JP3771558B2 - 土壌および地下水の原位置測定方法および原位置浄化方法並びに揮発性有機化合物回収器 - Google Patents
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一般に、地上での処理の場合は、土壌汚染の深度が浅い場合であり、原位置処理の場合は、土壌汚染の深度が深い場合が多い。原位置での処理法としては、例えば、図13に示すように、地盤改良技術を参考に、浄化剤(材)を地盤中に注入あるいは混合あるいは置換して使用することが多い。
VOCによる汚染は、地盤中で複雑に分布しているため、事前調査に基づいて浄化剤(材)量を設定しても、事前調査では把握しきれなかった局部的に高濃度の部分(原液溜まり)があった場合には、浄化が不十分となる。
汚染が広範囲に分散している場合、全面にわたってボーリング調査を行った後に各種の浄化工事を行う必要があり、調査に拘わる費用が莫大となる。
以上のことから、従来の技術では地盤中の汚染物質の濃度に応じた浄化剤(材)量の確実なまた経済的な設定は困難である。そこで、浄化剤(材)を用いて浄化工事を確実にそして経済的に行うには、まず処理機を貫入させ、その際に深度方向のVOC濃度をあらかじめ測定した上で、原位置浄化処理を行う必要がある。
大気中のVOCの捕集管を用いた連続自動的測定に関する大気分析装置(例えば、特許文献6参照)があるが、混合処理と同時に測定を行うことは不可能である。
また、土壌もしくは地下水に含まれるVOCを空気もしくは水と共に取り出すポンプと、取り出された空気もしくは水に含まれるVOCを吸着もしくは分解させて空気もしくは水に含まれるVOCを減衰させるVOC処理手段と、このVOC処理手段の入口、出口側の少なくとも一方に配置され、空気もしくは水に含まれるVOCを測定するVOC測定装置と、このVOC測定装置の出力信号に基づいてポンプの回転を制御するVOC処理手段の監視システム(例えば、特許文献7参照)がある。しかし、粘性土の場合、土粒子に吸着したVOCが移動せず、正確な濃度の把握は困難である。
また、80℃〜125℃に加熱できる50ボルトの交流電源ヒーターと、気体のみ通過できるメンブレンを取り付けたコーンにより、土壌中のVOCを吸引、気化して、窒素などの不活性のキャリアガスにより地上のガスクロマトグラフ分析装置へ運び、検知する計測機器(MIP)がある(例えば、非特許文献1,2参照)。
一般には、地盤調査と浄化工事を連続して行うことはない。この調査によるVOC分布を整理した上で浄化工事を計画し、工事を行う。仮に、この調査に続いて原位置浄化工事を行うというサイクルとすれば、非効率な作業となる。
ところで、VOCで汚染された地盤の詳細なVOC濃度を調査するためには、汚染の平面エリアをグリッドに切って調査地点を定め、その地点でのボーリング、サンプリング、ガス濃度測定がなされる。この調査には、多大な費用がかかる。また、VOC汚染の特徴として、VOCの原液はその地盤を空間的に構成する各土要素の粒度組成や密度その他の土質性状に敏感に対応して決まる変化に富んだ移動経路をたどる。従って、上記の詳細な調査を行ったとしても、得られた結果と実際のVOCの濃度分布が異なることは決して珍しいことではない。
また、特許文献10には、汚染領域に所定深さの井戸を複数穿設し、各井戸に検知センサーを設置し、各検知センサーの検知結果によって、地層単位毎の汚染状況を検知する地質汚染状況の検出方法および汚染物質の除去方法に関する発明が開示されている。しかし、特許文献10では、所定深さの井戸を複数穿設する必要があり、対象地盤全域の汚染状況を検知するには現実的でない。
また、特許文献13には、掘削した井戸の深度別に異なったガス導入管を用いる土壌ガス試料採取用機器ならびにこれを用いたガス試料採取方法およびガス分析方法に関する発明が開示されている。しかし、特許文献13では、井戸を設置する手間がかかる上に、測定対象となる範囲が狭く、広大な敷地の汚染の場合、現実性がない。
また、特許文献15には、浄化剤(材)を原位置に混合し、未分解の汚染物質を反応熱により気化させる土壌浄化方法および装置に関する発明が開示されている。しかし、特許文献15では、もとの汚染濃度を測定することを目的としたものではないため、浄化剤(材)の投入量が不明である。また、曝気井が混合装置と別に設けられており、その作成に費用がかかるという問題がある。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、浄化に先立ち、混合処理機を用いて地中のVOC濃度を地上で測定する方法を提供することにある。
請求項4に係る発明は、VOC回収器は、混合処理機の非回転部に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法である。
請求項6に係る発明は、VOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤(材)を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、所定の深度において混合処理機に備えたVOC回収器から土にマイクロ波を照射し、照射面の土から揮発したVOCのガスをVOC回収器に取り込み、ガスの濃度を測定し、次いで、攪拌混合機の引き上げ時に測定に基づいて混合処理機により所定量の浄化剤(材)を吐出し、攪拌混合することを特徴とするVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法である。
請求項9に係る発明は、マイクロ波照射面に複数のゲートを設けた容器本体と、この容器本体内に設けた前記複数のゲートの開閉機構と、この開閉機構を介して設けたガス回収室と、このガス回収室に設けたマイクロ波発射部とを備えたことを特徴とするVOC回収器である。
請求項11に係る発明は、ガス回収室は、ガスの濃度を測定する装置を備え、その結果を地上側へ連絡することを特徴とする請求項10記載のVOC回収器である。
また、本発明においては、混合処理機を用いて、浄化剤(材)を原位置でVOC汚染地盤に添加、混合する場合、まず、施工するその杭の対象領域(つまり、処理機の1回当たりの処理面積×全深度)にわたって、VOC濃度を測定した上で浄化処理を行うことができる。
汚染濃度に対応した浄化剤(材)を添加するために、汚染濃度の予測違いによる浄化の目標値をクリアできないリスクは生じない。
無駄な浄化剤(材)を使うことなく適切な添加量で施工ができることから材料費のコストダウンとなる。
(第一実施形態)
本実施形態は、図1〜図5に示すように、地盤改良工事の深層混合処理工法あるいは山留め工事のソイル柱列工法において、深層混合処理機を用いて金属系還元剤または鉄粉を汚染土壌あるいは地下水に原位置で添加、混合してVOCを浄化する際に、金属系還元剤または鉄粉を添加施工する前にVOC濃度を予め測定する方法である(請求項1,2,3,4に対応する)。なお、対象とする深層混合処理機は、地盤改良で用いるスラリー系処理機、粉体系処理機、山留め工事で用いるソイル柱列工法のスラリー系処理機がある。
本実施形態に用いる深層混合処理機は、ベースマシン1と、ベースマシン1によって垂直に立てられたリーダー2およびガイドパイプ(図示せず)と、リーダー2およびガイドパイプ(図示せず)に沿って昇降する電動機ユニット3と、電動機ユニット3によって回転駆動される2本の長い攪拌軸4と、2本の攪拌軸4間に軸受けを介して固定した回収管固定部材5に取り付けた回収器6と、2本の攪拌軸4の先端部に設けた攪拌翼7とを有する。回収器6は、回収管固定部材5を介して固定されているため、回転しない。攪拌翼7は、掘削貫入の速度および施工深度は、リーダー2の下端部に設置した速度計、深度計で計測し、その計測値はA/D変換部を経て自動注入制御装置の中央制御装置(CPU)へ入力される。
先ず、図1、図2、図4に示すように、攪拌翼7によって地盤を回転掘削しながら、または掘削土を攪拌しながら、回収器6からマイクロ波を土中に照射する。
同時に、回収器6に連絡する送気ポンプ10および吸引ポンプ11を作動する。これにより、マイクロ波の照射に伴って生成するVOCが混入した気体を原位置で移動させ、回収器6のスリット6gを介してガス回収室6c内に回収し、このガス回収室6cに連絡する吸気回路6gを介して地上側のPID式のVOCガス連続測定装置8へ導き、その濃度を測定する。ここで、測定された値は、例えば、図5に示すように、攪拌翼7の掘削貫入深度とVOC濃度との関係図として求められる。
ここで、回収器6から照射されるマイクロ波により、汚染領域近傍の土粒子に吸着しているVOCが土粒子から離れやすくなり、また、汚染領域近傍に空洞部分を形成し、汚染物質の一部を気体状にすることが可能となる。そして、移動性の高まったVOCガスは、回収器6を介して吸引されることとなる。
また、地上の吸引ポンプ11で吸引されたVOCガスは、曝気式の水処理装置あるいは活性炭吸着式の水処理、排ガス装置などのVOC処理室10によって処理される。
(第二実施形態)
本実施形態は、第一実施形態におけるVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を用いたVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法である(請求項5,6に対応する)。
(第三実施形態)
本実施形態は、第一実施形態におけるVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を用いたVOCにより汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法である(請求項5,7に対応する)。
ここで、汚染物質の濃度と浄化剤(材)の使用量については、実汚染土壌を用いた事前試験を元に決定する。汚染物質の一部が移動している可能性を考慮し、安全率をふまえた量を注入、攪拌混合する。
(第四実施形態)
本実施形態は、開閉機構を設けた回収器6Aを用いた点で、第一実施形態ないし第三実施形態とは相違する。
本実施形態においても、第一実施形態ないし第三実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
2 リーダー
3 電動機ユニット
4 攪拌軸
5 回収管固定部材(軸受け)
6,6A 回収器
7 攪拌翼
8 VOCガス連続測定装置
9 吸引ポンプ
6a,60a 回収器本体
6b 透過シート
6c,60f ガス回収室
6d,60g マイクロ波発射部
6e,60b マイクロ波照射面
6f スリット
6g,60l 吸気回路
6h,60j 送気回路
6i 信号線
10 処理槽
11 送気ポンプ
12 制御器
60c ゲート
60d 開閉機構
60e 栓
60h ストッパー
60i 圧力室
60k 加圧手段
60m 吸引手段
Claims (11)
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤(材)を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、所定の深度において前記混合処理機に備えた揮発性有機化合物回収器から土にマイクロ波を照射し、照射面の土から揮発した揮発性有機化合物のガスを前記揮発性有機化合物回収器に取り込み、前記ガスの濃度を測定することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤(材)を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、所定の深度において前記混合処理機に備えた揮発性有機化合物回収器から土にマイクロ波を照射し、照射面の土から揮発した揮発性有機化合物のガスを前記揮発性有機化合物回収器に取り込み、前記ガスを地上側に吸引し、前記ガスの濃度を測定することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 前記マイクロ波の照射は、少なくとも前記混合攪拌機の貫入時または引き上げ時に行われることを特徴とする請求項1または請求項2記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 前記揮発性有機化合物回収器は、前記混合処理機の非回転部に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法。
- 請求項1ないし請求項4の何れか1項記載の揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置測定方法を行った後、次いで、前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤(材)を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤(材)を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、所定の深度において前記混合処理機に備えた揮発性有機化合物回収器から土にマイクロ波を照射し、照射面の土から揮発した揮発性有機化合物のガスを前記揮発性有機化合物回収器に取り込み、前記ガスの濃度を測定し、次いで、前記攪拌混合機の引き上げ時に前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤(材)を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- 揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化に先立ち、浄化剤(材)を土中に攪拌混合する混合処理機を土中に貫入し、所定の深度において前記混合処理機に備えた揮発性有機化合物回収器から土にマイクロ波を照射し、照射面の土から揮発した揮発性有機化合物のガスを前記揮発性有機化合物回収器に取り込み、地上側に前記ガスを吸引し、前記ガスの濃度を測定し、次いで、前記攪拌混合機の引き上げ時に前記測定に基づいて前記混合処理機により所定量の浄化剤(材)を吐出し、攪拌混合することを特徴とする揮発性有機化合物により汚染された土壌および地下水の原位置浄化方法。
- マイクロ波照射面にスリットを設けた容器本体と、この容器本体内に設けた透過シートと、この透過シートを介して設けたガス回収室と、このガス回収室に設けたマイクロ波発射部とを備えたことを特徴とする揮発性有機化合物回収器。
- マイクロ波照射面に複数のゲートを設けた容器本体と、この容器本体内に設けた前記複数のゲートの開閉機構と、この開閉機構を介して設けたガス回収室と、このガス回収室に設けたマイクロ波発射部とを備えたことを特徴とする揮発性有機化合物回収器。
- 前記ガス回収室は、吸気回路および送気回路を介して地上側の測定器に連絡していることを特徴とする請求項8ないし請求項9のいずれか1項記載の揮発性有機化合物回収器。
- 前記ガス回収室は、前記ガスの濃度を測定する装置を備え、その結果を地上側へ連絡することを特徴とする請求項9記載の揮発性有機化合物回収器。
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