JP7311215B1 - コンクリート補修材、及び、コンクリートの補修方法 - Google Patents

コンクリート補修材、及び、コンクリートの補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中性化が進行したコンクリートに対してもより効果のあるコンクリート補修方法を提供する。【解決手段】劣化過程が潜伏期までにあるコンクリート、及び、劣化過程が潜伏期以降のコンクリートに対して行うことが可能なコンクリートの補修方法であって、コンクリート表面が表面乾燥状態であるときに、水溶液中におけるけい酸リチウムが13~17質量%であり且つ水酸化ナトリウムが1.5~2.5質量%であるコンクリート補修材を塗布し乾燥させてコンクリート補修面を形成させ、コンクリート補修面の透水量試験において抑制率が65.3~74.8%となる。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、既設又は新設のコンクリートのためコンクリート補修材、及び、コンクリートの補修方法に関する。
後掲の特許文献1(請求項1など)には、ポリマーセメントモルタル表面にアルカリ金属ケイ酸塩及びカルボン酸を含有する水溶液からなる表面保護剤を塗布するコンクリートの補修方法に係る発明が開示されている。
特許第4664949号公報
特許文献1には、中性化が進行したコンクリートに対しての効果の有無は明らかにされていない。
本発明は、中性化が進行したコンクリートに対してもより効果のあるコンクリート補修材、及び、コンクリートの補修方法を提供することを目的とする。
本発明によるコンクリートの補修方法は、
水溶液中におけるけい酸リチウムが13~17重量%であり且つ水酸化ナトリウムが1.5~2.5重量%であり、コンクリートへの塗布後に難溶性固化物となり前記コンクリートを緻密化する固化型けい酸塩系表面含浸材であるコンクリート補修材を用い、
前記コンクリートの表面に前記コンクリート補修材を少なくとも1回塗布する第1工程と、
前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートの表面に、前記コンクリート補修材とは異なる材料の被覆材により被覆層を形成する第2工程と、を備え、
前記被覆材は、前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートに付着しており、
前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートと、前記コンクリートに付着した前記被覆材との接着強さの平均値が、1.1N/mm 以上3.4N/mm 以下である。
本発明によれば、中性化が進行したコンクリートに対してもより効果のあるコンクリート補修材、及び、コンクリートの補修方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る補修材によるコンクリート補修のメカニズムを模式的に示す説明図である。 実施形態に係る補修材の各種接着剤との付着性についての試験結果を示す図表である。 図2に続く試験結果を示す図表である。 実施形態の補修材に係る動的摩擦係数の測定結果を比較例とともに示す図表である。 実施形態の補修材に係る透水性試験の結果を比較例とともに示す図表である。
コンクリートは本来、非常に耐久性が高い。このため、従来より、耐用年数は50年~100年と云われて来た。しかし、近年は、コンクリートの劣化が予想以上に早い事が判明している。
特に、凍結融解や塩害等によるコンクリートの劣化及び複合劣化が原因となり、想定耐用年数まで持たない構造物が出現している。また、構造物からのコンクリート片剥離による二次災害の発生が懸念される事態となっている。これらのことから、劣化要因を究明することや、新設又は既設のコンクリートを改質するための様々な対策を講じることが行われている。
具体的には、新設コンクリートを構成するセメントの組成変更や単位水量の低減が行われている。さらに、骨材の成分指定、既設コンクリートについては、劣化表面をポリマーセメントで被覆する工法、けい酸(珪酸)質系防水剤配合モルタルで被覆する工法、及び、有機系樹脂やセメント系材料による注入・浸透・被膜塗装工法などが行われている。
これらの対策はいずれも有効であるが、中性化が進行したコンクリートへの対応に関しては、十分でない場合がある。発明者等は、中性化がある程度進行したコンクリートについても良好な効果が得られるコンクリート改質工法について検討した。以下に、本発明の実施形態に係るコンクリート改質工法(母材コンクリート改質工法、補修方法、補修工法)や、これに用いられるコンクリート補修材について説明する。
<OSMO-KK(商品名)を用いた母材コンクリート補修工法(改質工法)について>
<<概要>>
(1)本実施形態に係るコンクリートの補修材は、水溶液(シリケート(けい酸塩)水溶液)中におけるけい酸リチウムが13~17重量%であり且つ水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が1.5~2.5重量%である。
(2)本実施形態に係るコンクリートの補修方法は、劣化過程が潜伏期までにあるコンクリート、及び、劣化過程が潜伏期以降のコンクリートに対して行うことが可能なコンクリートの補修方法であって、
コンクリート表面が表面乾燥状態であるときに上記(1)の前記コンクリート補修材を塗布し乾燥させてコンクリート補修面を形成させ、
前記コンクリート補修面の透水量試験において抑制率が65.3~74.8%となる。
(3)上記(2)のコンクリートの補修方法において、前記コンクリート補修面の表層部に上記(1)のコンクリート補修材の一次塗布を行い、乾燥させて保護層を形成させる。
(4)上記(3)のコンクリートの補修方法において、前記コンクリート補強面の表層部に上記(1)のコンクリート補修材の二次塗布を行い、乾燥させて保護層を形成させる。
(5)本実施形態に係るコンクリートの補修方法は、上記(1)に記載のコンクリート補修材が用いられたコンクリートと、コンクリートに付着した被覆材との接着強さの平均値が、1.1N/mm以上3.4N/mm以下である。
(6)本実施形態に係るコンクリートの補修方法は、上記(1)に記載のコンクリート補修材を用いた場合における動的摩擦係数の平均値の低下が8.4%以内である。
実施形態に係るコンクリート補修工法(補修方法、改質工法)は、固化型けい酸リチウム系表面含浸材を用いたコンクリート下地の改質と表面被覆材との併用によるコンクリートの補修工法(改質工法)である。
OSMO-KK(コンクリート補修材(改質材)の商品名、以下略)は、本実施形態に係るコンクリート補修材である。OSMO-KKは、発明者等が開発した固化型けい酸リチウム系表面含浸材の名称である。OSMO-KKは、リチウムシリケート(Li4SiO4)水溶液にアルカリ金属塩(けい酸ナトリウム、けい酸カリウムなど)を溶かす独自の方法により製造される。OSMO-KKの好適な組成については後述する。OSMO-KKの名称は、他の名称に変更することも可能である。
<<OSMO-KKを用いたコンクリート補修工法の各工程>>
OSMO-KKを用いたコンクリート補修工法(補修方法)の一例を説明する。本実施形態に係るコンクリート補修工法は、第1工程と第2工程に分けることができる。第1工程では、中性化がある程度進んだコンクリートの表層にOSMO-KKが塗布される。第2工程では、OSMO-KKが塗布されたコンクリート表面に対する保護が行われる。
具体的には、第1工程において、母材コンクリート(下地コンクリート)に、固化型けい酸塩系表面含浸材(OSMO-KK)が塗布される。表面含浸材の塗布により、コンクリート表層部が緻密化される。コンクリート表層部を緻密化することにより、水、塩化物イオン、二酸化炭素などの劣化要因の侵入が抑制される。
続く第2工程において、前述のように、コンクリートの表面(コンクリート表面)の保護が行われる。コンクリート表面の保護に際しては、一般的な種々の工法を採用できる。一般的な工法としては、例えば、ポリマーセメントモルタル(以下「PCM」と称する)の施工、塗装材の塗布、被覆材の塗布、及び、剥落防止シートの施工などがある。これらのうちのいずれか1つ、又は、これらの複数の組み合わせを採用することが可能である。これらはいずれも、コンクリート補修面の表層(表層部)に被覆層を形成するものである。
例えば、PCMの施工を行う場合は、施工されたPCMの上から、さらに含浸材を塗布する、及び/または、塗装剤を塗布する、等を行って被覆層を形成することも可能である。塗装剤を塗布した場合には、PCMの上に塗膜が形成される。
<<コンクリート補修のメカニズム>>
コンクリートの改修(コンクリートの改質、補修)の対象には、新設されたコンクリート構造物のほか、供用後多くの年数が経過した既設のコンクリート構造物が含まれる。供用後多くの年数が経過したコンクリート構造物は、二酸化炭素に長期に亘り晒されている。このため、中性化が進行しているのが通常である。
けい酸塩系表面含浸材には、反応型や固化型がある。より一般的なのは反応型である。反応型のけい酸塩系表面含浸材を用いた工法は、水酸化カルシウムと薬剤との化学反応により、CSH(C-S-H、けい酸カルシウム水和物)ゲルという生成物を生成し、コンクリート表層部を緻密化する。しかし、中性化が進行したコンクリートでは、水酸化カルシウムが、二酸化炭素により炭酸カルシウムに変化しているので、反応型の薬剤との化学反応が発生し難い。
本実施形態のコンクリート補修工法では、OSMO-KKが用いられる。OSMO-KKは、前述したように、リチウムシリケートにアルカリ金属塩を溶かして製造された固化型けい酸塩系表面含浸材である。
OSMO-KKであっても、薬剤と水酸化カルシウムの化学反応により、CSHゲルが多少は生成される。しかし、固化型けい酸塩系表面含浸材を用いた場合の主たる改質メカニズムは、薬剤そのもの乾燥により生成される難溶性固化物を利用したコンクリートの緻密化である。このため、改質の効果が、水酸化カルシウムの有無に依存しない。
さらに、本実施形態で用いられるOSMO-KKは、リチウムシリケートやアルカリ金属塩等の働きにより、図1に模式的に示すように、中性化が進行したコンクリートに対しても緻密化が可能である。
図1の左側には、骨材を含むセメントぺーストに、クラックが生じている状態が示されている。このようなコンクリート母材10の中性化した層(表層部)に対して、OSMO-KKを含浸させることにより、図1の右側に示すように、クラック中に難溶性生成物が形成され、コンクリート母材10が改修される。したがって、本実施形態のコンクリート改質工法によれば、中性化が進行したコンクリートに対しても、良好に改質効果が発揮される。
OSMO-KKは、コンクリート表層部の微小空隙や、微細ひび割れ(微細クラック)から、コンクリート内部に浸透する。より具体的には、OSMO-KKは、含浸の初期段階で主成分の一部が水酸化カルシウムと反応した後、残りの主成分が乾燥にともなって難溶性の固化物となり、空隙を充てんする。
コンクリートの中性化が進行し、コンクリートの表層部の水酸化カルシウムが消失している状況でも、薬剤自体の乾燥により固化が進行する。そして、OSMO-KKによれば、難溶性の生成物がコンクリートの空隙を充てんし、コンクリートの表層を緻密化する。発明等による、中性化を促進させた供試体での透水試験の結果、約71%の透水抑制効果(抑制率)が確認されている。より具体的には、3回の透水試験において65.3%、73.6%、74.8%の試験結果が得られ、平均値は71.2%となった。乾燥固形成分量は、施工面積1mあたり58gであった。
OSMO-KKを単独で使用できる範囲(期間)は、潜伏期までとすることが望ましい。「潜伏期」は、外観上の変状が見られず、劣化過程において、鋼材のかぶり位置における塩化物イオン濃度が腐食発生限界濃度(1.2kg/m)に達するまでの期間である。当該期間においては、鉄筋が腐食していない状態にある。それ以上劣化が進行している場合は塩化物イオンの除去や断面修復等を行うことが望ましい。このようにすることで、劣化過程が潜伏期以降のコンクリートについても、より確実に、OSMO-KKを用いた補修が可能となる。
また、OSMO-KKを使用する際には、乾燥状態で原液を2回(計300g/m=150g/m×2)以上塗布することが望ましい(一次塗布による保護層の形成の後、二次塗布による保護層の形成を行うことが望ましい)。乾燥状態は、目視状況で、濡れ色が残っていない状態である。また、指触状況で、指は水で濡れない状態(含水率5%以下)である。
本実施形態において、OSMO-KKの成分は、けい酸リチウム、苛性ソーダ、苛性カリ、及び、水である。各成分の割合(OSMO-KKの組成)は、けい酸リチウムが15重量%、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が2重量%、苛性カリ(水酸化カリウム)が1重量%、及び、水が83重量%である。
OSMO-KKの組成に関しては、上述の例に限定されず、例えば、けい酸リチウムを13~17重量%、苛性ソーダを1.5~2.5重量%、苛性カリを0.5~1.5重量%、残りを水とすることが可能である。
さらに好ましくは、けい酸リチウムを14~16重量%、苛性ソーダを1.75~2.25重量%、苛性カリを0.75~1.25重量%、残りを水とすることが可能である。
けい酸リチウムの割合を多くすると、固化型けい酸塩系表面含浸材がコンクリートに対して、含浸し難くなる。例えば、薬剤を濃くすると、粘度が上がり含浸し難くなる。含浸せずにコンクリート表面に残った薬剤はたれ落ちる。そうすると、コンクリート内部に供給出来る薬剤の量が減る。たれ落ちなかった薬剤はコンクリート表面でガラス質の膜を生成し、接着剤の付着を阻害したり、コンクリート表面を白化させたりする。しかし、上述のように組成を適切に設定することにより、コンクリートの微小空隙や、微細ひび割れ(微細クラック)に、適度に含浸し易い粘度の、固化型けい酸塩系表面含浸材が得られる。
このように、固化型けい酸塩系表面含浸材であっても、適度に良好な含浸性(含浸の容易さ)が得られている理由の一つとして、OSMO-KKが、リチウムシリケートにアルカリ金属塩を溶かして製造されていることがあると考えられる。作用機序は、明確には判明していないが、発明者等は、アルカリ金属塩(けい酸ナトリウム、けい酸カリウムなど)が、含浸材に係る含浸性の向上に寄与したのではないかと考えている。
良好な含浸性が得られた結果、後掲の図2~5に示すように、接着強さ、動的摩擦係数等の試験において良好な試験結果が得られている。したがって、本実施形態に係るOSMO-KKによれば、中性化が進行したコンクリートについて、表層部の緻密化が可能となる。なお、本実施形態における含浸の深さは、例えば、コンクリートの表面から2~4ミリメートル程度(より好ましくは2.5~3.5ミリメートル、さらに好ましくは3ミリメートル程度)の部分である。
<実施形態に係るコンクリート補修工法のメリット>
以上説明したように、本実施形態のコンクリート補修工法によれば、OSMO-KKが固化型けい酸リチウム系表面含浸材として用いられる。OSMO-KKは、リチウムシリケートにアルカリ金属塩を溶かして製造される。したがって、コンクリートが中性化していても、良好な改質効果を発揮できる。例えば、前掲の特許文献1に開示されたようなタイプの工法では十分な改質効果が得られないような場合であっても、本実施形態のOSMO-KKによれば、十分な改質効果を発揮し得る。
また、本実施形態に係るコンクリートの改修方法によれば、コンクリート内部の改質が可能である。つまり、本実施形態に係るコンクリートの改修方法においては、表面に塗料が重ね塗りされるのではなく、コンクリート内部が、含浸材により保護される。
さらに、コンクリート表面を、保護材(PCM、塗装材、被覆材、又は、剥落防止シート等)で保護する工程(前述の第2工程)との組み合わせた場合には、コンクリートの内部と外部(表面)の両方を保護できる。
また、例えば、コンクリート表面に撥水性を有する物質を塗布した場合には、接着剤が付着し難くなり、他工法との組み合わせが難しくなる。しかし、本実施形態のコンクリート補修工法によれば、接着剤との付着を阻害する性質を付与せずに改質できるので、他工法との相性がよく、他工法との組み合わせが容易である。
つまり、一般に、表面含浸材には、シラン系とけい酸塩系の2種類がある。シラン系の方が一般的であるが、撥水材系の含浸材のため、接着剤との相性が悪い。しかし、本実施形態で用いられるOSMO-KKは、けい酸塩系の含浸材であるので、接着剤との相性が良く、他工法との組み合わせが容易である。
<接着強さの試験結果>
図2及び図3は、外部検査機関に依頼して得られた、接着強さの試験結果を示している。検査結果中に記載された「基板」は、OSMO-KKが含浸されていないコンクリート(ブランク)、又は、表層にOSMO-KKが含浸されたコンクリート(含浸材塗布試験体)である。図2及び図3において、「品名」の欄に記載されている社名や商品名は、実際の試験結果に記載されたものではなく、「A社」、「B社」、「CC-B仕様塗装材」、「アクリル系下地調整材(フィーラー)」、「エポキシ系下塗り材(シーラー)」、及び、「エポキシ樹脂系接着剤」のように、一般化した名称に変更して示されている。
図2及び図3の試験結果によれば、接着強さはいずれも1.0N/mmを超えている。けい酸リチウム系の含浸材を表面に含浸させた素材を引っ張り試験機により引っ張った場合、素材の表面にガラス質が形成されてしまい、引っ張り試験での測定ができないことが多い。
これに対して、図2及び図3の試験結果においては、接着強さが、例えば、3.55N/mm、2.60N/mm、3.13N/mm、3.56N/mm、3.23N/mm、3.28N/mm等のようになっており、いずれの結果においても1.0N/mmを超えている。より具体的には、複数回(ここでは3回)の接着強さの平均値は、1.1N/mm以上3.4N/mm以下である。実用上、接着強さは1.0N/mmでも十分である。したがって、OSMO-KKによれば、けい酸リチウム系の含浸材を用いても測定が可能であるうえ、十分な接着強さが確保される。
なお、図2及び図3の試験結果における接着強さは、OSMO-KKが用いられたコンクリートと、当該コンクリートに付着した被覆材(ここでは「CC-B仕様塗装材」、「アクリル系下地調整材(フィーラー)」、「エポキシ系下塗り材(シーラー)」、及び、「エポキシ樹脂系接着剤」など)との間の接着強さである。図2及び図3では、被覆材は「塗布材」として示されている。試験は、試験用の治具を被覆材(塗布材)に固定(接着)して、被覆材(塗布材)を引っ張り、「基板」や被覆材(塗布材)の状態を観察して行われている。
また、被覆材(塗布材)の一種である上述の「CC-B仕様塗装材」は、コンクリート躯体(基板)に対して順に積層された、例えば、エポキシ樹脂プライマー、エポキシ樹脂パテ、柔軟形エポキシ樹脂塗料中塗、柔軟型ふっ素樹脂塗料上塗の各層を有している。
また、「エポキシ樹脂系接着剤」は、主剤がエポキシ樹脂であり、硬化剤がポリチオールや脂肪族ポリアミンを含み、混合粘度(20℃)が5000±2000mPa・sであり、主剤:硬化剤の比率が4:1(重量比)であり、さらに、可使時間(20℃、1kg)が40±10分である。
<動的摩擦係数の試験結果>
また、OSMO-KKをコンクリートに含浸させても、コンクリートの動的摩擦係数はさほど変わらない。図4は、外部検査機関に依頼して得られた、動的摩擦係数の測定結果を、比較例とともに示している。図4の図表中の「含浸材1」、「含浸材2」は、OSMO-KKが含浸されたコンクリート版の測定結果を示している。図4の図表中の「無塗布1」、「無塗布2」は、OSMO-KKが含浸されていないコンクリート(比較例)の測定結果を示している。
また、図4は、測定時の各種の速度(20km/h、40km/h、60km/h)毎に、「含浸材1」、「含浸材2」、「無塗布1」、及び、「無塗布2」について、3回ずつの測定が行った結果と、3回の平均(「平均A」として示す)を示している。さらに、その右側には、「含浸材1」及び「含浸材2」の平均、「無塗布1」及び「無塗布2」の平均(これらの平均を「平均B」として示す)が示されている。さらに、その右側には、「含浸材1」及び「含浸材2」の平均と、「無塗布1」及び「無塗布2」の平均の「比」(含浸材/無塗布)が示されている。
速度20km/hにおける「比」の値は91.6%となっており、速度40km/hにおける「比」の値は93.6%となっている。また、速度60km/hにおける「比」の値は97.0%となっている。
このように、「比」(含浸材/無塗布)はいずれも91.6%を超えている。したがって、含浸材を塗布することによる動摩擦係数の低下を8.4(=100-91.6)%以内に抑えることができている。
<遮水性の試験結果>
また、OSMO-KKが含浸されたコンクリートでは、遮水性(透水抑制性)が向上する。透水性向上の理由としては、薬剤中で、けい酸リチウム、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、及び、苛性カリ(水酸化カリウム)の占める割合や、単位面積当たりの塗布量を挙げることができる。このような適切な組成や塗布量により、充分な量のけい酸リチウムをコンクリート表層部に供給できるようになった。
図5の図表は、外部機関による透水量試験結果を示している。図5の試験結果は、2種類のPCM(PCM1、PCM2)の上からけい酸塩系表面含浸材を塗布し、透水量試験を行ったものである。「原状試験体」はOSMO-KKを塗布していないPCM1、PCM2を示しており、「OSMO-KKあり」は、OSMO-KKを塗布したPCM1、PCM2を示している。
図5の試験結果によれば、OSMO-KKを塗布していないPCM1、PCM2の平均透水量は、それぞれ5.2%、16.49%であるのに対し、OSMO-KKを塗布したPCM1、PCM2の平均透水量は、それぞれ3.32%、7.48%となった。また、複数回(ここでは3回)の平均透水量の比率(OSMO-KKあり/原状試験体)である透水比は、PCM1については64%となり、PCM2については45%となった。そして、100-透水比(%)を抑制率とすれば、PCM1、PCM2の抑制率は、それぞれ、36%(=100%-64%)、55%(=100%-45%)となった。また、前述したように、図5の実験とは別に出願人が行ったコンクリート補修面の透水量試験では、抑制率は約71%となった。
原状試験体に比べて透水量が少ないほど抑制率は高くなる。図5の試験結果から、OSMO-KKは、セメント成分の少ないコンクリートへの適用に有効であると考えられる。セメント成分が少なくても有効ということは、中性化していて水酸化カルシウムが減少しているコンクリートに対しても有効であると考えられる。
なお、例えば、前掲の特許文献1に開示されたように、カルボン酸を含んだけい酸ナトリウム系含浸材や、これを用いた補修工法の場合には、カルボン酸を用いたけい酸ナトリウム系含浸材を用いることで、ポリマーセメントモルタルの薄塗補修を可能にしているものと考えられる。そして、このタイプの補修材や補修工法は、従来工法の補助を可能にしていると考えられる。
しかし、このタイプの補修材や補修工法に関しては、中性化が進行したコンクリートへの効果が確認されていない。また、このタイプの補修材は、粗度係数(水路の壁や底面の粗さを表す値)を変えるようなものではないと考えられる。
さらに、本実施形態に係るOSMO-KKは、コンクリートへのアルカリ付与を目的とするようなものではなく、コンクリートの補修を目的とするものである。
<その他>
なお、上述した各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 :コンクリート母材

Claims (1)

  1. 水溶液中におけるけい酸リチウムが13~17重量%であり且つ水酸化ナトリウムが1.5~2.5重量%であり、コンクリートへの塗布後に難溶性固化物となり前記コンクリートを緻密化する固化型けい酸塩系表面含浸材であるコンクリート補修材を用い、
    前記コンクリートの表面に前記コンクリート補修材を少なくとも1回塗布する第1工程と、
    前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートの表面に、前記コンクリート補修材とは異なる材料の被覆材により被覆層を形成する第2工程と、を備え、
    前記被覆材は、前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートに付着しており、
    前記コンクリート補修材が含浸された前記コンクリートと、前記コンクリートに付着した前記被覆材との接着強さの平均値が、1.1N/mm 以上3.4N/mm 以下である、コンクリートの補修方法。
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