本発明による「試料」または「生物試料」は、その最も広い意味で使用される。試料は、生物源もしくは環境源から回収されるか若しくはそれらと関連する任意の検体であるか、または全部もしくは一部であろうと、および生死を問わず、生体物質を含んだ任意の検体である。
生物試料は、植物もしくは動物(ヒトを含む)の、体液(例えば、血液もしくは血液分画、尿、唾液、痰、脳脊髄液、胸膜液、乳液、リンパ液、または精液)、ぬぐい分泌液(頬のまたは頸部のぬぐい分泌液)、固形物(例えば、糞便)、微生物培養物(例えば、細菌、真菌、寄生虫、原虫、もしくはウイルスの平板培養物または液体培養物)、または細胞もしくは組織(例えば、新鮮なもしくはパラフィン包埋組織切片、毛嚢、マウス尾部断片、葉、もしくはヒト、動物、植物の一部、細胞成分画分もしくは細胞抽出物を含む、微生物の、ウイルスの、もしくは他の細胞、組織、器官または生物全体)のほかに、乳製品、野菜、肉類および肉類副産物、ならびに廃棄物のような液体と固体の食料および飼料および食料成分と飼料成分であってもよい。生物試料は、さまざまな科の家庭内植物または家畜、ならびに野生動物または野生植物の全てから得てもよい。
環境試料には、表面物質のような環境材料、土壌、水、空気、または産業試料のほかに、食品加工および乳加工の機器、装置、設備、器具、使い捨て用品および非使い捨て用品から得られる試料も含まれる。これらの例は、本発明に適用できる試料のタイプを限定するものと解釈されるべきではない。
要約すると、試料には、天然に存在する標的核酸を含むかまたは含むと思われる任意の供給源から得られる検体が含まれる。
本発明のアッセイ方法を行う試料は、血清または他の体液、組織培養液もしくは食品原料のような、生体物質の生検体とすることができる。より典型的には、その方法は、標的核酸またはその増幅産物の検出を妨害すると思われる物質を除去するための種々の処理によって生検体から得られる、処理済みの検体である試料に対して行われる。本発明のアッセイ方法により適した試料を得るための生試料の処理方法は、当技術分野においてよく知られている。
「分析物」とは、試料中の存在、濃度または量がアッセイ法で測定されている物質を指す。分析物は、アッセイ法の「標的物質」または「標的分子」または「標的分析物」と呼ばれることもある。分析物は同様に、より具体的に呼ばれるかもしれない。本発明の態様は、天然に存在する核酸である分析物に関し、分析物は、具体的事例に応じて、「標的核酸」または「標的ポリヌクレオチド」または「標的オリゴヌクレオチド」または「標的配列」と呼ばれるかもしれない。本発明の組成物、キット、または方法を「分析物特異的試薬」に使用して、試料中の標的核酸の分析物もしくは別の分析物または分析物を結合する物質を検出することができる。
本発明に関して、分析物は、分析物が存在する場合およびこの場合にだけ試料中に存在する生物学的実体と関連することが多い。そのような生物学的実体には、ウイロイド(分析物は、例えば、核酸またはその断片である); ウイルス(分析物は、例えば、ウイルスゲノム、またはウイルスゲノムの断片である); 他の微生物(分析物は、例えば、微生物のゲノムまたはRNAの断片である); ガン細胞のような異常細胞(分析物は、例えば、ガン遺伝子である); または異常遺伝子(分析物は、例えば、遺伝子を異常にさせる改変塩基を含んだ遺伝子断片、または異常遺伝子から転写された結果として改変塩基を含んだ伝令RNA断片である)が含まれる。
分析物の記載から、本発明には、例えば、核酸プローブのハイブリダイゼーションアッセイ法が頻繁に使用される用途において、広範な適用性があるのは明らかである。従って、他の用途の中でも特に、本発明は、植物およびヒトを含む動物の病気を診断する際に; ならびに汚染がないか、食品、血液、および組織培養物のような製品を試験する際に有用である。
本発明の「標的」は、生物学的アッセイ法または診断アッセイ法が行われる理由または根拠となる生体または生体物質である。限定する目的ではなく、一例として、本発明のアッセイ法を行って、現在の病気もしくは将来の病気の危険性を示すウイルスである標的(例えば、AIDSを引き起こすと考えられているHIV)、または抗生物質耐性を示す遺伝子である標的(例えば、感染性病原菌の抗生物質耐性遺伝子)、または、存在しない場合に、病気を示し得る遺伝子である標的(例えば、必須遺伝子の欠失)を検出することができる。本発明によるアッセイ法を開発するうえで、標的の存在または状態に関連して意味があるとするのに十分に特異的な、正確な、および高感度なアッセイ結果をもたらす標的分析物を同定することが重要である。
「標的ポリヌクレオチド」または「標的核酸」である標的分析物は、少なくとも一つの核酸分子または少なくとも一つの核酸分子の一部分を、その分子または複数の分子がDNA、RNA、またはDNAとRNAの双方であるかにかかわらず含み、その際に、分子のそれぞれが、少なくとも部分的に、確定したヌクレオチド配列を有する。標的ポリヌクレオチドは、以下に限定されることはないが、プライマー、スプライス鋳型オリゴ、ライゲーション用スプリントオリゴ、捕捉プローブまたは検出プローブのような、アッセイ法で使用される他の分子と少なくとも部分的な相補性を有することもできる。標的ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってよい。本発明の標的ポリヌクレオチドは、任意の長さのものであってよい。しかしながら、これには、その使用目的に対して有用となるように十分な配列特異性および長さのポリヌクレオチド配列が含まれていなければならない。限定する目的ではなく、一例として、配列相補的な検出プローブを用いて検出される標的核酸は、標的ポリヌクレオチドではない配列がハイブリダイズされないハイブリダイゼーションアッセイ条件下で、検出プローブがハイブリダイズしたままとなるように十分な配列特異性および長さの配列を持っていなければならない。本発明のアッセイ法に対して十分な配列特異性および長さを有する標的ポリヌクレオチドは、当業者に知られる方法を用い、標的に対しておよび試料中に存在し得る他の配列に対して知られる核酸配列の比較および分析により同定することができる。例えば、多くのウイルス、細菌、ヒトの核酸に対する(例えば、遺伝子および伝令RNAに対する)配列、および多くの他の生体の核酸に対する配列は、公的または私的データベースを用いて探索することができ、ならびに配列比較、折り畳み構造、およびハイブリダイゼーションの融解温度(すなわち、Tm値)は、当業者に知られるコンピュータソフトウェアを使って得ることができる。
「標的核酸の供給源」または「標的ポリヌクレオチドの供給源」という用語は、天然に存在する標的の核酸、RNAまたはDNAを含んだ任意の試料を指す。
従って、本発明の方法は、未精製の核酸、または以下に限定されることはないが、各種の「スピン」カラム、カチオン性の膜およびフィルター、もしくは塩析沈殿法(これらに対し、いろいろな製品が市販されている(例えば、Epicentre Technologies, Madison, WI, USAのMasterPure(商標) DNA & RNA精製キット))のような、当技術分野におけるいずれかの適当な方法を使って精製された核酸を含む、さまざまな供給源から得られる核酸に対して行うことができる。本発明の方法は、ウイロイド、ウイルスまたは検体の細胞から単離されて、尿試験紙の固体支持体およびマイクロタイタープレートのウェルの内壁を含む、Gillespie and Spiegelman(J. Mol. Biol. 12:829-842, 1965)により報告されているような固体支持体に沈着された核酸に対して行うこともできる。この方法は、検体から単離されて、「ドット」ブロッティング
Figure 2006507003
により固体支持体に沈着された核酸と行うこともできる。この方法は、膜に、スライドに、またはアレイもしくはマイクロアレイのようなチップにスポットされた核酸に対して行うこともでき、またはこの方法は、これらの表面の一つにスポットされたか若しくはその一つで合成された核酸とのハイブリダイゼーションに基づいて、試料中に存在する核酸を検出するか若しくは定量化するためのプローブを調製するために行うことができる。検体の核酸は、水相のハイブリダイゼーション(Britten, and Kohne, Science 161:527-540, 1968)および水/有機中間相のハイブリダイゼーション(Kohne, et al., Biochemistry 16:5329-5341, 1977)に適用された本発明の方法によりアッセイすることもできる。水/有機中間相のハイブリダイゼーションは、非常に速い反応速度で進行するという利点があるが、ビオチンのような、有機相に可溶性の結合成分が核酸親和性分子に結合されている場合には適していない。
本発明の方法は、天然に存在する標的核酸の増幅によって得られる増幅産物に対して行うこともできる。但し、標的核酸中の標的配列は、使用する方法により、標的核酸が試料中に存在する場合にだけ増幅されることを条件とする。適当な増幅方法には、以下に限定されることはないが、
Figure 2006507003
が含まれる。別の増幅方法の産物である核酸を本発明のアッセイ法のための標的核酸として使用するのは、以下に限定されることはないが、標的の高感度検出、高い特異性を得るため、またはアッセイ結果を得るのに必要とされる時間を減らすためのような、さまざまな理由がある。
本発明の方法は、検体から単離されて、ドットブロッティングにより、あるいはマイクロタイタープレートのウェルの壁へのまたは、尿試験紙の、膜の、スライドの、またはアレイもしくはマイクロアレイのようなチップの固体支持材への吸着により固体支持体に沈着された核酸に対して行うこともできる。
さらに、本発明の方法は、固定した切片もしくはパラフィン包埋切片のような標本由来の、またはレプリカプレートの細菌もしくは酵母のような、固体支持体に固定化された微生物由来の細胞全体の細胞性核酸の検出に適用できる。いくつかの態様において、本発明の方法を使用して、生細胞の標的核酸を検出するための標的配列に対応する転写産物を産生させることができる。
標的核酸は、任意の供給源から得た精製された形のまたは未精製の形の核酸とすることができる。例えば、DNAを含む標的核酸は、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、染色体、プラスミドもしくは他のエピソーム、細菌、酵母、ウイルス、ウイロイド、マイコプラズマ、カビ、もしくは他の微生物のゲノム、または真菌、植物、動物、もしくはヒトのゲノムのようなdsDNAまたはssDNAとすることができる。RNAを含む標的核酸は、限定ではなく、tRNA、mRNA、rRNA、ミトコンドリアRNA、葉緑体RNA、ミクロRNA、または他のRNA分子とすることができる。標的核酸は、以下に限定されることはないが、上記の核酸もしくはその断片の混合物、またはDNA-RNAハイブリッドを含む、DNAおよびRNAの混合物とすることもできる。標的核酸は、複雑な混合物、例えば、生体試料のほんの微量な画分とすることができ、当技術分野において知られる手順により種々の生体物質から得ることができる。さらなる精製が必要な場合には、特定の標的核酸を精製するための多数の方法が当技術分野において知られている。
「標的核酸配列」または「標的配列」という用語は、転写されて転写産物を産生する標的核酸の特定のヌクレオチド配列を指す。「標的配列」には、一つまたは複数の標的核酸中の一つまたは複数の配列が含まれる。標的配列は、特定の目的で、別のポリヌクレオチドとの標的配列の連結を容易にするため、本発明のいくつかの態様のプロセスの間に付加される「複合体化配列」を有することもできる。例えば、複合体化配列により、本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマーおよび/またはスプライスの鋳型)がアニーリングまたは複合体化できる相補配列を供与することができる。複合体化配列には、通常、以下に限定されることはないが、mRNAのキャップ構造で停止している逆転写酵素(マンガン陽イオンの存在下または非存在下における)による第一鎖cDNAへのdCMP残基の非鋳型(依存的)付加および/またはTdTを用いた制御リボヌクレオチドテーリングを含む、本明細書に論じられているもののような手段により付加される「尾部」配列が含まれる。複合体化配列が本発明の方法のプロセスの間に標的配列に付加される場合、複合体化配列は、得られた転写基質(標的配列を含有する)を用いて産生された転写産物の特異性に影響を与えないように選択されることが望ましい。
標的核酸は、一本鎖のまたは二本鎖のRNA、DNA、または混合したRNAおよびDNAとすることができる。標的核酸は、核酸のタイプによってより具体的に呼ばれることもある。限定する目的ではなく、一例として、標的核酸は、「標的RNA」もしくは「RNA標的」、または「標的mRNA」、または「標的DNA」もしくは「DNA標的」とすることができる。同様に、標的配列は「標的RNA配列」もしくは「RNA標的配列」と、または「標的mRNA配列」もしくは「標的DNA配列」、または同様のものと呼ばれることができる。いくつかの態様において、標的配列には、一つまたは複数の全標的核酸、例えば、特定試料中の一つまたは全ての完全長mRNA分子が含まれる。他の態様において、標的配列には、一つまたは複数の標的核酸分子の一部分だけが含まれる。標的核酸がもともと一本鎖である場合、「標的配列」という用語は、その「標的配列」に相補的な配列を指すようにも意図される。「標的核酸」がもともと二本鎖である場合、「標的配列」という用語は、方法の使用目的に応じて、配列もしくはその相補体の双方のセンス鎖、またはその双方を指すかもしれない。標的配列は、その実際の配列という点で、知られていてもまたは知られていなくてもよい。場合によっては、「標的配列」、「標的核酸」、「標的ポリヌクレオチド」という用語、およびその変化形は、同義的に使用される。
3. cDNA/第一鎖cDNA/第二鎖cDNA/逆転写酵素/RNaseH
本発明のいくつかの重要な態様において、転写基質の標的配列にはcDNAが含まれる。一般に、「cDNA」とは、鋳型として標的核酸の少なくとも一部分を用い、以下に限定されることはないが、RNA依存性DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素を含む、DNAポリメラーゼを用いるプライマー伸長により合成される「相補DNA」を指す。するとそのcDNAは、鋳型の標的核酸の少なくとも一部分と「相同性」または「塩基の対」となる。本発明のいくつかの態様(これらは好ましい態様である)において、cDNAは、逆転写酵素および生体試料から得た伝令RNA(mRNA)を含んだ標的核酸を鋳型として用いる逆転写プライマー伸長により得られる。するとそのcDNAは、そのmRNAに相同性となる。mRNAからのcDNAの産生と関連した当技術分野における方法には、異なる方法により逐次的に通常は合成される、第一鎖cDNAと第二鎖cDNAとを含む二本鎖cDNAの合成が含まれる。しかしながら本明細書では、本発明者らは、本発明の方法により、mRNAに相補的であるDNAの片鎖だけの合成に終わる場合でさえも「第一鎖cDNA」と呼ぶことが多い(すなわち、「第一鎖cDNA」という用語は、同じく第二鎖cDNAが存在するということを暗示するようには意図されない)。いくつかの態様において、「第一鎖cDNA」または「cDNA」という用語は、たとえmRNAでなくとも、任意のRNA分子の逆転写により得られる一本鎖DNA分子を指す。他の態様において、「第一鎖cDNA」または「cDNA」という用語は、一本鎖DNAまたは二本鎖DNAの片鎖を含む標的核酸を、DNAポリメリゼーション反応の鋳型として用いるプライマー伸長によって得られる一本鎖DNAを指す。
本発明のプロモータープライマーが標的配列のプライマー伸長に使用される場合、プロモータープライマーは得られる第一鎖cDNAの5'末端にある。たとえプロモータープライマーのプロモーター配列がセンスプロモーター配列であっても、その配列は、アンチセンスプロモーターオリゴとの複合体化により機能的な二重鎖プロモーターを得るために必要に応じて、標的配列の3'末端に操作可能に結合されない。従って、プロモータープライマーのプライマー伸長により得られる産物は、本明細書では、単純に「第一鎖cDNA」とまたは「第一鎖cDNAプライマー伸長産物」とまたは「プライマー伸長産物」と呼ばれる。しかしながら、いったんプロモーター配列がプライマー伸長により得られる標的配列の3'末端に連結されれば、得られる環状分子は、本明細書では、「センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNA」と呼ばれる。同様に、標的配列の3'末端にセンスプロモーターを有する直線状分子を得るために、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを直線化して得られる分子は、本明細書では、「センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNA」と呼ばれる。各々の環状または直線状の第一鎖cDNAにおいて標的配列の3'末端にセンスプロモーターの存在を指定するこれらの用語は、読者により、環状または直線状の転写基質が、それぞれ、各々の環状または直線状のセンスプロモーターを含む第一鎖cDNAにアンチセンスオリゴを複合体化させる(またはアニーリングさせる)ことにより得られると理解されるように使用される。
本明細書を読むことで、読者は、センスプロモーターオリゴを「アンチセンスプロモーターを含む第一鎖cDNA」にアニーリングさせることにより、転写基質を得ることはできないことを理解するものと思われる(センスプロモーター配列が鋳型鎖の標的配列の3'末端に連結されなければならないからである)。すなわち、機能的な二重鎖転写プロモーターは、アンチセンスプロモーターオリゴを鋳型鎖のセンスプロモーターに複合体化させることによってのみ得られる。従って、読者は、アンチセンスプロモーターを含む第一鎖cDNAの環状化では、センスプロモーターオリゴとの複合体化により転写基質を得ることができないことを理解するものと思われる。しかしながら、アンチセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAのローリングサークル型DNA複製により、鎖状体の「センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNA」をもたらし、これを使用して、アンチセンスプロモーターオリゴと複合体化させることで鎖状体の直線状転写基質を得ることができる。転写産物は、標的核酸に関して、アンチセンスな転写産物である。
「RNA依存性DNAポリメラーゼ」または「逆転写酵素」とは、鋳型RNAから相補DNAのコピー(「cDNA」)を合成できる酵素である。周知の全ての逆転写酵素は、鋳型DNAから相補DNAのコピーを産生する能力も有する。従って、これらは、RNA依存性およびDNA依存性双方のDNAポリメラーゼである。「鋳型」は、核酸ポリメラーゼによりコピーされる核酸分子である。核酸が二本の鎖を含んでいる(すなわち、「二本鎖」である)場合、ときには核酸が一本の鎖しか含んでいない(すなわち、「一本鎖」である)場合であっても、コピーされる鎖が「鋳型」または「鋳型鎖」である。合成されたコピーは、鋳型に相補的である。RNAもDNAも常に5'から3'方向に合成され、核酸二重鎖の二本の鎖は常に、二本の鎖の5'末端が二重鎖の反対端にあるように並べられる(であるから、当然、3'末端についても同様である)。DNAポリメラーゼによる合成を開始するには、鋳型のRNAおよびDNAのどちらの場合にも、プライマーが必要とされる。本発明の方法で使用できる逆転写酵素の例には、以下に限定されることはないが、AMV逆転写酵素、MMLV逆転写酵素、Tth DNAポリメラーゼ、rBst DNAポリメラーゼラージフラグメント(IsoTherm(商標) DNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)とも呼ばれる)、およびBcaBEST(商標) DNAポリメラーゼ(Takara Shuzo Co, Kyoto, Japan)が含まれる。場合によっては、変異型の逆転写酵素、例えば、RNase H活性を欠いたMMLV逆転写酵素が使用される。他の態様において、IsoTherm(商標) DNAポリメラーゼが最も適している。他の態様において、野生型酵素が好ましい。一般に、本発明は、使用する逆転写酵素に関して、その酵素がその使用目的に対して機能する限りにおいて、限定されることはない。
第一鎖cDNAを含むssDNAの標的配列が、mRNAを含む標的核酸の3'末端に相補的でありかつその末端にアニーリングするプライマーおよび逆転写酵素を用いて合成される転写基質を得る本発明の態様において、プライマーにはオリゴ(dT)nもしくは修飾オリゴ(dT)nを含めることができ、またはこれにはオリゴd(T)nXアンカープライマーを含めることができ、その際に、「X」は特定のmRNAに対する特定塩基または試料中の全てのmRNA分子をプライミングするために無作為に選択された(すなわち、4種全てのヌクレオチドの混合物で合成された)ヌクレオチドを含み、またはプライマーには特定のmRNA分子の配列に相補的である特定配列を有するオリゴヌクレオチドを含めることができ、または場合によっては、これにはランダム配列を有する(すなわち、プライマーの位置ごとに4種全てのヌクレオチドの混合物を用いて合成された)オリゴヌクレオチドを含めることができる。
標的核酸がmRNAのようなRNAであって、センスプロモータープライマーを用いた逆転写後に第一鎖cDNAにアニーリングするRNAを除去することが望ましい場合、これは、いくつかの手段のうちの一つにより達成することができる。限定する目的ではなく、一例として、RNAは、RNaseHを用いた処理により、以下に限定されることはないが水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような塩基を用いた処理により除去することができ、またはRNAは、熱変性によりハイブリッドから取り除くことができる。いくつかの用途に対する好ましい態様において、RNAは、以下に限定されることはないが、MMLV逆転写酵素のような、逆転写(またはプライマー伸長)に使用される逆転写酵素のRNaseH活性により除去される。または、いくつかの態様において、RNAは、以下に限定されることはないが大腸菌SSB(EcoSSB)のような、本発明の一本鎖結合(SSB)タンパク質の存在下で、ハイブリッドをインキュベートするかまたは逆転写を行うことにより、第一鎖cDNAから引き離される。
本発明のいくつかの態様において、特にさらなるラウンドの転写産物を得るための態様において、逆転写酵素がRNaseH活性を持っていても持っていなくても、別のRNaseH酵素が同様に使用される。複数ラウンドの転写(産物)を得るための態様においてRNaseH活性が望ましいが、但し別のRNaseH酵素が加えられない場合には、(野生型のRNaseH陽性)MMLV逆転写酵素を使用することができる。AMV逆転写酵素を複数ラウンドの転写(産物)を得るための態様において使用することができ、その場合には、別のRNaseH酵素も加えられる。Kacian et al.(U.S. Patent No. 5,399,491)により、MMLVまたはAMV逆転写酵素を使用する転写媒介性増幅アッセイ法に、異なる量の別のRNaseH酵素を添加する効果に関する情報が開示されており、この参考文献および情報は、参照により本明細書に組み入れられかつ本開示の一部とされる。
「リボヌクレアーゼH」または「RNaseH」は、RNA:DNA二重鎖のRNA部分を分解する酵素である。RNaseHはエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼとすることができる。大部分の野生型逆転写酵素は、そのポリメラーゼ活性に加えてRNaseH活性を有する。しかしながら、付随するポリメラーゼ活性がなくとも、他の供給源のRNaseHを用いることができる。分解により、RNA:DNA複合体からのRNAの分離が引き起こされ得る。または、RNaseHは単純に、RNAの一部分が融解するかまたは酵素にRNAの一部分を巻き戻し可能とさせるように、さまざまな位置でRNAを切断することができる。本発明の態様で使用する場合、使用できるRNaseH酵素には、以下に限定されることはないが、大腸菌RNase H、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus) RNase H、およびサーマス・フラバス(Thermus flavus) RNase H (U.S. Patent Nos. 5,268,289; 5,459,055; および5,500,370(これらは参照により本明細書に組み入れられる))が含まれる。熱安定性であり、従って、反応でより一貫した活性を保持し、より容易に保存かつ輸送される後者の二つの酵素は、別のRNaseH酵素が使用される大部分の態様において好ましい。使用できる他のRNaseH酵素は、Sagawa et al.がPCT特許公報WO 02/16639において; ならびにPCT特許公報WO 00/56877および同AU 00/29742(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)において記載しているものである。他の態様において、大腸菌RNase Hのような、熱安定性の低い酵素を使用することが望ましい。反応混合物中のこの酵素を不活化させることがより容易なためである。
Kacian et al.はU.S Patent No. 5,399,491(参照により本明細書に組み入れられる)において、推定RNaseH切断部位の数、分布、および位置が、部分的に、所定のプライマーの有用性を決定すること、ならびに推定上のRNaseH切断部位の数、分布、および位置に影響を与えるように、意図的なミスマッチを包含するかまたは配列を挿入することで、増幅が改善され得ることを開示した。従って、第一鎖cDNAを産生させる逆転写後のRNA:DNAハイブリッドからRNAを除去するための本発明の好ましいプロセスにおいて、RNA標的配列を決定して、次に解析し、第一鎖cDNAの合成に際して、RNase Hによる分解により、二重鎖からのRNAの各部分の切断または除去が引き起こされると思われる場所を決定する。本発明のプロセスには、逆転写酵素の中に含まれるRNase H(活性)および/もしくは使用される別の1つまたは複数のRNase H酵素(例えば、以下に限定されることはないが、AMV逆転写酵素、およびRNase H-プラスとRNase H-マイナス双方のMMLV逆転写酵素、ならびに大腸菌RNase Hまたは、以下に限定されることはないが、Hybridase(商標) 熱安定性RNase H (Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)、Tth RNase H、およびTf1 RNase Hのような、10分を超える間、70℃で安定な熱安定性のRNase H酵素(U.S. Patent Nos. 5,268,289; 5,459,055; および5,500,370; 参照により本明細書に組み入れられる))による、または逆転写酵素および別のRNase Hの異なる組み合わせによる、標的配列の増幅に対するRNA標的配列の分解の効果を決定するための実験の実施が含まれる。
第一鎖cDNAを産生させるため、RNA標的配列の逆転写で用いる、本発明のプロモータープライマーを含む、プライマーを選択する際、そのプライマーは、反応混合物に存在するRNase Hによって実質的に分解されないRNAの部分にハイブリダイズするように選択されることが好ましい。実質的な分解がある場合、プライマーの領域内でRNA鎖が切断されると、DNA合成が停止されるかまたは阻害されて、プライマーの伸長が妨害される可能性がある。従って、RNAがRNase Hにさらされる際、プライマー伸長産物の形成を妨害すると思われる実質的な分解がないように位置する、RNA標的の配列とハイブリダイズすると考えられるプライマーを選択することが望ましい。
4. 転写基質
本明細書で用いられる、本発明による「転写基質」は、転写プロモーターに操作可能に結合された標的配列を含み、その際に、RNAポリメラーゼは転写プロモーターに特異的に結合して、適当な転写条件下で標的配列に対応する転写産物を合成することができる。標的配列に操作可能に結合されるために、センス転写プロモーターは標的配列の3'にあり、かつRNAポリメラーゼに対する各々のプロモーターが機能的となるのに二重鎖でなければならない場合には、アンチセンスプロモーター配列を含むオリゴが、標的配列に結合されているセンスプロモーター配列にアニーリングされる。センス転写プロモーターに、本明細書の他の箇所に記載されているように選択されたかまたは同定された一本鎖の擬似プロモーターまたは合成プロモーターが含まれる場合、転写基質には一本鎖DNAが含まれることができる(すなわち、アンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせるまでもない)。
本発明の転写基質は、転写プロモーター配列の5'および/または3'にある付加的な核酸配列を有することもできるが、しかし転写基質はそのような付加的な他の配列を有する必要はない。限定する目的ではなく、一例として、転写基質はプロモーター配列の5'に、転写開始部位を有することができる。同様に、本発明のいくつかの態様において、転写基質は、一つもしくは複数の転写終結配列、本明細書の他の箇所に記載されているような直線状の転写基質を得るのに使用できる環状の第一鎖cDNAの直線化制御を可能とするDNA切断のための一つもしくは複数の部位、一つもしくは複数の複製起点(「ori」) (好ましくは、以下に限定されることはないが、ファージM13レプリコンのような、一本鎖レプリコンに対するori)、選択可能もしくはスクリーニング可能マーカー、例えば、以下に限定されることはないが、それぞれ抗生物質耐性遺伝子もしくはβ-ガラクトシダーゼ遺伝子、またはTn5型トランスポゾンに対する外部末端(「OE」)もしくはモザイク末端(「ME」)配列のような、一つもしくは複数のトランスポゾン認識配列(これは、二本鎖型の場合、インビトロまたはインビボ転位のためのトランスポサーゼにより認識されかつ用いられることができる)、またはリコンビナーゼ(以下に限定されることはないが、cre-loxシステムのような)により認識される一つもしくは複数の部位、および/または以下に限定されることはないが、さらなるラウンドの転写に対してcDNAを産生させるため、逆転写用のプライマーをアニーリングさせる目的でさらなる相補性領域をRNA転写産物に与えるようにRNAポリメラーゼにより転写される配列を含む、特定の目的のための他の配列および遺伝因子を有することができる。大部分の態様において、本発明の転写基質の標的配列または鋳型領域は一本鎖であるが、二本鎖の鋳型DNAは、標的配列に対応する転写産物を得るための当技術分野における他の方法で使用される。
プロモーター配列を除いて、本発明の転写基質は一本鎖であるため、「の3'」および「の5'」という用語は、本発明に関して、以下に限定されることはないが、他の配列に対する転写プロモーターまたは転写基質を含むDNA鋳型鎖内の遺伝因子のような、特定の核酸配列または遺伝因子の位置または方向を指すために本明細書で使用される。従って、転写の間の5'から3'方向のRNAの合成は、「下流の」方向に進んでいくと考えられるが、転写基質のセンス転写プロモーター配列は、本明細書では、標的配列の3'にあるといわれる。当業者であれば、これらの用語を核酸の化学的性質および構造の文脈において、特に標準的な核酸ヌクレオチドの糖成分の3'位および5'位と関連して理解するものと思われる。一例として、直線状の転写基質の「標的配列の3'」にあるセンス転写プロモーターは、同一鎖の標的配列に対して転写基質の3'末端にあるかまたは3'末端にさらに近いセンスプロモーター配列を指す。一本鎖で一番目の核酸配列が二番目の配列の3'にある場合には、その相補鎖で一番目の配列の相補部は二番目の配列の相補部の5'にあると考えられる。本発明の記載は、それとは反対に明記されない限り、特定の核酸鎖内の配列または遺伝因子の相対的な5'または3'位置および方向に関して理解されるものと思われる。
5. 核酸、ポリヌクレオチドおよびその類似体
本発明の「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、「ヌクレオシド」とも呼ばれる、「モノヌクレオシド」を連続して含む高分子である。この高分子では、1つのヌクレオシドのペントース糖の3'位が、以下に限定されることはないが、ホスホジエステル結合のような、ヌクレオチド間の結合により、その次のヌクレオシドのペントース糖の5'位に結合される。リン酸基と結合したヌクレオシドは、「ヌクレオチド」と呼ばれる。この一続きのものにおいて次のヌクレオチドの5'位に結合するヌクレオチドは、「の5'」または「5'ヌクレオチド」と呼ばれ、5'ヌクレオチドの3'位に結合するヌクレオチドは、「の3'」または「3'ヌクレオチド」と呼ばれる。核酸のペントース糖はリボースとすることができ、その場合、核酸またはポリヌクレオチドは「RNA」と呼ばれ、またはその糖は2'-デオキシリボースとすることができ、その場合、核酸またはポリヌクレオチドは「DNA」と呼ばれる。または、特に核酸が化学合成される場合、核酸はDNAとRNAの双方のモノヌクレオチドで構成されることができる。RNAでもDNAでも、各ペントース糖に、4種類の共通のまたは「標準的な」核酸塩基(それぞれ「塩基」とも呼ばれる)のうちの1つが共有結合する。糖に結合する主な天然由来塩基のうちの3種類(アデニン、シチジンおよびグアニン)はDNAとRNAの双方に共通であるが、1種類の塩基は異なる。DNAはさらなる塩基チミンを有し、その一方、RNAはさらなる塩基ウリジンを有する。当業者は通常、小さなポリヌクレオチドを「オリゴヌクレオチド」と考える。本明細書では「オリゴヌクレオチド」という用語は、2個またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは約10〜200個のヌクレオチドからなる分子と定義されるが、オリゴヌクレオチドの長さに明確な限定はない。正確なサイズは、多くの要因に依存するものと思われる。そのサイズは、言い換えれば、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途に依存する。
本発明の目標を達成するためには、任意のスプライス鋳型オリゴ、プロモータープライマーを含むプライマー、ライゲーション用スプリントオリゴ、以下に限定されることはないが、分子ビーコン(Tyagi et al.のU.S. Patent Nos. 5,925,517および6,103,476ならびにAlland et al.のU.S. Patent No. 6,461,817(これらは参照により本明細書に組み入れられる))のような検出プローブ、捕捉プローブ、オリゴヌクレオチド、またはアッセイ法もしくは方法で使用されるか若しくは検出される他の核酸を含む、本発明の核酸またはポリヌクレオチドの組成物は、各核酸がその使用目的に対して機能する限りにおいて、限定されることはない。限定する目的ではなく、一例として、モノヌクレオチド中の核酸塩基には、グアニン、アデニン、ウラシル、チミン、もしくはシチジンが含まれてもよく、あるいは、核酸塩基の一つまたは複数のなかに、キサンチン、アリルアミノ-ウラシル、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチルおよび他のアルキルアデニン、2-プロピルおよび他のアルキルアデニン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、7-デアザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザ-7-メチル-アデニン、7-デアザ-7-メチル-グアニン、7-デアザ-7-プロピニル-アデニン、7-デアザ-7-プロピニル-グアニンおよび他の7-デアザ-7-アルキルもしくは7-アリールプリン、N2-アルキル-グアニン、N2-アルキル-2-アミノ-アデニン、プリン6-アザウラシル、6-アザシトシンおよび6-アザチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロアデニン、8-アミノ-アデニン、8-チオールアデニン、8-チオールアルキルアデニン、8-ヒドロキシルアデニンおよび他の8-置換アデニンならびに8-ハログアニン、8-アミノ-グアニン、8-チオールグアニン、8-チオールアルキルグアニン、8-ヒドロキシルグアニンおよび他の8-置換グアニン、他のアザおよびデアザウラシル、他のアザおよびデアザチミジン、他のアザおよびデアザシトシン、アザおよびデアザアデニン、アザおよびデアザグアニンまたは5-トリフルオロメチルウラシルおよび5-トリフルオロシトシンが含まれてもよい。さらに、これらには、ビオチン成分、ジゴキシゲニン成分、蛍光もしくは化学発光成分、消光成分または他の成分で誘導体化される核酸塩基が含まれてもよい。本発明は記載の核酸塩基に限定されない。この羅列は、方法において特定の目的に使用できるいろいろな種類の塩基を示すために与えられている。
本発明のいくつかの態様において、
Figure 2006507003
(およびその中の参考文献)に開示されているような、「ペプチド核酸」(PNA)を含む分子または核酸とPNAの双方を含む分子を使用することもできる。一般に、PNA分子は、例えば、N-(2-アミノエチル)グリシン単位、そのそれぞれに、以下に限定されることはないが、アザ、アミド、ウレイド、またはメチレンカルボニルリンカーのような適当なリンカーを介して核酸塩基を結合させた単位を含む骨格からなる核酸類似体である。PNA分子中の核酸塩基は、Watson-Crick塩基対合則に従って、相補的な一本鎖DNAまたはRNAに結合する。しかしながら、PNA/DNAまたはPNA/RNAの二重鎖またはハイブリッドに対するTm値は、DNA/DNA、DNA/RNA、またはRNA/RNAの二重鎖に対するTm値よりも高い。PNAにより、類似した塩基配列の核酸よりも強固な結合および高い結合安定性が得られる(例えば、U.S. Pat. No. 5,985,563を参照されたい)。同様に、PNAは天然に存在しないので、PNA分子はプロテアーゼおよびヌクレアーゼ活性に極めて抵抗性である。PNAは、以下に限定されることはないが、上述の特許、およびその中の参考文献に記載されている方法のような、当技術分野において知られる方法に従って調製することができる。
核酸とペプチド核酸(PNA)の双方を含む分子を本発明において使用する場合、修飾塩基を片方または双方の部分に使用することができる。例えば、結合親和性は、本発明の2'-デオキシオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドサブユニットとペプチド核酸サブユニットの双方で、ある種の修飾塩基を使用することにより増加させることができる。そのような修飾塩基には、5-プロピニルピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニンを含むN-2、N-6およびO-6置換プリンが含まれてもよい。他の修飾ピリミジンおよびプリン塩基は、核酸の相補鎖との巨大分子の結合親和性を増大させることも期待される。
本発明の核酸またはポリヌクレオチドに関して、糖成分の一つまたは複数のなかに、リボースまたは2'-デオキシリボースを含めることができ、あるいは、糖成分の一つまたは複数は、以下に限定されることはないが、2'-フルオロ-2'-デオキシリボースもしくは2'-O-メチル-リボース(これらは、ある種のヌクレアーゼに対する抵抗性を与える)、または2'-アミノ-2'-デオキシリボースもしくは2'-アジド-2'-デオキシリボース(これらを使用して、転写産物を可視色素、蛍光色素、赤外蛍光色素もしくは他の検出可能な色素または親電子性の、光反応性のもしくは他の反応性の化学成分を有する化学物質と反応させることにより、転写産物を標識することができる)のような、他の糖成分とすることができる。
本発明の核酸またはポリヌクレオチドのヌクレオシド間の結合は、ホスホジエステル結合とすることができ、あるいは、ヌクレオシド間の結合の一つまたは複数のなかに、以下に限定されることはないが、ある種のヌクレアーゼに抵抗性である、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロセレネート結合、またはホスホロジセレネート結合のような、修飾結合を含めることができる。
特定の配列を有する核酸または特定の核酸塩基、糖、ヌクレオシド間の結合、化学成分、ならびに他の組成物および特性を含む核酸を作製するのに、さまざまな方法が当技術分野において知られている。これらの方法のいずれかの一つまたはいずれかの組み合わせを使用して、本発明のための核酸、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを作製することができる。この方法には、以下が含まれるが、これらに限定されることはない。
(1) 化学合成(必ずとは限らないが、通常、核酸合成機を使用);
(2) 合成後の化学修飾または誘導体化;
(3) 以下に限定されることはないが、一本鎖DNAを産生させるためのベクターを含む、プラスミド、バクテリオファージ(例えば、M13またはλ)、ファージミド、コスミド、フォスミド、YAC、またはBACクローニングベクターのような、核酸クローニングベクターにおける天然核酸または合成核酸のクローニング
Figure 2006507003
;
(4) 以下に限定されることはないが、クレノー(Klenow)、T4、T7、rBst、Taq、Tfl、またはTth DNAポリメラーゼ(そのような酵素の変異型、切断(例えば、エキソ活性マイナス)型、または化学修飾型を含む)のような、鋳型DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素によるプライマー伸長;
(5) PCR (例えば、Dieffenbach, C.W., and Dveksler編, PCR Primer: A Laboratory Manual, 1995, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい);
(6) 以下に限定されることはないが、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、モロニーマウス白血球ウイルス(MMLV)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus) (rBst)、またはサーマス・サーモフィルス(Tth)に由来する逆転写酵素のような、逆転写活性を有する酵素による逆転写(定温合成とRT-PCRの双方を含む);
(7) 以下に限定されることはないが、SP6、T3、もしくはT7 RNAポリメラーゼ、Tth RNAポリメラーゼ、大腸菌RNAポリメラーゼ、またはSP6もしくはT7 R&DNA(商標)ポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)、または別の酵素のような、RNAポリメラーゼ活性を有する酵素によるインビトロ転写;
(8) 以下に限定されることはないが、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ、キナーゼ、リガーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、グリコシラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼを含む、制限酵素および/または修飾酵素(核酸に特定の修飾をもたらすためのそのような修飾酵素および他の試薬を含有するキットを含む)の使用;
(9) 新たな無作為化された核酸を産生させるためのポリヌクレオチドホスホリラーゼの使用;
(10) 以下に限定されることはないが、RNA分子を連結するためのリボザイムリガーゼのような、他の組成物; および/または
(11) 上記の技術または当技術分野において知られる他の技術のいずれかの任意の組み合わせ。
修飾された塩基、糖、またはヌクレオシド間の結合を有するキメラ(すなわち、複合)分子およびオリゴヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、市販されている(例えば、TriLink Biotechnologies, San Diego, CA, USAまたはIntegrated DNA Technologies, Coralville, IA)。
本明細書で同義的に使用される、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの「部分」または「領域」とは、2個またはそれ以上の塩基の連続配列である。他の態様において、領域または部分は、およそ3個、5個、10個、15個、20個、25個の連続ヌクレオチドの少なくともいずれかである。
6. ライゲーション/リガーゼ
「ライゲーション」とは、「リガーゼ」と呼ばれる酵素による、1つの核酸分子の5'リン酸化末端の、その同じまたは別の核酸分子の3'ヒドロキシル末端との連結を指す。または、本発明のいくつかの態様において、ライゲーションは、核酸の片端に結合したI型トポイソメラーゼ成分によりもたらされる(U.S. Patent No. 5,766,891(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)。「ライゲーションする」、「ライゲーション」、および「リガーゼ」という用語は、本明細書では一般的な意味で使用されることが多く、1つの核酸分子の5'末端をその同じまたは別の核酸分子の3'末端に連結するのに適した任意の方法および組成物を含むように意図される。本明細書の他の箇所に論じられているように、本発明の異なる態様には、異なるリガーゼが好ましい。
一般に、ライゲーションされる核酸がRNAを含んでいる場合、以下に限定されることはないが、T4 RNAリガーゼ、リボザイムリガーゼ、Tsc RNAリガーゼ(Prokaria Ltd., Reykjavik, Iceland)、または別のリガーゼのようなリガーゼを、末端の非相同的連結に使用することができる。5'ホスホリル末端が、相補配列にアニーリングした3'ヒドロキシル末端に隣接する場合、T4 DNAリガーゼを使用して、RNA分子をライゲーションすることもできる(例えば、TyagiのU.S. Patent No. 5,807,674(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)。
連結される核酸がDNAを含んでおり、5'リン酸化末端と3'ヒドロキシル末端とは、これらの末端が相補DNAにアニーリングして、その結果、これらの末端が隣接する場合に(「ライゲーション用スプリント」または「ライゲーション用スプリントオリゴ」が使用される場合のように)連結される場合には、以下に限定されることはないが、T4 DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(登録商標) DNAリガーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)、Tth DNAリガーゼ、Tfl DNAリガーゼ、またはTsc DNAリガーゼ(Prokaria Ltd., Reykjavik, Iceland)のような酵素を使用することができる。しかしながら、本発明は、特定のリガーゼの使用に限定されることはなく、任意の適当なリガーゼを使用することができる。さらに、Faruquiにより、T4 RNAリガーゼは、RNA鎖にハイブリダイズした際に互いに隣接する核酸のDNA末端を、効果的にライゲーションできることがU.S. Patent No. 6,368,801に開示されている。従って、T4 RNAリガーゼは、DNA末端がRNAまたは修飾RNA、例えば、以下に限定されることはないが、DuraScribe(商標) T7転写キット(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)を用いて作製した2'-F-dCTPおよび2'-F-dUTPを含む修飾RNAを含有するライゲーション用スプリントオリゴに連結される態様において、本発明の適当なリガーゼである。相同的ライゲーションの鋳型でのライゲーション、特に「ライゲーション用スプリント」または「ライゲーション用スプリントオリゴ」(本明細書の他の箇所に論じられているような)を使用するライゲーションに関して、別の配列に「隣接」する領域、部分、または配列は直接的に、その領域、部分、または配列に隣接する。
直線状ssDNAの分子内ライゲーションが含まれる他の態様において、ライゲーションは、以下に限定されることはないが、サーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)に感染するファージTS2126に由来する、ThermoPhage(商標) RNAリガーゼII(Prokaria Ltd., Reykjavik, Iceland)のような、ssDNAの非相同的ライゲーションを触媒できるリガーゼを用いて、ライゲーション用スプリントの非存在下で達成することができる。
7. DNAポリメラーゼ/鎖置換DNAポリメラーゼ/鎖置換/ローリングサークル複製
「DNA依存性DNAポリメラーゼ」は、鋳型DNAから相補DNA(「cDNA」)のコピーを合成する酵素である。例としては、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIおよびバクテリオファージT7 DNAポリメラーゼである。周知の全てのDNA依存性DNAポリメラーゼには、合成を開始するのに相補プライマーが必要となる。適当な条件下で、DNA依存性DNAポリメラーゼは、鋳型RNAから相補DNAのコピーを合成(すなわち、「逆転写」)できること、つまり「逆転写」とも呼ばれるプロセスが知られており、その適用に対し、DNAポリメラーゼを「逆転写酵素」と呼ぶこともできる。
ある種のDNAポリメラーゼは、新たなDNA鎖がポリメラーゼにより合成されるにつれて、鋳型鎖に相補的な鎖を置換することができる。このプロセスは「鎖置換」と呼ばれており、この活性を有するDNAポリメラーゼは、本明細書で「鎖置換DNAポリメラーゼ」と呼ばれる。本発明の方法を用いた鎖置換DNA合成のための鋳型は、直線状のまたは環状のssDNAとすることができる。鋳型DNAが一本鎖の環であり、プライマーDNA合成がその環をグルグル周って進行し、複製鎖の前方の鎖が継続的に置換されていく場合、このプロセスは「ローリングサークル複製」と呼ばれる。ローリングサークル複製により、結果的に環状の鋳型のタンデムコピーの合成が起こる。直線状の鋳型での鎖置換またはローリングサークル複製を含む本発明の態様で用いるDNAポリメラーゼの適合性は、ローリングサークル複製を行うその能力を評価することにより容易に決定することができる。限定する目的ではなく、一例として、ローリングサークル複製を行うポリメラーゼの能力は、FireおよびXu (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 4641-4645, 1995) (参照により本明細書に組み入れられる)により記載されているもののようなローリングサークル複製アッセイ法で、ポリメラーゼを用いることにより決定することができる。DNAポリメラーゼは、鎖置換DNAポリメラーゼであって、直線状または環状双方の鋳型を用いた鎖置換重合反応に対して5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性を欠いていることが好ましい。5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性が、存在する場合には、合成された鎖の破壊を引き起こしてしまう可能性があるためである。開示の鎖置換合成法で用いるDNAポリメラーゼは、前進性が高いことも好ましい。DNAポリメラーゼが鎖置換を行う能力は、使用する特定の酵素に加えて、反応条件とともに変化する可能性がある。鎖置換およびDNAポリメラーゼの前進性は、Kong et al. (J. Biol. Chem. 268: 1965-1975, 1993およびその中で引用されている参考文献(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる))に記載されている方法を用いてアッセイすることもできる。
本発明の好ましい鎖置換DNAポリメラーゼは、rBst DNAポリメラーゼラージフラグメント(IsoTherm(商標) DNAポリメラーゼ(EPICENTRE Technologies, Madison, WI, USA)とも呼ばれる)、BcaBEST(商標) DNAポリメラーゼ(Takara Shuzo Co., Kyoto, Japan)、RepliPHI(商標) DNAポリメラーゼ(EPICENTRE Technologies, Madison, WI, USA)、Φ29 DNAポリメラーゼ(U.S. Pat. Nos. 5,576,204および5,001,050)、SequiTherm(商標) DNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)、およびMMLV逆転写酵素である。使用できる他の鎖置換DNAポリメラーゼには、以下に限定されることはないが、ファージM2 DNAポリメラーゼ(Matsumoto et al., Gene 84:247, 1989)、ファージΦ PRD1 DNAポリメラーゼ(Jung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 8287, 1987)、VENT(登録商標) DNAポリメラーゼ(Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975, 1993)、DNAポリメラーゼIのクレノー断片(Jacobsen et al., Eur. J. Biochem. 45:623-627, 1974)、T5 DNAポリメラーゼ(Chatterjee et al., Gene 97:13-19, 1991)、PRD1 DNAポリメラーゼ(Zhu and Ito, Biochem. Biophys. Acta 1219: 267-276, 1994)、修飾T7 DNAポリメラーゼ(Tabor and Richardson, J. Biol. Chem. 262:15, 330-15, 333, 1987); TaborとRichardson, J. Biol. Chem. 264:6447-6458, 1989); Sequenase(商標) (U.S. Biochemicals, Cleveland, OH, USA)、およびT4 DNAポリメラーゼホロ酵素(Kaboord and Benkovic, Curr. Biol. 5:149-157, 1995) (これらの参考文献の全てが、参照により本明細書に組み入れられる)が含まれる。鎖置換DNAポリメラーゼは、環状の第一鎖cDNAまたは環状の第二鎖cDNAの鎖置換ローリングサークル複製に関するいくつかの態様において有用である。IsoTherm(商標) DNAポリメラーゼ(rBst DNAポリメラーゼラージフラグメント; Epicentre)は、鎖置換DNAポリメラーゼ活性を有することに加えて、RNA標的核酸からの第一鎖cDNAの合成のための逆転写酵素として使用することもできるので、最も好ましい(例えば、Jendrisak et alのU.S. Patent No. 6,030,814)。BcaBEST(商標) DNAポリメラーゼ(Takara Shuzo Co., Kyoto, Japan)を鎖置換DNAポリメラーゼとしてだけでなく逆転写酵素として使用することもできる。
鎖置換は、ヘリカーゼのような、鎖置換因子の使用により促進させることができる。鎖置換因子の存在下でローリングサークル複製を行うことができる任意のDNAポリメラーゼは、たとえそのDNAポリメラーゼがそのような因子の非存在下でローリングサークル複製を行わなくとも、鎖置換またはローリングサークル複製を含む本発明の態様で用いるのに適していると考えられる。ローリングサークル複製で有用な鎖置換因子には、以下に限定されることはないが、BMRF1ポリメラーゼ・アクセサリーサブユニット(Tsurumi et al., J. Virology 67:7648-7653, 1993)、アデノウイルスDNA結合タンパク質(Zijderveld and van der Vliet, J. Virology 68:1158-1164, 1994)、単純ヘルペスウイルスタンパク質ICP8(Boehmer and Lehman, J. Virology 67:711-715, 1993); Skaliter and Lehman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10, 665-10, 669, 1994)、一本鎖DNA結合タンパク質(SSB; Rigler and Romano, J. Biol. Chem. 270:8910-8919, 1995)、およびウシ胸腺ヘリカーゼ(Siegel et al., J. Biol. Chem. 267:13, 629-13,635, 1992)が含まれる。
8. ハイブリダイズ/ハイブリダイゼーション
「ハイブリダイズ(する)」および「ハイブリダイゼーション」という用語は、Watson-Crick塩基対合を介して複合体を形成するのに十分に相補的であるヌクレオチド配列の間での複合体の形成を指す。本発明に関して、互いと「ハイブリダイズする」または「アニーリングする」核酸配列は、意図する目的にかなうのに十分に安定な「ハイブリッド」または「複合体」を形成すべきである。限定する目的ではなく、一例として、プライマーまたはスプライス鋳型オリゴが、それぞれ、試料中の標的核酸とまたは「尾状の」標的配列とハイブリダイズするかまたはアニーリングする場合、各それぞれの複合体またはハイブリッドは、それぞれ、DNAポリメラーゼがアニーリングしたプライマーのプライマー伸長により標的核酸をコピーするのに、またはアニーリングしたスプライス鋳型オリゴを鋳型として用い、標的配列の3'末端を伸長するのに必要とされるプライミング機能を果たすのに十分に安定であるべきである。
9. RNAポリメラーゼプロモーター
本発明のある種の態様において、以下に限定されることはないが、Chamberlin and Ryan, The Enzymes. San Diego, Calif., Academic Press, 15:87-108, 1982により、およびJorgensen et al., J. Biol. Chem. 266: 645-655, 1991により記載されているもののような、DNA依存性RNAポリメラーゼにより特異的に認識されるプロモーター配列が使用されてもよい。以下に限定されることはないが、SP6
Figure 2006507003
由来のプロモーターを含む、いくつかのRNAポリメラーゼプロモーター配列が、とりわけ有用である。サーマス・サーモフィルス由来のRNAポリメラーゼプロモーター配列を使用することもできる。
Figure 2006507003
プロモーター配列の長さは、選択されるプロモーターに応じて変化するものと思われる。例えば、T7 RNAポリメラーゼプロモーターは、わずか約25塩基の長さとすることができかつ機能的なプロモーターとして機能することができるが、その一方で、他のプロモーター配列には、機能的なプロモーターとするのに50塩基またはそれ以上の塩基が必要になる。
本発明の他の態様において、T7様バクテリオファージ由来のRNAポリメラーゼにより認識されるプロモーターが使用される。試験されている全てのT7様ファージの遺伝的機構は、T7のそれと本質的に同じであることが見出されている。本発明によるT7様ファージの例には、以下に限定されることはないが、大腸菌ファージT3、ΦI、ΦII、W31、H、Y、A1、122、cro、C21、C22、およびC23; シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ファージgh-1; ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)ファージSP6; セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)ファージIV; シトロバクター(Citrobacter)ファージViIII; ならびにクレブシエラ(Klebsiella)ファージ11
Figure 2006507003
が含まれる。
本発明のいくつかの態様には、大腸菌ファージN4 RNAポリメラーゼ(N4 vRNAP) (Rothman-Denes, L.B., and Schito, G.C., Virology, 60: 65-72, 1974; Falco, S.C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74: 520-523, 1977; Falco, S.C. et al., J. Biol. Chem., 255: 4339-4347, 1980; Kazmierczak, K.M., et al., EMBO J., 21: 5815-5823, 2002、これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)の使用も含まれており、前記のssDNAオリゴのプロモーター配列には、大腸菌ファージN4 vRNAPにより認識される保存されたプロモーター配列が含まれ、その際に、前記のプロモーター配列には、5-塩基対のステムと3-塩基のループヘアピン構造(Glucksmann, M.A. et al., Cell, 70: 491-500, 1992; Haynes, L.L. and Rothman-Denes, L.B., Cell, 41: 597-605, 1985) (その参考文献およびそのプロモーターは、参照により本発明の一部分として本明細書に組み入れられる)とが含まれる。限定する目的ではなく、一例として、以下の配列を含んだプロモーターを使用することができる。
Figure 2006507003
他の周知のRNAポリメラーゼとは対照的に、N4 vRNAPは、インビトロにおいて一本鎖の、プロモーターを含む鋳型をインビボ特異性で転写する(Falco, S. C et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75: 3220-3224, 1978; Haynes, L.L. and Rothman-Denes, L.B., Cell, 41: 597-605, 1985(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)。本発明の最も好ましい態様において、RNAポリメラーゼは、N4 vRNAPのアミノ酸998〜2103に対応する、N4 vRNAPの転写的に活性な1,106個のアミノ酸ドメイン(Krystyna M. Kazmierczak, Ph. D. Dissertation, University of Chicago, 2001; Kazmierczak, K.M., et al., EMBO J., 21: 5815-5823, 2002(参照により本明細書に組み入れられる)) (本明細書では「ミニvRNAP」と名付けた)を含んでおり、反応条件はその中に記載されている通りである。
10. 反応条件
本発明の方法を実行するのに適当な反応の溶媒および条件は、本発明の方法による核酸の転写および他の反応を可能とするものである。野生型または変異型T7 RNAP酵素を用いた本発明の転写反応に関して、インビトロ転写のための反応条件は、AmpliScribe(商標) T7-Flash(商標)転写キット(Transcription Kit)、もしくはAmpliScribe(商標) T7 High Yield 転写キット、もしくはDuraScribe(商標) T7転写キットで、または2'フルオリン置換デオキシリボヌクレオチド以外の2'置換デオキシリボヌクレオチドの取り込みの場合、T7 R&DNA(商標)ポリメラーゼで規定される条件であり、いずれの場合にも、製造元(EPICENTRE Technologies, Madison, WI)の使用説明書に従う。T3またはSP6 RNAPが本発明の方法を用いた転写に使用される場合、インビトロ転写のための反応条件は、AmpliScribe(商標) T3 High Yield 転写キットでもしくはAmpliScribe(商標) T3-Flash(商標) High Yield 転写キットで、またはAmpliScribe(商標) SP6 High Yield 転写キットで規定される条件であり、いずれの場合にも、製造元(EPICENTRE Technologies, Madison, WI)の使用説明書に従う。
ミニvRNAPまたはミニvRNAP Y678F酵素が、以下に限定されることはないが、RCTシグナルプローブから生じる転写産物のさらなる増幅を得るための用途のような、一本鎖プロモーターを有する一本鎖の鋳型DNAのインビトロ転写に使用する場合、以下のインビトロ転写反応液を、以下の最終濃度の成分を含有する反応混合液を用意することにより調製し、示した順番に加える: 0.1 μM N4 vRNAPプロモーター含有DNAオリゴ; 1.0 μM EcoSSBタンパク質; 40 mM トリス-HCl (pH 7.5)、6 mM MgCl2、2 mM スペルミジン、および10 mM NaClを含有する1×転写用緩衝液; 1 mM DTT; 各0.5 mM NTP(ATP、CTP、GTPおよびUTP); RNAPの添加後に最終容量が50 μlとなるようなRNaseなしの脱イオン水; ならびに0.1 μM ミニvRNAPまたはミニvRNAP Y678F酵素。本発明のいくつかの態様において、リボヌクレアーゼAタイプの酵素に抵抗性である修飾RNAの合成を行うため、2'-F-dUTPおよび2'-F-dCTPが、それぞれUTPおよびCTPの代わりに最終濃度0.5 mMで使用される。特定の目的に対して、他の修飾ヌクレオシド三リン酸を標準的なNTPの代わりにまたはそれに加えて使用することもできる。次いで、反応混合液を37℃でインキュベートして、鋳型からのRNAの合成を可能にさせる。反応に続いてPAGEゲルでの電気泳動法を行うことができる。
他のRNAポリメラーゼを用いたインビトロ転写の反応条件は、当技術分野においてよく知られており、刊行の参考文献から得ることができる。
本発明は、これらの反応条件または反応物質の濃度に限定されることはない。当業者であれば、本発明のRNAポリメラーゼを使用できる他の適当な反応条件は、単純な実験により見つけられること、およびこれらの反応条件のいずれも本発明の範囲内に含まれることを承知しているものと思われる。そのような溶媒および条件は、当業者に知られており、U.S. Pat. No. 5,679,512およびPCT Pub. No. W099/42618(参照により本明細書に組み入れられる)のような、さまざまな刊行物に記載されている。例えば、緩衝液はトリス緩衝液とすることができるが、緩衝液の成分が本発明の方法の酵素成分に対して非阻害性である限り、他の緩衝液を使用することもできる。pHは、好ましくは約5〜約11、より好ましくは約6〜約10、さらにより好ましくは約7〜約9、および最も好ましくは約7.5〜約8.5である。反応溶媒には、遊離イオンの最終濃度で、約0.01〜約10 mM、および最も好ましくは約1〜6 mMの範囲内に入る、Mg+2またはMn+2のような二価金属イオンが含まれてもよい。反応溶媒には、溶媒の全イオン強度の一因となる、KClのような、他の塩が含まれてもよい。例えば、KClのような塩の範囲は、好ましくは約0〜約100 mM、より好ましくは約0〜約75 mM、および最も好ましくは約0〜約50 mMである。反応溶媒には、反応の遂行に影響を及ぼし得るが、しかし方法の酵素成分の活性に不可欠ではない添加物がさらに含まれてもよい。そのような添加物には、BSAのようなタンパク質、およびNP40またはトライトン(Triton)のような非イオン性の界面活性剤が含まれる。スルフヒドリル基を有する酵素の活性を維持できる、DTTのような、試薬が含まれてもよい。そのような試薬は、当技術分野において知られている。必要に応じて、本発明で使用されるRNaseの活性を阻害しない、以下に限定されることはないが、胎盤由来リボヌクレアーゼ阻害剤(例えば、RNasin(登録商標), Promega Corporation, Madison, WI, USA)または抗体性RNase阻害剤のような、RNase阻害剤も含まれてもよい。本発明の方法のいずれの局面も、同じまたはさまざまな温度で起こり得る。反応は等温的に行われることが好ましく、これにより、厄介なサーモサイクリングプロセスが回避される。反応は、本発明の方法の標的配列および/または第一鎖cDNAとの本発明のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能とする温度であって、使用する酵素の活性を実質的に阻害しない温度で行われる。温度は、好ましくは約25℃〜約85℃、より好ましくは約30℃〜約75℃、および最も好ましくは約37℃〜約70℃の範囲にすることができる。RNA転写を含むプロセスでは、転写段階の温度は、その前の段階の温度よりも低い。これらのプロセスでは、転写段階の温度は、好ましくは約25℃〜約85℃、より好ましくは約30℃〜約75℃、および最も好ましくは約37℃〜約55℃の範囲にすることができる。
U.S. Patent Nos. 6,048,696および6,030,814、ならびにドイツ特許第DE4411588C1号(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられるかつ本発明の一部とされる)に開示されるように、多くの態様において、DNAポリメラーゼの停止を減少させかつDNAポリメラーゼを用いる反応の特異性を増加させるため、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の反応に、最終濃度が約0.25 M、約0.5 M、約1.0 M、約1.5 M、約2.0 M、約2.5 Mまたは約0.25 M〜2.5 Mのベタイン(トリメチルグリシン)を使用することが好ましい。
本発明の方法において逆転写産物またはプライマー伸長産物の合成に用いることができる、デオキシリボヌクレオシド三リン酸のような、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体は、特定の使用目的に最適または有用であることが確定されている量で供与される。
本発明の反応のオリゴヌクレオチド成分は、一般的に、増幅される標的核酸配列の数よりも多い。これらは、標的核酸の量のおよそまたは少なくともおよそ次の10倍、102倍、104倍、106倍、108倍、1010倍、1012倍のいずれかで供与することができる。プロモータープライマー、スプライス鋳型、ライゲーション用スプリントオリゴ、ブロッカー配列オリゴ、鎖置換プライマー、および同様のものは、各々、およそまたは少なくともおよそ以下の濃度: 50 nM、100 nM、500 nM、1000 nM、2500 nM、5000 nM、または10,000 nMのいずれかで供与することができるが、しかしもっと高いまたはもっと低い濃度を使用することもできる。限定する目的ではなく、一例として、一つまたは複数のオリゴヌクレオチドの濃度は、別の用途またはプロセスで使用される一つまたは複数の標的核酸配列の産生に所望であってもよい。オリゴヌクレオチドの濃度が本発明の特定の方法で有効である限り、本発明は、オリゴヌクレオチドの特定の濃度に限定されることはない。
いくつかの態様において、前述の成分は、プロセスの開始時に同時に加えられる。他の態様において、成分は、反応により必要に応じておよび/または許容されるように、プロセスの間の適当な時点の前または後に任意の順番で加えられる。そのような時点は、当業者により容易に同定されることができる。本発明の方法による核酸反応に使用される酵素は、概して、酵素の熱安定性および/または当業者に知られる他の検討事項により決定されるように、試料中のもしくは試料由来の二本鎖の標的核酸の変性のための段階後、ならびに/または変性した二本鎖のもしくは一本鎖の標的核酸との反応のプライマーおよび/もしくはオリゴのハイブリダイゼーション後、反応混合物に加えられる。
反応は、さまざまな時点で停止させることができ、しばらく経って再開させることができる。その時点は、当業者により容易に同定されることができる。例えば、酵素活性を阻害する温度まで反応混合物を冷却することを含む、反応を停止させるための方法が当技術分野において知られている。例えば、酵素活性をもたらす温度まで反応混合物の温度を上昇させることを含む、反応を再開させるための方法も当技術分野において知られている。いくつかの態様において、反応の成分の一つまたは複数が反応の再開の前に、際に、または後に補充される。または、反応を間断なく(すなわち、最初から最後まで)進行させることができる。
11. 転写産物のまたはそれから得られるもしくは生ずる組成物の検出および同定
いくつかの態様において、産物の検出により、標的配列の存在が示される。実時間解析を含む、定量解析をいくつかの態様において行うこともできる。直接的および間接的な検出(定量化を含む)方法が当技術分野においてよく知られている。例えば、標的配列を含んだポリヌクレオチドの未知量を含有する試験試料から増幅された産物の量を、標的配列を含んだポリヌクレオチドの既知量を有する基準試料の産物と比較することにより、試験試料中の標的配列の量を決定することができる。本発明の方法を標的核酸の配列変化および配列決定の解析にまで拡張させることもできる。増幅された核酸は、任意の適当な手順により配列決定することができる。そのような多くの手順が知られている。いくつかの態様によって産生された増幅配列で使用するのに好ましい配列決定の方式は、Jalanko et al., Clinical Chemistry 38:39-43, 1992; Nikiforov et al., Nucleic Acids Research 22:4167-4175, 1994; およびKobayashi et al., Molecular and Cellular Probes 9:175-182, 1995により記載されているナノ配列決定(nanosequencing)法、ならびにPCT出願WO 97/20948に記載されているような、プライマー伸長配列決定法であり、それらの参考文献の全てが参照により本明細書に包含される。さらに、検出は、例えば、RNA産物からの翻訳産物の試験により達成することができるものと思われる。
B. 標的配列を含んだssDNAを得るための方法
1. 標的配列を得るための全般的な局面および方法
標的配列を得る際の最初の段階は、標的核酸を一本鎖にすることである。標的核酸が二本鎖DNA(dsDNA)である場合、最初の段階は、標的の変性である。変性段階は、熱変性またはアルカリ処理のような、当技術分野において知られる任意の他の方法とすることができる。
試料中の標的核酸がDNAである本発明のいくつかの態様において、ssDNA標的配列には、生体試料中に存在するssDNAまたは試料中のdsDNAの変性により得られるssDNAが含まれる。
他の態様において、ssDNA標的配列には、試料中に存在するssDNAまたは変性されたdsDNAを鋳型としておよびオリゴヌクレオチドをプライマーとしてDNA重合反応条件下で用いるインビトロまたはインビボDNA重合反応を意味する「プライマー伸長反応」の結果として得られるssDNAが含まれる。「プライマー」とは、一般に遊離型の3'-OH基を有する、オリゴヌクレオチド(オリゴ)であって、その場合に、オリゴの少なくとも3'部分が鋳型の一部分に相補的であり、そのオリゴが水素結合および他の分子力により、鋳型に「結合し」(または「複合体化し」または「アニーリングし」または「ハイブリダイズし」)、DNAポリメラーゼによる合成の開始のためのプライマー/鋳型の複合体を与え、これがDNA合成のプロセスにおいて鋳型に相補的であるオリゴの3'末端に連結される共有結合した塩基の付加により伸長される(すなわち、「プライマー伸長される」)。その結果がプライマー伸長産物である。知られている実質的に全てのDNAポリメラーゼ(逆転写酵素を含む)では、DNA合成を開始するのに、一本鎖の鋳型とのオリゴヌクレオチドの複合体形成(「プライミング」)が必要とされるが、RNAの複製および転写(DNAからRNAの複製)には、一般に、プライマーは必要とされない。
いくつかの態様において、試料中の標的核酸もしくはプライマー伸長産物、またはその双方は、DNA標的配列を作製するため、当技術分野において知られる方法によりより小さなDNA断片にされる。DNA標的核酸を含有する試料を用いるいくつかの態様において、ssDNA標的配列は、以下に限定されることはないが、Takara Shuzo Company, Kyoto, JapanのPCT特許公報WO 02/16639;同WO 00/56877; および同AU 00/29742; Becton Dickinson and CompanyのU.S. Patent Nos. 5,523,204; 5,536,649; 5,624,825; 5,631,147; 5,648,211; 5,733,752; 5,744,311; 5,756,702;および5,916,779;Nanogen/Becton Dickinson PartnershipのU.S. Patent Nos. 6,238,868; 6,309,833; および6,326,173; Bio MerieuxのU.S. Patent Nos. 5,849,547; 5,874,260; および6,218,151; Gen-Probe, Inc.のU.S. Patent Nos. 5,786,183; 6,087,133; および6,214,587; Wick et al.のU.S. Patent No. 6,063,604; KurnのU.S. Patent No. 6,251,639; Eiken Kagaku Kabushiki Kaishi, Tokyo, JapanのU.S. Patent No. 6,410,278; およびPCT公報WO 00/28082; AuerbachのU.S. Patent Nos. 5,591,609; 5,614,389; 5,773,733; 5,834,202; および6,448,017; ならびにLizardiのU.S. Patent Nos. 6,124,120; および6,280,949 (これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている方法のような、鎖置換法を用いて得られる。さらに他の態様において、ssDNA標的配列は、ローリングサークル複製反応から得られる。DNA標的配列の3'末端は、これを定義する必要がある場合、以下に限定されることはないが、「より大きなRNAまたはDNA標的核酸の一部分だけを含んだ標的配列の5'末端および3'末端を定義するための方法」という表題の本明細書の項に論じられている方法のような、当技術分野において知られる任意の適当な方法を用いて定義することができる。
標的核酸がRNAである場合、標的配列を得るための最初の段階には、反応条件下でRNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち、逆転写酵素)を用いてssDNAを合成するため、試料中に存在するRNAを鋳型としておよび鋳型RNAの配列の少なくとも一部分に相補的である核酸オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるインビトロ反応を意味する、RNA標的の逆転写による一本鎖の第一鎖cDNAの合成が含まれる。RNAからのcDNAの合成のための技術は、当技術分野において知られている。
いくつかの態様において、本発明の方法で用いる第一鎖cDNAは、U.S. Patent Nos. 5,168,038; 5,021,335; および5,514,545(これらは参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものに類似の方法を用いて、組織切片の細胞または組織においてインサイチューで合成される。従って、第一鎖cDNAは、組織切片の細胞または組織をハイブリダイズ条件下でプライマーと接触させることにより合成され、その際に、プライマーは細胞または組織中の一つまたは複数の標的配列にハイブリダイズする。
本発明には、組織切片の細胞または組織において、標的核酸を含んだ標的配列に相補的である、センスプロモーターを含有する環状の第一鎖cDNAを含む転写基質の作製方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
(a) (i) RNAポリメラーゼに対するセンス転写プロモーターであって、RNAポリメラーゼが転写基質中のこのプロモーターを用いてRNAを合成できるプロモーターを含む5'リン酸化部分と、(ii) 標的核酸を含んだ標的配列に相補的である3'末端とを含むセンスプロモータープライマーと、ハイブリダイズ条件下で組織切片の細胞または組織を接触させる段階;
(b) 標的配列に相補的である第一鎖cDNAを得るため、組織切片のセンスプロモータープライマー含有細胞または組織を逆転写酵素と逆転写条件下で接触させる段階;
(c) センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを得る段階;
(d) センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
(e) 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階。
細胞または組織中の環状の転写基質は、転写条件下でそのプロモーターを用いるRNAポリメラーゼとインキュベートすることができ、その際に、転写産物が得られる。
プライマーは、試料中のRNA標的における特定の既知配列に相補的である配列を有することができる、またはプライマーは、以下に限定されることはないが、ランダムヘキサマーのプライミング配列を含むプライマーのような、可能な全ての配列もしくは可能な多くの配列の混合物を含んだ配列を有することができる。ランダムプライマー配列は、標的配列に相補的であるオリゴヌクレオチドについて各ヌクレオチド位置の化学合成の間に、4種の標準的な塩基のそれぞれ(すなわち、4種全てのヌクレオチド)を補完するヌクレオチド試薬を含有させることにより、オリゴヌクレオチド合成機を用いて作製することができる。mRNA標的を含む試料を用いる本発明の態様において、ssDNA標的配列には、特定のmRNAの既知配列に相補的である特定配列または、mRNAがその3'末端にポリ(A)尾部を有する場合、オリゴ(dT)プライマーもしくはオリゴ(dT)アンカープライマーを含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いてmRNAの逆転写により作製される第一鎖cDNAが含まれる。本発明の他の態様において、第一鎖cDNA標的配列をプライマー合成するのにも標的配列にセンス転写プロモーターを連結するのにも役立つ、センスプロモータープライマーが使用される。
2. より大きなRNAまたはDNA標的核酸の一部分だけを含んだ標的配列の5'末端および3'末端を定義するための方法
本発明の方法を使用して、以下に限定されることはないが、試料中の実質的に全てのポリアデニル化mRNA分子の完全な配列(キャップ構造を除く)のような、一つまたは多数の核酸分子の完全な配列に対応する転写産物を得る場合、配列の5'末端および3'末端を定義するための方法を講じる必要はない。しかしながら、本発明の方法を使用して、試料中のより大きなRNAまたはDNA核酸の一部分だけを含む標的配列に対応する転写産物を得る場合、この方法は、転写の鋳型になる標的配列の範囲を定めることが必要とされる。
転写の鋳型配列になる標的配列の末端を画定するのに、二つの一般的なアプローチがある。一方の直接的アプローチでは、この方法を使用して、標的核酸分子または試料中に存在する分子それ自体のサイズおよび末端を決定する。もう一方の間接的アプローチでは、試料中に存在する標的核酸分子のサイズおよび末端配列を変化させる代わりに、この方法を使用して、試料中のRNAの、またはDNAの少なくとも片鎖の、それぞれ、逆転写またはプライマー伸長により合成される一つまたは複数の第一鎖cDNA分子のサイズおよび末端配列を決定する。
直接的アプローチに関して、特定の配列でまたはその近傍で核酸分子を切断するのに、多くの方法が当技術分野において知られており、本発明の適用のために標的核酸のサイズおよび末端配列の範囲を定めるいずれかの方法を使用することができる。限定する目的ではなく、一例として、適当な相補DNAオリゴをアニーリングさせるdsDNA分子またはssDNA分子を含んだ試料中のDNAを制限酵素で消化することができる。但し、適当な5'末端および/または3'末端配列を供与すると思われる制限部位が存在することを条件とする。または、FokI制限酵素部位を含む二本鎖部分と第一鎖cDNA上の所望の切断部位に結合する一本鎖部分とを有する一つまたは複数のDNAオリゴヌクレオチドを使用することができる。当技術分野においてよく知られるように、このタイプのオリゴヌクレオチドを制限酵素FokIとともに使用して、ほぼすべての所望の配列で一本鎖DNAを切断することができる(Szybalski, W., Gene 40:169-173, 1985; Podhajska A. J. and Szybalski W., Gene 40:175, 1985(参照により本明細書に組み入れられる))。
限定する目的ではなく、さらなる一例として、試料中に存在するssRNA標的核酸をリボヌクレアーゼHにより、少なくとも3〜4個のデオキシヌクレオチドを含む相補オリゴヌクレオチドがアニーリングする領域で切断することができる。または、直線状のDNAオリゴヌクレオチドを試料中のRNAに、RNA:DNAヘテロ二重鎖を切断できる制限酵素の認識部位をコードする位置でアニーリングさせることができる。次いで、酵素による標的RNA:DNAオリゴの切断により、特定の末端が生ずるものと思われる。または、転写基質となるように意図されるRNA標的配列の領域に相補的な配列を有するRNAまたはDNAのオリゴまたはポリヌクレオチドをRNAにアニーリングさせることができ、オリゴまたはポリヌクレオチドがアニーリングしていないRNAの配列をRNase AまたはRNase T1のような、一本鎖特異的なリボヌクレアーゼにより消化することができる。さらに、Kwiatkowski, et al., (Molecular Diagnosis 4:353-364, 1999)によりならびにThird Wave Technologies (Madison, WI, USA)に譲渡されたU.S. Patent No. 6,001,567および関連特許(これらは参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているように、既知配列のRNAまたはDNA核酸を5'ヌクレアーゼまたはCleavase(商標)酵素と特定のオリゴヌクレオチドとを用いて、特定の部位で切断することができる。
一般に、もう一方の間接的アプローチに関して、試料中のRNAの逆転写にまたは試料中のDNAの少なくとも片鎖のプライマー伸長に使用されるプライマーの5'末端により、第一鎖cDNA標的配列の5'末端が規定される。従って、逆転写されてまたはプライマー伸長されて第一鎖cDNA標的配列を生成する試料の標的核酸は、規定の3'末端を有する必要はない。
第一鎖cDNAに規定の3'末端(すなわち、標的配列の5'末端に対応)を生成するために、多くの方法を使用して、本発明の標的配列を得ることができる。限定する目的ではなく、さらなる一例として、適当な3'末端配列を供与すると思われる制限酵素部位に対応する特定の配列が第一鎖cDNAに存在する場合、相補DNAオリゴをこの配列にアニーリングさせることができ、そしてこの部位を制限酵素で切断することができる。二本鎖の制限部位を供与するために使用した相補DNAオリゴは、これがDNAポリメラーゼにより伸長されることがないように、その3'末端に2',3'-ジデオキシヌクレオチドまたは別の終結ヌクレオチドを任意で有することができる。または、標的配列の3'末端は、FokI制限酵素部位を含む二本鎖部分と第一鎖cDNA上の所望の切断部位に結合する一本鎖部分とを有するDNAオリゴヌクレオチドを用いて規定することができる(Szybalski, W., Gene 40:169-173, 1985; Podhajska A. J. and Szybalski W., Gene 40:175, 1985)。さらに、5'ヌクレアーゼを使用して、第一鎖cDNAを上記の規定の3'末端で切断することができる。
上記の方法に加えて、第一鎖cDNAの3'末端を他の方法により制限することもできる。本発明の好ましい方法は、Laney, et al.によりU.S. Patent No. 5,679,512におよびKurnによりU.S. Patent No. 6,251,639 (これらの双方が参照により本明細書に組み入れられる) に開示されるように、「ブロッキングオリゴ」または「ブロッカー配列」を使用することである。「ブロッカー配列」または「ブロッカーオリゴ」は、ポリヌクレオチドであって、これは通常、一本鎖とされる合成ポリヌクレオチドでありかつ標的核酸の部分に、ハイブリダイズ可能な、好ましくは相補的な配列を含み、その際に、ブロッキングオリゴは、第一鎖cDNAの3'末端のさらなるプライマー伸長を遮断するように、所望の位置で標的核酸にアニーリングする。ssDNA標的配列を得るための本発明の鎖置換法のいくつかの態様には、ブロッキングオリゴの使用が含まれる。ブロッキングオリゴには、ブロッカー配列がプライマー伸長の間、好ましくは、プライマー伸長事象の、約30%を超える、より好ましくは約50%を超える、さらにより好ましくは約75%を超える、および最も好ましくは約90%を超える間、DNAポリメラーゼによる置換に抵抗するように、標的核酸にある親和性、好ましくは高い親和性で結合するヌクレオチドが含まれる。ブロッカーのポリヌクレオチドの長さおよび組成は、本発明の方法の条件下で、過度の無作為な非特異的ハイブリダイゼーションが回避されるようにするべきである。ブロッカーのポリヌクレオチドの長さは、好ましくは約3〜約30ヌクレオチド、より好ましくは約5〜約25ヌクレオチド、さらにより好ましくは約8〜約20ヌクレオチド、および最も好ましくは約10〜約15ヌクレオチドである。他の態様において、ブロッカーのポリヌクレオチドは、少なくともおよそ以下: 3、5、8、10、15ヌクレオチドのいずれかである。およびおよそ以下: 20、25、30、35ヌクレオチドのいずれかよりも短い。その長さは、本発明の方法の反応条件下で、必要に応じて、もっと大きくまたはもっと小さくできると理解される。ブロッカーのポリヌクレオチドの相補性は、標的核酸上のその対象とする結合配列に対し、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、および最も好ましくは少なくとも約90%である。いくつかの態様において、DNA標的核酸にハイブリダイズするブロッカー配列は、プライマー伸長に影響を及ぼすポリメラーゼによるブロッカー配列の置換が実質的に、または少なくとも十分に、阻害されるようにDNAに付着される。そのような付着を達成するのに適した方法には、Flanagan et al.,(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3513-3518, 1999)により記載のGクランプ型の複素環修飾を含むシトシン類似体; ならびに、例えば、Kumar et al.,(Bioorg. Med. Chem. Lett. 8:2219-2222, 1998)により; およびWahlestedt et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5633-5638, 2000)(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)により記載のロック核酸の使用のような、当技術分野において知られる技術が含まれる。他の適当な方法には、必要に応じて、高いGC含量および/または架橋結合を有する配列の使用が含まれる。より一層の付着を得るためのこれらの方法のいずれかを単独でまたは組み合わせて使用してもよい。または、ペプチド核酸(「PNA」)を含む分子を使用することができる。
さらに、第一鎖cDNAの3'末端を制限するのに使用できる別の方法は、第一鎖cDNAを合成するための逆転写またはプライマー伸長の間のDNA合成伸長サイクルを短くして、サーモサイクラーを使用することである。プライマー伸長産物の長さは、DNA合成サイクルの長さにより幾分かは制御することができる。温度を上昇させることで伸長中の第一鎖cDNAを鋳型から変性させる前のDNA合成の温度および時間間隔を制御することによって、第一鎖cDNAの適当な鎖長を規定するように条件を決定することができる。
さらに、転写反応のための鋳型配列になる予定の第一鎖cDNAの3'末端は、末端配列の範囲を定める任意の適用な増幅方法を用いて、標的核酸配列を最初に増幅させることにより規定することができる。限定する目的ではなく、一例として、これはPCR法、RT-PCR法、NASBA法、TMA法、3SR法、ライゲーション連鎖反応(LCR)、連鎖線形増幅法(BioRad)、SDA法、RCA法、ICAN(商標)法(Takara: Sagawa et al. PCT特許公報WO 02/16639中; ならびにPCT特許公報WO 00/56877および同AU 00/29742中); またはKurnの鎖置換法(U.S. Patent No. 6,251,639) (これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる)により調製することができる。
標的配列の3'末端は正確な位置にある必要がなく、無作為または不正確であってもよい場合、これは本発明のいくつかの態様の場合であるが、標的核酸であれ、標的配列であれ、またはそれ以外であれ、DNA分子のもっと小さな断片を作製するのに使用できる多くの他の方法がある。限定する目的ではなく、一例として、標的核酸は、注射針もしくは他の開口部の内外への移動によるまたは超音波処理によるような、物理的手段により、好ましくはそれに続いてT4 DNAポリメラーゼまたはキット、例えば、End-It(商標) DNA End Repair Kit(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)の使用のような、末端修復を伴って断片化することができる。使用できる他の方法は、反応で一部のTTPの代わりにdUTPを使用することにより、逆転写またはプライマー伸長の間に第一鎖cDNAにdUMPを無作為に組み込むことである。dUMPは、TTPに対するdUTPの比率に基づく頻度でTMPの代わりに無作為に組み込まれるものと思われる。その後、第一鎖cDNAは、Epicentre Technologies (Madison, WI, USA)から市販されている、ウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)およびエンドヌクレアーゼIV(エンドIV)を用いた処理により、dUMPの組込み部位で切断することができる(例えば、U.S. Patent No. 6,048,696(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)。UNGは、チミジンの代わりにウラシルを含む一本鎖および二本鎖のDNAにおいて、デオキシリボース糖とウラシルとの間のN-グリコシド結合を加水分解する。これは、RNAのウラシル残基に対してまたはdUTPに対して活性がない。エンドIVは、ホスホジエステル結合を脱塩基部位で開裂する。いくつかの用途には、熱不安定性UNG(例えば、Epicentre Technologies, Madison, Wisconsin, USAのHK(商標)-UNG)を使用することが有用であるかもしれない。(同様に、合成オリゴヌクレオチド内のまたは、例えば、本発明のプロモータープライマー内の3'標的配列相補部分とプロモーター配列との間の特定部位にdUMPを組み込むことで、UNGおよびエンドIVを用いた処理によって、その部位を含む得られた核酸を切断するのにいつでも使用できる特定の切断部位が導入される。) さらに、場合によっては、第一鎖cDNAの3'末端は、エキソヌクレアーゼIII(Henikoff, S., Gene 28:351, 1984)を用いた処理により規定することができる。他の場合では、DNA標的核酸にアニーリングされる第一鎖cDNAの3'末端を反応において、dNTPの非存在下または存在下でT4 DNAポリメラーゼまたは未改変型T7 DNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI)とインキュベートすることができる。これらの酵素は、dNTPが存在しない場合には3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ活性を有するが、しかしdNTPが存在する場合にはポリメラーゼ活性が優位である。これらは、第一鎖cDNAの3'末端を規定するのに使用できる方法のごく一部にすぎず、本発明は、単なる例として提示されており、これらの方法に限定されることはない。
C. 転写基質を得るための方法
1. 導入
まず一般的な態様において、第一鎖cDNAは、センス転写プロモーターを5'部分におよび標的配列に相補的な配列を3'末端に含むセンスプロモータープライマーをプライマーとしてならびに標的核酸配列を鋳型として用い、逆転写またはプライマー伸長により得る。環状の転写基質は、第一鎖cDNAをライゲーションすることにより、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得て、次に、アンチセンスプロモーターオリゴをセンスプロモーター配列にアニーリングさせることにより得る。別の態様において、標的配列の3'にセンスプロモーターを有する直線状の転写基質を、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを直線化する(例えば、本発明を限定するわけではないが、ウラシル-N-グリコシラーゼおよびエンドヌクレアーゼIVを使用する)ことにより得て、次いで、環状の転写基質を、アンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより得る。
さらに他の態様において、第二鎖cDNAを含んだ転写基質は、以下の段階により得られる。
(a) 逆転写酵素またはDNAポリメラーゼならびにアンチセンス転写プロモーターを5'部分におよび標的配列に相補的な配列を3'末端に含むアンチセンスプロモータープライマーを用いて直線状の第一鎖cDNAを合成する段階;
(b) アンチセンス転写プロモーターを有する環状の第一鎖cDNAを得るため、得られた直線状の第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
(c) 環状の第一鎖cDNAを鋳型として、第一鎖cDNA上の配列に相補的な3'末端を有するプライマーおよびDNAポリメラーゼ、好ましくは鎖置換DNAポリメラーゼを用いて、DNA合成、好ましくはローリングサークル複製型DNA合成により、センスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAを得る段階; および
(d) 直線状の転写基質を得るため、アンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階。第二鎖cDNAがローリングサークル複製により得られる場合、得られる直線状の転写基質は、鎖状体の直線状の転写基質である。この態様において、転写基質の転写産物には、アンチセンス転写産物が含まれる。
上記の本発明の方法に対する転写基質を得るためのプロセスの態様は、例示としてのみ与えられており、本発明を限定することを意図するものではない。上記のおよび本明細書の記載から、当業者には、本発明の方法において標的核酸配列に対応する転写産物の産生に用いる転写基質を得るための方法およびプロセスのいくつかの他の態様が明らかになるおよび明白になるものと思われる。本発明には、その方法で用いる転写基質を得るためのそれらの方法およびプロセスの全てが含まれる。
標的配列にmRNAが含まれる態様では、単一種のmRNAまたは特定試料中の全てのmRNAにかかわらず、転写産物を続けてさまざまな用途に使用することができる。限定する目的ではなく、一例として、転写産物は、インビトロもしくはインビボ翻訳に、インビボで一つまたは複数の遺伝子を沈黙化させるRNAiとして用いるのに、発現アレイもしくはマイクロアレイを作製するために表面にスポッティングするのに、または遺伝子発現プロファイリングもしくは他の用途に向けてアレイもしくはマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションプローブを作製するのに使用することができる。さらに他の態様において、本発明の方法を使用して、mRMAから第一鎖cDNAを産生させることができ、これを順に、cDNA末端の無作為増幅(RACE)のような方法にまたはハイブリダイゼーションプローブを作製するのに使用することができる。
「ライゲーション用スプリント」または「ライゲーション用スプリントオリゴ」とは、リガーゼまたはリガーゼ活性を有する別の酵素を用いて、一つの核酸の両端を連結(すなわち、「分子内連結」)するまたは二つの核酸の両末端を連結(すなわち、「分子間連結」)するためのアニーリング部位または「ライゲーションの鋳型」を与えるのに使用されるオリゴである。ライゲーション用スプリントは、各末端を相互の近傍に保持して、ライゲーションされる5'リン酸化末端と3'ヒドロキシル末端との間で「ライゲーション接合部を作り出す」。例えば、ライゲーション用スプリントオリゴを用いて、標的配列を含む第一鎖cDNAの3'端にセンスプロモーターライゲーション用オリゴを連結させる場合、ライゲーション用スプリントオリゴは、もしあれば、「尾状の」標的配列を含む、標的配列の3'末端に相補的な配列と、5'リン酸化プロモーターライゲーション用オリゴの5'末端に相補的なもう一つの隣接配列とを有する。DNAを含むライゲーション用スプリントにアニーリングしている適当な末端をライゲーションするのに使用できるリガーゼには、以下に限定されることはないが、Ampligase(登録商標) DNAリガーゼ(EPICENTRE Technologies, Madison, WI)、Tth DNAリガーゼ、Tfl DNAリガーゼ、Tsc DNAリガーゼ(Prokaria, Ltd., Reykjavik, Iceland)、またはT4 DNAリガーゼが含まれる。DNAを含むライゲーション用スプリントを用いて各末端を隣接させる場合、これらのリガーゼは、分子間および分子内の双方のライゲーションに使用することができる。RNAを含むライゲーション用スプリントを用いる場合、T4 DNAリガーゼを使用して、ライゲーション用スプリントにアニーリングしている末端を連結することができる。いくつかの態様において、3'ヒドロキシル末端との5'リン酸化末端の非相同性分子内ライゲーションを触媒するリガーゼは、ライゲーション用スプリントなしで一本鎖DNAを環状化するための本発明の方法で使用することができる。限定する目的ではなく、一例として、ライゲーション用スプリントは、ThermoPhage(商標) RNAリガーゼII(Prokaria, Ltd., Reykjavik, Iceland)を用いたssDNAのライゲーションには必要とされない。
いくつかの態様において、以下に限定されることはないが、ライゲーション用スプリントオリゴのような、残存する直線状の核酸は、ファージT7の遺伝子6エキソヌクレアーゼ(gene 6 exonuclease)を用いた反応の間に除去される。このエキソヌクレアーゼは、二本鎖構造の5'末端から始めるようにしてDNAを消化する。PCR増幅後の一本鎖DNAの産生にうまく用いられている(Holloway et al., Nucleic Acids Res. 21:3905-3906, 1993; Nikiforov et al., PCR Methods and Applications 3:285-291, 1994(参照により本明細書に組み入れられる))。ファージT7の遺伝子6エキソヌクレアーゼは、ライゲーションされなかったオリゴを除去するのにローリングサークル型DNAポリメラーゼとともに、ライゲーション後に加えることができる。鎖置換反応の産物を分解から保護するため、ローリングサークル複製用の鎖置換プライマーに、3または4ホスホロチオエート結合をその5'末端に含有させて、この分子をエキソヌクレアーゼに抵抗性とすることができる(Nikiforov et al., PCR Methods and Applications 3:285-291, 1994)。エキソヌクレアーゼは、保護されていない直線状分子を、これらがローリングサークルDNA産物と結び付く際に分解する。この記載に基づいて、当業者は、一本鎖DNAオリゴを除去するための本発明のこのプロセスを用いて、利益をもたらすことができる本発明の他の態様を理解しかつ承知すると思われる。本発明には、そのような態様の全てが含まれる。
ライゲーション用スプリントまたはライゲーション用スプリントオリゴにより、以下に限定されることはないが、プロモーターライゲーション用オリゴおよび第一鎖cDNA標的核酸配列のような、一つのまたは二つの異なる核酸の5'リン酸化末端と3'ヒドロキシル末端とがリガーゼ(またはトポイソメラーゼもしくはリガーゼ活性を有する他の酵素)による連結を目的としたライゲーション反応において両端を互いに隣接させるようにハイブリダイズできる、アニーリング部位または「ライゲーションの鋳型」が供与される。ライゲーション用スプリントが、十分な数および組成のヌクレオチドを含み、十分な濃度で存在することで、その結果、5'末端と3'末端双方の相補配列が、末端のライゲーションを生じさせるようなライゲーション条件下でライゲーション用スプリントにアニーリングしたままでいられる。従って、ほとんどの態様において、ライゲーション用スプリントには、少なくとも約4個のヌクレオチドから最大で約20個のヌクレオチドが含まれるが、しかしながら本発明は、特定数のヌクレオチドに限定されることはない。ライゲーション用スプリントの適当な配列(およびTm)、サイズ、および濃度は、当業者が実験的に決定することができる。本発明のほとんどの態様において、ライゲーション用スプリントオリゴが、反応においてポリメラーゼのためのプライマーとして機能できないように、ライゲーション用スプリントの3'末端ヌクレオチドは、ジデオキシヌクレオチドまたは別の終結ヌクレオチドであることが好ましい。標的核酸配列の複数ラウンドの転写が行われるほとんどの態様では、ライゲーション用スプリントオリゴの他のヌクレオチドには、デオキシヌクレオチドが含まれる。しかしながら、いくつかの態様において、他のヌクレオチドには、RNaseA型ヌクレーゼに対する抵抗性を与える、リボヌクレオチドおよび/またはプリンリボヌクレオチドならびに2'-フルオロ-ピリミジンヌクレオチドが含まれてもよい。ライゲーション用スプリントオリゴの組成は、使用するリガーゼおよびライゲーション条件にも依存するものと思われる。一例として、Ampligase(登録商標) 熱安定性リガーゼ(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)は、DNAライゲーション用スプリントにアニーリングしているDNAの5'ホスホリル末端と3'ヒドロキシル末端とをライゲーションするのみであって、RNAにアニーリングしたDNA末端をライゲーションすることはないものと思われる。しかしながら、T4 RNAリガーゼは、RNAライゲーション用スプリントにアニーリングしているDNA末端を効率的にライゲーションすることが報告されている(Faruqui et al., U.S. Patent No. 6,368,801(参照により本明細書に組み入れられる))。ライゲーション用スプリントオリゴは、オリゴ合成機(これが通常、好ましい)にて、または本明細書の他の箇所に論じられている方法を用いて、酵素的に、合成することができる。
2. プロモータープライマーを用いた転写基質の獲得
a. プロモータープライマーおよびアンチセンスプロモーターオリゴの使用方法
「プロモータープライマー」とは、一般に遊離型の3'-OH基を有するプライマーであって、これは、標的配列に相補的な配列をその3'末端に含み、転写プロモーターをその5'部分でコードする。5'末端部分の転写プロモーターは、「センスプロモーター」または「アンチセンスプロモーター」とすることができる。本明細書で定義されるように、転写される鋳型鎖の配列の3'末端に操作可能に連結される二重鎖プロモーターのプロモーター配列は、「センスプロモーター配列」であり、この配列を含むプロモータープライマーが「センスプロモータープライマー」である。センスプロモーターに相補的な二重鎖プロモーターの配列は、本明細書では「アンチセンスプロモーター」と定義され、この配列を含むプロモータープライマーが「アンチセンスプロモータープライマー」である。
センスプロモータープライマーは、本発明のほとんどの態様で使用される。センスプロモータープライマーが使用される場合、機能的な二重鎖プロモーターを含む「環状の転写基質」は、鋳型(これは通常、標的核酸である)でのセンスプロモータープライマーのプライマー伸長、その後、「センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNA」を得るため、結果的に生じた第一鎖cDNAをライゲーションすることにより得られる分子に「アンチセンスプロモーターオリゴ」をアニーリングさせることにより得ることができる。すなわち、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAとのアンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより、環状の転写基質がもたらされる。センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAが、本発明の説明において他の箇所に記載されている方法を用いて、そのcDNAのセンスプロモーター配列の3'で直線化される場合、「センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNA」が得られる。「直線状の転写基質」は、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせることにより得られる。
アンチセンスプロモーターオリゴは同様に、本明細書の他の箇所に記載されているように、転写基質を得るための本発明の他の態様で、例えば、転写基質を得るために、アンチセンスプロモーターオリゴがセンスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAと複合体化される態様で使用される。
本明細書で定義される「アンチセンスプロモーターオリゴ」には、RNAポリメラーゼがアンチセンスプロモーターオリゴと鋳型配列の3'末端に連結されているセンスプロモーターとの間の二重鎖の複合体を使用して、転写条件下で鋳型に相補的な転写産物を産生することができるような、アンチセンス転写プロモーターに対する配列を含んだオリゴヌクレオチドが含まれる。
プロモータープライマーは、標的核酸中の特定の既知配列に相補的な配列をその3'末端に有することができ、その場合、これは「特定配列のプロモータープライマー」と呼ばれる。しかしながら、プロモータープライマーの他の態様を本発明の方法で使用することもできる。「オリゴ(dT)プロモータープライマー」は、その3'末端にオリゴ(dT)配列を有しており、主に、ポリアデニル化[すなわち、ポリ(A)尾部]を有するmRNA分子に関する本発明の態様で使用されるが、オリゴ(dT)プロモータープライマーは、別の標的核酸がポリ(A)またはポリ(dA)で尾部付けされる態様で使用されてもよい。「アンカーオリゴd(T)プロモータープライマー」は、その3'部分にオリゴ(dT)配列を有するほかに、オリゴ(dT)配列の3'側に、ポリ(A)配列の直前のmRNA標的配列の3'部分にアニーリングする、「アンカーヌクレオチド」と呼ばれる、一つ(または少数)のヌクレオチドも有する。従って、アンカーヌクレオチドは、mRNA標的配列のタンパク質コード配列の先頭にアンカーオリゴ(dT)プロモータープライマーのmRNA相補部分を「繋ぎ止める」働きをする。アンカーヌクレオチドには、特定のmRNAに対する特定塩基または試料中の全てのmRNA分子をプライミングするために無作為に選択された(すなわち、4種全てのヌクレオチドの混合物で合成された)ヌクレオチドが含まれてもよい。「ランダム配列のプロモータープライマー」は、その3'末端に、以下に限定されることはないが、ランダムヘキサマー配列またはランダムオクタマー配列のような、ランダム配列を有する。ほとんどの場合、ランダム配列のプロモータープライマーには、その標的配列相補部分に、可能な全ての配列(例えば、可能な全てのヘキサマー)を有するプライマーの混合物が含まれる。ランダム配列のプロモータープライマーは、プライマーの標的配列相補部分のランダム配列(例えば、ヘキサマー配列)について各ヌクレオチド位置の化学合成の間に4種全ての標準的なヌクレオチド試薬を含有させることにより作製することができる。ランダム配列のプロモータープライマーは、例えば、全ての標的核酸配列のライブラリーを作製するため、試料中の全ての標的核酸配列を増幅すること、または無作為に全ての標的核酸配列を増幅することが望まれる本発明のそれらの態様で使用することができる。しかしながら、全ての配列が増幅されるかもしれないが、ランダム配列のプロモータープライマーを使用することで、必ずしも標的核酸の完全長のコピー(例えば、細胞から得たmRNA分子の完全長のcDNAコピー)だけが産生されるわけではない。従って、ランダム配列のプロモータープライマーを使用する本発明の態様は、通常、いくつかの適用でハイブリダイゼーションプローブを得るためのような、標的核酸配列の完全長のコピーが必要とされない場合に使用される。
本発明の転写基質に、鋳型として標的核酸を用いたプロモータープライマーの逆転写またはプライマー伸長により得られる第一鎖cDNAが含まれる本発明の態様において、プロモータープライマーの転写プロモーターには、プロモータープライマーの5'部分に位置するセンスプロモーター配列が含まれる。従って、鋳型として標的核酸を用いたプロモータープライマーの逆転写酵素触媒性のまたはDNAポリメラーゼ触媒性の伸長により得られる直線状の第一鎖cDNAの転写プロモーターは、標的配列の転写のためのプロモーターとして動作可能ではない。このプロモーターが、標的配列の3'末端に操作可能に連結されていないためである。本発明の方法では、リガーゼまたは別の連結手段を用いて、直線状の第一鎖cDNAの5'部分にある一本鎖のセンス転写プロモーターを標的配列の3'末端に操作可能に連結させて、その結果、センスプロモーター配列とのアンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングによって環状の転写基質を得るのに使用できる、「センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNA」を形成させることにより、この問題を解決している。環状の転写基質を使用して、一本鎖プロモーターを結び付けてこのプロモーターに連結された標的配列を転写できるRNAポリメラーゼを用いた転写により、標的配列に対応する転写産物を産生させることができる。
従って、本発明の一つの態様において、標的配列に相補的な配列を3'末端におよび転写プロモーターを5'部分に有するプロモータープライマーを使用して、本発明の環状の転写基質を得る(図1)。標的核酸とのアニーリング後、プロモータープライマーを使用して、直線状の第一鎖cDNAを得るために適当な反応条件下でDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素により第一鎖cDNA合成をプライミングする。
第一鎖cDNAを次に、プロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、適当なライゲーション条件下でリガーゼを用いて、または適当な連結条件下で、以下に限定されることはないが、トポイソメラーゼ(例えば、U.S. Patent No. 5,766,891(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)のような、別の連結方法を用いてライゲーションする。直線状の第一鎖cDNAの5'リン酸化末端をその3'末端にライゲーションすることで、転写プロモーターが標的配列に連結され、したがって転写条件下での本発明のRNAポリメラーゼを用いたインビトロ転写により、標的配列に対応する転写産物が合成される。
図1の例では、標的配列には試料中の全てのmRNA分子を含む標的核酸が含まれてもよく、転写基質の転写により産生される転写産物には、センスmRNAと本質的に同じ配列を有するRNAが含まれる。環状の転写基質のなかに転写の終結をもたらす配列(すなわち、転写終結配列)が存在しない場合、転写は複数回、環状の転写基質をグルグル周って継続し、センス転写産物の鎖状体(すなわち、試料中のmRNA標的核酸配列と同じ核酸配列のタンデムコピーを含む)を産生する。この鎖状体は、本発明のある種の用途に有用である。
本発明のいくつかの態様において、鎖状体のセンス転写産物ではなく1コピーの合成を可能とするため、一つまたは複数の転写終結配列がプロモータープライマーの標的配列に相補的な3'領域と転写プロモーター5'部分との間に組み込まれる。例えば、転写終結配列がプロモータープライマーに存在する場合、転写産物は、本発明のRNAポリメラーゼを用いた環状の転写基質のインビトロ転写後、長さが、1コピーのmRNA標的核酸配列に対応することができる。転写終結配列は当技術分野において周知であり、当業者は、この配列に関する情報を見つける方法、ならびに使用できるさらなる終結配列を同定するための実験方法を承知しているものと思われる。限定する目的ではなく、一例として、転写終結配列に関する情報は、Reznikoff, W.S., et alにより編集された「RNA Polymerases and the Regulation of Transcription」という題名の本(Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York, 1987)でおよびMiller, J.H.による「A Short Course in Bacterial Genetics. A Laboratory Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria」という題名の本(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1992)の第17項で見出すことができ、その双方が参照により本明細書に組み入れられる。
さらに他の態様において、第一鎖cDNAのライゲーションにより得られたセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAをインビトロ転写に用いる前に直線化して、「センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNA」を形成させ、これにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせて、本発明の直線状の転写基質を得る(図2)。
限定する目的ではなく、一例として、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAは、プロモータープライマーが標的配列に相補的な3'領域とその5'部分の転写プロモーターとの間にdUMPヌクレオチドを有するように合成される場合、ウラシル-N-グリコシラーゼ(「UNG」)およびエンドヌクレアーゼIV(「エンドIV」)を用いた処理により直線化することができる(例えば、U.S. Patent No. 6,048,696(これは参照により本明細書に組み入れられる)の方法を参照されたい)。しかしながら、dUMPヌクレオチドを含むプロモータープライマーの使用は、段階的に行われる本発明の態様でしか使えない。連続反応においてUNGが存在すると、プロモータープライマーの標的相補部分からプロモータープライマーの転写プロモーター部分が切断されてしまうと思われ、これにより、プロモータープライマーが多くの転写基質を産生する能力が損なわれてしまうためである。環状のDNA分子を直線化するのに当技術分野において知られ、本発明の態様で使用することができる、数多くの他の方法が存在しており、当業者は、本発明で用いるのに適した方法を承知しているまたはそれを見つける方法を承知しているものと思われる。限定する目的ではなく、一例として、使用できる数多くのそのような方法が本明細書の「より大きなRNAまたはDNA標的核酸の一部分だけを含んだ標的配列の5'末端および3'末端を定義するための方法」という表題の項に記載されている。
本発明の他の態様には、本発明の転写基質として第二鎖cDNAを合成するためのプロモータープライマーの使用が含まれる。それらの態様において、転写プロモーターは、(a) センス転写プロモーターに相補的な配列を含む5'部分の配列を有するプロモータープライマーを用いて第一鎖cDNAを合成する(すなわち、このcDNAはアンチセンスプロモータープライマーを含む)ことによりまたは、(b) 第二鎖cDNAの合成のためにセンス転写プロモーターを含むプロモータープライマーを使用することにより、第二鎖cDNAに組み込むことができる。プロモータープライマーに使用されるプロモーター配列は、本発明のRNAポリメラーゼに対するセンスプロモーターの配列に関する知識ならびに核酸塩基相補性の規則およびDNAとRNAポリメラーゼによるDNAとRNA合成の方向性に関する知識に基づいて決定することができる。一例として、順に、mRNAの逆転写により産生される第一鎖cDNA、のプライマー伸長により産生される第二鎖cDNAに、センス転写プロモーターが望まれる場合、第一鎖cDNA合成に、または第二鎖cDNA合成に使用されるプロモータープライマーに対し、それぞれ、必要とされる適当なセンスまたはアンチセンス配列(および標的配列に対する配列の位置)を決定するのに、一つには、転写基質において既知配列のセンス転写プロモーターを、本発明のRNAポリメラーゼにより増幅される標的核酸配列の3'末端に有することから逆方向に作業を進めることができる。
本発明のいくつかの態様において、複数のプロモーターをプロモータープライマーに存在させることができる。限定する目的ではなく、一例として、プロモータープライマーは、二つのプロモーター配列をコードすることが可能であり、その配列のどちらも第一鎖cDNA上のセンスプロモーター(例えば、本発明の二つの異なるRNAポリメラーゼに対する)をコードする。または、プロモータープライマーおよび得られた第一鎖cDNAの第一のプロモーター配列にはセンスプロモーターを含有させることができ、第二のプロモーター配列にはアンチセンスプロモーターを含有させることができ、その場合、第二鎖cDNAにおいて、第一のプロモーター配列はアンチセンスになると思われ、第二のプロモーター配列はセンスになると思われる。第一ラウンドからのRNAを使用することにより、転写のための第二回目の転写基質を得るためのさらなる転写ラウンドを含む態様の場合、反応を設計する際に、引き続く転写ラウンドを通じてのプロモーター配列の行末を考慮に入れる必要がある。
転写プロモーター配列および標的相補的な配列に加えて、本発明のプロモータープライマーは、転写プロモーター配列の5'および/または3'にある付加的な核酸配列を有することもできるが、しかしプロモータープライマーはそのような付加的な他の配列を有する必要はない。限定する目的ではなく、一例として、プロモータープライマーはプロモーター配列の5'に、転写開始部位を有することができる。本発明のいくつかの態様において、プロモータープライマーは、一つもしくは複数の転写終結配列、転写基質である環状の第一鎖cDNAの直線化制御を可能とする、(以下に限定されることはないが、ウラシル-N-グリコシラーゼおよびエンドヌクレアーゼIV、または本明細書の他の箇所に論じられている他の切断方法を用いて切断できるdUMP残基のような)DNA切断のための一つもしくは複数の部位、一つもしくは複数の複製起点(「ori」) (好ましくは、以下に限定されることはないが、ファージM13レプリコンのような、一本鎖レプリコンに対するori)、選択可能もしくはスクリーニング可能マーカー、例えば、以下に限定されることはないが、それぞれ抗生物質耐性遺伝子もしくはβ-ガラクトシダーゼ遺伝子、またはインビトロもしくはインビボ転位のためのトランスポサーゼにより認識されかつ用いられることができる、一つもしくは複数のトランスポゾン認識配列(例えば、OEまたはME配列)、またはリコンビナーゼ(以下に限定されることはないが、cre-loxシステムのような)により認識される一つもしくは複数の部位、および/または特定の目的のための他の配列もしくは遺伝因子を有することができる。本発明の明細書を読んだ後、当業者は、機能的プロモーターの5'にある配列が本発明のRNAポリメラーゼにより転写されることを理解するものと思われ、従って、プロモータープライマー内でプロモーター配列に対して特定の付加配列または遺伝因子を配置すべき場所を理解するものと思われる。本発明のいくつかの態様において、プロモータープライマーは、5'リン酸を有するか、または本発明の方法のプロセスの間に、以下に限定されることはないが、ポリヌクレオチドキナーゼ(例えば、T4 PNK)のような、酵素によりその5'末端でリン酸化される。プロモータープライマーに5'リン酸基を供与する主な理由は、プロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るのに、標的配列でのプロモータープライマーの逆転写またはプライマー伸長後の直線状の第一鎖cDNAのライゲーションを可能とするためである。
本発明のプロモータープライマーを使用する態様の多くの例を以下に記載する。本発明には、転写プロモーターが、二重鎖型の場合、転写基質を用いてRNAを合成できるRNAポリメラーゼにより使用されることができるセンスプロモータープライマーを使用するための全ての方法が含まれるものであり、示されている態様例のみに限定されることはない。
プロモータープライマーを使用する方法に関して、本発明の一つの態様には、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物を産生させる目的で環状の転写基質を作製するためのセンスプロモータープライマーの使用方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる。
a. 第一鎖cDNAの合成のためのセンスプロモータープライマーであって、その3'末端に、転写される標的配列の3'末端に相補的な配列を、ならびにセンス転写プロモーターに対する配列を含む5'末端部分を、および任意で、その5'末端にリン酸基またはトポイソメラーゼ成分を含むプロモータープライマーを得る段階;
b. プロモータープライマーを標的核酸にアニーリングさせる段階;
c. 標的配列またはプロモータープライマーがアニーリングした配列に相補的な第一鎖cDNAを得るため、標的核酸にアニーリングしたプロモータープライマーをDNAポリメラーゼによりDNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
d. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしている標的核酸を除去する段階;
e. 環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの5'末端を第一鎖cDNAの3'末端に共有結合させ、第一鎖cDNAをライゲーションする段階であって、その際に、環状の第一鎖cDNAはセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを含む段階;
f. 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階。
本発明の別の態様には、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物を産生させる目的で直線状の転写基質を得るための方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
a. 上記の方法の段階(a)〜(e)を実行することにより、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAの環状転写基質を得る段階;
b. センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを転写プロモーターの3'部位でおよび前記のセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAのセンスプロモータープライマー部分の標的相補配列の5'部位で直線化する段階であって、その際に、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖が得られる段階; および
c. 直線状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階。
本発明の一般的な態様には、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物を産生させるための方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
a. 環状の転写基質および直線状の転写基質の中から選択される、転写基質を得る段階;
b. 転写産物を得るため、転写基質を転写条件下で、転写基質のプロモーターを認識して、転写基質から転写産物を産生させるRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
c. 転写産物を得る段階。
標的核酸はDNAまたはRNAとすることができる。限定する目的ではなく、一例として、標的配列には、単一種のmRNAを含んだ標的核酸が含まれてもよく、または標的配列には、試料中の全てのmRNAを含み得る、標的核酸が含まれてもよい。
従って、本発明の一つの態様は、mRNAを含む標的核酸を含んだ標的配列に対応する転写産物を産生させるためのセンスプロモータープライマーの使用方法であって、以下の段階を含む方法である:
a. mRNAを含む標的核酸を得る段階;
b. 標的相補配列がオリゴ(dT)配列、オリゴd(T)Xアンカー配列、標的特異配列、およびランダム配列の中から選択される、標的配列の3'末端に相補的な標的相補部分を3'末端に含んだ、ならびに5'末端が任意でリン酸またはトポイソメラーゼ成分を含んだ、センスプロモータープライマーを得る段階;
c. プロモータープライマーを標的核酸にアニーリングさせる段階;
d. 標的配列またはプロモータープライマーがアニーリングした配列に相補的な第一鎖cDNAを得るため、標的核酸にアニーリングしたプロモータープライマーをDNAポリメラーゼによりDNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
e. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしているRNAを除去する段階;
f. センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させて、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
g. 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
h. 転写産物を得るため、転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
i. 転写産物を得る段階。
別の態様において、直線状のセンスプロモーターの第一鎖cDNAを得るために環状のセンスプロモーターの第一鎖cDNAを直線化し、その後、アンチセンスプロモータープライマーをその中のセンスプロモーター配列にアニーリングさせて、直線状の転写基質を得る。次いで、転写産物を得るため、直線状の転写基質を転写条件下でRNAポリメラーゼと接触させて、転写産物を得る。
転写基質を得るための方法および標的配列に対応する転写産物を産生させるための方法は、段階的な方法で行うことができ、または、適当な反応条件下で、それらを単一の反応混合物中で連続的に行うことができる。
従って、本発明の一つの態様には、標的核酸中の標的配列のさらなる転写ラウンドを得るための方法(図3)であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
a. 転写産物を得る段階;
b. 標的配列の3'末端に相補的な標的相補部分を3'末端に、および任意で、リン酸基またはトポイソメラーゼ成分を5'末端に含んだ、センスプロモータープライマーを得る段階;
c. プロモータープライマーを転写産物にアニーリングさせる段階;
d. 第一鎖cDNAを得るため、転写産物にアニーリングしたプロモータープライマーをDNAポリメラーゼによりDNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
e. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしているRNAを除去する段階;
f. センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させて、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
g. 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
h. さらなる転写産物を得るため、転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
i. さらなる転写産物を得る段階。
別の態様において、直線状のセンスプロモーターの第一鎖cDNAを得るために環状のセンスプロモーターの第一鎖cDNAを直線化し、その後、アンチセンスプロモータープライマーをその中のセンスプロモーター配列にアニーリングさせて、直線状の転写基質を得る。次いで、転写産物を得るため、直線状の転写基質を転写条件下でRNAポリメラーゼと接触させて、転写産物を得る。
本発明の方法の異なる態様を用いて、標的核酸配列の内部にある標的配列に対応する転写産物を産生させることもできる。一例として、いくつかの態様を用いて、以下に限定されることはないが、ゲノムDNA中の野生型または変異型配列のような、配列に対応する転写産物を産生させることができる。これらの態様において、以下に限定されることはないが、標的核酸とのブロッキングオリゴのアニーリングのような、一つまたは複数のプロセスには、本明細書の他の箇所に論じられているように、転写される標的配列の3'末端を制限することが必要とされる。一般に、標的核酸は、本発明の方法で用いるには一本鎖としなければならない。従って、二本鎖核酸は、変性されなければならない。
従って、プロモータープライマーを使用する本発明の一つの態様は、一本鎖DNAまたはRNAを含む標的核酸の一部分だけを含んだ標的配列に対応する転写産物を産生させるための方法であって、以下の段階を含む方法である:
a. 一本鎖DNAまたはRNAを含む標的核酸を得る段階;
b. 標的配列の3'末端に相補的な標的相補部分を3'末端に、および任意で、リン酸基またはトポイソメラーゼ成分を5'末端に含んだ、センスプロモータープライマーを得る段階;
c. 標的核酸を鋳型として用いるプロモータープライマーのプライマー伸長産物の3'末端の範囲を定めるための、標的核酸上の配列に強固にアニーリングする配列を含んだブロッキングオリゴであって、その際に、プライマー伸長産物により置換されることがなく、およびその際に、それ自体はDNAポリメラーゼによりプライマー伸長される可能性がない、ブロッキングオリゴを得る段階;
d. プロモータープライマーおよびブロッキングオリゴを標的核酸にアニーリングさせる段階;
d. 第一鎖cDNAを得るため、標的核酸にアニーリングしたプロモータープライマーをDNAポリメラーゼによりDNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
f. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしている標的核酸を除去する段階;
g. センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させて、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
h. 任意で、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを、プロモーター配列の3'およびセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにおけるプロモータープライマーの標的相補部分の5'である部位で直線化する段階;
g. 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階; または直線状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
h. 転写産物を得るため、転写条件下で、環状の転写基質または直線状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
i. 転写産物を得る段階、
k. 任意で、転写産物を得るため、さらなる転写ラウンドを得るのに段階b〜kを繰り返す段階。
本発明のさらに他の態様において、アンチセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAは、鎖置換DNAポリメラーゼと少なくとも一つの鎖置換プライマー、およびいくつかの態様では、複数の鎖置換プライマーを用いたDNA合成のための鋳型として使用される。本明細書では、「鎖置換プライマー」とは、本発明の鎖置換DNAポリメラーゼによりプライマー伸長されることができるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり、その際に、鎖置換DNA合成が起こる。一般に、鎖置換は、プライマーの特性というよりはむしろ使用するDNAポリメラーゼおよび反応条件の特性である。従って、鎖置換プライマーの組成および特性は、かなり変化する可能性がある。例えば、本発明のいくつかの態様において、鎖置換プライマーは、環状の鋳型DNAにハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドとすることができ、その際に、鎖置換DNAポリメラーゼによるローリングサークル複製から生じているDNA合成産物が鎖置換プライマー伸長産物に置き換わって、結果的に環状の鋳型のタンデムな相補的ssDNAコピーが得られる。他の態様において、鎖置換プライマーは、環状の鋳型DNAの配列に相補的な3'部分と非相補的な5'部分とを有する、従って、「突出部」を有することが好ましく、突き出した突出部により、場合によって、プライマーの置換が容易になるものと思われる。鎖置換が直線状の鋳型DNAで行われる場合、鎖置換プライマーは、特定のヌクレオチド組成および/または構造を有するように設計することが可能であり、鎖置換プライマーを鋳型から遊離させることにより鎖置換を容易にするため、さらなる方法および反応成分を使用することが可能である。
本発明の鎖置換DNAポリメラーゼは、結果的に鎖置換をもたらす任意のDNAポリメラーゼとすることができる。本発明の好ましい鎖置換DNAポリメラーゼには、構造依存的5'ヌクレアーゼ活性を含む、5'エキソヌクレアーゼ活性がない。好ましい鎖置換DNAポリメラーゼには、「IsoTherm(商標) DNAポリメラーゼ」(Epicentre Technologies, Madison, Wisconsin, USA)とも呼ばれるrBst DNAポリメラーゼラージフラグメント、Bca DNAポリメラーゼ(TAKARA Shuzo Company, Kyoto, Japan)、RepliPHI(商標) DNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, Wisconsin, USA)、Φ29 DNAポリメラーゼ(U.S. Patent Nos. 5,198,543および5,001,050(参照により本明細書に組み入れられる)、SequiTherm(商標) DNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison, Wisconsin, USA)、MMLV逆転写酵素、およびSequenase(登録商標) DNAポリメラーゼ(USB, Cleveland, Ohio, USA)が含まれる。これらの態様において、鋳型として環状の第一鎖cDNAを用いて、第二鎖DNA合成をプライミングするのに鎖置換プライマーが使用される。DNA合成が鋳型となる環状の第一鎖cDNAの周りを完全に進むと、第二鎖cDNAは置換されて、その結果、置換された一本鎖の第二DNA鎖が反応溶媒中に放出される。転写プロモーターは、鋳型となる環状の第一鎖cDNAのDNA合成ラウンドごとに少なくとも一つ存在するので、この放出された一本鎖の「センスプロモーターを含む第二鎖cDNA」を使用して、アンチセンスプロモーターオリゴのアニーリング後、直線状の転写基質を得ることができる。第二鎖cDNAが成長し続けるにつれて、アンチセンスRNAのより長い鎖状体が形成される。得られた直線状の転写基質は、転写条件下で本発明のRNAポリメラーゼにより使用されて、標的核酸配列に対するアンチセンス転写産物を産生することができる。従って、これは、鋳型として第一鎖cDNAを用いてセンス転写産物を産生させるため、センスプロモータープライマーを使用していた前の態様とは異なる。アンチセンスRNAは、以下に限定されることはないが、核酸のアレイまたはマイクロアレイに対するプローブとして使用する場合のような、多くの用途に使用することができる。第二鎖cDNAが成長し続けるにつれて、アンチセンスRNAのより長い鎖状体が形成される。
上記のように、いくつかの態様では、アンチセンス転写プロモーターを含む環状の第一鎖cDNAであって、その後、鎖置換DNAポリメラーゼによるセンスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAの鎖置換DNA合成に対する鋳型として使用される環状の第一鎖cDNAを最初に得ることにより、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物を産生させるための転写の鋳型を得る。直線状の転写基質は、センスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせることにより得られる。
従って、本発明の一つの態様には、標的核酸中の標的配列に対応する転写産物を産生させるための方法(図6)であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
a. 一本鎖DNAまたはRNAを含む標的核酸を得る段階;
b. 標的配列に相補的な3'末端部分および任意で、リン酸基またはトポイソメラーゼ成分を5'末端に含んだ、アンチセンスプロモータープライマーを得る段階;
c. 任意で、標的核酸を鋳型として用いるプロモータープライマーのプライマー伸長産物の3'末端の範囲を定めるための、標的核酸上の配列に強固にアニーリングする配列を含んだブロッキングオリゴであって、その際に、プライマー伸長産物により置換されることがなく、およびその際に、それ自体はDNAポリメラーゼによりプライマー伸長される可能性がない、ブロッキングオリゴを得る段階;
d. プロモータープライマーおよび、任意で、ブロッキングオリゴを標的核酸にアニーリングさせる段階;
e. 第一鎖cDNAを得るため、標的核酸にアニーリングしたプロモータープライマーをDNAポリメラーゼによりDNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
f. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしている標的核酸を除去する段階;
g. 環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させて、直線状の第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
h. 鎖置換プライマーを得る段階;
i. 環状の第一鎖cDNAに鎖置換プライマーをアニーリングさせる段階;
j. 鎖置換DNAポリメラーゼを得る段階;
k. センスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAを得るため、鎖置換プライマーがアニーリングした環状の第一鎖cDNAを鎖置換DNAポリメラーゼと、DNA合成条件下で接触させる段階;
l. センスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAを得る段階;
m. センスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階および直線状の第二鎖転写基質を得る段階;
n. 転写条件下で、プロモーターを用いて、直線状の第二鎖転写基質を転写するRNAポリメラーゼを得る段階;
o. アンチセンス転写産物を得るため、直線状の第二鎖転写鋳型をRNAポリメラーゼと、転写条件下で接触させる段階; および
p. アンチセンス転写産物を得る段階; および
q. 任意で、アンチセンス転写産物のさらなる転写ラウンドを得るのに段階b〜qを繰り返す段階。
b. 本発明のプロモータープライマーおよびアンチセンスプロモーターオリゴの組成
本発明の好ましい態様において、プロモータープライマーには、DNAヌクレオチドが含まれる。プロモータープライマーには、特定の目的で一つまたは複数の修飾ヌクレオチドが含まれてもよい。限定する目的ではなく、一例として、プロモータープライマーは、センス転写プロモーターの3'および標的核酸配列に相補的な配列の5'に一つまたは複数のdUMPヌクレオチドを含むことができ、これにより、本明細書の他の箇所に論じられているUNGおよびエンドIVを用いて、(環状の転写基質を得るためにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる前に)センスプロモーターを含む第一鎖cDNAを直線化するための、または場合によっては、環状の転写基質を直線化するための部位が得られる。しかしながら、本発明は、DNAヌクレオチドまたは修飾DNAヌクレオチドを含むプロモータープライマーに限定されることはなく、場合によっては、プロモータープライマーは、RNAもしくは修飾RNAのヌクレオチドまたはDNAおよびRNAのヌクレオチドもしくは修飾ヌクレオチドの双方を含むことができる。
プロモータープライマーの核酸標的に相補的な部分は、試料中のRNA標的における特定の既知配列に相補的とすることができ、またはこれには、以下に限定されることはないが、ランダムヘキサマー配列のような、可能な全ての配列もしくは可能な多くの配列の混合物が含まれることができる。ランダムプライマー配列は、プロモータープライマーのmRNA相補部分について各ヌクレオチド位置の化学合成の間に、4種全ての標準的な塩基を補完するヌクレオチド試薬を含有させることにより作製することができる。mRNA標的核酸を含む試料を用いる本発明の態様(これは好ましい態様である)において、プロモータープライマーの3'末端には、特定のmRNAの既知配列に相補的である特定配列が含まれるかまたは、mRNAがその3'末端にポリ(A)尾部を有する場合、プロモータープライマーの3'末端には、オリゴ(dT)配列が含まれることができる。mRNA標的核酸に対する本発明のさらに他の態様において、プロモータープライマーの3'末端には、以下に限定されることはないがランダムヘキサマー配列のような、ランダム配列が含まれることができる。
本発明のプロモータープライマーは、その5'部分に転写プロモーターを含む。いくつかの態様において、転写プロモーターには、本発明のRNAポリメラーゼを結合できるセンスプロモーター配列が含まれる。しかしながら、当業者は、転写プロモーターが、プロモータープライマーを用いたRNA標的核酸の逆転写により合成される直線状の第一鎖cDNAの5'にあるという事実から、本発明のRNAポリメラーゼがこの転写プロモーターを使用して、RNA標的核酸に相補的である第一鎖cDNAに相補的なRNAを合成できないことを理解するものと思われる。しかしながら、環状の第一鎖cDNAを形成するように直線状の第一鎖cDNAの5'末端がその3'末端にライゲーションされる場合には、本発明のRNAポリメラーゼは、この転写プロモーターを使用して、RNA標的核酸に相補的である第一鎖cDNAに相補的なRNAを合成することができる。このように、この態様の環状の第一鎖cDNAには、本発明の転写基質が含まれる。従って、本発明のこれらの態様の好ましいプロモータープライマーは、ライゲーション条件下で本発明のリガーゼによる直線状の第一鎖cDNAのライゲーションを容易にするために、その5'末端でリン酸化される。限定する目的ではなく、一例として、プロモータープライマーの5'末端は、当技術分野において知られる適当な反応条件下でT4ポリヌクレオチドキナーゼおよびATPを用いてリン酸化することができる。他の態様において、プロモータープライマーは、ライゲーション条件下で直線状の第一鎖cDNAのトポイソメラーゼを介したライゲーションを容易にするために、その5'末端に1型トポイソメラーゼ成分を有する(例えば、U.S. Patent No. 5,766,891(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)。
一般に、アンチセンスプロモーターオリゴには、デオキシリボヌクレオチドが含まれる。修飾ヌクレオチドまたは修飾結合は、これらが、センスプロモーター配列と複合体化するまたはRNAポリメラーゼを結合するまたは鋳型鎖を用いて転写を開始するRNAポリメラーゼの能力に影響を及ぼすアンチセンスプロモーターオリゴの能力に実質的に影響を及ぼさないことを注意深く決定した後にのみ、アンチセンスプロモーターオリゴに使用されるべきである。しかしながら、修飾ヌクレオチドを特定の目的に使用することができる。同様に、以下に限定されることはないが、ある種のヌクレアーゼに抵抗性であるα-チオリン酸糖結合のような、修飾結合を特定の目的に使用することができる。アンチセンスプロモーターオリゴは、これが、センスプロモーターにアニーリングしたときに、転写産物を産生させる転写条件下でRNAポリメラーゼが用いることができる機能的な二重鎖プロモーターをもたらすアンチセンスプロモーター配列を含むのに十分な長さを有する限り、任意の長さのものとすることができる。アンチセンスプロモーターを含むオリゴには、アンチセンスプロモーター配列の3'または5'にある付加的なヌクレオチドが含まれてもよい。但し、この付加的なヌクレオチドが、センスプロモータープライマーのセンスプロモーター配列とのアンチセンスプロモーター配列の複合体化とは無関係な形で本発明の方法の対象とする標的配列もしくは別の成分を結合しない限り、または別の形でその方法の結果に悪影響を及ぼさない限りにおいてである。修飾ヌクレオチドが、以下に限定されることはないが標識化部分を付着させるためのような目的で、アンチセンスプロモーターオリゴに使用される場合、修飾ヌクレオチドは、可能であれば、アンチセンスプロモーター配列を含んでいないヌクレオチドにあることが好ましい。アンチセンスプロモーターオリゴは、DNAポリメラーゼを用いたプライマー伸長またはリガーゼを用いたライゲーションのような段階が行われる際に、反応中に存在する場合、アンチセンスプロモーターオリゴは、これらの反応に関与できないように設計される。これは、例えば、アンチセンスプロモーターオリゴがプライマー伸長されることがないよう、その3'末端にジデオキシヌクレオチドまたは別の終結ヌクレオチドを有するアンチセンスプロモーターオリゴおよびその5'末端にリン酸基(これはライゲーション反応に関与し得ると思われる)を持たないアンチセンスプロモーターオリゴを合成することにより達成される。
D. 直線状のssDNAを環状化するためのリガーゼおよびライゲーション方法
転写基質を得るための方法に関する上記の説明から、直線状のssDNAをライゲーションして環状のssDNAを得ることが、種々の態様において有用であることは明らかである。本発明は、直線状のssDNA分子を環状化するための特定のリガーゼに限定されることはなく、特定の目的を達成するのに、異なるリガーゼおよびライゲーション方法を異なる態様で使用することができる。リガーゼを使用する態様において、環状のssDNAを得るためにライゲーションされる直線状のssDNAの5'末端は、5'リン酸基を有する必要がある、または5'末端は、本発明の方法のプロセスの間に、以下に限定されることはないがT4ポリヌクレオチドキナーゼのような、ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化される必要がある。
以下に限定されることはないがThermoPhage(商標) RNAリガーゼII(Prokaria Ltd., Reykjavik, Iceland)のような、非相同性分子内ライゲーションを触媒するリガーゼは、製造業者の反応条件を用い、直線状のssDNAをライゲーションして環状のssDNAを形成させるのに適したリガーゼである。
平滑末端に対し活性がないNAD依存性DNAリガーゼ、例えば、以下に限定されることはないがAmpligase(登録商標)熱安定性DNAリガーゼ(Epicentre Technologies, Madison, Wisconsin, USA)、Tth DNAリガーゼ、Tfl DNAリガーゼ、およびTsc DNAリガーゼ(Prokaria Ltd., Reykjavik, Iceland)は、相補DNA分子にアニーリングした際に互いに隣接するDNA末端の5'リン酸化末端と3'ヒドロキシル末端とをライゲーションさせるのに使用することが可能であり、DNAを含むライゲーション用スプリントオリゴを使用する本発明の態様において適当なリガーゼである。しかしながら、本発明は、特定のリガーゼの使用に限定されることはなく、任意の適当なリガーゼを使用することができる。例えば、T4 DNAリガーゼは、ライゲーション用スプリントを使用する本発明の態様で使用することができる。さらに、Faruquiにより、T4 RNAリガーゼは、RNA鎖にハイブリダイズした際に互いに隣接する核酸のDNA末端を、効果的にライゲーションできることがU.S. Patent No. 6,368,801に開示されている。従って、T4 RNAリガーゼは、DNA末端がRNAまたは修飾RNA、例えば、以下に限定されることはないが、DuraScribe(商標) T7転写キット(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)を用いて作製した2'-F-dCTPおよび2'-F-dUTPを含む修飾RNAを含有するライゲーション用スプリントオリゴに連結される態様において、本発明の適当なリガーゼである。
本発明は同様に、本発明のさまざまな態様において、同じまたは異なる核酸分子の5'末端をその3'末端に共有結合させるためのリガーゼの使用に限定されることはない。一例として、以下に限定されることはないが、トポイソメラーゼを介したライゲーション(例えば、U.S. Patent No. 5,766,891(参照により本明細書に組み入れられる))のような、他のライゲーション方法を使用することができる。
E. 発明の方法の実行様式
用途ならびにその必要条件および制約に応じて、本発明の方法は、ある一連の反応を行い、次の一連の反応に進む前に反応産物の精製もしくは試薬の除去もしくは酵素の不活性化もしくは試薬の添加を続けて行う、段階的な方法で行うことができ、または、他の用途のための他の態様において、この方法は、単一の反応混合物にて連続的な一連の複数反応として行うことができる。限定する目的ではなく、一例として、いくつかの態様において、転写の鋳型としてプロモーターを含む第一鎖cDNAを用いる転写の別反応のそれぞれを別々に行うことができる。さらなる一例として、本発明の方法が診断アッセイ法の一部分として用いられるいくつかの態様において、全ての反応は、単一の反応混合物にて行うことができ、転写反応の産物は、単離されなくとも、検出することができる。
本発明には、本発明の方法および組成物の一部分または部分集合も含まれる。従って、本発明には、全体の方法に加えて、本発明の方法を可能とするその個々の段階の全てが含まれる。
F. 本発明の用途の範囲の例
当業者は、本発明が新規であって、対象範囲が広く、多くの用途に対して生体試料中のRNA(mRNAを含む)またはDNAを含む標的核酸配列に対応する転写産物の産生に関連した方法、プロセス、組成物およびキットを向上させることを理解するものと思われる。これらの方法は、以下に限定されることはないが、完全長のcDNAおよびcDNAライブラリーの作製、遺伝子発現解析の向上、ならびに標的配列の検出のような用途に有用である。限定する目的ではなく、さらなる一例として、本発明には、以下を行うための方法および用途に改良を加えた、より良好な方法、プロセス、組成物およびキットが含まれる。
1. 核酸分子をインビトロで増幅する
2. DNA配列をインビトロで増幅する
3. ゲノムDNA配列をインビトロで増幅する
4. RNA配列をインビトロで増幅する
5. mRNAを増幅する
6. rRNAを増幅する
7. RNAを合成する
8. 以下に限定されることはないが、2'-フルオロ-ヌクレオチドを含むRNAのような、修飾RNAを合成する
9. DNAを合成する
10. 試料中の核酸配列の存在を検出する
11. 標的生物の存在を示す、試料中の標的核酸配列の存在を検出する
12. 試料中の標的核酸分析物の存在を検出する
13. 試料中のDNA配列の存在を検出する
14. 試料中のRNA配列の存在を検出する
15. 試料中の遺伝子の存在(または検出レベルでの非存在)を検出する
16. 試料中の標的生物の存在を検出する
17. 試料中のウイルスの存在を検出する
18. 試料中の細菌の存在を検出する
19. 試料中の病原体の存在を検出する
20. 試料中の有益な生物の存在を検出する
21. RNAおよびDNA結合タンパク質と関連した核酸を同定するおよび定量化する
22. がん遺伝子を検出する
23. がん抑制遺伝子を検出する
24. ウイルス、微生物、遺伝子、mRNA、rRNA、核酸分析物、またはあらゆる目的のためのあらゆるタイプの任意の他の核酸の量を定量化する
25. プローブとして使用する
26. アレイまたはマイクロアレイのたのプローブとして使用する
27. トランスフェクション試薬を使用することなく、血清中のヒト、動物、または他の真核生物の細胞に導入できるdsRNAまたは修飾dsRNAを作製する
28. インビトロでRNAiとして用いるdsRNAまたは修飾dsRNAを合成する
29. インビトロでsiRNAとして用いるdsRNAまたは修飾dsRNAを合成する
30. ウイルスまたは他の病原菌がコードする遺伝子を沈黙化するRNAiまたは修飾RNAiを作製する
31. ウイルスまたは他の病原菌がコードする遺伝子を沈黙化するsiRNAiまたは修飾siRNAを作製する
32. ウイルスまたは他の病原菌がコードする生体分子と関連するおよび/または相互作用する、植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする遺伝子を沈黙化するRNAiまたは修飾RNAiを作製する
33. ウイルスまたは他の病原菌がコードする生体分子と関連するおよび/または相互作用する、植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする遺伝子を沈黙化するsiRNAiまたは修飾siRNAを作製する
34. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする、必須ではない疾患感受性遺伝子を沈黙化するRNAiまたは修飾RNAiを作製する
35. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする、必須ではない疾患感受性遺伝子を沈黙化するsiRNAiまたは修飾siRNAを作製する
36. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする非必須遺伝子を沈黙化するRNAiまたは修飾RNAiを作製し、その際に、遺伝子の沈黙化により結果的に有益な効果をもたらす
37. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする非必須遺伝子を沈黙化するsiRNAiまたは修飾siRNAを作製し、その際に、遺伝子の沈黙化により結果的に有益な効果をもたらす
38. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする非必須遺伝子を沈黙化するRNAiまたは修飾RNAiを作製し、その際に、遺伝子の沈黙化により結果的にさらに良い収率、生体分子の産生、風味、または以下に限定されることはないが、耐寒性、塩耐性、生育期の短縮化、もしくは栄養素を使用する効率性の増加のような、他の商業的に有益な効果をもたらす
39. 植物、動物、ヒト、真菌または他の真核生物の宿主遺伝子がコードする非必須遺伝子を沈黙化するsiRNAiまたは修飾siRNAを作製し、その際に、遺伝子の沈黙化により結果的にさらに良い収率、生体分子の産生、風味、または以下に限定されることはないが、耐寒性、塩耐性、生育期の短縮化、もしくは栄養素を使用する効率性の増加のような、他の商業的に有益な効果をもたらす
40. 感染性生物の存在および/またはレベルを診断する
41. 疾患を診断する
42. 環境試料中の核酸の存在を検出する
43. 異なるタイプの細胞にもしくは異なる条件下の同じタイプの細胞にあるいは同じもしくは異なる条件下のまたは特定の刺激もしくは処理に反応した同じもしくは異なるタイプの細胞に存在するmRNA分子間で、定性的と定量的の双方で、差別化する
44. 確定した異なる条件下で細胞の遺伝子発現プロファイルを、定性的と定量的の双方で、解析する
45. 確定した同じ環境条件下で異なるタイプの細胞の遺伝子発現プロファイルを、定性的と定量的の双方で、解析する
46. 長期にわたり細胞の遺伝子発現プロファイルを、定性的と定量的の双方で、解析する
47. 特定の刺激に反応した遺伝子発現を、定性的と定量的の双方で、解析する
48. あるタイプの細胞には存在し、別のタイプの細胞には存在しないmRNA分子および/またはcDNA分子のライブラリー、または特定の条件下のあるタイプの細胞に存在するが、しかしその他の条件下のあるタイプの細胞には存在しないmRNA分子および/またはcDNA分子のライブラリー(すなわち、サブトラクション・ライブラリー)を作製する
49. 以下に限定されることはないが、選択的なスプライシングおよびプロモーター使用により特定の遺伝子から産生されるものを含む、mRNAの5'末端に対応する配列をマッピングするおよびクローニングする
50. さらに正確なcDNA末端の迅速増幅(「RACE」)法(例えば、Flouriot et al. , Nucleic Acids Res. 27:e8 (I-iv), 1999を参照されたい)のためのさらに良好な鋳型を産生する
51. 以下に限定されることはないが、結合型または逐次型の転写および翻訳を含む、インビトロまたはインビボ翻訳のためのmRNAを産生するおよび/または増幅する
52. 患者において腫瘍またはがんの細胞のサイズまたは数を減少させる目的で、以下に限定されることはないが、樹状細胞に導入するために患者から得た腫瘍もしくはがん細胞(例えば、Steinman et al.のU.S. Patent Nos. 5,994,126および6,475,483(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい)または、以下に限定されることはないが、患者の免疫反応のような、インビボ反応をブーストするか若しくは増大させるために患者から得たその他の細胞のような、生細胞に存在するRNAおよび/もしくはDNAまたは修飾されたRNAおよび/もしくはDNAを増幅する
53. 患者から得たおよび/またはウイルスもしくは他の病原菌に存在するRNAおよび/もしくはDNAまたは修飾されたRNAおよび/もしくはDNAであって、それぞれRNAワクチンおよび/またはDNAワクチンとして使用するためのRNAおよび/またはDNAを産生するおよび/または増幅する
54. トランスフェクション試薬を使用することなく、血清中のヒト、動物、または他の真核生物の細胞に導入できるRNAまたは修飾RNAを作製する
55. 以下に限定されることはないが、2'-F-dCMPおよび2'-F-dUTPのような、2'-フルオロ-2'デオキシヌクレオチドを含む修飾RNAを、対応する標準的なヌクレオチドの代わりに作製する
56. 固体基板に増幅産物を付着させることにより、増幅された核酸のアレイまたはマイクロアレイを製造する
57. 試料中の標的核酸配列の変異または変異型を検出する
58. 試料中の標的核酸(または複数の標的核酸)の量を定量化する。
2'-F-dCMPおよび2'-F-dUTPを含む修飾RNA分子は、RNaseA型のリボヌクレアーゼに抵抗性である(Sousa et al., U.S. Patent No. 5,849,546(参照により本明細書に包含される))。Capodici et al(J. Immunology 169:5196-5201, 2002(参照により本明細書に包含される))により、DuraScribe(商標) T7転写キット(Epicentre Technologies, Madison, WI, USA)を用いて作製した2'-フルオロ含有dsRNA分子は、血清の存在下でさえ、細胞への輸送にトランスフェクション試薬を必要としないことが示された。Kakiuchi et al. (J. Biol. Chem. 257:1924-1928, 1982(参照により本明細書に包含される))により、[(2'-F-dI)n. : (2'-F-dC)n.]二重鎖を使用することで、[(rI)n. : (rCn.]二重鎖よりも40〜100倍抗原性が低くなり、[(rI)n. : (rC)n.]二重鎖と同じようなインターフェロン反応が誘発されないことが示された。
I. 試料中の標的核酸配列を含む転写基質を用いて転写産物を産生させる本発明の態様のためのキットおよび組成物
本発明の重要な組成物は、センスプロモータープライマーである。センスプロモータープライマーは、一つの特定の標的配列をプライマー伸長するために提供されてもよく、またはセンスプロモータープライマーは、数多くの標的配列、例えば、以下に限定されることはないが試料中の全てのmRNA標的を含む標的配列を増幅するために提供されてもよい。後者の場合、オリゴ(dT)n配列、もしくはアンカーオリゴ(dT)nX配列、またはランダムヘキサマー配列もしくはランダムオクタマー配列のような、ランダム配列を含んだ、センスプロモータープライマーを提供することができる。さらに、同一試料中の複数の異なる標的配列の増幅を可能とするため、複数の特異的なセンスプロモータープライマーを提供することができる。同様に、異なるRNAポリメラーゼにより認識される異なるセンスプロモーター配列をコードする複数の異なるセンスプロモータープライマー、例えば、以下に限定されることはないが、T7、T3およびSP6 RNAPに対するセンスプロモーターをコードするセンスプロモータープライマーを提供することができる。
本発明の別の組成物は、機能的な二重鎖プロモーターを有する環状のまたは直線状の転写基質を得るために、相補的なセンスプロモーターにアニーリングするアンチセンスプロモーターオリゴとすることができる。
本発明のアンチセンスプロモーターオリゴの別の組成物は、固体支持体に固定化したまたは付着したアンチセンスプロモーターを含むオリゴヌクレオチドとすることができる。好ましくは、アンチセンスプロモーターを含むアンチセンスプロモーターオリゴは、その5'末端でまたは近傍で固体支持体に固定化されて、アンチセンスプロモーター配列は固体支持体の表面から十分な距離にあり、したがって、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAまたはセンスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAのセンスプロモーターが、それぞれ、機能的な固定化された環状のまたは直線状の転写基質をもたらすようにアンチセンス配列にアニーリングすることができ、その場合、この支持体を適当な転写条件下で、二重鎖プロモーターを用いるRNAポリメラーゼとインキュベートして、反応溶媒中に転写産物を産生させる。好ましくは、固体支持体は、試料由来の核酸を非特異的に結合しないような化学的組成および構造を有するか、または支持体は、以下に限定されることはないがセンスプロモータープライマーのような、本発明の組成物を含む。好ましくは、固体支持体は、本発明の方法を含む反応において酵素、補因子または他の物質を非特異的に結合しないような化学的組成および構造を有する。本発明を限定するわけではないが、固体支持体には、尿試験紙、ニトロセルロースまたはナイロン膜のような、膜、ビーズ、アレイまたはマイクロアレイを作製するのに使用されるチップまたはスライド、および同様のものが含まれてもよい。本発明に使用できる、いくつかの固体支持体および表面または固体支持体にアンチセンスプロモーターオリゴを固定化するまたは付着させるための方法が、Marble et alによりU.S. Patent No. 5,700,667におよびその中の参考文献に開示されており、その方法の全てが参照により本明細書に組み入れられる。本発明に使用できる他の固体支持体が同様に、当技術分野において知られており、これを使用することもできる。オリゴヌクレオチドを含む分子を表面または他の物質に付着させる数多くの他の方法が当技術分野において知られており、アンチセンスプロモーターオリゴを含む分子を付着させるまたは固定化する任意の周知の方法を使用して、本発明に包含される、固定化されたアンチセンスプロモーターオリゴを含む組成物を作製することができる。固体支持体に固定化されたアンチセンスプロモーター含有オリゴヌクレオチドを含んだ組成物を使用して、アンチセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAのローリングサークル転写により得られたセンスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAをアニーリングさせることにより、アンチセンス転写産物を産生させるための機能的な転写基質を産生させることもできる。
本発明のキットには、一つまたは複数のセンスプロモータープライマー、アンチセンスプロモーターオリゴおよび本発明の方法におけるその用途のための使用説明書が含まれる。アンチセンスプロモーターオリゴは、溶液の状態であってもよく、またはこれには、上記のような、固体支持体に固定化されたオリゴヌクレオチドが含まれる。
本発明の別のキットには、一つまたは複数のアンチセンスプロモータープライマーおよびアンチセンスプロモーターオリゴ、ならびにアンチセンス転写産物を得るための転写基質の作製方法のような、本発明の方法におけるその用途のための使用説明書が含まれる。同様に、キット中のアンチセンスプロモーターオリゴは、溶液状態であってもよく、またはこれには、上記のような、固体支持体に固定化されたオリゴヌクレオチドが含まれる。
本発明の別のキットには、一つもしくは複数のセンスプロモータープライマーまたは一つもしくは複数のアンチセンスプロモータープライマー、溶液状態であるか固体支持体に固定化されているかを問わず、アンチセンスプロモーターオリゴ、およびプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを環状化するためのリガーゼ酵素向けに最適化された組成物、ならびに使用説明書が含まれる。
本発明の別のキットには、一つまたは複数のセンスプロモータープライマー、溶液状態であるか固体支持体に固定化されているかを問わず、アンチセンスプロモーターオリゴ、プロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを環状化するためのリガーゼ酵素向けに最適化された組成物、および以下に限定されることはないがウラシル-N-グリコシラーゼ酵素のような、dUMP残基を有するセンスプロモータープライマーを用いて組み込まれたdUMP残基を有するセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを直線化するために最適化された組成物、ならびに適当な使用説明書が含まれる。
本発明の別のキットには、一つもしくは複数のセンスプロモータープライマーまたは一つもしくは複数のアンチセンスプロモータープライマー、溶液状態であるか固体支持体に固定化されているかを問わず、アンチセンスプロモーターオリゴ、プロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを環状化するためのリガーゼ酵素向けに最適化された組成物、任意で、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを直線化するために最適化された組成物、および転写産物を産生させるために得た転写基質の二重鎖プロモーターを用いるRNAポリメラーゼ向けに最適化された組成物、ならびに使用説明書が含まれる。
別のキットには、以下に限定されることはないが図3の概略図に示される反応のような、本発明の連続的な転写増幅反応を行うのに必要とされる全ての組成物が、個々の組成物としてまたは最適化された単一複合組成物としてまたは少数の組成物として含まれる。
他のキットは、上記の組成物を個別にもしくは一緒におよび/または、例えば、以下に限定されることはない他の組成物を含むことができる:
(a) センスまたはアンチセンスプロモータープライマーを用いてプロモーターを含む第一鎖cDNAを産生させるのに適したDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素;
(b) 以下に限定されることはないがIsoTherm(商標) DNAポリメラーゼ(EPICENTRE Technologies, Madison, WI)のような、アンチセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAのローリングサークル複製に適した鎖置換DNAポリメラーゼ。
酵素はキットに、別々に提供するかまたは最適な比率の各酵素を含有する直ぐ使用できる単一溶液に組み合わせることができる。プロモータープライマーを用いる方法で使用される酵素を含むキットは、プロモータープライマーとともにまたは特定の標的配列に対する自身のプロモータープライマーを調製することを望む顧客の場合には、プロモータープライマーなしで提供することができる。
キットは、以下に限定されることはないが、マイクロアレイ用のセンスもしくはアンチセンスプローブの作製を含め、遺伝子発現プロファイリングのために、同じ条件下かそれとも異なる環境条件下の、特定型の細胞もしくは異なる細胞から得たmRNAに対応する転写産物を産生させるためのキット、単一の反応混合物において標的核酸配列の複数ラウンドの転写を行うためのキットを含め、RNAもしくはDNA配列を増幅させるためのキット、試料中に存在する場合には、病原体、疾患遺伝子、変異対立遺伝子、もしくは同様のものの診断となるもしくは徴候となる、特定の標的核酸配列に対応する転写産物を産生させるためのキット、分析物が核酸である、分析物特異的アッセイ法のためのキット、DuraScribe(商標) T7転写キット(EPICENTRE Technologies, Madison, WI)を用いてsiRNAを含むRNAi、もしくは以下に限定されることはないが、2'-F-dCMP含有および2'-F-dUMP含有RNAiもしくはsiRNAを含む、修飾RNAiもしくはsiRNAを作製するためのキット、または当業者が本明細書の本発明の説明を読むことで理解すると思われる広範囲のキットのいずれかのように、特定の方法に向けることができる。
一般に、本発明のキットには、キットの成分の説明および本発明の特定のプロセスまたは方法もしくは複数の方法におけるその用途のための使用説明書も含まれるものと思われる。一般に、本発明のキットには、以下に限定されることはないが、緩衝液、いくつかの態様では修飾ヌクレオチドを含むリボヌクレオチドおよび/またはデオキシヌクレオチド、以下に限定されることはないがベタイン(トリメチルグリシン)のようなDNA重合または逆転写酵素の促進物質、および以下に限定されることはないが酢酸カリウムもしくは塩化カリウムおよび/または塩化マグネシウムのような、一価または二価陽イオンの塩、以下に限定されることはないが、ATPまたはNADのような、酵素の基質および/または補因子、ならびに特定の用途のための方法または方法の組み合わせの一つまたは複数の反応またはプロセスの至適条件に必要とされる同様のもののような、他の成分も含まれるものと思われる。本発明のキットには、特定のプロセスのための個々の試薬のセットまたは段階的にもしくは連続的に行われる方法の複数のプロセスのための一組の個々の試薬のセットが含まれてもよく、またはキットには、単一の反応混合物に混ぜ合わされた複数試薬または複数試薬の混合物の少数個(このそれぞれが単一管内で複数の反応および/またはプロセスを行う)が含まれてもよい。一般に、本発明の方法の特定プロセスまたは本発明の全方法を行うためのキットの各種成分は、それぞれがプロセスおよび/または方法において協調して働くのに適当な量の試薬および条件となるように最適化されるものと思われる。
本発明のキットには、反応用緩衝液、対照用基質、サイズマーカー、検出用組成物または検出用試薬、および同様のもののような、さらなる成分が含まれてもよく、これらの全ては、指定の対象反応数に対して各成分の必要性に適合する量で供与されてもよいが、しかしキットには、これらの成分が含まれる必要はない。さらに、キットには任意で、詳細な使用説明書およびトラブルシューティング・ガイドが含まれてもよい。
キットの成分は、溶液としてまたは乾燥粉末として提供されてもよい。試薬および/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末を適当な溶媒の添加により再構成することができ、その場合、溶媒は別の容器で提供されてもよい。
本明細書で使用する場合、「一つの(a)」または「一つの(an)」とは、一つまたは複数を意味することができる。特許請求の範囲で使用する場合、「含む(comprising)」という単語とともに使用するとき、「一つの(a)」または「一つの(an)」という単語は、一つまたはそれ以上を意味することができる。本明細書では、「別の」とは、少なくとも第二またはそれ以上を意味することができる。
IX. 本発明のシグナル伝達系
本発明のこの局面に関して、「シグナル伝達系」とは、分析物結合物質と操作可能に複合体化されているオリゴヌクレオチドの転写から生ずる転写産物を検出することによる試料中の分析物の存在または量の検出方法を含む、多数の物質、組成物および環境条件を指しかつ含む。
Zhang et al(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 5497-5502, 2001)が、EberwineがPCT特許出願WO 02/14476で、およびHudson et alがU.S. Patent No. 6,100,024で記載している方法を含め、転写を用いた分析物の他の検出方法が当技術分野において知られている。
しかしながら、本出願人らは、本明細書に示される方法、組成物およびキットはさらに使用および作製しやすく、多種多様な分析物を検出するのに、他者らが以前に報告しているものよりもずっと容易に使用できると考えている。
A. 本発明のシグナルプローブ
図7および図8は、シグナルプローブを本発明のシグナル伝達系の一部分として用いる本発明の方法の二つの態様を示している。本明細書で定義されるように、シグナルプローブは、転写条件下で転写のための二重鎖プロモーターを認識するRNAポリメラーゼに対するセンスプロモーターと、センスプロモーターの5'に連結された一本鎖の鋳型とを含む。シグナルプローブがセンスプロモーター配列に相補的なアンチセンスプロモーター配列と複合体化するかまたはアニーリングする場合、転写条件下で鋳型の転写を可能とする同族のRNAポリメラーゼに対する機能的なプロモーターが得られる。RNAポリメラーゼは、二重鎖プロモーターを含むプロモーター配列を使用する限り、二重鎖プロモーターを必要とする任意のRNAポリメラーゼとすることができる。すなわち、RNAポリメラーゼにより認識される一本鎖の擬似プロモーターまたは合成プロモーターは、シグナルプローブを使った本発明の局面には適していない。適当なRNAポリメラーゼは、T7型RNAポリメラーゼ、好ましくは、T7 RNAP、T3 RNAPおよびSP6 RNAPのなかから選択されるRNAポリメラーゼであり、プロモーターは、各RNAPにより認識される同族の二重鎖プロモーターである。特定のRNAポリメラーゼに対する「同族のプロモーター」とは、その特定のRNAポリメラーゼにより特異的に認識されるプロモーターである。同様に、特定のプロモーターに対する「同族のRNAポリメラーゼ」とは、一つまたは複数の他のプロモーター配列を認識する別のRNAポリメラーゼよりも実質的に高い特異性で特定のプロモーターを認識するものであり、従って、特定のRNAポリメラーゼによりプロモーターとして認識されない他の配列が存在する場合でさえも、プロモーターと連結された鋳型の転写が特異的に可能となる。従って、鋳型は「シグナル配列」をコードし、以下に限定されることはないが、特定の目的のための一つまたは複数の他の配列をコードすることができる。限定する目的ではなく、一例として、鋳型は一つまたは複数の転写終結配列をコードすることもできる。
本発明には、二種類のシグナルプローブが含まれる。図7で使用されている、RCTシグナルプローブは、その鋳型鎖がセンスプロモーター配列を含む配列の3'末端と5'末端の双方に連結された環状のシグナルプローブと本明細書で定義される。上記のように、RCTシグナルプローブの鋳型は転写終結配列をコードすることもできるが、RCTシグナルプローブは、ローリングサークル転写(RCT)により転写されることができる。本発明のもう一つの種類のシグナルプローブであるLINTシグナルプローブは、図8で使用されており、「直線状の転写(LINear Transcription)」を指すように命名されている。LINTシグナルプローブは、センスプロモーター配列が鋳型の3'にある直線状のシグナルプローブである。LINTシグナルプローブの鋳型は、シグナル配列に加えて一つまたは複数の他の配列をコードすることもできるが、ある配列から別の配列までの転写を終結させることを望まない場合には、「ラン-オフ」転写が直線状の鋳型で起こるので、転写終結配列は必要とされない。一般に、RCTおよびLINT双方のシグナルプローブには、デオキシリボヌクレオチドが含まれるが、シグナル配列の転写に影響を及ぼさない修飾ヌクレオチドを含む、他のヌクレオチドを特定の目的に使用することができる。同様に、以下に限定されることはないが、ある種のヌクレアーゼに抵抗性であるα-チオリン酸糖結合のような、修飾結合を特定の目的に使用することができる。
B. アンチセンスプロモーターを含むオリゴヌクレオチドに連結された分析物結合物質(ABS)
本発明のこの局面の別の重要な組成物は、機能的な二重鎖プロモーターの片鎖を構成するアンチセンスプロモーターに対する配列を含んだオリゴヌクレオチドに連結された、分析物結合物質である。従って、分析物結合物質に連結されたオリゴヌクレオチドに含まれるアンチセンスプロモーター配列は、シグナルプローブのセンスプロモーター配列と複合体化またはアニーリングし、同族のRNAポリメラーゼに対する機能的な二重鎖プロモーターを得ることができる。さらに、アンチセンスプロモーター配列により、シグナルプローブのセンスプロモーター配列に対する結合部位が供与され、その結果、分析物結合物、その次に表面または固体支持体に固定化または結合され得る分析物結合物とのシグナルプローブの複合体化またはアニーリングが可能となる。
シグナルプローブの鋳型配列は、いったん転写条件下でRNAポリメラーゼにより転写されると、当技術分野におけるさまざまな方法のいずれかを用いて検出できる配列をコードする。限定する目的ではなく、一例として、転写産物は、相補的な転写産物の配列をアニーリングする一つまたは多数の分子ビーコンにより検出することができるものと思われる。または、鋳型配列はQ-βレプリカーゼの基質をコードすることができる。Q-βレプリカーゼは、基質を複製することができ、それにより、シグナルをさらに増幅させることができる。これらの例から、本発明は、シグナルプローブのセンス転写プロモーターの5'に連結される鋳型配列によりコードされ得る転写産物に関して限定されないことが明らかになると思われる。下記に論じるように、分析物結合物質は、多種多様な分析物を検出するための多種多様な組成物のいずれかとすることができ、これらの全てが本発明に包含される。一般に、ABSに連結されるオリゴヌクレオチド(または「オリゴ」)は、デオキシリボヌクレオチドを含むが、センスプロモーター配列の結合またはシグナル配列の転写に影響を及ぼさない修飾ヌクレオチドを含む、他のヌクレオチドを特定の目的に使用することができる。同様に、以下に限定されることはないが、ある種のヌクレアーゼに抵抗性であるα-チオリン酸糖結合のような、修飾結合を特定の目的に使用することができる。ABSに連結されるオリゴは、これが、本発明のシグナルプローブにアニーリングしたときに、転写産物を産生させる転写条件下でRNAポリメラーゼが用いることができる機能的な二重鎖プロモーターをもたらすアンチセンスプロモーター配列を含むのに十分な長さを有する限り、任意の長さのものとすることができる。アンチセンスプロモーターを含むオリゴには、アンチセンスプロモーター配列の3'または5'にある付加的なヌクレオチドが含まれてもよい。但し、この付加的なヌクレオチドが、シグナルプローブまたは本発明の方法もしくはアッセイ法の別の成分のセンスプロモーター配列とのアンチセンスプロモーター配列の複合体化とは無関係な形でシグナルプローブまたは本発明の方法もしくはアッセイ法の別の成分を結合しない限り、または別の形でその方法もしくはアッセイ法の結果に悪影響を及ぼさない限りにおいてである。共有結合的であるか非共有結合的であるかを問わず、任意の適当な方法を用いて、オリゴヌクレオチドの5'末端または5'部分をABSにまたはオリゴヌクレオチドをABSに結合させるためのリンカーとして働く別の化学物質に連結させることができる。本発明を限定するわけではないが、一例として、オリゴヌクレオチドは、付着されたストレプトアビジンまたはアビジン部分を有するABSに結合するビオチン部分を有することができる。オリゴヌクレオチドを連結する方法および部位は、分析物との、または特定のアッセイ法の機能化に必要とされる一次抗体のような別の分子とのABSの結合能に実質的に影響を及ぼさないことが重要である。
本発明には、以下に限定されることはないが、標的核酸である分析物に加えて、抗原、抗体または他の物質のような分析物を含む、任意のタイプの分析物に対するシグナル伝達系として本発明のRNAポリメラーゼを用いるための方法、組成物およびキットが含まれる。
C. 分析物を検出するためのシグナルプローブおよびABS-オリゴの使用方法
従って、本発明には、試料中のまたは試料由来の分析物を検出するための方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
1. プロモーターを認識するRNAポリメラーゼのための二重鎖プロモーターのアンチセンスプロモーター部分に対する配列を含むオリゴヌクレオチドに連結されたABSを含んだ、分析物結合物質-オリゴヌクレオチド(「ABS-オリゴ」)を得る段階;
2. シグナルプローブを得る段階、その際に、シグナルプローブは鋳型の3'末端に連結されたセンスプロモーターを含み、その際に、センスプロモーターはABS-オリゴのアンチセンスプロモーターに十分に相補的であって、結合するRNAポリメラーゼを用いた鋳型の転写に使用できる、複合体を形成する段階;
3. 試料中に分析物が存在する場合に分析物を結合させた表面とABS-オリゴを、該表面に分析物が存在する場合に分析物をABS-オリゴが結合可能とする分析物結合条件下で接触させる段階;
4. 結合していないABS-オリゴの除去を可能とする条件下で表面を洗浄する段階;
5. 表面にABS-オリゴが存在する場合にABS-オリゴとのシグナルプローブの複合体化を可能とする複合体化条件下で、表面をシグナルプローブと接触させる段階;
6. 任意で、結合していないシグナルプローブの除去を可能とする条件下で表面を洗浄する段階;
7. ABS-オリゴとシグナルプローブとの間の複合体を用いて、鋳型がコードする産物の転写を可能とする条件下で、表面をRNAポリメラーゼと接触させる段階;
8. 存在する場合、鋳型がコードする転写産物を検出する段階。
上記の方法で使用されるシグナルプローブは、RCTシグナルプローブまたはLINTシグナルプローブとすることができる。結合していないシグナルプローブの除去を可能とする条件下で表面を洗浄する段階は、使用する特定のシグナルプローブおよびいずれかの「バックグラウンドの」転写産物(すなわち、「シグナル」)が分析物を含んでいない試料を用いた方法により検出されるかどうかに基づいて随意的である。洗浄段階なしでバックグラウンドシグナルが得られる場合には、結合していないシグナルプローブを除去する洗浄段階が行われるべきである。本発明のRNAポリメラーゼによる転写には、一般的に、二重鎖プロモーター配列が必要とされるので、結合していないシグナルプローブの存在により、バックグラウンドシグナルは引き起こされない可能性があり、その場合、洗浄段階は必要とされない。洗浄段階は、LINTシグナルプローブを使用する方法には必要ないかもしれない。しかしながら、RNAポリメラーゼのなかには、鋳型にプロモーター配列が含まれていなくても、約150ヌクレオチド未満である環状のssDNA分子からなる鋳型を用いたローリングサークル転写によりRNAを合成できるものもあることが知られている(U.S. Patent Nos. 5,714,320; 6,077,668; 6,096,880; および6,368,802)。限定する目的ではなく、一例として、プロモーター配列がない環状の鋳型ssDNAでのT7 RNAPによる転写活性は、約25〜約50ヌクレオチドを含む環状の鋳型のような、小さい環ほどより高い。従って、結合していないRCTシグナルプローブを除去する洗浄段階は、特に、約150ヌクレオチドまでのRCTシグナルプローブでは、および特に、約50ヌクレオチドまでのRCTシグナルプローブでは必要とされるかもしれない。しかしながら、この洗浄段階が特定のアッセイ法に必要とされるか否かは、検出のレベル、試料中の分析物の量、シグナルプローブに使用される鋳型、および特定のアッセイ法に対して許容されるバックグラウンドシグナルのレベルを含む、多くの要因に依存するものと思われる。従って、洗浄段階の必要性は、本発明の各特定の方法(または「アッセイ法」)に対して決定される。
本発明には、シグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物の量を増幅させるためのさらなる方法、組成物およびキットも含まれる。従って、本発明の一つの態様には、鋳型相補的な転写産物の量を増幅させるための方法であって、以下の段階を含む方法が含まれる:
a. ABS-オリゴと複合体化するシグナルプローブの鋳型の転写により転写産物を得る段階;
b. 転写産物の3'末端に相補的な3'末端部分および任意で、5'末端にリン酸基またはトポイソメラーゼ部分を含むセンスプロモータープライマーを得る段階;
c. プロモータープライマーを転写産物にアニーリングさせる段階;
d. 第一鎖cDNAを得るため、転写産物にアニーリングしたプロモータープライマーをRNA依存性DNAポリメラーゼにより、DNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
e. 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしているRNAを除去する段階;
f. センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させて、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
g. 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
h. さらなる転写産物を得るため、転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
i. さらなる転写産物を得る段階。
別の態様において、センスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAを得るために環状のセンスプロモーターの第一鎖cDNAを直線化し、その後、アンチセンスプロモータープライマーをその中のセンスプロモーター配列にアニーリングさせて、直線状の転写基質を得る。次いで、さらなる転写産物を得るため、直線状の転写基質を転写条件下でRNAポリメラーゼと接触させて、さらなる転写産物を得る。
一本鎖プロモーターを使用して、シグナルプローブとABS-オリゴとの複合体を含む転写の基質を得ることはできないが、鋳型をコピーするためのセンスプロモータープライマーを用いてシグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物の量を増幅させるための前述の方法では、一本鎖プロモーターを用いて転写産物を産生させることができるRNAポリメラーゼにより認識される一本鎖のセンスプロモーターを含むセンスプロモータープライマーを使用することができる。従って、Ohmichi et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:54-59, 2002)により記載されているような方法により得られる一本鎖の擬似プロモーターもしくは合成プロモーターまたは以下に限定されることはないが、P2プロモーターのような、一本鎖のファージN4プロモーターを含むセンスプロモータープライマーは、転写産物の量を増幅させるための前述の方法の態様で使用することができる。一本鎖プロモーターが使用される場合、このプロモーターに対する同族のRNAポリメラーゼが、転写の基質となるセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAまたはセンスプロモーターを含む直線状の第一鎖cDNAの転写に使用される。従って、一本鎖プロモーターを使用するこれらの態様において、シグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物を増幅させるための環状のまたは直線状の転写の基質を得るのに、アンチセンスプロモーターオリゴは必要とされない。
本発明の別の方法は、シグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物のシグナルを増幅することであり、この方法は、以下に限定されることはないが、Q-βレプリカーゼのようなレプリカーゼに対する基質をコードするシグナルプローブ内の鋳型配列を使用すること、およびシグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物をレプリカーゼと複製条件下で接触させること、ならびに複製された転写産物(これが検出される)を得ることである。
D. シグナルプローブの鋳型がコードするシグナル配列の検出
シグナルプローブとABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる転写産物は、当技術分野において知られる任意の方法により検出することができる。限定する目的ではなく、一例として、Q-βレプリカーゼに対する基質を含むことができる。この基質は、以下に限定されることはないが、エチジウムブロマイドのようなインターカレート色素を用い、複製条件下でのレプリカーゼによる複製の後、検出することができる。転写産物は、緑色蛍光タンパク質のような、シグナル配列の翻訳後に検出できる、タンパク質をコードする配列を含むこともできる。限定するわけではないが、これは、Tyagi et al(Tyagi et alのU.S. Patent Nos. 5,925,517および6,103,476ならびにAlland et alのU.S. Patent No. 6,461,817(これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる))が報告している、以下に限定されることはないが分子ビーコンのような、プローブにより検出可能な配列を含むこともできる。
E. 異なる分析物でのシグナル伝達系の使用
本発明のシグナル伝達系は、広範囲にわたる分析物および分析物結合物質に使用することができる。限定する目的ではなく、一例として、分析物を抗原とすることができ、分析物結合物質を抗体とすることができる、または分析物を核酸とすることができ、分析物結合物質を別の相補的な核酸とすることができる。下記に論じるように、特異的な結合相手を見つけることができる、多数の他の物質が存在しており、これらの全てが本発明の範囲内である。
試料中の分析物を検出するため、本発明のこの局面のアッセイ法では、「結合条件」の下で分析物に「結合」する分析物結合物質を使用する。分析物に対する「親和性分子」、「親和性物質」、「特異的結合物質」、または「結合分子」とも呼ぶことができる分析物結合物質は、順に分析物結合物質に連結される転写シグナル伝達系を用いて、転写産物を産生させることにより検出される。
「分析物」とは、試料中におけるその存在、濃度または量をアッセイ法で決定する任意の物質とすることができる。限定する目的ではなく、一例として、分析物は、糖タンパク質もしくはリポタンパク質を含むタンパク質もしくはペプチド、酵素、ホルモン、受容体、抗原もしくは抗体、核酸(DNAまたはRNA)、多糖、または脂質のような、生化学的分子または生体高分子もしくは生体高分子の断片とすることができる。
DNAもしくはRNA、またはDNAおよびRNA双方のモノヌクレオシド(修飾DNAまたはRNAモノヌクレオシドを含む)からなる核酸を含む、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは核酸もしくはポリヌクレオチドの断片である分析物結合物質は、核酸を含んでいない分析物を検出するのに、本発明により使用することもできる。例えば、Gold and TuerkがU.S. Pat. No. 5,270,163で記載しているような、「SELEX」と名付けられた方法を使用して、本発明による分析物結合物質として用いるための核酸を選択することができる。SELEXにより、大集団の核酸分子(その少なくとも一部分は無作為化された配列を有する)から特定の分析物に高い親和性を有する核酸分子の選択が可能になる。例えば、可能な限り全ての無作為化された25merのオリゴヌクレオチドの集団(すなわち、位置ごとに4種の可能な核酸塩基のそれぞれを有する)には、425 (または1015)種の異なる核酸分子が含まれると思われ、その各々が、異なる三次元構造および異なる分析物結合特性を有する。SELEXは、核酸またはポリヌクレオチドではない特定の分析物に高い親和性を有する分析物結合核酸を選択するのに、
Figure 2006507003
(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている方法に従って、使用することができる。SELEXを用いて選択すると核酸親和性分子は、限定する目的ではなく、一例として、自動化核酸合成技術、PCR、またはインビトロ転写を含む、数多くの周知のインビボまたはインビトロ技術のいずれかにより作製することができる。
以下に限定されることはないが、タンパク質分子のような他の天然由来の分子に親和性を有する天然由来の核酸またはポリヌクレオチド配列が同様に、当技術分野において知られている。例としては、以下に限定されることはないが、オペレーター、プロモーター、複製起点、ステロイドホルモン受容体複合体により認識される配列、制限酵素認識配列、リボソーム核酸などのようなある種の核酸配列が含まれ、これらは、ある種のタンパク質に強固に結合することが知られている。例えば、二つのよく知られた系として、lacリプレッサーおよびバクテリオファージλリプレッサーはそれぞれ、その各々の「オペレーター」と呼ばれる特定の核酸配列に結合して、その対応するmRNA分子の転写の開始を妨害する。そのような特定の配列を含む核酸は、この核酸が親和性を有する各々のタンパク質または他の分子に対する分析物結合物質として本発明で使用することができる。これらの場合、特定の配列を有する核酸は、本発明のこの局面により、その核酸が結合する各々の特定のタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、小分子または他の分析物に対する分析物結合物質として使用することができる。一般に「フットプリンティング」(例えば、Galas, D. and Schmitz, A, Nucleic Acids Res. 5:3161, 1978を参照されたい)と呼ばれるいくつかの技術の一つを用いて、タンパク質に結合する核酸の配列を同定することができる。他の方法が同じく当業者に知られており、これを用いて、本発明で用いる特定の分析物結合物質として使用するための核酸配列を同定することができる。
ペプチド核酸(PNA)または核酸とPNAの双方を含む分子を同様に、本発明により、核酸またはポリヌクレオチドである分析物に対する分析物結合物質として使用することができる。本発明の分析物結合物質としてのPNAにより、核酸分析物に対するアッセイ法においてさらに強固な結合(およびさらに高い結合安定性)が得られる(例えば、U.S. Pat. No. 5,985,563を参照されたい)。同様に、PNAは天然に存在しないので、PNA分子はプロテアーゼおよびヌクレアーゼ活性に極めて抵抗性である。PNA/DNAまたはPNA/RNA複合体に対する抗体は、個々の分子を結合せずに、それぞれの複合体に特異的に結合するその能力により、生体試料中の核酸の捕捉、認識、検出、同定、または定量化のために本発明で使用することができる(U.S. Pat. No. 5,612,458)。
本発明では同様に、以下に限定されることはないが、U.S. Pat. Nos. 5,539,083; 5,831,014; および5,864,010に記載の方法のような、方法により調製される無作為化したペプチド核酸のコンビナトリアルライブラリーは、核酸、タンパク質、または他の分析物である分析物を含むがこれらに限定されない、全てのタイプの分析物に対するアッセイ法に用いる分析物結合物質を調製するのに使用できると考える。核酸を用いるSELEX法の場合のように、無作為化したペプチドまたはペプチド核酸のライブラリーは、分析物に対して非常に多くの異なる結合親和性を有する分子を含むように作製される。ライブラリーから分析物に対する適当な親和性分子を選択後、選択した親和性分子は、分析物結合物質として本発明で使用することができる。
分析物結合物質は、例えば、U.S. Pat. Nos. 5,602,240; 6,610,289; 5,696,253; または6,013,785に記載される修飾オリゴヌクレオチドに限定されることはない、アミノ酸ではない修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとすることもできる。
本発明では同様に、分析物結合物質は、無作為化したペプチド(すなわち、少なくとも4種の天然由来のアミノ酸を含む)のコンビナトリアルライブラリーから調製できると考える。無作為化したペプチドライブラリーを調製する一つの方法は、ファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター、または同様のプロモーターの下流に、SELEXのように調製した、無作為DNA配列を配置し、その後、以下に限定されることはないが、U.S. Pat. Nos. 5,324,637; 5,492,817 ; もしくは5,665,563に記載される転写翻訳共役、または翻訳へと続く段階的転写のような、方法を使用することである。または、SELEXのように調製した、無作為DNA配列は、挿入されるとQ-βレプリカーゼにより複製可能な無作為配列を含む組換えMDV-1 RNAをコードするDNAベクターの部位(例えば、MDV-1 (+) RNAのヌクレオチド63と64との間; U.S. Pat. No. 5,620,870を参照されたい)にクローニングすることができる。無作為DNA配列を含む組換えMDV-1 DNAは、DNAベクターのT7 RNAポリメラーゼプロモーターまたは同様のプロモーターの下流となる。次いで、転写後、無作為配列を含む組換えMDV-1 RNAは、U.S. Pat. No. 5,556,769に記載される複製-翻訳共役により少なくとも4種の天然由来アミノ酸を含む無作為化したペプチドライブラリーを作製するのに使用することができる。分析物結合物質は、ライブラリーのペプチドを分析物に結合させて、結合していないペプチドを分離し、当技術分野において知られる手段により分析物に結合する一つまたは複数のペプチドを同定することによりライブラリーから選択することができる。または、ハイスループット・スクリーニング法を用いて、ライブラリーの個々の全ペプチドをスクリーニングし、分析物結合物質として使用できるものを同定することができる。これらの方法による分析物結合ペプチドの同定は困難かつ退屈であるが、当技術分野における方法はこれをするのに向上しており、必要とされる時間と労力の消費は、日常的に大量に使用できる本発明のアッセイ法で用いる分析物結合物質を同定するのに値するかもしれない。
さまざまな他の分析物結合物質を本発明のこの局面に対する方法で使用することもできる。
抗原分析物(これ自体が抗体であるかもしれない)の場合、モノクローナル抗体を含む、抗体を分析物結合物質として使用できる。一種類の抗体だけを含んだ試料における特定の抗体分析物の場合、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAのような抗体結合タンパク質を分析物結合物質として用いることができる。
レクチンが特異的に結合する糖質成分を有することにより試料中の他の物質と識別される、糖タンパク質もしくは糖タンパク質類、または多糖もしくは多糖類のような分析物の場合、適当な分析物結合物質はレクチンである。
ホルモンである分析物の場合、ホルモンの受容体を分析物結合物質として用いることができる。逆に、ホルモン受容体である分析物の場合、ホルモンを分析物結合物質として用いることができる。
酵素である分析物の場合、酵素の阻害因子を分析物結合物質として用いることができる。酵素の阻害因子である分析物の場合、酵素を分析物結合物質として用いることができる。
通常、分析分子と分析分子に対する親和性分子は、「特異的な」結合相手として関連しており、すなわち、その相互作用は、水素結合、疎水性相互作用(芳香族分子の積み重ねを含む)、ファンデルワールス力、および塩橋のような非共有結合を介するのみである。理論により束縛するわけではないが、当技術分野においては、これらの種類の非共有結合により、結合相手に含まれる分子の相補的な形状または構造に一部起因して、結果的に結合が生じると考えられている。
本発明のこの局面による「結合」という用語は、以下に限定されることはないが、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス結合、およびイオン結合のような非共有結合の結果としての、分析物結合物質または親和性分子と分析物との間の相互作用を指す。
「結合」の定義、ならびに本発明で使用できる多種多様な親和性分子および分析物に基づけば、「結合条件」が、種々の特異的な結合相手に対して変化することは明らかである。当業者は、試料中で、親和性分子と、存在すると思われる分析物との間で結合が生じる、条件を容易に決定することができる。特に、当業者は、親和性分子と分析物との間の結合(これは当技術分野において「特異結合」であると考えられる)を生じさせられる条件を容易に決定することができる。当技術分野において理解されているように、そのような特異性は、通常、試料中の他の物質および成分(例えば、容器壁、固体支持体)に対してよりも分析物に対して親和性分子の親和性が高いことによる。場合によっては、特異性は同様に、試料中の他の物質および成分とよりも分析物と親和性分子の著しく速い相互作用に伴って生じるかもしれない、またはそれに起因するかもしれない。
「ハイブリダイゼーション」とは、「ハイブリダイゼーション条件」とも呼ばれる「結合条件」の下で、核酸、もしくはペプチド核酸(PNA)分子、または共有結合された、連結されたもしくは付着された核酸-PNA分子を含む親和性分子を、核酸分子を含む分析物とインキュベートするプロセスを示すために使用される用語である。相補配列を含む二つの核酸高分子がお互いを見つけ出して、塩基対合相互作用を介してアニーリングする能力は、よく知られている現象である。MarmurとLane (Proc. Nat. Acad. Sci. USA 46:453, 1960)およびDoty, et al (Proc. Nat. Acad. Sci. USA 46:461, 1960)による「ハイブリダイゼーション」プロセスの初期の観測に続いて、このプロセスは現代生物学の不可欠な手段へと洗練されてきた。「ハイブリダイゼーション」とは同様に、塩基対合則(例えば、チミンとのアデニンの対合またはシトシンとのウラシルおよびグアニンの対合)に従って起こる、一本鎖の核酸分析物との一本鎖の核酸、PNA、または連結された核酸-PNA親和性分子中の相補的な核酸塩基の「結合」または「対合」を指す。当業者であれば、アッセイ法の特定の核酸分析物に対する結合条件またはハイブリダイゼーション条件を含む条件を開発かつ構成できるものと思われる。特定の核酸分析物の分析物結合物質に対する結合条件を開発かつ構成する際に、ならびに特定の分析物および捕捉プローブに対するハイブリダイゼーション条件を開発かつ構成する際に、ある種の添加物をハイブリダイゼーション溶液に加えることができる。限定する目的ではなく、一例として、硫酸デキストランもしくはポリエチレングリコールを加えて、ハイブリダイゼーションの速度を促進させることができる(例えば、Chapter 9, Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、またはベタインをハイブリダイゼーション溶液に加えて、塩基対組成に対するTmの依存性を排除することができる(Rees, W. A., et al., Biochemistry 32:137-144, 1993)。
「相同性の度合い」または「相補性の度合い」という用語は、一方の鎖の(例えば、親和性分子の)核酸塩基がもう一方の鎖(例えば、分析物)の核酸塩基と「相補的」であるまたは「対合できる」度合いまたは頻度を示すために使用される。相補性は「部分的」であってもよく、これは核酸塩基の一部だけが塩基対合則に従って適合することを意味し、または相補性は「完全」もしくは「全体的」であってもよい。長さ(すなわち、核酸および/またはPNA親和性分子ならびに核酸分析物を構成する核酸塩基の数)、および親和性分子と分析物との間の「相同性」または「相補性」の度合いは、親和性分子の核酸塩基が分析物の核酸塩基に最大限に「結合する」または「ハイブリダイズする」ときの結合またはハイブリダイゼーションの効率および強度に顕著な影響を及ぼす。「融解温度」または「Tm」という用語は、相補性の度合いの指標として使用される。Tmとは、二本鎖核酸分子の集団が特定の条件下で一本鎖に半分解離されるようになる温度である。ハイブリダイゼーションに使用される核酸分子が標的ポリヌクレオチドにほぼ完全に相同的または相補的であるとの前提に基づいて、相補配列にハイブリダイズするまたは「アニーリング」する所定の一本鎖配列に対するTmを推定するための式が開発されている。例えば、オリゴデオキシヌクレオチドに対して当技術分野において使用される一般式は: Tm = 81.5℃ + 0.41 (%G+C)であり、この場合、核酸は1 M NaClを含有する水溶液に存在する(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, Nucleic Acid Hybridization, 1985を参照されたい)。核酸に用いることができるその他のさらに精緻な式では、Tmの計算に、隣接のおよび他の構造上の効果が考慮される。結合は、一般的に、核酸親和性分子に対してよりもPNA親和性分子に対して強力である。例えば、10 merのホモチミジンPNAのその相補的な10 merのホモアデニンDNAとの結合のTmは73℃であるのに対して、対応する10 merのホモチミジンDNAのその同じ相補的な10 merのホモアデニンDNAとの結合のTmはわずか23℃である。核酸のTmを計算するための式は、PNAには適していない。当技術分野における式を用いて計算されるTmは、実験的に確認することが好ましく、ハイブリダイゼーションまたは結合の条件は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを実験的に上げるかまたは下げることにより、特定のアッセイ法に応じて適切に調整することが好ましい。本明細書では「ストリンジェンシー」という用語は、核酸のハイブリダイゼーションが行われる、温度、イオン強度、および他の化合物の存在の条件に関して使用される。「高いストリンジェンシー」条件では、核酸の塩基対合は、相補的な塩基配列を高頻度に有する核酸断片の間でのみ起こるものと思われる。従って、「弱い」または「低い」ストリンジェンシーの条件は、互いに完全に相補的であるわけではない核酸がともにハイブリダイズするかまたはアニーリングすることが望まれる場合に、よく必要とされる。
相補性に関して、本発明のいくつかのアッセイ法に対し、ハイブリダイゼーションが完全なまたは部分的な相補性に相当するのかどうかを決定することが重要である。例えば、病原体の(例えばウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、原生動物などの)DNAの有無を単に検出することが望まれる場合、ハイブリダイゼーション法は、関連する配列が存在するときにハイブリダイゼーションを確実にすることが単に重要なだけである。本発明のそれらの態様において、部分的に相補的なプローブと完全に相補的なプローブの双方がハイブリダイズするような条件を選択することができる。
F. 本発明のシグナル伝達系のためのキットおよび組成物
本発明のこの局面の重要な組成物はシグナルプローブである。シグナルプローブを含む組成物には、前述のRCTシグナルプローブまたはLINTシグナルプローブが含まれることができる。さらに、以下に限定されることはないが、T7、T3もしくはSP6 RNAPのような、異なるRNAポリメラーゼに対するセンスプロモーターおよび/または異なる鋳型をそれぞれが含む、複数の特定のシグナルプローブを、同じ試料中の複数の異なる分析物を検出するおよび/もしくは定量化するために、または試料中の同一分析物の複数の異なる部分を検出するために供与することができる。本発明を限定するわけではないが、一例として、異なるタンパク質を含んだ抗原または同一タンパク質の異なる抗原決定基を含んだ抗原を認識する抗体を含む異なる分析物結合物質を検出する異なるシグナルプローブを供与することができる。複数の異なる鋳型を含むシグナルプローブを使用する場合、鋳型は、以下に限定されることはないが、検出可能な蛍光シグナルをもたらすように異なる転写産物にアニーリングする複数の異なる分子ビーコンのような、複数の異なる検出分子により検出可能な転写産物をコードすることができる。それぞれの異なる分子ビーコンは、クエンチング成分により消光される異なる蛍光成分であって、ある蛍光成分からのシグナルが別の蛍光成分からのシグナルと識別可能な蛍光成分を有することができるが、これを有する必要はない。
本発明の別の重要な組成物は、前述のセンスプロモーター配列を含むオリゴヌクレオチドに連結された分析物結合物質(すなわち、「ABS-オリゴ」)である。また本明細書の他の箇所に論じられているように、分析物結合物質(ABS)は、ABSが結合しない他の物質の存在下において分析物との特異結合を得るため、分析物を強固におよび特異的に結合する任意の物質とすることができる。
キットには、シグナルプローブおよびRNAポリメラーゼならびにシグナルプローブを使用する方法で使われる他の組成物が含まれてもよく、但し、特定の分析物に対する自身のABS-オリゴを調製することを望む顧客の場合には、ABS-オリゴはなくてもよい。
本発明のキットには、一つまたは複数のシグナルプローブおよび試料中の分析物を検出するためのおよび/または分析物を定量化するためのABS-オリゴならびに本発明の方法におけるその用途のための使用説明書が含まれる。
本発明の別のキットには、一つまたは複数のシグナルプローブ、試料中の一つまたは複数の分析物を検出するためのおよび/または一つまたは複数の分析物を定量化するための一つまたは複数のABS-オリゴ、および転写産物を産生させるためにシグナルプローブをABS-オリゴと複合体化させることにより得られる転写基質の二重鎖プロモーターを用いるRNAポリメラーゼ向けに最適化された組成物、ならびに使用説明書が含まれてもよい。
本発明のさらに別のキットには、シグナルプローブと分析物に結合したABS-オリゴとの間の複合体の転写から得られる鋳型相補的な転写産物の量を増幅させるためのキットであって、以下を含むキットが含まれる:
1. シグナルプローブの鋳型がコードする転写産物の3'末端に相補的な3'末端部分を含む、および任意で、5'末端にリン酸基またはトポイソメラーゼ部分を含むセンスプロモータープライマー;
2. 任意で、鋳型としてシグナルプローブの鋳型がコードする転写産物を用いたセンスプロモータープライマーのプライマー伸長のためのRNA依存性DNAポリメラーゼ;
3. 任意で、センスプロモータープライマーのプライマー伸長により得られる第一鎖cDNAをライゲーションするためのリガーゼ;
4. プロモーターに結合して、転写条件下でそこから転写を開始するRNAポリメラーゼに対する機能的な二重鎖の転写プロモーターを得るため、第一鎖cDNAプライマー伸長産物のセンスプロモーターと複合体化できるアンチセンスプロモーターオリゴ;
5. 任意で、二重鎖プロモーターを用いるRNAポリメラーゼ;
6. 任意で、個々の組成物としてまたは最適化された単一複合組成物としてまたは少数の組成物として、この方法のために最適化された他の反応用緩衝液および組成物; ならびに
7. 本発明の方法におけるその用途のための使用説明書。
酵素はキットに、別々に提供するかまたは最適な比率の各酵素を含有する直ぐ使用できる単一溶液に組み合わせることができる。
酵素および/またはシグナルプローブを使用する方法で使われる他の組成物を含むキットは、シグナルプローブとともにまたは異なる鋳型配列を含む自身のシグナルプローブを調製することを望む顧客の場合には、シグナルプローブなしで提供することができる。
キットは、以下に限定されることはないが、病原体、疾患遺伝子、変異対立遺伝子、または同様のものを含む分析物に特異的なアッセイ法のためのキットのような、特定の分析物の検出および/または定量化に向けることができる。
一般に、本発明のキットには、キットの成分の説明および本発明の特定のプロセスまたは方法もしくは複数の方法におけるその用途のための使用説明書も含まれるものと思われる。一般に、本発明のキットには、以下に限定されることはないが、緩衝液、いくつかの態様では修飾ヌクレオチドを含むリボヌクレオチドおよび/またはデオキシヌクレオチド、以下に限定されることはないがベタイン(トリメチルグリシン)のようなDNA重合または逆転写酵素の促進物質、および以下に限定されることはないが酢酸カリウムもしくは塩化カリウムおよび/または塩化マグネシウムのような、一価または二価陽イオンの塩、以下に限定されることはないが、ATPまたはNADのような、酵素の基質および/または補因子、ならびに特定の用途のための方法または方法の組み合わせの一つまたは複数の反応またはプロセスの至適条件に必要とされる同様のもののような、他の成分も含まれるものと思われる。本発明のキットには、特定のプロセスのための個々の試薬のセットまたは段階的にもしくは連続的に行われる方法の複数のプロセスのための一組の個々の試薬のセットが含まれてもよく、またはキットには、単一の反応混合物に混ぜ合わされた複数試薬または複数試薬の混合物の少数個(このそれぞれが単一管内で複数の反応および/またはプロセスを行う)が含まれてもよい。一般に、本発明の方法の特定プロセスまたは本発明の全方法を行うためのキットの各種成分は、それぞれがプロセスおよび/または方法において協調して働くのに適当な量の試薬および条件となるように最適化されるものと思われる。
本発明のキットには、反応用緩衝液、対照用基質、サイズマーカー、検出用組成物または検出用試薬、および同様のもののような、さらなる成分が含まれてもよく、これらの全ては、指定の対象反応数に対して各成分の必要性に適合する量で供与されてもよいが、しかしキットには、これらの成分が含まれる必要はない。さらに、キットには任意で、詳細な使用説明書およびトラブルシューティング・ガイドが含まれてもよい。
キットの成分は、溶液としてまたは乾燥粉末として提供されてもよい。試薬および/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末を適当な溶媒の添加により再構成することができ、その場合、溶媒は別の容器で提供されてもよい。
本発明の範囲内に含まれるさまざまな他のキットは、本明細書の本発明の説明を読むことで、当業者により理解されるものと思われる。
本明細書で使用する場合、「一つの(a)」または「一つの(an)」とは、一つまたは複数を意味することができる。特許請求の範囲で使用する場合、「含む(comprising)」という単語とともに使用する場合、「一つの(a)」または「一つの(an)」という単語は、一つまたはそれ以上を意味することができる。本明細書では、「別の」とは、少なくとも第二またはそれ以上を意味することができる。
以下の図面は、本明細書の一部を形成するものであり、本発明の特定の局面をさらに明示するために含まれる。本発明は、本明細書に示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の一つまたは複数を参照することにより、もっとよく理解されることができる。
環状の転写基質を得るためにセンスプロモータープライマーを使用する本発明の態様の概略図を示す。 センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAの直線化およびアンチセンスプロモーターオリゴとの複合体化により直線状の転写基質を得るための本発明の態様の概略図を示す。 さらなる転写産物を得るために使用される環状の転写基質を得るために、転写終結配列を有するセンスプロモータープライマーを使用する方法またはアッセイ法の態様の概略図を示す。アッセイ法は、段階的にまたは連続的に行われることができる。 試料中の標的核酸の標的配列に対応する転写産物を検出するために使用されるアッセイ法の概略図を示す。この例の場合、センスプロモーターを含む第一鎖cDNAは、尿試験紙またはビーズのような、固体支持体に固定化されたアンチセンスプロモーター配列にアニーリングする。結果的に生ずる固定化された環状の転写基質は、ローリングサークル転写により転写されて、この転写産物が分子ビーコンにより検出される。 標的核酸の標的配列に対応する転写産物を産生させるために、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAの直線化および固体支持体に固定化されたアンチセンスプロモーターオリゴとの複合体化によりもたられる直線状の転写基質を使用するアッセイ法の概略図を示す。転写産物は、当技術分野において知られる種々の方法のいずれかにより検出することができる。 アンチセンスプロモータープライマーを使用する態様を示す。プロモータープライマーのプライマー伸長および第一鎖cDNAのライゲーションにより、ローリングサークル複製の鋳型となるアンチセンスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAが産生され、その産物がセンスプロモーターを含む直線状の第二鎖cDNAとなる。アンチセンスプロモーターオリゴのアニーリングにより、転写産物を産生させるために使用される鎖状体の直線状転写基質がもたらされる。 アンチセンスプロモーター配列を含んだポリヌクレオチドが連結された二次抗体を含む分析物結合物質を用いて分析物を検出するためにRCTシグナルプローブを使用するアッセイ法の概略図を示す。アンチセンスプロモーター配列はRCTシグナルプローブのセンスプロモーターと複合体化して、その結果、二重鎖プロモーターを認識しかつ転写条件下でそのプロモーターからローリングサークル転写を開始するRNAポリメラーゼによる転写のための基質がもたらされる。この例では、分子ビーコンを使用して、分析物の存在を示す転写産物を検出する。既知量の分析物からなる対照とともに行われる場合、分析物の量を決定することもできる。 アンチセンスプロモーター配列を含んだポリヌクレオチドが連結された二次抗体を含む分析物結合物質を用いて試料中の分析物を検出する、および適当な条件下で、定量化するためにLINTシグナルプローブを使用する方法の態様を示す。この態様では、アンチセンスプロモーター配列はLINTシグナルプローブのセンスプロモーターと複合体化して、その結果、二重鎖プロモーターを認識しかつ転写条件下でそのプロモーターから直線的なラン-オフ転写を開始するRNAポリメラーゼによる転写のための基質がもたらされる。転写産物は、当技術分野において知られる種々の方法のいずれかにより検出することができる。

Claims (6)

  1. 標的核酸中の標的配列に対応する転写産物の産生方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a) 標的核酸を得る段階;
    (b) センス転写プロモーターを含む5'末端部分と標的に相補的な3'末端部分とを含む、センスプロモータープライマーを得る段階;
    (c) 標的核酸とセンスプロモータープライマーとの複合体を形成させるため、センスプロモータープライマーを標的核酸とアニーリングさせる段階;
    (d) 標的配列に相補的な第一鎖cDNAを得るため、ポリメライゼーション反応条件下で、標的核酸とセンスプロモータープライマーとの複合体をDNAポリメラーゼと接触させる段階;
    (e) 第一鎖cDNAを得る段階;
    (f) センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、ライゲーション条件下で、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
    (g) アンチセンスプロモーターオリゴを得る段階;
    (h) 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
    (i) 環状の転写基質を得る段階; および
    (j) 転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させて、その際に転写産物を得る段階。
  2. アンチセンスプロモーターオリゴが、固体支持体に固定化されたオリゴを含む、請求項1記載の方法。
  3. 試料中のまたは試料由来の分析物を検出するための方法であって、以下の段階を含む方法:
    a) プロモーターを認識するRNAポリメラーゼのための二重鎖プロモーターのアンチセンスプロモーター部分に対する配列を含むオリゴヌクレオチドに連結されたABSを含んだ、分析物結合物質-オリゴヌクレオチド(「ABS-オリゴ」)を得る段階;
    b) シグナルプローブを得る段階、その際に、シグナルプローブが鋳型の3'末端に連結されたセンスプロモーターを含み、その際に、センスプロモーターがABS-オリゴのアンチセンスプロモーターに十分に相補的であって、複合体に結合するRNAポリメラーゼを用いた鋳型の転写に使用できる、複合体を形成する段階;
    c) 試料中に分析物が存在する場合に分析物を結合させた表面とABS-オリゴを、該表面に分析物が存在する場合に分析物へABS-オリゴが結合可能とする分析物結合条件下で接触させる段階;
    d) 結合していないABS-オリゴの除去を可能とする条件下で表面を洗浄する段階;
    e) 表面にABS-オリゴが存在する場合にABS-オリゴとのシグナルプローブの複合体化を可能とする複合体化条件下で、表面をシグナルプローブと接触させる段階;
    f) 任意で、結合していないシグナルプローブの除去を可能とする条件下で表面を洗浄する段階;
    g) ABS-オリゴとシグナルプローブとの間の複合体を用いて、鋳型がコードする産物の転写を可能とする条件下で、表面をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
    h) 存在する場合、鋳型がコードする転写産物を検出する段階。
  4. 鋳型に相補的な転写産物の量を増幅させるための方法であって、以下の段階を含む方法:
    a) 転写産物を得る段階;
    b) 転写産物の3'末端に相補的な3'末端部分および任意で、5'末端にリン酸基またはトポイソメラーゼ部分を含むセンスプロモータープライマーを得る段階;
    c) センスプロモータープライマーを転写産物にアニーリングさせる段階;
    d) 第一鎖cDNAを得るため、転写産物にアニーリングしたプロモータープライマーをRNA依存性DNAポリメラーゼにより、DNA合成条件下でプライマー伸長させる段階;
    e) 任意で、第一鎖cDNAにアニーリングしているRNAを除去する段階;
    f) センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAを得るため、第一鎖cDNAの3'末端にその5'末端を共有結合させる、第一鎖cDNAをライゲーションする段階;
    g) 環状の転写基質を得るため、センスプロモーターを含む環状の第一鎖cDNAにアンチセンスプロモーターオリゴをアニーリングさせる段階;
    h) さらなる転写産物を得るため、転写条件下で、環状の転写基質をRNAポリメラーゼと接触させる段階; および
    i) さらなる転写産物を得る段階。
  5. センスプロモータープライマーが、さらなる転写産物を産生させるためにRNAポリメラーゼにより使用される擬似プロモーターまたは合成プロモーターからなる群より選択される一本鎖のセンスプロモーターを含み、かつアンチセンスプロモーターオリゴが、さらなる転写産物を得るために使用されない、請求項4記載の方法。
  6. センスプロモータープライマーがN4プロモーターを含み、かつ転写に使用されるRNAポリメラーゼがN4 vRNAP、ミニvRNAP、および変異型のミニvRNAPのなかから選択され、かつアンチセンスプロモーターオリゴが、さらなる転写産物を得るために使用されない、請求項4記載の方法。
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