JP2006342682A - 遠心圧縮機の作動域拡大方法及び装置 - Google Patents

遠心圧縮機の作動域拡大方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 空洞部の内部での圧力損失を抑制し、安定作動域の拡大を図ることができる遠心圧縮機の作動域拡大方法を提供する。
【解決手段】
作動域拡大装置20は、羽根車11の羽根11aに対向する壁15に設けられた空洞部21を介して、羽根車11に吸引されるガスの一部を空洞部21に流す。空洞部21は、羽根車11に対する主流aの入口位置と出口位置との間に配される第1開口部22と、第1開口部22に対して主流aの上流側に配される第2開口部23とを有する。第1開口部22には、空洞部21に流入するガスの周方向速度成分を減じる第1案内部材24が設けられ、第2開口部23には、空洞部21から流出するガスに羽根車11の回転方向と逆方向の周方向速度成分を付加する第2案内部材28が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遠心圧縮機の作動域拡大方法に関する。
遠心圧縮機の作動域拡大を目的として、羽根車の近傍の壁に環状の空洞部を設け、羽根車に吸引されるガスの一部をその空洞部を介して循環させる技術がある。この技術は、羽根車の回転に伴う羽根車近傍の静圧変化等を利用して、空洞部を介した循環流を発生させるもので、本来、サージング領域に入るような小流量容量の運転状況でもサージング領域に入らないようにすることが可能である。
こうした作動域拡大方法において、空洞部の出口部にルーバを取り付け、空洞部から流出するガスの流れ方向を、羽根車の回転方向に対し旋回成分のない方向から逆旋回方向の範囲に変化させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術では、空洞部の出口部から羽根車の入口に向かうガスの流れが、羽根車の回転方向とは逆方向の、いわゆる逆旋回方向の流れとなるため、羽根車の入口の圧力上昇が促進され、ガス循環に伴う羽根車の入口と出口間の圧力比としてのオイラーヘッドの低下が防止される。
特開2001−289197号公報
しかしながら、上記技術では、ルーバの取り付けに伴い、空洞部の内部で流れの乱れが生じ、その圧力損失が生じるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、空洞部の内部での圧力損失を抑制し、安定作動域の拡大を図ることができる遠心圧縮機の作動域拡大方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の作動域拡大方法は、羽根車の羽根に対向する壁に空洞部を設け、前記羽根車に吸引されるガスの一部を前記空洞部に流して遠心圧縮機の作動域を拡大させる方法であって、前記空洞部は、前記羽根車に対する主流の入口位置と出口位置との間に配される第1開口部と、該第1開口部に対して前記主流の上流側に配される第2開口部とを有しており、前記第1開口部から前記空洞部に流入して前記第2開口部から流出するガスに対して、前記第1開口部で周方向速度成分を減じるとともに、前記第2開口部で前記羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分を付加する、ことを特徴とする。
この方法では、羽根車に吸引されるガスの一部が空洞部を介して循環することにより、遠心圧縮機の安定作動域が拡大する。また、空洞部から流出するガスに羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分が付加されるから、羽根車の入口の圧力上昇が促進され、ガス循環に伴う羽根車の入口と出口間の圧力比としてのオイラーヘッドの低下が防止される。さらに、空洞部に流入するガスの周方向速度成分が減じられるから、空洞部の内部での流れの乱れに伴う圧力損失が抑制され、ガス循環が促進されて安定作動域の拡大が図られる。
上記の方法において、前記羽根車に吸引されるガスの流量が比較的大きいときには、前記羽根車に吸引されるガスの一部を、前記第2開口部から前記空洞部に流入させて前記第1開口部から流出させるのが望ましい。
すなわち、比較的小流量域では、第2開口部から第1開口部に向けて空洞部内をガスを流すのに対して、比較的大流量域では、第1開口部から第2開口部に向けて空洞部内をガスを流す。
これにより、比較的小流領域では、上記したガス循環により安定作動域の拡大が図られるのに対して、比較的大流領域では、主流ガスの一部が空洞部を介して羽根車の出口に流れることにより、羽根車の入口におけるスロート部をバイパスした流れが形成され、安定作動域の拡大が図られる。
本発明の作動域拡大装置は、羽根車の羽根に対向する壁に設けられた空洞部を介して、前記羽根車に吸引されるガスの一部を前記空洞部に流して遠心圧縮機の作動域を拡大させる装置であって、前記空洞部は、前記羽根車に対する主流の入口位置と出口位置との間に配される第1開口部と、該第1開口部に対して前記主流の上流側に配される第2開口部とを有しており、前記第1開口部には、前記空洞部に流入するガスの周方向速度成分を減じる第1案内部材が設けられ、前記第2開口部には、前記空洞部から流出するガスに前記羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分を付加する第2案内部材が設けられていることを特徴とする。
この装置では、羽根車に吸引されるガスの一部が空洞部を介して循環することにより、遠心圧縮機の安定作動域が拡大する。また、第2開口部から流出するガスに対して第2案内部材によって羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分が付加されるから、羽根車の入口の圧力上昇が促進され、ガス循環に伴う羽根車の入口と出口間の圧力比としてのオイラーヘッドの低下が防止される。さらに、第1開口部から空洞部に流入するガスに対して第1案内部材によって周方向速度成分が減じられるから、空洞部の内部での流れの乱れに伴う圧力損失が抑制され、その結果、ガス循環が促進されて安定作動域の拡大が図られる。
上記の装置において、前記第1開口部が、前記羽根車のスロート部より下流位置に配されている構成とするのが望ましい。
この構成によれば、羽根車に吸引されるガスの流量が比較的大きいときに、羽根車に吸引されるガスの一部を、第2開口部から空洞部に流入させて第1開口部から流出させることにより、羽根車のスロート部をバイパスした流れを形成し、安定作動域の拡大を図ることができる。
上記の装置において、例えば、第1案内部材及び第2案内部材はそれぞれ、周方向に互いに離間して配置された複数の板状部材を含むのが望ましい。
この場合、前記複数の板状部材はそれぞれ、湾曲形状からなることにより、ガスの流れ方向を変化させる際の流れの乱れが抑制される。
また、前記複数の板状部材の周方向における配置数は、前記羽根車の羽根の数と異なるのが望ましい。
この構成により、複数の板状部材と羽根車の羽根との間の共振が防止される。
また、上記の装置において、前記第1開口部の開口面積は、前記第2開口部の開口面積に比べて小さいのが望ましい。
この構成により、第1開口部から空洞部に流入して第2開口部から流出するガスの流れが促進される。
また、上記の装置において、前記空洞部の流路が、前記第1開口部に向かって径方向から前記主流の下流側に傾くとともに、前記第2開口部に向かって径方向から前記主流の上流側に傾いている構成を採用することができる。
この構成により、第1開口部を介して空洞部の内部にガスが流入しやすくなるとともに、第2開口部を介して空洞部の内部からガス流出しやすくなる。
本発明の作動域拡大方法及び装置によれば、空洞部の内部での圧力損失を抑制し、遠心圧縮機の安定作動域の拡大を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
図1は、本例に係る遠心圧縮機の作動域拡大装置を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すA−A断面図であり、図3は、図1に示すB−B断面図である。
図1に示すように、遠心圧縮機1は、図示しないタービンの翼車に軸を介し連結された羽根車(インペラ11)と、インペラ11の外周部でデュフューザ部12を介してスクロール状に形成される圧縮流路13と、デュフューザ部12から前方へ延びて吸込口14を形成するようにしたシュラウド壁15を有するハウジング16と、作動域拡大装置20と、を含んで構成されている。この遠心圧縮機1では、エンジンの排気によるタービンの翼車の回転に伴って軸を介してインペラ11が回転する。そして、インペラ11(羽根11a)の回転により、吸気が圧縮されてその圧縮ガス(例えば空気)がエンジンに給気される。
作動域拡大装置20は、シュラウド壁15に設けられた環状の空洞部21(トリートメント空洞部)と、空洞部21と吸込口14とをそれぞれ連通させるためのスリット状の第1開口部22及び第2開口部23とを有している。第1開口部22は、インペラ11の軸方向に関してインペラ11(羽根11a)に対する主流ガスの流入位置(前縁)と流出位置(後縁)との間でありかつインペラ11(羽根11a)の前縁の近傍に配設されている。第2開口部23は、第1開口部22に比べて前方、より好ましくはインペラ11(羽根11a)の前方、すなわちインペラに対する主流ガスの流入位置(前縁)よりも吸気主流における軸方向上流側に配設されている。
そして、作動域拡大装置20では、遠心圧縮機1の小流量運転時において、インペラ11の回転に伴うインペラ11近傍の静圧変化等を利用し、空洞部21を介した循環流bを発生させる。循環流bは、主流ガスの一部が第1開口部22から空洞部21の内部に流入して第2開口部23から流出する流れである。この場合、第1開口部22が循環流bに関して空洞部21の入口部であり、第2開口部23が循環流bに関して空洞部21の出口部である。
すなわち、遠心圧縮機1の運転を行うと、インペラ11の回転により吸込口14から吸い込まれたガス(例えば空気)aは、インペラ11における吸引領域に吸引され、圧縮流路13を通って目的とする場所へ給気される。小流量運転時において、インペラ11に流入したガスaの流れはインペラ11の作用により圧力上昇して、吸込口14や空洞部21内よりも圧力が高くなり、上記インペラ11の羽根部分を通過するガスaの一部が、第1開口部22から空洞部21内に流入する。このとき、第1開口部22に比べて第2開口部23の静圧は低く、第1開口部22から第2開口部23に向けて空洞部21の内部をガスが流れる。その結果、空洞部21を介した循環流bが発生する。
第1開口部22の開口面積が第2開口部23の開口面積に比べて小さいことにより、第1開口部22と第2開口部23との間の上記静圧差が増大して循環流bが促進されるとともに、第2開口部23での圧力損失が抑制される。
図2に示すように、第1開口部22には、空洞部21に流入するガスの流れ方向を、インペラ11の回転方向(図2に示す矢印c方向)に対して旋回成分のない方向に近づける第1案内部材としての複数の板状部材(ブレード24)が配設されている。複数のブレード24は、それぞれがインペラ11の回転方向(c方向)に突出した湾曲形状からなり、等間隔あるいは任意の間隔で周方向に互いに離間して配置されている。さらに、複数のブレード24の各弦24aは、インペラ11の回転方向(c方向)に対し順方向に傾斜している。複数のブレード24は、翼形状であってもよく、板形状であってもよい。なお、本例では、図1に示すように、筒状部材25の一端面に複数のブレード24が立設されるとともに、その筒状部材25の外周面に空洞部21の高さを規定するスペーサ26が配設され、それらの一体物がシュラウド壁15に設けられた段差部分にインペラ11の軸方向に挿入されて固定されている。そして、筒状部材25の外周面とシュラウド壁15の内周面との間に空洞部21が形成され、筒状部材25の一端面とシュラウド壁15の段差の端面との間に第1開口部22が形成されている。
図3に示すように、第2開口部23には、空洞部21から流出するガスの流れ方向を、インペラ11の回転方向(c方向)に対し旋回成分のない方向から逆旋回方向の範囲に変化させる第2案内部材としての複数の板状部材(ブレード28)が配設されている。複数のブレード28は、それぞれがインペラ11の回転方向(c方向)に突出した湾曲形状からなり、等間隔あるいは任意の間隔で周方向に互いに離間して配置されている。さらに、複数のブレード28の各弦28aは、インペラ11の回転方向(c方向)に対し順方向に傾斜している。複数のブレード28は、翼形状であってもよく、板形状であってもよい。なお、本例では、図1に示すように、筒状部材29の一端面に複数のブレード28が立設され、その一体物がシュラウド壁15に設けられた段差部分にインペラ11の軸方向に挿入されて固定されている。そして、筒状部材29の一端面と上記筒状部材29の他の端面との間に第2開口部23が形成されている。なお、本発明の作動域拡大装置20は、インペラ11、シュラウド壁15、ハウジング16、空洞部21、第1開口部22、第2開口部23、ブレード24,28、筒状部材25,29、及びスペーサ26等を含んで構成される。
複数のブレード24,28の周方向における配置数は、インペラ11の羽根11aの数と異なるのが望ましい。この構成により、複数のブレード24,28で生じるウェークによって羽根11aが共振するのが防止される。
さて、前述したように、作動域拡大装置20では、遠心圧縮機1の小流量運転時において、空洞部21を介した循環流bを発生し、この循環流bにより遠心圧縮機の安定作動域が拡大する。すなわち、サージング領域に入るような小流量容量の運転状況でもサージング領域に入らないようにすることが可能である(サージ拡大)。
また、本例では、第2開口部23において、上述した空洞部21を介して循環するガスが、ブレード28の導流作用を受けることにより、逆旋回方向の流れとして流出させられる(図3参照)。すなわち、空洞部21から流出するガスに対してブレード28によってインペラ11の回転方向と逆方向の周方向速度成分が付加されるから、インペラ11の入口の圧力上昇が促進される。その結果、第2開口部23からインペラ11に向かうガスの流れに損失が少なくなり、オイラーヘッドを低下させることなく安定作動域の拡大が図られる。
さらに、本例では、第1開口部22において、空洞部21に流入するガスが、ブレード24の導流作用を受けることにより、インペラ11の回転方向に対して旋回成分のない方向に近づく(図2参照)。そのため、空洞部21の内部での流れ方向が、旋回成分のないインペラ11の軸方向に近づき、空洞部21の内部での流れの乱れが抑制される。すなわち、空洞部21に流入するガスの周方向速度成分が減じられるから、空洞部21の内部での流れの乱れに伴う圧力損失が抑制される。これにより、第2開口部23のみにブレード28を設けた場合に比べて、乱れに伴う損失低下が小さく、空洞部21を介したガス循環が促進され、安定作動域が拡大する。なお、本例は、ガス循環が促進されることで、第1開口部22の開口面積を小さく設定することができ、結果として、設計点での効率低下が最小限に抑えられるという利点も有する。
また、本例では、ブレード24,28がそれぞれ湾曲形状であることから、ガスの流れ方向が滑らかに転向する。そのため、流れ方向の変化に伴う乱れが小さい。
なお、動静翼干渉による共振を防ぐために、第1開口部22におけるブレード24の翼端とインペラ11の羽根11aの翼端との間に所定の間隔をあけておくのが好ましい。例えば、ブレード24の翼端位置は、インペラ11の羽根11aの翼端位置に対して軸心からの距離が1.1〜1.2倍であるのが望ましい。
ここで、図4に示すように、作動域拡大装置20では、インペラ11及びその羽根11aの形状、第1開口部22及び第2開口部23の面積やその配設位置、空洞部21の大きさ等を適切に設定することにより、遠心圧縮機1の大流量運転時において、上記の循環流b(図1参照)とは逆向きの流れdを形成することができる。この流れdは、主流ガスの一部が第2開口部23から空洞部21の内部に流入して第1開口部22から流出する流れである。この場合、第2開口部23が流れdに関して空洞部21の出口部であり、第1開口部22が流れdに関して空洞部21の入口部である。
すなわち、大流量運転時において、インペラ11に流入したガスaの流れはインペラ11の作用により圧力上昇して、吸込口14や空洞部21内よりも圧力が高くなり、上記インペラ11の羽根部分を通過するガスaの一部が、第2開口部23から空洞部21内に流入する。このとき、第2開口部23に比べて第1開口部22の静圧は低く、第2開口部23から第1開口部22に向けて空洞部21の内部をガスが流れる。
この大流量運転時において、作動域拡大装置20では、第1開口部22がインペラ11のスロート部より下流位置に配されていることにより、主流ガスの一部(流れd)がインペラ11のスロート部をバイパスしてインペラ11の出口側に導かれ、その結果、安定作動域の拡大が図られる。つまり、大流量運転時において、インペラ11の羽根11aの前縁近傍のスロート部で流れがチョークするから、通常はそのスロート部の流路断面積によって最大流量がほぼ決まるのに対して、本例では、空洞部21がインペラ11のスロート部に対するバイパス流路となるので流量拡大が図られる(チョーク拡大)。
この場合さらに、第1開口部22に配設されたブレード24によって、第1開口部22から流出するガスに対して周方向速度成分が与えられるから、空洞部21の内部からインペラ11の出口側にガスが流出しやすく、空洞部21を介したバイパス流量の拡大が図られる(チョーク拡大)。なお、このバイパス流れdの入口部である第2開口部23が、インペラ11(羽根11a)の前方、すなわち吸気主流における軸方向上流側に配設されていることにより、羽根11aの前縁における半径方向先端部で生じるチョーク時の衝撃波がバイパス流れdを阻害することが回避される。
図5は、上記の遠心圧縮機1におけるインペラ11の回転数が一定の場合の、圧縮機1の吸気流量(入口流量)と空洞部21を流れるガス流量(循環流量)との関係を示す図であり、(1)は第2開口部23のみにブレード28を設置した場合、(2)は第1開口部22及び第2開口部23のそれぞれにブレード24,28を設置した場合を示している。
図5に示すように、所定の設計流量より小流量側では、空洞部21において正の循環(+)が生じ、第1開口部22から第2開口部23に向けて空洞部21内をガスが流れる(サージ拡大)。一方、所定の設計流量より大流量側では、空洞部21において負の循環(−)が生じ、第2開口部23から第1開口部22に向けて空洞部21内をガスが流れる(チョーク拡大)。
低圧力比、すなわち回転数が一定の場合で比較した場合に小流量域に相当する部分では、(1)の第2開口部23のみにブレード28を設置した場合に比べて、(2)の第1開口部22及び第2開口部23のそれぞれにブレード24,28を設置した場合のほうが、正のガス循環流量(+)が増える。つまり、第1開口部22におけるブレード24の導流作用によって、空洞部21の内部での流れの乱れが抑制され、乱れに伴う損失が低下し、空洞部21を介したガス循環が促進される。そして、ガス循環が促進されることにより、(2)の場合では、小流量域の安定作動域が拡大する。
一方、大流量域に相当する部分では、(1)の第2開口部23のみにブレード28を設置した場合に比べて、(2)の第1開口部22及び第2開口部23のそれぞれにブレード24,28を設置した場合のほうが、負のガス循環流量(−)が増える。つまり、第1開口部22におけるブレード24の導流作用によって、空洞部21を介したガスバイパスが促進される。そして、ガスバイパスが促進されることにより、(2)の場合では、大流量域の安定作動域が拡大する。
図6は、上記の作動域拡大装置20(図1参照)における、複数のブレード24が形成された筒状部材25の形態例を示している。
図6の筒状部材25の外周面には、3つのスペーサ26が周方向に互いに離間して配設されている。3つのスペーサ26はそれぞれ、周方向に関する配設位置が、複数のブレード24のいずれかと一致している。ガス流れに対して抵抗となるブレード24及びスペーサ26の周方向配設位置が互いに一致していることにより、空洞部21(図1参照)を流れるガスのスペーサ26による圧力損失が抑制される。複数のブレード28(図1参照)とスペーサ26との配設位置関係に関してもこれと同様である。
なお、図6に示すスペーサ26の横断面形状は、角を有しているがこれに限らない。スペーサ26の横断面形状が、滑らかな曲線を有する形状(例えば、翼形状や流線形)であることにより、圧力損失の抑制に効果的である。
図6は、図7の変形例である。図7の筒状部材25の外周面には、複数のブレード24と同じ数のスペーサ26が周方向に互いに離間して配設されており、複数のスペーサ26はそれぞれ、周方向に関する配設位置が、複数のブレード24のいずれかと一致している。
図8、図9、図10、及び図11は、図1の作動域拡大装置20の変形例である。
図8の例では、筒状部材25のスペーサ26(図1参照)に代えて、シュラウド壁15に、空洞部21の高さを規定する突起部15aが設けられている。突起部15aは、複数が周方向に離間して配置されている。突起部15aの配設位置や形状に関してはスペーサ26と同様の構成を採用することができる。
図9の例では、第2開口部23側に配設される複数のブレード28が、第2開口部23における導流機能に加えて、空洞部21の高さを規定するスペーサとしての機能を有している。
図10の例では、第1開口部22側に配設される複数のブレード24が、第1開口部22における導流機能に加えて、空洞部21の高さを規定するスペーサとしての機能を有している。この場合、図10(b)に示すように、複数のブレード24は、図1のブレード24と同様に、周方向速度成分を制御する機能を有するように、反りを有する湾曲形状であるのが好ましい。
図11の例では、空洞部21の流路が、第1開口部22に向かって径方向から主流の下流側に傾くとともに、第2開口部23に向かって径方向から主流の上流側に傾いている。すなわち、空洞部21の第1開口部22における子午面上の流路形状が、半径方向より主流の下流側へ傾斜し、空洞部21の第2開口部23における子午面上の流路形状が、半径方向より主流の上流側へ傾斜している。この図10の例では、低流量運転時において、主流ガスの一部が第1開口部22を介して空洞部21の内部に滑らかに導入されるとともに、空洞部21の内部のガスが第2開口部23を介して主流ガスに対して滑らかに導出され、その結果、空洞部21を介したガス循環が促進される。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
遠心圧縮機の作動域拡大装置を模式的に示す断面図である。 図1に示すA−A断面図である。 図1に示すB−B断面図である。 大流量運転時における空洞部を介したガスの流れを説明する図である。 遠心圧縮機における吸気流量(入口流量)と空洞部を流れるガス流量(循環流量)との関係を示す図である。 複数のブレードが形成された筒状部材の形態例を示す斜視図である。 図6の変形例である。 作動域拡大装置の変形例である。 作動域拡大装置の変形例である。 作動域拡大装置の変形例である。 作動域拡大装置の変形例である。
符号の説明
1…遠心圧縮機、11…インペラ、12…デュフューザ部、13…圧縮流路、14…吸込口、15…シュラウド壁、16…ハウジング、20…作動域拡大装置、21…空洞部、22…第1開口部、23…第2開口部、24…ブレード(第1案内部材)、25,29…筒状部材、26…スペーサ、28…ブレード(第2案内部材)。

Claims (9)

  1. 羽根車の羽根に対向する壁に空洞部を設け、前記羽根車に吸引されるガスの一部を前記空洞部に流して遠心圧縮機の作動域を拡大させる方法であって、
    前記空洞部は、前記羽根車に対する主流の入口位置と出口位置との間に配される第1開口部と、該第1開口部に対して前記主流の上流側に配される第2開口部とを有しており、
    前記第1開口部から前記空洞部に流入して前記第2開口部から流出するガスに対して、前記第1開口部で周方向速度成分を減じるとともに、前記第2開口部で前記羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分を付加する、ことを特徴とする遠心圧縮機の作動域拡大方法。
  2. 前記羽根車に吸引されるガスの流量が比較的大きいときには、前記羽根車に吸引されるガスの一部を、前記第2開口部から前記空洞部に流入させて前記第1開口部から流出させる、ことを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機の作動域拡大方法。
  3. 本発明の作動域拡大装置は、羽根車の羽根に対向する壁に設けられた空洞部を介して、前記羽根車に吸引されるガスの一部を前記空洞部に流して遠心圧縮機の作動域を拡大させる装置であって、
    前記空洞部は、前記羽根車に対する主流の入口位置と出口位置との間に配される第1開口部と、該第1開口部に対して前記主流の上流側に配される第2開口部とを有しており、
    前記第1開口部には、前記空洞部に流入するガスの周方向速度成分を減じる第1案内部材が設けられ、
    前記第2開口部には、前記空洞部から流出するガスに前記羽根車の回転方向と逆方向の周方向速度成分を付加する第2案内部材が設けられている、ことを特徴とする遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  4. 前記第1開口部が、前記羽根車のスロート部より下流位置に配されている、ことを特徴とする請求項3に記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  5. 第1案内部材及び第2案内部材はそれぞれ、周方向に互いに離間して配置された複数の板状部材を含む、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  6. 前記複数の板状部材はそれぞれ、湾曲形状からなる、ことを特徴とする請求項5に記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  7. 前記複数の板状部材の周方向における配置数は、前記羽根車の羽根の数と異なる、ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  8. 前記第1開口部の開口面積は、前記第2開口部の開口面積に比べて小さい、ことを特徴とする請求項3から請求項7のいずれかに記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
  9. 前記空洞部の流路が、前記第1開口部に向かって径方向から前記主流の下流側に傾くとともに、前記第2開口部に向かって径方向から前記主流の上流側に傾いている、ことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれかに記載の遠心圧縮機の作動域拡大装置。
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