JP5722006B2 - 地下水の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地下水の浄化方法に関するものである。
従来、揮発性有機化合物等により汚染された地下水が上流から所定の敷地に流入したり、敷地から下流に流出したりすることを防ぐため、土地の境界部分の地盤内に透過性を有する浄化壁を形成し、汚染された地下水が浄化壁を通過する際に微生物の働きにより浄化する方法が用いられてきた。
例えば、(1)地盤に設置した井戸に嫌気性微生物の活性剤であるEDC(電子供与体)等を注入して浄化壁を形成して、汚染された地下水が浄化壁を通過する際に嫌気性微生物の働きにより浄化する方法があった。また、(2)地盤に掘削した溝穴に流体供給管を挿入して砕石や砂礫を充填し浄化壁を形成して、流体供給管から有機物分解微生物を増殖・活性化させる物質を含む流体を供給し、有機物により汚染された地下水が浄化壁を通過する際に有機物分解微生物によって浄化する方法(例えば、特許文献1参照)があった。
さらに、有機化合物により汚染された土壌を原位置で浄化する方法として、地盤に注入井戸とドレイン管とを設け、注入井戸に浄化用液体を注入し、ドレイン管を介して地下水を吸引する方法(例えば、特許文献2参照)等があった。
特許第372487号公報 特開2007−260610号公報
しかしながら、微生物を早期に活性化させるには、浄化壁内に拡散させた活性剤等の濃度を一定以上に保つことが重要であるが、(1)の方法では、特に地下水の流れに対して垂直な方向への活性剤の拡散が遅いために、浄化壁として機能するまでに時間を要する、井戸と井戸との間に活性剤が広がらない部分が生じて浄化壁として確実に機能しない等の問題が生じる可能性があった。
また、(1)の方法は井戸から活性剤を、(2)の方法は流体供給管から流体を注入するため、汚染地下水の拡散を促進して周辺環境に悪影響を与える恐れがあった。さらに、(1)、(2)の方法とも、例えば、地下水の流れが速い場合や汚染物質の濃度が高い場合は、地下水が浄化壁を通過する際に微生物分解の速度が追いつかないため、壁厚を著しく大きくする必要があり、コストが増大するという問題点があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、嫌気性微生物分解を用いた浄化壁を短期間で経済的に形成し、揮発性有機化合物による汚染地下水を確実かつ迅速に浄化できる地下水の浄化方法を提供することである。
前述した目的を達成するために、本発明は、原位置での地下水の浄化方法であって、地盤に、複数の井戸を、前記複数の井戸の並列方向が地下水の流れの方向と略垂直となるように設置する工程(a)と、前記複数の井戸のうちの揚水井戸から地下水を揚水する工程(b)と、揚水した前記地下水に含まれる揮発性有機化合物を処理する工程(c)と、揚水した前記地下水に、嫌気性微生物を活性化させる活性剤を、前記活性剤の濃度が所定の管理値となるように添加する工程(d)と、前記複数の井戸のうちの注水井戸に、揚水した前記地下水を注入する工程(e)と、を具備し、前記工程(a)の後、揚水した前記地下水中の前記揮発性有機化合物の濃度および前記活性剤の濃度を計測しつつ、前記工程(b)から前記工程(e)を繰り返し、前記揚水井戸と注水井戸が前記地下水の流れの方向と略垂直の方向に交互に配置され、揚水と注水により地下水の流れの方向に対して垂直な方向に地下水が移動することを特徴とする地下水の浄化方法である。
本発明では、地下水を揚水した分だけ注水するため、注水のみを行なう場合と比較して、汚染地下水の周辺への拡散促進を低減できる。また、揚水を併用するため、活性剤を添加した地下水が汚染地下水の流れに垂直な方向に対しても速く動き、活性剤を均質に拡散させることができる。さらに、地下水中の活性剤濃度が一定に近い状態となるように活性剤を添加しながらの注水を繰り返すことにより、地盤内において速い速度での微生物分解が早期に可能となる。
工程(c)では、例えば、鉄粉または/および活性炭を用いて揮発性有機化合物を処理する。揮発性有機化合物を曝気により処理した場合には、地下水が好気性雰囲気(酸化状態)となり嫌気性微生物の活性化の阻害要因となったり、酸素により地下水中の活性剤が分解されたりするが、鉄粉を用いて処理することにより、地下水を還元状態に維持できる。また、酸素による地下水中の活性剤の分解を低減し、活性剤の無駄を最小限に抑えることができる。
工程(b)から工程(e)の繰り返しにおいて、揮発性有機化合物の濃度が所定の管理値に達した場合には、工程(c)を省略することが望ましい。また、工程(d)の前に計測した活性剤の濃度が所定の管理値に達した場合には、工程(d)を省略することが望ましい。さらに、活性剤の濃度が所定の管理値付近に所定の期間維持されていることを確認した後は、工程(b)から工程(e)の繰り返しを終了することが望ましい。
本発明では、地下水中の揮発性有機化合物の濃度および活性剤の濃度を計測することにより、活性剤の拡散状況や揮発性有機化合物の分解状況を把握できる。また、揮発性有機化合物の濃度や活性剤の濃度が所定の管理値に達した後、揮発性有機化合物の処理や活性剤の添加を省略することにより、浄化にかかる経費を削減することができる。本発明では、所定の期間、活性剤の濃度が所定の管理値に維持されていることを確認し、揚水および注水を終了した後にも、維持管理が不要な微生物分解バリアが機能する。
本発明によれば、嫌気性微生物分解を用いた浄化壁を短期間で経済的に形成し、揮発性有機化合物による汚染地下水を確実かつ迅速に浄化できる地下水の浄化方法を提供できる。
地盤5に設置された浄化システム1の概要図 地盤5に設置された浄化システム1の水平断面図 汚染地下水17を浄化するための各ステップを示す図 揚水開始からの経過時間とVOC濃度および活性剤濃度との関係を示す模式的な図 室内実験の実験方法の概要を示す図 汚染物質の流出を防ぐために浄化システム1を設置した例を示す図
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、地盤5に設置された浄化システム1の概要図を、図2は、地盤5に設置された浄化システム1の水平断面図を示す。図1は、図2に示す矢印F−Fによる断面図である。
図1および図2に示すように、浄化システム1は、所定の敷地4の境界付近の地盤5に設置される。浄化システム1は、複数の井戸3、シール層7、パイプ9a、パイプ9b、パイプ11、VOC処理設備13、活性剤水溶液タンク15等からなる。浄化システム1は、揮発性有機塩素化合物(以下、VOCとする)を浄化の対象とする。
複数の井戸3は、地盤5内に所定の間隔をおいて垂直に設置される。このとき、複数の井戸3を含む面(井戸の並列方向)が、図1および図2の矢印Aに示す汚染地下水17の流れの方向と略垂直となるようにする。複数の井戸3は、注水井戸3aと揚水井戸3bとからなる。注水井戸3aと揚水井戸3bとは、交互に配置される。シール層7は、必要に応じて、地盤5の表面に設けられる。
パイプ9aは、一端が注水井戸3aに、他端がVOC処理設備13に接続される。パイプ9bは、一端が揚水井戸3bに、他端がVOC処理設備13に接続される。パイプ11は、一端がパイプ9aに、他端が活性剤水溶液タンク15に接続される。VOC処理設備13は、鉄粉の入ったタンクであり、パイプ9aが接続される面に、鉄粉を通過させないメッシュ14が設置される。活性剤は、例えば、乳酸、グルコース、エタノール、グリセロール、酢酸、酪酸、プロピオン酸、蟻酸、ソルビトール、オリゴ乳酸、シュークロース、ポリ乳酸、大豆油、エマルジョン油等を用いる。
浄化システム1では、ポンプ(図示せず)等により、揚水井戸3bから地盤5中の地下水が揚水される。揚水した地下水は、パイプ9bを介してVOC処理設備13へ送られる。揚水した地下水中のVOCは、VOC処理設備13に充填された鉄粉により処理される。
VOC処理設備13で処理された地下水はパイプ9aに送られ、計測装置16によってVOCの濃度および活性剤の濃度が計測される。その後、活性剤の濃度が所定の管理値となるように、パイプ11を介して活性剤水溶液タンク15からパイプ9a内の地下水に活性剤が添加される。活性剤が添加された地下水は、パイプ9aから注入井戸3aに注入される。
浄化システム1では、揚水時に地盤5内に図1の矢印Cに示す流れが生じ、注水時に地盤5内に図1の矢印Bに示す流れが生じる。これにより、汚染地下水17の流れの方向(矢印Aに示す方向)に対して垂直な方向に地下水が移動し、井戸3の周囲の地盤5に活性剤が均一に拡散する。図2に示すように、活性剤が拡散した部分は浄化壁21として機能する。浄化壁21に流入した汚染地下水17中のVOCは、浄化壁21を透過する間に、活性剤により活性化された嫌気性微生物の働きによって分解され、浄化された地下水19として浄化壁21から流出する。
次に、図1および図2に示す浄化システム1を用いて地下水を浄化する方法について説明する。図3は、汚染地下水17を浄化するための各ステップを示す図である。図4は、揚水開始からの経過時間とVOC濃度および活性剤濃度との関係を示す模式的な図である。図4において、実線23はVOC濃度の変化を、実線25は活性剤濃度の変化を示す。また、破線29はVOC濃度の管理値を、破線31は活性剤濃度の管理値を示す。
(ステージ27−1)図4に示すステージ27−1は、揚水した地下水中のVOCを地上のVOC処理設備13において処理すると同時に、活性剤を添加した地下水を地盤5に注水し、浄化壁21内の地下水の活性剤の濃度を調整する期間である。ステージ27−1では、図3に示すステップ102−1からステップ106−1を同時進行で繰り返す。
(ステップ101)ステップ101では、地盤5内に複数の井戸3を所定の間隔をおいて垂直に設置する。このとき、複数の井戸3を含む面が、図1および図2の矢印Aに示す汚染地下水17の流れの方向と垂直となるようにする。また、注水井戸3aと揚水井戸3bとを交互に配置する。ステップ101では、井戸3の他に、シール層7、VOC処理設備13、活性剤水溶液タンク15等を設置して、浄化システム1を構築する。
(ステップ102−1、ステップ103−1)ステップ102−1では、ポンプ(図示せず)等を用いて、揚水井戸3bから地盤5内の地下水を揚水する。ステップ103−1では、揚水した地下水を、パイプ9bを介してVOC処理設備13に送水し、鉄粉により地下水中のVOCを還元処理する。そして、計測装置16により、処理後の地下水のVOCの濃度および活性剤の濃度を計測する。
(ステップ104)ステップ104では、計測したVOCの濃度が所定の管理値に達したか否かを判定する。図4の実線23に示すVOC濃度が破線29に示す所定の管理値に達していない場合は、ステップ105−1に進む。
(ステップ105−1、ステップ106−1)ステップ105−1では、活性剤水溶液タンク15から、パイプ11を介して、パイプ9a内の地下水に嫌気性微生物を活性化させる活性剤を添加する。このとき、地下水中の活性剤の濃度が図4の破線31に示す所定の管理値となるようにする。すなわち、破線31と実線25との濃度差に相当する量の活性剤を算出して添加する。ステップ106−1では、活性剤を添加した地下水を、注水井戸3aから地盤5に注水する。
(ステージ27−1の終了)ステージ27−1では、揚水と注水を同時に行うことにより、地盤5中に図1の矢印Bおよび矢印Cに示すような流れが生じる。これにより、矢印Aに示す汚染地下水17の流れの方向に対して垂直な方向に活性剤を含む地下水が早期に均一に拡散し、図2に示すような浄化壁21が形成される。ステージ27−1では、地下水中のVOCを、地上のVOC処理設備13で処理すると同時に、地盤5内の浄化壁21中の嫌気性微生物の働きにより分解処理する。そして、ステップ104での判定の結果、図4の実線23に示すVOC濃度が破線29に示す所定の管理値に達した場合は、ステージ27−1を終了し、ステージ27−2のステップ107に進む。
(ステージ27−2)図4に示すステージ27−2は、活性剤を添加した地下水を地盤5に注水し、浄化壁21内の地下水の活性剤の濃度を調整する期間である。ステージ27−2では、図3に示すステップ102−2からステップ106−2を同時進行で繰り返す。ステージ27−2では、地上のVOC処理設備13での処理を停止する。
(ステップ102−2)ステップ102−2では、ポンプ(図示せず)等を用いて、揚水井戸3bから地盤5内の地下水を揚水する。そして、計測装置16により、処理後の地下水のVOCの濃度および活性剤の濃度を計測する。
(ステップ107)ステップ107では、計測した活性剤の濃度が所定の管理値に達したか否かを判定する。図4の実線25に示す活性剤濃度が破線31に示す所定の管理値に達していない場合は、ステップ105−2に進む。
(ステップ105−2、ステップ106−2)ステップ105−2では、活性剤水溶液タンク15から、パイプ11を介して、パイプ9a内の地下水に嫌気性微生物を活性化させる活性剤を添加する。このとき、地下水中の活性剤の濃度が図4の破線31に示す所定の管理値となるようにする。すなわち、破線31と実線25との濃度差に相当する量の活性剤を算出して添加する。ステップ106−2では、活性剤を添加した地下水を、注水井戸3aから地盤5に注水する。
(ステージ27−2の終了)ステージ27−2では、引き続き揚水と注水を同時に行うことにより、活性剤を含む地下水を均一に拡散させる。ステージ27−2では、地下水中のVOCを、地盤5内の浄化壁21中の嫌気性微生物の働きにより分解処理する。そして、ステップ107での判定の結果、図4の実線25に示す活性剤濃度が破線31に示す所定の管理値に達した場合は、ステージ27−2を終了し、ステージ27−3のステップ108に進む。
(ステージ27−3)図4に示すステージ27−3は、浄化壁21内の地下水の活性剤の濃度が維持されていることを確認する期間である。ステージ27−3では、図3に示すステップ102−3からステップ106−3を同時進行で繰り返す。ステージ27−3では、揚水された地下水への活性剤の添加を停止する。
(ステップ102−3)ステップ102−3では、ポンプ(図示せず)等を用いて、揚水井戸3bから地盤5内の地下水を揚水する。そして、計測装置16により、処理後の地下水のVOCの濃度および活性剤の濃度を計測する。
(ステップ108)ステップ108では、計測した活性剤の濃度が所定の期間維持されているか否かを判定する。図4の実線25に示す活性剤濃度が破線31に示す所定の管理値に維持された期間が所定の長さに達していない場合は、ステップ106−3に進む。
(ステップ106−3)ステップ106−3では、揚水した地下水を、注水井戸3aから地盤5に注水する。
(ステージ27−3の終了)ステージ27−3では、引き続き揚水と注水を同時に行って活性剤を含む地下水を均一に拡散させ、地下水中のVOCを、地盤5内の浄化壁21中の嫌気性微生物の働きにより分解処理する。そして、ステップ108での判定の結果、図4の実線25に示す活性剤濃度が破線31に示す所定の管理値に維持された期間が所定の長さに達した場合は、ステージ27−3を終了する。
(ステージ27−4)図4に示すステージ27−4は、浄化システム1による維持管理を行なわず、浄化壁21を微生物分解バリアとして用いる期間である。ステージ27−3までの工程を一定期間(たとえば1年以下)実施して、VOC濃度が十分に低下し、活性剤濃度を適切な管理値に維持した状態で浄化システム1の稼働を止めれば、その後(例えば6ヶ月程度)はメンテナンスフリーの微生物分解バリアにより、コストをかけずに汚染地下水の流入を防止できる。
図3に示すステージ27−1からステージ27−3では、必要に応じて、計測装置16により計測した処理後のVOCの濃度や活性剤の濃度の情報を記憶装置等に記憶させておき、コンピュータ等でこれらの値の変化予測を行うことができる。また、VOCの濃度の計測値や予測値、これらの値とVOCの濃度の管理値との関係、活性剤の濃度の計測値や予測値、これらの値と活性剤の濃度の管理値との関係等を、表示装置で適宜表示することができる。
次に、浄化システム1を模した室内実験について説明する。図5は、室内実験の実験方法の概要を示す図である。図5に示すように、室内実験では、嫌気性微生物を含む土壌カラム33と、汚染された地下水に相当する流体が入ったテドラーバッグ35とをパイプ37で連結した装置を用いた。そして、同じ土壌カラム33について、(1)活性剤添加位置39で微生物の活性剤を添加して、活性剤水溶液を一度通水した場合、(2)活性剤濃度が一定となるように管理しつつ活性剤添加位置39で活性剤を添加して、活性剤水溶液を複数回循環させた場合について、活性剤添加位置39で採水し、VOC濃度の分析を行なった。
(1)の場合では、汚染物質が分解生成物まで分解するのに、35日程度を要した。一方で、(2)の場合では、分解期間は7日程度となった。室内実験により、活性剤水溶液を繰り返し循環させるほど、土壌カラム33内で活性剤が均質に広がって微生物活性が高まり、短期間で汚染物質を分解して地下水を浄化できることが確認できた。
このように、本実施の形態によれば、地下水を揚水した分だけ注水するため、注水のみを行なう場合と比較して、汚染地下水17の周辺への拡散促進を低減できる。また、揚水を併用するため、活性剤を添加した地下水が汚染地下水17の流れに垂直な方向に対しても速く動いて活性剤を均質に拡散させることができ、浄化壁21中に微生物活性が不良な場所が発生しない。さらに、揚水した地下水中の揮発性有機化合物の濃度および活性剤の濃度を計測することにより、活性剤の拡散状況や揮発性有機化合物の分解状況を確実に把握できる。
本実施の形態では、地下水中の活性剤濃度が微生物活性に良好な一定に近い状態となるように活性剤を添加しながら揚水と注水とを繰り返し、微生物活性を持続して高める。これにより、地盤内において速い速度での微生物分解が早期に可能となり、短期間で高性能の浄化壁21を作成できる。浄化壁21は、従来の浄化壁よりも汚染物質の分解が速いため、壁厚が薄くても、流速が速いまたは汚染物質の濃度が高い汚染地下水を処理することができる。例えば、従来であれば浄化壁厚さを厚くするために2列の注入井戸が必要な場合でも、本実施の形態によれば、揚水井戸・注水井戸を1列に配置したもので対応でき、工期短縮および工費削減が可能である。
本実施の形態では、揚水した地下水に対して鉄粉を用いた処理を行うことで、地下水を還元状態に維持して再注水することができる。一般的に、VOC汚染地下水は、曝気により気化したVOCを活性炭で吸着するなどの方法で浄化処理を行うが、曝気処理では空気中の酸素と大量に接触するため、地下水が好気性雰囲気(酸化状態)となり嫌気性微生物の活性化の阻害要因となったり、酸素により地下水中の活性剤が分解されたりする。本実施の形態では、鉄粉を用いて処理することにより、地下水を還元状態に維持できる。また、地下水中の活性剤の分解を低減し、活性剤の無駄を最小限に抑えることができる。
本発明では、また、VOC濃度や活性剤濃度が所定の管理値に達した後、VOCの処理や活性剤の添加を省略することにより、浄化にかかる経費を削減することができる。本発明では、所定の期間、活性剤の濃度が所定の管理値に維持されていることを確認し、揚水および注水を終了した後にも、維持管理を行なうことなく浄化壁21の微生物分解バリアが機能する。
なお、本実施の形態では、図2に示すように、敷地4内の地盤5に汚染地下水17が流入するのを防ぐために浄化システム1を設置したが、浄化壁21の用途はこれに限らない。
図6は、汚染物質の流出を防ぐために浄化システム1を設置した例を示す図である。図6に示す例では、地盤5a内を矢印Dに示す方向に流れる汚染地下水17が敷地4aの外部に流出するのを防ぐため、本実施の形態で述べた浄化システム1を敷地4aの下流側の境界部分に設置している。汚染地下水17は浄化壁21によって浄化され、浄化された地下水19が矢印Eに示す方向に流れ出る。
本実施の形態では、揚水した地下水中のVOCを、VOC処理設備13に充填された鉄粉により処理したが、活性炭や、鉄粉と活性炭との混合物を用いて処理してもよい。
また、本実施の形態では、図3に示すように、揚水した地下水のVOCの濃度が所定の管理値に達した場合に、VOC処理設備13による地上でのVOC処理を終了したが、VOCの濃度が所定の管理値に達した場合にも地上でのVOC処理を継続してよい。
さらに、本実施の形態では、図1に示すようにシール層7を形成したが、本発明の地下水の浄化方法では、揚水を行なっており、注水しても地下水位が上昇することは軽減されるため、シール層7は必ずしも必要でない。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………浄化システム
3………井戸
3a………注水井戸
3b………揚水井戸
5………地盤
13………VOC処理設備
15………活性剤水溶液タンク
21………浄化壁

Claims (5)

  1. 原位置での地下水の浄化方法であって、
    地盤に、複数の井戸を、前記複数の井戸の並列方向が地下水の流れの方向と略垂直となるように設置する工程(a)と、
    前記複数の井戸のうちの揚水井戸から地下水を揚水する工程(b)と、
    揚水した前記地下水に含まれる揮発性有機化合物を処理する工程(c)と、
    揚水した前記地下水に、嫌気性微生物を活性化させる活性剤を、前記活性剤の濃度が所定の管理値となるように添加する工程(d)と、
    前記複数の井戸のうちの注水井戸に、揚水した前記地下水を注入する工程(e)と、
    を具備し、
    前記工程(a)の後、揚水した前記地下水中の前記揮発性有機化合物の濃度および前記活性剤の濃度を計測しつつ、前記工程(b)から前記工程(e)を繰り返し、
    前記揚水井戸と注水井戸が前記地下水の流れの方向と略垂直の方向に交互に配置され、揚水と注水により地下水の流れの方向に対して垂直な方向に地下水が移動することを特徴とする地下水の浄化方法。
  2. 前記工程(c)で、鉄粉または/および活性炭を用いて前記揮発性有機化合物を処理することを特徴とする請求項1記載の地下水の浄化方法。
  3. 前記工程(b)から前記工程(e)の繰り返しにおいて、
    前記揮発性有機化合物の濃度が所定の管理値に達した場合、前記工程(c)を省略することを特徴とする請求項1記載の地下水の浄化方法。
  4. 前記工程(b)から前記工程(e)の繰り返しにおいて、
    前記工程(d)の前に計測した前記活性剤の濃度が前記所定の管理値に達した場合、前記工程(d)を省略することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の地下水の浄化方法。
  5. 前記活性剤の濃度が前記所定の管理値付近に所定の期間維持されていることを確認した後、前記工程(b)から前記工程(e)の繰り返しを終了することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の地下水の浄化方法。
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