JP3819885B2 - 土壌および地下水の原位置測定方法および原位置浄化方法 - Google Patents
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一般に、地上での処理の場合は、土壌汚染の深度が浅い場合であり、原位置処理の場合は、土壌汚染の深度が深い場合が多い。原位置での処理法としては、例えば、図10に示すように、地盤改良技術を参考に、浄化剤を地盤中に注入あるいは混合あるいは置換して使用することが多い。
施工位置によってVOC濃度が異なる場合、例えばある深度で原液溜まりがないとして浄化剤量を設定し、実際には原液溜まりであった場合には浄化剤の使用量をコントロールすることができないため、浄化が不十分となる。
汚染が広範囲に分散している場合、全面にわたってボーリング調査を行った後に各種の浄化工事を行う必要があり、調査に拘わる費用が莫大となる。
以上のことから、従来の技術では土壌あるいは地下水中の汚染物質の濃度に応じた浄化剤の効率的な使用は困難である。そこで、浄化剤を混合して浄化杭を施工する際に、まず処理機を貫入させ、その際に浄化杭の深度方向のVOC濃度をあらかじめ測定した上で、原位置浄化処理を行う必要がある。
また、土壌もしくは地下水に含まれるVOCを空気もしくは水と共に取り出すポンプと、取り出された空気もしくは水に含まれるVOCを吸着もしくは分解させて空気もしくは水に含まれるVOCを減衰させるVOC処理手段と、このVOC処理手段の入口、出口側の少なくとも一方に配置され、空気もしくは水に含まれるVOCを測定するVOC測定装置と、このVOC測定装置の出力信号に基づいてポンプの回転を制御するVOC処理手段の監視システム(例えば、特許文献7参照)がある。しかし、粘性土の場合、土粒子に吸着したVOCが移動せず、正確な濃度の把握は困難である。
また、特許文献10には、汚染領域に所定深さの井戸を複数穿設し、各井戸に検知センサーを設置し、各検知センサーの検知結果によって、地層単位毎の汚染状況を検知する地質汚染状況の検出方法および汚染物質の除去方法に関する発明が開示されている。しかし、特許文献10では、所定深さの井戸を複数穿設する必要があり、対象地盤全域の汚染状況を検知するには現実的でない。
また、特許文献13には、掘削した井戸の深度別に異なったガス導入管を用いる土壌ガス試料採取用機器ならびにこれを用いたガス試料採取方法およびガス分析方法に関する発明が開示されている。しかし、特許文献13では、井戸を設置する手間がかかる上に、測定対象となる範囲が狭く、広大な敷地の汚染の場合、現実性がない。
また、特許文献15には、浄化剤を原位置に混合し、未分解の汚染物質を反応熱により気化させる土壌浄化方法および装置に関する発明が開示されている。しかし、特許文献15では、もとの汚染濃度を測定することを目的としたものではないため、浄化剤の投入量が不明である。また、曝気井が混合装置と別に設けられており、その作成に費用がかかるという問題がある。
本発明の別の目的は、この測定方法を利用した土壌および地下水を浄化する方法を提供することにある。
請求項4に係るVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法は、請求項1または請求項2記載のVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法において、混合処理機から土中への気体の噴射は、少なくとも混合攪拌機の貫入時または引き上げ時に行われることを特徴とする。
本発明においては、多様な形態で土中に存在するVOCで汚染された地盤を浄化剤を用いて混合処理機によって浄化する際に、浄化に先立ち、地盤中で処理機先端部または回転軸から空気または温度を高めた空気あるいは不活性の気体を噴射し、それを攪拌軸とは別の軸受け部に設置した回収管または回転軸外側でこれを回収することにより、土中のVOCを空気中あるいは不活性の気体中または水中に取り込み、その空気中あるいは不活性の気体中および水の中のVOC濃度を地上で測定することができる。
汚染濃度に対応した浄化剤を添加するために、汚染濃度の予測違いによる浄化の目標値をクリアできないリスクは生じない。
無駄な浄化材を使うことなく適切な添加量で施工ができることから材料費のコストダウンとなる。
(第一実施形態)
本実施形態は、図1〜図3に示すように、地盤改良工事の深層混合処理工法あるいは山留め工事のソイル柱列工法において、深層混合処理機を用いて金属系還元剤または鉄粉を汚染土壌あるいは地下水に原位置で添加、混合してVOCを浄化する際に、金属系還元剤または鉄粉を添加施工する前にVOC濃度を予め測定する方法である(請求項1,3,4に対応する)。なお、対象とする深層混合処理機は、地盤改良で用いるスラリー系処理機、粉体系処理機、山留め工事で用いるソイル柱列工法のスラリー系処理機がある。
ベースマシン1と、ベースマシン1によって垂直に立てられたリーダー2およびガイドパイプ(図示せず)と、リーダー2およびガイドパイプ(図示せず)に沿って昇降する電動機ユニット3と、電動機ユニット3によって回転駆動される2本の長い攪拌軸4と、2本の攪拌軸4間に軸受けを介して固定した回収管固定部材5に取り付けた回収器6と、2本の攪拌軸4の先端部に設けた攪拌翼7とを有する。
先ず、図1、図2(B)に示すように、攪拌翼7によって地盤を回転掘削しながら、または掘削土を攪拌しながら、攪拌翼7の先端部から空気または高温に加熱した空気あるいは不活性の気体を掘削土中に注入する。
ここで、攪拌翼7から空気または高温の空気あるいは不活性の気体を汚染領域近傍の土に送り込むと、土粒子に吸着しているVOCが土粒子から離れやすくなり、また、汚染領域近傍に空気または高温の空気あるいは不活性の気体を送り込むことで空洞部分を形成し、汚染物質の一部を気体状にすることが可能となる。そして、移動性の高まった汚染物質やガス、あるいはこれらを含む地下水は、回収器6を介して吸引されることとなる。
また、地上の吸引ポンプ10で吸引されたガスあるいは地下水は、曝気式の水処理装置あるいは活性炭吸着式の水処理、排ガス装置などのVOC処理室14によって処理される。
(第二実施形態)
本実施形態は、公知の粉体噴射攪拌工法で用いられる噴出防止カバーを利用して汚染物質を含んだ空気を回収、測定するものである(請求項2,3,4に対応する)。
次に、斯くして構成された本実施形態による作用を説明する。
同時に、噴出防止カバー21に取り付けた回収管22に連絡する吸引ポンプを作動する。これにより、噴射口24から噴射される空気または高温の空気あるいは不活性の気体に伴って生成するVOCが混入した気体を原位置で移動させ、掘削孔(縦穴)27を介して噴出防止カバー21に吸引し、回収管22を介してPID式のVOCガス連続測定装置で汚染物質の濃度を測定する。
本実施形態は、第一実施形態におけるVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を用いたVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法である(請求項5,6,8に対応する)。
本実施形態では、図6、図7、図8に示すように、第一実施形態におけるVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を用いて、攪拌翼7の貫入時にVOC濃度を測定する。そして、攪拌翼7の引き抜き時に、測定結果に基づいて浄化剤(例えば、金属系還元剤または鉄粉あるいはその他公知の浄化剤)と薬液などとを混ぜたスラリー状の浄化材を浄化材供給プラント15で作り、これをスラリーポンプ16でホース17を介して攪拌翼7へ送り、攪拌翼7の先端部からスラリー状の浄化材を掘削土中に注入して攪拌混合処理し、原位置で汚染土壌の浄化、改良を行なう。
(第四実施形態)
本実施形態は、第一実施形態におけるVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を用いたVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法である(請求項5,7,8に対応する)。
ここで、汚染物質の濃度と浄化剤を含む浄化材の使用量については、実汚染土壌を用いた事前試験を元に決定する。汚染物質の一部が移動している可能性を考慮し、安全率をふまえた量を注入、攪拌混合する。
2 リーダー
3 電動機ユニット
4 攪拌軸
5 回収管固定部材(軸受け)
6 回収器
7 攪拌翼
8 回収管
9 VOCガス連続測定装置
10 吸引ポンプ
11 加熱槽
12 ポンプ
13 ホース
14 VOC処理室
15 浄化材供給プラント
16 スラリーポンプ
20 攪拌軸
21 噴出防止カバー
22 回収管
23 下段攪拌翼
24 噴射口
25 上段攪拌翼
26 空気回収フィン
27 掘削孔(縦穴)
Claims (8)
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、前記混合処理機から気体を土中に噴射すると同時に揮発性有機化合物が混入した気体または地下水を前記混合攪拌機の非回転部に取り付けた回収器により地上側に吸引し、地上側において前記気体中または地下水中の揮発性有機化合物濃度を測定することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤を土中に攪拌混合する混合処理機の地上側に位置する回転軸の周囲に回収器を回転しないように配し、前記混合処理機を土中に貫入し、前記混合処理機から気体を土中に噴射すると同時に揮発性有機化合物が混入した気体を前記回転軸廻りに形成された縦穴を介して前記回収器により地上側に吸引し、地上側において前記気体中の揮発性有機化合物濃度を測定することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 前記混合処理機から土中に噴射する気体は、空気または40〜150℃に温度を高めた空気あるいは不活性の気体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 前記混合処理機から土中への気体の噴射は、少なくとも前記混合攪拌機の貫入時または引き上げ時に行われることを特徴とする請求項1または請求項2記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 請求項1ないし請求項4の何れか1項記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を行った後、次いで、前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、この貫入時に前記混合処理機から気体を土中に噴射すると同時に揮発性有機化合物が混入した気体または地下水を前記混合攪拌機の非回転部に取り付けた回収器により地上側に吸引し、地上側において前記気体中または地下水中の揮発性有機化合物濃度を測定し、次いで、前記攪拌混合機の引き上げ時に前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤を土中に攪拌混合する混合処理機地上側に位置する回転軸の周囲に回収器を回転しないように回収器を回転しないように配し、前記混合処理機を土中に貫入し、この貫入時に前記混合処理機から気体を土中に噴射すると同時に揮発性有機化合物が混入した気体を前記回転軸廻りに形成された縦穴を介して前記回収器により地上側に吸引し、地上側において前記気体中の揮発性有機化合物濃度を測定し、次いで、前記攪拌混合機の引き上げ時に前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- 前記浄化剤は、金属系還元剤または鉄粉であることを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れか1項記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
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