以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。この図に示すように、第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータは、キャパシタ50〜52、ダイオード53,54、制御回路55、トランス56、トランジスタ57、キャパシタ58、および、インダクタ59を主要な構成要素としている。
ここで、キャパシタ50は、例えば、電解コンデンサによって構成され、入力端子に対して並列に接続され、電源のインピーダンスを低下させる役割を有している。
制御回路55は、入力電圧Viに応じて、トランジスタ57をPWM(Pulse Width Modulation)制御またはPFM(Pulse Frequency Modulation)制御によって制御し、出力電圧Vo1,Vo2が一定の電圧となるように制御する。
トランス56は、例えば、フライバックトランスによって構成され、巻き線56a,56bが図示せぬコアに巻回されて構成されており、第1のインダクタとしての巻き線56aは、一端が入力端子、制御回路55、および、キャパシタ50に接続され、他端がトランジスタ57のドレイン端子およびキャパシタ58に接続されている。他の巻き線としての巻き線56bは、一端が接地されており、他端がダイオード53のアノード端子に接続されている。なお、トランス56は、トランジスタ57がオンの状態になった際に巻き線56aに流れる電流によって図示せぬコアが磁化され、トランジスタ57がオフの状態になった際にコアに蓄えられた磁気エネルギが巻き線56bから放出される。
トランジスタ57は、例えば、NチャネルMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)によって構成され、ゲート端子が制御回路55に接続され、ドレイン端子が巻き線56aおよびキャパシタ58に接続され、ソース端子が接地されている。トランジスタ57は、制御回路55の制御に応じてオンまたはオフの状態を繰り返すスイッチング動作を行う。
キャパシタ58は、一方の端子がトランジスタ57のドレイン端子および巻き線56aに接続されており、他方の端子がダイオード54のアノード端子およびインダクタ59に接続されている。なお、キャパシタ58は、直流電流が入力から出力へ直接流れることを防止する。
第2のインダクタとしてのインダクタ59は、トランジスタ57がオンの状態である場合にはキャパシタ58に蓄えられている電荷が流入し、オフの状態である場合には図示せぬコアに蓄えられた磁気エネルギをダイオード54を介してキャパシタ52に放出する。
ダイオード54は、アノードがキャパシタ58およびインダクタ59に接続されており、図示せぬコアに蓄えられている磁気エネルギをキャパシタ52側へ放出させる機能を有している。
キャパシタ52は、例えば、電解コンデンサによって構成され、出力端子に並列に接続され、出力インピーダンスを低下させる役割を有している。
整流回路の一部としてのダイオード53は、アノードが巻き線56bに接続されており、図示せぬコアに蓄えられている磁気エネルギをキャパシタ51側へ放出させる機能を有している。
整流回路の一部としてのキャパシタ51は、例えば、電解コンデンサによって構成され、出力端子に並列に接続され、出力インピーダンスを低下させる役割を有している。
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。
図1において、トランジスタ57が周期的にスイッチングしているとする。まず、トランジスタ57がオンの状態になると、電流I1は、入力端子側から巻き線56aを通って共通ライン側(アース側)に流れる。このとき、トランス56の図示せぬコアは巻き線56aを流れる電流によって磁化される。一方、電流I2は、電圧源とみなされるキャパシタ58からインダクタ59を通って共通ライン側に流れる。
つづいて、トランジスタ57がオフの状態になると、電流I1は、キャパシタ58とダイオード54を通ってキャパシタ52と図示せぬ負荷に流れる。電流I2は、ダイオード54を通ってキャパシタ52と図示せぬ負荷に流れる。なお、電流I1,I2は、キャパシタ52のチャージに応じて減少する。そして、電流Ioは、キャパシタ52から図示せぬ負荷に対して流れる。
一方、トランジスタ57がオンの状態である場合に巻き線56aによってトランス56の図示せぬコアに蓄えられた磁気エネルギは、トランジスタ57がオフの状態になるとダイオード53を介してキャパシタ51および図示せぬ負荷に向けて電流I3として流れる。
ここで、キャパシタ58とキャパシタ52の電圧が一定であると仮定する。また、トランジスタ57とダイオード54における電圧降下は無視できるとする。トランジスタ57が周期的にスイッチングしている場合、インダクタに印加される電圧と時間の積はゼロになる。したがって、巻き線56aに生じる電圧は以下のようになる。
Vi・D=(1−D)(Vc+Vo1−Vi) ・・・(式1)
ここで、Dはスイッチング周期におけるオンの時間とオフの時間の比を示すデューティー比である。この式をインダクタ59についても当てはめると、以下の式を得る。
Vc・D=(1−D)Vo1 ・・・(式2)
式1と式2をVcについて解くと以下の式を得る。
Vc=Vi ・・・(式3)
式1および式2に式3を代入すると、ViとVoに係る伝達関数を得る。
Vo1/Vi=D/(1−D) ・・・(式4)
したがって、制御回路55によってDを制御することにより伝達関数を変化させ、出力電圧Vo1を制御することができる。なお、出力電流については、以下の伝達関数によって求めることができる。
Io/I1=(1−D)/D ・・・(式5)
また、ViとVo2については、フライバック回路の伝達関数より、以下の関係が成り立つ。
Vo2/Vi=D(RL/2・La)1/2 ・・・(式6)
ここで、RLは負荷抵抗であり、Laはトランス56の巻き線56aのインダクタンス値である。したがって、制御回路55によってDを制御することにより伝達関数を変化させ、出力電圧Vo2を制御することができる。
図2は、第1の実施の形態の測定結果を示す図である。図2(A)は、入力電圧Viを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図2(B)は、入力電圧Viが2.5Vである場合に出力電力を変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図2(C)は、入力電圧Viが4.5Vである場合に出力電力を変化させた場合における効率の変化を示す図である。ここで、Viは入力電圧、Iiは入力電流、Vo1はキャパシタ52側の出力電圧、Vo2はキャパシタ51側の出力電圧、ηは効率、Poは総合出力電力(Po=Po1+Po2)、Po1はキャパシタ52側の出力電力、Po2はキャパシタ51側の出力電力を示している。また、図2(B)および図2(C)において、R1はキャパシタ52側に接続される負荷抵抗を示しており、R2はキャパシタ51側に接続される負荷抵抗を示している。
図3は、図26に示すフライバック回路を測定した結果を示す図である。図3(A)〜(B)は前述の場合と同様の測定結果を示している。ここで、Viは入力電圧、Iiは入力電流、Vo1はキャパシタ31側の出力電圧、Vo2はキャパシタ32側の出力電圧、ηは効率、Poは総合出力電力(Po=Po1+Po2)、Po1はキャパシタ31側の出力電力、Po2はキャパシタ32側の出力電力を示している。また、図2(B)および図2(C)において、R1はキャパシタ31側に接続される負荷抵抗を示しており、R2はキャパシタ32側に接続される負荷抵抗を示している。
図4は、フライバック回路および本発明の各実施の形態の入力電圧と効率の関係を示す図である。この図において横軸は入力電圧Vi(V)を示している。また、縦軸は効率(%)を示している。ここで、折れ線b10は図26に示すフライバック回路の効率を示しており、図3(A)をプロットしたものである。図示するように効率は55%から65%の間を推移している。一方、折れ線b11は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータの効率を示しており、図2(A)をプロットしたものである。図示するように、効率は80%弱から75%弱の間を推移している。これらの比較から、本発明の第1の実施の形態では、図26に示すフライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、本発明の第1の実施の形態では、フライバック回路に比較して入力電圧Viの変化に対して効率の変化が少ない。
図5は、入力電圧Viが2.5Vである場合に、フライバック回路および本発明の各実施の形態の出力電力と効率の関係を示す図である。この図において横軸は出力電力Po(W)を示している。また、縦軸は効率(%)を示している。ここで、折れ線b20は図26に示すフライバック回路の効率を示しており、図3(B)をプロットしたものである。図示するように効率は出力電力の増加に伴って70%弱から55%弱に減衰している。一方、折れ線b21は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータの効率を示しており、図2(B)をプロットしたものである。図示するように、効率は出力電力の増加に伴って約65%から約80%に上昇している。これらの比較から、本発明の第1の実施の形態では、図26に示すフライバック回路に比較して、出力電力が小さい場合を除いて、高い効率を実現することができる。また、本発明の第1の実施の形態では、フライバック回路に比較して出力電力の変化に対して効率の変化が少ない。
図6は、入力電圧Viが4.5Vである場合に、フライバック回路および本発明の各実施の形態の出力電力と効率の関係を示す図である。この図において横軸は出力電力Po(W)を示している。また、縦軸は効率(%)を示している。ここで、折れ線b30は図26に示すフライバック回路の効率を示しており、図3(C)をプロットしたものである。図示するように効率は出力電力の増加に伴って60%強から約65%に増加している。一方、折れ線b31は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータの効率を示しており、図2(C)をプロットしたものである。図示するように、効率は出力電力の増加に伴って約55%から約80%に上昇している。これらの比較から、本発明の第1の実施の形態では、図26に示すフライバック回路に比較して、出力電力が低い場合を除いて、高い効率を実現することができる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路のインダクタを他の巻き線を有するトランスとし、当該他の巻き線から出力を得るようにしたので、簡易な回路で2出力を実現することができる。したがって、回路規模を減らして回路の占有面積を縮減できるとともに、製造コストを低減することができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。さらに、入力電圧Viの変化に対して安定して高い効率を有するスイッチングコンバータを提供できる。
第2の実施の形態.
図7は、本発明の第2の実施の形態の構成例を示す図である。なお、この図において、図1と対応する部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。この図の例では、図1の場合と比較して、トランス56がトランス60に置換されている。その他の構成は、図1の場合と同様である。
ここで、トランス60は、図示せぬコアを中心として、3つの巻き線60a〜60cが巻回されている。第1のインダクタとしての巻き線60aは、一方の端子が制御回路55およびキャパシタ50および入力端子に接続され、他方の端子がトランジスタ57のドレイン端子およびキャパシタ58に接続されている。他の巻き線としての巻き線60bは、一方の端子が接地され、他方の端子がダイオード53のアノード端子に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線60cは、一方の端子がキャパシタ58およびダイオード54のアノード端子に接続され、他方の端子が接地されている。なお、その他の構成は、第1の実施の形態の場合と同様である。
つぎに、本発明の第2の実施の形態の動作を説明する。
本発明の第2の実施の形態の動作は、図1に示す第1の実施の形態の場合と略同様であるが、巻き線60cが、巻き線60a,60bと磁気的に結合されているので、巻き線60a〜60cに流れる電流が相互に影響を与え合う点が異なっている。その他の動作は、第1の実施の形態と同様である。
図8は、本発明の第2の実施の形態を実測した結果を示す図である。図8(A)は、入力電圧Viを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図8(B)は、入力電圧Viが2.5Vである場合に出力電力を変化させたときの効率の変化を示す図であり、図8(C)は、入力電圧Viが4.5Vである場合に出力電力を変化させたときの効率の変化を示す図である。
図4の折れ線b12は、本発明の第2の実施の形態の入力電圧Viを変化させた場合の効率の変化を示している。折れ線b10〜b12を比較すると、本発明の第2の実施の形態では、フライバック回路よりも効率が向上し、また、第1の実施の形態よりもさらに効率が上昇している。図5の折れ線b22は、入力電圧Viが2.5Vである場合に、出力電力Poを変化させたときの本発明の第2の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b20と折れ線b22を比較すると、本発明の第2の実施の形態では、全範囲においてフライバック回路よりも効率が向上している。また、折れ線b21と折れ線b22を比較すると、第2の実施の形態では、出力電力Poが高い場合を除いて、第1の実施の形態よりも効率が上昇している。図6の折れ線b32は、入力電圧Viが4.5Vである場合に、出力電力Poを変化させたときの本発明の第2の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b30と折れ線b32を比較すると、本発明の第2の実施の形態では、全範囲において、フライバック回路よりも効率が向上している。また、折れ線b31と折れ線b32を比較すると、全範囲において第1の実施の形態よりも第2の実施の形態の方が効率が上昇している。また、低出力電力時における効率の低下が第1の実施の形態よりも小さくなっている。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを他の巻き線を有するトランスとし、当該他の巻き線から出力を得るようにしたので、簡易な回路で2出力を実現することができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、入力電圧Viの変化に対して安定して高い効率を有するスイッチングコンバータを提供できる。さらに、第1の実施の形態よりも高い効率を実現することができる。
第3の実施の形態.
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。第3の実施の形態は、第1の実施の形態と比較すると、トランス56、ダイオード53、および、キャパシタ51が除外され、巻き線56aが第1のインダクタとしてのインダクタ70に置換されている。また、インダクタ59がトランス71の巻き線71aに置換され、整流回路の一部としてのダイオード72およびキャパシタ73が新たに追加されている。その他の構成は、図1の場合と同様である。
ここで、トランス71は、図示せぬコアに巻き線71aおよび巻き線71bが巻回されて構成されている。第2のインダクタとしての巻き線71aは、一方の端子がキャパシタ58とダイオード54のアノード端子に接続され、他方の端子が接地されている。他の巻き線としての巻き線71bは、一方の端子が接地され、他方の端子がダイオード72のアノードに接続されている。ダイオード72のカソード端子は、キャパシタ73に接続されている。
つぎに、本発明の第3の実施の形態の動作について説明する。
第3の実施の形態におけるSEPIC回路の動作は前述の場合と同様である。ここで、トランジスタ57がオンの状態になると、キャパシタ58に蓄積されている電荷がトランジスタ57および巻き線71aを介して流れる。その結果、トランス71の図示せぬコアが磁化される。そして、トランジスタ57がオフの状態になると、コアに蓄えられた磁気エネルギは、巻き線71bを通じて放出され、ダイオード72を介してキャパシタ73に蓄積された後、出力される。したがって、本発明の第3の実施の形態では、Vo1とVo2の2つの出力を得ることが可能になる。
図10は、本発明の第3の実施の形態を実測した結果を示す図である。図10(A)は、入力電圧Viを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図10(B)は、入力電圧Viが2.5Vである場合に出力電力Poを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図10(C)は、入力電圧Viが4.5Vである場合に出力電力Poを変化させた場合における効率の変化を示す図である。
図4の折れ線b13は、本発明の第3の実施の形態の入力電圧Viを変化させた場合の効率の変化を示している。折れ線b13と折れ線b10を比較すると、本発明の第3の実施の形態では、全範囲においてフライバック回路よりも効率が上昇している。また、入力電圧Viの変動に対しても効率が安定している。図5の折れ線b23は、入力電圧Viが2.5Vである場合に、出力電力Poを変化させたときの本発明の第3の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b23と折れ線b20を比較すると、本発明の第3の実施の形態では、フライバック回路に比較して、出力電力が低い場合を除いて効率が向上している。図6の折れ線b33は、入力電圧Viが4.5Vである場合に、出力電力を変化させたときの本発明の第3の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b33と折れ線b30を比較すると、本発明の第3の実施の形態では、フライバック回路に比較して、出力電力が低い場合を除いて効率が向上している。
以上に説明したように、本発明の第3の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路のインダクタを他の巻き線を有するトランスとし、当該他の巻き線から出力を得るようにしたので、簡易な回路で2出力を実現することができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、入力電圧Viの変化に対して安定して高い効率を有するスイッチングコンバータを提供できる。さらに、第1の実施の形態と比較すると、第3の実施の形態の方が効率においては上回っているが、電圧の安定性については第3の実施の形態の方が下回っている。したがって、電圧の安定性が優先される場合には、第1の実施の形態を選択し、効率が優先される場合には第3の実施の形態を選択することができる。なお、本発明の第3の実施の形態では、トランス71は制御回路55の制御対象となっていないことから、電圧を安定化するためには、例えば、キャパシタ73の出力に対してレギュレータを接続し、電圧を安定化することが望ましい。
第4の実施の形態.
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。第4の実施の形態は、図9に示す第3の実施の形態と比較すると、トランス71がトランス80に置換され、インダクタ70がトランス80の巻き線80aに置換されている。その他の構成は、図9の場合と同様である。
ここで、第1のインダクタとしての巻き線80aは、一方の端子が制御回路55、キャパシタ50、および、入力端子に接続され、他方の端子がトランジスタ57のドレイン端子およびキャパシタ58に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線80bは、一方の端子がキャパシタ58とダイオード54のアノード端子に接続されており、他方の端子が接地されている。他の巻き線としての巻き線80cは、一方の端子がダイオード72のアノード端子に接続されており、他方の端子が接地されている。
つぎに、本発明の第4の実施の形態の動作について説明する。
トランジスタ57がオンの状態になると、入力端子側から巻き線80aに電流が流れ、また、巻き線80bにはキャパシタ58に蓄積されている電荷がトランジスタ57を介して流れる。これらの電流は相互に磁束を強め合う方向に流れることから、トランス80の図示せぬコアは磁化される。そして、トランジスタ57がオフの状態になると、トランス80のコアに蓄積された磁気エネルギは、巻き線80cから放出され、ダイオード72を介してキャパシタ73に蓄積された後、出力される。したがって、本発明の第4の実施の形態では、Vo1とVo2の2つの出力を得ることが可能になる。
図12は、本発明の第4の実施の形態を実測した結果を示す図である。図12(A)は、入力電圧Viを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図12(B)は、入力電圧Viが2.5Vである場合に出力電力Poを変化させた場合における効率の変化を示す図であり、図12(C)は、入力電圧Viが4.5Vである場合に出力電力Poを変化させた場合における効率の変化を示す図である。
図4の折れ線b14は、本発明の第4の実施の形態の入力電圧Viを変化させた場合の効率の変化を示している。図4の折れ線b10,b13,b14を比較すると、本発明の第4の実施の形態では、フライバック回路よりも効率が向上し、また、第3の実施の形態よりもさらに効率が上昇している。図5の折れ線b24は、入力電圧Viが2.5Vである場合に、出力電力Poを変化させたときの本発明の第4の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b20と折れ線b24を比較すると、本発明の第4の実施の形態では、全範囲においてフライバック回路よりも効率が向上している。また、折れ線b23と折れ線b24を比較すると、第4の実施の形態では、出力電力が高い場合を除いて、第3の実施の形態よりも効率が上昇している。図6の折れ線b34は、入力電圧Viが4.5Vである場合に、出力電力Poを変化させたときの本発明の第4の実施の形態の効率の変化を示している。折れ線b30と折れ線b34を比較すると、本発明の第4の実施の形態では、全範囲において、フライバック回路よりも効率が向上している。また、折れ線b33と折れ線b34を比較すると、全範囲において第3の実施の形態よりも第4の実施の形態の方が効率が上昇している。また、低出力電力時における効率の低下が第3の実施の形態よりも小さくなっている。
以上に説明したように、本発明の第4の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを他の巻き線を有するトランスによって構成し、当該他の巻き線から出力を得るようにしたので、簡易な回路で2つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、SEPIC回路を構成する2つのインダクタの双方をトランスの巻き線によって構成するようにしたので、図9に示す第3の実施の形態に比較して効率をさらに向上させることができる。また、入力電圧Viの変化に対して安定して高い効率を有するスイッチングコンバータを提供できる。なお、本発明の第4の実施の形態では、トランス80は制御回路55の制御対象となっていないことから、電圧を安定化するためには、例えば、キャパシタ73の出力に対してレギュレータを接続し、電圧を安定化することが望ましい。
第5の実施の形態.
つぎに、本発明の第5の実施の形態について説明する。図13は、本発明の第5の実施の形態の構成例を示す図である。本発明の第5の実施の形態は、図7に示す第2の実施の形態と比較すると、トランス60がタップを備える巻き線90bを有するトランス90に置換されている。また、巻き線90bのタップには、ダイオード92およびキャパシタ91が接続されている。なお、タップとは、巻き線の端部と端部の間のいずれかの位置に設けられた出力を得るためのタップをいう。
ここで、トランス90は、3つの巻き線90a〜90cが同一のコアに巻回されて構成されている。第1のインダクタとしての巻き線90aの一方の端子は、制御回路55、キャパシタ50、および、入力端子に接続されており、他方の端子はトランジスタ57のドレイン端子とキャパシタ58に接続されている。他の巻き線としての巻き線90bは、タップを有しており、一方の端子は接地され、他方の端子はダイオード53のアノード端子に接続され、タップはダイオード92のアノード端子に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線90cは、一方の端子が接地され、他方の端子がキャパシタ58とダイオード54のアノード端子に接続されている。
整流回路の一部としてのダイオード92は、アノード端子が巻き線90bのタップに接続され、カソード端子がキャパシタ91に接続されている。整流回路の一部としてのキャパシタ91の一方の端子は、ダイオード92のカソード端子に接続され、他方の端子が接地されている。
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。本発明の第5の実施の形態の基本的な動作は、図7に示す第2の実施の形態の場合と同様であるが、第5の実施の形態では巻き線90bにタップが設けてあり、当該タップからの出力電圧がダイオード92およびキャパシタ91を介して出力される点が異なっている。すなわち、ダイオード53のカソード端子からは第2の実施の形態の場合と同様に出力電圧Vo2が出力され、ダイオード92のカソード端子からはタップの位置に応じた電圧Vo3が出力される。具体的には、巻き線90bの全巻き数に対する接地端子からタップまでの巻き数の比に応じた電圧がダイオード92のカソード端子から出力される。
なお、第5の実施の形態は、第2の実施の形態と略同様であるので、効率については第2の実施の形態と略同じであると考えることができる。
以上に説明したように、本発明の第5の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを、他の巻き線を有するトランスによって構成し、当該他の巻き線に設けられたタップから出力を得るようにしたので、簡易な回路で少なくとも3つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、回路規模を縮小することにより、回路の占有面積を減らすとともに、製造コストを低減することができる。
第6の実施の形態.
つぎに、本発明の第6の実施の形態について説明する。図14は、本発明の第6の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。なお、本発明の第6の実施の形態は、図11に示す第4の実施の形態と比較すると、トランス80がタップを備える巻き線100cを有するトランス100に置換されている。その他の構成は、図11の場合と同様である。
ここで、トランス100は、3つの巻き線100a〜100cが同一のコアに巻回されて構成されている。第1のインダクタとしての巻き線100aの一方の端子は制御回路55、キャパシタ50、および、入力端子に接続されており、他方の端子はトランジスタ57のドレイン端子とキャパシタ58に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線100bの一方の端子はキャパシタ58とダイオード54のアノード端子に接続されており、他方の端子は接地されている。他の巻き線としての巻き線100cはタップを有しており、一方の端子は接地され、他方の端子はダイオード72のアノード端子に接続され、タップはダイオード101のアノード端子に接続されている。
整流回路の一部としてのダイオード101は、アノード端子が巻き線100cのタップに接続され、カソード端子がキャパシタ102に接続されている。整流回路の一部としてのキャパシタ102の一方の端子は、ダイオード101のカソード端子に接続され、他方の端子が接地されている。
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。本発明の第6の実施の形態の基本的な動作は、図11に示す第4の実施の形態の場合と同様であるが、第6の実施の形態では巻き線100cにタップが設けてあり、当該タップからの出力電圧がダイオード101およびキャパシタ102を介して出力される構成が異なっている。すなわち、ダイオード72のカソード端子からは第4の実施の形態の場合と同様に出力電圧Vo2が出力され、ダイオード101のカソード端子からはタップの位置に応じた電圧Vo3が出力される。具体的には、巻き線100cの全巻き数に対する接地端子からタップまでの巻き数の比に応じた電圧がダイオード101のカソード端子から出力される。
なお、第6の実施の形態は、第4の実施の形態と略同様であるので、効率については第4の実施の形態と略同じであると考えることができる。
以上に説明したように、本発明の第6の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを他の巻き線を有するトランスによって構成し、当該他の巻き線に設けられたタップから出力を得るようにしたので、簡易な回路で3つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、回路規模を縮小することにより、回路の占有面積を減らすとともに、製造コストを低減することができる。
第7の実施の形態.
つぎに、本発明の第7の実施の形態について説明する。図15は、本発明の第7の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。なお、本発明の第7の実施の形態は、図13に示す第5の実施の形態および図14に示す第6の実施の形態を組み合わせたものであり、タップを備える巻き線110b,110dを有するトランス110を有している。
ここで、トランス110は、4つの巻き線110a〜110dが同一のコアに巻回されて構成されている。第1のインダクタとしての巻き線110aの一方の端子は、制御回路55、キャパシタ50、および、入力端子に接続されており、他方の端子はトランジスタ57のドレイン端子とキャパシタ58に接続されている。他の巻き線としての巻き線110bは、タップを有しておりその一方の端子は接地されており、他方の端子はダイオード53のアノード端子に接続されており、タップはダイオード92のアノード端子に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線110cの一方の端子はキャパシタ58とダイオード54のアノード端子に接続されており、他方の端子は接地されている。他の巻き線としての巻き線110dはタップを有しており、その一方の端子は接地され、他方の端子はダイオード72のアノード端子に接続され、タップはダイオード101のアノード端子に接続されている。
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。本発明の第7の実施の形態の基本的な動作は、図13に示す第5の実施の形態および図14に示す第6の形態と略同様である。第7の実施の形態では巻き線110bおよび巻き線110dにタップが設けてあり、これらのタップから出力電圧Vo3および出力電圧Vo5が出力される。ここで、それぞれのタップから出力される電圧は、巻き線110bまたは巻き線110dの全巻き数に対する接地端子からタップまでの巻き数の比に応じた電圧が出力される。
なお、第7の実施の形態は、第4の実施の形態と略同様であるので、効率については第4の実施の形態と略同じであると考えることができる。
以上に説明したように、本発明の第7の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを他の巻き線を有するトランスによって構成し、他の巻き線が有するタップから出力を得るようにしたので、簡易な回路で5つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、回路規模を縮小することにより、回路の占有面積を減らすとともに、製造コストを低減することができる。
第8の実施の形態.
つぎに、本発明の第8の実施の形態について説明する。図16は、本発明の第8の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す図である。なお、本発明の第8の実施の形態は、図15に示す第7の実施の形態のトランス110をトランス120に置換したものであり、それ以外は図15と同様である。
ここで、トランス120は、4つの巻き線120a〜120dが同一のコアに巻回されて構成されている。第1のインダクタとしての巻き線120aの一方の端子は、制御回路55、キャパシタ50、および、入力端子に接続されており、他方の端子はトランジスタ57のドレイン端子とキャパシタ58に接続されている。他の巻き線としての巻き線120bは、タップを有しておりその一方の端子は接地されており、他方の端子はダイオード53のアノード端子に接続されており、タップはダイオード92のアノード端子に接続されている。第2のインダクタとしての巻き線120cの一方の端子はキャパシタ58とダイオード54のアノード端子と巻き線120dの一方の端子に接続されており、他方の端子は接地されている。他の巻き線としての巻き線120dはタップを有しており、その一方の端子は巻き線120cの一方の端子に接続され、他方の端子はダイオード72のアノード端子に接続され、タップはダイオード101のアノード端子に接続されている。
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。本発明の第8の実施の形態の基本的な動作は、図15に示す第7の実施の形態と略同様である。第8の実施の形態では巻き線120dの一方の端子が接地されずに巻き線120cの一方の端子(接地されていない端子)に接続されている。この結果、巻き線120dの一方の端子およびタップから出力される電圧(出力電圧Vo4,Vo5)は、巻き線120cに生じる電圧と、巻き線120dに生じる電圧を加算した電圧となる。このため、図15の場合と比較すると、巻き線120cに生じている電圧だけ高い電圧が出力される。
なお、第8の実施の形態は、第4の実施の形態と略同様であるので、効率については第4の実施の形態と略同じであると考えることができる。
以上に説明したように、本発明の第8の実施の形態に係るスイッチングコンバータでは、SEPIC回路の2つのインダクタを他の巻き線を有するトランスによって構成し、当該他の巻き線に設けられたタップから出力を得るようにしたので、簡易な回路で5つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、巻き線120cおよび巻き線120dを直列に接続することにより、第7の実施の形態に比べて高い電圧を得ることができる。
第9の実施の形態.
図17は、本発明の第9の実施の形態の構成例を示す図である。この図において、図25(B)に示すZETA回路と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図17に示す例では、図25(B)に示すZETA回路と比較すると、インダクタ22,23が巻き線130a〜130dを有するトランス130に置換されている。また、トランス130の巻き線130bには、整流回路の一部としてのダイオード133およびキャパシタ134が接続されており、また、巻き線130dには、整流回路の一部としてのダイオード131およびキャパシタ132が接続されている。その他の構成は、図25の場合と同様である。
ここで、トランス130は、4つの巻き線130a〜130dが同一のコアに巻回されて構成されている。第1のインダクタとしての巻き線130aの一方の端子は接地されており、他方の端子はトランジスタ25のドレイン端子とキャパシタ26に接続されている。他の巻き線としての巻き線130bの一方の端子は接地されており、他方の端子はダイオード133のアノード端子に接続されている。ダイオード133のカソード端子はキャパシタ134の一方の端子に接続され、キャパシタ134の他方の端子は接地されている。第2のインダクタとしての巻き線130cの一方の端子はダイオード27のカソード端子およびキャパシタ26に接続され、他方の端子はキャパシタ21に接続されている。他の巻き線としての巻き線130dの一方の端子は接地されており、他方の端子はダイオード131のアノード端子に接続されている。ダイオード131のカソード端子はキャパシタ132の一方の端子に接続され、キャパシタ132の他方の端子は接地されている。
つぎに、本発明の第9の実施の形態の動作について説明する。
トランジスタ25がオンの状態になると、入力端子から電流I1が流入し、巻き線130aに通じるとともに、キャパシタ26を介して巻き線130cに通じる。これらの電流はコアの磁束を強め合う方向で作用するので、トランス130のコアが磁化される。トランジスタ25がオフの状態になると、巻き線130aからダイオード27に向かう電流I2が流れる。また、巻き線130cからは、キャパシタ21および図示せぬ負荷に向かう電流I2が流れる。その結果、出力端子からは出力電圧Vo1が出力される。このとき、巻き線130bからはコアに蓄積された磁気エネルギが放出されダイオード133およびキャパシタ134を介して出力電圧Vo3として出力される。また、巻き線130dからはコアに蓄積された磁気エネルギが放出されダイオード131およびキャパシタ132を介して出力電圧Vo2として出力される。
なお、ZETA回路は、逆SEPIC回路とも呼ばれており、SEPIC回路の動作に近いので、回路の伝達関数は、前述した式(4)および式(5)と同様である。また、フライバック回路の伝達関数も前述した式(6)と同様である。
なお、ZETA回路の効率は、前述したように、SEPIC回路のそれと略同等であるので、第9の実施の形態の効率は、例えば、図15に示す第7の実施の形態の場合と略同じである。
以上に説明したように、本発明の第9の実施の形態では、ZETA回路を構成するインダクタを他の巻き線を有するトランス130とし、当該他の巻き線からの出力を利用するようにしたので、簡易な構成により3つの出力を得ることができる。また、フライバック回路に比較して、高い効率を実現することができる。また、回路規模を縮小することにより、回路の占有面積を減らすとともに、製造コストを低減することができる。
ところで、第1〜第9の各実施の形態では、SEPIC回路を構成するインダクタの素子値および結合の態様については詳細には説明していないが、これらについて詳細に説明するとつぎのようになる。すなわち、まず、磁気的結合については、図1,9に示す第1および第3の実施の形態のように、SEPIC回路を構成する巻き線56aと巻き線59および巻き線70と巻き線71aをそれぞれ相互に磁気的に結合しない場合と、図7,11,13〜17に示す第2、第4〜第9の実施の形態のように巻き線60aと巻き線60c、巻き線80aと巻き線80b、巻き線90aと巻き線90c、巻き線100aと巻き線100b、巻き線110aと巻き線110c、巻き線120aと巻き線120c、および、巻き線130aと巻き線130cをそれぞれ磁気的に結合した場合では、SEPIC回路自体の回路の特性は図18〜21に示すようになる。
図18は、入力電圧Viを3Vに、SEPIC回路の出力電圧Vo1を3.3Vに設定した場合の測定結果である。また、図19は、図18に示す測定結果をグラフにしたものであり、横軸が出力電流Io(A)を、縦軸が効率η(%)を示している。図18(A)は、例えば、図7に示すように巻き線60a,60cを磁気的に結合するとともに、巻き線60a,60cの巻き数を15.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図19の折れ線b51に対応している。図18(B)は、例えば、図1に示すように巻き線56a,59を磁気的に非結合の状態とするとともに、巻き線56a,59の巻き数を15.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図19の折れ線b52に対応している。これらの比較から、巻き線が磁気的に結合されている方が、SEPIC回路の効率が高くなっており、また、フライバック回路を含む回路全体としての効率も高くなる。
図18(C)は、例えば、図7に示すように巻き線60a,60cを磁気的に結合するとともに、巻き線60a,60cの巻き数を5.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図19の折れ線b53に対応している。図18(D)は、例えば、図1に示すように巻き線56a,59を磁気的に非結合の状態とするとともに、巻き線56a,59の巻き数を5.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図19の折れ線b54に対応している。これらの比較から、巻き線の巻き数が少ない場合であっても、巻き線が磁気的に結合されている方が効率が高くなっている。また、前述の場合と同様に、磁気的に結合されている方がフライバック回路を含む回路全体としての効率も高くなる。さらに、折れ線b51〜54の比較から、巻き線の巻き数が多い方が少ない場合に比較して効率が高くなる。
図20は、入力電圧Viを5.5Vに、SEPIC回路の出力電圧Vo1を3.3Vに設定した場合の測定結果である。また、図21は、図20に示す測定結果をグラフにしたものであり、横軸が出力電流Io(A)を、縦軸が効率η(%)を示している。図20(A)は、例えば、図7に示すように巻き線60a,60cを磁気的に結合するとともに、巻き線60a,60cの巻き数を15.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図21の折れ線b61に対応している。図20(B)は、例えば、図1に示すように巻き線56a,59を磁気的に非結合の状態とするとともに、巻き線56a,59の巻き数を15.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図21の折れ線b62に対応している。これらの比較から、前述の場合と同様に、巻き線が磁気的に結合されている方が、SEPIC回路の効率が高くなっており、また、フライバック回路を含む回路全体としての効率も高くなる。
図20(C)は、例えば、図7に示すように巻き線60a,60cを磁気的に結合するとともに、巻き線60a,60cの巻き数を5.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図21の折れ線b63に対応している。図20(D)は、例えば、図1に示すように巻き線56a,59を磁気的に非結合の状態とするとともに、巻き線56a,59の巻き数を5.5回に設定した場合のSEPIC回路の特性の測定結果であり、これは図21の折れ線b64に対応している。これらの比較から、前述の場合と同様に、巻き線の巻き数が少ない場合であっても、巻き線が磁気的に結合されている方が効率が高くなっている。また、磁気的に結合されている方が、フライバック回路を含む回路全体としての効率も高くなる。さらに、折れ線b61〜64の比較から、巻き線の巻き数が多い方が効率が高くなる。また、図19との比較により、入力電圧が高い方が効率は若干高くなる。
以上をまとめると、SEPIC回路を構成する2つのインダクタ(第1のインダクタおよび第2のインダクタ)を磁気的に結合した場合、しない場合に比較して回路の効率を高めることができる。また、SEPIC回路の入力電圧が低い場合と高い場合を比較すると、高い場合の方が効率を若干高めることができる。さらに、2つのインダクタの巻き線の巻き数が少ない場合と多い場合を比較すると多い場合の方が効率を高めることができるが、巻き線が多いと磁気飽和特性により、出力電流が大きい場合に効率が低下する割合が、少ない場合に比較して大きくなる。したがって、例えば、平均的な出力電流の電流値に応じて最適な巻き数およびコアの特性を決定することが回路全体の効率を向上させる上で望ましい。例えば、平均電流値が小さい場合には巻き数を大きくして効率を高め、電流値が大きい場合には巻き数を小さくして損失を少なくすることにより効率を結果的に高めることができる。
つぎに、SEPIC回路を構成する2つのインダクタの巻き数比と効率の関係について説明する。図22は、例えば、図7に示すように、巻き線60a,60cが磁気的に結合されている場合において、SEPIC回路の入力電圧Viを3Vに、出力電圧Voを3.3Vにしたときに、巻き線60a,60cの巻き数比を図23に示すように変更したときの効率を示している。図22の横軸は、図23の「No.」にそれぞれ対応しており、「1」は、巻き線60aの巻き数が9.5回、巻き線60cの巻き数が13.5回となっており、巻き線60aの素子値が3.60μH、巻き線60cの素子値が6.50μHとなっている。以下、同様に、「No.2」は巻き線60a,60cの巻き数がそれぞれ10.5回、12.5回で、素子値が4.88μH、4.90μHであり、「No.3」は巻き数がそれぞれ11.5回、11.5回で、素子値が5.46μH、4.73μHであり、「No.4」は巻き数がそれぞれ12.5回、12.5回で、素子値が6.47μH、5.51μHであり、「No.5」は巻き数がそれぞれ11.5回、18.5回で、素子値が5.46μH、11.45μHであり、「No.6」は巻き数がそれぞれ12.5回、10.5回で、素子値が6.47μH、3.94μHであり、「No.7」は巻き数がそれぞれ13.5回、9.5回で、素子値が7.37μH、3.17μHである。また、図22の縦軸は、効率η(%)を示している。さらに、曲線c11は、出力電流Ioが0.3Aの場合の特性を示しており、曲線c12は、出力電流Ioが0.6Aの場合の特性を示している。
図24は、例えば、図7に示すように、巻き線60a,60cが磁気的に結合されている場合において、SEPIC回路の入力電圧Viを5.5Vに、出力電圧Voを3.3Vにしたときに、巻き線60a,60cの巻き数比を図23に示すように変更したときの効率を示している。なお、この図の横軸および縦軸は図22の場合と同様である。また、曲線c21は、出力電流Ioが0.3Aの場合の特性を示しており、曲線c22は、出力電流Ioが0.6Aの場合の特性を示している。図22および図24に示すように、SEPIC回路を構成する2つのインダクタは、その巻き数が略等しい場合もしくは素子値であるインダクタンス値が略等しい場合に効率が高くなる。図22,24では、No.2、No.3、および、No.4の場合に効率が最も高くなっている。したがって、前述の各実施の形態では、SEPIC回路を構成する2つのインダクタの素子値または巻き数が略同じになるように設定することにより、回路全体としての効率を高めることができる。
以上をまとめるとつぎのようになる。すなわち、SEPIC回路を構成する2つのインダクタに対して新たな巻き線および整流回路を追加することにより、出力電圧の種類を増やすことができる。その場合において、第1のインダクタおよび第2のインダクタのうち、第1のインダクタに巻き線を追加すると、電圧が安定した出力を得ることができる。また、第2のインダクタに巻き線を追加すると、電圧の安定性は低いものの効率が高い出力を得ることができる。
また、第1のインダクタと第2のインダクタを磁気的に結合することにより、結合しない場合に比較して効率を高めることができる。また、磁気的に結合する場合、第1および第2のインダクタの巻き線の巻き数が略等しくなるか、または、素子値が略等しくなるように設定することにより、回路の効率を一層高めることができる。
さらに、第1および第2のインダクタの巻き数については、巻き数が多い方が効率が高いが、出力電流の値が増加すると磁気飽和によって損失が増加するので、例えば、出力電流の平均値に応じて最適な巻き数を設定することが望ましい。また、以上では、SEPIC回路を例に挙げて説明したが、ZETA回路でも同様に、第1の巻き線(例えば、図17に示す巻き線130a)および第2の巻き線(例えば、図17に示す巻き線130c)を磁気的に結合することにより、効率を向上させることが可能になる。また、他の巻き線(例えば、図17に示す巻き線130bおよび巻き線130d)については、第1の巻き線側に設けることにより、出力電圧の安定性を高めることが可能になる。
なお、以上の各実施の形態は、一例であって、これ以外にも種々の変形実施態様が存在する。例えば、以上の第1〜第8の実施の形態では、SEPIC回路に基づく実施の形態を説明したが、例えば、ZETA回路に基づいて同様の回路を構成することも可能である。その場合であっても、SEPIC回路と同様に効率が高い回路を実現することができる。
また、以上の各実施の形態では、トランジスタ25,57として、MOS−FETを使用するようにしたが、例えば、PNP型またはNPN型のトランジスタを使用したり、他の半導体スイッチを利用したりするようにしてもよい。
また、図1,7,9,11,13〜17に示す回路は一例であって、本発明がこのような場合にのみ限定されるものではない。
また、図13,14,15,16に示す実施の形態では、タップを有するトランスを使用するようにしたが、例えば、他の巻き線を複数設け、そこから出力を得ることも可能であり、また、タップも1つに限らず、複数設けることが可能である。