JP2011039347A - 導電性ローラおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性層の膜厚を容易に適切な厚みに確保できる導電性ローラおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】シャフト1と、シャフト1の外周に形成された接着層5と、接着層5の外周面に形成された弾性層2と、弾性層2の外周面に形成された表層3と、を備え、接着層5が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成され、弾性層2が、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布後乾燥させ、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させて形成され、表層3が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成されてなる導電性ローラ10およびその製造方法である。弾性層2の水系塗料が、架橋剤を含有することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は導電性ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)およびその製造方法に関し、詳しくは、電子写真方式を用いた画像形成装置における現像、帯電、転写(トナー供給、クリーニング)等の各種用途に用いられるローラ部材、特には、現像ローラまたは帯電ローラとして好適な導電性ローラおよびその製造方法に関する。
一般に、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、画像形成の各工程で、転写ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、帯電ローラ、クリーニングローラ、中間転写ローラ、ベルト駆動ローラ等の、導電性を付与したローラが用いられている。
従来、これら現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ(トナー供給、クリーニング)等として用いられるローラ部材としては、軸の外周に、導電剤を配合することにより導電性を付与した導電性のゴムや高分子エラストマー、高分子フォーム等からなる弾性層を形成した構造を基本構造として、所望の表面粗さや導電性、硬度などを得るために、その外周に一層または複数層の塗膜を設けたものが使用されている。
また、特許文献1には、気孔を利用することで周長の増大による色ずれを抑制することを目的として、芯金上に圧縮層を有し、該圧縮層に気孔を形成するためにマイクロバルーンを注入する技術が開示されている。さらに、特許文献2には、弾性に優れた種々の体積抵抗値のローラを得ることを目的として、表面近傍が低沸点炭化水素を内包した樹脂製球体を含有する高分子材料からなり、その表面層の樹脂製球体の一部をカットした現像装置が開示されている。さらにまた、特許文献3には、熱伝導率の安定した、硬度変化や外径変化が小さい高耐久性の定着器用ローラを提供することを目的として、芯金の周面に樹脂製マイクロバルーンを含有するシリコーンゴム弾性層を少なくとも1層設けた定着器用ローラが開示されている。
特開2001−159852号公報(特許請求の範囲、段落[0017]等) 特許第3544802号公報(特許請求の範囲等) 特開2002−268434号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1〜3記載の技術は、いずれもシームレスチューブ、発泡体、シリコーンゴム等の固体の中に、気孔もしくは樹脂製マイクロバルーンを埋め込んだものであるため、ある程度以上の層の厚みが必要である。このため、特許文献1〜3記載の技術では弾性層等の厚みを薄くすることができず、近年、要望が強くなってきているプリンタの小型化に欠かせない「ローラの小型化」という課題が達成できない。
また、「ローラの小型化」のためには、ローラ径を小さくすること、特に弾性層の厚みを小さくすることが必須であり、その対策として、シームレスチューブ、発泡体、シリコーンゴム等の固体をシャフトに積層するのではなく、水系塗料をシャフトに塗布した後に乾燥させる手法が考えられる。しかしながら、塗料の塗布のみで弾性層の膜厚を確保するには、何回も塗装を繰り返さなければならないという問題がある。さらに、弾性層の膜厚が薄いとシャフトと感光ドラム間で放電が発生し、感光ドラムを破壊したり帯電不良を起こしたりするおそれがある。また、ローラを製造する際に、金型や研磨で形状作製を行うことが一般的に行われているが、金型を使用する場合は、形状変更するためには金型そのものを変更しなければならず、時間、手間、コストがかかる。さらに、研磨を行う場合は形状の変更は比較的容易にできるものの、研磨時間がかかるために量産時には多くの研磨機が必要になり、設備投資コストがかかるという問題がある。
そこで本発明の目的は、弾性層の膜厚を容易に適切な厚みに確保できる導電性ローラおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を弾性層に使用し、さらに接着層を設けることで、弾性層の膜厚を適切な厚みに確保できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の導電性ローラは、シャフトと、該シャフトの外周に形成された接着層と、該接着層の外周面に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された表層と、を備え、
前記接着層が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成され、
前記弾性層が、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布後乾燥させ、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させて形成され、
前記表層が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性ローラは、前記弾性層の水系塗料が、架橋剤を含有することが好ましく、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させる前の弾性層の厚みに対する、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させた後の弾性層の厚みの比が、1.2以上であることが好ましい。
本発明の導電性ローラの製造方法は、シャフトの外周に水系塗料を塗布して乾燥する塗布乾燥工程(A)と、
該塗布乾燥工程(A)後、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布する塗布工程(B)と、
該塗布工程(B)後、前記樹脂製マイクロバルーンの膨張温度未満の温度で乾燥させる乾燥工程(C)と、
該乾燥工程(C)後、前記樹脂製マイクロバルーンの膨張温度以上の温度で加熱して前記樹脂製マイクロバルーンの膜を膨張させる膨張工程(D)と、
該膨張工程(D)後、水系塗料を塗布して乾燥する塗布乾燥工程(E)と、を有することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性ローラの製造方法は、前記塗布工程(B)の水系塗料が、架橋剤を含有し、前記膨張工程(D)と前記塗布乾燥工程(E)の間に、前記架橋剤の反応温度以上の温度に加熱して架橋する架橋工程(F)を有することが好ましく、前記塗布工程(B)と、前記乾燥工程(C)とを繰り返し行うことが好ましい。さらに、前記膨張工程(D)前の弾性層の厚みに対する、前記膨張工程(D)後の弾性層の厚みの比が、1.2以上であることが好ましい。
本発明によれば、弾性層の膜厚を容易に適切な厚みに確保できる導電性ローラおよびその製造方法を提供することが可能となった。
本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの一例を示す断面図である。 本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの一例を示す拡大断面図である。 本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの他の例を示す断面図である。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの一例を示す断面図である。本発明の導電性ローラ10は、シャフト1と、該シャフト1の外周に形成された接着層5と、該接着層5の外周面に形成された弾性層2と、該弾性層2の外周面に形成された表層3と、を備えるものである。
また、図2は、本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの一例を示す拡大断面図である。本発明においては、接着層5が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成され、弾性層2が、樹脂製マイクロバルーン4を含有する水系塗料を塗布後乾燥させ、加熱により樹脂製マイクロバルーン4を膨張させて形成され、表層3が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成されてなることが肝要である。シームレスチューブ、発泡体、シリコーンゴム等の固体をシャフトに積層して弾性層2を形成するのではなく、樹脂製マイクロバルーン4を混合した水系塗料を塗布後乾燥し、膨張させて弾性層2を形成したことで、容易に適切な膜厚を確保できるようになった。また、シャフト1と弾性層2の間に接着層5を設けたことで、樹脂製マイクロバルーン4が固定されている接着層5側に膨張するのではなく、接着層5の接着面に垂直な方向に異方性をもって膨張するため、より効率よく容易に適切な膜厚を確保できるようになった。さらに、接着層5を設けたことにより、樹脂製マイクロバルーン4の膨張時の弾性層2の剥離を防止できる。
また、本発明の導電性ローラは、弾性層2の形成に使用する水系塗料が、架橋剤を含有していることが好ましい。かかる水系塗料に架橋剤を入れることにより、圧縮永久歪が良好となる。ここで、圧縮永久歪とは、例えば、弾性層2に圧力を加え続けた後に力を解放することで、どの程度元の形に戻るかというものを示すものである。
本発明において、導電性ローラの製造方法は、シャフト1の外周に水系塗料を塗布して乾燥することにより接着層5を形成し(塗布乾燥工程(A))、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布し(塗布工程(B))、前記樹脂製マイクロバルーンの膨張温度未満の温度で乾燥させ(乾燥工程(C))、樹脂製マイクロバルーンの膨張温度以上の温度で加熱して前記樹脂製マイクロバルーンの膜を膨張させることにより弾性層2を形成し(膨張工程(D))、さらに水系塗料を塗布して乾燥することにより表層3を形成するものである(塗布乾燥工程(E))。水系塗料を使用することで、シャフト1上に塗料を薄く塗ることができ、さらに弾性層2で樹脂製マイクロバルーンを膨張させることで、接着層5、弾性層2および表層3の膜厚を容易に適切な厚みに確保することができる。
また、本発明の導電性ローラの製造方法においては、塗布工程(B)の水系塗料が架橋剤を含有し、上記膨張工程(D)と塗布乾燥工程(E)の間に、架橋剤の反応温度以上の温度に加熱して弾性層2を架橋させる架橋工程(F)を有することが好ましい。架橋剤の反応温度が樹脂製マイクロバルーンの膨張温度よりも高温となるように架橋剤と樹脂製マイクロバルーンを選択することで、膨脹と圧縮永久歪みを両立させることができる。具体的には、まず架橋剤反応温度未満樹脂製マイクロバルーンの膨張温度以上の温度で加熱し、樹脂製マイクロバルーンを膨脹させ、その後、架橋剤反応温度に以上に加熱して架橋反応を進行させて、圧縮永久歪み性能を向上させる。なお、架橋剤の反応温度が樹脂製マイクロバルーンの膨張温度よりも高温となるように架橋剤と樹脂製マイクロバルーンを選択した場合、通常の昇温過程で上記条件を満たすことが可能であるが、架橋剤反応温度以上で樹脂製マイクロバルーンを膨脹させようとすると架橋反応と樹脂製マイクロバルーンの膨脹が同時進行するため、膨脹率制御が難しくなるおそれがある。また、架橋剤の反応温度が樹脂製マイクロバルーンの膨張温度よりも低温となるように架橋剤と樹脂製マイクロバルーンを選択すると、架橋反応が先に進行し、膨脹が進まないため好ましくない。
さらに、本発明の導電性ローラの製造方法においては、塗布工程(B)と、乾燥工程(C)と、を繰り返し行うことが好ましい。塗布工程(B)〜膨張工程(D)を繰り返すこともできるが、塗布工程(B)および乾燥工程(C)を繰り返して重ね塗りしてから膨張工程(D)で加熱膨脹させる方法のほうがより良好な膨脹率を得ることができる。また、塗布工程(B)および乾燥工程(C)を数回繰り返し、ある程度の膜厚にしてから、樹脂製マイクロバルーンの膨張温度以上の温度で加熱して樹脂製マイクロバルーンの膜を膨張させることで、初期対比1.1〜2倍の膜厚を確保することができる。
本発明において、塗布工程(B)および乾燥工程(C)の繰り返し回数としては、特に限定されないが、好ましくは、2〜9回、さらに好ましくは、3〜8回、さらにより好ましくは、4〜7回である。従来の水系塗料を重ね塗りする場合には膜厚1mmを確保するために、10回以上の塗装が必要であったが、本発明においては、例えば、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を5〜6回繰り返すことで膜厚1mmを確保できる。
本発明において、樹脂製マイクロバルーン4を含有する水系塗料に使用できる樹脂製マイクロバルーン4としては、コアに低沸点液体を内包し、シェル(外殻)は熱可塑性樹脂で構成されているものであれば特に限定されず、例えば、EXPANCEL 461DU20(AKZO NOBEL社製、コア:イソブタン、シェル:ポリ塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合物)、EXPANCEL 031WUF40(AKZO NOBEL社製、コア:イソブタン、シェル:メタクリル酸−アクリロニトリル共重合物)、マツモトマイクロスフェアーF−36(松本油脂製薬(株)製、コア:イソブタン、シェル:ポリ塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体)、マツモトマイクロスフェアーF−50(松本油脂製薬(株)製、コア:イソブタン、シェル:メチルメタクリレート−アクリロニトリル共重合物)等を挙げることができる。
従来発泡剤として熱分解型の発泡剤が知られているが、水系塗料に配合すると水分と反応して発泡機能・膨脹機能を失ってしまう。これに対し、樹脂製マイクロバルーン4は水系塗料中で安定であるため、配合後に経時変化を起こすことがなく、加熱するまで膨脹能力を維持できる。
また、樹脂製マイクロバルーン4を膨脹させた場合、均一な膨脹であるため、塗装で作製した形状を維持したまま、膨脹することができる。金型や研磨での形状制御と比較して、樹脂製マイクロバルーン4を含有する水系塗料でも同様に形状を制御できる。さらに、樹脂製マイクロバルーン4を含有する水系塗料を膨脹させることで、材料費のコストダウンを行うことができ、例えば、2倍膨脹で材料費は約1/2にすることができる。
本発明において、弾性層2で使用できる水系塗料と、接着層5および表層3で使用できる水系塗料の違いは、弾性層2で使用できる水系塗料が樹脂製マイクロバルーン4を含有する点で異なっているだけであり、以下の水系塗料をそれぞれ使用でき、弾性層2、接着層5および表層3の各層で使用できる水系塗料は全く同一の組成であっても、異なっていてもよい。なお、本発明では水系塗料を使用しているため、溶媒系と比較して環境に与える影響は極めて少なくできる。
本発明において使用できる水系塗料としては、例えば、ゴム系、ウレタン系およびアクリル系からなる群から選択されるいずれか1種または2種以上を好適に用いることができる。ゴム系としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックス、ウレタン系としては、エーテル系、エステル系等のエマルジョンやディスパージョン、アクリル系としては、アクリル、アクリルスチレン等のエマルジョンを好適に用いることができる。
また、本発明において使用できる水系塗料としては、水系アクリル樹脂であることが好ましい。かかる水系アクリル樹脂としては、アクリロニトリルとn−ブチルアクリレートとを必須成分とし、任意にその他のモノマーを含むものが好ましく、その他のモノマーとしては、エチルアクリレート、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。アクリロニトリルおよびn−ブチルアクリレートを必須成分とするのは、これらが弾性(セット性)の向上に寄与するためであり、かかる観点からは、可能な限りn−ブチルアクリレート量を増量し、他の成分を減量するとともに、必須成分以外のその他のモノマー成分のモノマー比率を減らすことが好ましい。一方、アクリロニトリルの比率を高めすぎると、弾性層等が硬くなってしまうため好ましくない。したがって、必須成分であるアクリロニトリルとn−ブチルアクリレートとのモノマー比率は、モル比で1〜25:99〜75、特には5〜20:95〜80の範囲内とすることが好ましい。
また、上記水系アクリル樹脂は、分子中に活性水素を有する基を含んでいることが好ましい。活性水素を有する基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等が挙げられるが、好適にはカルボキシル基である。本発明において、かかる活性水素を有する基を含むモノマーの比率は、全モノマー量の3〜6%の範囲内とすることが好ましい。本発明においては、活性水素を有する基を含むモノマーの比率をこの範囲内とすることで、表面酸価が10mg/g以上、例えば10〜20mg/gに調整された水系アクリル樹脂を好適に用いることができる。
本発明において用いることができる水系塗料としては、例えば、アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合物の水性エマルション(高圧ガス工業(株)製、架橋温度130℃)、ウレタンエマルション(第一工業製薬(株)製)、L2001(SBラテックス、旭化成ケミカルズ(株)製)、モビニール801(酢酸ビニルエマルション、日本合成化学工業(株)製)、モビニール186E(エチレン−酢酸ビニルエマルション、日本合成化学工業(株)製)、モビニール937F(アクリル酸−スチレンエマルション、日本合成化学工業(株)製)等を挙げることができる。
本発明において用いることができる架橋剤としては、架橋剤の反応温度が樹脂製マイクロバルーンの膨張温度よりも高温となるようなものであれば特に限定されないが、例えば、エポクロス((株)日本触媒製、オキサゾリン基含有スチレン−アクリル共重合物)等のオキサゾリン系架橋剤を挙げることができる。
かかるオキサゾリン系架橋剤としては、水溶性のものであればいかなるものをも用いることができるが、2つ以上のオキサゾリン基を有するものが好ましく、特には、オキサゾリン基当量が300〜1000であって、Tg=−50℃〜50℃のものを好適に用いることができる。オキサゾリン基当量が1000を超えると分子量が大きくなるため室温での取扱いが困難となり、一方、300未満であると、反応性が大きすぎてゲル化が生ずるため、いずれも好ましくない。かかるオキサゾリン系架橋剤の配合量は、水系アクリル樹脂100質量部に対し、5〜50質量部とすることができる。
また、上記水系塗料には、導電剤を適宜添加して導電性を付与することができる。かかる導電剤としては、イオン導電剤と電子導電剤とがあり、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などが挙げられる。また、電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属などを挙げることができる。これらの導電剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、その配合量には特に制限はなく、所望に応じ適宜選定可能であるが、例えば、弾性層2と表層3を構成する樹脂成分100質量部に対し、1〜20質量部とすることができる。
さらに、接着層5、弾性層2および表層3の水系塗料には、所望に応じ、その他加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを適宜添加することが可能である。
本発明において、接着層5、弾性層2および表層3を形成する塗布方法は、特に制限されるものではないが、通常は上記水系塗料を調製し、この水系塗料をディッピング法、スプレー法、ロールコーター法、ダイコート法などにより上記シャフト1上に塗布して乾燥固化させる方法が採用され、特にディッピング法が好ましく用いられる。シャフト1に直接水系塗料を塗布することで、製造工程の簡略化が可能となる。
また、本発明の導電性ローラ10は、接着層5の厚みが、80〜120μmであることが好ましく、90〜110μmであることがさらに好ましい。接着層5の厚みをかかる範囲とすることで、接着層5の接着面に垂直な方向により効率よく樹脂製マイクロバルーン4を膨張することができる。
さらに、本発明の導電性ローラ10は、弾性層2の厚みが、0.8〜1.3mmであることが好ましく、0.83〜1.00mmであることがさらに好ましく、0.83〜0.93mmであることがさらにより好ましい。弾性層2の厚みをかかる範囲とすることで、スパーク放電を防止することができる。
さらにまた、本発明において、膨張工程(D)前の弾性層2の厚みに対する膨張工程(D)後の弾性層2の厚みの比(膨張率)が、1.2以上であることが好ましく、1.28〜1.88であることがさらに好ましい。膨張率をかかる範囲とすることで、弾性層の膜厚を容易に適切な厚みに確保できるとともに、さらに塗布工程(B)および乾燥工程(C)の繰り返し回数を少なくすることができる。
また、表層3の厚さは、導電性ローラ10の形態等に応じて設定され、特に制限されるものではないが、通常1〜30μm、特に10〜15μmとすることができ、1μm未満であると、ローラの耐久性に劣る場合があり、一方、30μmを超えると帯電特性に悪影響を与えたり、表面にしわを生じたりするなど、良好な表面性が得られない場合がある。
本発明において、シャフト1としては、金属製あるいはプラスチック製で、中空円筒体または中実円柱体のものを使用することができるが、好ましくは、金属製の中空円筒体または中実円柱体であり、より好ましくは、金属製の中空円筒体である。これにより、よりコストを下げることができる。
図3は、本発明の好適実施形態に係る導電性ローラの他の例を示す断面図である。感光ドラムに押圧される際長さ方向に均一な当たり面を形成することが重要であるため、導電性ローラ20は、長さ方向中央部が端部よりも径が大きいクラウン形状を有している。
ローラ長さ方向断面において、長さ方向中央が端部より突出され、その突出の程度を表すクラウン量としては、50〜300μmとすることが好ましく、このようにすることによって、通常の画像を一層良好なものにすることができる。クラウン量を50μm未満とした場合には、ローラ長さ方向中央部の接触圧が低くなり、一方、これを、300μmを超えるものとした場合には、ローラ長さ方向中央部が強く接触しすぎ、いずれの場合も帯電量の不均一を招くおそれがある。なお、本発明における導電性ローラのクラウン量の測定は、ミツトヨ(株)製高精度レーザ測定機LSM−430vを用いて行った。本測定機により、ローラ中央部及び中央部から端部へ向かう90mmの位置において外径を測定し、中央部の外径と両端部方向へ各90mmの位置における外径の平均値との差をローラクラウン量とする。例えばローラ長250mmの導電性ローラにおいては、一方の端から35mm、125mm、215mmの3点において外径を測定する。その際、一方の端から35mm位置における外径をA(mm)、125mm位置における外径をB(mm)、215mm位置における外径をC(mm)とすると、クラウン量(μm)は下記計算式(1)、
クラウン量(μm)={B−(A+C)/2}×1000 (1)
で求めることができる。
また、本発明において、導電性ローラ10、20は、振れ(膜厚精度)をローラ長さ方向全領域において、70μm以下とすることが好ましい。導電性ローラ10、20を帯電ローラと使用して感光体と接触しながら回転している場合、導電性ローラ10、20の振れが大きい時には、導電性ローラ10、20と感光体との間に空隙が生じてくる。更にその空隙距離も様々になってしまう。この場合、感光体上に残留しているトナー粒子及び外添剤が、その空隙に侵入しやすくなり、導電性ローラ10、20にムラとなって付着する。従って、ローラ表面は、まだらに汚れる結果となり、画像不良の原因となってしまう。なお、本発明における導電性ローラ10、20の振れの測定は、ミツトヨ(株)製高精度レーザ測定機LSM−430vを用いて行った。本測定機により、外径を、ローラ長さ方向各5点について測定し、各点について測定した外径の最大値と最小値との差の平均値を振れとした。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1)
下記表1記載の配合処方に従い、水系塗料1(アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合物の水性エマルション)に、エポクロス(オキザゾリン基含有スチレン−アクリル共重合物のエマルション)、水分散カーボン、ファインシールX−12(親水性シリカ)、SNデフォーマー777(消泡剤)、SNウェット970(湿潤剤)、UH420(増粘剤)を配合し、撹拌機で撹拌した。各成分を配合した水系塗料1をメッシュでろ過し、凝集物を取り除いた。得られた水系塗料1をディッピングにより金属製シャフトに塗装し、室温で10分間、120℃で20分間乾燥して、接着層を形成した。
下記表1記載の配合処方に従い、水系塗料1(アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合物の水性エマルション)に、EXPANCEL 461DU20(未膨張バルーン(コア:イソブタン、シェル:ポリ塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合物))、エポクロス(オキザゾリン基含有スチレン−アクリル共重合物のエマルション)、水分散カーボン、ファインシールX−12(親水性シリカ)、SNデフォーマー777(消泡剤)、SNウェット970(湿潤剤)、UH420(増粘剤)を配合し、撹拌機で撹拌した。各成分を配合した水系塗料1をメッシュでろ過し、凝集物を取り除いた。得られた水系塗料1をディッピングにより接着層上に塗装し、室温で10分間、70℃で10分間乾燥した。その後再び、ディッピング塗装を行い、塗装−乾燥を5回繰り返した。次いで、120℃で10分間加熱して未膨張バルーンを膨張させ、140℃で10分間加熱して、架橋反応を行い、弾性層を形成した。さらに、アクリルウレタン樹脂(EAU363B,亜細亜工業(株)製)100質量部と、ヘキサンジイソシアネートトリマー(エクセルハードナーHX,亜細亜工業(株)製)12質量部と、ナノシリカ(BYK3650,ビックケミー製)8質量部と、メチルエチルケトン250質量部とからなる水系塗料を塗装し、風乾30分の後、105℃で1時間乾燥して、表層(膜厚8μm)を形成した。シャフト端部のマスキング部材を取り除き、図1記載の導電性ローラを得た。なお、下記表1において、増粘剤配合量は質量%で示す。
(実施例2)
下記表1記載の配合処方に従ったこと以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(比較例1および2)
下記表1記載の配合処方に従い、接着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(膜厚測定)
接着層の膜厚を測定した。結果を下記表1に併記する。
(膨張率)
膨張工程(D)前の弾性層の膜厚および膨張工程(D)後の弾性層の膜厚を測定し、膨張工程(D)前の弾性層の膜厚に対する膨張工程(D)後の弾性層の膜厚の比(膨張率)を求めた。結果を下記表1に併記する。
Figure 2011039347
*1:アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合物の水性エマルション(高圧ガス工業(株)製、架橋温度130℃)
*2:ウレタンエマルション(第一工業製薬(株)製)
*3:オキザゾリン基含有スチレン−アクリル共重合物のエマルション(日本触媒(株)製)
*4:水分散カーボン(御国色素(株)製)
*5:親水性シリカ((株)トクヤマ製)
*6:消泡剤(サンノプコ(株)製)
*7:潤滑剤(サンノプコ(株)製)
*8:増粘剤((株)ADEKA製)
*9:未膨張バルーン(コア:イソブタン、シェル:ポリ塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合物、AKZO NOBEL社製、膨張温度106℃)
実施例1および2の導電性ローラは、弾性層の膜厚を容易に適切な厚みに確保できた。また、比較例1および2の導電性ローラは、接着層を設けていないため一部弾性層の剥離が発生し、弾性層の膜厚を適切な厚みに確保できなかった。
1 シャフト
2 弾性層
3 表層
4 樹脂製マイクロバルーン
5 接着層
10、20 導電性ローラ

Claims (7)

  1. シャフトと、該シャフトの外周に形成された接着層と、該接着層の外周面に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された表層と、を備え、
    前記接着層が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成され、
    前記弾性層が、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布後乾燥させ、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させて形成され、
    前記表層が、水系塗料を塗布後、乾燥させて形成されてなることを特徴とする導電性ローラ。
  2. 前記弾性層の水系塗料が、架橋剤を含有する請求項1記載の導電性ローラ。
  3. 加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させる前の弾性層の厚みに対する、加熱により前記樹脂製マイクロバルーンを膨張させた後の弾性層の厚みの比が、1.2以上である請求項1または2記載の導電性ローラ。
  4. シャフトの外周に水系塗料を塗布して乾燥する塗布乾燥工程(A)と、
    該塗布乾燥工程(A)後、樹脂製マイクロバルーンを含有する水系塗料を塗布する塗布工程(B)と、
    該塗布工程(B)後、前記樹脂製マイクロバルーンの膨張温度未満の温度で乾燥させる乾燥工程(C)と、
    該乾燥工程(C)後、前記樹脂製マイクロバルーンの膨張温度以上の温度で加熱して前記樹脂製マイクロバルーンの膜を膨張させる膨張工程(D)と、
    該膨張工程(D)後、水系塗料を塗布して乾燥する塗布乾燥工程(E)と、を有することを特徴とする導電性ローラの製造方法。
  5. 前記塗布工程(B)の水系塗料が、架橋剤を含有し、
    前記膨張工程(D)と前記塗布乾燥工程(E)の間に、前記架橋剤の反応温度以上の温度に加熱して架橋する架橋工程(F)を有する請求項4記載の導電性ローラの製造方法。
  6. 前記塗布工程(B)と、前記乾燥工程(C)とを繰り返し行う請求項4または5記載の導電性ローラの製造方法。
  7. 前記膨張工程(D)前の弾性層の厚みに対する、前記膨張工程(D)後の弾性層の厚みの比が、1.2以上である請求項4〜6のうちいずれか一項記載の導電性ローラの製造方法。
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