JP2006349741A - 現像ローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】 弾性層が十分な耐溶剤性を有しない場合であっても所望の表面粗さおよびローラ硬度を確保することができ、かつ、耐久時においても塗膜の剥がれを生ずることがなく、長期にわたり良好に使用することが可能である現像ローラを提供する。
【解決手段】 弾性層2上に、少なくとも1層の下層導電層3と、表層樹脂層4とを順次備える現像ローラである。弾性層2が独立気泡構造を有する発泡体からなり、下層導電層3が導電剤を含む水系塗料からなり、かつ、下層導電層3のうち少なくとも弾性層2に接する1層が、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は現像ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、詳しくは、電子写真方式を用いた画像形成装置における現像プロセスに用いられる現像ローラに関する。
複写機やプリンター等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、現像、帯電、転写(トナー供給、クリーニング)等の電子写真プロセスのそれぞれにおいて、導電性を付与したローラ部材が用いられている。
従来、これら現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ(トナー供給、クリーニング)等として用いられる導電性ローラとしては、導電性の金属シャフトの外周に、導電剤を配合することにより導電性を付与した導電性のゴムや高分子エラストマー、高分子フォーム等からなる導電性弾性層を形成した構造を基本構造として、所望の表面粗さや導電性、硬度などを得るために、その外周に一層または複数層の塗膜を設けたものが使用されている。
かかる導電性ローラは、通常、金属シャフトの外周に担持させた弾性層の表面に塗料を塗布することにより形成される。ところが、弾性層上に塗膜を形成する場合、弾性層の耐溶剤性によっては、塗料中に含まれる溶剤により弾性層表面が溶解するなどして、最終的に得られるローラにおいて、所望の表面粗さが確保できなくなる場合があった。
この問題に対し、弾性層上に水系塗料を用いた塗膜を設けることで弾性層に対する溶剤の影響を排除する技術として、例えば、特許文献1には、有機化合物を有機溶剤に溶解した塗料から形成した表面被膜を、有機溶剤による溶解または膨潤性を有する有機化合物の発泡体からなるローラ本体表面に有する複合ローラにおいて、所定の有機化合物と水溶媒とを含む混合溶液から形成した塗膜を、表面被膜形成塗料に含まれる有機溶剤に対する溶剤遮蔽膜としてローラ本体と表面被膜との間に設けることで、表面被膜形成用塗料中の有機溶剤によるローラ本体の溶解、膨潤を防いで、平滑表面を有する複合ローラを得る技術が記載されている。また、特許文献2には、フォームからなる弾性層の表面に、水系樹脂からなる導電層及びウレタン変性アクリル樹脂層を順次形成してなる帯電部材が記載され
ている。
特許第2996846号公報(特許請求の範囲、段落[0005]等) 特開平9−146340号公報(特許請求の範囲等)
上記文献に記載されているように、弾性層上に水系塗料の塗膜を設けることで溶剤遮蔽性を確保して、弾性層の表面あれ等を防止することは可能である。しかしながら、従来検討がなされてきた水系樹脂では、特に、現像ローラ等の自ら駆動するローラにおいては、弾性層と水系塗料の塗膜との間の接着力が不十分となって、耐久により塗膜の剥がれが発生してしまうという問題があった。
そこで本発明の目的は、弾性層が十分な耐溶剤性を有しない場合であっても所望の表面粗さおよびローラ硬度を確保することができ、かつ、耐久時においても塗膜の剥がれを生ずることがなく、長期にわたり良好に使用することが可能である現像ローラを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、水系樹脂としてクロロプレン・メタクリル酸共重合物を用いた塗膜を弾性層上に設けることで、弾性層表面における塗膜の剥がれを防止して、上記問題を解決することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の導電性ローラは、弾性層上に、少なくとも1層の下層導電層と、表層樹脂層とを順次備える現像ローラにおいて、
前記弾性層が独立気泡構造を有する発泡体からなり、前記下層導電層が導電剤を含む水系塗料からなり、かつ、該下層導電層のうち少なくとも前記弾性層に接する1層が、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とすることを特徴とするものである。
本発明において、前記クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする層の厚みは、好適には10〜100μmの範囲内である。また、前記下層導電層は、前記水系塗料のディップ塗布により形成することができ、前記発泡体としては、ポリウレタンフォームを好適に用いることができる。さらにまた、前記表層樹脂層は、好適には、球状微粒子を含有する。
本発明によれば、弾性層上に、水系樹脂であるクロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする下層導電層を設けたことにより、弾性層が十分な耐溶剤性を有しない場合であっても弾性層の溶剤あれ等の問題の発生を防止して、所望の表面粗さおよびローラ硬度を確保することができ、かつ、耐久時においても塗膜の剥がれを生ずることがなく、長期にわたり良好に使用することが可能な現像ローラを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)、(b)に、本発明の一例の現像ローラの断面図を示す。図示するように、本発明の現像ローラは、シャフト1の外周に担持された弾性層2上に、少なくとも1層、図示する例では1層の下層導電層3と、表層樹脂層4とを順次備える。
シャフト1としては、良好な導電性を有するものであれば特に制限はなく、いずれのものも使用し得るが、例えば、硫黄快削鋼などの鋼材にニッケルや亜鉛等のめっきを施したものや、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いることができる。
弾性層2は、独立気泡構造を有する発泡体であり、本発明において好適には、ポリウレタンフォームを用いる。かかるポリウレタンフォームを形成するためのポリウレタン原料としては、樹脂中にウレタン結合を含むものであれば、特に制限はない。ポリウレタン原料を構成するポリイソシアネートとしては、芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体が用いられる。これらの中でも芳香族イソシアネートまたはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネートまたはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が好適に用いられる。トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体などがあり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物なども用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
ポリウレタン原料を構成するポリオール成分としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分を縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールは、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドトの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。特に、末端にエチレンオサイドが付加しているものが好ましく用いられる。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであることが好ましい。このポリエーテルポリオールの分子量は、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、特には400〜3000の範囲のものが好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、特に1500〜6000の範囲のものが好ましい。また、2官能のポリオールと3官能のポリオールを適宜ブレンドして用いることもできる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が400〜4000のもの、特に650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。更に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましく、この場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとの比率が重量比で95:5〜20:80の範囲になるように用いることが好ましく、特に90:10〜50:50の範囲になるように用いることが好ましい。また、上記ポリオール成分とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体を併用することができる。
また、ポリオールをポリイソシアネートによりあらかじめプレポリマー化してもよく、その方法としては、ポリオールとポリイソシアネートを適当な容器に入れ、充分に攪拌し、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃に、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオールとポリイシソシアネートとの分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4〜30重量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6〜15重量%である。イソシアネートの含有率が4重量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネートの含有率が30重量%を超えると、プレポリマー化されていないポリイソシアネートの含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分と、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。ポリオールをあらかじめポリイソシアネートによりプレポリマー化したイソシアネート成分を用いる場合のポリオール成分としては、上記ポリオール成分に加えて、エチレングリコールやブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンやソルビトール等のポリオール類やそれらの誘導体を用いることもできる。
ポリウレタン原料には、イオン導電剤や電子導電剤等の導電剤、カーボンブラックや無機炭酸塩等の充填材、フェノールやフェニルアミン等の酸化防止剤、低摩擦化剤、電荷調整剤などを添加することができる。イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などが挙げられる。また、電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属などを挙げることができる。これらの導電剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。その配合量には特に制限はなく、所望に応じ適宜選定可能であるが、通常は、ポリウレタン原料100重量部に対し、0.1〜40重量部、好ましくは0.3〜20重量部の割合である。
ポリウレタン原料の硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、ポリウレタン原料にシリコーン整泡剤や各種界面活性剤を配合することが、フォーム材のセルを安定させるために好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリウレタン原料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることが更に好ましい。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリウレタン原料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることが更に好ましい。
本発明で用いるポリウレタンフォームは、密度が0.2〜0.8g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.6g/cm3である。また、ポリウレタンフォームのアスカーC硬度は15〜70°が好ましく、より好ましくは15〜45°である。本発明において、ポリウレタン原料をあらかじめ発泡させるための方法としては、従来から用いられているメカニカルフロス法、水発泡法、発泡剤フロス法等の方法を用いることができるが、密度0.2〜0.8g/cm3、アスカーC硬度20〜65°の独立気泡構造を有するポリウレタンフォームを得る点から、不活性ガスを混入しながら機械的攪拌により発泡させるメカニカルフロス法を用いることが好ましい。ここで、メカニカルフロス法において用いる不活性ガスは、ポリウレタン反応において不活性なガスであればよく、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ラドン、クリプトン等の狭義の不活性ガスの他、窒素、二酸化炭素、乾燥空気等のポリウレタン原料と反応しない気体が挙げられる。発泡させたポリウレタン原料を金属モールド等に注型し、硬化させることにより、金属モールドに接した部分に自己スキン層(薄い層状の皮膜)が形成されたポリウレタンフォームを得ることができる。その際、金属モールドの内面をフッ素樹脂等でコーティングする等の方法により、金属モールドに離型性を付与することができる。
また、弾性層2の成形条件については特に制限はなく、通常の条件に従うことができ、例えば、15〜80℃、好ましくは20〜65℃の範囲の温度においてポリウレタン原料の発泡を開始させ、シャフト1を配置した金属モールド内に注入完了後、70〜120℃程度の温度でキュアを行い、次いで、脱型することにより、弾性層2を得ることができる。
また、下層導電層3は、前述したように少なくとも1層にて形成され、導電剤を含む水系塗料からなるが、本発明においては、下層導電層3のうち少なくとも弾性層2に接する1層が、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とすることが重要である。水系樹脂としてのクロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする下層導電層を弾性層2上に配置することで、弾性層2との間の接着性を従来に比し強固に確保することができ、耐久時における塗膜剥がれの発生を防止することが可能となる。かかるクロロプレン・メタクリル酸共重合物は、下記一般式(1)、
Figure 2006349741
で表される。
本発明においては、下層導電層3のうち弾性層2に直接接する層をクロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする塗膜により形成するものであれば、所期の効果を得ることができ、下層導電層3を複数層にて形成する場合には、弾性層2に直接接する層以外の層については、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を用いた塗膜を積層するものであっても、それ以外の水系樹脂を用いるものであってもよく、特に制限されるものではない。
下層導電層3を複数層にて設ける場合に用いることのできる他の水系塗料としては、ゴム系、ウレタン系およびアクリル系のものが挙げられ、これらから選択されるいずれか1種または2種以上を好適に用いることができる。ゴム系としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックス、ウレタン系としては、エーテル系、エステル系等のエマルジョンやディスパージョン、アクリル系としては、アクリル、アクリルスチレン等のエマルジョンを好適に用いることができる。また、これらに含有させる導電剤としては、弾性層2について先に挙げたものと同様のものを用いることができ、特に制限されるものではない。下層導電層3には、所望に応じ、その他加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを適宜添加することができる。
また、下層導電層3における、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする層の厚みは、10〜100μmの範囲内とすることが好ましい。表層樹脂層4の塗料からの溶剤ヤラレや弾性層2よりの汚染物質の染み出し等を確実に防止する観点からは、層厚10μm以上とすることが好適である。下層導電層3の総厚みについても特に制限されるものではないが、あまり厚すぎると、下層導電層3が弾性層2の柔らかさに追随することができずに割れ、剥がれ等が生じ、ローラ自体も硬くなってトナーダメージ等のローラ性能面での不具合が発生する。
下層導電層3は、弾性層2上に上記クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする水系塗料、および、所望に応じその他の水系塗料を積層塗布することにより、1層または2層以上にて形成することができる。その塗布方法としては特に制限されるものではなく、ディップ塗布、スプレー塗布、ロールコーター塗布などの公知の手法を用いることができるが、好適には、ディップ塗布を用いる。前述の特許文献1に記載のような連続気泡構造の発泡体からなるローラ本体では、水系塗料が気泡内部に浸透してしまうため、ディップ塗布により平滑な塗膜を形成することはできないが、本発明に係る弾性層2は独立気泡構造を有するため、ディップ塗布によっても、平滑な塗膜の形成が可能である。
また、下層導電層3のマイクロ硬度は、膜厚500μmの場合において、好適には15〜45°の範囲内であり、この程度の硬度とすることで、最終的に得られるローラ表面について、所望のローラ硬度を実現することができる。かかるマイクロ硬度は、例えば、マイクロゴム硬度計MD−1型により測定することができる。
表層樹脂層4は、ウレタン系、アクリル系、アクリルウレタン系、フッ素系等の溶剤系塗料により形成することができ、図1(b)の拡大断面図に示すように、ウレタン、アクリル、シリカ等の球状微粒子5を含有させることで、表面粗さを調整することができる。かかる表層樹脂層4の表面粗さは、JIS算術平均粗さRaで、通常2μm以下、特には0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましい。また、導電剤として、前述したイオン導電剤や電子導電剤を適宜含有させることで、所望の導電性を付与することができる。表層樹脂層4の厚さは、特に制限されるものではないが、通常1〜50μm、特には1〜40μm程度とすることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1
まず、芯金1(φ8mm、長さ260mm、材質:硫黄快削鋼)の外周に、メカニカルフロス法によりポリウレタンフォームを担持させた。
具体的には、イソシアネート成分(プレポリマー化イソシアネート TDI+ポリオール)100重量部と、ポリオール成分(ポリエーテルポリオール)20重量部と、カーボンブラック(アセチレンブラック)2重量部と、イオン導電剤(過塩素酸ナトリウム)0.2重量部とからなるポリウレタン原料を調製し、このポリウレタン原料をミキサーにより機械的に攪拌して乾燥空気を混入して、発泡させた。この発泡ポリウレタン原料を、端部にシャフトを貫通させるための穴が設けられ、かつ、シャフトを支持するための金属製キャップが設置されている金属製円筒状割りモールドに注型した。このモールドの内部には、前記芯金1を、外周に接着剤を塗布した状態で配置した。次いで、発泡ポリウレタン原料が注型されたモールドを90℃に調整した熱風オーブン中に4時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。
硬化したポリウレタンフォームをモールドから取り外して、クロロプレン・メタクリル酸共重合物(商品名:ショウプレンSRX−1412、昭和電工(株)製)100重量部に対しカーボンブラック(ケッチェンブラック)3.5重量部を配合した水系塗料をディップ塗布することにより、弾性層2の外周に、膜厚60μmの下層導電層3を形成した。次いで、D50=10μmの球状ポリウレタン粒子とカーボンブラック(アセチレンブラック)とを配合したポリウレタン系溶剤系塗料をディップ塗布することにより、膜厚10μmの表層樹脂層4を形成して、ローラ本体部がφ16mm、長さ240mmである現像ローラを作製した。得られたローラの表面粗さはJIS算術平均粗さRaで0.6〜1.5μmであった。
実施例2〜5
下層導電層3の膜厚を、それぞれ8,10,100,105μmとした以外は実施例1と同様にして、現像ローラを作製した。得られたローラの表面粗さはJIS算術平均粗さRaで0.6〜1.5μmであった。
実施例6
モールドから取り外した硬化したポリウレタンフォーム上に、1層目として、クロロプレン・メタクリル酸共重合物(商品名:ショウプレンSRX−1412、昭和電工(株)製)100重量部に対しカーボンブラック(ケッチェンブラック)3.5重量部を配合した水系塗料をディップ塗布することにより、膜厚10μmの塗膜を形成し、次いで、2層目として、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を配合したアクリル系エマルジョン塗料をディップ塗布することにより、膜厚50μmの塗膜を形成して、総厚み60μmの下層導電層3を形成した以外は実施例1と同様にして、現像ローラを作製した。得られたローラの表面粗さはJIS算術平均粗さRaで0.6〜1.5μmであった。
実施例7
モールドから取り外した硬化したポリウレタンフォーム上に、1層目として、クロロプレン・メタクリル酸共重合物(商品名:ショウプレンSRX−1412、昭和電工(株)製)100重量部に対しカーボンブラック(ケッチェンブラック)3.5重量部を配合した水系塗料をディップ塗布することにより、膜厚10μmの塗膜を形成し、次いで、2層目として、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を配合したアクリル系エマルジョン塗料をディップ塗布することにより、膜厚25μmの塗膜を形成し、さらに、3層目として、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を配合したCRゴムラテックス塗料をディップ塗布することにより、膜厚25μmの塗膜を形成して、総厚み60μmの下層導電層3を形成した以外は実施例1と同様にして、現像ローラを作製した。得られたローラの表面粗さはJIS算術平均粗さRaで0.6〜1.5μmであった。
比較例
モールドから取り外した硬化したポリウレタンフォーム上に、1層目として、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を配合したアクリル系エマルジョン塗料をディップ塗布することにより、膜厚30μmの塗膜を形成し、次いで、2層目として、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を配合したCRゴムラテックス塗料をディップ塗布することにより、膜厚30μmの塗膜を形成して、総厚み60μmの下層導電層3を形成した以外は実施例1と同様にして、現像ローラを作製した。得られたローラの表面粗さはJIS算術平均粗さRaで0.6〜1.5μmであった。
(テープ剥離試験)
各実施例および比較例で得られた現像ローラにつき、JIS K 5400に準拠して、テープ剥離試験を行った。ローラ表面に、碁盤目を隙間2mm、マス目25にて形成し、ローラ長手方向にガムテープを貼って剥がし、残ったマス目の数を数えることにより、接着強度を評価した。
(実機耐久評価)
各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラとしてプリンタカートリッジに装着して、ヒューレット・パッカード社製 Laserjet 4050にて10,000枚の画像印刷耐久試験を行った。結果は、耐久による剥がれの発生の有無により評価した。
これらの結果を、下記の表1中に併せて示す。
Figure 2006349741
上記表1に示すように、弾性層上にクロロプレン・メタクリル酸共重合物を用いた下層導電層を設けた各実施例の現像ローラでは、テープ剥離試験および実機耐久試験のいずれにおいても良好な結果が得られた。一方、他の水系塗料を用いた下層導電層を設けた比較例の現像ローラでは、テープ剥離試験では大部分のマス目に剥がれが生じ、実機耐久試験でも、塗膜剥がれが生じてしまった。
(a)および(b)は、本発明の一実施の形態に係る導電性ローラの断面図である。
符号の説明
1 シャフト
2 弾性層
3 下層導電層
4 表層樹脂層
5 球状微粒子

Claims (5)

  1. 弾性層上に、少なくとも1層の下層導電層と、表層樹脂層とを順次備える現像ローラにおいて、
    前記弾性層が独立気泡構造を有する発泡体からなり、前記下層導電層が導電剤を含む水系塗料からなり、かつ、該下層導電層のうち少なくとも前記弾性層に接する1層が、クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とすることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記クロロプレン・メタクリル酸共重合物を主成分とする層の厚みが10〜100μmの範囲内である請求項1記載の現像ローラ。
  3. 前記下層導電層が、前記水系塗料のディップ塗布により形成されてなる請求項1または2記載の現像ローラ。
  4. 前記発泡体がポリウレタンフォームである請求項1〜3のうちいずれか一項記載の現像ローラ。
  5. 前記表層樹脂層が球状微粒子を含有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の現像ローラ。
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