JP2006340543A - 巻線装置及び巻線方法 - Google Patents

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Takuro Kugimiya
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Keiji Otsuka
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Abstract

【課題】各コイル間で導線が連続して集中巻きされて渡り線を形成するとともに、巻回作業に要する時間を短縮する。
【解決手段】巻線装置50は、導線18を規定長さ毎に異なる向きに予め連続して仮巻きする回転ドラム12a〜12cと、導線18の巻回向きが反転する箇所で導線18を保持する仮巻保持ピン24a〜24gと、導線18を巻回するために回転軸82に挿入、配列された3つのコア80a〜80cと、回転軸82上でコア80bとコア80cとの間に設けられた巻回保持ピン89b、89cとを有する。回転ドラム12a〜12cに仮巻きされた導線18を仮巻保持ピン24d、24eで保持された箇所から引き出して巻回保持ピン89b、89cに移し替えた後、回転軸82を回転させることにより回転ドラム12a〜12cに仮巻きされた導線18をコア80a〜80cに同時に巻き取る。
【選択図】図2

Description

本発明は、集中巻きしたコイルの一端から他のコイルの端部に向けて渡り線でつながれている連続コイルを形成するための巻線装置及び巻線方法に関する。
回転電気の複数のコイル間は相に応じて渡り線で接続されている。このような回転電気のコイルを形成するために、コア(又は、巻枠、ボビン等)に対して導線を整列するように集中巻線してコイルを形成するとともに、隣接配置された他のコアに連続して巻線する技術が知られている。この種の連続巻きした集中巻線方法の中には、コアを回転させて導線を巻回することでコイルを形成するものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このようにコアを回転させて導線を巻回する方法は、ノズルを回転させる方法と比較して、複数本の導線を一度に巻回する場合や断面多角形の導線を巻回する場合において巻回する導線に捩れ等が生じないため巻線の占積率が向上する。
特開2000−14095号公報 特開2002−034210号公報
ところで、上記の従来技術では、必要とされる個数のコアを直線状に配列させておき各コアに対して順次導線を巻回しているので、巻回作業に要する時間はコアの個数に応じて比例的に長くなってしまう。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、各コイル間で導線が連続して集中巻きされて渡り線を形成するとともに、巻回作業に要する時間を短縮することができる巻線装置及び巻線方法を提供することを目的とする。
本発明に係る巻線装置は、導線を規定長さ毎に異なる向きに予め連続して仮巻きする回転ドラムと、前記回転ドラム上で前記導線の巻回向きが反転する箇所毎に前記導線を保持する第1導線保持部と、導線を巻回するために回転軸に挿入、配列された複数のコアと、前記回転軸上で前記コアの間について隔間毎に設けられ、導線を保持可能な第2導線保持部と、前記回転軸を回転させる回転手段とを有し、前記第1導線保持部のうち、前記回転ドラムに対して導線を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線を引き出して前記第2導線保持部に移し替えた後、前記回転手段により前記回転軸を回転させ、前記回転ドラムに仮巻きされた導線を複数の前記コアに同時に巻き取り、それぞれコイルを形成することを特徴とする。
このように、複数のコアに巻回するための導線を規定長さ毎に異なる向きに予め回転ドラムに仮巻きしておき、第1導線保持部からコア間の第2導線保持部に移し替えることにより、その後コアを回転させると回転ドラムに仮巻きされた導線がコアに対して同時に巻回される。したがって、コアに対する巻回作業の時間を短縮することができ、しかも、各コイル間をつなぐ渡り線が形成され、回転電機の組立が容易である。この場合、回転ドラムは従動的に回転させるだけでなく、所定のトルク保持手段によりトルクを制御すると、導線に適度で均一な張力を与えながら巻回することができる。なお、ここでいうコアとはコイルを形成するための被巻回部を示す広義の意味であり、巻枠、ボビン等を含む。
また、前記コアと前記回転ドラムとの間で前記コアの夫々に対応して設けられ、前記回転手段に同期して前記回転軸の延在方向と平行に変位し、前記導線を案内するノズルを有するとよい。さらに、前記回転ドラムは、表面に前記導線が配置される螺旋溝を備え、前記回転手段に同期して前記回転ドラムを前記回転軸の延在方向と平行に変位させ、導出される導線を前記螺旋溝に基づいて案内するドラム変位手段を有していてもよい。このようなノズルや螺旋溝によれば、回転ドラムから導出される導線をコアに対して正しく案内することができ、整列性よく巻回することができる。
本発明に係る巻線方法は、導線を規定長さ毎に前記回転ドラム上の第1導線保持部で保持させて異なる向きに反転させながら連続して巻回する工程と、前記第1導線保持部のうち、前記回転ドラムに対して導線を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線を引き出す工程と、導線を巻回するために回転軸に挿入、配列された複数のコアの間について隔間毎に設けられた第2導線保持部に対して、回転ドラムから引き出された導線を移し替える工程と、回転手段により前記回転軸を回転させ、前記回転ドラムに仮巻きされた導線を複数の前記コアに同時に巻き取り、それぞれコイルを形成する工程とを有することを特徴とする。
このような巻線方法によれば、各コアに対して同時に導線が巻回されることからコアに対する巻回作業に要する時間を短縮することができ、しかも、各コイル間をつなぐ渡り線が形成され、回転電機の組立が容易である。
本発明に係る巻線装置及び巻線方法によれば、複数のコアに巻回するための導線を規定長さ毎に異なる向きに予め回転ドラムに仮巻きしておき、第1導線保持部からコア間の第2導線保持部に移し替えることにより、その後コアを回転させると回転ドラムに仮巻きされた導線がコアに対して同時に巻回される。したがって、コアに対する巻回作業に要する時間を短縮することができ、しかも、各コイル間をつなぐ渡り線が形成され、その後の回転電機の組立が容易である。
以下、本発明に係る巻線装置及び巻線方法について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図12を参照しながら説明する。本実施の形態に係る巻線方法は、ドラム仮巻装置10(図1参照)及び巻線装置50(図2〜図4参照)を用いて行われる。このうち、先ずドラム仮巻装置10について説明する。
図1に示すように、ドラム仮巻装置10は、3つの回転ドラム12a、12b及び12cを相互に仮固定したまま回転自在に保持する回転軸14と、該回転軸14を正逆両方向に回転させるモータ16と、回転ドラム12a〜12cに対して導線18を案内するノズル部20と、該ノズル部20を回転軸14の回転と同期しながら回転軸14と平行に移動させるノズル移動機構22とを有する。回転ドラム12a〜12cは後述するコア80よりも相当に大径であって、それぞれ外径方向に突出した仮巻保持ピン(第1導線保持部)24a〜24g(代表的に仮巻保持ピン24ともいう。)を備えている。具体的には、モータ30から近い順に、回転ドラム12aは軸方向両端に仮巻保持ピン24a,24bを備え、回転ドラム12bは軸方向両端に仮巻保持ピン24c,24dを備える。また、回転ドラム12cは仮巻保持ピン24e、24f及び24gを備え、このうち仮巻保持ピン24e、24gは軸方向両端部に設けられ、仮巻保持ピン24fは略中央部に設けられている。これらの仮巻保持ピン24a〜24g(及び後述する巻回保持ピン89a〜89c)は導線18が緩み、又は巻回が解かれることがないように保持できるものであればよく、所定のクランプ機構等でもよい。
各回転ドラム12a〜12cの間には、間隔を規定するとともに相互に仮固定するスペーサ26が配設されており、各仮巻保持ピン24a〜24gは直線上に配置されている。また、回転ドラム12a〜12cの軸方向端面には、本体部よりやや小径のギア28がそれぞれ設けられており、巻線装置50における回転時に従動ギアとして作用する。
ノズル移動機構22はモータ30と、該モータ30によって回転する長尺なねじ32とを有し、ねじ32がノズル部20に螺合している。したがって、モータ16とモータ30とを協動的に回転させることにより、ノズル部20が軸方向に移動して回転ドラム12a、12b又は12cに対して適切な軸方向位置に導線18を案内することができる。モータ16は、正逆方向に回転することにより、回転ドラム12a〜12cに対して導線18を規定長さ毎に異なる向きに巻回させる。導線18の巻回向きが反転する箇所、つまり回転ドラム12a〜12cとの各間では、それぞれ仮巻保持ピン24a〜24gにより導線18が保持される。モータ16の回転が反転する際には、図示しない所定の係合手段により導線18を反転箇所に応じて仮巻保持ピン24b、24c、24d、24eに係合させる。回転軸14はチャック34の操作により着脱自在であり、モータ16から取り外した後、導線18が巻回された回転ドラム12a〜12cが抜かれる。回転軸14から引き抜かれた回転ドラム12a〜12cは巻線装置50に組み込まれる。
次に、本実施の形態に係る巻線装置50について図2、図3及び図4を参照しながら説明する。図2〜図4に示すように、巻線装置50は主に導線供給部52と、導線巻回部54と、統括的な制御を行うコントローラ55からなり、テーブル56上に構成されている。また、導線供給部52及び導線巻回部54は、テーブル56上のボックス57をベースに構成されている。
導線供給部52は、導線巻回部54のコア80に対して導線18を供給する部分であり、前記の回転ドラム12a〜12cを直線状に配列してそれぞれ独立的に回転自在に保持する固定軸58と、該固定軸58に対して平行配列された3つの張力調整モータ60a、60b、60cと、これらの固定軸58及び張力調整モータ60a、60b、60cが固定配置された移動テーブル62と、該移動テーブル62を導線巻回部54の方向(以下、Y方向という。)に前進・後退させる移動機構64とを有する。
固定軸58は、移動テーブル62の両側板62aに保持されており、所定の機構により着脱自在となっている。つまり、固定軸58を両側板62aから取り外した状態で回転ドラム12a〜12cが交換可能となっている。回転ドラム12a〜12cはそれぞれ独立的にベアリング(図示せず)によって回転自在に支持され、個別に回転可能である。張力調整モータ60a、60b、60cは、その出力軸に駆動ギア66がそれぞれ設けられており、回転ドラム12a〜12cのギア28に噛合する。
移動機構64は、ボックス57の上部に設けられY方向に延在するボールねじ70と、該ボールねじ70に螺合して前進・後退するナットボックス72と、プーリ機構74を介してボールねじ70を回転駆動する移動用モータ76とを有する。ナットボックス72は、移動テーブル62の下面に接続されており、移動用モータ76を回転駆動することにより、プーリ機構74、ボールねじ70、ナットボックス72を介して移動テーブル62が前進及び後退可能となる。移動テーブル62が最も前進したとき(図3の二点鎖線部参照)には回転ドラム12a〜12cがコア80の略上方に配置され、後退方向には回転ドラム12a〜12cの外径と略等しい距離だけ後退可能である。
次に、導線巻回部54は、3つのコア80a、80b、80c(代表的にコア80ともいう。)を直線状に配列して保持する回転軸82と、該回転軸82の両端を回転自在に保持する支持部84a、84bと、支持部84aに設けられたプーリ機構86を介して該回転軸82を一方向に回転させる巻回モータ88とを有する。回転軸82は固定軸58と平行に配列されている。
3つのコア80a〜80cは導線18を巻回してコイルを形成する被巻回部であり、コイル形成後に回転電機(図示せず)ティースに組み付けて円環状のステータを形成することから、ステータからみた内径方向部より外径方向部が大きく構成されている。これらのコア80a〜80cを回転軸82に挿入する際には、支持部84aからみて回転軸82が延在する方向(以下、矢印X1方向といい、逆方向を矢印X2方向という。)に順に、前記の回転ドラム12a〜12cに対向する箇所に配列されている。コア80a及びコア80cについてはティース組み付け時の外径方向部が矢印X1方向を指向し、コア80bについては逆向きであって外径方向部が矢印X2方向を指向するように挿入保持される。コア80a〜80cはティースに組み付けられるため、中空部はティース形状に合わせて断面四角形状となっており、回転軸82についてもこれに対応した断面四角形状である。
回転軸82における矢印X2方向の端部近傍及び、コア80bとコア80cとの間には導線18を保持する手段としての巻回保持ピン89a〜89c(第2導線保持部)が設けられている。このうち、支持部84aの近傍の巻回保持ピン89aには、回転ドラム12aから導線18の端部が引き出されて係止される。また、コア80bと80cとの間の巻回保持ピン89b、89cに対しては、回転ドラム12bと回転ドラム12cが対向する端部の仮巻保持ピン24d、24eから導線18が引き出されて係止される。この巻回保持ピン89b、89cで保持される導線18はコイル形成後に渡り線として作用する箇所であり、渡り線として必要長さが得られるように配置位置を設定するとよい。巻回保持ピン89b、89cは1つのピンで構成されていてもよい。巻回保持ピン89a〜89cは、コア80a〜80cを挿入する際に支障とならないように着脱式又は折り畳み格納式等にしてもよい。
なお、コア80aと80bとの間には導線18を保持する手段は設けられていない。つまり、コア80a〜80cの取り付け向きに応じて各1つの導線保持手段が設けられており、コア80aから80cの間について隔間毎に設けられることになる。コアの数が4つ以上の場合も同様である。
支持部84bには回転軸82を着脱するためのレバー90と、該レバー90の傾動に連動してX方向に進退するクランプ部92とを有する。クランプ部92は、矢印X1方向に移動すると回転軸82から離れ、該回転軸82は取り外し可能となり、矢印X2方向に移動したときには回転軸82の端部を回転自在に保持する。
導線巻回部54は、さらに、コア80a〜80cに対して導線18を案内するための案内機構100を有する。該案内機構100は、コア80a〜80cと回転ドラム12a〜12cとの間に設けられた3つのノズルユニット102a、102b、102cと、該ノズルユニット102a〜102cを螺合により矢印X1方向又はX2方向に移動させるボールねじ104と、プーリ機構106を介して該ボールねじ104を正逆方向に回転させる送り用モータ108とを有する。
各ノズルユニット102a〜102cは、回転ドラム12a〜12cから供給される導線18に当接して挙動を安定させるローラ110と、該ローラ110よりも下流側に設けられ、導線18をコア80a、80b又は80cに案内するノズル112と、ノズル112を昇降させるシリンダ114と、ボールねじ104と螺合するナット部116とを有する。また、ノズルユニット102a〜102cは水平レール117a及び垂直レール117b(図9参照)によって摺動自在に支持されており、揺れや傾きがなく安定した状態でスライド可能である。
ローラ110は板ばねによって支持されており、その上面が導線18に対して弾性的に軽く接触し、該導線18を安定させた状態でノズル112に供給する。ノズル112の上面には導線18が通過する溝112a(図9参照)が設けられている。該溝112aは、導線18が導入される側の幅が広く、反対の導出側の幅が狭く設定されており、導線18の導入がX方向でややずれている場合でも、確実に導入されて、正しい位置から導出されるように案内作用を奏する。また、溝112aの導線18の導入側端部及び導出側の端部は、それぞれ下方に向かって円弧形状に面取りされており、導線18をスムーズに通過させることができる。なお、ノズル112はシリンダ114によって上昇しているときに導線18に接触して挙動の安定及び案内作用を奏し、下降しているときには導線18に対して非接触となる。なお、ここでいうノズル112は導線18の案内作用を奏するものであればよく、狭義の筒形状体に限定されるものでない。
ボールねじ104は、ノズルユニット102a〜102cを移動させるために対応した送りねじ部118a、118b、118c(図4参照)を有する。送りねじ部118a及び118cは正方向のねじであり、送りねじ部118bは逆ねじとなっている。これにより、送り用モータ108を所定の正方向に回転させるときノズルユニット102a及び102cは矢印X1方向、ノズルユニット102bは矢印X2方向に移動し、送り用モータ108を逆方向に回転させるときにはノズルユニット102a及び102cは矢印X2方向、ノズルユニット102bは矢印X1方向に移動することになる。
送り用モータ108は、コントローラ55の作用下に巻回モータ88と同期的に回転し、ノズル112から供給される導線18がそれぞれコア80におけるコイルの形成部の幅で往復運動するように正逆方向に回転が切り替えられる。つまり、回転軸82が1回転する間にノズル112は導線18の線径と略等しい距離だけ移動し、導線18がコイルの形成部の両端に達する度に移動方向が反転するように送り用モータ108が回転制御される。なお、プーリ機構106及び前記のプーリ機構86には滑りを防止するためにタイミングベルトが用いられており、正確な同期が保たれる。
次に、このように構成されるドラム仮巻装置10及び巻線装置50を用いて複数のコア80に導線18を巻回してコイルを形成する巻線方法について図5〜図9を参照しながら説明する。
先ず、ステップS1において、ドラム仮巻装置10により回転ドラム12a〜12cに導線18を仮巻きする。具体的には、導線18をノズル部20を通して仮巻保持ピン24g及び仮巻保持ピン24fに係合させ、モータ16を正方向に回転させることにより回転ドラム12cの側面に正方向に巻回させる。このとき、モータ30をモータ16に同期回転させてノズル部20を移動させ、導線18を仮巻保持ピン24eの方向に向かって規定間隔で螺旋状に巻回させることになる。
導線18が回転ドラム12cにおける仮巻保持ピン24eの位置まで巻回された後、仮巻保持ピン24e及び仮巻保持ピン24dにより導線18を所定の係合手段により係合・保持させる。さらに、モータ16を逆方向に回転させることにより回転ドラム12bの側面に逆方向に巻回させる。この場合も、モータ30をモータ16に同期回転させてノズル部20を移動させ、導線18を仮巻保持ピン24cの方向に向かって規定間隔で螺旋状に巻回させる。導線18が仮巻保持ピン24cの位置まで巻回された後、仮巻保持ピン24c及び24bで導線18を係合・保持させ、導線18を回転ドラム12aの側面に正方向に巻回させる。導線18が仮巻保持ピン24aの位置まで巻回されたときにモータ16及び30を停止させ、導線18をノズル部20の近傍で切断するとともに、仮巻保持ピン24aに係合・保持させる。
このようにして、導線18は回転ドラム12a〜12cに対して規定長さ毎に仮巻保持ピン24a〜24dで保持して巻回され、その巻回の向きは隣接するドラム同士で異なる向きに巻回される。また、回転ドラム12a〜12cに巻回された導線18は、巻回の途中で切断されることなく連続して巻回されている。
次に、ステップS2において、回転ドラム12a〜12cを巻線装置50の固定軸58に装着する。この際、スペーサ26を取り外し、装着された回転ドラム12a〜12cを固定軸58に対して独立的に軸支させる。また、コイルが未形成のコア80a〜80cがセットされた回転軸82を各巻回保持ピン89a、89b、89cが上向きとなる状態で、レバー90の操作により支持部84a、84bに装着する。なお、固定軸58は移動機構64によって回転軸82の上方に配置され、さらにノズル112は所定の下降位置に配置されている。
ステップS3において、仮巻保持ピン24a〜24gのうち回転ドラム12a〜12cに対して導線18を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線18を引き出す。この規定の向きである箇所とは、図4において、導線18が下向きとなるように保持されている箇所であり、具体的には仮巻保持ピン24a、24d及び24eとして特定され、それぞれの導線18は回転ドラム12a〜12cの各下面側から引き出される。
ステップS4において、回転ドラム12a〜12cから引き出された導線18をコア80a〜80cの巻回保持ピン89a〜89cに移し替える(図6参照)。具体的には、仮巻保持ピン24aから引き出された導線18を巻回保持ピン89aに保持・係合させ、仮巻保持ピン24d、24eから引き出された導線18を巻回保持ピン89b及び89cに保持・係合させる。このとき、回転ドラム12a〜12cは、回転軸82の上方で比較的近い位置に配置されていることから、導線18を不必要に長く引き出すことなく簡便に移し替えが行われる。
ステップS5において、図7に示すように、移動機構64の作用下に移動テーブル62を規定位置まで後退させる。これにより、後退する移動距離に応じて導線18がさらに引き出され、コア80a、80b及び80cから移動後の回転ドラム12a、12b及び12cとの間に横架される。また、後退時には張力調整モータ60a、60b及び60cを作用させることにより回転ドラム12a、12b及び12cに導線引出回転方向と逆方向のトルクを発生させて引き出された各導線18に適度な張力を与えておき、弛みを防止する。この後、張力調整モータ60a〜60cに対する通電を継続し、導線18に張力を与え続ける。
ステップS6において、図8に示すように、シリンダ114の作用下にノズル112上昇させ、各ローラ110の上面に導線18を接触させるとともにノズル112の溝112aに導線18を挿通させる。このとき、導線18はローラ110及びノズル112により緩い角度で曲げられる。
導線18は回転ドラム12a〜12cの下側から引き出されていることから導線18の延在距離が短くなり、安定的な供給が可能となるとともにノズル112を適切に当接させることができる。
ステップS7において、コア80a〜80cに対する導線18の巻回処理を開始する。すなわち、図9に示すように、回転軸82とコア80a、80b及び80cを回転させ、導線18を回転ドラム12a〜12cから引き出しながらコア80a〜80cに同時に巻回させる。なお、巻回モータ88の始動時には、所定速度となるまでは適度な一定の加速度で加速するように回転制御を行い、巻回開始時の導線18の動きや張力を安定化させるとよい。
また、巻回処理時には送り用モータ108を巻回モータ88に同期させながら正逆方向に回転し、ノズルユニット102a〜102cを矢印X1及びX2方向に往復運動させ、移動する各ノズル112により導線18をコア80a〜80cの適切な巻回位置に案内する。導線18は予めローラ110の上面に当接していることから、挙動が安定した状態でノズル112に挿入される。
なお、この巻回処理時には、回転ドラム12a〜12cは導線18が引き出されることにより従動的に回転するが、導線18を巻き取るコア80a〜80cが断面四角形状であることから回転ドラム12a、12b及び12cの回転速度は変動することになる。このように変動する回転速度に対しても、張力調整モータ60a、60b、60cに適度に通電しておくことにより導線18の張力を一定に保つことができ、コア80a〜80cに対して隙間なく、且つ安定的に巻回を行うことができる。
さらに、回転ドラム12a、12b及び12cは固定軸58にそれぞれ独立的に軸支されており、個別に張力調整モータ60a、60b及び60cに接続されている。したがって、コア80a、80b及び80cに対して巻き取られる導線18は独立的に張力管理されることになり、個体差の影響等が排除されて適切な張力が維持される。
なお、ノズルユニット102a〜102cは、当初はコア80a〜80cの幅内で往復して導線18を巻回してコイルの下層及び中層部を形成するが、巻回の終盤でコイルの上層部を形成する際には、ティースに組み付け後のステータからみた外径方向部(例えば、コア80aの矢印X1方向)のみを重複的に巻回するように往復する位置を調整する。このような導線18の巻回は、送り用モータ108の正逆方向のそれぞれの回転数を適当に調整することによりノズル112が適切な位置に導線18を案内することによりなされる。
ステップS8において巻終わり処理を行う。すなわち、回転ドラム12a〜12cに仮巻きされた導線18がほとんど全て引き出された後、巻回モータ88の回転速度を下げ又は一度停止させ、シリンダ114の作用下にノズル112を下降させる。さらに、巻回モータ88を低速で回転させるとともに、移動機構64の作用下に移動テーブル62を前進させ、当初の位置(図6参照)に戻る。これにより、回転ドラム12a〜12cは、コア80a〜80cに接近し、仮巻きされた導線18は、ほとんど全てがコア80a〜80cに巻回されることになり、導線18の無駄がない。また、この場合も張力調整モータ60a〜60cにより導線18の張力が一定に保たれ、弛みや緩みが防止される。
この後、巻回モータ88、送り用モータ108及び張力調整モータ60a、60b、60cを停止させ、回転軸82を支持部84a、84bから取り外し、コイルが形成されたコア80a〜80cを引き出す。また、回転ドラム12a〜12cは必要に応じてドラム仮巻装置10に再装着する。
このように、巻線装置50を用いることによりコア80a〜80cに形成されたコイルは、1本の導線18を途中工程で切断することなく巻回されたものとなり、各コイル間が渡り線により接続された状態として形成される。したがって、回転電機のステータに組み付けた後の渡り線の接続処理が不要であり、組み立て工程が簡便化されるとともに電気抵抗の低減が図られる。また、渡り線の接続用の接続具が不要であり、ステータの合理化及び軽量化を図ることができる。さらに、各コア80a〜80cに対して導線18は同時に巻回されることから、巻回処理に要する時間はコア80a〜80cの数に影響されず、短時間で行われる。
また、ノズル112によれば回転ドラム12a〜12cから導出される導線18をコア80a〜80cに対して正確に案内することができ、整列性よく巻回することができる。
なお、上記の例では、3つのコア80a、80b及び80cについて3つの独立的な回転ドラム12a、12b及び12cを対応させて導線18の張力を個別に調整可能な構成について示したが、個体差等の影響がほとんどないと想定される場合には、図10に示すように、1つの回転ドラム200を用いてもよい。この回転ドラム200は、回転ドラム12a〜12cを1つの円筒体にまとめた形状であり、回転ドラム12a〜12cと同様に仮巻保持ピン24a〜24gが設けられている。また、端部には張力調整モータ60cにより駆動されるギア202が設けられている。回転ドラム200に対してトルクを与える手段としては張力調整モータ60cだけで足りることから、張力調整モータ60a及び60bは、巻線装置50から取り外しておくとよい。また、回転ドラム200は、回転ドラム12a、12b及び12cと同様に、ドラム仮巻装置10を用いることにより導線18を仮巻きすることができる。
さらに、回転ドラム12a、12b、12cに代えて、図11に示すような回転ドラム206を用いてもよい。この回転ドラム206は回転ドラム200の表面に導線18が配置される細く浅い螺旋溝208a、208b、208cが設けられたものである。螺旋溝208a〜208cの螺旋の方向は導線18が仮巻きされる向きに応じて設定されており、螺旋溝208a、208cが正方向、螺旋溝208bが逆方向である。
また、このような回転ドラム206は、図12に示す巻線装置220に装着され、コア80a〜80cに対する導線18の巻回に供せられる。巻線装置220では、さらに、コア80a〜80cを回転軸82に対して摺動自在に保持しておくとともに、螺旋溝208a〜208cからの導線18の導出位置に対応してコア80a〜80cを矢印X1、X2方向に移動させるコア送り機構222a、222b、222cを有する。コア送り機構222a、222b、222cは、それぞれ送り用モータ224と、該送り用モータ224により回転するボールねじ226と、該ボールねじ226に螺合して矢印X1、X2方向に移動するフォーク部228とを有する。フォーク部228はコア80a〜80cの両端側面に隙間なく接触する2本のアームを有しており、フォーク部228の移動にともなってコア80a〜80cが矢印X1、X2方向に移動可能となる。各送り用モータ224はコントローラ55によって回転制御され、螺旋溝208a〜208cからのその時点の導線18の導出位置に対応してコア80a〜80cを個別に適切な位置に設定する。
この巻線装置220では、導線18は螺旋溝208a〜208cによって導出位置が正しく規定されていることから、前記巻線装置50におけるノズルユニット102a〜102c等を含む案内機構100がなくても、導線18を整列性よく巻回することができる。
なお、上記の説明では、3つのコア80a〜80cにコイルを形成する例について説明したが、導線18を巻回するコアの数は4つ以上であってもよいことはもちろんである。この場合、回転ドラムについてもコアの数に応じて適度な長さに設定するとともに導線を巻回する。また、回転軸82上の巻回保持ピン89はコアの間について隔間毎に設けられ、仮巻保持ピン24のうち回転ドラムに対して導線18を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線18を引き出して巻回保持ピン89に移し替えるとよい。
さらに、上記の巻線方法では工程に応じてドラム仮巻装置10と巻線装置50とを用いて行う例について説明したが、例えば、ドラム仮巻装置10のノズル移動機構22等を巻線装置50に設け、ステップS1の仮巻工程を巻線装置50で行うようにしてもよい。
巻回保持ピン89a〜89cは、回転軸82上に設けられるものでなくとも導線18を保持できる機構であればよく、例えば、コア80a〜80cの一部を用いて保持させてもよい。
本発明に係る巻線装置及び巻線方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
ドラム仮巻装置の斜視図である。 本実施の形態に係る巻線装置の平面図である。 本実施の形態に係る巻線装置の側面図である。 本実施の形態に係る巻線装置の正面図である。 本実施の形態に係る巻線方法の手順を示すフローチャートである。 回転ドラムから引き出した導線をコアのピンに保持させた状態を示す模式側面図である。 回転ドラムを後退させた状態を示す模式側面図である。 ノズルを上昇させた状態を示す模式側面図である。 巻回処理時における回転軸、コア、ノズル及びノズルユニット等の斜視図である。 1つの回転ドラムを用いる巻線装置の平面図である。 螺旋溝が設けられた回転ドラムの斜視図である。 螺旋溝が設けられた回転ドラムを用いる巻線装置の平面図である。
符号の説明
10…ドラム仮巻装置
12a〜12c、200、206…回転ドラム
18…導線
24a〜24g…仮巻保持ピン(第1導線保持部)
50、220…巻線装置 60a〜60c…張力調整モータ
62…移動テーブル 64…移動機構
76…移動用モータ 80a〜80c…コア
82…回転軸 88…巻回モータ
89、89a〜89c…巻回保持ピン(第2導線保持部)
100…案内機構 102a〜102c…ノズルユニット108、224…送り用モータ 110…ローラ
112…ノズル 112a…溝
208a〜208c…螺旋溝

Claims (4)

  1. 導線を規定長さ毎に異なる向きに予め連続して仮巻きする回転ドラムと、
    前記回転ドラム上で前記導線の巻回向きが反転する箇所毎に前記導線を保持する第1導線保持部と、
    導線を巻回するために回転軸に挿入、配列された複数のコアと、
    前記回転軸上で前記コアの間について隔間毎に設けられ、導線を保持可能な第2導線保持部と、
    前記回転軸を回転させる回転手段と、
    を有し、
    前記第1導線保持部のうち、前記回転ドラムに対して導線を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線を引き出して前記第2導線保持部に移し替えた後、前記回転手段により前記回転軸を回転させ、前記回転ドラムに仮巻きされた導線を複数の前記コアに同時に巻き取り、それぞれコイルを形成することを特徴とする巻線装置。
  2. 請求項1記載の巻線装置において、
    前記コアと前記回転ドラムとの間で前記コアの夫々に対応して設けられ、前記回転手段に同期して前記回転軸の延在方向と平行に変位し、前記導線を案内するノズルを有することを特徴とする巻線装置。
  3. 請求項1記載の巻線装置において、
    前記回転ドラムは、表面に前記導線が配置される螺旋溝を備え、
    前記回転手段に同期して前記回転ドラムを前記回転軸の延在方向と平行に変位させ、導出される導線を前記螺旋溝に基づいて案内するドラム変位手段を有することを特徴とする巻線装置。
  4. 導線を規定長さ毎に前記回転ドラム上の第1導線保持部で保持させて異なる向きに反転させながら連続して巻回する工程と、
    前記第1導線保持部のうち、前記回転ドラムに対して導線を反転させる向きが規定の向きである箇所から該導線を引き出す工程と、
    導線を巻回するために回転軸に挿入、配列された複数のコアの間について隔間毎に設けられた第2導線保持部に対して、回転ドラムから引き出された導線を移し替える工程と、
    回転手段により前記回転軸を回転させ、前記回転ドラムに仮巻きされた導線を複数の前記コアに同時に巻き取り、それぞれコイルを形成する工程と、
    を有することを特徴とする巻線方法。
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