JP2006349257A - 燃焼装置および温風発生装置 - Google Patents

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Yasusada Higuchi
保定 樋口
Mitsunori Kobayashi
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Abstract

【課題】 燃焼ガス中から未燃分のハイドロカーボンやホルムアルデヒドを除去できる機能を備えた燃焼装置を提供する。
【解決手段】 燃焼室5の出口側に、多孔状の炎止め板20と、その外側に配置された第1のメッシュ板21と、第2のメッシュ板22とを配置した燃焼装置(温風発生装置)1を提供する。これら第1のメッシュ板21と第2のメッシュ板22は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mm、開口率がほぼ20〜50%で、間隔の最大は15mm程度であり、少なくとも一方が貴金属触媒を担持しているものであり、この構造により、燃焼室5において安定した燃焼を行いながら、出口で未燃分を効率よく除去できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、火炎燃焼を行い、その燃焼ガスを出力する燃焼装置および、燃焼ガスと外気を混合して大量の温風を供給することができる温風発生装置に関するものである。
温風発生装置として、ハウジングの内部に設けられた燃焼室で、バーナによって霧状に吹出された液体燃料を、ブロワーから供給される燃焼空気により燃焼させ、その結果得られる高温の燃焼ガスと、燃焼室をバイパスするようにハウジングを通して前方に供給された外気とを混合することにより温風を生成し、供給するものが知られている。この温風発生装置は、大量の温風を供給できるので、工場内の暖房、ビニールハウス内の温度制御、食物の乾燥など多種多様な用途に用いられている。
特開2004−317107号公報 特開平11−201411号公報
このタイプの温風発生装置は、燃料を燃焼室において最適な条件で燃焼させることができるので未燃分は少なく、一酸化炭素(CO)あるいは炭化水素(ハイドロカーボン(HC))などの人体に有害な成分の発生は少ない。しかしながら、さらに、これらの成分を少なくすることが要望されており、特許文献1または2に開示された温風発生装置においては、燃焼室の放出口に触媒を配置したり、温風通路(風路)の前方の断面全域に触媒を配置することにより、燃焼ガスに含まれる未燃分をさらに除去するようにしている。
特許文献1に記載された温風発生装置においては、温風通路に触媒層を設けることで、HCHO(ホルムアルデヒド)や炭化水素などの未燃分を除去(浄化)することができるが、触媒層が燃焼ガスのみならず、外気に対しても抵抗となる形態となっている。したがって、外気も含めて浄化する用途には適しているが、外気の送風に要する動力を軽減し難く、消費エネルギー(消費電力)を低減することが難しい。
特許文献2に記載された温風発生装置は、燃焼ガスを触媒により浄化しようとするものであり、触媒層は外気を送風する抵抗にならないので、省エネ運転が可能である。しかしながら、近年、さらにクリーンな温風を出力することが求められており、特許文献2の方式では、燃焼ガスからハイドロカーボンやホルムアルデヒド等を除去する効率をさらに向上することが難しい現状にある。
そこで、本発明においては、さらにクリーンな温風を経済的に供給できる燃焼装置および温風発生装置を提供することを目的としている。
本発明の燃焼装置は、火炎燃焼を行い、それにより生成された燃焼ガスを出力する燃焼室を有する燃焼装置であって、燃焼室は、出口側に、多孔状の炎止め板と、その外側に配置され、網目状の開口を備えた第1のメッシュ板および第2のメッシュ板とを備えており、第1のメッシュ板および第2のメッシュ板は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mm、開口率がほぼ20%〜50%で、第1のメッシュ板および第2のメッシュ板の間隔の最大は15mm程度であり、少なくとも一方が貴金属触媒を担持している。さらに、炎止め板に隣り合う第1のメッシュ板と炎止め板との間隔を5mm〜30mm程度としている。
また、本発明の温風発生装置は、ハウジングと、このハウジングの内部に、ハウジングとの間に流路が形成されるように配置された燃焼室とを有し、燃焼室において火炎燃焼を行い、それにより燃焼室から出力された燃焼ガスと、流路を通って導かれた外気とをハウジングの前方で混合して温風として出力する温風発生装置であって、燃焼室は、出口側に、多孔状の炎止め板と、その外側に配置された第1のメッシュ板と、第2のメッシュ板とを備えており、第1のメッシュ板および第2のメッシュ板は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mm、開口率がほぼ20%〜50%で、それらの間隔の最大は15mm程度であり、少なくとも一方が貴金属触媒を担持しており、第1のメッシュ板と炎止め板との間隔を5mm〜30mm程度としている。
本発明の燃焼装置および温風発生装置の燃焼室は、その出口側に、多孔状の炎止め板に加え、炎止め板とは別に、上記したような触媒を担持した2枚のメッシュ板の組み合わせを配している。そして、発明者らの測定によると、2枚のメッシュ板を上記のような条件で設置することにより、燃焼ガスから未燃分や燃焼排ガス中に含まれるホルムアルデヒドや炭化水素を効率よく除去でき、また、点火初期および消火時の臭いを除去することができ、さらに、燃焼室内の火炎燃焼の状態を良好に維持できることが見出された。炎止め板とは別に、2枚のメッシュ板を炎止め板の出力側に配置することにより、炎止めと、未燃分の除去との機能を基本的に分けることができ、2枚のメッシュ板の組み合わせを、火炎燃焼に悪影響を与えない範囲で、未燃分の除去という目的により適した状態にセットできることが、未燃分の除去効率を向上できる一つの大きな要因と考えられている。
本願の発明者らの測定によると、第1および第2のメッシュ板は、それぞれの開口率が24%以上では火炎燃焼に影響がみられなかったのに対し、開口率が18%以下では、メッシュ板の抵抗(燃焼室内)が大きくなり、火炎燃焼に影響が見られる。例えば、メッシュ板の外の温風の範囲に炎が飛び出してしまったり、燃焼に必要な空気量(空気過剰率)が不足し燃え切り性が低下し、逆に、煤が発生する現象が見られる。したがって、メッシュ板の開口率(開孔率)は20%以上、さらに具体的には24%以上であることが望ましい。
また、開口率が46%以下では、燃焼ガスに刺激臭がほぼ感じられなかったのに対し、55%以上においては、これらのメッシュ板をホルムアルデヒドなどの未燃焼のガスが通過して刺激臭が感じられた。燃焼ガスとの接触効率を十分に確保できないためと考えられる。したがって、メッシュ板の開口率(開孔率)は50%以下、さらに具体的には46%以下であることが望ましい。
さらに、第1および第2のメッシュ板の開口率を上記の範囲にすると、燃焼室内の燃焼状態も改善される。すなわち、多孔状の炎止め板のみであると、燃焼室出口において十分な通風抵抗(流通抵抗)を得ることが難しく、火炎を燃焼室内に止める効果を得ることが難しい。一方、通風抵抗の大きな開口率の比較的低いメッシュ板を炎止めとして使用すると、炎に晒されることによりメッシュ板の損傷が激しく、耐久性が低い。これに対し、本発明のように、多孔状の炎止め板と、メッシュ板とを組み合わせることにより、耐久性が高く、通風抵抗も十分に得られる燃焼室出口構造を実現できる。
この程度の開口率を確保するためには、加工性および経済性の点から第1のメッシュ板および第2のメッシュ板は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mmであることが望ましく、炎止め板の外側に配置することによりこの程度の厚みのメッシュ板であっても十分な耐久性を確保できる。
さらに、2枚のメッシュ板の間隔は、15mm程度以下に狭くすることにより、相互作用でメッシュ板の温度の低下を防止でき、触媒の反応効率を維持できる。すなわち、未燃分の除去のためには触媒との接触面積が大きい方が望ましいが、開口率が低くなると火炎燃焼の障害になる。メッシュにして開口率を大きくすることにより触媒との接触面積は大きくできるが、開口率の大きなメッシュ板の板厚を厚くすることは加工性の点から難しい。一方、薄い一枚のメッシュ板では接触面積の改善を図ることは難しい。また、複数枚のメッシュ板を配置すると、炎から離れたメッシュ板は温度が急激に低下するので触媒反応に適した温度を維持することが難しくなる。メッシュ板を1枚としてではなく、2枚として、接触面積を確保するためには、微小ではあっても組み立てる際に、部分的にメッシュ板同士が接触することがあっても、風路として有意な隙間を設ける必要がある。したがって、本発明においては、2枚のメッシュ板を15mm程度以下、さらに望ましくは、5mm〜10mm程度の間隔を開けて配置することにより、外側のメッシュ板の温度低下を防止すると共に、開口率の大きな複数のメッシュ板により圧力損失の増加を防いで十分な接触面積を確保している。
また、燃焼室の出口の多孔性の炎止め板と、それに面する第1のメッシュ板の間隔は5mm〜30mm程度が好ましい。炎止め板により火炎を止めて、メッシュ板が火炎に晒されることを防止し、メッシュ板に対する火炎の影響を抑制するには、炎止め板とメッシュ板との間にある程度の隙間を確保することが望ましい。その一方で、火炎からの放射熱あるいは燃焼ガスによりメッシュ板を触媒反応に適した温度に加熱する必要があり、メッシュ板は、炎止め板に近づけて配置することが望ましい。したがって、本発明においては、多孔性の炎止め板と、第1のメッシュ板との間隔を5mm〜30mm程度として、メッシュ板が炎止め板に接しない程度の間隔を確保するようにしている。
本願の発明者らの測定によると、上記の範囲において、第1のメッシュ板または第2のメッシュ板の一方が貴金属触媒を担持していると、未燃分の除去効果が見られる。貴金属触媒を担持しているメッシュ板は、下流側ではなく、上流側、すなわち、燃焼室側に配置することが望ましい。下流側のメッシュ板は、風が強い環境下で使用したときに、逆風による外気の侵入を緩衝する作用を備えている。したがって、上流側のメッシュ板は、下流側のメッシュ板の風などとの緩衝作用により温度の低下が抑制されるので、触媒の温度を維持できる。
さらに、第1のメッシュ板および第2のメッシュ板の双方が貴金属触媒を担持していることが望ましい。双方のメッシュ板が触媒担持板であると、未燃分の除去効果がさらに高く、よりホルムアルデヒドやハイドロカーボン(炭化水素)の少ない、クリーンな温風を得ることができる。
このような第1のメッシュ板および第2のメッシュ板は、耐熱性金属の箔体にラス目を入れてエキスパンドしたエキスパンドメッシュの平板により提供できる。耐熱性基材として適当なものの1つは、Fe−Cr−Al−La系のアルミニウム含有耐熱性合金である。この基材として、圧延し箔体化し、さらに機械加工で箔体にラス目を入れ、エキスパンドすることにより、多孔状に加工したものは、本発明のメッシュ板に好適である。特に、触媒を担持させるために、薄いメッシュ板を、低酸素状態で熱処理して薄板の表面だけではなく、孔の内面を含めた、燃焼ガスが接触する面の全体にわたりアルミリッチ層を形成し、さらに、空気中で約850℃に加熱して、酸化層を形成し、酸化層に白金族触媒(Pb、Ptなど)を付着させたメッシュ板は、表面に一様に触媒が担持され、その担持量も高いので、未燃分の除去効率が高く、本発明に適したものである。
さらに、本発明の燃焼装置および温風発生装置においては、燃焼室出口において、第1のメッシュ板および第2のメッシュ板が赤熱する。このため、燃焼室出口からの赤外線の放出効率が高く、温風に加えて、赤外線も放出する温風発生装置を提供できる。また、温風により熱を供給する温風発生装置以外の、例えば赤外線ヒータにも本発明の燃焼装置を利用することが可能であり、燃焼効率が高く、未燃分の除去効率が高く、さらに、赤外線の放出効率も高いヒータを提供できる。
図1に、本発明に係る温風発生装置の概要を示してある。この温風発生装置1は、燃料タンク2と、その上に配置された、温風を発生するほぼ筒状のハウジング3と、ハウジング3の中にほぼ同心円状に配置された筒状の燃焼室5とを有し、燃焼室5の内部で灯油などの燃料を火炎燃焼して、燃焼室5から燃焼ガスを放出する燃焼装置である。燃焼室5の後端に、灯油などの液体燃料を噴霧するためのバーナ8と、バーナ8により噴霧された燃料(燃料ガス)を点火するための点火棒16とを備えており、前端の出口側5aに多孔状の炎止め板20と、その外側に配置された第1のメッシュ板21と、第2のメッシュ板22とを備えている。
燃焼室5の後方5bには、燃焼室5に燃焼用空気69を供給する燃焼空気供給手段となるブロワー10が配置されている。さらに、ブロワー10の後方のハウジング3の後端には、燃焼用空気69を含む外気72をハウジング3の内部に供給するための送風手段である、送風ファン12が配置されている。温風発生装置1は、さらに、燃焼室5のバーナ8に液体燃料70を供給する手段である燃料ポンプ11と、サクションパイプ13とを備えている。
この温風発生装置1においては、燃料ポンプ11により燃焼室5に送り込まれた液体燃料は、バーナ8により霧化され、ブロワー10から供給された燃焼用空気69と混合されて火炎燃焼する。この燃焼により生成された燃焼ガス71は、燃焼室5の前端5aからハウジング3に出力される。そして、燃焼ガス71は、ハウジング3の前方において、燃焼室5とハウジング3との間の流路4を通り、燃焼室5をバイパスしてハウジング3の前方に供給された外気72と混合され、温風73となり、吹出し口6から外部に吹出される。
図2に、燃焼室5の前方5aを拡大して示してある。燃焼室5の出口側となる前方5aには、燃焼室5の内側(後方)から外側(前方)に向かって、多孔状の炎止め板20と、第1のメッシュ板21と、第2のメッシュ板22とが、燃焼室5の前方5aの全面をそれぞれ覆うように配置されている。第1のメッシュ板21と、第2のメッシュ板22とは、少なくとも一方が、白金などの貴金属触媒を担持した触媒プレートとなっている。
図3に、第1のメッシュ板21と第2のメッシュ板22とを燃焼室5の前方5aに取り付けた状態をさらに拡大して示してある。これら第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22は円筒状になった縁の部分により、間隔L1を開けて燃焼室5の周壁51に取り付けられている。また、後方の第1のメッシュ板21は、それに面する炎止め板20とは、間隔L2を開けて、燃焼室5の周壁51に取り付けられている。メッシュ板21および22は、それ自体を燃焼室の周壁に取り付けても良く、また、円筒状などの適当な形状のフレームあるいはサポートを介して燃焼室5に取り付けるようにしても良い。
図4に、第1のメッシュ板21または第2のメッシュ板22を正面(前方)から見た様子を示してある。第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22は共に、エキスパンドメッシュの平板を円盤状に加工して円筒状の燃焼室5の前方に取り付けられるようにしたものである。これらのメッシュ板21および22は、共に触媒を担持していることが望ましいが、いずれか一方が触媒を担持し、他方は耐熱性のメッシュ板であっても良い。
本例の第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22は、以下のように製造されたものである。まず、アルミニウム含有耐熱性合金のFe−Cr基合金(重量%で、Crが15〜25%、Alが3〜6%、Laが0.02〜0.07%、さらに望ましくは0.03〜0.05%程度含み、残りがFeであり、例えば、重量%で、Crが20%、Alが6%、Laが0.05%、残りがFeの合金である)を圧延により所望の厚みの箔体に加工し、さらに、機械加工により箔体にラス目を入れてエキスパンドし、メッシュ状の多孔性の板(エキスパンドメッシュ板あるいはラス金網板)に加工する。メッシュ板として触媒を担持していないものを用いる場合は、この段階の板を使用することができる。触媒を担持したメッシュ板を得るために、メッシュ状に加工された箔体(薄板)を、低酸素状態で熱処理(第1の熱処理)し、薄板の表面だけではなく、孔の内面を含めた、燃焼ガスが接触する面の全体にわたりアルミリッチ(アルミニウム富裕)層を形成する。例えば、機械加工された薄板を炉内に入れ、その炉内を真空ポンプにより1×10−3Torr以下に減圧し、低酸素状態で約900℃に加熱する。加熱時間は、30〜60秒が好ましい。さらに、空気中で約850℃に加熱(第2の熱処理)して、酸化アルミニウム(アルミナ)を含む酸化層を形成する。加熱時間は、約4時間が好ましい。さらに、酸化層に白金族触媒(Pd、Ptなど)を付着させて触媒を担持したメッシュ板とする。触媒燃焼に適した触媒は、白金族触媒であり、例えば、白金(Pt)とパラディウム(Pd)を4:1に混合したものである。
燃焼ガス中の未燃焼成分を除去する能力を得るためには、以下で説明するように、20〜50%の開口率を持ったメッシュ板を採用し、ある程度の間隔を開けて設置することが要求される。したがって、まず、この程度の開口率を確保するためには、加工性および経済性の点から第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mmであることが望ましく、本例においては厚みが0.5mmのメッシュ板を取り付けている。
また、2枚のメッシュ板21および22の間隔L1は、燃焼ガスが流通する程度の距離がメッシュ板21および22同士の間に確保され、相互作用でメッシュ板21および22の温度の低下を防止でき、触媒の反応効率を維持できる程度に狭いことが要求される。したがって、メッシュ板21および22を1枚ではなく、2枚とすることで接触面積を確保できる。さらに、部分的にメッシュ板同士が接触することがあっても、組み立て誤差を含めて風路として有意な隙間を設ける必要がある。このため、2枚のメッシュ板21および22の隙間L1は、15mm程度以下が要求され、さらに望ましくは、間隔L1は、5mm〜10mm程度であり、本例においては2枚のメッシュ板21および22の隙間L1を5mmにセットしている。
図5に、炎止め板20を正面から見た様子を示してある。炎止め板20は、SUS製の円盤状の板であり、周囲に比較的径の大きな孔20aが配置され、中心に比較的径の小さな孔20bが配置され、火炎の密度の高い中心部では火炎を効率よく止め、周囲では燃焼ガスが圧力損失の少ない状態で出力されるようになっている。例えば、150mm程度の直径の炎止め板20に対して、外側には円周に沿って直径22mm程度の複数の孔20aが配置され、これらが中心部には直径が4mm程度の複数の孔20bが配置されている。
メッシュ板21および22は、触媒の反応効率の良い温度に維持されることが要求され、その一方で、炎に晒されたり、必要以上に高温にならないことが望ましい。したがって、炎止め板20から出力される輻射熱で十分に加熱され、その一方で、炎止め板20から炎が多少もれ出てもそれに接触しない程度の距離を確保することが要求される。そのような目的に沿ったメッシュ板21と炎止め板20との距離L2は、5mm〜30mm程度と見積もられており、本例においては、距離L2は20mm程度にセットしている。
図6に、第1のメッシュ板21と、第2のメッシュ板22との両方を省いたり、一方を省いたり、一方のみに触媒を担持させたり、開口率(%)を変えりして、燃焼試験(測定)を行った結果を纏めて示してある。
燃焼状態は、燃焼排ガス(燃焼ガス)のHCHO(ホルムアルデヒド)の量と、燃焼室出口に表れる燃焼の形態と、燃焼ガス中の刺激臭の有無により判断した。HCHOの量は0.08ppm以下が望ましく(「○」)、0.10ppm以下の必要がある(「△」)と判断し、それ以上の場合は未燃分の除去が不十分(「×」)であると判断した。燃焼室出口の燃焼の形態は、炎の飛び出しと、煤の有無を中心に観察した。燃焼室内において十分に火炎が発達して燃え切が良い状態の燃焼であれば、火炎は炎止め板20で止まり、煤も殆ど出ないはずである。それに対して、燃焼室出口におけるメッシュ板の圧力損失が大きいと、燃焼室内の燃焼空気が不足しがちになり、不完全燃焼により煤が増えると共に、燃焼ガス中に未燃焼成分が多くなるので酸素リッチな燃焼室出口で火炎が発生する可能性がある。刺激臭は、未燃各種の炭化水素が要因と考えられ、燃焼ガス中の炭化水素の除去が進まないと臭いが感じられるようになる。
図6に纏めた燃焼試験(測定)の結果によると、開口率が18%の2枚の触媒を担持したメッシュ板を用いると、HCHOの濃度を低くでき、未燃分を除去する効果が得られる(実験No5)が、メッシュ板の圧力損失が高すぎて良好な燃焼状態を得ることができない。これに対し、開口率が24%以上の2枚のメッシュ板を用いると、一方のメッシュ板が触媒を担持している実験No6でもHCHOの濃度は所望の値以下となり、燃焼状態も良好となる。
一方、開口率が55%の2枚の触媒を担持したメッシュ板を用いた実験No15では、刺激臭の発生が見られ、未燃分の除去が十分でないことが分かる。また、開口率が42%の2枚のメッシュ板を用いた実験No11では、両方のメッシュ板共に触媒を担持していないためにHCHOの濃度が高く、やはり未燃分の除去が十分でないことが分かる。したがって、煤や炎の飛び出しのない燃焼状態を実現すると共に、HCHOなどの未燃分を効率よく除去するためには、開口率が20〜50%程度、さらに望ましくは、本実験でカバーする開口率が24%〜46%程度の2枚のメッシュ板21および22を燃焼室5の出口に取り付け、少なくとも一方のメッシュ板に触媒を担持させることが要求される。
また、開口率が同じ条件で、両方のメッシュ板が触媒を担持したメッシュ板である実験No7およびNo9と、一方のメッシュ板が触媒を担持したメッシュ板である実験No6およびNo8とを比較すると、両方のメッシュ板が触媒を担持している場合の方がHCHOの検出量が少ない。したがって、第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22は共に触媒を担持するものであることが未燃分の除去効率を上げる点からは望ましい。
一方のメッシュ板が触媒を担持するだけでも十分な未燃分の除去ができるので、触媒を担持したメッシュ板を減らすことができ、経済的な観点から好ましい。また、この場合には、触媒を担持したメッシュ板は、下流側ではなく、上流側に配置することが望ましい。下流側のメッシュ板は外気と緩衝して、外界からの風などによって上流側のメッシュの温度低下を防止する機能を果たす。したがって、燃焼室に近い上流側に触媒を担持したメッシュ板を配置することにより、風などによる触媒の温度低下を防止できる。
また、本発明の第1および第2のメッシュ板を燃焼室の出口に配置する構成は、耐衝撃性が高く、延性も高いメッシュ状の耐熱金属製の素材を用いて触媒を担持し、燃焼を妨げることなく、ホルムアルデヒド等の未燃分を除去できる。したがって、大出力の燃焼室の出口であって、大きな面積を必要とする場合でも、2枚のメッシュ状の耐熱性金属製の触媒担持板で容易に覆うことができるので、低コストでクリーンな燃焼装置を提供できる。さらに、セラミック板などと異なりひび割れの問題もないので、耐久性も高い。また、炎止め板20との組み合わせにより、メッシュ板21および22の耐久性を確保しながら、燃焼室出口の通風抵抗を確保できるので、燃焼室内の燃焼状態を改善することができ、この点からも、未燃分の発生を抑制でき、燃焼ガスに含まれる未燃分を大幅に低減できる。
なお、第1のメッシュ板21および第2のメッシュ板22としては、上述したラス目加工と称されるエキスパンドを用いて加工されたものに限らず、プレス、エッチングおよびレーザ加工などの公知のさまざまな加工方法により加工されたメッシュ板を提供できる。また、これらのメッシュ板は赤熱されるので、メッシュ板からは大量の赤外線が放出される。したがって、赤外線により暖房するタイプのヒータあるいはその他の加温装置に対しても本発明を適用することができる。
本発明に係る温風発生装置の概略構成を示す図。 燃焼室の出口の構造を拡大して示す図。 第1および第2のメッシュ板の取り付けられた部分をさらに拡大して示す図。 メッシュ板を正面から見た様子を示す図。 炎止め板を正面から見た様子を示す図。 第1のメッシュ板および第2のメッシュ板の開口率を変えた燃焼試験の結果を示す図。
符号の説明
1 温風発生装置、 5 燃焼室
20 炎止め板、 21 第1のメッシュ板、 22 第2のメッシュ板

Claims (4)

  1. 火炎燃焼を行い、それにより生成された燃焼ガスを出力する燃焼室を有する燃焼装置であって、
    前記燃焼室は、出口側に、多孔状の炎止め板と、その外側に配置され、網目状の開口を備えた第1のメッシュ板および第2のメッシュ板とを備えており、
    前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mm、開口率がほぼ20%〜50%で、前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板の間隔の最大は15mm程度であり、少なくとも一方が貴金属触媒を担持しており、さらに、
    前記炎止め板に隣り合う前記第1のメッシュ板と前記炎止め板との間隔が5mm〜30mm程度である、燃焼装置。
  2. 請求項1において、前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板の双方が前記貴金属触媒を担持している、燃焼装置。
  3. 請求項1において、前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板は、耐熱性金属のエキスパンドメッシュ板である、燃焼装置。
  4. ハウジングと、このハウジングの内部に、前記ハウジングとの間に流路が形成されるように配置された燃焼室とを有し、
    前記燃焼室において火炎燃焼を行い、それにより前記燃焼室から出力された燃焼ガスと、前記流路を通って導かれた外気とを前記ハウジングの前方で混合して温風として出力する温風発生装置であって、
    前記燃焼室は、出口側に、多孔状の炎止め板と、その外側に配置され、網目状の開口を備えた第1のメッシュ板および第2のメッシュ板とを備えており、
    前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板は共に、厚さがほぼ0.3mm〜1mm、開口率がほぼ20%〜50%で、前記第1のメッシュ板および前記第2のメッシュ板の間隔の最大は15mm程度であり、少なくとも一方が貴金属触媒を担持しており、さらに、
    前記炎止め板に隣り合う前記第1のメッシュ板と前記炎止め板との間隔が5mm〜30mm程度である、温風発生装置。
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