JP2006348677A - 構造物のひび割れ補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物のひび割れの補修作業時間を短縮すると共に余分な手間を排して補修作業を省力化する。
【解決手段】補修材を注入するための注入プラグを構造物のひび割れ部に取り付け、ひび割れ部の表面をシール材で目止めした後に注入プラグからひび割れ部に補修材を注入して補修を行う構造物のひび割れ補修方法において、シール材としてホットメルトを用いるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物のひび割れ補修方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、構造物のひび割れ部表面をシール材で目止めして補修材を注入して補修を行う構造物のひび割れ補修方法に関する。
従来、構造物のひび割れ部に補修材を注入して補修を行う構造物補修方法としては、例えばコンクリート構造物の補修方法がある(特許文献1)。
このコンクリート構造物の補修方法は、図4の(1)から(3)に示すように、コンクリート構造物のひび割れ101の一点若しくは適当な間隔をあけて複数点に注入プラグ102を接着剤103により取り付け、注入プラグ102を通して構造物のひび割れ101内に注入された補修材105がひび割れ101から漏れ出るのを防止するためにこれら注入プラグ102の間のひび割れ101の表面を合成ゴム製のシール材104で目止めし、注入プラグ102からひび割れ101内に補修材105を注入することによりひび割れ101の補修を行うものである。
特開平10−72940号広報
しかしながら、特許文献1のコンクリート構造物の補修方法では、ひび割れ部表面のシール材として合成ゴムを用いているため、合成ゴムによりひび割れ部表面を目止めした後約6時間から8時間かけて硬化養生する必要がある。そのため、補修作業を迅速に進めることができない。
また、ひび割れ部に注入した補修材の硬化養生後、注入プラグ及び合成ゴム製のシール材をスクレイパー等の器具を用いて剥ぎ取る作業が必要であり、注入プラグ及びシール材の除去が簡便であるとは言い難い。この点も、補修作業を迅速に行う上での障害になっていた。
更に、接着剤を用いて注入プラグを取り付けているため、注入プラグを剥ぎ取った後のひび割れ部表面に接着剤が残る場合がある。その場合には表面に残った接着剤を有機溶剤等を使用して拭き取る作業が必要である。この点も、補修作業を迅速に行う上での障害になると共にコストアップにつながっていた。
また、合成ゴムの接着力が強力であるため、シール材としての合成ゴムを取り除くときに構造物表面の塗装やコート材あるいはモルタルなどを剥離してしまう問題を有している。
そのため、本発明は、補修作業時間を短縮すると共に余分な手間を排して補修作業を省力化することが可能な構造物のひび割れ補修方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の構造物のひび割れ補修方法は、補修材を注入するための注入プラグを構造物のひび割れ部に取り付け、ひび割れ部の表面をシール材で目止めした後に注入プラグからひび割れ部に補修材を注入して補修を行う構造物のひび割れ補修方法において、シール材としてホットメルトを用いるようにしている。
この構造物のひび割れ補修方法によると、ホットメルトは塗着後数秒から数十秒程度で直ちに硬化するためにひび割れ部表面のシール材の硬化を待つことなく、補修材の充填作業に移ることができる。
更に、ホットメルトはシール材としての十分な粘着力を発揮するものであると共に安定した強度を有し、且つ剥離性も有するものである。したがって、シール材を除去する際には、シール材を端あるいは任意の箇所から引っ張るだけで構造物の表面から引き剥ぐことができ、シール材が細かく分断されることなく、また部分的に付着したまま残ってしまったりすることがなく、取り除くことができる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の構造物のひび割れ補修方法において、注入プラグをホットメルトにより固定するようにしている。この場合には、前記の通りホットメルトは十分な粘着力と共に剥離性を有するので、注入プラグの取り外しを容易に行うことができる。更に、有機溶剤等を使用して注入プラグ固定用の接着剤を拭き取る作業も必要とされない。
また、注入プラグを傷付けずに取り外すことができ、更に注入プラグに付着しているホットメルトも容易に取り除くことができるので、注入プラグを繰り返して使うことができる。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構造物のひび割れ補修方法において、ホットメルトが透明若しくは少なくともホットメルトを通してひび割れ部の状況が視認できる程度に半透明であるようにしている。この場合には、補修材の注入状況を確認しながら作業を進めることができる。
以上説明したように、請求項1記載の構造物のひび割れ補修方法によれば、ひび割れ部表面のシール材の硬化養生時間を必要としないため、直ちに補修材充填作業にとりかかることができるので補修作業時間を従来と比べて大幅に短縮することが可能となる。更に、シール材の除去が容易であるため、補修作業を省力化すると共に補修作業時間を短縮することが可能となる。また、シール材の除去にスクレイパー等の器具を用いる必要がない。更に、ホットメルトは容易に剥離できるので、シール材としてのホットメルトを取り除くときに構造物表面の塗装やコート材あるいはモルタルなどを剥離してしまうことがない。
また、請求項2記載の構造物のひび割れ補修方法によれば、注入プラグの取り付けに接着剤でなくホットメルトを用いることにより、注入プラグの取り外しを容易に行うことができると共に、注入プラグを取り外した後に接着剤が残ることもなく有機溶剤等を使用して注入プラグ固定用の接着剤を拭き取る作業も必要とされないため、補修作業を省力化すると共に補修作業時間を短縮することが可能となる。更に、注入プラグを繰り返して使うことができるため、補修作業に伴うゴミ(廃棄物)の量を減らすことができる。
また、請求項3記載の構造物のひび割れ補修方法によれば、透明若しくは半透明のホットメルトのシールを通して補修材の充填状況が確認できるので、補修材の充填不足を防ぐことができる。そして、補修作業を確実に行うことを可能とするため、補修作業のやり直し等の無駄を避けることが可能となる。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1から図3に、本発明の構造物のひび割れ補修方法の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、補修対象としてコンクリート構造物に生じたひび割れ部1を例に挙げている(図1)。
この構造物のひび割れ補修方法は、補修材を注入するための注入プラグ2を補修材をひび割れ部1に均等に充填することができる間隔で構造物のひび割れ部1に取り付け、注入プラグ2を取り付けた部分を除いて、場合によっては注入プラグ2を含めてひび割れ部1の表面をシール材で目止めした後に注入プラグ2からひび割れ部1に補修材を注入して補修を行う構造物のひび割れ補修方法において、シール材としてホットメルト3を用いると共に注入プラグ2をホットメルト3により固定するようにしている。
注入プラグ2はひび割れ部1に補修材を注入する際のプラグ(座金とも呼ばれる)の役割を果たすものであり、補修材を注入するポンプや注入シリンダーの補修材排出口を固定すると共に補修材をひび割れ部1に注入するための貫通口2aを中央に有している。
注入プラグ2としては例えばプラスチック製のものや金属製のものを用いることができる。また、注入プラグ2自体は透明でなくても構わないが、好ましくはひび割れ部1の状況が視認できる程度に半透明のもの、より好ましくは完全に透明のものである。
注入プラグ2は、ひび割れ部1の幅や深さ並びに補修材の流動性等を基に作業者が適正な設置間隔を設定し、その設置間隔に基づいて取り付けられる(図2)。具体的には例えば15〜30cm程度の間隔が考えられるがこれより狭くても広くても構わない。
注入プラグ2はホットメルトにより固定する。具体的には例えば、注入プラグ2を取り付ける位置のひび割れ部1の両側に予めホットメルトを塗着しておいて注入プラグ2を取り付けるようにしても良いし、注入プラグ2のひび割れ部1側の面に予めホットメルトを塗着しておいてひび割れ部1に取り付けるようにしても良い。
また、注入プラグ2は、貫通口2aがひび割れ部1の真上若しくはほぼ真上に位置するように固定する。
続いて、ひび割れ部1を覆うと共に注入プラグ2の縁を覆うようにホットメルト3を塗着する(図3)。
ホットメルトとは、熱可塑性ポリマーをベースにした接着性混合物のことを指す。ホットメルトは約100〜180℃程度で加熱溶融して流動性を有する。また、構造物の補修が行われる環境として一般的に想定される温度(例えば−10〜40℃程度)において数秒から数十秒で直ちに硬化する性質を有している。
したがって、シール材としてのホットメルト3の塗着後、直ちに注入プラグ2の間のひび割れ部1の表面がホットメルト3で固められるため、硬化養生時間を設けることなくひび割れ部1への補修材の注入を開始することができる。
本発明で用いるホットメルトの種類については特に制限はなく、ホットメルトとして一般的に用いられているものであればいずれのホットメルトであっても用いることができるが、好ましくは少なくともホットメルトを通してひび割れ部1の状況が視認できる程度に半透明なホットメルトであり、より好ましくは完全に透明なホットメルトである。なお、透明は無色透明と有色透明のいずれでも構わない。
透明なホットメルトを用いた場合には、ホットメルト3を通してひび割れ部1への補修材の注入状況を確認しながら補修作業を行うことが可能である。したがって、補修材の充填不足を防止することができ、補修作業を確実に行うことが可能である。
ホットメルト3は、ひび割れ部1に注入した補修材が漏れ出ないように塗着されていれば良く、塗着の幅や厚さに特に制限はない。ひび割れ部1の幅等にもよるが、一般的な、例えば1mm前後のひび割れの場合には、0.5〜2cm程度の幅、1〜5mm程度の厚さで塗着すれば十分である。しかしながらこれに限られるものではなく、これより幅が広くても狭くても、また、これより厚さが厚くても薄くても構わない。
ホットメルト3の塗着の方法としては例えばホットメルトを加熱して押し付ける方法や吹き付ける方法を用いることができる。具体的には例えばホットメルトを加熱した上で押し出す工具であるグルーガンや吹き出す工具であるスプレーガン等を用いることができる。これらの工具は取り扱いが容易であり、補修作業を手軽に行うことが可能である。
なお、グルーガンやスプレーガン等を用いてホットメルト3を塗着する場合には、ホットメルトを帯状にして排出することができるように、ホットメルト排出口の先端部を扁平なノズル開口形状としておくことが好ましい。
グルーガンやスプレーガンのホットメルトの加熱方法は、電気による加熱とガス燃焼による加熱のいずれでも構わない。また、充電やガス充填ができそれ自体単独で動作可能なグルーガンやスプレーガンを用いることが好ましい。この場合には持ち運びが特に容易となり、作業者が行ける場所であればどのような場所であっても補修作業を行うことが可能である。
ひび割れ部1への補修材の注入は、ポンプや注入シリンダー等を用いて注入プラグ2の貫通口2aから注入することにより行う。
ひび割れ部1に注入する補修材については特に制限はなく、構造物のひび割れの補修材として一般的に用いられているものであればいずれの補修材であっても用いることができる。例えば、セメント系補修材や樹脂系補修材等を用いることができる。
補修材の硬化養生後、シール材としてのホットメルト3及び注入プラグ2を除去する。
ホットメルトはシール材としての十分な粘着力を発揮するものであると共に安定した強度を有し且つ剥離性も有するものであるために除去が容易であり、特別な工具等を用いることなく、塗着したホットメルト3の端部から引き剥がすことができる。若しくは、ホットメルト3の中間部分に切れ目を入れてその部分から引き剥がすこともできる。
更に、ひび割れ部1とあわせて注入プラグ2の縁も一緒にホットメルト3で覆うことにより、ひび割れ部1のシール材としてのホットメルト3と一緒に注入プラグ2を除去することが可能であり、補修作業を一層省力化することができる。
ホットメルト3及び注入プラグ2の除去後、必要な場合にはひび割れ部1の表面の仕上げを行い補修作業を終了する。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
本発明の構造物のひび割れ補修方法の実施形態の一例のコンクリート構造物のひび割れ部を示す図である。 本実施形態のひび割れ部に注入プラグを取り付けた状態の図である。 本実施形態のひび割れ部及び注入プラグをホットメルトで覆った状態の図である。 従来のコンクリート構造物の補修方法を示す図である。(1)は補修作業前のひび割れの状態を示す図である。(2)はひび割れ部に注入プラグを取り付けた状態を示す図である。(3)はシール材で目止めした状態を示す図である。
符号の説明
1 ひび割れ部
2 注入プラグ
2a 貫通口
3 ホットメルト

Claims (3)

  1. 補修材を注入するための注入プラグを構造物のひび割れ部に取り付け、前記ひび割れ部の表面をシール材で目止めした後に前記注入プラグから前記ひび割れ部に補修材を注入して補修を行う構造物のひび割れ補修方法において、前記シール材としてホットメルトを用いたことを特徴とする構造物のひび割れ補修方法。
  2. 前記注入プラグを前記ホットメルトにより固定することを特徴とする請求項1記載の構造物のひび割れ補修方法。
  3. 前記ホットメルトが透明若しくは少なくとも該ホットメルトを通して前記ひび割れ部の状況が視認できる程度に半透明であることを特徴とする請求項1または2記載の構造物のひび割れ補修方法。
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