JP2006346578A - 投棄サイト及び処分場の修復方法及び土壌ガス調査機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 投棄サイト1における修復方法は、例えばメタン、硫化水素、揮発性有毒物質などの土壌ガスを採取して分析するガス調査手段4を用いてガス調査する第一工程と、その分析結果に応じてガス除去手段を用いて土壌ガスを除去する第二工程と、土壌ガスを除去した後に廃棄物層2を掘り起して撤去する第三工程とからなる。ガス調査手段4では、廃棄物層2の所定位置に採取管6を貫入させ、採取管6で吸引された物質を気液分離装置7によって気液に分離して、土壌ガスのみを分析手段8で検知する。
【選択図】 図1
Description
この土壌ガスの調査方法としては、深度別採取などの観点から採取孔又は採取管を地中に設ける方法があり、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。
特許文献1は、汚染土壌に穿孔された採取孔と、この採取孔内に挿入された採取装置と、採取装置から配管を介して連通させた採取容器とを備えたもので、吸引ポンプを使用して土壌ガスを吸引し、採取容器内に溜まったガスの濃度を測定するものである。具体的には、各観測点において一定の深さ毎に順次穿孔しながら下降して同時に土壌ガスの採取を行い、採取容器内に溜まった圧力が所定圧力に上昇するまでの時間により透気性値を測定することで土壌ガスの汚染分布を推定するものである。
特許文献2は、調査対象の土壌中に所定の深さと径をなす孔を削孔し、その内部に採取管を挿入して土壌ガスを採取し、採取管に接続されている分析装置で土壌ガスの分析を行うものである。
また、特許文献1は、採取した土壌ガスを圧力管理する方法であるため、1箇所当たりの観測点における調査に時間を要していた。また、特許文献2は採取管から分析装置で直接測定する構成となっているため、例えば土壌に水が存在する場合に、その水が分析装置に浸入して故障などの原因となり得ることから、慎重な測定作業が必要とされていた。このように特許文献1及び特許文献2を含む従来の土壌ガスの調査方法では、多くの観測点に対して迅速且つ簡易に測定するには不適であった。
本発明では、投棄サイト及び処分場全域のガス調査を行って土壌ガスを管理し、ガス調査の分析結果を基にして計画的に且つ適確に危険性のある土壌ガスを除去することができる。そして、安全なガス濃度を確認してから廃棄物の撤去作業を行うことになり、安全性を向上させた状態で工事を行うことができる。
本発明では、掘り越し作業を行う層毎に土壌ガスの分布や濃度を管理して、危険なガスを除去するため、安全性を向上させることができる。
本発明では、土壌中に空気を送り込むことで土壌ガスの吸引残しがなく確実に吸引することができる。そして、吸引した土壌ガスは、ガスの成分に適した除去装置を使用することで効率よく除去することができる。
本発明では、簡易な構造であるうえ、投棄サイト及び処分場より採取した土壌ガスや地下水などの物質を気液分離装置に通過させ、液体がある場合には取り除いてから分析手段によって検知するため、液体の浸入による分析手段の故障を防止することができる。さらに、ガス調査するその場で分析手段を用いて分析作業ができ、土壌ガスが吸引された直後に検知できるため、時間がかからず的確に調査することができる。
本発明では、吸引孔から採取管内に土壌ガスを吸引させて、気液分離装置に送ることができる。
また、本発明の土壌ガス調査機構によれば、簡易な構造であるうえ、投棄サイト及び処分場より採取した土壌ガスや地下水などの物質を気液分離装置に通過させ、液体がある場合には取り除いてから分析手段によって検知するため、分析手段が液体の浸入により故障したり汚染するといった不具合を防止することができる。さらに、ガス調査するその場で分析手段を用いて分析作業ができ、土壌ガスが吸引された直後に検知できるため、時間がかからず的確に調査することができる。
このため、広いエリアを有する廃棄物処分場などで、多くの調査ポイントが必要となる場合であっても、従来の調査方法と比較して迅速に調査を行うことが可能となり、極めて有効である。また、簡易で低コストを実現できることから、例えば多くの土壌ガス調査機構を保有して複数の調査ポイントを同時に調査することができる。
図1は実施の形態によるガス調査手段を示す図であって、(a)はその全体図、(b)は採取管底部の拡大図、図2は土壌ガスの除去作業を示す図、図3は廃棄物層の撤去作業を示す図、図4は投棄サイトにおける第二層目の土壌ガスの除去作業を示す図、図5はガス除去作業における土壌ガスと空気の置換状態を示す図、図6は土壌ガス調査の第一結果事例を示す濃度分布図、図7(a)、(b)は土壌ガス調査の第二結果事例を示す濃度分布図である。
図1(a)に示すように、本実施の形態における投棄サイト1は、廃棄物が埋められている廃棄物層2(廃棄物からなる層)と覆土3とが交互に複数重なって形成されている(図2参照)。
このような第一工程から第三工程までの一連の工程をなす修復作業は、地表面1a側の廃棄物層2から各層毎に順次実施する(図4参照)。
そして、採取管6と気液分離装置7とは連結管9によって連結され、気液分離装置7と分析手段8とは導入管10によって連結されている。この連結管9の中間部には、バルブ11が設けられている。導入管10の途中には、気体をろ過するろ過部材12が設けられている。
図1(a)に示す気液分離装置7は、例えば地下水や水溜りなどの液体が吸引されたときに、土壌ガスに含有した液体を気液に分離させ、その液体を例えば気液分離装置7に備えた容器(図示省略)などに排出し、気体(土壌ガス)を出口側に連結されている導入管10に送るものである。これにより、分析手段8が液体の混入により故障したり汚染するといった不具合を防止することができる。なお、採取管6により吸引したものが気体(土壌ガス)の場合には、気液分離装置7を出口側にそのまま通過させることも当然可能であるし、水分を除去する別の機構であってもよい。
また、図1(a)に示す分析手段8は、導入管10の出口10aで直接分析可能なポータブルなハンディタイプの分析器や、試験室などに持ち帰って分析できるように導入管10の出口10aで土壌ガスを封入しておくサンプルパックなど、携帯性に優れて分析作業が簡易な分析手段8が好ましい。
除去装置16は、例えばメタンガスを強制的に焼却させる燃焼装置16Aと、硫化水素ガスをアルカリ溶剤や吸着剤等に吸着させる第一除去装置16Bと、有機塩素化合物ガスを活性炭に吸着させる第二除去装置16Cとからなる。また、他の方法で有害ガスを除去することは当然可能であり、その他の有害物質の除去を行うための除去装置を設置することも可能である。
図2に示すように、空気流入管17は、土壌ガスの吸引と同時に空気を廃棄物層2内に送り込み土壌ガスを空気に置換させることで、効率よく土壌ガスを除去することができる。このように、土壌中に空気を送り込むことで土壌ガスの吸引残しがなく確実に吸引することができる。
土壌ガスの調査では、図6に示すように、投棄サイト1の調査対象領域に例えば縦横10〜30m間隔毎など適当数の調査ポイントPを設定する。そして、各ポイントPにおいて、ガス調査手段4を設置する。ここで、採取管6の設置は、図1(a)に示すように、地表面1aから所定の採取位置まで例えばハンディタイプの電動ドリルを使用して、採取管6より大きな外径の穿孔穴13を穿孔して所定の深さまで採取管6を挿入し、採取管6と穿孔穴13との隙間を充填材(図示省略)で埋め戻す。そして、ガス調査手段4を準備して、地表面1aに近い第一層目の廃棄物層2を測定する(図1参照)。
なお、本ガス調査手段4では、穿孔穴13の穿孔作業が容易であることから、1箇所の調査ポイントPにおける設置にかかる時間を低減させることができる。
そして、このような分析器による場合には、その場において土壌ガスをリアルタイムでかつ高精度で測定することができ、極めて効率的である。
さらに、そのような分布図を作成すればそれがそのまま汚染状況を反映したものとなり、それにより調査対象全域の汚染状況を視覚的かつ直観的に把握することが可能である。
なお、この撤去作業時には、図3に示すような例えば膜材などからなりテント状に作業箇所を覆う防護部材20を設けておくことが好ましい。これにより、近隣に有害物質の飛散や異臭を防止することができる。
そして第二層目以降は、各層毎に上述したガス調査(第一工程)、ガス除去(第二工程)、土壌撤去(第三工程)の作業を繰返しながら順次、投棄サイト1内の廃棄物層2及び覆土3を撤去する(図4参照)。そして、投棄サイト1のすべてが終了したときに、例えば汚染されていない土壌を埋め戻すなどして修復工事を完了させる。
図6は土壌ガス調査を行ったときの第一結果事例であって、メタン(CH4)の濃度分布を示し、図中、色の濃い部分ほど、メタンの濃度が高く、色の薄い部分は濃度が低くなっていることを確認できる。これによると、投棄サイト1の半分以上の地中に爆発限界(図6に示す線B)とされる35000mg/m3以上の濃度のメタンが存在していることがわかる。
また、図7は、ある調査ポイントPにおいて、採取した土壌ガスをさらに詳細に分析した第二結果事例であり、図7(a)は1,2−ジクロロレタン、図7(b)はPID値の濃度分布を示し、図6と同様に色の濃い部分ほど濃度が高くなっている。このように土壌ガスに含まれる揮発性有機化合物(VOC)の成分毎の存在も分布図として視覚的に確認することができる。
また、本実施の形態によるガス調査手段4は、簡易な構造であるうえ、調査ポイントPにおいて採取した土壌ガスや地下水などの物質を気液分離装置7に通過させ、液体がある場合には取り除いてから分析手段8によって検知するため、液体の浸入による分析手段8の故障を防止することができる。さらに、ガス調査するその場で分析手段8を用いて分析作業ができ、土壌ガスが吸引された直後に検知できるため、時間がかからず的確に調査することができる。
このため、広いエリアを有する廃棄物処分場などで、多くの調査ポイントPが必要となる場合であっても、従来の調査方法と比較して迅速に調査を行うことが可能となり、極めて有効である。また、簡易で低コストを実現できることから、例えば多くのガス調査手段4を保有して複数の調査ポイントPを同時に調査することが可能となる。
例えば、本実施の形態では廃棄物層2の修復工事を一層毎としているが、複数の廃棄物層2からなる投棄サイト1の場合は、複数の廃棄物層2毎に第一工程から第三工程の作業を行ってもかまわない。
2 廃棄物層(廃棄物からなる層)
3 覆土
4 ガス調査手段(土壌ガス調査機構)
5 ガス除去手段
6 採取管
6c 吸引孔
7 気液分離装置
8 分析手段
13 穿孔穴
14 ガス吸引管
16 除去装置
17 空気流入管
P 調査ポイント
Claims (5)
- 廃棄物が埋設されている投棄サイトや処分場を土壌ガスを除去してから再生させる投棄サイト及び処分場の修復方法であって、
所定位置で前記土壌ガスを採取して分析することで前記投棄サイト及び処分場全域をガス調査する第一工程と、
前記第一工程による分析結果を基に前記土壌ガスを除去する第二工程と、
前記土壌ガスを除去した後に前記廃棄物を撤去する第三工程と、
を有していることを特徴とする投棄サイト及び処分場の修復方法。 - 前記廃棄物からなる層が複数重なっている場合に、各層毎又は複数層毎に前記第一工程から前記第三工程までの一連の工程を順次繰り返すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の投棄サイト及び処分場の修復方法。
- 前記第二工程をなす前記土壌ガスの除去は、前記土壌ガスの成分に応じて除去させる除去装置により前記廃棄物からなる層内のガス濃度が安全となるまで除去を継続するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の投棄サイト及び処分場の修復方法。
- 土壌ガスを採取することで投棄サイト及び処分場のガス調査を実施するための土壌ガス調査機構であって、
廃棄物が埋設されている所定位置まで貫入させて前記土壌ガスを吸引させる採取管と、
前記採取管で吸引された物質を気液に分離する気液分離装置と、
前記気液分離装置から送り出された前記土壌ガスを検知する分析手段と、
を備えていることを特徴とする土壌ガス調査機構。 - 前記採取管の周部に、前記土壌ガスを吸引する吸引孔が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の土壌ガス調査機構。
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