JP2006343527A - 光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの隔壁貫通方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蝉による光ファイバの損傷防止とケーブル外被の引裂きの容易性を損なうことなく、隔壁の貫通孔に対して十分な気密性を持たせて封止することが可能な光ファイバケーブルと光ファイバケーブルの隔壁貫通方法を提供する。
【解決手段】ケーブル中心部に1本以上の光ファイバ心線1を配し、ケーブル中心部の両側にテンションメンバ2を配して外被3により一体に被覆した光ファイバケーブルである。両側に配したテンションメンバ2の中心を通る直線をケーブル中心軸Yとし、ケーブル中心軸に直交しケーブル中心部を通る直線を法線軸Xとしたとき、ケーブル中心軸Yと法線軸Xにより4分割されたケーブル断面のそれぞれの領域で、外被3の表面から内部に向けて楔状のノッチ5a〜5dを設ける。この場合、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2箇所のノッチの先端を結ぶ線分の長さD1を、ノッチの先端と最も近い光ファイバ心線1との距離D2より短くする。
【選択図】図1
【解決手段】ケーブル中心部に1本以上の光ファイバ心線1を配し、ケーブル中心部の両側にテンションメンバ2を配して外被3により一体に被覆した光ファイバケーブルである。両側に配したテンションメンバ2の中心を通る直線をケーブル中心軸Yとし、ケーブル中心軸に直交しケーブル中心部を通る直線を法線軸Xとしたとき、ケーブル中心軸Yと法線軸Xにより4分割されたケーブル断面のそれぞれの領域で、外被3の表面から内部に向けて楔状のノッチ5a〜5dを設ける。この場合、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2箇所のノッチの先端を結ぶ線分の長さD1を、ノッチの先端と最も近い光ファイバ心線1との距離D2より短くする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ケーブル中心部に光ファイバ心線を配し、ケーブル中心部の両側にテンションメンバ配して外被により一体に被覆したドロップ用やインドア用として用いるような光ファイバケーブルと該光ファイバケーブルの隔壁貫通方法に関する。
一般に、ドロップ光ファイバケーブルやインドア光ファイバケーブルは、図6に示すように、光ファイバ心線11の両側にテンションメンバ12を平行に配し、ケーブル外被13により一体に被覆して、ケーブルとしての引張強度を高めた構造のものが用いられている。光ファイバケーブルには、支持線部(図示省略)が一体に設けられていて、この支持線部を手で引裂いて除去し、クロージャ(接続函)内に導入したり、インドア光ファイバケーブルとしても使用できる形状とされている。また、ケーブル外被13の両側面には、ケーブル外被を2つに引裂いて内部の光ファイバ心線11を取り出すための、V字状のノッチ14が設けられている。
しかし、ケーブル外被13にV字状のノッチ14を設けると、ノッチ14の部分に蝉が産卵管を突き刺し、内部の光ファイアバ心線11を損傷させるという事例も生じている。このため、例えば、図6(A)に示すように(特許文献1参照)、V字状のノッチ14を剥離可能な充填物15で埋めたり、テープ状の薄膜を貼りつけて、蝉に対してはノッチ14の凹みが無いように見せかけることが提案されている。そして、光ファイバ心線11の取り出しに際しては、充填物15やテープ状の薄膜を除去し、ケーブル外被13を引裂いて内部の光ファイバ心線11の取り出しができるようにされている。この他、例えば、図6(B)に示すように(特許文献2参照)、ノッチ14の先端の位置を、光ファイバ心線11からずらし、蝉の産卵管による突き刺しを避ける等の方法も提案されている。
特開2002−90596号公報
特開2002−328276号公報
ノッチを備えた光ファイバケーブルを配線する場合、クロージャ内への導入、或いは、屋外から屋内に引込む際に、隔壁を貫通させる必要がある。光ファイバケーブルを隔壁に設けた貫通孔に挿通させる場合、貫通部分を通しての雨水や湿気の浸入や地下道での敷設ではガスの侵入を避けるために、貫通部分を気密に封止することが要望されている。しかし、ケーブル外被の引裂き用のノッチは、通常、鋭角な切り込みで形成されている。このため、ノッチの空隙部をシール材で完全に埋めることが難しく、十分な気密封止を行なうことができなかった。
上述した図6(A)に示されるように、V字状のノッチ14を剥離可能な充填物15で埋めたとしても、充填物15は剥離しやすい材料で形成されるため、充填個所から剥離しやすく密閉封止の長期維持が難しい。また、充填物15は、通常の使用形態では剥離しないように保持する必要があり、敷設作業での取扱いに注意を要し、また、経年変化等で剥離が生じると美観上の問題が生じる。そして、充填物15はケーブル外被13と別の材料が用いられるため、外被13の形成には2工程の成型が必要となり製造コストを増加させることにもなる。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、蝉による光ファイバの損傷防止とケーブル外被の引裂きの容易性を損なうことなく、隔壁の貫通孔に対して十分な気密性を持たせて封止することが可能な光ファイバケーブルと光ファイバケーブルの隔壁貫通方法の提供を課題とする。
本発明による光ファイバケーブルは、ケーブル中心部に1本以上の光ファイバ心線を配し、ケーブル中心部の両側にテンションメンバを配して外被により一体に被覆した光ファイバケーブルである。両側に配したテンションメンバの中心を通る直線をケーブル中心軸とし、ケーブル中心軸に直交しケーブル中心部を通る直線を法線軸としたとき、ケーブル中心軸と法線軸により4分割されたケーブル断面のそれぞれの領域で、外被の表面から内部に向けて楔状のノッチを設ける。この場合、ケーブル中心軸の同じ側にある2箇所のノッチの先端を結ぶ線分の長さD1が、ノッチの先端と最も近い光ファイバ心線との距離D2より短くする。また、楔状のノッチの開口角度を30°以下とし、互いに対向するノッチの先端の距離D3を1.0mm以下とするのが好ましい。
また、本発明による光ファイバケーブルの隔壁貫通方法は、上述した光ファイバケーブルを、隔壁の貫通孔に挿通させる近傍部分において、ケーブル中心軸の同じ側にある2箇所のノッチで囲まれた部分の外被を取り除き、隔壁の貫通孔と外被を取り除いたことにより生じた空隙部分にシール材を充填して封止するものである。
本発明による光ファイバケーブルによれば、ノッチの形成方向、開口角度を適切に選定することにより、光ファイバが蝉の産卵管による直撃で損傷を受けるのを回避できると共に、従来通りにノッチに切り込みを入れて引裂くことにより、内部の光ファイバを容易に取り出すことができる。また、ケーブル中心軸の同じ側にある2箇所のノッチにより囲われた部分を取り除くことにより、台形状の比較的広い凹みを形成することができる。この凹みと隔壁の貫通孔との間に生じる空隙は、比較的大きな空隙とすることができるのでシール材の充填が容易となり、光ファイバケーブルを気密に封止して隔壁を貫通させることができる。
図により本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は本発明による光ファイバケーブルの概略を説明する図、図1(B)はその光ファイバケーブルの断面図、図2及び図3は外被の引裂きと光ファイバの取り出し形態を説明する図、図4は光ファイバケーブルの他の実施形態を説明する図である。図中、1は光ファイバ心線、2はテンションメンバ、3は外被、3aは中央部片、3b,3cは側部片、3d,3eは上下部片、3f,3gは分割部片、4は支持線部、5a,5b,5c,5dはノッチ、6a,6bは側面、7は破断部を示す。
本発明による光ファイバケーブルは、図1(A)に示すように、ケーブル中心部に1本以上の光ファイバ心線1を配し、その両側(図では上下側)にテンションメンバ2を配し、外被3により一体に被覆してなる構成のものが対象とされる。また、外被3の一方の端面側(例えば、上面側)に支持線部4を一体に設けて自己支持型の光ファイバケーブルとすることができる。しかし、本発明においては、支持線4を除去した形態での使用、或いは、初めから支持線部4を有しない光ファイバケーブルに対しても同様に適用することができる。
本発明に用いられる光ファイバ心線1は、例えば、標準外径が125μmのガラスファイバの外周に、被覆外径が250μmの被覆を施した光ファイバ素線と称されているもの、並びに、その外側にさらに補強被覆を施した構成のもの等を全て含むものとする。この光ファイバ心線1は、1本〜数本程度を外被3の直接被覆で収納するが、複数本の光ファイバ心線を共通被覆で一体化したテープ心線の形態で収納することもできる。また、光ファイバケーブルの本体部を構成する外被3は、断面形状が矩形状である場合が多いが、特にこれに限定されず、楕円形状や円形状とすることもできる。
また、本発明における光ファイバケーブルにおいて、光ファイバ心線1の両側に配したテンションメンバ2の中心を通る直線をケーブル中心軸Yとし、このケーブル中心軸Yに直交し、光ファイバ心線1が配されたケーブル中心部を通る直線を法線軸Xとする。このケーブル中心軸Yと法線軸Xにより、ケーブル本体部の外被断面を4分割した領域に分けることができる。本発明では、ケーブル引裂き用のノッチとして、この4分割された領域で、外被3の表面から内部に向かう楔状のノッチ5a,5b,5c,5dを設けている。
図1(B)に示すように、本発明によるノッチ5a〜5dは、例えば、先端がテンションメンバ2の方向に向いた楔状で、ケーブル中心軸Yに対する傾斜角度θが15°〜45°の範囲となるように形成するのが望ましい。また、楔状のノッチ5a〜5dは、従来のV字状のノッチと比べてその開口角度βが30°以下の小さい角度で形成されているのが望ましい。
ノッチ5a〜5dを上記のように形成することにより、ノッチ5a〜5dの先端を光ファイバ心線1からずらせた状態にすることができる。これにより、蝉の産卵管がノッチ5a〜5dから差し込まれて突き刺されたとしても、光ファイバ心線1が直撃を受けるのを回避することができる。また、ノッチ5a〜5dは、ケーブル中心軸Yに対して傾斜角度を持たせて設けることになるため、ノッチ入口から光ファイバ心線1に達するまでの距離が長くなり、蝉の産卵管が光ファイバ心線1に達するのを防止し、これによっても光ファイバ心線1が直撃を受けるのを回避することが可能となる。また、ノッチ5a〜5dの開口角度βを30°以下の小さい角度とすることにより、蝉の産卵管の突き刺し方向を、光ファイアバ心線1から外れたテンションメンバ2の方向に向けやすくなる。
また、本発明では、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチ、例えば、図の右側のノッチ5aと5bの先端間の距離をD1とし、これらノッチ先端と最も近い光ファイバ心線1との距離をD2としたとき、D1<D2となるように構成される。
このように楔状のノッチ5a〜5dの先端の位置関係を定めておくことにより、図2(A)に示すように、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチ(例えば、ノッチ5aと5b)開口に爪等を入れて、側面方向に引き剥がすと、ノッチ先端間の短い距離D1の部分が破断されて、側部分3b,3cを容易に引き剥がすことができる。引き剥がされる側部分3b,3cは、ノッチ5aと5b(又はノッチ5cと5d)間の距離D1の線分を含む台形状断面を有したものとなる。
このように楔状のノッチ5a〜5dの先端の位置関係を定めておくことにより、図2(A)に示すように、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチ(例えば、ノッチ5aと5b)開口に爪等を入れて、側面方向に引き剥がすと、ノッチ先端間の短い距離D1の部分が破断されて、側部分3b,3cを容易に引き剥がすことができる。引き剥がされる側部分3b,3cは、ノッチ5aと5b(又はノッチ5cと5d)間の距離D1の線分を含む台形状断面を有したものとなる。
側部片3b,3cが剥ぎ取られた後の残された中央部片3aの両側の側面6a,6bは、ノッチ5aと5b(又はノッチ5cと5d)と距離D1の線分を含む台形状の凹みを有する形状となる。この形状によれば、中央部片3aは、法線軸Xが通るケーブル中央部の断面幅が最小となる。そこで、図2(B)に示すように、この断面幅が減じられた部分にニッパ等で10mm程度の切り込みを入れて引裂く(図の例では上下方向)ことにより、ケーブル中央部を通る破断部7で上下部片3dと3eとに分断することができる。この上下部片3d,3eの破断は、外被3の厚さが薄くなっているので容易に行なうことができ、内部の光ファイバ心線1の取り出しを簡単にすることができる。また、この台形状の側面6a,6bに対して、通常使用されているデタッチャと称されている切り込み工具(図示せず)を用いることも可能となって、引裂き作業を容易にすることができる。
図3は、他の引裂き例を示す図で、互いに向き合うように形成された対向するノッチ対(例えば、ノッチ5bと5d、又はノッチ5aと5c)に、従来と同様にニッパ等で10mm程度の切り込みを入れて引裂くことにより、ケーブル中央部を通る破断部7で分割部片3fと3gとに分断することができる。この引裂き方法によれば、図2(A)で示したような側部片3b,3cの引き剥がしを行なうことなく、1回の引裂き作業で内部の光ファイバ心線1を取り出すことができる。なお、上記の引裂き用の切り込みを入れやすく、かつ引裂きやすいように、図1(B)に示すノッチ対の先端間の傾斜方向の離間距離D3が1.0mm以下となるように形成されているのが望ましい。
図4は、上述したノッチ5a〜5dの先端の距離D1、D2、D3の設定を容易にするための他の実施形態を示す図である。図4(A)では、例えば、互いに対向するノッチ5aと5cの先端を、ノッチ5bと5dより長く形成する。これにより、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチ、例えば、図の右側のノッチ5aと5bの先端間の距離を狭めることができる。この結果、図1(B)で説明したケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチ、例えば、図の右側のノッチ5aと5bの先端間の距離をD1とし、これらノッチ先端と光ファイバ心線1との最も近い距離をD2としたとき、D1<D2を容易に実現することができる。また、対向するノッチ対間の離間距離D3を小さく(1.0mm以下)することもできる。
図4(B)では、互いに対向するノッチ5aと5cの先端を途中でケーブル中心軸Yに対して平行になるよう屈曲した例である。この場合も、図4(A)の場合と同様に、ノッチ5aと5dの先端間の距離を狭めることができる。また、図から明らかなように、対向するノッチ対間の離間距離(D3)も同様に小さくすることができる。
図5は、上述した光ファイバケーブルを、クロージャ等の筐体壁の貫通孔に気密に封止して挿通させる方法の一例を説明する図である。図中、8は封止部材、9は貫通孔、10はシール材を示し、その他の符号は図1〜図4で用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。
図1(B)に示すような矩形状断面を有するドロップ光ファイバケーブルは、通常、外被3の短辺側の幅L1を2.5mm、長辺側の幅L2を3.5mmとしたものが標準的で、クロージャも前記のケーブルが挿通される程度の貫通孔を有するゴム等の封止部材を用いて貫通させている。しかし、ケーブル引裂き用のノッチを有する光ファイバケーブルは、ノッチ部分の閉鎖が不十分で気密に封止して貫通させることが難しいとされている。本発明においては、標準として使用されているクロージャや封止部材に対して、光ファイバケーブルを気密に封止して挿通できるようにしている。
光ファイバケーブルは、クロージャ等の隔壁の開口部分に嵌めこまれるゴム又は樹脂製のグロムメット等からなる2つ割りの封止部材8に設けた貫通孔9を通して挿通される。本発明では、光ファイバケーブルを封止部材8の貫通孔9に挿通させる近傍部分で、図2(A)で説明したように、ケーブル中心軸Yの同じ側にある2つのノッチで側部片を引き剥がし、両側に側面6a,6bを有する中央部片3aとする。中央部片3aの両側の側面6a,6bは、台形状の凹みを有する形状とされて、光ファイバケーブルを挿通させる貫通孔9との間に比較的広めの間隙を形成することができる。
光ファイバケーブルの両側面6a,6bと貫通孔9との間には、粘弾性を有するシール材10を充填して間隙を埋める。光ファイバケーブルの両側面6a,6bと貫通孔9の間の間隙は、シール材10を充填しやすい広めの台形状となっているため、シール材10を隅の狭い部分まで十分に充填することができる。この結果、光ファイバケーブルは、隔壁の貫通孔に対して気密封止された状態で挿通される。
1…光ファイバ心線、2…テンションメンバ、3…外被、3a…中央部片、3b,3c…側部片、3d,3e…上下部片、3f,3g…分割部片、4…支持線部、5a,5b,5c,5d…ノッチ、6a,6b…側面、7…破断部、8…封止部材、9…貫通孔、10…シール材。
Claims (4)
- ケーブル中心部に1本以上の光ファイバ心線を配し、前記ケーブル中心部の両側にテンションメンバを配して外被により一体に被覆した光ファイバケーブルであって、
両側に配した前記テンションメンバの中心を通る直線をケーブル中心軸とし、該ケーブル中心軸に直交し前記ケーブル中心部を通る直線を法線軸としたとき、前記ケーブル中心軸と法線軸により4分割されたケーブル断面のそれぞれの領域で、前記外被の表面から内部に向けて楔状のノッチが設けられ、前記ケーブル中心軸の同じ側にある2箇所の前記ノッチの先端を結ぶ線分の長さD1が、前記ノッチの先端と最も近い前記光ファイバ心線との距離D2より短いことを特徴とする光ファイバケーブル。 - 前記楔状のノッチの開口角度が30°以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
- 互いに対向する前記ノッチの先端の距離D3が1.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
- 請求項1〜3に記載の光ファイバケーブルを隔壁の貫通孔に挿通させる光ファイバケーブルの隔壁貫通方法であって、
前記隔壁の貫通孔に挿通させる近傍部分において、前記ケーブル中心軸の同じ側にある2箇所の前記ノッチで囲まれた部分の外被を取り除き、前記隔壁の貫通孔と前記外被を取り除いたことにより生じた空隙部分にシール材を充填して封止することを特徴とする光ファイバケーブルの隔壁貫通方法。
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