JP4775182B2 - 地下水浄化装置、および地下水の浄化方法 - Google Patents

地下水浄化装置、および地下水の浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学物質、特に揮発性有機塩素化合物にて汚染された汚染領域の地下水の浄化に関するものである。
従来より、化学物質、特に人や自然環境に有害とされる化学物質を使用していた工場などの跡地を利用するにあたり、土壌中に染み込んだ化学物質を無害化することが必要とされてきた。
特に近年、重金属や揮発性有機塩素化合物(Volatile Organic Compounds。以下、「VOC」と記す)等による土壌汚染事例が顕在化した結果、「土壌対策汚染法」が、平成14年5月に公布、平成17年10月より施行されるに至り、法的側面からもその対策が必須となったため、土壌汚染を浄化する技術の重要度が増してきている。
このような状況において、汚染源(本願でいう「汚染領域」)を経由して流れることにより発生する汚染地下水を浄化する方法として、金属系還元剤(本願でいう「浄化剤」)又は吸着物質を含む円柱を地中に列状配置し、帯水層より大きい透水層を容易に得るというものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3216014号公報
しかしながら上記従来の技術では、汚染源の汚染物質(上述した重金属やVOC等)を浄化するための金属系還元剤との酸化還元反応を、自然に反応が進むとおりに任せているため、次のような課題を有していた。
すなわち、汚染された地下水を浄化するために金属系還元剤を用いた場合、一般に地下水の温度が10℃〜20℃のため、酸化還元反応に用いられる金属系還元剤が60%(重量%)程度反応したところで、酸化還元反応に必要な酸化還元電位が乏しくなり、それ以上に反応が進まなくなる。
このような状況で、汚染源の汚染物質が浄化しきれているかを検証し、更なる追加対応が必要となった場合に、以下のような対応を施していた。
1)円柱の追加施行(円柱の増設)
2)既設円柱の入替え(金属系還元剤又は吸着物質の再注入)
従って、汚染領域の浄化作業を行う期間(以下、「浄化期間」と記す。)を必要以上に確保したり、逆に、浄化期間が延長となったために、次工程以降の作業日程を再調整するなど、汚染領域を含む土地の再利用計画全体へも影響を与えていた。
また、浄化作業としての酸化還元反応に寄与していない金属系酸化剤や吸着剤が40%(重量%)程度も残っていることから、資源の無駄使い、効率の低さが課題となっていた。
本発明は、このような課題を解決するものであり、投入した浄化剤の酸化還元反応を促すことで、効率的に浄化剤を活用するというものである。
また、酸化還元反応を積極的に促すことで、汚染領域の浄化期間、いわゆる浄化作業に係る工期を短縮することも期待できるとともに、追加作業の発生を防ぐことにより、経済的な負担を抑制できるというものである。
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、揚水手段および中空路を連通する連絡路とをVOCにて汚染された汚染領域の下流に配し、揚水路または連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記中空路内に配される前記連絡路の側面に排水穴を設け、この排水穴の穴径が鉛直下方に従って大きくなるというものである。
本構成とすることにより、観測井戸から汲み上げた地下水を温めてから、汚染領域近傍に設けた柱状体へと戻すことにより、柱状体付近の雰囲気温度、特に地下水の水温を上昇させることで、低下した酸化還元電位を向上させることができるとともに、各排水穴に加えられる圧力の均等化を進めることが可能となるため、各排水穴から押し出される地下水の分量の均等化を進めることができ、浄化剤配置部内の浄化剤の反応を全体として満遍なく進めることが可能となる。
また本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、前記揚水手段および前記中空路を連通する連絡路とを揮発性有機塩素化合物にて汚染された汚染領域の下流に配し、前記揚水路または前記連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記観測井戸内に酸化還元電位計測手段を設け、この酸化還元電位計測手段にて測定した前記観測井戸内の地下水の酸化還元電位の測定値に応じて、前記加温手段を制御する加温手段制御部を設けたものである。
本構成とすることにより、供給された浄化剤が有する酸化還元電位に対応した的確な地下水の加温を行うことが可能となる。
本発明の地下水浄化装置によれば、低下した酸化還元電位を向上させることで浄化剤の酸化還元反応を活発し、供給した浄化剤の多くを酸化還元反応させることができる。
その結果、浄化期間を短くするとともに、供給した浄化剤の酸化還元反応への寄与率を向上させることで、浄化剤の無駄を減らすことができる。
本発明の実施の形態は、少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、揚水手段および中空路を連通する連絡路とをVOCにて汚染された汚染領域の下流に配し、揚水路または連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記中空路内に配される前記連絡路の側面に排水穴を設け、この排水穴の穴径が鉛直下方に従って大きくなるというものである。
本構成とすることにより、供給された浄化剤に乏しくなった酸化還元電位(活性化エネルギー)を与えることができるとともに、各排水穴に加えられる圧力の均等化を進めることが可能となるため、各排水穴から押し出される地下水の分量の均等化を進めることができ、浄化剤配置部内の浄化剤の反応を全体として満遍なく進めることが可能となる。
その結果、所定期間内に浄化作業である酸化還元反応に寄与する浄化剤の分量を増加することができるため、汚染領域の浄化作業が促進できる。
また、上述した実施の形態に加え、排水穴を連絡路の側面に沿って螺旋状に施すというものである。
本構成とすることにより、さらに排水穴から押し出される地下水の分量の均等化を推進することが可能となり、浄化剤配置部内の還元剤の反応をより一層均等に進めることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態は、少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、前記揚水手段および前記中空路を連通する連絡路とを揮発性有機塩素化合物にて汚染された汚染領域の下流に配し、前記揚水路または前記連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記観測井戸内に酸化還元電位計測手段を設け、この酸化還元電位計測手段にて測定した観測井戸内の地下水の酸化還元電位の測定値に応じて、加温手段を制御する加温手段制御部を設けるというものである。
本構成とすることにより、供給された浄化剤が有する酸化還元電位に対応した的確な地下水の加温を行うことが可能となる。
すなわち、浄化剤を供給して間もない、充分な酸化還元電位を有する状態で加温した場合、過剰なエネルギーを供給することになり、エネルギーの無駄遣いとなる。
一方、浄化剤の酸化還元電位が所定値以下となったにも関わらず、適切なタイミングにて加温作業を行わなければ、浄化作業が滞ることになり、いたずらにその浄化期間を延ばすことになる。
よって、上述したように酸化還元電位計を用いれば、効率よく酸化還元反応に必要なエネルギーを供給できるとともに、いたずらに浄化期間を延ばすこともない。
さらに本発明の実施の形態は、一端に設けた気体入力路から取り入れた気体を加温し、他端に設けた気体出力路から加温した気体を中空路へ排出する気体加熱手段を設け、酸化還元電位計測手段の測定値に応じて気体加熱手段を制御する気体加熱制御部を設けるというものである。
本構成とすることにより、浄化剤に酸化還元電位を向上させるためのエネルギーの供給手段として気体を用いることができる。
この場合、上述したように地下水を汲み上げる作業が不要となるため、本浄化作業全体に要するエネルギーを抑制することが可能となる。
さらに、同じ容積であれば、空気のほうがより高い温度にすることが可能であるため、浄化剤に供給するエネルギーをより高くすることが可能となる。
また、さらに本発明の実施の形態は、加温手段と気体加温手段とを一体とするとともに、中空路内に排出する流体を地下水または気体のいずれかに切換える切換え部とを有し、酸化還元電位計測手段の測定値に応じて切換え部を制御するというものである。
本構成とすることにより、浄化作業を行う現場の状況に応じて、より適した対応を行うことが可能となる。
特に、供給する気体を空気とすることにより、特別な装置を準備することなく、地下水を加温する媒体として気体を使用することができる。
その結果、地下水を加温する媒体として液体より大きなエネルギーを供給できる気体を用いることができるため、効率よく地下水を加温することが可能となる。
また、供給する気体を窒素とすることにより、柱状体の浄化剤配置部近傍の嫌気状態を推進することが可能となる。
その結果、柱状体の浄化剤配置部近傍に存在する嫌気性菌などの活動を活発化させることができる。
さらに、供給する気体を二酸化炭素とすることにより、二酸化炭素が有する弱酸性の性質により例えば、還元剤として鉄を用いていた場合、鉄表面の酸化による錆を落とすことが可能となる。
しかも、二酸化炭素による保温効果を期待できるため、さらに地下水を温めることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態は、柱状体を、汚染領域を経由して流れる地下水の流れを遮る方向に千鳥状に配置するというものである。
本構成とすることにより、流れる地下水を漏れなく酸化還元反応させることが可能となり、より細やかな浄化作業を推進することができる。
さらに、本発明の実施の形態は、酸化還元電位計測手段の測定値が所定値より高い場合には、切換え部を制御することで中空路内に排出する流体として地下水を選択し、揚水手段にて地下水を汲み上げ、この汲み上げた地下水を加温手段にて温めた後、連絡路へ戻すようにするとともに、測定値が所定値以下の場合には、切換え部を制御することで中空路内に排出する流体として気体を選択し、気体入力路から取り入れた気体を気体加熱手段にて加熱し、他端に設けた気体出力路から中空路へと温めた気体を送り込むというものである。
上記方法を用いて、浄化剤の酸化還元反応を促すことにより、当初配した浄化剤の酸化還元反応に寄与する割合を飛躍的に改善できるというものである。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1に、本地下水浄化装置を説明するための横から見た概念図を示す。
さまざまな土壌汚染の浄化方法が提案されている現在において、本発明は、原位置にて浄化剤を注入する注入井戸を設ける方法であり、工事が比較的小規模な工事で済み、汚染領域が浅層、深層いずれに存在しても対応できる技術に属するものである。
図1中、1(1a、1b)は不透水層であり、この不透水層1a、1bの間に地下水が流れる帯水層(砂礫層)2がある。図中矢印3は、地下水の流れを表しており、本実施例においては、図面左から右に流れる地下水の流れが存在する。
4は、汚染物質であるVOCにて汚染された汚染領域を示している。本実施例では、VOCの具体例として、ジクロロエチレン(以下、「DCE」と記す)、トリクロロエチレン(以下、「TCE」と記す)、テトラクロロエチレン(以下、「PCE」と記す)を取り上げて説明するが、当然のことながら、本発明が適用できる範囲を限定するものではない。
まず、汚染領域4の近傍で、かつ、地下水の流れ3の下流の場所に柱状体5を設ける。
この柱状体5の設置手順は、以下のとおりである。
第1に、然るべき位置に不透水層1bに達する井戸を掘る。
第2に、井戸に沿って、柱状のものを挿入し、柱状体5の外壁面6を設置する。
第3に、外壁面6の内側に、さらに柱状のものを挿入し、内壁面7を設置する。
外壁面6と内壁面7は、ゼロ価の鉄または金属シリコン等の金属還元剤である浄化剤を用いれば、浄化剤と地下水の酸化還元反応により水素を発生させることができ、この水素とVOCの塩素との置換を促進でき、反応後は地中上にある無害な物質になるという利点を要する。
また、外壁面6と内壁面7との間には、VOCを浄化するための浄化剤8を配する浄化剤配置部9が設けてある。この浄化剤配置部9の高さは、帯水層2の厚みより多少高い程度でよい。
なお、外壁面6と内壁面7との間すべてに浄化剤8を充填することも可能であるが、実際に浄化剤8を充填したとしても、VOCが地下水に溶け出すことで浄化剤8と反応するのは帯水層2の領域に限られているため、不必要に浄化剤8を充填しても、その効果を得ることはできない。
今回、浄化剤8としては、鉄粉を使用している。他に、金属シリコンやマンガンなどを用いてもよい。
また、外壁面6と内壁面7の先端部分で、浄化剤配置部9を構成する部分については、壁面にメッシュやパンチングメタルなどを施し、水や空気が通るようになっている(図示せず)。
さらに、内壁面7の内側には中空路10が設けてあり、連絡路11の出し入れを容易にしている。
連絡路11の側面には、後述する地下水を排出するための排水穴12を施している。
また、本実施例では、DCE、TCE、PCEと鉄粉とを反応させるため、水素が発生する。この水素が拡散しないように、柱状体5の上端には蓋12を配置してある。
つぎに、柱状体5に対して地下水の流れ3から見てさらに下流に、観測井戸13を設置する。
観測井戸13は、柱状体5の設置と同様、まず不透水層1bに至る深さの井戸を掘り、この井戸に沿って柱状のものを挿入することで成り立っている。
当然のことながら、観測井戸13の先端部分、できれば帯水層2の厚みに相当する高さの範囲には、柱状体5と同様、壁面にメッシュやパンチングメタルなどを施すことで、水の流れが滞ることのないようにしている。
この観測井戸13内の下端部には、地下水の酸化還元電位(以下、「ORP」と記す)を測定するORP計14が設けられている。
また、観測井戸13内には、地下水を揚水手段であるポンプ15で汲み上げるための揚水路16を設けてある。
またポンプ15は、連絡路11を介して加温手段17と連絡している。
この加温手段17は、汲み上げた地下水を温めることができればよく、具体例には、電気ヒータやマイクロウェーブ加熱装置、あるいは高周波加熱装置などがあり、その加熱方法についても、直接加熱、間接加熱を問わない。
さらに、図1に記載の加温手段17には、気体入力路18と気体出力路19が設けられており、液体としての地下水と気体としての空気の加温が一体でできるようになっている。
なお、当然のことながら、この加温手段17は、液体のみ加温できるものだけでもよく、あるいは、液体のみの加温と気体のみの加温を行う別体の加温手段2台でもよい。すなわち、後述する動作において、各現場に応じて必要とする能力を満たす加温手段17を準備すればよい。
また、図1中、20はORP計14の検出値に基づき、加熱手段17を制御する制御装置であり、専用の計測器を用いたり、パーソナルコンピュータを用いることで、期待する機能を得ることができる。
なお、図2に、本地下水浄化装置を上方から見た図を示す。
図中の寸法は、一つの例であり、当然のことながら、本発明を限定するものではない。
本実施例においては、柱状体5を図中、縦方向に一列に並べた状態を示している。これは、地下水の流れ3を遮る方向であり、汚染領域4から地下水へと溶出した汚染物質が、柱状体5を並べた浄化壁5aを通過することで、柱状体5に設けた浄化剤配置部9により浄化されるように配されている。
上述した構成の作用、効果について、図1から図4を用いて説明する。
図3は、ORP計14にて測定される地下水の酸化還元電位(ORP)を縦軸に、そして横軸に時間経過を示している。
また図4は、本地下水浄化装置の制御フローを示したフローチャートである。
まず、VOCにて汚染された汚染領域4に地下水が流れ込むことにより、汚染物質であるVOCが地下水中へ流れ出す。
流れ出したVOCは、地下水の流れ3に乗って下流へと流れ、浄化剤8を配した浄化剤配置部9に流れ込む。
この浄化剤配置部9において、次のような酸化還元反応が起こり、汚染された地下水の浄化が行われる(図4中、STARTに相当)。
汚染物質がPCEの場合、
PCE→TCE→1,1−DCE→塩化ビニル(以下、「VC」と記す)→エチレン
汚染物質がTCEの場合、
TCE→1,1−DCE→VC→エチレン
汚染物質が1,1−DCEの場合、
1,1−DCE→VC→エチレン
上記した酸化還元反応の結果、各々の汚染物質は無害化(脱塩化)される。
また、中空路10内には水素が発生するが、事故が起こらないように蓋12を施している。
なお、水素については、別途回収したり、高濃度にならないように注意しながら大気中へと放出することで処理できる。
このように浄化された地下水がさらに下流へと流れ、観測井戸13へと達する。
そして、観測井戸13内に設けたORP計14にて地下水中のORPを測定する(図4中、STEP1)。そして得た測定値が所定値以上あれば、充分なORPが確保されていると判断し、特段の対応を行わずにこのまま酸化還元反応を行わせる(図3中、t1の領域)。
逆に、測定値が所定値以下であれば、酸化還元反応を行うに足るORPが不足してきたものと判断し、ポンプ15にて地下水を汲み上げ、加温手段17にて所定温度まで地下水を加温し、連絡路11を介して柱状体5内へと地下水を戻す(図3中、t2の領域/図4中、STEP2)。
この結果、浄化剤配置部9近傍の土壌および地下水温度が徐々に上昇をはじめ、再び、VOCと鉄粉との酸化還元反応による浄化作業が促進される(図4中、STEP3、4、6)。
これは、下記に示すアレニウスの式に示されるように、雰囲気温度を上昇させることで、酸化還元反応を促進しようとするものである。
つまり、ORPが低下した場合、加温手段17を用いて地下水を温めることで浄化剤配置部9近傍の雰囲気温度を上昇させ、酸化還元反応に必要なエネルギーを補おうという考えによるものである。
k=A・exp(−Ea/RT)
k:反応速度、A:頻度因子、Ea:活性化エネルギー、T:温度
このように、観測井戸13にて汲み上げた地下水をポンプ15で汲み上げ、加温手段17を介して連絡路11内へ地下水を戻す。
この加温した地下水を再度、観測井戸13から汲み上げて加温手段17を介して連絡路11内へと地下水を戻す、という循環を繰り返すことで、さらに、浄化剤配置部9近傍の雰囲気温度は上昇し、酸化還元反応が活発になるため、浄化作業が促進される。
さらに、この加温手段17による酸化還元反応の促進だけでは、充分な反応が得れなくなった場合、さらに次の作業を行う。
すなわち、ポンプ15を停止し、連絡路11に設けられたバルブ21aを開から閉へ、気体出力路19に設けられたバルブ21bを閉から開へと切換える(図4中、STEP3、5〜7)。
そして、気体入力路18から空気(大気)を取り入れ、加温手段17にて取り入れた空気を加温する。
この加温された空気は連絡路11を通って、柱状体5に設けられた浄化剤配置部9近傍の排水穴(図示せず)から放出される(空気加熱(曝気)/図4中、STEP8〜9)。
その結果、t1、t2を通じた酸化還元反応により、さび付いた浄化剤8である鉄粉からさびを落とすことができる。
また、加温した空気を供給することで、再び、ORPが上昇し、さらに浄化剤8である鉄粉による酸化還元反応を促進できる(図3中、t3の領域)。
その後、再び、上記した空気加熱を繰り返し、最初に配置した浄化剤8である鉄粉にて可能な限り酸化還元作用を実施する(図3中、t4の領域/図4中、STEP10〜13からSTEP7に戻る流れからENDに至るまで)。
以上のように、ORPの値を検出しながら、酸化還元反応が進むように浄化剤8の周辺環境を変化させることにより、浄化剤8の酸化還元反応に寄与する割合を向上することができる。
本実施例を用いた結果、従来、初期投入した浄化剤8の60%(重量%)程度しか活用できていなかったものが、95%(重量%)程度まで、活用できるようになった。
また、ORPの値を検出しながら、積極的に浄化作業を進めていくことで、汚染領域4の浄化作業に要する工期も短くすることが可能となる。
(実施例2)
次に、連絡路先端に設ける排水穴について説明する。
図5に示すように、排水穴22を連絡路11先端、すなわち鉛直下方に向けて穴径を大きくする(d1<d2)。
このようにすれば、各排水穴22に加わる水圧を同じような値にすることが可能となり、各排水穴22から放出される地下水の量を等しくすることができ、浄化剤8を満遍なく活用することができる。
さらに、図6に示すように、排水穴22を螺旋状に配置してもよい、このようにすれば、連絡路11を中心とする同心円状に、満遍なく連絡路11から地下水を放出することができる。
このようにしても、各排水穴22から放出される地下水の量を等しくすることができ、浄化剤8を満遍なく反応させることができる。
その結果、浄化剤8全体がほぼ均等に酸化還元反応に寄与しているため、浄化剤8を交換した場合、一部未使用域があるなどの無駄を生じることはない。
(実施例3)
次に、気体加温手段にて、加温する気体について説明する。
先に実施例1にて示したように、空気(大気)を用いる場合、供給する気体を特段準備する必要がない、という利点がある。
また、供給する気体として、窒素を用いた場合、土壌中に存在する嫌気性菌を活性化することができる。
次に、供給する気体として、二酸化炭素を用いてもよい。
この場合、二酸化炭素の保温効果により、地下水の温度上昇がより期待できる。
(実施例4)
次に、図7に示すように、柱状体5を千鳥状に配置して浄化壁5bを配置する。
このようにすれば、隣接する柱状体5間を通り抜けた地下水を、次列の柱状体5にて酸化還元反応させることができるので、漏れなく地下水を浄化できる。
本発明の実施例1における地下水浄化装置を横から見た概念図 本発明の実施例1における地下水浄化装置を上から見た概念図 本発明の実施例1における酸化還元電位の時間経過による変位を表す特性図 本発明の実施例1における地下水浄化装置の制御フローチャート 本発明の実施例2における連絡路先端に配置された排水穴の斜視図 本発明の実施例2における他の連絡路先端に配置された排水穴の斜視図 本発明の実施例4における地下水浄化装置の配置図
符号の説明
2 帯水層
4 汚染領域
5 柱状体
6 外壁面
7 内壁面
8 浄化剤
9 浄化剤配置部
10 中空路
11 連絡路
13 観測井戸
14 ORP(酸化還元電位)計
15 ポンプ(揚水手段)
16 揚水路
17 加温手段
18 気体入力路
19 気体出力路
20 制御装置
22 排水穴

Claims (10)

  1. 少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、前記揚水手段および前記中空路を連通する連絡路とを揮発性有機塩素化合物にて汚染された汚染領域の下流に配し、前記揚水路または前記連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記中空路内に配される前記連絡路の側面に排水穴を設け、この排水穴の穴径が鉛直下方に従って大きくなることを特徴とする地下水浄化装置。
  2. 前記排水穴を前記連絡路の側面に沿って螺旋状に施したことを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  3. 少なくとも帯水層に達する長さを有するとともに、本体内部に中空路を構成する内壁面と外壁面との間に浄化剤を配する浄化剤配置部を有する柱状体と、この柱状体の下流に位置する観測井戸と、この観測井戸から揚水路を用いて地下水を汲み上げる揚水手段と、前記揚水手段および前記中空路を連通する連絡路とを揮発性有機塩素化合物にて汚染された汚染領域の下流に配し、前記揚水路または前記連絡路の少なくともいずれかに加温手段を設け、前記観測井戸内に酸化還元電位計測手段を設け、この酸化還元電位計測手段にて測定した前記観測井戸内の地下水の酸化還元電位の測定値に応じて、前記加温手段を制御する加温手段制御部を設けたことを特徴とする地下水浄化装置。
  4. さらに、
    一端に設けた気体入力路から取り入れた気体を加温し、他端に設けた気体出力路から前記加温した気体を前記中空路へ排出する気体加熱手段を設け、前記酸化還元電位計測手段の測定値に応じて前記気体加熱手段を制御する気体加熱制御部を設けたことを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  5. 前記加温手段と前記気体加温手段とを一体とするとともに、前記中空路内に排出する流体を前記地下水または前記気体のいずれかに切換える切換え部とを有し、前記酸化還元電位計測手段の測定値に応じて前記切換え部を制御することを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  6. 前記気体を空気としたことを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  7. 前記気体を窒素としたことを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  8. 前記気体を二酸化炭素としたことを特徴とする請求項に記載の地下水浄化装置。
  9. 前記柱状体を、前記汚染領域を経由して流れる前記地下水の流れを遮る方向に千鳥状に配置したことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の地下水浄化装置。
  10. 請求項に記載の地下水浄化装置において、前記酸化還元電位計測手段の測定値が所定値より高い場合には、前記切換え部を制御することで前記中空路内に排出する流体として地下水を選択し、前記揚水手段にて地下水を汲み上げ、この汲み上げた地下水を加温手段にて温めた後、前記連絡路へ戻すようにするとともに、前記測定値が前記所定値以下の場合には、前記切換え部を制御することで前記中空路内に排出する流体として気体を選択し、前記気体入力路から取り入れた気体を気体加熱手段にて加熱し、他端に設けた前記気体出力路から前記中空路へと温めた気体を送り込むことを特徴とする地下水の浄化方法。
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