JP2009019441A - コンクリートの補修方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 接着剤を主成分とする補修材を用いてコンクリートの亀裂等を補修するのに適したコンクリートの補修方法であって、補修部分およびその周辺のコンクリートと色彩及び質感を合わせることができ、以って美観を損なうことなく信頼性高くコンクリートを良好に補修することができるコンクリートの補修方法を提供する。
【解決手段】 コンクリートに生じた亀裂等の周囲を平滑化した後、亀裂等に適用する接着剤が周囲に広がることを防止するために亀裂等を覆うように亀裂等に沿って粘着テープ等により目張りをする。その後、粘着テープを亀裂等に沿って切断し、その開口部から亀裂等へ接着剤を適用し、接着剤が硬化したら粘着テープを剥がす。そして、補修部分の周辺のコンクリートと色合わせや質感を調整されつつ作成された美装材を、補修部分の上からヘラ等を用いて適用し、補修部分及び補修部分の周囲のコンクリート表面を美装する。
【選択図】図1
【解決手段】 コンクリートに生じた亀裂等の周囲を平滑化した後、亀裂等に適用する接着剤が周囲に広がることを防止するために亀裂等を覆うように亀裂等に沿って粘着テープ等により目張りをする。その後、粘着テープを亀裂等に沿って切断し、その開口部から亀裂等へ接着剤を適用し、接着剤が硬化したら粘着テープを剥がす。そして、補修部分の周辺のコンクリートと色合わせや質感を調整されつつ作成された美装材を、補修部分の上からヘラ等を用いて適用し、補修部分及び補修部分の周囲のコンクリート表面を美装する。
【選択図】図1
Description
本発明は、接着剤を用いてコンクリート(モルタルも含む。以下、同様)を補修(補強)する方法に関する。
従来より、床版、梁、外壁、橋脚、架台、堰堤、ダム、トンネル、ビルディング等の多種多様のコンクリート構造物に生じる亀裂、ひび割れ、剥離等(以下、単に亀裂等ともいう)を補修して、強度の確保や侵食等による劣化を抑制するために、亀裂等により形成される空隙部分に接着剤を注入して硬化させて補修する技術が、例えば、特許文献1、2等において提案されている。なお、接着剤としては、コンクリートに対する密着性が高いと共に、耐水性、耐アルカリ性、耐薬品性などに優れるエポキシ樹脂系二液混合型接着剤(以下、単に接着剤ともいう)が広く用いられている。
このような接着剤を用いたコンクリートの補修方法としては、例えば、以下のようなものが知られており、特許文献1、2においても記載がある。
(1)接着剤注入方法
かかる方法は、コンクリート構造物に生じた亀裂等の空隙部分に接着剤を加圧注入して、コンクリート構造物の内部にまで進行している亀裂等の空隙部分まで効果的に補修する方法である。
(2)Uカットシール材充填方法
かかる方法は、外部より観察されるコンクリート構造物の亀裂等をU字溝状に電動カッター等で削り、当該U字溝内にコーキングガン等を用いて接着剤をシーリング材の如く充填した後、これをヘラ等で押さえて下地と密着させる方法である。
(3)シール方法
かかる方法は、外部より観察されるコンクリート構造物の亀裂箇所に、接着剤をシーリング材の如く用いてパテベラで充填する方法である。
(4)パッカー方法
かかる方法は、コンクリート構造物の空洞部分に、注入機械で接着剤を加圧充填する方法である。
(1)接着剤注入方法
かかる方法は、コンクリート構造物に生じた亀裂等の空隙部分に接着剤を加圧注入して、コンクリート構造物の内部にまで進行している亀裂等の空隙部分まで効果的に補修する方法である。
(2)Uカットシール材充填方法
かかる方法は、外部より観察されるコンクリート構造物の亀裂等をU字溝状に電動カッター等で削り、当該U字溝内にコーキングガン等を用いて接着剤をシーリング材の如く充填した後、これをヘラ等で押さえて下地と密着させる方法である。
(3)シール方法
かかる方法は、外部より観察されるコンクリート構造物の亀裂箇所に、接着剤をシーリング材の如く用いてパテベラで充填する方法である。
(4)パッカー方法
かかる方法は、コンクリート構造物の空洞部分に、注入機械で接着剤を加圧充填する方法である。
このような接着剤を用いてコンクリートを補修する技術は、構造物を破壊等することなく補修することができる点で有益であるが、接着剤で補修を施した部分は、周辺のコンクリートと色彩が異なり見栄え(美観)が良くないという問題がある。
また、例えばコンクリートに発生した亀裂等に接着剤を浸透させつつ充填していく場合に、亀裂等の周辺のコンクリートに接着剤が染み込み、接着剤が染み込んだコンクリート表面が黒っぽく(
すなわち、濡れ色に) 変化してしまい、同様に見栄えを悪化させるといった問題もある。
すなわち、濡れ色に) 変化してしまい、同様に見栄えを悪化させるといった問題もある。
上述した各問題は、例えば、補修の際に、適用した接着剤が補修部分から溢れるなどしてコンクリート表面上を垂れるような場合にも同様に生じる。
この一方、例えば、特許文献3などでは、コンクリートの打放し面に生じた亀裂等を補修した後に、補修部分及びその周辺を塗料等を用いて叩き塗りすることで、周辺のコンクリートに近似した色彩及び質感に美装する美装技術が記載されている。
特開平5−65768号公報
特開2000−121901号公報
特開2005−248692号公報
しかしながら、接着剤を主成分とする補修材を用いてコンクリートの亀裂等を補修する場合には、特許文献3に記載されているような美装技術では十分ではなかった。
本発明は、かかる実情に鑑みなされたものであり、簡単かつ安価でありながら、接着剤を主成分とする補修材を用いてコンクリートの亀裂等を補修するのに適したコンクリートの補修方法であって、補修部分およびその周辺のコンクリートと色彩及び質感を合わせることができ、以って美観を損なうことなく信頼性高くコンクリートを良好に補修することができるコンクリートの補修方法を提供することを目的とする。
このため、本発明に係るコンクリートの補修方法は、
コンクリートの補修対象部を覆うように目張りを施し、
前記目張りに設けた開口を介して、コンクリートの補修対象部分に接着剤を主成分とする補修材を適用し、
前記補修材の適用後に、前記目張りを取り除くと共に、コンクリートの補修部分及びその周辺に美装材を適用する
ことを特徴とする。
なお、前記補修材は接着剤を主成分とするが、接着剤のみを補修材とする場合が概念として含まれるものである。
コンクリートの補修対象部を覆うように目張りを施し、
前記目張りに設けた開口を介して、コンクリートの補修対象部分に接着剤を主成分とする補修材を適用し、
前記補修材の適用後に、前記目張りを取り除くと共に、コンクリートの補修部分及びその周辺に美装材を適用する
ことを特徴とする。
なお、前記補修材は接着剤を主成分とするが、接着剤のみを補修材とする場合が概念として含まれるものである。
前記接着剤が、エポキシ樹脂系二液混合型接着剤であることを特徴とすることができる。
前記目張りは、粘着テープであることを特徴とすることができる。
前記美装材は、急結セメントと、セメント接着剤と、を混合したものであることを特徴とすることができる。これにより、急結セメントを水を用いず硬化させることができることになる。
前記美装材に、ホワイトセメント或いは着色顔料の少なくとも一方が混合されることを特徴とすることができる。
本発明によれば、簡単かつ安価でありながら、接着剤を主成分とする補修材を用いてコンクリートの亀裂等を補修するのに適したコンクリートの補修方法であって、補修部分およびその周辺のコンクリートと色彩及び質感を合わせることができ、以って美観を損なうことなく信頼性高くコンクリートを良好に補修することができるコンクリートの補修方法を提供することができる。
以下に、本発明に係るコンクリートの補修方法(工法)の実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
本発明に係るコンクリートの補修方法において利用される接着剤としては、樹脂系のものとしては、常温(20°C)を中心とする6°C〜40°Cの常温域で硬化するタイプの樹脂系(常温硬化性樹脂)や、5°C以下の低温域で硬化するタイプの樹脂系(低温硬化性樹脂)や、41°C以上の中高温で硬化するタイプの樹脂系(熱硬化性樹脂)などが想定される。なお、これらについては合成接着剤ということもできる。
ここで、樹脂系の接着剤で良く採用されるのは樹脂系であり、なかでもよく採用されるのは常温前後の温度域で硬化するタイプのエポキシ樹脂系二液混合型接着剤である。エポキシ樹脂系二液混合型接着剤は、主剤(A液)と硬化剤(B液)とからなり、主剤(A液)については、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などがある。なお、これらは硬化剤と混合して用いられる場合に限らず、単独で硬化材料として用いることもできる。
そのうちの代表的な二例を挙げると、一例目の主剤はビスフェノールA型エポキシ樹脂100%からなり、二例目の主剤はビスフェノールA型エポキシ樹脂60〜70重量%と顔料10〜20重量%と充填材20〜30重量%とからなる。硬化剤については、脂肪族アミン、変性脂肪族アミン、変性脂肪族ポリアミンなどが単独又は組み合わされて用いられる。硬化剤にエーテル系の希釈剤を含ませることもできる。
硬化剤を上記の具体的な各主剤に対応させるならば、上記一例目の主剤のための硬化剤は、脂肪族アミン45〜55重量%と変性脂肪族アミン20〜30重量%と希釈剤20〜30重量%からなり、上記二例目の主剤のための硬化剤は、変性脂肪族ポリアミン90〜100重量%からなる。
樹脂系の硬化性材料については、粘度30〜30000MPa・s(25°Cの値、以下同じ)の範囲内で任意に粘度調整されたものを採用したりすることができる。特に、エポキシ樹脂系二液混合型接着剤からなる接着剤などは、流動性や亀裂等の内側への浸透性を良くするため、粘度30〜1200MPa・s程度のものが良く用いられる。
なお、例えば、日本アドックス株式会社より販売されている「ADOX1050」、「ADOX1380」、「ADOX1380W」、「ADOX1380G」、「ADOX1392」「ADOX1510II」、「ADOX1441」、「ADOX1442」などを、本発明に係るコンクリートの補修用の接着剤として利用することができる。
ここで、第1の実施の形態に係るコンクリートの補修方法(工法)は、図1に示したように、以下のステップにより実行される。なお、ここでは、比較的隙間の狭い亀裂等(例えば、0.2mm程度)の補修に適した比較的粘度が低く浸透性の高い接着剤を用いて補修する場合の一例について説明する。
ステップ1(S1、以下同様)では、後述するステップ2で亀裂2等を覆うようにコンクリート1に貼り付ける粘着テープ等の目張り3(図2、図3等参照)と、コンクリート1の表面と、の密着度合いを高めるために、コンクリート1に生じた亀裂2等の周囲をサンドペーパーや手動式グラインダーやポリッシャーなどを用いて、所定に平滑化すると共に、塵、埃、砂、砂利などの不要物を除去する。
ここで、粘着テープ等の目張り3と、コンクリート1の表面と、の間の密着度合いが悪いと、隙間に接着剤が進入してしまうことになる。このため、浸透性の高い接着剤の場合、接着剤が亀裂等の周囲の粘着テープ等の目張り3とコンクリート1の表面との間に浸透してしまい、比較的広い範囲が濡れ色に変化してしまう惧れがある。
この濡れ色に変色した部分には接着剤が浸透しているため、後述するステップ7で施す美装処理において美装材をはじいてしまう傾向があり、仕上がり具合が悪くなる惧れがある。従って、このような変色部分を小さくするために、丁寧にコンクリート1の表面を平滑化すると共に、塵、埃などを除去することが好ましい。
ステップ2では、図2、図3に示すように、亀裂2等に適用する接着剤が亀裂2等の周囲に広がることを防止するために、亀裂2等を覆うように亀裂2等に沿って粘着テープ3等により目張りをする。目張り3は、目張りをすることができるものであれば特に限定されるものはないが、例えば粘着テープは便利である。なお、接着剤が浸透しない或いは浸透し難い材料からなる粘着テープ、例えばビニールテープなどを用いることができる。
ステップ3では、図4に示すように、亀裂2等を覆うように貼り付けた粘着テープ3を、カッター等を用いて亀裂2等に沿って切断し(切込みを入れ)、開口部4を設ける。なお、予め切り込みが入れられた粘着テープを用いることもできる。
ステップ4では、エポキシ樹脂系二液混合型接着剤の主剤(A液)と硬化剤(B液)とを混合して補修用の接着剤を作成し、ステップ3において切断され開口された開口部4から、亀裂2等へ接着剤を適用する。例えば、比較的粘度の低い浸透性の高い接着剤を用いる場合には、刷毛などを用いて開口部4から亀裂2等へ接着剤を塗布したり、流し込むようにする。なお、注射器、グリスガンのようなものを利用して接着剤を適用することも可能である。
ここで、本実施の形態のように比較的粘度が低く浸透性の高い接着剤を用いる場合には、毛細管現象により、コンクリート1中の微細な間隙を接着剤が進行しながら亀裂2等の内部まで良好に補修することができ、例えコンクリート1壁面が垂直である場合やオーバーハングしている場合においても、良好に亀裂2等を補修することができることになる。
ステップ5では、所定のタイミング(接着剤の硬化の確認など)で、粘着テープ3を剥がす。なお、粘着テープ3を剥がすことで現れる補修部分などの表面を、例えばサンドペーパー等を用いて整えても良い。
ステップ6では、比較的短時間で硬化する急結セメント(例えば、商品名「ハイコン」)、補修部分の周辺のコンクリートと色合わせのために添加される適当量のホワイトセメント、水の代わりに添加されるセメント接着剤(例えば、商品名「セメピタ」:エチレン樹脂系エマルジョン)、色合わせのために添加される適当量の着色顔料(例えば、墨汁など)などを混合して美装材を作成する。なお、補修部分の周辺のコンクリートと質感を合わせるために、適宜、砂や砂利などを混ぜることもできる。
ステップ7では、ステップ6において所定に混合され、補修部分の周辺のコンクリート1と色合わせや質感を調整されつつ作成された美装材を、補修部分の上からヘラ等を用いて適用して、補修部分及び補修部分の周囲のコンクリート表面に接着剤が染み込み濡れ色に変色した部分を美装する。
このように、本実施の形態では、コンクリート1に生じた亀裂2等を接着剤により強靭に補修することができると共に、ビニールテープ等で亀裂2等の周囲を確実かつ簡単な方法で目張り(マスキング)をするようにしたので、亀裂2等の補修部分に適用した接着剤がコンクリートに染み込む或いは付着することにより濡れ色に変色する範囲を最小限に留めることができる。
なお、接着剤が浸透し濡れ色に変色した部分は、美装処理において美装材をはじいてしまう傾向があるが、本実施の形態に係る補修方法によれば、このような傾向を極力低減することができ、以って美装材がはじかれたり剥離等したりする惧れを抑制でき美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、美装処理を施すべき範囲を最小限に留めることができ、延いては工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
更に、前記目張り(マスキング)は、亀裂2等を覆いかつ亀裂2等に沿って粘着テープ3等をコンクリート1の表面に貼り付け、その後に亀裂2等に沿ってカッターナイフ等により粘着テープ3等を切断する(切り込みを入れる)ことでなし、当該切断され開口された開口部4から接着剤を亀裂2等の補修部分へ適用するようにしたので、粘着テープ3等がダムとして機能し、適用した接着剤が重力により不必要に滴下するなどの惧れを効果的に抑制することができる。
従って、補修すべき部分以外に接着剤が付着するなどの惧れを簡単な方法により確実に抑制することができ、以って簡単かつ安価でありながら美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、美装処理を施す範囲を最小限に留めることができ、延いては工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、美装材として急結セメントを利用しているので、美装処理を施した後、短時間で美装材を硬化させることができるため、美装材の垂れ(流れ)などが抑制され、美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
加えて、本実施の形態によれば、急結セメントを水を用いて硬化させる代わりにセメント接着剤(例えば、商品名「セメピタ」:エチレン樹脂系エマルジョン)を利用しているので、水を用いた場合のように、乾燥前における色彩や質感と、硬化して乾燥した後の色彩や質感と、が異なり、色合わせがし難いといった惧れがなく、良好な色合わせを美装処理の際に施すことができ、以って美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
次に、第2の実施の形態に係るコンクリートの補修方法について説明する。なお、ここでは、比較的大きな亀裂等の補修に適した比較的粘度が高い接着剤を用いて補修する場合の一例について説明する。
図5に示すように、ステップ10では、後述するステップ20で亀裂2等を覆うようにコンクリート1に貼り付ける粘着テープ3等と、コンクリート1の表面と、の密着度合いを高めるために、コンクリート1に生じた亀裂2等の周囲をサンドペーパーや手動式グラインダーやポリッシャーなどを用いて、所定に平滑化すると共に、塵、埃、砂、砂利などの不要物を除去する。なお、第1の実施の形態のステップ1で説明したと同様の理由から、丁寧にコンクリート表面を平滑化すると共に、塵、埃、砂、砂利などの不要物を除去することが好ましい。
ステップ20では、第1の実施の形態のステップ2と同様に、亀裂2等に適用する接着剤が亀裂2等の周囲に広がることを防止するために、亀裂2等を覆うように亀裂2等に沿って粘着テープ等により目張り3をする。目張り3は、目張りをすることができるものであれば特に限定されるものはないが、例えば粘着テープは便利である。なお、接着剤が浸透しない或いは浸透し難い材料からなる粘着テープ、例えばビニールテープなどを用いることができる。
ステップ30では、図6に示すように、亀裂2等を覆うように貼り付けた粘着テープ3に、例えば、カッター、ニードル、ポンチ等を用いて、亀裂2等と外部とを連通するように、少なくとも一つの注入穴5としての開口部を設ける。なお、予め注入穴5が設けられた粘着テープを用いることもできる。ところで、注入穴5は一つでもよいが、例えば、一の注入穴5では十分でない場合などには、別の場所に注入穴5(空気抜き穴6としても機能する)を設け、順次当該別の注入穴5から接着剤を注入するようにしても良い。
ステップ40では、エポキシ樹脂系二液混合型接着剤の主剤(A液)と硬化剤(B液)とを混合して補修用の接着剤を作成し、図6に示すように、ステップ30において開口した注入穴5から、亀裂2等へ接着剤を適用する。例えば、本実施の形態のように、比較的粘度の高い接着剤を用いる場合には、注射器、グリスガンのようなものを利用して接着剤を適用することも可能である。
接着剤が所定に注入されたら(例えば接着剤が他の注入穴5や空気抜き穴6から所定に溢れ出ることが確認されたら)、粘着テープ等を用いて注入穴5、空気抜き穴6を封じると共に、接着剤の注入を止めて、接着剤が硬化するのを待つ。
ステップ50では、所定のタイミング(接着剤の硬化の確認など)で、粘着テープ3を剥がす。なお、粘着テープ3を剥がすことで現れる補修部分などの表面を、例えばサンドペーパー等を用いて整えても良い。
ステップ60では、第1の実施の形態のステップ6と同様に、比較的短時間で硬化する急結セメント(例えば、商品名「ハイコン」)、補修部分の周辺のコンクリートと色合わせのために添加される適当量のホワイトセメント、水の代わりに添加されるセメント接着剤(例えば、商品名「セメピタ」:エチレン樹脂系エマルジョン)、色合わせのために添加される適当量の着色顔料(例えば、墨汁など)などを混合して美装材を作成する。なお、補修部分の周辺のコンクリート1と質感を合わせるために、適宜、砂や砂利などを混ぜることもできる。
ステップ70では、ステップ60において所定に混合され、補修部分の周辺のコンクリートと色合わせや質感を調整されつつ作成された美装材を、補修部分の上からヘラ等を用いて適用して、補修部分及び補修部分の周囲のコンクリート1の表面に接着剤が染み込み濡れ色に変色した部分を美装する。
このように、本実施の形態では、コンクリート1に生じた亀裂2等を接着剤により強靭に補修することができると共に、ビニールテープ3等で亀裂2等の周囲を確実かつ簡単な方法で目張り(マスキング)をするようにしたので、亀裂2等の補修部分に適用した接着剤がコンクリート1に染み込む或いは付着することにより濡れ色に変色する範囲を最小限に留めることができる。
なお、濡れ色に変色した部分は、美装処理において美装材をはじいてしまう傾向があるが、本実施の形態に係る補修方法によれば、このような傾向を極力低減することができ、以って美装材がはじかれたり剥離等したりする惧れを抑制でき美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、美装処理を施すべき範囲を最小限に留めることができ、延いては工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
更に、前記目張り(マスキング)は、亀裂2等を覆いかつ亀裂2等に沿って粘着テープ3等をコンクリート1の表面に貼り付け、その後に亀裂2等に沿ってカッター、ニードル、ポンチ等を用いて粘着テープ3等を開口することでなし、当該開口された開口部4(注入穴5)から接着剤を亀裂2等の補修部分へ適用するようにしたので、粘着テープ3等がダムとして機能し、適用した接着剤が重力により不必要に滴下するなどの惧れを効果的に抑制することができる。
従って、補修すべき部分以外に接着剤が付着するなどの惧れを簡単な方法により確実に抑制することができ、以って簡単かつ安価でありながら美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、美装処理を施す範囲を最小限に留めることができ、延いては工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、美装材として急結セメントを利用しているので、美装処理を施した後、短時間で美装材を硬化させることができるため、美装材の垂れ(流れ)などが抑制され、美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
加えて、本実施の形態によれば、急結セメントを水を用いて硬化させる代わりにセメント接着剤(例えば、商品名「セメピタ」:エチレン樹脂系エマルジョン)を利用しているので、水を用いた場合のように、乾燥前における色彩や質感と、硬化して乾燥した後の色彩や質感と、が異なり、色合わせがし難いといった惧れがなく、良好な色合わせを美装処理の際に施すことができ、以って美装処理の仕上がり具合を良化することができると共に、工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
なお、上述した各実施の形態(特に、比較的粘度の高い接着剤を用いる第2の実施の形態)において、接着剤の適用の際には、図7、図8に示したような接着剤注入装置60或は70に接続される注入ホース、注入ノズル等からなる接着剤注入手段31(図5参照)を前記開口部4や注入穴5に接続し、接着剤の注入を行なうようにしても良い。
接着剤注入装置60は、図7に示したように、接着剤21(二液混合型の場合は予め或いは収容容器61内において混合されている)を収容する収容容器61は蛇腹状に形成されていて、収容容器61の後端62側にはウェイト63が載置されるようになっている。そして、接着剤21の注入の際には、前記後端部62に載置されたウェイト63が収容容器61及びこれに収容されている接着剤21を図中下方に向けて押圧することになる。この押圧力に応じて前記収容容器61の蛇腹部分は縮んで収容容器61の容積が減じられ、その分だけ接着剤21が当該接着剤注入装置60から吐出され、接着剤注入手段31を介してコンクリート1の亀裂2等に注入されるようになっている。前記ウェイト63により生じる押圧力の大きさは状況に応じて適宜変更可能で、これにより接着剤21の時間当たりの注入量(吐出量)が適当な値にセットされる。
ただし、それ程多くの注入量を必要としない場合などは、小型の収容容器61を用いて作業者等の人力により接着剤を押し出すようにすることも可能である。
また、接着剤注入装置70は、図8に示すように、主剤(A剤)を収容するA剤収容容器71と、硬化剤(B剤)を収容するB剤収容容器72と、を備え、これらを二液供給ポンプ73に接続し、当該二液供給ポンプ73からA剤:B剤=2:1の割合となるようにA剤、B剤を吐出し、ミキシングブロック74においてこれらを混合した後、接着剤注入手段31を介して接着剤21を注入するようになっている。
更に、接着剤21の注入の際に、亀裂2内を負圧に引くように、吸引手段41を接続することもできる。
更に、接着剤21の注入の際に、亀裂2内を負圧に引くように、吸引手段41を接続することもできる。
また、上述した各実施の形態において、例えば、粘着テープ3等を亀裂等の補修部分に貼り付ける前に、亀裂2等をU字或いはV字溝状に電動カッター等で削り、接着剤の亀裂2等への適用をより確実なものとするようにすることもできる。
更に、上述した各実施の形態は、接着剤を補修材として用いる場合を一例として説明したものであるが、本発明は、これに限定されるものではなく、接着剤を主成分とする補修材にも適用することができるものである。
更に、上述した各実施の形態は、接着剤を補修材として用いる場合を一例として説明したものであるが、本発明は、これに限定されるものではなく、接着剤を主成分とする補修材にも適用することができるものである。
以上で説明した各実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
1 コンクリート
2 亀裂等
3 粘着テープ(目張り)
4 開口部
5 注入穴
21 接着剤(例えばエポキシ樹脂系二液混合型接着剤)
2 亀裂等
3 粘着テープ(目張り)
4 開口部
5 注入穴
21 接着剤(例えばエポキシ樹脂系二液混合型接着剤)
Claims (5)
- コンクリートの補修対象部を覆うように目張りを施し、
前記目張りに設けた開口を介して、コンクリートの補修対象部分に接着剤を主成分とする補修材を適用し、
前記補修材の適用後に、前記目張りを取り除くと共に、コンクリートの補修部分及びその周辺に美装材を適用する
ことを特徴とするコンクリートの補修方法。 - 前記接着剤が、エポキシ樹脂系二液混合型接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの補修方法方法。
- 前記目張りが、粘着テープであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリートの補修方法。
- 前記美装材が、急結セメントと、セメント接着剤と、を混合したものであることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のコンクリートの補修方法。
- 前記美装材に、ホワイトセメント或いは着色顔料の少なくとも一方が混合されることを特徴とする請求項4に記載のコンクリートの補修方法。
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