JP2006348543A - 既存建物の補強構造および補強金具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 略L字形状に形成され、土台Dと柱Hとで形成される入隅部に直角に取り付けられる第一の接続金具20と、土台Dと柱Hとに斜めに取り付けられるように両端が折り曲げられ、一方の端部31が土台Dに、他方の端部31が柱Hに取り付けられ、中間部32が筋交Sに取り付けられる第二の接続金具30と、一方の端部41が直角に折り曲げられて第二の接続金具30と柱Hとの間の土台Dの上面に取り付けられ、残りの平面部42が土台D及び基礎Bに取り付けられる第三の接続金具40と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
例えば、特許文献1に記載されているように、1枚の金具で土台と柱と筋交との接合部位を外側の側面から覆って木ネジで取り付けて耐震のための補強構造としている。また、例えば、特許文献2に記載されているように、基礎と土台と柱とに外側の側面から略L字型の金具を取り付けることで、耐震のための補強構造としている。
このような、従来からの耐震のための補強構造は、新築で建てられる建物について適用されている。したがって、作業性の面からも建物の外側から耐震補強のための金具を取り付けるのが一般的となっている。
また、特許文献3に記載されているように、土台の上面と、土台の上面に直交する柱の側面とに取り付けられる金具には、基礎から土台を貫通しているアンカーボルトを挿入するボルト孔が設けられている。つまり、この金具は、アンカーボルトが決められた位置に一定に配置されていないと用いることができないので、アンカーボルトの位置が異なると、この金具を作り直さなければならず、経済性も施工性も悪くなるという問題があった。
また、既存建物の基礎に設けられるアンカーボルトの設置位置は、既存建物毎に異なる場合があり、新築の建物に用いる金具をそのまま用いることができない場合があった。
また、掃出しにおける柱と土台の接合部に、従来の補強金具を用いると、従来の補強金具の筋交との接合部が掃出しの下枠にぶつかってしまうため、別の補強金具を用意しなければならないという問題があった。
ここで、第二の接続金具は、中間部の平面に対して両端が直角に折り曲げられて形成されている。この第二の接続金具の一方の端部が柱の側面に取り付けられ、他方の端部が土台の上面に取り付けられるので、中間部が土台の上方に位置するようになる。そして、中間部に筋交を取り付ける。したがって、筋交の端部は、土台と柱とが接続する位置に当接されるので、その筋交の端部と土台の上面に取り付けられた第二の接続金具の端部との間が空くこととなる。
この空いた部分には、既に設けられているアンカーボルトが位置しており、このアンカーボルトをかわして第三の接続金具の端部を取り付けることができるようになっている。
したがって、アンカーボルトの位置にかかわらず、既存建物に耐震のための補強構造を施すことができる。
また、第三の接続金具が、土台の上面と、基礎の側面とに取り付けられるように略L字型に形成されており、建物の内側から、基礎と土台とに取り付けることができる。
ここで、取り付け具とは、木ネジやスクリューボルト、ケミカルアンカー等をいう。
また、略L字形状の補強部材を少なくとも1つ、土台の上面及び側面に取り付けられる部位、つまり、直角に折り曲げられた端部と、その端部側の平面部とに取り付けられるので、端部と平面部とで形成されている直角の状態を維持することができるようになっている。
このとき、前記第2の土台固着部の上部に載置された柱−筋交接続金具の底板部と土台の上面との間に隙間ができるときは、当該隙間にスペーサを介設するのが好ましい。これにより、筋交に加わる圧縮力を柱−筋交接続金具の底板部全体で土台に伝達することが可能になる。
次に、本発明を実施するための最良の一形態(以下「第1実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る既存建物の補強構造の一例を示す部分斜視図である。図2は、入隅部に本発明の第1実施形態に係る既存建物の補強構造を適用した一例を示す部分平面図である。図3は、入隅部に本発明の第1実施形態に係る既存建物の補強構造を適用した一例を示す部分側面図である。図4(a)は第一の接続金具の一例を示す斜視図であり、図4(b)は第三の接続金具の一例を示す斜視図である。図5は、第二の接続金具の一例を示す斜視図である。図6(a)は第一の接続金具に取り付け具を取り付けた状態の一例を示す部分斜視図であり、図6(b)は取り付け具の取り付け状態の一例を示す模式図である。
これら第一の接続金具20、第二の接続金具30、第三の接続金具40は、取り付け具Gによって、基礎B、土台D、柱H、筋交Sに取り付けられる。
また、第一の接続金具20、第二の接続金具30、第三の接続金具40は、建物の入隅部Eに取り付けられる。
この第一の接続金具20は、土台Dの幅及び柱Hの幅より狭い幅を有する所定長さの板部材を略L字形状に形成したものである。なお、この略L字形状の直角となる部分から両方の端部までの縁にリブ21を設けても良い。
このリブ21は、略三角形状となっており、L字形状の直角状態を維持する役割を果たす。
この印Nは、例えば、穴の周りを配色したり、記号や図形などのマークを施して設けられる。
この第二の接続金具30は、板状の中間部32と、この中間部32の両端が土台D及び柱Hに取り付けられるために、この中間部32の平面に対して直角となるように折り曲げられて形成された端部31,31と、中間部32を補強するリブ33A,33Bとから構成されている。
なお、中間部32は、後述する第三の接続金具40に接触しない程度まで、入隅部E側に拡幅しているのが好適である。
このようにすることにより、第三の接続金具40を土台Dの柱H寄りに設置可能にしつつ、拡幅された中間部32によって筋交の端部に近い部分を固定することができる。
この拡幅された部分(中間部32)がリブ33A,33Bによって補強されるようになっている。
また、中間部32には、筋交Sに取り付けられるための取り付け穴34Bが設けられている。
この第三の接続金具40は、平面部42の一方の端を平面部42の平面に対して直角に折り曲げた端部41と、この端部41と平面部42との外側の表面に取り付けられる略L字形状の補強部材43とから構成されている。
また、この補強部材43は、端部41の幅方向に少なくとも1つ設けられる。第1実施形態においては、幅方向に2つ並べて設けている。
なお、この既存建物KT(図1参照)に筋交Sが設けられていない場合について説明する。まず、既存建物KT(図1参照)の内側から基礎Bと土台Dと柱Hとを露出させる。
そして、所定の長さの間隔に、第三の接続金具40を既存建物KTの内側から、基礎Bと土台Dとに取り付ける。
また、既存建物の屋内から補強を行う場合は、入隅部に補強をすることとなるが、このような場合であっても、容易に入隅部に補強を施すことができる。
また、既存建物ごとにアンカーボルトの位置が異なっていても、容易に既存建物を補強することができる。
つぎに、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。図7は、本発明の第2実施形態に係る補強金具を示した斜視図である。図8は、本発明の第2実施形態に係る補強金具を示した平面図である。
柱−土台接続金具60は、図9(a)に示すように、主に、柱Hの側面Haに固着される第1の柱固着部61と、土台Dの上面Daに固着される第1の土台固着部62と、これら第1の柱固着部61の両側端と第1の土台固着部62の両側端とを連結する2つの補強部63と、から構成されている。柱−土台接続金具60は、図9(b)に示すように、一枚の板状部材を折り曲げて形成されている。
リブ部63aは、横F字形状を呈しており、第1の柱固着部61の下端部寄りの両側端から延出するとともに第1の土台固着部62の側端に沿う方向に直角に折り曲げられている。リブ部63aは、第1の土台固着部62に沿って折り曲げた状態で、リブ部63aの端部が第1の土台固着部62の端部と同じ位置になる長さに形成されている。
土台−基礎接続金具70は、土台Dと基礎Bとを連結する部材であり、図10に示すように、全体として逆L字形状を呈している。土台−基礎接続金具70は、基礎Bの側面Baに連結される基礎固着部71と、この基礎固着部71の上端から水平方向に延出し土台Dの上面Daに連結される第2の土台固着部72と、基礎固着部71と第2の土台固着部72とが連続するコーナー部に沿って取り付けられた補強部材73と、から構成されている。
なお、第2実施形態においては、補強部材73を用いてコーナー部の断面剛性を大きくしたが、これに限られるものではなく、例えば土台−基礎接続金具70自体の部材厚さを大きくしてもよい。
柱−筋交接続金具80は、図11(適宜図7参照)に示すように、柱Hの側面Haに固着される第2の柱固着部81と、筋交Sの側面Saに固着される筋交固着部82と、土台Dに固着された土台−基礎接続金具70の上部に載置される底板部83と、から構成されている。
筋交固着部82は、第2の柱固着部81同じく、略長方形状を呈する板状体であり、ねじを挿通させるための複数の取り付け穴P,P…を有している。
底板部83は、長方形状を呈する板状体であり、第2の柱固着部81と筋交固着部82の下端部に連続している。これにより、第2の柱固着部81と筋交固着部82とが、直角状態に保たれる。
このように、柱−筋交接続金具80は、柱−土台接続金具60と土台−基礎接続金具70とを入隅部Eに設置した後に取り付けることができる。そのため、筋交Sを後から取り付けて補強することが可能となる。
20 第一の接続金具
21 リブ
22A 取り付け穴
30 第二の接続金具
31 端部
32 中間部
33A,33B リブ
34A 取り付け穴
34B 取り付け穴
40 第三の接続金具
41 端部
42 平面部
43 補強部材
44A 取り付け穴
44B 取り付け穴
44C 取り付け穴
50 補強金具
60 柱−土台接続金具
70 土台−基礎接続金具
80 柱−筋交接続金具
KT 既存建物
B 基礎
D 土台
H 柱
S 筋交
M アンカーボルト
G 取り付け具
N 印
Claims (9)
- 既存建物の基礎の上に設けられる土台と柱と筋交とを前記基礎とともに固定する既存建物の補強構造であって、
略L字形状に形成され、前記土台と前記柱とで形成される入隅部に直角に取り付けられる第一の接続金具と、
前記土台と前記柱とに斜めに取り付けられるように両端が折り曲げられ、一方の端部が前記土台に、他方の端部が前記柱に取り付けられ、中間部が筋交に取り付けられる第二の接続金具と、
一方の端部が直角に折り曲げられて前記第二の接続金具と前記柱との間の前記土台の上面に取り付けられ、残りの平面部が前記基礎に取り付けられる第三の接続金具と、
を備えることを特徴とする既存建物の補強構造。 - 前記第一の接続金具、前記第二の接続金具は、それぞれ、取り付けのための複数の取り付け穴を備え、
前記取り付け穴は、
直交する向きに位置する二つの前記入隅部にそれぞれ前記第一の接続金具、前記第二の接続金具、を前記取り付け穴を介して取り付け具によって取り付けた場合に、
一方の前記入隅部に取り付けられる前記第一の接続金具、前記第二の接続金具を取り付ける前記取り付け具の軸線方向が、
他方の前記入隅部に取り付けられる他の前記第一の接続金具、前記第二の接続金具を取り付ける他の取り付け具の軸線方向と交わらないように、
他の取り付け穴の位置に対して縦方向又は/及び横方向に位置をずらして設けられるとともに印を施されていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の補強構造。 - 前記第二の接続金具は、取り付けられたときに下側に位置する中間部の縁が折り曲げられてリブが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の既存建物の補強構造。
- 前記第三の接続金具は、取り付けられたときに前記平面部の幅が土台の上面から下側の所定の高さ位置まで拡幅して形成され、
前記土台の上面及び側面に取り付けられる部位において、当該部位の表面に沿って略L字形状の補強部材を少なくとも1つ備えていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の補強構造。 - 既存建物の基礎の上に設けられた土台とこの土台の上に立設された柱とを前記基礎とともに固定する補強金具であって、
前記柱の側面に固着される第1の柱固着部と、前記第1の柱固着部の一端に連続し前記土台の上面に固着される第1の土台固着部と、前記第1の柱固着部の側縁と前記第1の土台固着部とを連結する補強部と、を有する柱−土台接続金具と、
前記土台の上面に固着される第2の土台固着部と、前記第2の土台固着部の一端に連続し前記基礎の側面に固着される基礎固着部と、を有する土台−基礎接続金具と、を含んでなり、
前記補強部は、前記第2の土台固着部を挿通させるための挿通孔を備え、
前記第2の土台固着部は、前記挿通孔に挿通されて前記第1の土台固着部と係合することを特徴とする補強金具。 - 前記柱−土台接続金具は、2つの前記補強部を有し、
前記各補強部は、前記第1の柱固着部の両側端からそれぞれ延出するとともに、前記第1の土台固着部に沿って折り曲げられ、当該補強部の前記第1の土台固着部側の側縁部が、前記第1の土台固着部に向かって折り曲げられて前記第1の土台固着部に重ねられていることを特徴とする請求項5に記載の補強金具。 - 前記土台−基礎接続金具は、前記第2の土台固着部と前記基礎固着部とが連続するコーナー部の表面に沿って略L字形状の補強部材を少なくとも1つ備えていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の補強金具。
- 前記柱と前記土台とが接合された入隅部に筋交を取り付けるための柱−筋交接続金具をさらに備え、
前記柱−筋交接続金具は、前記柱の側面に固着される第2の柱固着部と、当該第2の柱固着部の一の側縁から前記柱の側面と直交する方向に延出し前記筋交の側面に固着される筋交固着部と、前記第2の柱固着部の下端縁と前記筋交固着部の下端縁とを連結し前記第2の土台固着部の上部に載置される底板部と、を有することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の補強金具。 - 前記柱−土台接続金具は、前記第1の柱固着部と前記第1の土台固着部との間にコーナー部を有し、
前記コーナー部は、前記第1の柱固着部および前記第1の土台固着部に対して略45°の角度で傾いているとともに、取り付け具を挿通させるための取り付け穴を備えることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の補強金具。
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