上述した基板等の被照射物体は、年々大きくなりつつあり、一回の照射で照射すべき領域の面積は次第に広くなりつつある。しかし、広い面積を照射するように光束を広げた場合には、照度が低下し、一回の照射に要する時間を長くせざるを得なかった。
このような問題に対応するために、光源の出力を高めたり、光源の数を増やしたりする手法もあるが、この場合には照明装置を大きくせざるを得ず、照明装置の設置や移動等の取り扱いが煩雑になった。また、出力を高めた光源は寿命も短くなる傾向があり、光源を交換する作業も要した。
さらに、被照射物体の照野の形状が細長いものになった場合には、光源から発せられた光束の全てを照野に照射できないため、無駄が生じていた。
さらにまた、近年では、被照射物体に偏光を照射したいという要求もある。しかし、光源から発せられた光を偏光に変換した場合には、光源から発せられた光束の全てを照射することができないため、照射する光束の照度が十分でなくなるという問題が生じた。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光源の出力を高めたり、光源を大きくすることなく、被照射物体の照野の形状に適合した光束の照度を上げることができるとともに、取り扱いやメンテナンスを容易にする照明装置を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明においては、光源と被照射物体との間に反射手段を設け、この反射手段によって反射された光束を逆向きの光路で光源の近傍に戻るようにする。
具体的には、本発明に係る照明装置は、
光源から発せられた光束を被照射物体に照射する照明装置であって、
前記光源から発せられた光束を集光する集光光学系と、
前記集光光学系によって集光された光束が入射する入射面と、前記入射面に入射された光束によって前記被照射物体上に形成される照野を均一に照明するための光束を射出する射出面と、を有するオプティカルインテグレータと、
前記オプティカルインテグレータの前記射出面近傍に配置された、または前記被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置された反射手段であって、前記オプティカルインテグレータの前記射出面から射出された光束の一部を通過させる通過部と、残りの光束を反射させる反射部とを有する反射手段と、を含み、かつ、
前記反射手段の前記通過部を透過した光束が、前記被照射物体へ導かれ、前記被照射物体上に照野を形成するとともに、
前記反射手段によって反射された光束が、前記オプティカルインテグレータの前記入射面と、前記集光光学系とを介して前記光源近傍に至ることを特徴とする。
本発明に係る照明装置は、光源から発せられた光束を被照射物体に照射するものであり、集光光学系と、オプティカルインテグレータと、反射手段と、を含む。本明細書においては、「光束」とは、光源から発せられて被照射物体に至る光線の集まりや、光線の束をいう。また、光源から発せられて被照射物体に至る光線とは、最終的に被照射物体に至ればよく、光源と被照射物体との間で、少なくとも1回以上往復するような場合も含まれる。
集光光学系は、光源から発せられた光束を集光する。集光光学系は、光源から発せられた光束を、後述するオプティカルインテグレータの入射面に導くものが好ましい。特に、集光光学系は、反射面が回転楕円面を有する楕円鏡がより好ましい。
オプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、集光光学系によって集光された光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。例えば、オプティカルインテグレータとして、ロッドを用いることが好ましい。オプティカルインテグレータを用いることで、照度にむらがない均一の光束を射出面から射出し、被照射物体に照射することができる。
反射手段は、上述したオプティカルインテグレータの射出面近傍に配置されている。なお、「射出面近傍に配置されている」とは、反射手段が、オプティカルインテグレータと一体になって射出面に形成されている場合も、オプティカルインテグレータと別体になって、射出面に密接するように設けられているような場合、または射出面の近くに設けられている場合も含む。なお、「射出面の近傍」とは、オプティカルインテグレータの射出面から約5mm程度までの離隔した位置に、反射手段が配置されていることをいう。
また、この反射手段を、被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置してもよい。なお、共役な位置とは、2つの位置が、互いに物体と像との関係にある位置をいう。例えば、被照射物体上に形成される照野が像の位置であるとした場合に、反射手段が配置される位置が物体の位置になるように、反射手段を配置すればよい。また、光学系によっては共役な位置が複数あるような場合には、そのいずれの位置に反射手段を配置してもよい。また、「ほぼ共役」とは、実質的に物体と像との関係を満たす位置にあると認められることをいう。例えば、共役な位置に対して±20mmの範囲に含まれる位置をいう。
この反射手段は、通過部と反射部とを有する。通過部は、オプティカルインテグレータの射出面から射出された光束の一部を通過させる。反射部は、通過部から通過しなかった残りの光束を反射させる。なお、ここで、「通過」とは、光束が、反射手段の通過部を通り抜けることができればよいことを意味し、通過部の媒質の種類によらず、光束が通過できればよい。すなわち、通過部は、光束が通り抜けることができる媒質(空気等の気体も含む。)からできていればよい。
反射手段の通過部を透過した光束を、被照射物体へ導き、被照射物体上に照野を形成させる。光束を被照射物体へ導くのは、オプティカルインテグレータの射出面が被照射物体と向き合って、反射部を通過した光束が直接被照射物体に照射される場合のみならず、何らかの光学素子等から構成され、反射部を通過した光束を導く導光手段によって、反射部を通過した光束が被照射物体に照射される場合も含む。
一方、反射手段によって反射された光束を、オプティカルインテグレータの入射面と、集光光学系とを介して光源近傍に至らしめる。反射手段によって反射された光束が、光源近傍に至るのは、オプティカルインテグレータの入射面と、集光光学系とを介した光路であれば、いかなる光路を辿ってもよい。反射手段によって反射された光束を、上述した集光光学系によって光源近傍に集光させることで、光源近傍に至らしめるものが好ましい。
なお、本明細書では、「光源近傍」とは、光源と光源の周囲の所定の範囲とを含む。本発明に係る照明装置では、反射手段によって反射された光束は、オプティカルインテグレータの入射面を介して集光光学系に至る。集光光学系に至った光束は、集光光学系によって反射され、反射された光束は、再び集光光学系によって反射されて、オプティカルインテグレータの入射面に入射する。すなわち、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、オプティカルインテグレータの入射面に入射する。このとき、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって反射されてから、次に、集光光学系によって反射されるまでの間に、光源の近くを通過する。このように、「光源近傍」とは、反射手段によって反射された光束が、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、オプティカルインテグレータの入射面に入射できる程度に、光束が光源の近くを通過する範囲をいう。
また、「光源近傍に至る」とは、集光光学系によって反射された光束によって、「光源近傍」に二次的な光源像を形成し、この二次的な光源像によって照野を照明できる程度に、光束が光源近傍に到達することをいう。
したがって、上述した集光光学系は、まず、光源から発せられた光束をオプティカルインテグレータの入射面に導くとともに、これに加えて、反射手段によって反射された光束を光源近傍に集光させるものが好ましい。
このようにしたことにより、光源の出力を高めたり、光源を大きくしたりする等の光源に変更を加えることなく、被照射物体の照野に、照度が均一でかつ大きい光束を照射することができる。特に、被照射物体の照野の形状が円形でないような場合、例えば矩形のような場合でも、光源に変更を加えることなく、照射する光束の照度を上げることができる。
また、光源を大型化することなく照度を上げることができるので、照明装置の設置や移動等の取り扱いを容易にすることができる。また、光源の出力を高めることなく照度を上げることができるので、光源の寿命を延ばすこともでき、交換等のメンテナンスも軽減することができる。
さらに、被照射物体の照野に照射する光束の照度が低くてもよい場合には、光源の出力を低く抑えることができる。この場合には、光源に要する消費電力を抑えることができるので、ランニングコストを低くすることもできる。さらに、このような場合には、光源から発せられる熱を少なくすることもでき、光源の寿命を長くすることもできる。
さらに、本発明に係る照明装置は、
光源から発せられた光束を被照射物体に照射する照明装置であって、
前記光源から発せられた光束を集光する集光光学系と、
前記集光光学系によって集光された光束を、第1の直線偏光成分の第1偏光光束と、前記第1偏光光束に対して直交する第2の直線偏光成分の第2偏光光束と、に分離する偏光手段と、
前記第2偏光光束を反射する反射手段であって、前記被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置された反射手段と、を含み、かつ、
前記第1偏光光束が、前記被照射物体へ導かれ、前記被照射物体上の前記照野を形成するとともに、
前記反射手段によって反射された前記第2偏光光束が、前記集光光学系を介して前記光源近傍に至ることを特徴とする。
本発明に係る照明装置は、光源から発せられた光束を被照射物体に照射するものであり、集光光学系と、偏光手段と、反射手段と、を含む。
集光光学系は、光源から発せられた光束を集光する。集光光学系は、光源から発せられた光束を集光して、後述する偏光手段に導くものが好ましい。特に、集光光学系は、反射面が回転楕円面を有する楕円鏡がより好ましい。
偏光手段は、集光光学系によって集光された光束を、第1の直線偏光成分の第1偏光光束と、第2の直線偏光成分の第2偏光光束と、に分離する。第2偏光光束は、第1偏光光束に対して直交する。第1偏光光束は、偏光手段を通過する成分の光束であり、被照射物体の照野に照射される。第2偏光光束は、偏光手段によって反射される成分の光束であり、後述する反射手段に至り、反射手段によって反射される。したがって、偏光手段は、第1偏光光束を通過させ、かつ、第2偏光光束を反射するように、第1偏光光束と第2偏光光束とに分離するものが好ましい。さらに、第1偏光光束は、P偏光の光束であり、第2偏光光束は、S偏光の光束であるものがより好ましい。
反射手段は、第2偏光光束を反射する。上述したように、第2偏光光束は、偏光手段によって反射される成分の光束である。反射手段は、第2偏光光束を反射し、反射した光束を偏光手段に至らしめる。また、反射手段は、被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置される。具体的には、偏光手段から反射手段までの距離が、偏光手段から被照射物体までの距離に適合するようにすればよい。特に、偏光手段から反射手段までの距離が、偏光手段から被照射物体までの距離と一致するように、反射手段を配置するのが好ましい。
この反射手段の形状は、射出瞳の位置が無限遠にある場合、すなわち、像側テレセントリックな場合には、平面であるものが望ましい。また、射出瞳の位置が無限遠でない場合には、射出瞳に曲率中心を有する曲面、例えば球面が望ましい。
第1偏光光束を、被照射物体へ導き、被照射物体上に照野を形成させる。上述したように、第1偏光光束は、偏光手段を通過した成分の光束であり、被照射物体に至ることができる。偏光手段を通過した第1偏光光束が直接被照射物体に照射される場合のみならず、何らかの光学素子等から構成され、偏光手段を通過した第1偏光光束を導く導光手段によって、偏光手段を通過した第1偏光光束が被照射物体に照射される場合も含む。
一方、反射手段によって反射された第2偏光光束を、集光光学系を介して光源近傍に至らしめる。反射手段によって反射された第2偏光光束が、光源近傍に至るのは、集光光学系を介した光路であれば、いかなる光路を辿ってもよい。反射手段によって反射された第2偏光光束を、上述した集光光学系によって光源近傍に集光させることで、光源近傍に至らしめるものが好ましい。
したがって、上述した集光光学系は、光源から発せられた光束を偏光手段に導くとともに、反射手段によって反射された第2偏光光束を光源近傍に集光させるものが好ましい。
ここで、「光源近傍」とは、光源と光源の周囲の所定の範囲とを含む。本発明に係る照明装置では、反射手段によって反射された光束は、集光光学系に至る。集光光学系に至った光束は、集光光学系によって反射され、反射された光束は、再び集光光学系によって反射されて、反射手段に向かうように導かれる。すなわち、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、反射手段に向かう。このとき、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって反射されてから、次に、集光光学系によって反射されるまでの間に、光源の近くを通過する。このように、「光源近傍」とは、反射手段によって反射された光束が、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、反射手段に向かって導かれる程度に、光束が光源の近くを通過する範囲をいう。
また、本発明に係る照明装置は、光学リターダーをさらに含むものが好ましい。この光学リターダーは、所定方向の直線偏光の位相を所定の角度ωだけ遅らせる。この角度ωは、光学リターダーを2回通過させることにより、第2偏光光束を第1偏光光束に最も多く変換できるものを選択するのが好ましい。なお、第2偏光光束の大部分が、実質的に第1偏光光束に変換されれば望ましい。また、変換後に第1の直線偏光成分でない楕円偏光が含まれていても、第1の直線偏光成分とみなせるものに変換されればよい。反射手段によって反射された第2偏光光束は、光源近傍に戻るときに、光学リターダーを1回通過し、光源近傍に戻った第2偏光光束であった光束は、集光光学系によって集光された後、光学リターダーを再び通過する。このように、反射手段によって反射された第2偏光光束は、光学リターダーを2回通過する。この2回の通過によって、第2偏光光束の大部分が第1偏光光束へ変換されるので、第2偏光光束であった光束も、上述した偏光手段を通過させて被照射物体に照射させることができ、被照射物体に照射される光束の照度を向上させることができる。
上述した光学リターダーの1つの例として、λ/4波長板がある。λ/4波長板は、直線偏光の位相をπ/2回転させるものであり、光束がλ/4波長板を2回通過したときに、第2偏光光束が第1偏光光束に最も変換できる場合に、λ/4波長板を用いることができる。
このようにしたことにより、光源の出力を高めたり、光源を大きくしたりする等の光源に変更を加えることなく、被照射物体の照野に、照度が均一でかつ大きい光束を照射することができる。特に、偏光手段によって分離された第2偏光光束を有効に活用することができ、第1偏光光束に加えて、この第2偏光光束をも第1偏光光束に変換して被照射物体の照野に照射するので、光源に変更を加えることなく、被照射物体の照野に照射する光束の照度を上げることができる。さらに、第2偏光光束を熱に変換する必要もなくなり、放熱を考慮する必要もなくなるので、効率よく被照射物体の照野を照明することができるとともに、放熱のための装置を省くことができ、装置を簡素にすることもできる。
また、光源を大型化することなく照度を上げることができるので、照明装置の設置や移動等の取り扱いを容易にすることができる。また、光源の出力を高めることなく照度を上げることができるので、光源の寿命を延ばすこともでき、交換等のメンテナンスも軽減することができる。
さらに、被照射物体の照野に照射する光束の照度が低くてもよい場合には、光源の出力を低く抑えることができる。この場合には、光源に要する消費電力を抑えることができるので、ランニングコストを低くすることもできる。さらに、このような場合には、光源から発せられる熱を少なくすることもでき、光源の寿命を長くすることもできる。
さらにまた、本発明に係る照明装置は、
光源から発せられた光束を被照射物体に照射する照明装置であって、
前記光源から発せられた光束を集光する集光光学系と、
前記集光光学系によって集光された光束の一部を通過させる通過部と、残りの光束を反射させる反射部とを有する反射手段と、
前記反射手段の前記通過部を通過した光束が入射する入射面と、前記入射面に入射された光束によって前記被照射物体上に形成される照野を均一に照明するための光束を射出する射出面と、を有するオプティカルインテグレータと、を含み、
前記オプティカルインテグレータの前記射出面から射出された光束が、前記被照射物体へ導かれ、前記被照射物体上に前記照野を形成するとともに、
前記反射手段によって反射された光束が、前記集光光学系を介して前記光源近傍に至ることを特徴とする。
本発明に係る照明装置は、光源から発せられた光束を被照射物体に照射するものであり、集光光学系と、オプティカルインテグレータと、反射手段と、を含む。
集光光学系は、光源から発せられた光束を集光する。集光光学系は、光源から発せられた光束を、後述する反射手段に導くものが好ましい。特に、集光光学系は、反射面が回転楕円面を有する楕円鏡がより好ましい。
反射手段は、集光光学系と後述するオプティカルインテグレータとの間に配置されている。特に、オプティカルインテグレータの入射面に配置されているものが好ましい。なお、「入射面に配置されている」とは、反射手段が、オプティカルインテグレータと一体になって入射面に形成されている場合も、オプティカルインテグレータと別体になって、入射面に密接するように設けられているような場合、または入射面の近くに設けられている場合も含む。なお、「入射面の近傍」とは、入射面から約5mm程度までの離隔した位置に、反射手段が配置されていることをいう。この反射手段は、オプティカルインテグレータの入射面に入射しない光束を反射する。
また、反射手段は、通過部と反射部とを有するものが好ましい。通過部は、集光光学系によって集光された光束の一部を通過させる。通過部を通過した光束は、オプティカルインテグレータの入射面に入射する。反射部は、通過部から通過しなかった残りの光束を反射させる。なお、ここで、「通過」とは、光束が、反射手段の通過部を通り抜けることができればよいことを意味し、通過部の媒質の種類によらず、光束が通過できればよい。すなわち、通過部は、光束が通り抜けることができる媒質(空気等の気体も含む。)からできていればよい。
オプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、反射手段の通過部を通過した光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。例えば、オプティカルインテグレータとして、ロッドや、フライアイを用いることが好ましい。オプティカルインテグレータを用いることで、照度にむらがない均一の光束を射出面から射出し、被照射物体に照射することができる。
オプティカルインテグレータの射出面から射出された光束を、被照射物体へ導き、被照射物体上に照野を形成させる。一方、反射手段によって反射された光束を、集光光学系を介して光源近傍に至らしめる。反射手段によって反射された光束が、光源近傍に至るのは、集光光学系を介した光路であれば、いかなる光路を辿ってもよい。反射手段によって反射された光束を、上述した集光光学系によって光源近傍に集光させることで、光源近傍に至らしめるものが好ましい。
ここで、「光源近傍」とは、光源と光源の周囲の所定の範囲とを含む。本発明に係る照明装置では、反射手段によって反射された光束は、集光光学系に至る。集光光学系に至った光束は、集光光学系によって反射され、反射された光束は、再び集光光学系によって反射されて、反射手段に向かうように導かれる。すなわち、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、反射手段に向かう。このとき、反射手段によって反射された光束は、集光光学系によって反射されてから、次に、集光光学系によって反射されるまでの間に、光源の近くを通過する。このように、「光源近傍」とは、反射手段によって反射された光束が、集光光学系によって少なくとも2回反射されて、再び、反射手段に向かって導かれる程度に、光束が光源の近くを通過する範囲をいう。
また、「光源近傍に至る」とは、集光光学系によって反射された光束によって、「光源近傍」に二次的な光源像を形成し、この二次的な光源像によって照野を照明できる程度に、光束が光源近傍に到達することをいう。
したがって、上述した集光光学系は、光源から発せられた光束を反射手段に導くとともに、これに加えて、反射手段によって反射された光束を光源近傍に集光させるものが好ましい。
このようにしたことにより、光源の出力を高めたり、光源を大きくしたりする等の光源に変更を加えることなく、被照射物体の照野に、照度が均一でかつ大きい光束を照射することができる。
また、光源を大型化することなく照度を上げることができるので、照明装置の設置や移動等の取り扱いを容易にすることができる。また、光源の出力を高めることなく照度を上げることができるので、光源の寿命を延ばすこともでき、交換等のメンテナンスも軽減することができる。
さらに、被照射物体の照野に照射する光束の照度が低くてもよい場合には、光源の出力を低く抑えることができる。この場合には、光源に要する消費電力を抑えることができるので、ランニングコストを低くすることもできる。さらに、このような場合には、光源から発せられる熱を少なくすることもでき、光源の寿命を長くすることもできる。
さらに、前記反射手段は、前記被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置されているものが好ましい。すなわち、この場合には、反射手段は、集光光学系とオプティカルインテグレータとの間の位置であり、かつ、被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置されている。特に、この場合には、オプティカルインテグレータは、フライアイであるのが好ましい。
共役な位置とは、2つの位置が、互いに物体と像との関係にある位置をいう。例えば、反射手段が物体の位置であるとした場合に、被照射物体が配置される位置が像の位置になるように、被照射物体を配置すればよい。また、光学系によっては共役な位置が複数あるような場合には、そのいずれの位置に被照射物体を配置してもよい。また、「ほぼ共役」とは、実質的に物体と像との関係を満たす位置にあると認められることをいう。
反射手段を共役の位置に配置することで、透過させる光束と、反射させる光束とを的確に分離することができ、被照射物体の照野に適合した光束にすることができる。
前記集光光学系によって集光された光束を前記オプティカルインテグレータに導くリレー光学系を含むものが好ましい。すなわち、リレー光学系は、集光光学系とオプティカルインテグレータとの間に配置され、集光光学系によって集光された光束をオプティカルインテグレータに導く。
このようにすることで、オプティカルインテグレータに入射させる光束を適切に変換して、オプティカルインテグレータに入射させることができる。
前記集光光学系によって集光された光束を前記偏光手段に導くリレー光学系を含むものが好ましい。すなわち、リレー光学系は、集光光学系とオプティカルインテグレータとの間に配置され、集光光学系によって集光された光束を偏光手段に導く。
このようにすることで、偏光手段に入射させる光束を適切に変換して、偏光手段に入射させることができる。
また、前記集光光学系は、前記光源から発せられた光束を反射させる反射面を有し、かつ、
前記反射面によって反射された光束を、前記オプティカルインテグレータの前記入射面に、または前記偏光手段に、もしくは前記リレー光学系に、集光させ、かつ、
前記反射手段によって反射された光束を、前記反射面によって反射し、前記光源近傍に至らしめる楕円鏡を含むものが好ましい。
集光光学系は、楕円鏡を含むものが好ましい。この楕円鏡は、光源から発せられた光束を反射させる反射面を有する。楕円鏡は、反射面によって反射された光束をオプティカルインテグレータの入射面、または偏光手段に、もしくは前記リレー光学系に集光させる。さらに、楕円鏡は、反射手段によって反射された光束を、反射面によって反射して光源の近傍に集光させて至らしめる。
このようにすることで、光源から発せられた光束を活用して、無駄なく被照射物体に照射することができ、被照射物体に照射する光束の照度を上げることができる。
光源の出力を高めたり、光源を大きくしたりすることなく、被照射物体の照野の形状に適合した光束の照度を高めることができるとともに、取り扱いやメンテナンスを容易にする。
<<<第1の実施の形態>>>
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の照明装置10の概略を示す図である。
後述する発光体210から発せられる光束のうち1つの光線の光路について示した。
照明装置10は、ランプハウス20と導光部30とを有する。ランプハウス20と導光部30とは、載置台50に載置され、発光体210から発せられた光束が、被照射物体40に照射されるように配置されている。
<<光源>>
光源は、発光体210からなる。この発光体210は、所望する波長の光束を発するものを用いる。例えば、水銀ランプ等の短い波長の紫外線を発するものを用いることができる。発光体210のバルブ内には、発光物質である水銀と、陽極(図示せず)と陰極(図示せず)との2つの電極が封入されている。この陰極と陽極とは、対向して配置されている。各電極は金属導体(図示せず)に電気的に接続されており、陰極と陽極との間でアーク放電が形成される。
発光体210の一方の口金212aは、後述する楕円鏡220の外側に設けられた支持部材(図示せず)に固定されている。また、他方の口金212bは、図示しない電源ケ−ブルに接続されている。発光体210は、これらの口金を介して両電極に所定の電圧が引加されることにより放電する。なお、電源ケ−ブルは、径が小さく、発光体210から発せられる光束を妨げることはない。
陽極と陰極との間でアーク放電を起こすと、アーク柱と呼ばれる放電部分から強い発光を生じる。このアーク柱から放射される光束は、四方に広がる発散光である。
<<集光光学系>>
集光光学系は、光源から発せられた光束を集光する。
<楕円鏡220>
集光光学系は、楕円鏡220からなる。楕円鏡220は、反射面222を有し、楕円鏡220は、反射面222の形状を回転楕円面とした反射鏡である。上述したように、発光体210から発せられる光束は、四方に広がる発散光であるため、発光体210からの発散光を被照射物体40に直接照射した場合には、被照射物体40上の照野に照射する光束の照度が不足する。このため、発光体210から発せられた光束を一旦集光することによって、被照射物体40上の照野に照射する光束の照度を上げることができる。このようにすることで、発光体210から発せられた光束の利用効率を高めることができる。
上述したように、本発明に係る照明装置では、集光光学系に楕円鏡220を使用する。楕円鏡220は、第1の焦点と第2の焦点との2つの焦点を有し、発光体210は、発光体210のアーク部分が楕円鏡220の第1の焦点に位置するように、支持部材(図示せず)によって支持されている。このようにすることで、発光体210から発せられた光束は、楕円鏡220の反射面222で反射して第2の焦点に集光される。
<反射ミラー230>
反射ミラー230は、楕円鏡220の上方に配置されている。反射ミラー230は、発光体210から発せられた光束の進行方向を変更するためのものであり、発光体210から発せられた光束を、後述するオプティカルインテグレータの入射面に導くためのものである。従って、発光体210や後述するオプティカルインテグレータの配置に応じて、反射ミラー230を、省略したり、配置する位置や角度を適宜変更したりしてもよい。
<<オプティカルインテグレータ>>
オプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、集光光学系によって集光された光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。
オプティカルインテグレータは、オプティカルインテグレータの光源像共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に、又は第2の焦点と共役な点に、位置するように配置される。本実施の形態では、上述したように、反射ミラー230を設けた構成としているので、オプティカルインテグレータは、オプティカルインテグレータの光源像共役面が、反射ミラー230を介して、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に、又は第2の焦点と共役な点に、位置するように配置されている。
なお、楕円鏡220とオプティカルインテグレータとの間に、リレー光学系(図示せず)を設けてもよい。このような構成とした場合には、リレー光学系によって、楕円鏡220の第2焦点の位置が、オプティカルインテグレータの照野共役面にリレーされるようにすればよい。さらに、光源共役の関係に着目した場合には、後述するロッドを用いたときには、光源共役面が、ロッドの入射面になるように、リレー光学系を構成して配置すればよい。また、フライアイのときには、光源共役面が、フライアイの射出面になるように、リレー光学系を構成して配置すればよい。このようなリレー光学系を設けることによって、反射ミラー230により集光された光束を適切な光束に変換してオプティカルインテグレータに入射させることができる。
このようにオプティカルインテグレータを配置したことにより、発光体210から発せられた光束を、楕円鏡220の反射面222によって、オプティカルインテグレータの光源像共役面に集光させることができる。また、オプティカルインテグレータを上述したような配置にしたことによって、後述する第1の反射手段246又は第2の反射手段250により反射されて、オプティカルインテグレータの入射面から射出された光束を、楕円鏡220の反射面222によって、発光体210近傍に集光させることができる。さらに、後述する第3の反射手段266又は第4の反射手段276によって反射された光束を、楕円鏡220の反射面222によって、発光体210近傍に集光させることができる。
オプティカルインテグレータは、被照射物体40の照野に均一な照度の光を照射するために用いられる。さらに、発光体210に色むらがある場合や、発光体210のアークにちらつきがある場合でも、被照射物体40の照野における色むらやちらつきを低下させることができる。
オプティカルインテグレータには、例えば、後述するように、ロッドや、フライアイがある。
<ロッド>
ロッドは、被照射物体40の照野の形状に適合させた断面形状を有するガラスロッドである。例えば、被照射物体40の照野の形状が矩形の場合には、その矩形に応じた断面形状を有するロッドが用いられる。
ロッドは、入射した光束の角度成分を内部で混ぜ合わせ、ロッドの射出面で照度が均一化される。さらに、ロッドは、色むら、ちらつきなどを低減することもできる。
また、ロッドは、光束の断面を変換する。例えば、発光体210から発せられる光束の場合には、光束の進行方向に対して垂直な断面における形状は、ほぼ円形状であり、この断面形状を有する光束が、ロッドに入射される。ロッドの断面が矩形である場合には、ロッドの射出面から射出される光束は、その断面の形状は矩形となる。
なお、ロッドを用いた例については、後で詳述する。
<フライアイ>
フライアイは、複数の単レンズが並列に配置されたレンズアレイである。単レンズの各々は、リレーコンデンサー系を縮小したものであり、フライアイは、リレーコンデンサー系が複数個並置されたものである。このフライアイが、射出された光束を被照射物体40の照野に照射することで、照野における照度を均一にすることができる。
なお、フライアイを用いた例については、後で詳述する。
<<反射手段>>
<第1の反射手段246>
[第1の反射手段246の構成]
図3は、第1の反射手段246の例(b)と、この第1の反射手段246に用いるロッド240の例(a)を示す図である。
この第1の反射手段246に用いるロッド240は、光束の進行方向に沿って長尺な形状を有するともに、その長手方向に対して垂直な断面は、6つの側面248a〜248fから構成される六角形である。
ロッド240は、発光体210から発せられた光束が入射する入射面242と、ロッド240の内部で均一化された光束が射出される射出面244とを有する。
ロッド240の入射面242には、発光体210から発せられた光束の全体が入射される。このとき、ロッド240の入射面242において、入射した光束の形状は、ほぼ円形である。このため、ロッド240の断面形状を円形に近いものにし、かつ、ロッド240の製造を容易にするために、断面形状を六角形にしたロッドを用いるのが望ましい。断面形状が六角形のロッドを用いることで、エネルギーロスを少なくすることができる。
図3(b)に示すように、射出面244には、第1の反射手段246が形成されている。この第1の反射手段246は、反射部246a及び246bと、通過部246cと、を有する。なお、図3(b)に示した例では、反射部246a及び246bと、通過部246cとを明確に区別して示すために、反射部246a及び246bに斜線を付して示した。
後述するように、反射部246aと246bとは、射出面244から射出された光束を反射させて、再び、ロッド240に戻す。通過部246cは、射出面244から射出された光束を通過させる。
通過部246cの形状は、扁平な六角形をしており、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。なお、被照射物体40の照野の形状が矩形である場合には、通過部246cの形状も矩形にするのが最も好ましいが、この第1の実施の形態では、第1の反射手段246の形成を簡便にするため、通過部246cの形状を扁平な六角形とした。
反射部246aと246bとの形状は、通過部246cの形状によって定められる。反射部246aと246bとを形成する材料は、光束を反射するものであればよく、特に、反射率が高く、かつ、熱によって反射率等が変化しにくいものが好ましい。例えば、クロムやアルミ等の金属を、特に、望ましいのは誘電体を、射出面244に蒸着することによって、反射部246aと246bとを形成することができる。誘電体を用いた場合には、光束の吸収を少なくして熱の発生を抑えることができる。
通過部246cを通過した光束は、被照射物体40に向かって進む。
反射部246a又は246bによって反射された光束は、再びロッド240の内部を通過して、入射面242から射出される。
[第1の反射手段246による光束の経路]
以下では、光束が辿る経路を図2を用いて説明する。なお、図2に示した光路は、発光体210から発せられ光束のうちの代表的な1つの光線について示したものである。図2では、発光体210から発せられて反射部246aと246bとに至るまでの光路を実線P1〜P5で示し、反射部246a又は246bによって反射されて戻る光路を破線R1〜R6で示した。
この第1の反射手段246を用いるときには、ロッド240は、ロッド240の光源像共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置される。なお、ロッド240の光源像共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点と共役な点に位置するように、ロッド240を配置してもよい。本実施の形態では、上述したように、反射ミラー230を設けた構成としているので、ロッド240は、ロッド240の光源像共役面が、反射ミラー230を介して、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置されている。
なお、楕円鏡220とロッド240との間に、リレー光学系(図示せず)を設けた構成としてもよい。この場合には、リレー光学系によって、楕円鏡220の第2焦点の位置が、ロッド240の照野共役面にリレーされるようにすればよい。さらに、光源共役の関係に着目した場合には、光源共役面が、ロッド240の入射面になるように、リレー光学系を構成して配置すればよい。このようなリレー光学系は、反射ミラー230によって集光された光束を、ロッド240に入射させるのに、適切な光束に変換する。
まず、発光体210のアーク部分から発せられた光束は、光路P1に示すように、楕円鏡220の反射面222に到達する。光束は、反射面222によって反射されて、光路P2に示すように、反射ミラー230に至る。光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路P3に示すように、ロッド240の入射面242に到達し、ロッド240の内部に進入する。ロッド240の内部では、光路P4及びP5に示すように、6つの側面248a〜248fによって反射しながら均一化されてロッド240の射出面244に向かって進む。ロッド240は、ロッド240の内部に進入した光束によって、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。ロッド240の射出面244からは、このような光束が射出される。
ロッド240の射出面244において、通過部246cに至った光束S1及びS2は、通過して被照射物体40に向かって進む。一方、反射部246a又は246bに至った光束は、反射部246a又は246bによって反射されて、光路R1及びR2に示すように、6つの側面248a〜248fによって反射しながらロッド240の入射面242に向かってロッド240の内部を進む。入射面242に至った光束は、入射面242から射出されて、反射ミラー230に至る。光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路R3に示すように、楕円鏡220の反射面222に向かって進む。反射面222に到達した光束は、反射面222によって反射されて、光路R4に示すように、発光体210のアーク部分(図示せず)に向かって進む。
アーク部分に到達した光束は、光路R4に示すように、アーク部分を通り抜けて、楕円鏡220に反射面222に向かって進み、反射面222によって反射される。上述したように、発光体210のアーク部分は、楕円鏡220の第1の焦点であるため、反射面222によって反射された光束は、光路R5及びR6に示すように、反射ミラー230を介して、楕円鏡220の第2の焦点であるロッド240の光源像共役面(図示せず)に向かって進む。すなわち、アーク部分に到達した光束は、光路R4に示すように、楕円鏡220の反射面222に向かって進み、反射面222によって反射されて、光路R5に示すように、再び、反射ミラー230に向かって進む。反射ミラー230に到達した光束は、反射ミラー230によって反射されて、ロッド240の入射面242に向かって進み、ロッド240に進入する。
このように、第1の反射手段246の反射部246a及び246bによって反射された光束は、ロッド240の入射面242と、集光光学系である楕円鏡220と、を介して光源である発光体210のアーク部分に至る。さらに、その後、光束は、楕円鏡220を介して、再び、ロッド240の入射面242に導かれて、ロッド240の内部を進む。
上述したように、通過部246cの形状は、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。すなわち、反射部246aと246bによって反射された光束は、本来、反射部246aと246bがない場合には、被照射物体40の照野に到達しなかった光束であり、被照射物体40の照野の照射に寄与し得なかった光束である。この光束を反射部246aと246bとによって反射し、再び、ロッド240に戻すことによって、被照射物体40の照野に至らしめることができ、発光体210の出力や数を変更することなく、被照射物体40の照野に照射する光束の照度を上げることができる。
<第2の反射手段250>
[第2の反射手段250の構成]
図4は、第2の反射手段250の例を示す図である。図4(a)は、第2の反射手段250の正面図であり、図4(b)は、第2の反射手段250の側面図である。なお、この第2の反射手段250を用いるときのロッドは、上述した第1の反射手段246で用いたものと同じロッド240である。また、この場合のロッド240の射出面244には、第1の反射手段246は形成されていない。
この第2の反射手段250は、円板状のガラス板に誘電体を蒸着することによって形成される。なお、クロムやアルミ等の金属を蒸着して形成してもよいが、誘電体を蒸着したものが望ましい。誘電体を用いることによって、吸収を少なくして熱の発生を抑えることができる。さらに、ガラス板に蒸着するものは、光束を反射するものであればよいが、反射率が高く、かつ、熱によって反射率等が変化しにくいものが好ましい。
なお、図4に示した第2の反射手段250は、平坦な円板状のものを示したが、曲面状のものを用いてもよい。例えば、ロッド240の射出面244から離隔した位置に、第2の反射手段を配置せざるを得ないような場合も想定される。ロッド240の射出面244からは、広がるように光束が射出される。このため、ロッド240の射出面244から離隔した位置で、ロッド240の射出面244に向かって光束を反射させるためには、広がりつつある光束が略垂直に反射するような曲面形状、例えば凹面形状を有する反射手段を用いるのが好ましい。
さらに、第2の反射手段を、ロッド240とは別の光学素子、例えばレンズに形成してもよい。例えば、ロッド240の射出面244から離隔した位置に凹レンズを配置するような場合が想定される。このような場合には、凹レンズの一部に誘電体を蒸着して、凹レンズに第2の反射手段を形成することができる。この場合も、広がりつつある光束を略垂直に反射させて、ロッド240の射出面244に向かって戻すことができる。このようにしたときには、第2の反射手段をレンズと一体に形成することができるので、部品数を減らすことができるとともに、光路の調整を簡便なものにすることができる。
第2の反射手段250は、反射部256aと通過部256cとを有する。通過部256cは、スリットとして形成されている。なお、図4(a)に示した例では、反射部256aと通過部256cとを明確に区別して示すために、反射部256aに斜線を付して示した。
第2の反射手段250は、ロッド240の射出面244に密接するように配置されている。具体的には、図2の位置X1に配置されている。通過部256cの形状は、矩形をしており、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。
反射部256aは、ロッド240の射出面244から射出された光束を反射させて、再び、ロッド240に戻し、ロッド240の内部を通過させて、入射面242から射出させる。通過部256cは、射出面244から射出された光束を通過させる。
このように、ロッド240と第2の反射手段250とを別体にすることで、ロッド240や第2の反射手段250の製造を容易にすることができる。例えば、ロッドに金属を蒸着する工程を省くことができたり、被照射物体40の照野の形状に適合した形状の通過部256cを第2の反射手段250に容易に形成したりすることができる。
[第2の反射手段250による光束の経路]
この第2の反射手段250を用いるときにも、ロッド240は、ロッド240の光源像共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置される。なお、ロッド240の光源像共役面が、第2の焦点と共役な点に位置するように、ロッド240を配置してもよい。本実施の形態では、上述したように、反射ミラー230を設けた構成としているので、ロッド240は、ロッド240の光源像共役面が、反射ミラー230を介して、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置されている。
なお、楕円鏡220とロッド240との間に、リレー光学系(図示せず)を設けた構成としてもよい。この場合には、リレー光学系によって、楕円鏡220の第2焦点の位置が、ロッド240の照野共役面にリレーされるようにすればよい。さらに、光源共役の関係に着目した場合には、光源共役面が、ロッド240の入射面になるように、リレー光学系を構成して配置すればよい。このようなリレー光学系は、反射ミラー230によって集光された光束をロッド240に入射させるのに、適切な光束に変換する。
第2の反射手段250によって辿る光束の経路は、第1の反射手段246によるものと同一である。即ち、発光体210のアーク部分から発せられた光束は、図2に示す光路P1→P2→P3→P4→P5に従って第2の反射手段250に至る。上述したように、第2の反射手段250は、図2の位置X1に配置されている。反射部256aによって反射された光束は、光路R1→R2→R3→R4→R5→R6に従って、発光体210近傍まで戻る。第1の反射手段246で説明したように、発光体210のアーク部分は、楕円鏡220の第1の焦点であるため、反射面222によって反射された光束は、光路R5及びR6に示すように、反射ミラー230を介して、楕円鏡220の第2の焦点であるロッド240の入射面242に向かって進み、ロッド240の入射面242から入射される。一方、通過部256cに至った光束S1及びS2(図2参照)は、通過部256cを通過して被照射物体40に向かって進む。
このような構成としても、発光体210の出力や数を変更することなく、被照射物体40の照野に照射する光束の照度を上げることができる。
なお、上述した例では、第2の反射手段250が、ロッド240の射出面244に密接するように配置された場合を示したが、射出面244から離隔した位置に第2の反射手段250を配置してもよい。ただし、射出面244から離隔した位置に配置する場合には、被照射物体40上に形成される照野に対して、光学的にほぼ共役な位置に第2の反射手段250を配置するのが望ましい。被照射物体40上の照野に対して光学的にほぼ共役な位置には、射出面244の像が形成されるため、被照射物体40の照野に照射される光束と、照野に照射され得ない光束と、を的確に分離することができ、照野に照射され得ない光束を第2の反射手段250によって反射させた後、再び、ロッド240の入射面242に入射させることができる。
<第3の反射手段266>
[第3の反射手段266の構成]
図5は、第3の反射手段266の例(b)と、この第3の反射手段266に用いるフライアイ260の例(a)を示す図である。なお、図5(a)は、第3の反射手段266とフライアイ260と示す側面図であり、図5(b)は、第3の反射手段266とフライアイ260の入射面262とを示す正面図である。
フライアイは、複数の単レンズが並列に配置されたレンズアレイであり、この第3の反射手段266に用いるフライアイ260は、長尺な形状を有する。図5(a)に示すように、フライアイ260は、その長手方向が、光束の進行方向に沿うように配置される。
図5に示したフライアイ260の場合には、光束の進行方向に対して垂直な平面内に、横に4個、縦に4個の単レンズが並列に配置されている。単レンズの各々は、光束の進行方向に対して垂直な断面における断面形状がほぼ正方形の形状を有し、フライアイ260全体の断面もほぼ正方形である。
フライアイ260は、入射面262と射出面とを有する。入射面262には、発光体210から発せられた光束が入射する。フライアイ260は、入射面262に入射された光束によって、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。フライアイ260の射出面264からは、このような光束が射出される。なお、ここで、入射面262は、フライアイ260の全体としての入射面であり、射出面264は、フライアイ260の全体としての射出面である。
図5(a)に示すように、入射面262の前方には、第3の反射手段266が設けられている。なお、図5(a)の破線矢印で示すように、第3の反射手段266は、フライアイ260の入射面262に密接するように設けられる。
この第3の反射手段266は、矩形の板状のガラス板に誘電体を蒸着することによって形成される。なお、クロムやアルミ等の金属を蒸着して形成してもよいが、誘電体を蒸着したものが望ましい。誘電体を用いることによって、吸収を少なくして熱の発生を抑えることができる。さらに、ガラス板に蒸着するものは、光束を反射するものであればよいが、反射率が高く、かつ、熱によって反射率等が変化しにくいものが好ましい。
第3の反射手段266は、反射部266a、266b、266c、266d及び266eと、通過部266f、266g、266h及び266iと、を有する。
上述した反射部266a、266b、266c、266d及び266eの各々が、図5(b)に示した横方向に並んだ4個の単レンズに重なるように、かつ、通過部266f、266g、266h及び266iも、横方向に並んだ4個の単レンズに重なるように、第3の反射手段266は、フライアイ260の入射面262の前方に位置づけられている。また、図5(b)に示した例では、反射部266a〜266eと、通過部266f〜266iとを明確に区別して示すために、反射部266a〜266eに斜線を付して示した。
単レンズの各々についての反射部と通過部は、例えば、図5(b)に示す1つの単レンズ268に着目すると、単レンズ268の入射面の上側に反射部266aが位置し、入射面の下側に反射部266bが位置している。この反射部266aと反射部266bとの間に通過部266fが位置している。この単レンズ268についての通過部266fが被照射物体40の照野の形状に適合するように、反射部266aと反射部266bとが形成されている。すなわち、フライアイ260を構成する単レンズの各々についての通過部が、被照射物体40の照野の形状に適合するように、反射部が形成されている。
フライアイ260を構成する全ての単レンズの入射面に、このような反射部と通過部とが位置し、フライアイ260全体について、上述した反射部266a〜266eと、通過部266f〜266iとなる。
反射部266a〜266eは、反射部266a〜266eに至った光束を反射させて、再び、楕円鏡220に向かうように戻す。一方、通過部266f〜266iを通過した光束は、フライアイ260の入射面262に入射される。
[第3の反射手段266による光束の経路]
以下では、第3の反射手段266によって反射された光束が辿る経路を図6を用いて説明する。なお、図6に示した光路は、発光体210から発せられ光束のうちの代表的な1つの光線について示したものである。図6では、発光体210から発せられて反射部266a〜266eに至るまでの光路を実線P1〜P3で示し、反射部266a〜266eによって反射されて戻る光路を破線R1’〜R5’で示した。なお、上述したように、第3の反射手段266は、フライアイ260の入射面262に密接するように設けられているが、明確に示すために、図6では、第3の反射手段266をフライアイ260に対して離隔した位置に示した。また、図6では、図2と同様の構成要素には、同一の符号を付して示した。
この第3の反射手段266を用いるときには、フライアイ260は、フライアイ260の光源共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置される。なお、フライアイ260の光源共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点と共役な点に位置するように、フライアイ260を配置してもよい。本実施の形態では、上述したように、反射ミラー230を設けた構成としているので、フライアイ260は、フライアイ260の光源共役面が、反射ミラー230を介して、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に位置するように配置されている。
なお、楕円鏡220とフライアイ260との間に、リレー光学系(図示せず)を設けた構成としてもよい。この場合には、リレー光学系によって、楕円鏡220の第2焦点の位置が、フライアイ260の照野共役面にリレーされるようにすればよい。さらに、光源共役の関係に着目した場合には、光源共役面が、フライアイ260の射出面になるように、リレー光学系を構成して配置すればよい。このようなリレー光学系は、反射ミラー230によって集光された光束を、ロッド240に入射させるのに、適切な光束に変換する。
まず、発光体210のアーク部分から発せられた光束は、光路P1に示すように、楕円鏡220の反射面222に到達する。光束は、反射面222によって反射されて、光路P2に示すように、反射ミラー230に至る。光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路P3に示すように、第3の反射手段266に到達する。
第3の反射手段266の通過部266f〜266iに到達した光束は、通過部266f〜266iを通過して、フライアイ260の入射面262に至る。フライアイ260の内部を射出面244に向かって進む。フライアイ260は、フライアイ260の内部に進入した光束によって、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。フライアイ260の射出面264からは、このような光束が射出される。
一方、第3の反射手段266の反射部266a〜266eに到達した光束は、反射部266a〜266eによって反射されて、光路R1’に示すように、反射ミラー230に至る。光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路R2’に示すように、楕円鏡220の反射面222に向かって進む。反射面222に到達した光束は、反射面222によって反射されて、光路R3’に示すように、発光体210のアーク部分(図示せず)に向かって進む。
アーク部分に到達した光束は、光路R3’に示すように、アーク部分を通り抜けて、楕円鏡220に反射面222に向かって進み、反射面222によって反射される。上述したように、発光体210のアーク部分は、楕円鏡220の第1の焦点であるため、反射面222によって反射された光束は、光路R4’及びR5’に示すように、反射ミラー230を介して、楕円鏡220の第2の焦点であるフライアイ260の光源共役面に向かって進む。すなわち、アーク部分に到達した光束は、光路R3’に示すように、楕円鏡220の反射面222に向かって進み、反射面222によって反射されて、光路R4’に示すように、再び、反射ミラー230に向かって進む。反射ミラー230に到達した光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路R5’に示すように、第3の反射手段266に向かって進み、第3の反射手段266の通過部266f〜266iを通過した光束は、フライアイ260に進入することができる。
このように、第3の反射手段266の反射部266a〜266eによって反射された光束は、集光光学系である楕円鏡220を介して光源である発光体210のアーク部分に至る。さらに、その後、光束は、楕円鏡220を介して、再び、第3の反射手段266に向かって進み、第3の反射手段266の通過部266f〜266iを通過した光束は、フライアイ260に進入する。
上述したように、通過部266f〜266iの単レンズについての形状は、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。すなわち、反射部266a〜266eによって反射された光束は、本来、反射部266a〜266eがない場合には、被照射物体40の照野に到達しなかった光束であり、被照射物体40の照野の照射に寄与し得なかった光束である。この光束を反射部266a〜266eによって反射し、再び、フライアイ260に戻すことによって、被照射物体40の照野に至らしめることができ、発光体210の出力や数を変更することなく、被照射物体40の照野に照射する光束の照度を上げることができる。
<第4の反射手段276>
上述した第1の反射手段246及び第2の反射手段250は、オプティカルインテグレータであるロッド270の射出面に、これらの反射手段を形成したり、配置したりするものである。また、第3の反射手段266は、オプティカルインテグレータであるフライアイ260の入射面に、反射手段を形成したり、配置したりするものである。これらに加えて、ロッドの入射面に反射手段を形成したり設けたりする例を第4の反射手段276として、以下に説明する。
図7は、第4の反射手段276と、この第4の反射手段276に用いるロッド270とを示す図である。
このロッド270は、光束の進行方向に沿って長尺な形状を有するともに、その長手方向に対して垂直な断面の形状は、矩形である。断面の形状は、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。
第4の反射手段276は、第2の反射手段250と同様の形状をしており、円板状のガラス板に誘電体を蒸着することによって形成される。なお、クロムやアルミ等の金属を蒸着して形成してもよいが、誘電体を蒸着したものが望ましい。誘電体を用いることによって、吸収を少なくして熱の発生を抑えることができる。さらに、ガラス板に蒸着するものは、光束を反射するものであればよいが、反射率が高く、かつ、熱によって反射率等が変化しにくいものが好ましい。第4の反射手段276は、反射部276aと通過部276cとを有する。通過部276cは、スリットとして形成されている。
第4の反射手段276は、図7の破線矢印で示すように、ロッド270の入射面272に密接するように配置される。具体的には、図2の位置X2に配置されている。通過部276cの形状は、矩形をしており、ロッド270の断面、すなわち、被照射物体40の照野の形状に適合するように定められた形状である。また、第4の反射手段276の大きさは、発光体210から発せられ、反射ミラー230によって反射された光束の全体が、第4の反射手段276の全面(反射部276a及び通過部276c)に照射されるような大きさである。
反射部276aは、発光体210から発せられ、反射ミラー230によって反射されて、反射部276aに照射された光束を反射させて、再び、反射ミラー230を介して、発光体210近傍に向かって戻す。一方、通過部276cは、反射ミラー230によって反射された光束を通過させ、通過部276cを通過した光束は、ロッド270の入射面272に光束を入射する。
このように、ロッド270と第4の反射手段276とを別体にすることで、ロッド270や第4の反射手段276の製造を容易にすることができる。例えば、ロッドに金属を蒸着する工程を省くことができたり、被照射物体40の照野の形状に適合した形状の通過部276cを第4の反射手段276に容易に形成したりすることができる。
また、ロッド270の入射面272は、ロッド270の射出面274に対して共役な位置ではないが、このような構成とすることで、ロッド270に入射しない光束を、発光体210近傍に向かって戻すことによって、このような光束を活用することができる。
すなわち、反射部276aによって反射された光束は、反射部276aが存在しない場合には、ロッド270に入射されることがなく、被照射物体40の照野に到達しなかった光束であり、被照射物体40の照野の照射に寄与し得なかった光束である。反射部276aを設けたことにより、このような光束を反射部276aによって反射し、再び、ロッド270に戻すことによって、被照射物体40の照野に至らしめることができる。このように、照野の照射に寄与し得なかった光束を活用して、発光体210の出力や数を変更することなく、被照射物体40の照野に照射する光束の照度を上げることができる。
<<導光手段>>
<レンズ系290>
図1に示すように、上述したロッド240の射出面244、ロッド270の射出面274、又はフライアイ260の射出面264から発せられた光束の進行方向には、レンズ系290が配置されている。なお、レンズ系290は、少なくとも1枚以上のレンズからなり、図1では、レンズ系290を代表するものとして、1枚のレンズのみを示した。このレンズ系290は、ロッド240の射出面244、ロッド270の射出面274、又はフライアイ260の射出面264の像を拡大して、これらの射出面の像を被照射物体40に投影するためのものである。レンズ系290は、リレーレンズであり、被照射物体40の近傍で、光束がテレセントリックになるように光束を変換する。なお、レンズ系290は、被照射物体40に形成する照野の大きさや照野までの距離等に応じて適宜省略してもよい。
<プリズム310>
レンズ系290から発せられた光束は、プリズム310に入射される。プリズム310は、光束を反射させて斜め下方に導くためのものである。
<λ/4波長板320>
プリズム310によって導かれた光束は、λ/4波長板320に入射する。λ/4波長板320は、通過する光束の位相をπ/2だけ遅らせた光波を射出する。なお、λ/4波長板320の詳細については、後述する第2の実施の形態で説明する。また、本実施の形態では、λ/4波長板320を用いたが、λ/4波長板320に限らず、所定方向の直線偏光の位相を所望する角度ωだけ遅らせる光学リターダーを用いることができる。
<偏光フィルター330>
偏光フィルター330は、入射した光束のうち、P偏光の光束のみを透過させ、S偏光の光束を反射する。ここで、P偏光とは、光の振動面が入射面と平行な直線偏光をいい、S偏光は、光の振動面が入射面と垂直な直線偏光をいう。
偏光フィルター330を透過した光束は、被照射物体40に向かって射出され、被照射物体40に照射される。
<<照明装置10の概要>>
上述した構成により、以下のような発光体210から発せられた光束を被照射物体40に照射する照明装置10を提供することができる。
この照明装置10は、楕円鏡220等の集光光学系と、ロッド240等のオプティカルインテグレータと、第1の反射手段246又は第2の反射手段250等の反射手段と、を含む。
楕円鏡220等の集光光学系は、発光体210から発せられた光束を集光する。
ロッド240等のオプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、楕円鏡220等の集光光学系によって集光された光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。オプティカルインテグレータを用いることで、照度にむらがない均一の光束を射出面から射出し、被照射物体に照射することができる。
第1の反射手段246又は第2の反射手段250等の反射手段は、上述したオプティカルインテグレータの射出面近傍に配置されている。または、この反射手段を、被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置してもよい。反射手段は、通過部と反射部とを有する。通過部は、オプティカルインテグレータの射出面から射出された光束の一部を通過させる。反射部は、通過部から通過しなかった残りの光束を反射させる。
第1の反射手段246又は第2の反射手段250等の反射手段の通過部を透過した光束を、被照射物体40へ導き、被照射物体40上に照野を形成させる。一方、反射手段によって反射された光束を、オプティカルインテグレータの入射面と、集光光学系とを介して発光体210近傍に至らしめる。
また、上述した構成により、以下のような発光体210から発せられた光束を被照射物体40に照射する照明装置10を提供することもできる。
この照明装置10は、楕円鏡220等の集光光学系と、第3の反射手段266や第4の反射手段276等の反射手段と、フライアイ260やロッド270等のオプティカルインテグレータと、を含む。
楕円鏡220等の集光光学系は、発光体210から発せられた光束を集光する。
第3の反射手段266や第4の反射手段276等の反射手段は、上述した楕円鏡220等の集光光学系と、後述するフライアイ260やロッド270等のオプティカルインテグレータとの間に配置されている。この反射手段は、通過部と反射部とを有する。通過部は、集光光学系によって集光された光束の一部を通過させる。通過部を通過した光束は、オプティカルインテグレータの入射面に入射する。反射部は、通過部から通過しなかった残りの光束を反射させる。
フライアイ260やロッド270等のオプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、反射手段の通過部を通過した光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。
フライアイ260やロッド270等のオプティカルインテグレータの入射面から射出された光束を、被照射物体40へ導き、被照射物体40上に照野を形成させる。一方、第3の反射手段266第4の反射手段276等の反射手段によって反射された光束を、楕円鏡220等の集光光学系を介して発光体210近傍に至らしめる。
<<<第2の実施の形態>>>
図8は、本発明に係る第2の実施の形態の照明装置10’の概略を示す図である。なお、図8に示した図では、第1の実施の形態と同様の構成には、同一の符号を付して示した。
第2の実施の形態では、発光体210からなる光源と、楕円鏡220からなる集光光学系と、反射ミラー230と、レンズ系290と、プリズム310と、λ/4波長板320と、偏光フィルター330と、は第1の実施の形態と同様の構成である。
発光体210から発せられた光束の光路を、図8を用いて説明する。なお、図8に示した光路も、図1又は図2と同様に、発光体210から発せられる光束のうち1つの光線の光路について示した。
発光体210のアーク部分から発せられた光束は、光路P11に示すように、楕円鏡220の反射面222に到達する。光束は、反射面222によって反射されて、光路P12に示すように、反射ミラー230に至る。光束は、反射ミラー230によって反射されて、光路P13に示すように、ロッド280の入射面282に到達し、ロッド280の内部に進入する。ロッド280の内部では、光路P13及びP14に示すように、ロッド280の側面によって反射しながらロッド280の射出面284に向かって進み、射出面284から射出される。射出された光束は、光路P14に示すように、レンズ系290に入射する。レンズ系290によって平行光に変換された光束は、光路P15に示すように、プリズム310に至り、プリズム310によって反射された光束は、光路P16に示すように、λ/4波長板320と偏光フィルター330とを介して、被照射物体40に照射される。
上述した第1の実施の形態で説明したように、偏光フィルター330においては、偏光フィルター330に入射した光束のうち、P偏光の光束のみが透過され、S偏光の光束は反射される。したがって、被照射物体40には、P偏光の光束のみが照射される。
この第2の実施の形態では、後述するように、偏光フィルター330で反射されたS偏光の光束を反射させて活用するものである。
以下では、第1の実施の形態と相違するオプティカルインテグレータと、反射手段とについて説明する。
<<オプティカルインテグレータ>>
オプティカルインテグレータは、入射面と射出面とを有する。入射面には、集光光学系によって集光された光束が入射する。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するためのものである。オプティカルインテグレータの射出面からは、被照射物体40上に形成される照野を均一に照明するための光束が射出される。オプティカルインテグレータは、入射面に入射された光束によって照野を均一に照明できるものであればよい。
オプティカルインテグレータは、オプティカルインテグレータの光源像共役面が、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に、又は第2の焦点と共役な点に、位置するように配置される。本実施の形態では、上述したように、反射ミラー230を設けた構成としているので、オプティカルインテグレータは、オプティカルインテグレータの光源像共役面が、反射ミラー230を介して、光学的に楕円鏡220の第2の焦点に、又は第2の焦点と共役な点に、位置するように配置されている。
このようにオプティカルインテグレータを配置したことにより、発光体210から発せられた光束は、楕円鏡220の反射面222によって、オプティカルインテグレータの入射面に導かれる。
オプティカルインテグレータは、被照射物体40の照野に均一な照度の光を照射するために用いられる。さらに、発光体210に色むらがある場合や、発光体210のアークにちらつきがある場合でも、被照射物体40の照野における色むらやちらつきを低下させることができる。
オプティカルインテグレータは、後述するように、ロッド280からなる。
なお、この第2の実施の形態では、後述する偏光フィルター330は、被照射物体40に形成する照野の大きさや照野までの距離や、偏光フィルター330大きさや距離等に応じて適宜省略してもよい。
<ロッド280>
第2の実施の形態では、オプティカルインテグレータとして直方体のロッド280を用いることができる。ロッド280は、被照射物体40の照野の形状に適合させた断面形状を有する。例えば、被照射物体40の照野の形状が矩形の場合には、その矩形に応じた断面形状を有するロッドが用いられる。
図8に示すように、ロッド280は、発光体210から発せられた光束が入射する入射面282と、ロッド280の内部で均一化された光束が射出される射出面284とを有する。ロッド280は、入射した光束の角度成分を内部で混ぜ合わせ、ロッド280の射出面284で照度が均一化される。さらに、ロッド280は、色むら、ちらつきなどを低減することもできる。
なお、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、ロッド280の入射面282又は射出面284には、反射手段は形成されたり、設けられたりしない。
<<反射手段>>
上述した第1の実施の形態と同様に、第2の実施の形態の照明装置10’でも、偏光フィルター330が設けられている。上述したように、偏光フィルター330は、入射した光束のうち、P偏光の光束のみを透過させ、S偏光の光束を反射する。偏光フィルター330を透過した光束は、被照射物体40に向かって射出され、被照射物体40に照射される。なお、ここでも、P偏光とは、光の振動面が入射面と平行な直線偏光をいい、S偏光は、光の振動面が入射面と垂直な直線偏光をいう。
第2の実施の形態の照明装置10’では、偏光フィルター330によって反射されたS偏光の光束を活用するものであり、S偏光の光束を反射する反射手段を有する。反射手段は、図8に示すように平面鏡340aと340bとからなる。なお、後述するように、平面鏡340aは、光路を単に変更するために光束を反射させるためのものであり、光束を元の光路に対して逆向きに戻すための反射手段は、平面鏡340bのみである。
<平面鏡340a、340b>
図8に示すように、偏光フィルター330によって反射されたS偏光の光束は、光路S1に示すように、図8の左下方に向かって進む。導光部30の底部には平面鏡340aが設けられており、平面鏡340aによってS偏光の光束は、進行方向を変え、光路S2に示すように、左上方向に向かって進む。平面鏡340aに対して左上方の位置に、平面鏡340bが設けられている。平面鏡340bは、平面鏡340bの法線方向が、S偏光の光束の主光線と平行になるように配置されている。平面鏡340bによって、S偏光の光束は、逆向きに反射されて、光路R11及びR12に示すように、平面鏡340aを介して、偏光フィルター330まで戻る。
偏光フィルター330に戻った光束もS偏光の光束であるので、偏光フィルター330によって反射される。この反射によって、光路R13に示すように、元の光路P16とは逆向きの光路で、λ/4波長板320を介して、プリズム310まで戻る。その後、元の光路P11〜P15と逆向きの光路で、発光体210近傍まで戻る。
なお、発光体210まで戻った光束は、再び、楕円鏡220、反射ミラー230、ロッド280、レンズ系290、プリズム310、λ/4波長板320、偏光フィルター330を介して、被照射物体40へ照射される。
上述したように、λ/4波長板320は、通過する光束の位相をπ/2だけ遅らせる。水銀ランプ等からなる発光体210から発せられた光束は、電場ベクトルの方向がランダムに変動するランダム偏光であるため、発光体210からλ/4波長板320へ直接至った光束の全ては、位相がπ/2だけ遅れるため、光束全体としては、λ/4波長板320の通過前後で変化していないとみなすことができる。
しかし、偏光フィルター330によって反射された光束は、S偏光の光束であり、平面鏡340bによって反射されて、発光体210近傍に向かって戻るときに、光路R13で、λ/4波長板320を通過する。このとき、S偏光の光束は、λ/4波長板320によって、円偏光の光束となる。さらに、この円偏光の光束は、上述したように、再び、被照射物体40に向かうときに、光路P16で、λ/4波長板320を通過する。このとき、円偏光の光束は、さらにπ/2だけ遅れ、元の光束に対して位相がπだけ遅れ、P偏光の光束に変換される。P偏光に変換された光束は、偏光フィルター330を通過することができるので、被照射物体40へ照射されることになる。
このような構成としたことにより、発光体210から発せられたランダム偏光の光束の全てをP偏光に変換することができるとともに、発光体210の出力や数を変更することなく、被照射物体40の照野への照度を上げることができる。
なお、上述した図8に示した例では、λ/4波長板320を用いて、S偏光の光束をP偏光に変換できる場合を示したが、発光体210と偏光フィルター330との間には、種々の光学素子があるため、λ/4波長板320を用いることで常にS偏光の光束をP偏光に変換できるわけではない。
このような場合には、λ/4波長板ではなく、所定方向の直線偏光の位相を所望する角度ωだけ遅らせる光学リターダーを用いて、S偏光の光束をP偏光に変換するものが好ましい。
すなわち、偏光フィルター330によって反射された光束は、S偏光の光束であり、平面鏡340bによって反射されて、発光体210近傍に向かって戻るときに、光路R13で、光学リターダーを通過する。さらに、この光束は、再び、被照射物体40に向かうときに、光路P16で、光学リターダーを通過する。光学リターダーの角度ωは、光学リターダーを2回通過することによって、S偏光の光束がP偏光に変換されるようなものを選択すればよい。
また、上述した図8に示した例では、反射手段として、2つの平面鏡340aと340bとからなる場合を示したが、平面鏡340aは、偏光フィルター330から平面鏡340bまでの距離を、偏光フィルター330から被照射物体40までの距離に一致させるためのものであり、偏光フィルター330から被照射物体40までの距離が短いような場合には、平面鏡340aを設けることなく、1つの平面鏡340bのみの構成にして、S偏光の光束を反射させることができる。
<凹面鏡>
また、上述した図8に示した例では、平面状の反射面を有する平面鏡340bを用いて、偏光フィルター330によって反射されたS偏光の光束を反射させる場合を示した。これは、被照射物体40へ照射する光束を、レンズ系290によってテレセントリックにしているため、平面鏡340bに到達する光束もテレセントリックになっており、平面状の反射面で反射させればよいからである。したがって、被照射物体40へ照射する光束を、テレセントリックにしない場合には、それに応じた曲面を有する反射鏡を、平面鏡340bの替わりに用いることで、偏光フィルター330によって反射されたS偏光の光束を反射させて、偏光フィルター330に向かって戻すことができる。
<<作用>>
上述した構成により、以下のような発光体210から発せられた光束を被照射物体40に照射する照明装置10’を提供することができる。
この照明装置10’は、楕円鏡220等の集光光学系と、偏光フィルター330等の偏光手段と、平面鏡340b等の反射手段と、を含む。
楕円鏡220等の集光光学系は、発光体210から発せられた光束を集光する。
偏光フィルター330等の偏光手段は、集光光学系によって集光された光束を、第1の直線偏光成分の第1偏光光束と、第2の直線偏光成分の第2偏光光束と、に分離する。第1偏光光束は、偏光手段を通過する成分の光束であり、被照射物体40の照野に照射される。第2偏光光束は、偏光手段によって反射される成分の光束であり、後述する反射手段によって反射される。
平面鏡340b等の反射手段は、第2偏光光束を反射する。上述したように、第2偏光光束は、偏光フィルター330等の偏光手段によって反射される成分の光束である。なお、反射手段は、被照射物体上に形成される照野に対して光学的にほぼ共役な位置に配置される。例えば、反射手段が配置される位置は、偏光手段から反射手段までの距離が、偏光手段から被照射物体40までの距離に適合するようにすればよい。特に、偏光手段から反射手段までの距離が、偏光手段から被照射物体40までの距離と一致するように、反射手段を配置するのが好ましい。
第1偏光光束を、被照射物体40へ導き、被照射物体40上に照野を形成させる。上述したように、第1偏光光束は、偏光フィルター330等の偏光手段を通過する成分の光束であり、被照射物体40に至ることができる。
一方、反射手段によって反射された第2偏光光束を、集光光学系を介して発光体210近傍に至らしめる。反射手段によって反射された第2偏光光束が、発光体210近傍に至るには、集光光学系を介した光路であれば、いかなる光路を辿っても光源近傍に至ればよい。反射手段によって反射された第2偏光光束を、上述した集光光学系によって発光体210近傍に集光させることで、発光体210近傍に至らしめるものが好ましい。
したがって、上述した集光光学系は、光源から発せられた光束を偏光フィルター330等の偏光手段に導くとともに、反射手段によって反射された第2偏光光束を発光体210近傍に集光させるものが好ましい。
また、照明装置10’は、光学リターダーをさらに含むものが好ましい。この光学リターダーは、所定方向の直線偏光の位相を所定の角度ωだけ遅らせる。この角度ωは、光学リターダーを2回通過させることにより、第2偏光光束を第1偏光光束に最も多く変換できるものを選択するのが好ましい。なお、第2偏光光束の大部分が、実質的に第1偏光光束に変換されれば望ましい。また、変換後に第1の直線偏光成分でない楕円偏光が含まれていても、第1の直線偏光成分とみなせるものに変換されればよい。
反射手段によって反射された第2偏光光束は、発光体210近傍に戻るときに、λ/4波長板320を1回通過し、発光体210近傍に戻った第2偏光光束は、集光光学系によって集光されて、オプティカルインテグレータの入射面282に入射して、光学リターダーを再び通過する。このように、反射手段によって反射された第2偏光光束は、光学リターダーを2回通過する。この2回の通過によって、第2偏光光束は第1偏光光束へ変換されるので、第2偏光光束であった光束も、上述した偏光手段を通過させて被照射物体40に照射させることができ、被照射物体40に照射される光束の照度の向上させることができる。