JP2019034861A - コンクリート用マスキング剤および壁面補修方法 - Google Patents

コンクリート用マスキング剤および壁面補修方法 Download PDF

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智之 稲垣
Tomoyuki Inagaki
智之 稲垣
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周二 市村
晃宏 勝野
Akihiro Katsuno
晃宏 勝野
道春 鈴木
Michiharu Suzuki
道春 鈴木
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Abstract

【課題】補修材がコンクリート面に付着しても、補修材の液状成分によりコンクリート面に染みが生じるのを有効に抑制できるコンクリート用マスキング剤を提供する。【解決手段】コンクリート壁10の壁面11に塗着するコンクリート用マスキング剤であって、壁面11を有する表層部12に塗着および含浸したとき改質層13を形成する酸を含有し、そこに壁面11を補修するための補修材15が付着した場合に、その補修材15の改質層13への浸透を抑制して、コンクリート面における濡れ色の染みの発生を抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート用マスキング剤および壁面補修方法に関し、特にコンクリート面に塗着されるコンクリート用マスキング剤およびそれを用いる壁面補修方法に関する。
コンクリート面(モルタル面も含む)のひび割れ等を補修する場合、蓋材を施工した補修箇所の内方に接着樹脂やシール材やモルタル樹脂といった補修材組成物を注入し、ひび割れ等の生じたコンクリートに一体化させることで、コンクリートの耐力を復元させる作業が一般に行われている。
そのような補修作業手法では、補修材組成物が補修箇所近傍のコンクリート面に染み出して美観が損なわれるのを抑制することが望ましい。
そこで、従来、亀裂補修箇所のコンクリート面上に蓋材および注入治具固定用の座金を接着配置し、その座金により固定された注入治具から接着剤である補修材組成物を注入して亀裂を補修するという補修作業に先立って、座金用速硬化型接着剤の液状成分等がコンクリート下地の表面に浸透して染みとして残らないよう、前述の蓋材および座金を接着固定する前の補修箇所にデンプン系水溶性高分子組成物を塗布して下地処理するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4044346号公報
しかしながら、従来のコンクリート用マスキング剤および壁面補修方法にあっては、ひび割れ等の補修作業中に補修材が注入口近傍のコンクリート面に付着してしまうことがあり、その場合、補修材がコンクリート面に浸透し、その浸透部分のコンクリート面が濡れ色の染みになってしまうという問題が生じていた。
また、そのコンクリート面の染みは、溶剤で洗浄しても容易に消すことができず、コンクリート面の美観を損ねてしまうという問題があった。
本発明は、上述のような従来の課題を解決すべくなされたものであり、補修材がコンクリート面に付着しても、補修材によりコンクリート面に濡れ色の染みが生じるのを有効に抑制することができるようにすることを目的とする。
本願の発明者は、コンクリート面に塗着することでその近傍の表層部を緻密化し得るようなマスキング剤を提供することで、補修材がコンクリート面に付着しても表層部に浸透するのを抑制することができるとの着想から、本発明に到達した。
すなわち、本発明に係るコンクリート用マスキング剤は、上記目的達成のため、コンクリート面に塗着するコンクリート用マスキング剤であって、前記コンクリート面を有する表層部に塗着および含浸したとき改質層を形成する酸を含有し、該改質層に前記コンクリート面を補修するための補修材が付着した場合に、該補修材の前記改質層への浸透を抑制することを特徴とするものである。
コンクリート面における補修剤に起因する濡れ色の染みの発生が有効に抑制されるメカニズムとしては、コンクリート面にマスキング剤が塗着してその多孔の表層部に含浸すると、その含浸領域の表層部に緻密化された改質層が形成されることにより、補修材が改質層内に浸透することが抑制されるためと推測される。
本発明のコンクリート用マスキング剤は、質量%濃度が10%ないし70%の酸を含有する構成とすることができ、好ましくは、溶質の濃度が20%ないし70%であり、更に好ましくは、40%ないし70%である。ちなみに、溶質の割合上限値を70%としたのは、夏場での最高飽和濃度を想定したものであり、30℃の水に対するクエン酸の飽和濃度は67.7%である。前記酸は、カルシウム成分を分離するキレート効果を有する酸であることが好ましく、さらに好ましくは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸のうちいずれかであるものとする。
また、本発明においては、前記補修材は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を主成分とする接着剤である構成が好ましいが、補修材は、特にこれらの樹脂に限定されるものではなく、エポキシエマルション、変性アクリル樹脂、アクリルエマルション、アクリル酸エステル過酸化物、モルタル樹脂、ポリマーセメント、亜硝酸リチウム含有モルタル、ケイ酸ナトリウム系リチウム、水ガラス、シリカゾル、高炉スラグ系懸濁液、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン系シール材、シリコーン系シール材、変性シリコーン系シール材などであってもよい。
一方、本発明に係る壁面補修方法は、主として樹脂系接着剤により構成され、コンクリート面を有するコンクリート壁の補修対象部位に補修材を注入して前記コンクリート面を補修する壁面補修方法であって、前記コンクリート壁の前記補修対象部位に前記補修材を注入するのに先立って、前記コンクリート面を有する表層部に含浸させるよう前記コンクリート面の特定領域にコンクリート用マスキング剤を塗着させて改質層を形成しておき、前記改質層が形成された前記コンクリート面の特定領域に前記補修材が付着した場合に、該補修材の前記改質層への浸透を抑制することを特徴とするものである。
本発明の壁面補修方法でコンクリート面における濡れ色の染みの発生が有効に抑制されるメカニズムとしては、マスキング剤をコンクリート面に塗着させてその表層部の含浸領域に含浸させると、その表層部に緻密化された改質層が形成されることにより、その改質層に壁面補修用の補修材が付着したとしても、補修材が改質層内に浸透することが抑制されるためと推測される。
本発明の壁面補修方法においては、前記改質層が形成された前記コンクリート面の特定領域に前記補修材が付着した場合に、該付着した時点から30分ないし24時間の間に、前記補修材を前記コンクリート面の特定領域から拭き取り除去するようにしてもよい。ちなみに、該付着した時間から30分ないし24時間と想定したのは、補修材の可使時間(通常、基剤と硬化剤の混練後における充填作業可能な時間範囲)は、30分から24時間のものが多いからである。
本発明によれば、補修材がコンクリート面に付着しても、補修材によりコンクリート面に染みが生じるのを有効に抑制することができるコンクリート用マスキング剤および壁面補修方法を提供することができる。
(a)は本発明の一実施形態に係るコンクリート用マスキング剤をコンクリート壁の表層部に塗布するマスキング工程の説明図であり、(b)はコンクリート用マスキング剤の含浸領域上に蓋材および注入口形成用の速硬化型接着剤を配置した注入準備工程の説明図である。 図1(b)の矢印II方向の矢視図である。 (a)は、図2のIII−III矢視断面図で、本発明の一実施形態に係るコンクリート用マスキング剤をコンクリート壁の表層部に含浸させ、その含浸領域上に蓋材および注入口形成用の速硬化型接着剤を配置した状態を示しており、(b)は、速硬化型接着剤の上部から補修材の注入治具を配置した状態の説明図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート用マスキング剤および壁面補修方法の複数の実施例の評価結果を複数の比較例のそれと比較して示す表である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図3は、本発明の一実施形態に係るコンクリート用マスキング剤および一実施形態に係る壁面補修方法の概略手順を示している。
まず、構成について説明する。
図1(a)および図2に示すように、本実施形態のコンクリート用マスキング剤Lpは、コンクリート壁10の壁面11(コンクリート面)の補修用のプライマー(一部領域のみのプライマーであってもよい)としても使用可能な、壁面11に刷毛Bでの刷毛塗り等により塗布(塗着;吹き付け、ローラ、ヘラ等による塗着でもよい)される液剤であり、コンクリート壁10の壁面11を有する多孔質の表層部12内に含浸され得る所定粘度を有している。なお、以下の説明においてはコンクリート用マスキング剤Lpを単にマスキング剤Lpという。
ここにいうコンクリート壁10の壁面11の補修とは、例えば壁面11のひび割れC(補修対象箇所;欠損部でもよい)内に壁面補修用の補修材15を充填することで、ひび割れCを埋め戻すとともに壁面11を修復するものであり、その補修材15は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を主成分とする粘稠性を有する接着剤やそれを含む樹脂モルタルなどの態様を有している。ここでのコンクリート壁10は、図中左右方向に広がる壁面11を有するが、鉛直方向の壁面11であってもよいことは勿論である。
マスキング剤Lpは、質量%濃度が10%ないし70%の酸、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等といった有機酸を含有する溶液の形態を有しており、その溶媒は、乾燥性を高めるために水とアルコールの混合溶媒となっている。アルコール類としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコールなどの一般的なアルコール類および変性アルコール類を1つもしくは複数用いてもよい。
このマスキング剤Lpの酸濃度は、マスキング剤Lpがコンクリート壁10の表層部12内に含浸されたとき、その含浸領域Zi(図2参照)内に非含浸領域Zdよりも緻密化させた改質層13を形成し得る範囲内で、酸の種類、酸の濃度、水と1つもしくは複数のアルコール混合比、補修材の種類およびプライマーとしてのマスキング剤Lpの乾燥時間等に応じて、好適な濃度値に設定されている。
マスキング剤Lpの乾燥時間は、例えば30分以上かつ24時間以下となる所定時間であるが、24時間以上の所定時間であってもよい。
この場合、コンクリート壁10の表層部12内の多数の細孔にマスキング剤Lpに含まれていた水分等が残存している状態下で、あるいは、乾燥途中(水分の残存量が低下した状態下)で、図2、図3(a)および図3(b)に示すように、壁面補修用の補修材15をひび割れ内や欠損部内に注入する際に蓋材となる蓋状シール材21(シールテープでもよい)および注入口設定のための速硬化性接着剤22が、コンクリート壁10の壁面11上にそのひび割れCに沿って接着される。
よって、コンクリート壁10の壁面11に対する蓋状シール材21および速硬化性接着剤22の接着速度が、その接着時におけるマスキング剤Lpの乾燥度合いおよびその接着後の乾燥時間に応じて適度に調整されることとなる。
また、多数の細孔を有する多孔質の表層部12の含浸領域Zi(図2参照)内に含浸したマスキング剤Lpが乾燥する乾燥時間中、表層部12の含浸領域Ziにおいては多孔質の表層部12の多数の細孔が閉塞される傾向で、その含浸領域Ziが所定酸濃度のマスキング剤Lpにより非含浸領域Zdよりも緻密化した改質層13に浅く改質される。また、細孔内に入ったマスキング剤Lpは、中和され、乾燥時間の経過に伴ってその残存量が徐々に減少する。
この乾燥時間中において、多孔質の表層部12の多数の細孔内に滲入したマスキング剤Lpおよびそれにより緻密化された改質層13は、補修材15が表層部12内に滲み込むのを抑制する機能を発揮し得る。
したがって、表層部12の含浸領域Ziの一部に補修材15を誤って付着させてしまった場合でも、その補修材15の改質層13への浸透を抑制して、コンクリート壁10の壁面11における濡れ色の染みの発生が抑制されることになる。
次に、上述のようなマスキング剤Lpを用いる本発明の壁面補修方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の壁面補修方法は、補修材15が主として樹脂系接着剤により構成され、壁面11を有するコンクリート壁10の補修対象部位14に補修材15を注入してコンクリート壁10の壁面11を補修するものである。
本実施形態の壁面補修方法においては、コンクリート壁10の補修対象部位14に補修材15を注入するのに先立って、図1(a)に示すように、コンクリート壁10の壁面11を有する表層部12に含浸させるよう、その含浸領域Zi(コンクリート面の特定領域)にマスキング剤Lpを塗着させて、その含浸領域Ziに他領域である非含浸領域Zdより緻密化された改質層13を形成しておく。
次いで、図1(b)、図2および図3(a)に示すように、コンクリート壁10のひび割れCに沿って、蓋状シール材21および速硬化性接着剤22を、コンクリート壁10の壁面11上にそのひび割れCに沿って接着する。
次いで、図3(b)に示すように、速硬化性接着剤22の上部に補修材の注入治具23を配置し、壁面11のひび割れC内に壁面補修用の補修材15を充填して、ひび割れC内を埋め戻すとともに壁面11を修復する。
そして、その壁面補修作業中に改質層13が形成されたコンクリート壁10の壁面11の特定領域に未硬化の補修材15が付着した場合に、その補修材15の改質層13への浸透を抑制して、コンクリート壁10の壁面11における濡れ色の染みの発生を抑制する。
また、マスキング剤Lpは、補修作業完了後、水洗い等で容易に洗浄、除去ができるため、コンクリート壁面11を汚染することもない。
本実施形態の壁面補修方法においては、速硬化性接着剤22と注入治具23を用いて、毛細管現象を利用して低圧・低速で補修材15を注入するが、補修材15は、例えば、グリースポンプ、足踏み注入器、電動注入器などの別の注入方式を用いて高圧で注入してもよいし、シーリングガンで充填してもよいし、刷毛、ヘラで直接塗布してもよい。
次に、本実施形態の壁面補修方法およびそれに用いる前述の一実施形態のコンクリート用マスキング剤についての作用を説明する。
本実施形態の壁面補修方法では、マスキング剤Lpをコンクリート壁10の壁面11に塗布してその表層部12の含浸領域Ziに含浸させると、コンクリート壁10の壁面11および表層部12の多数の細孔内で所定酸濃度のマスキング剤が反応し、エポキシ系の補修材15の浸透を抑制可能に緻密化された表層である改質層13が形成される。
そして、改質層13が形成された壁面11の特定領域に補修材15が付着した場合に、その付着した時点から30分ないし24時間の間に、補修材15をコンクリート壁10の壁面11の特定領域から拭き取り除去すれば、コンクリート壁10の壁面11における濡れ色の染みの発生をより有効に抑制できることとなる。
上述のように構成された本実施形態では、マスキング剤Lpの塗布による含浸領域Ziに非含浸領域Zdよりも緻密化された改質層13を形成することができるので、その改質層13上に誤って補修材15が落下したり速硬化性接着剤22を剥いだ注入出口等から溢れ出したりしても、その補修材15が改質層13内に浸透することが有効に抑制されることで、コンクリート壁10の壁面11における濡れ色の染みの発生が有効に抑制される。
また、本実施形態のマスキング剤Lpは、質量%濃度が10%ないし70%の酸、例えばそれぞれキレート効果を有する有機酸であるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸のいずれかを含有するので、適度な酸性のマスキング剤Lpを表層部12の多数の細孔内に含浸させることで、キレート作用によりコンクリート中のカルシウム成分と結合させ、緻密化した改質層13に改質することができ、補修材15の主成分たる高粘性のエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤に加えて、接着剤に添加される添加剤、液状成分、稀釈溶剤などの低分子量成分が表層部12内に滲み込むのを有効に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、補修材15がエポキシ樹脂またはアクリル樹脂を主成分とする接着剤であるので、信頼性および間隙充填性の高い補修材15を用いることとなり、安定した壁面補修が可能となる。
(実施例1−5および比較例1−6)
図4は、本実施形態のマスキング剤Lpに含有される酸の種類、酸の濃度(%)、溶媒の組成、プライマー乾燥時間(分)および補修材15の種類が互いに異なる実施例1−5と、マスキング剤Lpの塗布がないか酸を用いない比較例1−6とを表形式で比較して示している。
各実施例においては、マスキング剤Lpをコンクリート壁10の壁面11に塗布し、含浸させて、30分乾燥させた後に、補修材15を含浸領域Zi の特定領域内に滴下し、補修材滴下後30分経過した後、その補修材15を払拭した上で、補修材15の液状成分の浸透による濡れ色の染みの発生を目視で評価した。
各例におけるマスキング剤の塗着方法は、刷毛Bでの刷毛塗りによる塗布(マスキング剤塗布量60g/m 以上)であり、補修材の払拭方法はトルエン洗浄およびその後の水洗浄による。
各実施例においては、補修材15として、エポキシ樹脂には、コニシ株式会社の商品名「E206S」粘度560mmPa・s(23℃)、可使時間30分±10分(30℃)を使用し、アクリル樹脂には、DENKA株式会社の商品名「DK550−04」粘度4000Pa.s(25℃)、可使時間30分(25℃)を使用した。
また、図4に示す各例の試験結果については、濡れ色の染みがほぼ無いものを◎で、濡れ色が薄くなったものを○で、濡れ色の染みが残ったものを×で、樹脂が除去できなかったものを××で、それぞれ示している。
(実施例1)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類をクエン酸、その酸濃度を20(%)、溶媒の組成を水50:ETOH(ethyl alcohol;エタノール)50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする実施例1について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、マスキング剤不使用の場合(比較例1)と比較し、濡れ色の染みが薄くなっていた。
(実施例2)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類をクエン酸、その酸濃度を40(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする実施例2について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みがほぼ見られなかった。
(実施例3)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類を酒石酸、その酸濃度を20(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする実施例3について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、マスキング剤不使用の場合(比較例1)と比較し、濡れ色の染みが薄くなっていた。
(実施例4)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類をリンゴ酸、その酸濃度を20(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする実施例4について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、マスキング剤不使用の場合(比較例1)と比較し、濡れ色の染みが薄くなっていた。
(実施例5)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類をクエン酸、その酸濃度を20(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をアクリル系接着剤とする実施例5について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、マスキング剤不使用の場合(比較例6)と比較し、樹脂を除去することが可能であり、濡れ色の染みが薄くなっていた。
(比較例1)
マスキング無しで、補修材15をエポキシ系接着剤とする比較例1について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みが残っていた。
(比較例2)
マスキング無しで、水洗浄するとともに、水の乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする比較例2について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みが見られた。
(比較例3)
マスキング剤Lpに重曹を含有させ、そのアルカリ濃度を5(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする比較例3について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みが見られた。
(比較例4)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類をクエン酸、その酸濃度を3(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする比較例4について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みが見られた。
(比較例5)
マスキング剤Lpに含有される酸の種類を塩酸、その酸濃度を3(%)、溶媒の組成を水50:ETOH50、プライマー乾燥時間を30(分)とし、補修材15をエポキシ系接着剤とする比較例5について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11の特定領域内に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、濡れ色の染みが見られた。
(比較例6)
マスキング無しで、補修材15をアクリル系接着剤とする比較例6について、補修材15を試験対象のコンクリート壁10の壁面11に滴下してから30分経過後に払拭して、その表面状態を観察したところ、補修材がコンクリート壁面11に完全に接着し、除去ができなかった。
図4に示した実施例1−5の評価結果から明らかなように、濡れ色の染みの発生を有効に抑制できない比較例1−6に対し、本発明の各実施例では、コンクリ−ト壁10の壁面11における濡れ色の染みの発生を有効に抑制可能なコンクリート用マスキング剤を提供でき、濡れ色の染みの発生を有効に抑制可能でかつ安定した壁面補修が可能な壁面補修方法を実現できる。
また、各実施例1−5に示すように、マスキング剤Lpに用いる酸の種類は、有機酸であることが好ましく、有機酸の中でもクエン酸のようにキレート効果を有する有機酸であることが好ましい。その酸の種類に応じて酸濃度や乾燥時間、溶媒の組成を適宜設定できることはいうまでもないが、酸濃度は10%以上ないし70%であることが好ましい。
補修材15がコンクリート壁10の壁面11に付着し得る作業からその補修材15を払拭するまでの乾燥時間は、上述の実施形態では30分ないし24時間の間の所定時間としたが、その範囲から外れる乾燥時間を設定できることも勿論である。
さらに、補修材15としては、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を主成分とする接着剤としたが、本発明における補修材は、特にこれらの樹脂に限定されるものではない。
前述の実施形態では、含浸領域Ziがひび割れCに沿う略一定幅のものとして図示したが、注入口設定のための速硬化性接着剤22の近傍領域のみでもよいし、図2に示すより十分に幅広い領域としてもよいことはいうまでもない。
以上説明したように、本発明は、補修材がコンクリート面に付着しても、補修材の液状成分によりコンクリート面に濡れ色の染みが生じるのを有効に抑制することができるコンクリート用マスキング剤および壁面補修方法を提供できるものである。かかる本発明は、コンクリート面に塗着するコンクリート用マスキング剤およびそれを用いる壁面補修方法全般に有用である。
10 コンクリート壁
11 壁面(コンクリート面、表面)
12 表層部
13 改質層
14 補修対象部位
15 補修材
21 蓋状シール材
22 速硬化型接着剤
23 注入治具
B 刷毛
C ひび割れ(補修対象部位)
Lp マスキング剤(コンクリート用マスキング剤)
Zd 非含浸領域
Zi 含浸領域

Claims (7)

  1. コンクリート面に塗着するコンクリート用マスキング剤であって、
    前記コンクリート面を有する表層部に塗着および含浸したとき改質層を形成する酸を含有し、該改質層に前記コンクリート面を補修するための補修材が付着した場合に、該補修材の前記改質層への浸透を抑制することを特徴とするコンクリート用マスキング剤。
  2. 質量%濃度が10%ないし70%の有機酸を含有することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用マスキング剤。
  3. 前記有機酸がキレート効果を有することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用マスキング剤。
  4. 前記有機酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸のうちいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート用マスキング剤。
  5. 前記補修材は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を主成分とする接着剤であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコンクリート用マスキング剤。
  6. 主として樹脂系接着剤により構成され、コンクリート面を有するコンクリート壁の補修対象部位に補修材を注入して前記コンクリート面を補修する壁面補修方法であって、
    前記コンクリート壁の前記補修対象部位に前記補修材を注入するのに先立って、
    前記コンクリート面を有する表層部に含浸させるよう前記コンクリート面の特定領域にコンクリート用マスキング剤を塗着させて改質層を形成しておき、
    前記改質層が形成された前記コンクリート面の特定領域に前記補修材が付着した場合に、該補修材の前記改質層への浸透を抑制することを特徴とする壁面補修方法。
  7. 前記改質層が形成された前記コンクリート面の特定領域に前記補修材が付着した場合に、該付着した時点から30分ないし24時間の間に、前記補修材を前記コンクリート面の特定領域から拭き取り除去することを特徴とする請求項6に記載の壁面補修方法。
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