JP4315294B2 - 汚染物質濃度計測工法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶剤その他の揮発性物質(VOC)や重金属等の汚染物質により汚染されてしまった土壌において、当該汚染物質の濃度を計測するための技術に関する。
近年における土壌汚染に対する認識が高まっていることに関連して、土壌中における汚染物質を除去する技術、すなわち汚染土壌浄化技術が種々提案されている。
従来の汚染土壌浄化技術として、例えば、汚染流域の土壌を採取して通水浄化の室内試験を行い、そのデータに基いて、汚染濃度の経時変化を三次元的にシミュレーションする技術が知られている(特許文献1参照)。
ここで、汚染物質の濃度の計測については、汚染領域の土壌を試料として採取し、当該試料に対して物理的処理、化学的処理を施すことにより行うのが一般的である。
しかし、土壌粒子は、それ自体が格子状の構造を具備しているため、VOC等の汚染物質が当該格子内に取り込まれた場合には、当該取り込まれた汚染物質は格子構造の外部へ移動し難い。また、例えば土壌が粘土である場合、粘土粒子は電荷を持ち、その電荷によりVOC等の汚染物質を電気的に吸着している。勿論、粘土以外の土壌粒子表面にも、電気的な吸着力以外の作用によって、汚染物質が吸着する。
汚染物質が土壌粒子の格子内に取り込まれた場合や、汚染物質が土壌粒子表面に吸着した場合の何れにおいても、汚染物質が土壌粒子から分離した状態にはなり難い。そして、従来技術において行われる物理的処理、化学的処理を施したのでは、汚染物質は土壌粒子から分離し難い。
汚染物質は土壌粒子から分離しない状態では、汚染物質の検出が困難な場合が多い。そのため、従来技術においては、土壌から水中に溶出した汚染物質を基準に汚染物質濃度を計測している。
換言すれば、土壌粒子から分離せず、水中に溶出していない汚染物質は、従来技術では検出そのものが困難であり、土壌粒子から分離していない状態の汚染物質の存在をも考慮して、汚染土壌の実態に近い汚染物質濃度を計測することが出来なかった。
特開2006−116509号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、土壌粒子から分離していない状態の汚染物質の存在をも考慮して、汚染土壌の実態に近い汚染物質濃度を計測することが出来る汚染物質濃度計測工法の提供を目的としている。
発明者等は種々研究の結果、土壌粒子と電気的に吸着し或いは土壌粒子の格子状の構造に取り込まれて、外部へ溶出し難い状態となっている汚染物質であっても、高温且つ高エネルギーの噴流と衝突することにより、土壌粒子から分離或いは剥離することを見出した。
本発明の汚染物質濃度計測工法は、半径方向外方に充填材料(C)を注入し、そして圧縮空気で周囲を包囲した切削用の高温水の交差噴流(Jc)を噴射させる三重管ロッド(2)を用い、汚染物質で汚染した汚染領域(Gp)に充填材料(C)を充填する際に発生するスライム(S)又はガスを採取して揮発性物質や重金属の汚染物質の濃度を計測する汚染物質濃度計測工法において、汚染物質の濃度を計測する土壌中の領域までボーリング孔(H)を掘削し、ボーリング孔(H)に三重管ロッド(2)を挿入し、その三重管ロッド(2)を回転させながら引き上げて圧縮空気で包囲した高温水の交差噴流によって粘土粒子や土壌粒子を細断すると共にその表面から汚染物質を分離して充填材料(C)を注入し、地上側に排出されるスライムの一部をスライムサンプル抽出装置(10)に抽出させると共にガス採取装置(108)に地上側に排出される空気と気相の汚染物質との混合気体を吸引させ、スライムサンプル抽出装置(10)で抽出したスライムを揮発性物質濃度分析装置(106)で濃度を測定し、ガス採取装置(108)で吸引された前記混合気体は別の揮発性物質濃度分析装置(104)で濃度を測定する。
また本発明の汚染物質濃度計測工法は、半径方向外方に充填材料(C)を注入し、そして圧縮空気で周囲を包囲した切削用の高温水の交差噴流(Jc)を噴射させる三重管ロッド(2)を用い、汚染物質で汚染した汚染領域(Gp)に充填材料(C)を充填する際に発生するスライム(S)又はガスを採取して揮発性物質や重金属の汚染物質の濃度を計測する汚染物質濃度計測工法において、汚染物質の濃度を計測する土壌中の領域までボーリング孔(H)を掘削し、そのボーリング孔(H)に三重管ロッド(2)を挿入し、その三重管ロッド(2)から圧縮空気で包囲した高温水の交差噴流(Jc)を噴射させて粘土粒子や土壌粒子を細断し、そして充填材料(C)を注入しつつ回転させながら上方に引き上げる作業を行い、汚染物質を溶出したスライムを空気と共に上昇させてその一部を試料として採取してその濃度を計測し、その濃度が閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上であれば比重の大きい充填材料を用いて2回目の汚染領域の全量置換を行い、閾値未満であれば切削、スライム処理、充填材料の再充填を繰り返し、スライム中の汚染物質の濃度を計測し、汚染物質の濃度が環境基準値以下であれば浄化処理を終了する。
上述する構成を具備する本発明の汚染物質濃度計測工法によれば、噴射及び注入装置の上方に設けたノズルから高温の流体の噴流(例えば、いわゆる「交差噴流」)を噴射しており、汚染土壌は、高温(例えば、80℃〜90℃)の水から構成され、多大な運動エネルギーを保有する噴流によって、細かく破砕される。
その結果、土壌に付着したVOC等の汚染物質は、噴流の熱及び運動エネルギーの相乗作用によって、土壌が細かく破砕される際に土壌粒子から分離或いは剥離される。
土壌粒子から分離或いは剥離された汚染物質は、スライム中に溶出した状態となり、或いは、気相となって交差噴流と共に噴射された空気と混合した状態となる。
汚染物質が溶出したスライム、及び/又は、気相の汚染物質が混合した気体は、ボーリング孔を介して地上側へ流出する。換言すれば、汚染物質は、スライム或いは気体に連行されて、原位置から地上側へ移動する。
例えば、土壌が粘土である場合、粘土粒子は電荷を持ち、その電荷によりVOC等の汚染物質を電気的に吸着する。或いは、土壌粒子自体が格子状の構造を具備しており、VOC等の汚染物質は当該格子内に取り込まれて、外部へ溶出し難い状態となっている。
しかし、本発明において、高温で且つ高エネルギーの噴流で粘土粒子が細断されることにより、粘土粒子へ電気的に吸着した汚染物質は、当該粘土粒子から剥離する。或いは、土壌粒子の格子状の構造が、高温で且つ高エネルギーの噴流により破壊されて、格子内部に閉じ込められた汚染物質が溶出し易くなる。
すなわち、本発明によれば、従来技術では除去が困難であった粘土に含有された汚染物質をも、粘土から剥離、除去して、スライム中に溶出した状態となり、及び/又は、気相となって噴射された空気と混合した状態になる。
スライム中で溶出した状態であれば、曝気や電気泳動その他の各種手段によって、汚染物質は容易に且つ確実にスライム中から除去される。従って、汚染土壌に付着した状態の汚染物質よりも、スライム中に溶出している状態の汚染物質のほうが、除去が容易である。
同様に、気相汚染物質は、ブロワその他の吸引手段により吸引して、容易に除去することが出来る。
発明者等の実験によれば、従来の汚染物質濃度計測工法で水に溶出した汚染物質の濃度を計測することに比較して、本発明で計測された汚染物質濃度は、2倍〜数10倍程度の高い数値を示すことが判明している。係る事実は、以下の理由によるものと推定される。
従来の汚染物質濃度計測工法では、計測が為される汚染土壌の土壌粒子に取り込まれ、或いは、土壌粒子の表面に吸着されたVOC等の汚染物質は、土壌粒子から分離し難い。そのため、従来技術では、汚染土壌の土壌粒子に取り込まれ或いは電気的に吸着されたVOC等の汚染物質は、水に溶出し難くなり、その実際の含有量を計測機器で検出することが不可能であった。
それに対して、本発明によれば、高温で且つ高エネルギーの噴流により、土壌粒子の格子構造は破壊され、粘土粒子と電気的に吸着された汚染物質が剥離或いは分離されるので、従来技術では検出不可能であった汚染物質が、計測可能な状態となる。従って、本発明による計測結果は、従来の計測方法に比較して、汚染土壌の実体をより正確に示すことが出来るのである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図4を参照して、本発明の汚染物質濃度計測工法の第1実施形態を説明する。
図1において、汚染物質濃度計測工法を実施するための計測システムは、施工用マシン101と、掘削機1と、スライム貯留タンク4と、ガス中のVOC濃度分析装置104(例えば、「ガスクロマトグラフ−光イオン化検出法(GC−PID)」を用いた分析装置)と、スライム中のVOC濃度分析装置106とを備えている。
図1、図2では、既に削孔されたボーリング孔Hに、掘削機1の後述する三重管ロッド2が挿入され、汚染物質濃度計測工法を施工している状態が示されている。
図1、図2において、符号Gは土壌一般を示し、符号Gpは汚染土壌或いは汚染領域を示す。
特に図2で詳細に示す通り、掘削機1は、三重管ロッド2を備えている。三重管ロッド2は、第1の管21と、第2の管22と、第3の管23とが、同心となる様に構成されている。第1の管21が半径方向最内方に配置されており、第3の管23が半径方向最外方に配置されている。
図1及び図2において、ボーリング孔HにはケーシングパイプCPが挿入されている。
第1の管21内を充填材料Cが供給される。第1の管21の先端(図2では下端)近傍において、充填材料注入口21oが形成されている。
充填材料Cとしては、通常の固化材のみならず、後述する第2実施形態で説明するように、浄化されたスライムを、再投入して用いることが可能である。また、浄化されたスライムは、切削流体として再投入することが可能である。
第2の管22及び第3の管23には、ノズル221、222が設けられている。ノズル221、222は上下方向に離隔しており、且つ、対となって設けられている。一対のノズル221、222から噴射されるジェット噴流J1、J2は、所定位置Pjc(交差点)で衝突して、いわゆる「交差噴流」Jcを構成している。
ここで、ケーシングパイプCPは、交差噴流Jcと干渉しない様に配置されている。
なお、図2では交差噴流Jcを噴射するノズル221、222は一対のみ示されているが、交差噴流Jcを噴射するノズルを複数対設けることが出来る。
ジェット噴流J1、J2は、超高圧の高温水で構成されるのが好ましい。そして、高温水の温度は、切削流体である水が沸騰しない程度の温度、例えば、80〜90℃であるのが好ましい。
図2の三重管ロッド2において、ノズル221、222から充填材料注入口21oに至る領域の機器が、充填用のモニタ20(噴射及び注入装置)を構成している。
図2において、高温水噴流J1、J2の周囲を、高温の圧縮空気のジェットJaで包囲している。詳細には図示されていないが、ノズル221、222は同心に配置されており、半径方向内側は第1の管21と第2の管22との環状空間と連通しており、半径方向内側から高温水噴流J1、J2が噴射される。そして、ノズル221、222の半径方向外側は、第2の管22と第3の管23との環状の空間と連通しており、半径方向外側から高温圧縮空気ジェットJaが噴射される。
圧縮空気のジェットJaの温度は、噴流J1、J2を構成する水を気化させない程度の温度である。ただし、圧縮空気ジェットJaは、省略することも可能である。
また、上述の内容では、三重管ロッド2において、充填材料Cが第1の管21内を流れ、高圧温水が第1の管21と第2の管22との間の環状空間を流れ、高温圧縮空気が第2の管22と第3の管23との間の環状の空間を流れているが、それに限定される訳ではない。例えば、充填材料Cを第2の管22と第3の管23の環状空間を介して供給し、高圧温水が第1の管21内を流れ、高温圧縮空気が第1の管21と第2の管22の環状空間を介して供給される様に構成しても良い。
図1において、三重管ロッド2の地上E側の端部には、三重管スイベル9が取付けられている。
図示はされていないが、三重管スイベル9には、充填材料供給口、超高圧水供給口、圧縮空気供給口が設けられている。第1の管21は充填材料供給口(図示せず)に連通している。第1の管と第2の管22との間の環状の空間は、図示しない超高圧水供給口に連通している。そして、第2の管22と第3の管23との間の環状空間は、図示しない圧縮空気供給口に連通している。
図2において、地表Ef近傍では、三重管ロッド2は口元管3で覆われている。口元管3の外周には、接続口3oが形成されている。明確には図示されていないが、接続口3oは、第3の管23とケーシングパイプCPとの間の環状空間Kと連通している。
第3の管23とケーシングパイプCPとの間の環状空間Kは、スライム及び/又はガスが地上側へ浮上する排出流路となっている。図2において、環状の流路Kにおける矢印Sは、スライム及び/又はガスの流れの方向を示している。
接続口3oには、第1のスライム搬送管T1の一端T1aが接続されている。
口元管3の地下側には、カバー3Cが設置されている。
万一、口元管3から有害物質を含むスライムや気体が漏れ出した場合に、漏れ出したスライム及び/または気体が飛散して、地表側や地下に浸透したり、周辺の環境を汚染することを防ぐために、カバー3Cが設けられている。
口元管3及びカバー3Cは、公知の手段、例えばフランジ等によって接続されている。
図1において、第1のスライム搬送管T1の口元管3から離隔した側の端部T1bは、スライム貯留タンク4内の上方から下方に向かって開口している。
図1及び図2において、第1のスライム搬送管T1における口元管3近傍の領域には、スライムサンプル抽出装置10が介装されている。
スライムサンプル抽出装置10は、施工領域から地上側に排出されたスライムの一部をサンプル(試料)として抽出している。
抽出されたサンプルは、人手或いは搬送ライン等により(図1では符号Lc1を付した一点鎖線のラインを示す)、スライム中のVOC濃度分析装置106に送られる。スライム中のVOC濃度分析装置106は従来、公知の分析装置である。
スライム中のVOC濃度分析装置106において、分析のために必要な物理的処置、化学的処置が為された後、スライム中に含まれる各種汚染物質濃度が測定される。
スライムサンプル抽出装置10に加えて、スライム貯留タンク4には、ガス採取装置108が設けられている。ガス採取装置108は、第1のスライム搬送管T1の端部T1b近傍に位置している。
汚染物質はスライムに溶出するが、圧縮空気ジェットJaの空気と混合して、地上側へ出てくる。そして、第1のスライム搬送管T1からは、圧縮空気ジェットJaを構成したエアが排出されるが、気化した汚染物質、例えば気相のVOC等の汚染物質が間欠的に噴出する。
ガス採取装置108はラインLc2に接続しており、ラインLc2にはブロワ等の吸引装置(図1では図示せず)が介装されている。図示しない吸引装置で気相の汚染物質を吸引し、ラインLc2を介して採取されたガス(気相の汚染物質と空気との混合ガス)を分析装置であるガス中のVOC濃度分析装置104に送り、リアルタイムで汚染物質濃度を測定する。
図1、図2で示す実施形態において、切削流体或いは充填材料Cに、化学品(例えば、還元剤や酸化剤等)を含有させても良い。或いは、交差噴流Jcを構成する切削流体に、微生物、微生物の栄養素、微生物を使用したVOC分解剤(例えば、商品名「HRC」として市販されているVOC分解剤等)等を含有させても良い。
係る薬剤等を切削流体或いは充填材料Cに添加することにより、後述する第2実施形態において、汚染土壌の浄化工法と組み合わせて施工する際に、施工の効率が向上するからである。
図1、図2で示す実施形態に係る汚染物質濃度計測工法の施工手順について、図3を主に参照して説明する。
汚染物質濃度の計測にあたって、先ず、汚染物質(例えばVOC)の濃度を計測するべき土壌中の領域まで、ボーリング孔H(図1)を掘削する(図3のステップS1)。そして、ボーリング孔H内に、三重管ロッド2を挿入する(ステップS2)。
図1、図2を参照して上述したように、三重管ロッド2には、交差噴流Jcを噴射する一対のノズル221、222と、充填材料Cを注入する充填材料注入口21oが設けられている。
挿入された三重管ロッド2が汚染物質の濃度を計測するべき領域まで到達したならば(図1、図2で示す状態)、一対のノズル221、222から交差噴流Jcを噴射し、充填材料注入口21oから充填材料Cを注入する(ステップS3)。
ステップS3では、高温で且つ高エネルギーの交差噴流Jcで粘土粒子が細断され、以って、粘土粒子へ電気的に吸着した汚染物質や土壌粒子表面に吸着した各種汚染物質は、当該粘土粒子や土壌粒子の表面から剥離或いは分離する。そして、ステップS3において高温で且つ高エネルギーの交差噴流Jcで土壌粒子が細断されることにより、土壌粒子の格子状の構造が交差噴流Jcにより破壊され、格子内部に閉じ込められた汚染物質が土壌粒子から分離する。
分離した汚染物質はスライム中に溶出し、或いは、交差噴流Jcと共に噴射された空気と混合する。そして、スライムに溶出した状態で、或いは、ボーリング孔Hを上昇する気体に混合した状態で、地上側へ上昇する。
また、ステップS3において、充填材料注入口21oから充填材料Cを注入されることにより、交差噴流Jcで切削された領域の鉛直方向下方には充填材料Cが沈降する。充填材料Cが沈降することにより、汚染物質が溶出したスライムが交差噴流Jcで切削された領域の鉛直方向下方に移動することが防止される。
そのため、汚染物質が溶出したスライムは、沈降せずに、地上側へ浮上する。
ステップS3で地上側へ上昇したスライム及び気体は、口元管3及びカバー3C(図2)により、地表側や地下に浸透することが防止され、周辺の環境を汚染することは無い。
上述した通り、汚染物質濃度は、スライム中のVOC濃度分析装置106によりスライムを分析して測定することも出来るし、或いは、汚染物質を混合した気体をガス中のVOC濃度分析装置104で分析することによっても測定できる。
スライムを分析して汚染物質濃度を測定する場合には(ステップS4で「スライム計測」)、地上側へ上昇したスライムの一部をスライムサンプル抽出装置10で抽出する(ステップS5)。
そして、抽出されたサンプルは、人手或いは搬送ライン等(Lc1)を介してスライム中のVOC濃度分析装置106に送り、必要な処理を行って汚染物質濃度を測定する(ステップS6)。
汚染物質を混合した気体を分析して汚染物質濃度を測定する場合には(ステップS4で「ガス計測」)、ボーリング孔H及び口元管3を経由し、第1のスライム搬送管T1を介してスライム貯留タンク4内に送られた気体、すなわち空気と気相の汚染物質との混合気を、ガス採取装置108により吸引する(ステップS7)。
ガス採取装置108で吸引された気体は、ラインLc2を介してガス中のVOC濃度分析装置104に送られ、公知の技術により汚染物質濃度(例えば、VOC濃度)が測定される(ステップS8)。
ここで、地上側へ上昇したスライム及び気体の双方を用いて、汚染物質濃度を決定することが可能である。その様な場合(ステップS4で「ガス及びスライムの双方を計測」)、スライムの一部をスライム中のVOC濃度分析装置106で採取すると共に、地上側へ上昇した気体をガス採取装置108により吸引する(ステップS9)。
そして、採取されたスライムをスライム中のVOC濃度分析装置106で分析して汚染物質濃度を測定すると共に、吸引された気体をガス中のVOC濃度分析装置104で処理して汚染物質濃度を測定する(ステップS10)。そして、スライム中のVOC濃度分析装置106における汚染物質濃度測定結果と、ガス中のVOC濃度分析装置104における汚染物質濃度測定結果とを参照して、汚染物質濃度を決定する。
図1〜図3において、従来技術では除去が困難であった汚染物質も、高温水の交差噴流Jcで汚染土壌を切削することにより、粘土や土壌粒子から剥離、除去して、スライム中に溶出し、或いは、ボーリング孔Hから湧出する気体に混合した状態となる。
すなわち、高温で且つ高エネルギーの交差噴流Jcで粘土粒子が細断されることにより、粘土粒子へ電気的に吸着した汚染物質は、当該粘土粒子から剥離する。或いは、土壌粒子の格子状の構造が、高温で且つ高エネルギーの交差噴流により破壊されて、格子内部に閉じ込められた汚染物質及び/又は土壌粒子表面に吸着した汚染物質が溶出し易くなる。
従来の汚染物質濃度の計測では、計測が為される汚染土壌の土壌粒子に取り込まれ、或いは、土壌粒子表面に吸着されたVOC等の汚染物質は、土壌粒子から分離し難い。そのため、従来技術では、汚染土壌の土壌粒子に取り込まれ或いは土壌粒子表面に吸着されたVOC等の汚染物質は、水に溶出し難いので、その実際の含有量を計測機器で、検出することが不可能であった。
それに対して、上述した実施形態によれば、高温で且つ高エネルギーの交差噴流Jcにより、土壌粒子の格子構造は破壊され、例えば粘土粒子と電気的に吸着された汚染物質が剥離或いは分離されるので、従来技術では検出不可能であった汚染物質、すなわち汚染土壌の土壌粒子に取り込まれ或いは土壌粒子表面に吸着されたVOC等の汚染物質が、計測可能な状態となる。従って、従来の計測方法に比較して、汚染土壌の実体が、より正確に計測されるのである。
図4は、図1〜図3で説明した汚染物質濃度計測工法による計測結果を、従来の計測方法と比較した実験結果を示している。
図4で示す実験においては、図1、図2で説明した様に採取されたスライム(図1〜図3で説明した計測法)と、原位置土の水溶液(従来技術の計測法)とにおいて、「ガスクロマトグラフ−光イオン化検出法(PID−Photo)」を用いて計測したトリクロロエチレン(TCE)の濃度(TCEの土壌溶出量)を比較している。
図4において、縦軸は汚染濃度を計測した領域の深度(縦軸の上方ほど深度が深い)を示し、横軸がTCEの土壌溶出量を示している。
より詳細には、従来技術による計測は、高温の交差噴流により汚染土壌領域を切削する(図1、図2で説明した態様の処理を行う)以前の段階で、汚染土壌領域から採取された原位置土をGC−PIDにより計測している。
そして、第1実施形態に係る計測法(本計測法)は、係る従来技術による計測が終了した後に、同一の領域において実施されている。
図4から明らかな様に、第1実施形態に係る計測法(本計測法)によって計測されたTCEの土壌溶出量は、従来技術によるTCEの土壌溶出量を遥かに上回っている。
このことからも、本発明に係る汚染物質濃度計測工法によれば、実際の土壌汚染の実体を、より正確に把握することが出来る。
次に、図5〜図17を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図5〜図17の第2実施形態は、図1〜図4の第1実施形態に係る汚染物質濃度計測工法を、汚染土壌の浄化工法と組み合わせて施工した実施形態である。
図5〜図17の第2実施形態では、地上側に噴出したスライム及び気体の一部を採取して、分析設備により汚染物質濃度を計測すると共に、スライム及び気体の大部分については、下流側の機器により汚染物質を除去する。そして、必要に応じて、汚染物質を除去して浄化されたスライムを、切削流体或いは充填材料として再利用している。
図5において、汚染物質濃度の計測及び汚染土壌の浄化を組み合わせて施工するシステム(土壌浄化システム)全体を符号100で示す。
土壌浄化システム100は、施工用マシン101と、掘削機1と、スライム貯留タンク4と、第1のスライム曝気タンク5と、第2のスライム曝気タンク6と、重金属除去装置7と、コンクリートポンプ8とを備えている。これ等の機器は、汚染領域からのスライム及び気体を浄化して、汚染物質を除去するために設けられている。
図5においても、図1で示すのと同様に、スライムサンプル抽出装置10と、ラインLc1を介してスライムサンプル抽出装置10に接続されたスライム中のVOC濃度分析装置106と、ガス採取装置108と、ラインLc2を介してガス採取装置108と接続されたガス中のVOC濃度分析装置104が設けられている。そして、図1〜図4を参照して説明した態様にて、抽出されたスライム及び/又は採取された気体から、汚染物質濃度を計測している。
図5においても、ジェット噴流J1、J2は、超高圧の高温水で構成されるのが好ましい。そして、高温水の温度は、切削流体である水が気化しない程度の温度、例えば、80〜90℃であるのが好ましい。
そして、明示はされていないが、高温水噴流J1、J2の周囲を、高温の圧縮空気のジェットJaで包囲している。但し、圧縮空気ジェットJaを省略することも可能である。
図5において、三重管ロッド2は口元管3で覆われており、口元管3の外周には接続口3oが形成されている。そして、接続口3oには、第1のスライム搬送管T1の一端T1aが接続されている。
第1のスライム搬送管T1の口元管3から離隔した側の端部T1bは、スライム貯留タンク4内の上方から下方に向かって開口している。
スライム貯留タンク4の天蓋41の上には、第1のVOC回収装置11が配置されている。第1のVOC回収装置11は、例えば活性炭の様な吸着材を収容した吸着装置(図示せず)を有しており、VOC等の汚染物質を吸着、回収するように構成されている。
第1のVOC回収装置11は、第1の排気ダクトD1によってスライム貯留タンク4の内部と連通している。第1の排気ダクトD1には、第1のブロワ12が介装されている。第1の排気ダクトD1におけるタンク4側の端部D1aは、第1のスライム搬送管T1の他端T1bの近傍に配置されている。
図5のスライム貯留タンク4の底部42側には、第1のスライム搬送管T1から排出されたスライムSが既に溜まっている。
第1のスライム搬送管T1の端部T1bと、スライム貯留タンク4に貯留しているスライムSの上面とは落差が存在する。端部T1bからスライムが落下すると、落下したスライムと貯留されているスライムSとが衝突する。係る衝突によって、スライム中の土壌(粘土等)が細かく破砕される。粘土が細かく破砕され、微粒化すれば、粘土と結びついているVOC等の汚染物質は分離し易くなる。
スライム貯留タンク4と、第1のスライム曝気タンク5とは、第2のスライム搬送管T2で連通している。第2のスライム搬送管T2の、スライム貯留タンク4側の端部には、第1の搬送ポンプP1が介装されている。
第1の搬送ポンプP1の吸入口P1aから、スライム貯留タンク4内のスライムSが吸い込まれる。
第2のスライム搬送管T2には、高回転型(例えば、回転数3000rpm)のミキサー13が介装されている。
第2のスライム搬送管T2を流れるスライム中には、粘土塊が混入しているので、そこで、高回転型のミキサー13を第2のスライム搬送管T2に介装することにより、高回転のミキサー13によってスライム中の粘土塊を破砕して、微粒化している。
スライム中の粘土塊を微粒化すれば、第1のスライム曝気タンク5及び第2のスライム曝気タンク6内における曝気処理により、スライム中のVOCが分離し易くなる。
第2のスライム搬送管T2において、高回転型のミキサー13と、第1のスライム曝気タンク5との間の領域には、配管加熱装置14が介装されている。
配管加熱装置14の詳細については、図6〜図8で後述する。
配管加熱装置14の加熱作用によって、搬送管T2を流過するスライムを昇温すれば、スライムに含まれるVOCが分離し易くなる。
図示の例では、配管加熱装置14による加熱温度は、130℃程度である。
第2のスライム搬送管T2における曝気タンク5側の端部T2bは、第1の曝気タンク5内部上方において、水平方向に向けて開口している。
第1の曝気タンク5において、鉛直壁面51の上方には、スライム循環噴射装置15が設置されている。スライム循環噴射装置15は、水平方向へ噴射するように構成されている。
スライム循環噴射装置15の構造については、図9、図10を参照して後述する。
スライム循環噴射装置15から噴射される、スライムとエアとの混合流(図9、図10の符号Jsa)は、噴射後、直進して鉛直壁52に衝突する。
第2のスライム搬送管T2を流れるスライムは、第1のスライムポンプP1で加圧されており、第2のスライム搬送管2Tの端部T2bから、水平方向に噴射されたスライムも、直進して鉛直壁面52と衝突する。
スライム中に粘土の塊が含まれていても、鉛直壁52に衝突することによって微粒化され、VOCガスが分離し易い状態となる。
分離したVOCガスは、第2の排気ダクトD2を介して、第2のVOC回収装置16に回収される。第1のスライム曝気タンク5の天蓋53において、鉛直壁面52近傍には、第2の排気ダクトD2の開口部D2bが位置している。
第2のスライム搬送管2Tの端部T2bから水平方向に噴射されたスライムは、鉛直壁面52と衝突しなくても良い。空中に向ってスライムが噴射されることが肝要である。
曝気タンク5の底部に貯留しているスライムS中ではなく、空中にスライムを噴射することにより、スライム中の土壌粒子或いはVOCが空気と接触する機会が多くなり、空気と接触する時間が長くなるので、曝気効果が良好となるからである。
第1のスライム曝気タンク5において、第2のスライム搬送管T2の端部T2bを、スライム循環噴射装置15に合流せしめ、第2のスライム搬送管T2の端部T2bとスライム循環噴射装置15とを同一の配管で構成することが出来る。
第1のスライム曝気タンク5と、第2のスライム曝気タンク6とは、第3のスライム搬送管T3で連通している。
第3のスライム搬送管T3において、第1のスライム曝気タンク5側の端部には、第2の搬送ポンプP2が介装されている。第1のスライム曝気タンク5内のスライムSは、第2の搬送ポンプP2の吸入口P2aから吸い込まれ、第2のスライム曝気タンク6へ送られる。
第2のスライム曝気タンク6の天蓋61上には、第2のVOC回収装置16が配置されている。
第2のVOC回収装置16は、図示しない活性炭やゼオライト等の吸着材から成る吸着層を有し、吸着層により汚染物質を吸着・回収するように構成されている。
吸着層を有するVOC回収装置16に代えて、図17を参照して後述する様に、冷凍式VOC濃縮回収装置16Aを用いることもできる。
第2のVOC回収装置16は、第2の排気ダクトD2によって、第1のスライム曝気タンク5の上方と連通している。第2の排気ダクトD2には、第2のブロワ17が介装されている。
第2の排気ダクトD2は、分岐点Pdで第3の排気ダクトD3に分岐している。第3の排気ダクトD3は、第2のスライム曝気タンク6の上方と連通している。
第3のスライム搬送管T3の端部T3bと、第2のスライム曝気タンク6に貯留しているスライムSの上面とは落差があり、端部T3bからスライムが落下すれば、落下したスライムは、タンク6内に貯留されているスライムSと衝突する。
衝突することにより、スライムに含まれる固形分は微粒化して、スライムに含まれる汚染物質が分離され易い状態となる。
ここで、第3のスライム搬送管T3に介装された第2のスライムポンプP2は、スライム搬送の機能の他に、搬送されるスライムとタンク6内のスライムとが衝突する際の衝撃を大きくする機能をも有する。
第2の曝気タンク6の底部62には、電気泳動式の重金属回収装置18が装備されている。
重金属回収装置18は、陰極18aと、陽極18bと、両極とに接続される電極ラインLeによって構成されている。
電極ラインLeに通電することにより、スライムS中に溶け込んだ重金属、或いは、イオン化したその他の汚染物質は、陰極18aと陽極18bの何れかに付着する。
重金属や、その他のイオン化した汚染物質が電極18a、18bに一定量付着したならば、電極18a、18bを交換する。そして、第2の曝気タンク6から取り外された電極18a、18bから、重金属或いはイオン化したその他の汚染物質を除去する。
なお、重金属回収装置18で除去し切れなかった重金属やその他の汚染物質は、第4のスライム搬送管T4から排出される。
第1のスライム曝気タンク5では、図11を参照して後述するように、例えばミキサーM等の撹拌手段を装備しても良い。
第1のスライム曝気タンク5では、第2のスライム曝気タンク6に比較して、内部のスライムは、流動が活発である。それに対して、第2のスライム曝気タンク6では、タンク内部におけるスライムSの流動はさほど為されていない。
ここで、電気泳動による重金属の分離は、流動していない状態の方が効率的に実施できる。そのため、第2のスライム曝気タンク6では、電気泳動がし易い状態となっている。そのため、下流側の第2のスライム曝気タンク6において、電気泳動による重金属の分離を行っている。
第2のスライム曝気タンク6には、第4のスライム搬送管T4が接続されている。第4のスライム搬送管T4において、第2のスライム曝気タンク6側の端部には、第3のポンプP3が介装されている。
第3の搬送ポンプP3の吸入口P3aから、第2のスライム曝気タンク6内のスライムSが吸い込まれる。
第4のスライム搬送管T4において、第2のスライム曝気タンク6から離隔した側の端部T4bは、ホッパー19の上方に開口している。
第4のスライム搬送管T4の途中には、第1の三方弁V31が介装されている。第1の三方弁V31からは分岐管TBが分岐しており、分岐管TBの端部は、スライム排出口TBbとなっている。
第4のスライム搬送管T4において、三方弁V31と端部T4bとの間の領域には、第2の三方弁V32が介装されている。第2の三方弁V32から、分岐管T40が分岐している。
分岐管T40は、重金属除去装置7に連通している。重金属除去装置7には、スライム排出管T41が接続されており、スライム排出管T41は、ホッパー19の上方に開口している。
重金属除去装置7は、第4のスライム搬送管T4及び分岐管T40を介して供給された加熱して、スライムからVOCや重金属、PCB等を加熱分解して、除去する。重金属及びPCBが分解・除去され、汚染物質が完全に除去されたスライムは、スライム排出管T41を介してホッパー19に投入される。
施工領域の土壌が、重金属、PCB等で汚染されていないことが判明している場合で、且つ、浄化したスライムを(切削流体或いは充填材料として)リサイクルする必要が無い場合や、或いは、リサイクルする量を減少したい場合には、第1の三方弁V31を操作して、分岐管TBの排出口TBb側を開放する。第2のスライム曝気タンク6で処理されたスライムは、分岐管TBの排出口TBbから、産業廃棄物運搬車両20等の搬送手段によって、図示しない産業廃棄物処理設備へ搬送される。
第1の三方弁V31は、第4のスライム搬送管T4を流れる処理済みのスライムの全量を、切削流体或いは充填材としてリサイクルする場合には、分岐管TB側を閉鎖し、重金属除去装置7及び/又はホッパー19側を開放する。
処理済みのスライムの全量を図示しない産業廃棄物処理設備へ搬送する場合には、第1の三方弁V31の重金属除去装置7及び/又はホッパー19側を閉鎖して、分岐管TB側を開放する。
第4のスライム搬送管T4を流れる処理済みのスライムの一部をリサイクルし、残りは図示しない産業廃棄物処理設備へ搬送する場合には、第1の三方弁V31の重金属除去装置7及び/又はホッパー19側をリサイクル量に対応する開度だけ開放し、且つ、分岐管TB側を図示しない産業廃棄物処理設備へ搬送する量に対応した開度だけ開放する。
ホッパー19は、第5のスライム搬送管T5を介して、コンクリートポンプ8に接続している。ホッパー19に投入されたスライムは、第5のスライム搬送管T5を流れ、コンクリートポンプ8に吸入される。
コンクリートポンプ8は、第6のスライム搬送管T6を介して、浄化された三重管スイベル9と接続されている。
コンクリートポンプ8を稼動することにより、汚染物質が除去されたスライム(切削流体或いは充填材料としてリサイクルされるスライム)は、三重管スイベル9を介して、再度、三重管ロッド2に供給される。すなわち、リサイクル用のスライムは第1の管21の充填材料注入口21oから、充填材料Cとして、浄化工法が施工されている領域に注入される。或いは、(リサイクル用のスライムは)三重管ロッド2のノズル221、222から、切削用流体として噴射される。
なお、リサイクル用スライムの粘度が高い場合や、スライムの含水率が大きい場合には、リサイクル用スライムの性状に応じて、適宜、固化材その他の薬剤を添加すればよい。
汚染土壌の浄化工法の施工直後においては、リサイクル用のスライムは発生していない。その場合は、ホッパー19に、別途準備した固化材、例えばセメントミルクを投入する。投入されたセメントミルクはコンクリートポンプ8によって三重管ロッド2に送られ、土壌浄化工法の施工領域において、充填材料或いは切削流体として注入される。より詳細には、汚染物質が除去されたスライムは、掘削機1の三重管ロッド2の1対のノズル221、222から切削流体として噴射され、及び/又は、三重管ロッド2の注入口21oから充填材料Cとして注入される。
図5〜図17の第2実施形態によれば、スライムからは汚染物質が除去されて清浄化されるので、清浄化されたスライムを原位置へ埋め戻しても、何等問題は発生しない。そして、切削流体及び/又は充填材料Cとして用いられた分だけ、産業廃棄物として処理するべきスライムの量が減少し、産業廃棄物処理のコストが減少する分だけ、汚染土壌浄化に必要なコストを低く抑える事が出来る。
図6〜図8を参照して、配管加熱装置14の構成について説明する。
図6、図7において、配管加熱装置14は、電熱線141と、薬液添加管142とを備えている。
電熱線141は、第2のスライム搬送管T2を螺旋状に包囲するように巻き回されている。電熱線141に通電することにより、第2のスライム搬送管T2を流れるスライムが、常温以上に昇温するように加熱される。
ここで、電熱線141による加熱温度は、例えば130℃程度が好ましい。電熱線141でスライムを加熱することにより、スライムに含まれるVOCの分離が促進される。
薬液添加管142は、第2のスライム搬送管T2に直交するように、第2のスライム搬送管T2の内部に連通している。
スライムサンプル抽出装置10により抽出されたサンプル(試料)を分析することにより、地上側に浮上したスライムの性状が把握出来る。そして、配管加熱装置14においては、分析されたスライムの性状に対応して、必要な薬剤を、第2のスライム搬送管T2を流れるスライムに、薬液添加管142から適宜添加している。
例えば、凝集剤、中和剤、スライム中の粘土粒子間の結合力を弱める作用を奏する薬剤等が添加される。
図7、図8で示す様に、第2のスライム搬送管T2に電熱線141を巻き回した領域の内部には、インラインミキサー143が設置されている。
インラインミキサー143により、第2のスライム搬送管T2を流れるスライムSは、その微粒化が促進される。また、薬液添加管142から添加された薬剤は、インラインミキサー143により、スライムと十分に混合されるので、薬剤の薬効が速やかに顕在化する。
図9、図10を参照して、スライム循環噴射装置15の概略構成を説明する。図5を参照して説明したように、スライム循環噴射装置15は、第1のスライム曝気タンク5に設けられている。
図9、図10において、スライム循環噴射装置15は、高圧エア噴射管151と、2本のスライム循環管路152とを備えている。2本のスライム循環管路152の各々には、スライムポンプ154が介装されている。
2本のスライム循環管路15は、それぞれ高圧エア噴射間151に合流している。2本のスライム循環管路152の他端は、それぞれ第1のスライム曝気タンク5の底部近傍に連通している。
スライム循環管路152が高圧エア噴射管151へ合流する部分(交差合流部)Pxの近傍には、空気導入口152cが形成されている。空気導入口152cは吸込み管として構成されている。
スライム循環管路152の空気導入口152cを形成した領域における流路断面積を絞り、流速を増加することによって、スライム循環管路152内の流路に負圧が発生する。その負圧により、エア(外気)が空気導入口152cからスライム循環管路152内に吸い込まれる。
なお、空気導入口152cに、例えば、図示しないコンプレッサから高圧空気を送り込むことも可能である。或いは、浄化作用を有する鉄粉や薬剤等を、空気導入口152cを介して送り込むことも可能である。
スライム循環噴射装置15を作動すると、高圧エア噴射管151には、図示しない高圧エア発生手段(コンプレッサ等)から、高圧エアFa1が供給される。それと同時に、スライムポンプ154も稼動する。スライムポンプ154により、第1のスライム曝気タンク5内のスライムが、2本のスライム循環管路152内を流れ(矢印Ys)、交差合流部Pxで高圧エア噴射管151に合流する。
高圧エア噴射管151の曝気タンク5側の端部から、高圧エアFa1とスライムYsとの混合流体Jsaが、高速で噴射される。高速で噴射された混合流体Jsaは、正面の鉛直壁面52と衝突する。衝突によって、スライム中の粘土は微粒化される。粘土の微粒化により、スライム中のVOCのガス化が促進される。
ここで、水平方向に噴射されたスライムは、鉛直壁面52と衝突しなくても構わない。スライム搬送管2Tの端部T2bから噴射されるスライムは、曝気タンク5のスライムが充填されていない空間に向って噴射されること、換言すれば空気中に噴射されることが重要である。
係る空間中にスライムを噴射することにより、スライム中の土壌粒子或いはVOCが空気と接触する機会が多くなり、空気と接触する時間が長くなるので、曝気効果が向上するからである。
スライム循環管路152を流れるスライムSに、空気導入口152cからのエアや、高圧エア噴射管151に流れる高圧エアFa1が混合することによっても、曝気効果が得られ、VOCのガス化が促進される。
図11を参照して、第1のスライム曝気タンク5の第1変形例を説明する。
図11において、第1変形例に係るスライム曝気タンク5Aは、図11中左右方向について中央が下がるように傾斜した底部54を有している。詳細には、スライム曝気タンク5Aにおける底部54の中央には、傾斜面よりも、更に深く下がった平面部54hが形成されている。
傾斜した底部54には、複数のミキサーMが装備されている。底部中央の平面部54hにも、1台のミキサーMが装備されている。
スライム曝気タンク5Aは、図9、図10で説明したスライム循環噴射装置15と同様のスライム循環噴射装置15Aを備えている。
スライム曝気タンク5Aにおいては、複数のミキサーMにより、貯留されているスライムSが滞留することなく、常に撹拌された状態となっており、スライムSがタンク5A内で確実に循環する。
次に、図12を参照して、第1のスライム曝気タンクの第2変形例について説明する。
図12において、第2変形例に係るスライム曝気タンク5Bは、その内部において、スライムのジェットJsと、高圧エアジェットJaとを、隣接した状態で、鉛直方向上方に噴射するように構成されている。
スライムのジェットJsと、高圧エアジェットJaは、上昇時と落下時の双方において交じり合うため、スライムが高圧エアに接触(衝突)して曝気される時間が長い。そのため、スライムに対する曝気作用が良好であり、スライムに含まれるVOCのガス化が促進される。
第2変形例に係るスライム曝気タンク5Bは、スライムの汚染物質濃度が高い場合に有効である。
ここで、スライムのジェットJs及び/又は高圧エアジェットJaを、交差噴流で構成することも可能である。
第2変形例に係るスライム曝気タンク5Bではサイロ状のタンクを用いているので、密封性が高く、防音効果も高い。
図13を参照して、第1のスライム曝気タンクの第3変形例について説明する。
図13において、第3変形例に係るスライム曝気タンク5Cにおいて、スライム曝気タンク5Cの下方から上方に向かって、複数の高圧エアのジェットJaを噴射している。そして、スライム曝気タンク5Cの上方から下方へ向って、複数のスライムのジェットJsを噴射している。
スライムのジェットJsと高圧エアのジェットJaを対向させて噴射しているので、スライムのジェットJsが高圧エアのジェットJaと衝突する確率は高く、スライムが高圧エアに曝される機会及び時間が増加して、曝気効果が良好に発揮される。従って、VOCガスの発生効率が向上する。
水平に配置されたスライム噴射管Ts及び高圧エア噴射管Taを、相互に反対方向に回転する(矢印R1の向きの回転と、矢印R2の向きの回転とを行う)ように構成することも出来る。ジェットJs、Jaが、互いに反対方向に回転するように構成すれば、スライムと高圧エアとの衝突の確率は更に高まり、スライムが高圧エアに曝される機会及び時間がさらに増加する。その結果、曝気効果がさらに良好となり、VOCガスの発生効率がさらに向上する。
図14を参照して、第1のスライム曝気タンクの第4変形例を説明する。
第4変形例に係るスライム曝気タンク5Dは、図13の第3変形例における水平のエア配管Taを省略し、その代わりに、1個の高圧エアノズルNaを設けている。
高圧エアノズルNaは、タンク50内にサイクロン状の空気流Faを発生させる様に構成されている。空気流Faの旋回方向は、図14の矢印Rとは逆方向である。これに対して、スライム管Tsは、空気流Faの旋回方向の逆方向である矢印R方向へ回転する。
第4変形例によれば、スライムのジェットJsと、サイクロン状の空気流Faが好適に衝突し、曝気効果が向上し、VOCの分離が促進される。
図15、図16を参照して、第1のスライム曝気タンクの第5変形例を説明する。
図15、図16において、第5変形例に係る第1のスライム曝気タンク5Eは、底部に設けた高圧エア噴射ノズルNaによって、上方に向かうサイクロン状の空気流Faを形成させている。タンクの上方には、混合ジェット噴射装置Nxが配置されている。混合ジェット噴射装置Nxは、複数のノズルを有し、水平方向へ延在している。混合ジェット噴射装置Nxの複数のノズルからは、スライムと高圧エアの複合ジェットFxが噴射される。
複合ジェットFxとサイクロン状の空気流Faは、好適に衝突し、スライムが良好に曝気され、スライムに含まれるVOCの分離が促進される。
次に、図17を参照して、図5で示した第2のVOC回収装置16とは異なるVOC回収装置16Aについて説明する。
図17において、VOC回収装置16Aは、ブライン槽(冷媒槽)161を有している。ブライン槽161には、ブライン(冷媒)注入口162と、ブライン排出口163とが形成されている。ブライン槽161内には、VOC配管Lvが通されている。ブライン槽161内におけるVOC配管Lvは、つづら折状に折り曲げられて、熱交換器を構成している。
気相のVOC(図17の矢印V1)が、ブライン槽161内を通過する際に、ブライン槽内の冷媒(ブライン)Lcと熱交換を行い、冷却される。冷却された「VOCガスおよび気相中の水分」は、「液相のVOCと液相の水分」(矢印V2)となり、ブライン槽161外に排出される。一部ガス状のままのVOCも除湿されていることから、活性炭等で容易に吸着回収される。また、「液相のVOCと液相の水分」(V2)は、公知の手段によって処理される。
図5〜図17の実施形態においても、図1〜図4の第1実施形態と同様に、従来技術では除去が困難であった汚染物質も、粘土や土壌粒子から剥離、除去して、スライム中に溶出し、或いは、ボーリング孔Hから湧出する気体に混合した状態となる。
スライム中で溶出した状態であれば、スライム貯留タンク4及び第1のVOC回収装置、第1のスライム曝気タンク5(各種変形例を含む)と第2の曝気タンク6及び第2のVOC回収装置17、曝気タンク6内の電気泳動式の重金属回収装置18、重金属除去装置7によって、汚染物質は容易、且つ確実にスライム中から除去される。
また、汚染物質が気体に混合した状態であれば、当該気体が大気中に拡散する以前に吸引することにより、容易に捕集することが出来る。
そして上述したように、図5〜図17の第2実施形態では、汚染物質が除去されたスライムは、掘削機1の三重管ロッド2の1対のノズル221、222から切削流体として噴射され、及び/又は、三重管ロッド2の注入口21oから充填材料Cとして注入される。
汚染物質が除去されたスライムは、汚染物質を包含しておらず、原位置へ埋め戻しても、何等問題は発生しない。そして、切削流体及び/又は充填材料Cとして用いられた分だけ、産業廃棄物として処理するべきスライムの量が減少する。その結果、(産業廃棄物処理のコストが減少する分だけ、)汚染土壌浄化に必要なコストが低減化される。
次に、図18のフローチャートと、図5を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
第2実施形態では、図1〜図4の第1実施形態に係る汚染物質濃度計測工法を、汚染土壌の浄化工法と同時に施工しているが、汚染土壌の浄化工法で汚染物質濃度の計測結果を直接は利用していない。
それに対して、図5及び図18で示す第3実施形態では、図1〜図4の第1実施形態に係る汚染物質濃度計測工法によって計測された汚染物質濃度が、汚染土壌に浄化における制御パラメータとして用いられている。
図5において、上述した様に、汚染土壌Gpの最下層までボーリング孔Hが削孔されている。そして、削孔されたボーリング孔Hに、掘削機1の三重管ロッド2が挿入される。施工時には、三重管2のノズル221、221及び充填材料注入口21oを含む先端部分、同時充填モニタ20を、上方に引き上げつつ回転させる。
ここで、施工領域を交差噴流Jcで切削、細断し、施工領域全体を充填材料Cを注入した後、三重管ロッド2を再び挿入し、交差噴流Jcによる切削、細断と、充填材料Cの注入とを繰り返すことが可能である。
図18のステップS1においては、その様に、交差噴流Jcによる切削、細断と、充填材料Cの注入とを、複数回に亘って繰り返し処理(施工)することを前提として、掘削と充填材料Cの注入を概略同時に行う。
交差噴流Jcによる切削、細断では、図5を参照して上述した通り、三重管ロッド2のノズル221、222から温水ジェットJ1、J2を噴射して、交差噴流Jcを構成する。そして、温水ジェットで構成された交差噴流Jcによって、所定の半径方向寸法の領域(施工領域)を、切削、細断する。
図5を参照して説明したように、温水ジェットJ1、J2は、高圧エアジェットJaで包囲して噴射することも出来る。
交差噴流Jcにより切削、細断された施工領域では、一定の領域内に高圧の流体が噴射されることにより、その内圧が上昇する。スライムの生じた掘削済みの施工領域の内圧が上昇することにより、スライムは三重管ロッド2の流路Kから、第1のスライム搬送管T1を経由して、スライム貯留タンク4に自動的に排出される。汚染物質はスライム内に溶出している。
高圧エアジェットJaを噴射する場合には、土壌粒子から分離した汚染物質であって気相の汚染物質は、高圧エアジェットJaの空気と混合して、混合気の状態でスライム貯留タンク4へ排出される。
掘削され泥水状となった施工領域に、充填材料注入口21oから、充填材料Cを注入する。
掘削開始当初は、リサイクル用のスライムが発生していないので、充填材料として、例えば、別途供給されたセメントミルクが、コンクリートポンプ8から注入される。
上述した様に、施工領域で発生したスライムは、第1のスライム搬送管T1を経由して、スライム貯留タンク4内に流入する。スライムサンプル抽出装置10により、第1のスライム搬送管T1を流れるスライムの一部を試料(サンプル)として採取し(サンプリングし)、図示しない分析設備でスライム中の汚染物質濃度等を計測する(図18:ステップS2)。
図18のステップS2において、スライムを分析して汚染物質濃度等を計測することに代えて、スライム貯留タンク4に設けたガス採取装置108により、気化した汚染物質を包含する気体を採取して、ラインLc2を介してガス中のVOC濃度分析装置104に送り、汚染物質濃度を測定しても良い。
ステップS2における汚染物質濃度の測定は、図1〜図4で説明したのと同様である。
スライムのサンプルを分析して、或いは採取された気体を分析して、汚染物質濃度が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS3)。ここで、閾値は、汚染領域の土壌の全量を置換する(いわゆる「全量置換」を行う)か否かの境界値として設定されている。
汚染物質濃度が閾値以上である場合(ステップS3でYES)、2回目の施工では、比重の大きな充填材料を使用する(ステップS4)。
汚染物質濃度が閾値以上である場合(ステップS3でYES)において、汚染物質を除去したスライムを充填材料Cとして再利用した場合には、汚染物質濃度が環境基準値を下回るまで、多数回に亘って、交差噴流Jcによる切削と充填材料Cの注入とを繰り返さなければならない恐れが存在する。
そのため、汚染物質濃度が閾値以上である場合(ステップS3でYES)には、汚染物質を除去したスライムを充填材料Cとして再利用せずに、比重の大きい充填材料を新規に充填する(ステップS4)。そして、当該比重の大きい充填材料により、施工領域における汚染土壌を完全に置換する。
2回目の施工において、比重の大きい充填材料により施工領域における汚染土壌を完全に置換すれば、その施工領域については、交差噴流Jcによる切削と充填材料Cの注入とを繰り返す必要は無い。
ステップS3において、汚染物質濃度が閾値未満であれば(ステップS3でNO)、ステップS5に進む。
図5〜図17の第2実施形態と同様に、スライム貯留タンク4に流入したスライムは、高回転型のミキサー13及び配管加熱装置14が介装されている第2のスライム搬送管T2を介して、第1のスライム曝気タンク5に送られて曝気される。そして、第2のスライム曝気タンク6において、重金属回収装置18により、重金属やイオン化した汚染物質が除去される。
さらに、スライムは必要に応じて重金属処理装置7を経由し、汚染物質が完全に除去される。汚染物質が除去されたスライム(処理済のスライム)は、コンクリートポンプ8を経由して、充填材料C、或いは切削用流体として、掘削機1に送られる。
図18のステップS5では、交差噴流Jcにより汚染土壌を切削し、或いは、充填材料Cを注入し、発生したスライムを図5で示す処理システムで浄化し、汚染物質を除去して、充填材料C或いは切削用流体として、再び掘削機1に送られるまでのサイクルを、実行する。
ステップS5のサイクルを実行したならば、スライムサンプル抽出装置10により、スライムのサンプル(試料)を抽出する。そして、抽出したスライムサンプルを分析し、スライム中の汚染物質の濃度を計測する(ステップS6)。
ステップS6において、気化した汚染物質を包含する気体をガス中のVOC濃度分析装置104で分析し、汚染物質濃度を測定しても良い。
ステップS6における汚染物質濃度の測定は、図1〜図4で説明したのと同様である。
ステップS7では、スライム中の汚染物質濃度が、所定値、例えば環境基準値以下であるか否かを判断する。
汚染物質濃度が、環境基準値以下であれば(ステップS7でYES)、浄化処理を終了する。
汚染物質濃度が、環境基準値を超えていれば(ステップS7でNO)、ステップS5以下を繰り返す。
図18の第3実施形態では、図1〜図4で説明したのと同様に、スライムサンプル抽出装置10でサンプルスライムを抽出し、地上側へ流出したスライムにおける汚染物質濃度を計測している。このスライムにおける汚染物質濃度により、地中の浄化工法施工領域における汚染濃度を、リアルタイムで把握することが出来る。或いは、スライム貯留タンク4に設けたガス採取装置108により、気化した汚染物質を包含する気体を採取して、ラインLc2を介してガス中のVOC濃度分析装置104に送り、汚染物質濃度を測定し、以って、地中の浄化工法施工領域における汚染濃度を、リアルタイムで把握することが出来る。
そして、浄化工法施工領域における汚染濃度をリアルタイムで把握して、スライムを切削流体或いは充填材料として再利用するか否かを判定することが出来る。スライムを切削流体或いは充填材料として再利用すると、ステップS5〜S7のサイクルの繰り返し回数が多くなり過ぎてしまう場合には、スライムを再利用せずに、ステップS4で示す様に、比重の大きい充填材料を使用して、施工コストの節約を図ることが出来る。
また、浄化工法施工領域における汚染濃度を、リアルタイムで把握して、ステップS5〜S7のサイクルを繰り返す必要があるか否かを、正確に判断出来るので、不必要な作業(切削、充填から、掘削機1における再利用)を行うことなく、施工コストを節約することが出来る。
図19は、本発明の第4実施形態を示す。
図1〜図4の第1実施形態では、汚染物質濃度は、地上側に設けられたスライム中のVOC濃度分析装置106やガス中のVOC濃度分析装置104により、測定される。これに対して、図19の第4実施形態では、スライム及び/又はガス中に包含される汚染物質濃度を、地中側に設けた計測装置310により計測している。
計測装置310による計測結果は、信号伝達ラインCL300を介して、地上側に設けたユニット320に送信される。ユニット320は、例えば演算装置、記憶装置、表示装置としての機能を有しており、計測装置310の構成と対応させて、適宜構成することが出来る。
第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図4の第1実施形態と同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、切削流体の噴流は交差噴流を構成しているが、切削流体の噴流を交差させずに、そのまま、例えば水平方向へ噴射しても良い。
また、図示の実施形態では、モニタ10を回転しつつ引き上げて、円柱状の汚染土壌領域を切削、充填しているが、モニタ10を回転せずに、所定の角度だけ揺動しつつ引き上げることにより、所定幅のパネル状の汚染土壌領域を切削、充填する様に構成しても良い。
本発明の第1実施形態を施工するシステムの全体構成を示す図。 図1における掘削機周辺を詳細に示した図。 第1実施形態における手順を示すフローチャート。 第1実施形態の効果を示す図。 本発明の第2実施形態を施工するシステムの全体構成を示す図。 第2実施形態で用いられる配管加熱装置の斜視図。 図6で示す配管加熱装置の断面図。 図6で示す配管加熱装置の内部を模式的に示す図。 第2実施形態で用いられるスライム曝気タンクの平面図。 図9のスライム曝気タンクの測面図。 スライム曝気タンクの第1変形例を示す断面図。 スライム曝気タンクの第2変形例を模式的に示す図。 スライム曝気タンクの第3変形例を模式的に示す図。 スライム曝気タンクの第4変形例を模式的に示す図。 スライム曝気タンクの第5変形例を模式的に示す図。 図15のスライム曝気タンクの横断面図。 第2実施形態で用いられるVOC回収装置の変形例を示す模式図。 本発明の第3実施形態を説明するフローチャート。 本発明の第3実施形態を施工するシステムの全体構成を示す図。
符号の説明
1・・・掘削機
2・・・三重管ロッド
3・・・口元管
4・・・スライム貯留タンク
5・・・第1のスライム曝気タンク
6・・・第2のスライム曝気タンク
7・・・重金属除去装置
8・・・コンクリートポンプ
9・・・三重管スイベル
10・・・スライムサンプル抽出装置
11・・・第1のVOC回収装置
12・・・第1のブロワ
13・・・高回転型ミキサー
14・・・配管加熱装置
15・・・スライム循環噴射装置、
16・・・第2のVOC回収装置
17・・・第2のブロワ
18・・・重金属回収装置
20・・・同時充填用モニタ
C・・・充填材料
S・・・スライム

Claims (2)

  1. 半径方向外方に充填材料(C)を注入し、そして圧縮空気で周囲を包囲した切削用の高温水の交差噴流(Jc)を噴射させる三重管ロッド(2)を用い、汚染物質で汚染した汚染領域(Gp)に充填材料(C)を充填する際に発生するスライム(S)又はガスを採取して揮発性物質や重金属の汚染物質の濃度を計測する汚染物質濃度計測工法において、汚染物質の濃度を計測する土壌中の領域までボーリング孔(H)を掘削し、ボーリング孔(H)に三重管ロッド(2)を挿入し、その三重管ロッド(2)を回転させながら引き上げて圧縮空気で包囲した高温水の交差噴流によって粘土粒子や土壌粒子を細断すると共にその表面から汚染物質を分離して充填材料(C)を注入し、地上側に排出されるスライムの一部をスライムサンプル抽出装置(10)に抽出させると共にガス採取装置(108)に地上側に排出される空気と気相の汚染物質との混合気体を吸引させ、スライムサンプル抽出装置(10)で抽出したスライムを揮発性物質濃度分析装置(106)で濃度を測定し、ガス採取装置(108)で吸引された前記混合気体は別の揮発性物質濃度分析装置(104)で濃度を測定することを特徴とする汚染物質濃度計測工法。
  2. 半径方向外方に充填材料(C)を注入し、そして圧縮空気で周囲を包囲した切削用の高温水の交差噴流(Jc)を噴射させる三重管ロッド(2)を用い、汚染物質で汚染した汚染領域(Gp)に充填材料(C)を充填する際に発生するスライム(S)又はガスを採取して揮発性物質や重金属の汚染物質の濃度を計測する汚染物質濃度計測工法において、汚染物質の濃度を計測する土壌中の領域までボーリング孔(H)を掘削し、そのボーリング孔(H)に三重管ロッド(2)を挿入し、その三重管ロッド(2)から圧縮空気で包囲した高温水の交差噴流(Jc)を噴射させて粘土粒子や土壌粒子を細断し、そして充填材料(C)を注入しつつ回転させながら上方に引き上げる作業を行い、汚染物質を溶出したスライムを空気と共に上昇させてその一部を試料として採取してその濃度を計測し、その濃度が閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上であれば比重の大きい充填材料を用いて2回目の汚染領域の全量置換を行い、閾値未満であれば切削、スライム処理、充填材料の再充填を繰り返し、スライム中の汚染物質の濃度を計測し、汚染物質の濃度が環境基準値以下であれば浄化処理を終了することを特徴とする汚染物質濃度計測工法。
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