JP2015215400A - 光ファイバケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなく、ケーブルの耐圧強度を上げたチューブ型の光ファイバケーブルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル1aは、集合した複数の光ファイバテープ心線11a等の光ファイバ心線を収納したケーブルコア11と、ケーブルコア11を覆うチューブ型の外被12と、を備える。そして、外被12の断面は複数の中空部分12bを有する。
【選択図】図2A
【解決手段】光ファイバケーブル1aは、集合した複数の光ファイバテープ心線11a等の光ファイバ心線を収納したケーブルコア11と、ケーブルコア11を覆うチューブ型の外被12と、を備える。そして、外被12の断面は複数の中空部分12bを有する。
【選択図】図2A
Description
本発明は、複数の光ファイバ心線を収納したチューブ型の光ファイバケーブルとその製造方法に関する。
多心の光ファイバケーブルとして、スロット(スペーサとも呼ばれる)を使用しない所謂スロットレス型の光ファイバケーブルが知られており、中空チューブ状に加工した外被(シース)であるチューブ型の外被が施されることから、チューブ型の光ファイバケーブルと呼ばれている。そして、このような構造の光ファイバケーブルは、細径化などの理由から近年増加傾向にある。
例えば、特許文献1には、チューブ型の光ファイバケーブルにおいて、中間後分岐作業で切断した光ファイバケーブルの引き留め作業を容易にする技術が開示されている。なお、中間後分岐作業とは、光ファイバケーブルの任意のポイントから光ファイバケーブルを切断せずに光ファイバ心線を取り出す作業を指す。
図1に示すこの光ファイバケーブル100は、集合した複数の光ファイバテープ心線11aの周囲に介在11bを配置してなるケーブルコア11と、ケーブルコア11の周囲に設けた外被102とを有し、テンションを受け持つ2本のテンションメンバ104が外被102に埋め込まれている。そして外被102の内面に、光ファイバケーブル100の長手方向に伸びるノッチ105a,105bを有している。このノッチ105a,105bは、2本のテンションメンバ104のそれぞれに対応して2つずつ設けられ、1つのテンションメンバ104に対応する2つのノッチ105a,105bは、光ファイバケーブル100の周方向に1つのテンションメンバ104を挟んで両側に設けられている。
ところで、光ファイバケーブルは、布設時及び布設後に外部から圧力が加わる場合があり、耐圧強度を上げて耐圧性を或る一定以上に保つ必要がある。従って、チューブ型の光ファイバケーブルにおいても、耐圧性を保つ必要があり、そのために外被厚さを厚くするといった工夫や外被材料の強度を上げるといった工夫がなされている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術をはじめとする従来技術によるチューブ型の光ファイバケーブルでは、ケーブルの耐圧強度を上げると、外被の引裂力が上がって外被が破け難くなり、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性が悪化してしまう。
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、チューブ型の光ファイバケーブルにおいて、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることにある。
本発明の光ファイバケーブルは、集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、上記ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルであって、上記外被の断面は複数の中空部分を有するものである。
また、本発明の光ファイバケーブルの製造方法は、集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、上記ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルを製造する製造方法であって、上記ケーブルコアを形成するステップと、上記ステップで形成された上記ケーブルコアの周囲で、上記外被の断面が複数の中空部分を有するように上記外被を押し出し成形するステップと、を含むものである。
本発明によれば、チューブ型の光ファイバケーブルにおいて、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一形態に係る光ファイバケーブルは、集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、上記ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルであって、上記外被の断面は複数の中空部分を有するものである。これにより、チューブ型の光ファイバケーブルにおいて、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることができる。
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一形態に係る光ファイバケーブルは、集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、上記ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルであって、上記外被の断面は複数の中空部分を有するものである。これにより、チューブ型の光ファイバケーブルにおいて、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることができる。
(2)上記(1)の光ファイバケーブルにおいて、上記複数の中空部分は上記外被の断面において円周上に均等に配されることが好ましい。これにより、光ファイバケーブルの全周にわたって同様の耐圧強度を持たせることができる。
(3)上記(1)又は(2)の光ファイバケーブルにおいて、上記中空部分は上記外被の内周面に連通しているようにしてもよい。これにより、外被の製造を容易にすることができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1の光ファイバケーブルにおいて、上記外被の材料として、破断強度が20MPa以上でヤング率が500MPa以上の高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。これにより、光ファイバケーブルを外部に設置するに際して十分な耐圧強度を持たせることができる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1の光ファイバケーブルにおいて、上記複数の中空部分の少なくとも1つに上記外被を引き裂くための引き裂き紐を備えることが好ましい。これにより、光ファイバケーブルの解体作業が容易になる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1の光ファイバケーブルにおいて、上記ケーブルコアの外周面側であって上記外被の内周面側に、上記外被の材料よりも破断強度の低い材料のチューブ型被覆を備えることが好ましい。これにより、光ファイバ心線の取り出し性をさほど悪化させることなく、光ファイバケーブルの耐圧強度をさらに上げることができる。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1の光ファイバケーブルにおいて、上記複数の中空部分に上記外被の材料よりも破断強度の低い材料を充填させることもできる。これにより、中空部分と同様の効果を持たせることができる。
(8)本発明の他の形態に係る、光ファイバケーブルの製造方法は、集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、上記ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルを製造する製造方法であって、上記ケーブルコアを形成するステップと、上記ステップで形成された上記ケーブルコアの周囲で、上記外被の断面が複数の中空部分を有するように上記外被を押し出し成形するステップと、を含むものである。これにより、中間後分岐作業における光ファイバ心線の取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることが可能なチューブ型の光ファイバケーブルを製造することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル及びその製造方法の具体例を、以下に図2A〜図6を参照しつつ説明する。図2Aは、本実施形態に係る光ファイバケーブルの一例を示す断面図で、図2Bは、図2Aの光ファイバケーブルの一部拡大図である。
本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル及びその製造方法の具体例を、以下に図2A〜図6を参照しつつ説明する。図2Aは、本実施形態に係る光ファイバケーブルの一例を示す断面図で、図2Bは、図2Aの光ファイバケーブルの一部拡大図である。
図2Aで例示する光ファイバケーブル1aは、ケーブルコア11と、ケーブルコア11を覆うチューブ型の外被12と、を備えたチューブ型の光ファイバケーブルである。なお、光ファイバケーブル1aには、テンションを受け持つテンションメンバ(図示せず)を、例えば外被12に複数本埋め込んでもよい。
ケーブルコア11は、集合した複数の光ファイバテープ心線11aの周囲に介在11bを配置してなる。なお、介在11bは設けなくてもよい。本例の光ファイバテープ心線11aは、単心の光ファイバ心線を4心並列し一括被覆してテープ状に形成したテープ心線であり、ここでは6枚の光ファイバテープ心線11aが積層されている。光ファイバテープ心線11aにおいて収納される単心の光ファイバ心線の心数や積層数はこれに限ったものではない。なお、光ファイバテープ心線11aは、積層後、光ファイバケーブル1aの長手方向に一方向撚りなどに捻回させてもよいし、そのままストレートに積層したものであってもよい。
また、光ファイバケーブル1aに収納される光ファイバ心線は、光ファイバテープ心線11aに限らず、単心の光ファイバ心線を集合させたものや光ファイバ心線を束ねて一体化した多心ユニットであってもよいし、その多心ユニットを複数集合させたものであってもよい。また、集合させる光ファイバ心線の心数は限定されない。ここで、単心の光ファイバ心線は、ガラスファイバにファイバ被覆を施した光ファイバ素線とも言われているもの、或いはそのファイバ被覆の外面に着色層を施したものを含めた単心の光ファイバ(光ファイバ単心線)、或いはマルチコアの光ファイバを指す。
介在11bとしては、例えば樹脂の単繊維からなるヤーンを用いることができ、光ファイバテープ心線11aの周囲にヤーンを集合させて配置することができる。ヤーンは光ファイバテープ心線11aの緩衝材として働く。介在11bの素材や形態は特に限定されることはなく、適宜最適な素材等を選択することができる。例えば、積層した複数の光ファイバテープ心線11aの周囲にテープ材を横巻き又は縦添えしてもよい。このテープ材の基材としては例えばPET(Polyethylene terephthalate)などの樹脂材料の基材を用いることができるが、基材材料は限定されない。
介在11bの周囲には外被12が被覆成形され、ケーブルコア11と外被12とを一体化して光ファイバテープ心線11aの長手方向のずれを抑える。このように、外被12は、ケーブルコア11の周囲に設けることでケーブルコア11を覆う。
そして、本実施形態の主たる特徴として、外被12の断面には複数の中空部分を有している。この中空部分の形状についてはいくつかの具体例を挙げて後述するが、どのような形状であってもよい。なお、この中空部分は、光ファイバケーブル1aの長手方向に一方向撚りなどに捻回させて形成してもよいが、長手方向にそのままストレートに形成しておけば済む。
このような中空部分の存在により、外被12の材料の耐圧強度を保ったままに光ファイバテープ心線11aの取り出し性を上げることができる。換言すれば、チューブ型の光ファイバケーブル1aにおいて、中間後分岐作業における光ファイバテープ心線11aの取り出し性を悪化させることなくケーブルの耐圧強度を上げることができる。光ファイバテープ心線11aの取り出しは、中空部分を設けた位置に対応する外被12の表面をカンナ等で削ることで容易に実行できる。光ファイバテープ心線11aを取り出した後は、テープを切断してそこに収納された単心の光ファイバ心線を取り出せばよい。
また、外被12の材料として、破断強度が20MPa以上でヤング率が500MPa以上の高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。これにより、光ファイバケーブル1aを外部に設置するに際して十分な耐圧強度を持たせることができる。無論、この条件に当てはまらない高密度ポリエチレンであっても、或いは低密度ポリエチレンなどの他の材料を用いたとしても、中空部分の存在により、その材料の耐圧強度をできるだけ生かして光ファイバテープ心線11aの取り出し性を上げることができる。
次に、中空部分の形状について、その具体例を挙げて説明する。図2Aで例示する外被12の断面には、複数の中空部分12bが設けられている。この外被12の断面は、その内側領域において、矩形の凸部12aを設けて隣り合う凸部同士を接触させるように曲げたような形状(つまり凸部12a間で生じる凹部が略三角形状になるような形状)を有している。凸部12aは非中空部分に相当し、この略三角形状となった凹部が中空部分12bに相当することになる。
このような形状により、外被12の外側から圧力が加わった場合でも、凸部同士が干渉することになるため、外被12の形状が変形し難く(潰れ難く)なり、もって光ファイバケーブル1aも変形し難くなる。また、外被12を裂く場合には、上述したように、外被12が薄くなっている中空部分12bの位置に対応する表面を選んでカンナ等で削ればよく、これにより外被除去性が向上する。
このような形状の寸法について、図2Bを参照しながら説明する。外被12は、凸部12aの高さをd、凸部12aの幅をW、上記凹部の溝幅をi、外被12の内径(凸部12aの角を接線とする等価内径)の半径をrとした場合、以下の関係式を保てば、効果的に潰れ量を抑えることが可能となる。なお、凸部12aの幅Wは、隣り合う凸部12aの中央部分間の間隔から上記凹部の溝幅iを差し引いたものとなる。
(W/i)×d≧r、 i≦d
(W/i)×d≧r、 i≦d
この関係式の第1式は、上記凹部の底辺(幅i)と上記凹部の高さに相当する2辺(高さd)とで形成される略三角形における鋭角(外被12の内周面側に位置する点の鋭角)が、外被12の中心に該当する点Oと凸部12aの上辺(幅W)の両端とを結んで形成される略三角形の点Oでの鋭角以下になっていればよいという式である。
また、図2A,図2Bで例示したように矩形の凸部12aにより中空部分12bを形成した場合、矩形の凸部12aの先端同士を干渉させることで変形し難くさせるため、その材料(つまり外被12の材料)は凸部12aの先端が変形し難いよう、或る程度の強度が必要になる。通常、光ファイバケーブルの外被はヤング率が250Mpa程度の低密度ポリエチレンが使用されるが、このような理由からヤング率が倍以上を有する中密度から高密度ポリエチレン等を適用することが望ましい。
また、図2Aで例示するように、複数の中空部分12bは外被12の断面において円周上に均等に配されることが好ましい。これにより、光ファイバケーブル1aの全周にわたって同様の耐圧強度を持たせることができる。但し、均等に配さなくても、耐圧強度を保ったまま、中空部分を設けた位置の外被12の表面をカンナ等で削ることで、容易に光ファイバテープ心線11aを取り出すことが可能となる。
また、光ファイバケーブル1aは、複数の中空部分12bの少なくとも1つに外被12を引き裂くための引き裂き紐13を備えることが好ましい。これにより、中間後分岐作業等において光ファイバ心線を取り出す際、カンナ等で削った後に引き裂き紐13を引くことにより外被12を引き裂き、外被12の一部が割れたような状態か、中空部分12bの内周側の僅かな部分だけを手やカッターを用いて引き裂くだけで済む状態にすることができ、光ファイバケーブル1aの解体作業が容易になる。
引き裂き紐13は、例えばケブラー(登録商標)などの素材によって作成しておけばよい。また、引き裂き紐13を入れる位置には、外被12の表面に着色を施すなどしておけば、それを目安としてカンナなどで外被12の表面を削るだけで、引き裂き紐を容易に見つけることができる。また、引き裂き紐13を複数本入れる場合には、円周上に均等に配置しておくことが好ましいが、これに限ったものではない。
次に、上述したような様々な光ファイバケーブル1aの製造方法について簡単に説明する。この製造方法では、まず、複数の光ファイバテープ心線11aを集合させ、その周囲に介在11bを配置することでケーブルコア11を形成する。次に、形成されたケーブルコア11の周囲で、外被12の断面が複数の中空部分12bを有するように外被12を押し出し成形する。押し出し成形するためのダイスの形状は、その断面で説明すると、図2Aにおける直径2rの円と中空部分12bとそれらを連通させるための連通口に相当する部分とでなる内周側と、外被12の外周面でなる外周側と、を有している。実際には押し出し成形後、樹脂の収縮を考慮してダイスの寸法を決めておけばよい。
このような製造方法により、上述したような効果を奏するチューブ型の光ファイバケーブル1aを、容易に製造することができる。なお、ケーブルコア11の最外周には、押え巻きのテープや粗巻き紐などを設けてその上から外被12を施す処理を行い易くしておいてもよい。また、引き裂き紐13を設ける場合には、押し出し成形時にそれを入れる位置に、樹脂と共に引き裂き紐13を挿入していけばよい。なお、押し出し成形の初期段階では、外被12の先端部分の樹脂が硬化する位置まで引き裂き紐13を引っ張っておけばよい。
ここで、図2Bにおける凸部12a同士が接触する部分Mは、接触せずに外被12の内周面に連通していてもよい。つまり、中空部分は外被12の内周面に連通していなくてもよいし、連通していてもよい。連通していても同様の効果を奏するためであり、連通を許容することで、上述したようなダイスを用いた外被12の押し出し成形を、精度上容易にすることができる。連通しないように中空部分12bを形成させる場合にも、樹脂の硬化後に隣り合う凸部12aが接触するような寸法のダイスを採用しておけば、容易に中空部分12bを形成させることができる。
次に、図3を参照しながら、光ファイバケーブルの他の例を説明する。図3は、本実施形態に係る光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。本例の光ファイバケーブル1bについて、図2A,図2Bの光ファイバケーブル1aと異なる点のみを説明するが、他の点については同様である。
図3に示す光ファイバケーブル1bは、ケーブルコア11の外周面側であって外被12の内周面側にチューブ型被覆14を備えている。ここで、チューブ型被覆14としては外被12の材料よりも破断強度の低い、例えば発泡ポリエチレン等の材料を採用することで、外被引裂力に大きな影響を与えることはない。このように外被を2層構造にすることで、光ファイバテープ心線11aの取り出し性をさほど悪化させることなく、光ファイバケーブル1bの耐圧強度をさらに上げることができる。
また、凸部12a同士の境目や、中空部分12bが外被12の内周面側と連通する場合の連通口と凸部12aとの境目がはっきりと存在した状態で、ケーブルコア11を収納した場合、ケーブルコア11内の光ファイバ心線の収納状態によってはその境目で光ファイバ心線が挟まり損失増加若しくは破断する可能性が懸念される。しかし、チューブ型被覆14を設けることで、その内面側で収納するケーブルコア11に均等に接触させることができるため、そのような境目を埋めて光ファイバ心線に対する影響を防ぐことができる。
また、チューブ型被覆14を採用した場合の製造方法については、チューブ型被覆14を外被12の押し出し位置で或いはそれより手前で押し出し成形するなどにより、容易に形成することができる。
さらに、光ファイバケーブル1bでは、複数の中空部分12bに材料15を充填させている。ここで、材料15としては外被12の材料よりも破断強度の低い、例えば発泡ポリエチレン等の軟質材料を採用することで、外被引裂力に大きな影響を与えることはない。これにより、中空部分12bが充填されていない場合と同様、外被12を裂け易くできるといった効果を奏しつつ、ケーブルの耐圧強度を上げることができる。なお、このような充填は、外被の2層構造と併用しなくてもよい。
また、材料15を採用した場合の製造方法については、上述したダイスにおける中空部分12bに対応する部分において、その部分を中空にして材料15の樹脂を流し込むようにすればよい。
次に、図4,図5を参照しながら、光ファイバケーブルの他の例を説明する。図4,図5は、本実施形態に係る光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図4に示す光ファイバケーブル1c、図5に示す光ファイバケーブル1dについて、基本的にそれぞれ図2A,図2Bの光ファイバケーブル1a、図3の光ファイバケーブル1bと異なる点のみを説明するが、他の点については同様である。
光ファイバケーブル1c,1dは、それぞれ光ファイバケーブル1a,1bにおいて、外被12の断面が、凸部12cが凸部12aのような矩形ではなく、中空部分12dが中空部分12bのように略三角形ではなくドロップ型をしている。製造に際しては上記ダイスの略三角形の部分をドロップ型にすればよい。また、光ファイバケーブル1c,1dにおいても、隣り合う凸部12c同士は、接触していてもよいし、接触せずに連通口を有する状態であってもよい。また、光ファイバケーブル1dでは、光ファイバケーブル1bと異なり、中空部分12dに材料15を充填していないが、同様に充填させてもよい。
最後に、図6を参照しながら、本実施形態に係る光ファイバケーブルによる効果について説明する。図6は、図2Aの光ファイバケーブル1aと従来の光ファイバケーブルとについて耐圧力及び引張力を試験した結果を示す図である。
試験は、従来のサンプルA,B、及び本実施形態のサンプルCについて行った。サンプルAの外被材料には、ヤング率が250MPa、破断強度が14MPaの低密度ポリエチレンを用いた。サンプルBの外被材料には、ヤング率が750MPa、破断強度が25NPaの高密度ポリエチレンを用いた。サンプルCの外被材料には、ヤング率が750MPa、破断強度が25MPaの高密度ポリエチレンを用いた。ここで破断強度は、JIS(Japanese Industrial Standards) K 6251に基づいて測定した値である。
サンプルA,B,Cのいずれについても、外被の外径(チューブ外径)を20mm、チューブ内径を13mmとした。なお、サンプルCについては、凸部の角を接線とする円の内径2rをチューブ内径とした。また、サンプルA,Bの外被厚さはいずれも3.5mmとした。サンプルCについては、外被最薄部厚さを1.2mmとし、凸部高さdを2.3mmとし、合計で外被の厚さを3.5mmとした。また、サンプルCについては、凸部幅Wを1.7mm、凹部幅iを0.6mmとした。
このようなサンプルA,B,Cについて、外被に20N/mmの圧力を加えた時に外径がどの程度潰れるかを示す潰れ量を測定した。その結果、潰れ量は、サンプルAが約8.0mm、サンプルBが約2.7mm、サンプルCが約4.0mmとなった。また、実際に引き裂き紐で引っ張り外被を裂くことができる力を、外被引裂力として測定した。その結果、外被引裂力は、サンプルAが100N、サンプルBが300N、サンプルCが100Nとなった。
このように、サンプルCの構造の場合、同じヤング率、破断強度、外被厚さを持つサンプルBと比較すると、凸部12a同士の干渉により潰れ量が抑えられ且つ外被引裂力を1/3にすることができているのが分かる。また、サンプルCの構造の場合、従来の低密度ポリエチレンを使用したサンプルAとほぼ同等の外被引裂力にすることができているのが分かる。外被引裂力が同じになるのは、サンプルCでは、外部引裂力に関係する外被最薄部厚さがサンプルAの外被厚さの約1/3しかないが、サンプルAに比べて3倍のヤング率を持たせているためである。
以上では、略三角形の中空部分12bを外被12に有する光ファイバケーブル1aについての試験結果を示したが、チューブ型被覆14及び/又は材料15の充填を施した場合や、図4,図5のように中空部分12dの形状をドロップ型にした場合や他の形状にした場合でも、同様の傾向が見られた。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1a,1b,1c,1d…光ファイバケーブル、11…ケーブルコア、11a…光ファイバテープ心線、11b…介在、12…外被、12a,12c…凸部、12b,12d…中空部分、13…引き裂き紐、14…チューブ型被覆、15…材料。
Claims (8)
- 集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、該ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルであって、
前記外被の断面は複数の中空部分を有する、光ファイバケーブル。 - 前記複数の中空部分は前記外被の断面において円周上に均等に配される、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
- 前記中空部分は前記外被の内周面に連通している、請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
- 前記外被の材料として、破断強度が20MPa以上でヤング率が500MPa以上の高密度ポリエチレンを使用した、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
- 前記複数の中空部分の少なくとも1つに前記外被を引き裂くための引き裂き紐を備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
- 前記ケーブルコアの外周面側であって前記外被の内周面側に、前記外被の材料よりも破断強度の低い材料のチューブ型被覆を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
- 前記複数の中空部分に前記外被の材料よりも破断強度の低い材料を充填させた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
- 集合した複数の光ファイバ心線を収納したケーブルコアと、該ケーブルコアを覆うチューブ型の外被と、を備えた光ファイバケーブルを製造する製造方法であって、
前記ケーブルコアを形成するステップと、
該ステップで形成された前記ケーブルコアの周囲で、前記外被の断面が複数の中空部分を有するように前記外被を押し出し成形するステップと、
を含む、光ファイバケーブルの製造方法。
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