JP2006336807A - クラッチ制御装置及びクラッチ制御方法 - Google Patents

クラッチ制御装置及びクラッチ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 クラッチ制御装置及びクラッチ制御方法に関し、簡素な構成で、クラッチの過渡状態におけるトルク容量制御に対して差回転数ベースのロジックを適合させることができるようにする。
【解決手段】 クラッチの駆動側及び被駆動側の差回転数を算出する差回転数算出手段4aと、該クラッチの速度比を算出する速度比算出手段4hと、該速度比に基づきトルク係数を設定するトルク係数設定手段4bと、アクセル操作量相当値に基づきオフセット補正量を設定するオフセット補正量設定手段4cと、エンジンの回転数,該トルク係数及び該オフセット補正量に基づき該クラッチが伝達すべき伝達トルクを演算する伝達トルク演算手段4eと、車両の発進時に該伝達トルクを該差回転数に応じて減少させる補正演算を実施する伝達トルク補正手段4fと、補正演算がなされた伝達トルクに基づき該クラッチの係合状態を制御するクラッチ制御手段4gとを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のクラッチの伝達トルクを自動制御するクラッチ制御装置及びクラッチ制御方法に関する。
従来より、車両の発進時において、クラッチの断接を自動的に制御することによりエンジンから駆動輪へ伝達されるトルクの大きさを制御する技術が知られている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、クラッチの速度比(クラッチの駆動側の回転数と被駆動側の回転数との比)に応じて予め設定されたトルク容量係数のデータマップから、現在のクラッチ速度比に対応するトルク容量係数を検索し、この検索されたトルク容量係数と現在のエンジン回転数とに基づいてクラッチのトルク容量を算出して、そのトルク容量が得られるようなクラッチの締結圧を確保すべくクラッチピストンの油圧を自動制御する技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術には、トルク容量係数のデータマップとして、クラッチの速度比が0(クラッチが開放された状態に対応する速度比)から1.0(クラッチが締結された状態に対応する速度比)までの範囲のデータが関数として設定されている。
また、特許文献2に記載の技術では、スロットル開度の大きさに応じて選択される3種類のトルク容量係数マップが記憶されており、何れのマップにおいても、速度比が1.0以上の範囲までデータマップが拡張され、クラッチの速度比が1.0である場合にトルク容量係数が最小値を採るように設定されている。つまり、速度比が1.0よりも大きく又は小さくなってクラッチの滑り(スリップ)が大きくなるに連れて、トルク容量係数が増加するような傾向を持つように、トルク容量のマップ特性が設定されている。
これらのような構成により、上述の二つの従来技術では、例えば車両発進時の状態では、特許文献1に記載の技術と同様に、クラッチの駆動側と被駆動側との回転数の差が大きいほどトルク容量が大きく設定されて、クラッチの速度比が1.0へ近づくようにクラッチの締結圧を自動制御することができるようになっている。また、クラッチが締結して定常状態になると、トルク容量係数が小さく設定されるため、算出されるトルク容量が小さくなり、結果としてクラッチの締結圧が比較的小さくなることになる。したがって、クラッチを介した伝達トルクが大きくなり過ぎず、クラッチ締結時の締結ショックを緩和することができるようになっている。
このように、クラッチの速度比に応じてトルク容量を設定するトルク容量制御を実施することによって、良好な車両操作フィーリングを提供することができるようになっている。
なお、上述のトルク容量制御では、速度比が1.0のときに設定されるトルク容量係数が、実際にクラッチの駆動側から被駆動側へ伝達されるトルクよりもある程度大きなトルク容量が得られるような値に設定されるようになっている。つまり、トルク容量制御では、実際に必要な締結圧よりも大きな締結圧で駆動側と被駆動側とを締結させた状態を制御目標としており、クラッチ締結時におけるトルク伝達を確実に行えるようになっているのである。したがって、定常走行時にクラッチを完全締結させるように制御する従来のクラッチ制御においては、入力トルクよりも大きなトルク容量で速度比1.0の状態を実現する上述のようなトルク容量制御が有効である。
特開昭63−305039号公報 特開平9−72353号公報
ところで、上述のような従来のトルク容量制御は、通常の走行状態である定常状態となったときにクラッチを完全締結させることを前提とした制御である。つまり、速度比が1.0となったときにトルク伝達を確実に行うべく、実際にクラッチの駆動側から被駆動側へ伝達されるトルクよりも大きなトルク容量が設定されてしまう。
そのため、トルク容量制御に引き続いてクラッチの完全締結を前提としていない制御を行いたい場合、例えば車両の発進時に上述のようなトルク容量制御を行いつつ、徐々にクラッチの駆動側と被駆動側との間のスリップ量(差回転数)を制御して所定のスリップ回転数を保持するような、所謂スリップ制御を行いたい場合には、これらの制御の切り換えが困難であり、トルクショック等を生じて良好な車両操作感が得られない、という課題がある。
また、従来のトルク容量制御では、クラッチの速度比に対してトルク容量が設定されるようになっているため、正確なスリップ量の制御ができないという課題もある。例えば、駆動側と被駆動側との間に所定のスリップ回転を与えようとしても、クラッチのトルク容量は駆動側の回転数と被駆動側の回転数との比によって制御されるため、入力回転数の変動に対する出力回転数の比率を保持することしかできず、一定の差回転数を保持することができない。つまり、従来のトルク容量制御では、トルク容量に対してクラッチのスリップ量を任意に設定することが不可能なのである。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成で、クラッチの過渡状態におけるトルク容量制御に対して差回転数ベースのロジックを適合させることができるようにしたクラッチ制御装置及びクラッチ制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のクラッチ制御装置(請求項1)は、車両のエンジンの駆動力を伝達する動力伝達軸上に介装された摩擦クラッチの伝達トルクを制御するクラッチ制御装置であって、該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、アクセルペダルの操作量に相当するアクセル操作量相当値を検出するアクセル操作量相当値検出手段と、該クラッチの駆動側及び被駆動側の回転の速度比を算出する速度比算出手段と、該クラッチの駆動側及び被駆動側の差回転数を算出する差回転数算出手段と、該速度比算出手段で算出された該速度比に基づき、該伝達トルクの演算に係るトルク係数を設定するトルク係数設定手段と、該アクセル操作量相当値検出手段で検出された該アクセル操作量相当値に基づき、該伝達トルクの演算に係るエンジン回転数の補正量としてのオフセット補正量を設定するオフセット補正量設定手段と、該エンジン回転数検出手段で検出された該エンジン回転数と、該トルク係数設定手段で設定された該トルク係数と、該オフセット補正量設定手段で設定された該オフセット補正量とに基づき、該クラッチが伝達すべき伝達トルクを演算する伝達トルク演算手段と、該伝達トルク演算手段で演算される該伝達トルクを該差回転数に応じて減少させる補正演算を実施する伝達トルク補正手段と、該伝達トルク補正手段によって補正演算がなされた伝達トルクに基づき、該クラッチの係合状態を制御するクラッチ制御手段とを備えたことを特徴としている。
また、該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が予め設定された所定値未満であるときに、該伝達トルクを減少させる補正演算を実施することが好ましい(請求項2)。
また、該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値に応じた補正係数を設定するとともに、該補正係数を該伝達トルク演算手段で演算された該伝達トルクに乗算することが好ましい(請求項3)。
また、該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が小さいほど該補正係数を小さく設定することが好ましい(請求項4)。
また、該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が該所定値以上であるときに、該補正係数を1に設定することが好ましい(請求項5)。
また、該伝達トルク補正手段は、該差回転数が0であるときに、該補正係数を0に設定することが好ましい(請求項6)。
また、該車両の走行速度を検出する車両速度検出手段と、該車両速度検出手段で検出された該走行速度に基づき、該車両をクリープ走行させるためのクリープトルクを演算するクリープトルク演算手段とを備えるとともに、該伝達トルク演算手段は、該エンジン回転数と該トルク係数と該オフセット補正量とに基づいて演算されるトルクと、該クリープトルク演算部で演算された該クリープトルクとのいずれか大きい方のトルクを該クラッチが伝達すべき該伝達トルクとして演算することが好ましい(請求項7)。
また、本発明のクラッチ制御方法(請求項8)は、車両のエンジンの駆動力を伝達する動力伝達軸上に介装されたクラッチの伝達トルクを制御するクラッチの制御方法であって、該エンジンの回転数,該クラッチの駆動側及び被駆動側の差回転数,該クラッチの駆動側及び被駆動側の速度比及びアクセルペダルの操作量に相当するアクセル操作量相当値を検出し、該速度比に基づいて該伝達トルクの演算に係るトルク係数を設定するとともに、該アクセル操作量相当値に基づいて該伝達トルクの演算に係るエンジン回転数の補正量としてのオフセット補正量を設定して、該エンジン回転数と該トルク係数と該オフセット補正量とに基づいて該クラッチが伝達すべき伝達トルクを演算しておき、該伝達トルクを該差回転数に応じた補正演算によって減少させた後に、その補正演算がなされた伝達トルクに基づいて該クラッチの断接状態を制御することを特徴としている。
本発明のクラッチ制御装置及びクラッチ制御方法(請求項1,8)によれば、クラッチの差回転数に応じてクラッチの伝達トルクを減少させる補正演算が実施されるため、駆動側と被駆動側との間に差回転を生じさせたままその差回転数を保持する平衡状態を形成することができる。つまり、本制御装置及び本制御方法によれば、車両発進時の過渡状態においてクラッチを完全締結させるような制御が行われないため、トルク容量制御からスリップ制御への切り換えを容易とすることができ、良好なクラッチ制御性及び車両操作性を獲得できる。また、トルク容量に対するスリップ量を任意に設定することができ、トルク容量制御において所定のスリップ回転を保持することが可能となる。
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項2)によれば、差回転数の絶対値が予め設定された所定値未満且つ0以上である範囲で、つまり、速度比が限りなく1.0に近いスリップ状態で、駆動側と被駆動側との間に僅かな差回転を生じさせたまま、トルク伝達に係る平衡状態を形成することができる。
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項3)によれば、補正係数を乗算することによって、簡素な構成で容易に伝達トルクを減少させる補正演算を実施することができる。
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項4)によれば、車両発進時において、クラッチ締結直前のトルク容量をクラッチの差回転数に応じて低下させることができ、容易に差回転数の平衡状態を形成することができる。
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項5)によれば、差回転数の絶対値が所定値以上であるときには、従来の制御ロジックを用いてトルク容量制御を行うことができる。また、差回転数が平衡状態となる回転差数範囲を所定値未満の範囲に限定することができる。
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項6)によれば、クラッチの差回転数が0であるときに補正係数が0に設定されるため、クラッチが完全締結することを防止することができる。つまり、容易にクラッチをスリップさせたままの状態に保持することができ、差回転数の平衡状態への移行を保証することができる
また、本発明のクラッチ制御装置(請求項7)によれば、車両発進時に車両をクリープ走行させることが可能なクラッチのトルク伝達量を確保することができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7は本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置を示すもので、図1は本クラッチ制御装置が適用された車両の駆動系装置の全体構成を示す模式的構成図、図2は本クラッチ制御装置における差回転数と補正係数との関係を示すグラフ、図3は本クラッチ制御装置におけるアクセル操作量とエンジン回転数補正量との関係を示すグラフ、図4は本クラッチ制御装置における差回転数とトルク係数との関係を示すグラフ、図5は本クラッチ制御装置における車速とクリープトルクとの関係を示すグラフ、図6は本クラッチ制御装置のECUにおけるクラッチの制御内容を説明するためのフローチャート、図7は本クラッチ制御装置における補正クラッチトルクの算出過程を示す制御ブロック図である。
[全体構成]
本クラッチ制御装置9は、図1に示す車両の駆動系装置に適用されている。この駆動系装置においては、エンジン1の駆動力が変速機7を介して駆動輪8へ伝達されるようになっている。また、エンジン1と駆動輪8との駆動力伝達経路上には、摩擦クラッチとして湿式多板クラッチ(クラッチ)2が介装されており、本クラッチ制御装置9は、このクラッチ2の係合状態を制御することによって、クラッチ2の伝達トルクを制御する制御装置である。
クラッチ2は、エンジン1の駆動力により回転する駆動側係合要素2aとそれに並設される被駆動側係合要素2bとを備えて構成されており、駆動側及び被駆動側の係合要素2a,2bを係合又は解放(すなわち、直結又は非直結に制御)することによって、エンジン1からの駆動力の伝達を断接し、さらに各係合要素2a,2bの係合状態を制御することにより接続時の伝達駆動力(伝達トルク)を調整しうるようになっている。各係合要素2a,2bの係合,解放は、後述するECU(電子制御装置,コントローラ)4によって制御されるようになっている。
また、駆動力伝達にかかるクラッチ2の上流側及び下流側には、駆動側係合要素2aの回転数(入力回転数NIN)を検出する駆動側回転数センサ3aと、被駆動側係合要素2bの回転数(出力回転数NOUT)を検出する被駆動側回転数センサ3bとが設けられている。つまり、駆動側回転数センサ3aではクラッチ2へ入力される回転数NINが検出され、一方、被駆動側回転数センサ3bではクラッチ2から出力される回転数(クラッチ2の係合により伝達された回転数)NOUTが検出されるようになっている。ここで検出された各回転数NIN,NOUTは、ECU4へ入力されるようになっている。
エンジン1には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)1aが付設されており、ここで検出されたエンジン回転数Neは後述するECU4へ入力されるようになっている。なお、駆動側回転数センサ3aで検出された入力回転数NINをエンジン回転数Neの代わりに用いる構成としてもよい。
また、本クラッチ制御装置9は、車両の走行速度(単に車速ともいう)Vを検出する車速センサ(車両速度検出手段)5と、アクセルペダル6の踏み込み量に相当するパラメータとしてのアクセル開度θを検出するアクセル開度センサ(アクセル操作量相当値検出手段)6aとを備えている。車速センサ5は車速Vを検出し、アクセル開度センサ6aはアクセル開度θを検出するようになっており、ここで検出された車速V,アクセル開度θはECU4へ入力される。
なお、本実施形態ではアクセル開度センサ6aは、ドライバによるアクセル操作量に相当する値としてのアクセル開度θを検出するセンサとして備えられたものであり、例えば、これの代わりにスロットル開度を検出するセンサなどを用いるように構成してもよい。
ECU(コントローラ)4は、クラッチ2の係合状態を制御するための演算や信号出力を行う電子制御装置である。ここでは、駆動側回転数センサ3aや被駆動側回転数センサ3bから入力される各回転数NIN,NOUTやアクセル開度θ,車速V及びエンジン回転数Ne等の情報に基づいて、各係合要素2a,2b間の係合の度合いとしてのトルク容量を演算し、クラッチ2がその演算されたトルク容量を持つように、各係合要素2a,2b間に互いに働く押圧力を付与するための指令油圧信号を出力するようになっている。なお、ECU4から指令油圧信号が出力されると、その信号値の大きさに応じた油圧がクラッチ2へ供給されて、各係合要素2a,2bの係合状態が制御されるようになっている。
また、本実施形態においてECU4は、車両を発進させるときのクラッチ2の制御として、発進制御を実施するようになっている。この発進制御とは、停車状態にある車両を滑らかに始動させて定常走行の状態へ移行させるための制御である。
[ECU]
次に、ECU4の機能について説明する。ECU4は、差回転数算出部(差回転数算出手段)4aと、速度比算出部(速度比算出手段)4hと、トルク係数設定部(トルク係数設定手段)4bと、オフセット補正量設定部(オフセット補正量設定手段)4cと、クリープトルク演算部(クリープトルク演算手段)4dと、伝達トルク演算部(伝達トルク演算手段)4eと、伝達トルク補正部(伝達トルク補正手段)4fと、クラッチ制御部4gとを備えて構成されている。
差回転数算出部4aは、駆動側回転数センサ3a及び被駆動側回転数センサ3bから入力された駆動側係合要素2a及び被駆動側係合要素2bの回転数の差を差回転数NSL(すなわち、NSL=NIN−NOUT)として算出するようになっている。
また、速度比算出部4hは、駆動側回転数センサ3a及び被駆動側回転数センサ3bから入力された駆動側係合要素2a及び被駆動側係合要素2bの回転数の比を速度比e(すなわち、e=NOUT/NIN)として算出するようになっている。
トルク係数設定部4bは、速度比算出部4hで算出された速度比eに基づいて、トルク係数(トルク容量係数)Cを設定するようになっている。このトルク係数Cとは、クラッチ2において伝達される伝達トルクの演算に係る係数のひとつであり、図4に示すような特性を持つように予め設定されている。
まず図4に示すように、速度比eが1.0であるときに、トルク係数Cが最小値を取るようになっている。また、速度比eの大きさが1.0から離れるほど(すなわち、速度比eが1.0よりも大きい場合には大きくなるほど、及び、速度比eが1.0よりも小さい場合には小さくなるほど)、設定されるトルク係数Cも大きくなるようになっている。ここでは、図4にグラフ化されたように、速度比eが1.0から離れるに連れて、トルク係数Cの増加割合が次第に小さくなるように、速度比eとトルク係数Cとの対応関係が定められている。なお、速度比eがe=1.0の状態とは、駆動側係合要素2a及び被駆動側係合要素2bの回転数が同じである状態のことであり、これらの係合要素間のスリップ量が大きくなればなるほど、速度比eが1.0から離れた値として算出されることになる。
オフセット補正量設定部4cは、アクセル開度センサ6aから入力されたアクセル開度θに基づいて、オフセット補正量Neoffを設定するようになっている。ここで設定されるオフセット補正量Neoffも、クラッチ2において伝達される伝達トルクの演算に係る係数のひとつであり、図3に示すような特性を持つように予め設定されている。
図3に示すように、アクセル開度θが所定開度θ1以下であるときには、そのアクセル開度θの大きさに関わらず、オフセット補正量Neoffが所定オフセット補正量Neoff1に設定されるようになっている。また、アクセル開度θが所定開度θ1を超えたときには、そのアクセル開度θが大きいほど、アクセル開度θの増加量に比例して、オフセット補正量Neoffが大きく設定されるようになっている。
なお、オフセット補正量Neoffは、伝達トルクの演算上において、実際のエンジン回転数Neを小さく見積もる(減少方向へオフセットさせる)ことによって、エンジン回転数の吹け上がり感を変化させるパラメータである。例えば、アクセルペダル6の踏み込み操作によりアクセル開度θが増加し、これに応じてオフセット補正量Neoffが増加した場合、エンジン回転数Neが実際のエンジン回転数Neよりも小さく見積もられるため、それに応じて伝達トルク(すなわち、トルク容量)が若干小さめに制御されることになる。そのためエンジン1は、実際のエンジン回転数を用いてクラッチ2の伝達トルクを演算した場合と比較して、より吹け上がることになる。つまり、このようなアクセルペダル6の踏み込み操作時における加速性が向上することになるのである。
クリープトルク演算部4dは、車速センサ5で検出された車速Vに基づき、車両をクリープ走行させるためのクリープトルクを演算するようになっている。このクリープトルクとは、例えば、一般的な自動変速機のトルクコンバータにおいてアイドリング時に伝達されるトルクに相当するトルク量であり、トルクコンバータを搭載しない車両においてもトルクコンバータを搭載した車両と同様の操作感(クリープ走行)を実現するために与えられるトルク量である。
なお本実施形態では、このクリープトルクTcrが図5に示すような特性を持つように設定されるようになっており、車速Vが0のときにクリープトルクTcrは最大値をとり、車速Vの増加量に比例してクリープトルクTcrが減少するように設定される。
伝達トルク演算部4eは、トルク係数設定部4bで設定されたトルク係数Cと、オフセット補正量設定部4cで設定されたオフセット補正量Neoffと、エンジン回転数Neとに基づいて、クラッチ2が伝達すべき伝達トルクTcを演算するようになっている。
具体的には、伝達トルクTcが以下の式1に従って算出される。
c=C・(Ne−Neoff2 ・・・(式1)
なお、本実施形態では、クラッチ2が伝達すべきトルクとして、上記の式1で算出された伝達トルクTcと、クリープトルク演算部4dで演算されたクリープトルクTcrとを比較して、いずれか大きい方のトルクをクラッチトルクTclとして出力するようになっている。これにより、例えば車両が停車中のアイドリング状態にあって、クリープトルクTcrが伝達トルクTcよりも大きい場合には、クリープトルクTcrがクラッチトルクTclとして出力される。一方、車両の発進後、クリープトルクTcrが伝達トルクTcよりも小さくなると、伝達トルクTcがクラッチトルクTclとして出力される。
伝達トルク補正部4fは、車両の発進時において、伝達トルク演算部4eで演算されたクラッチトルクTclを差回転数NSLに応じて減少させるように補正演算を実施するようになっている。
まず、伝達トルク補正部4fでは、差回転数算出部4aで算出された差回転数NSLの大きさ(すなわち、差回転数の絶対値|NSL|)に基づいて、補正演算にかかる補正係数gを設定するようになっている。この補正係数gとは、クラッチトルクTclの減少させる割合を定めるパラメータであり、図2に示すように、差回転数の大きさ|NSL|の関数として設定されている。
まず、伝達トルク補正部4fは、差回転数の大きさ(差回転数の絶対値)|NSL|が予め設定された所定値NSL1未満であるときには、以下の式2に従って補正係数gを設定し、一方、差回転数の大きさ|NSL|が所定値NSL1以上であるときには、その差回転数の大きさに関わらず、g=1に設定するようになっている。
g=|NSL|/NSL (ただし、0<|NSL|≦NSL1) ・・・(式2)
g=1 (ただし、|NSL|≧NSL1) ・・・(式3)
つまり、伝達トルク補正部4fは、差回転数の絶対値が所定値NSL1未満であって差回転数が0に近い状態である場合、すなわち、クラッチ2の駆動側と被駆動側とが完全に締結するよりも前に、補正係数gを1よりも小さい値(0≦g≦1)に設定するようになっている。また、補正係数gは、差回転数の大きさ|NSL|が小さいほど、小さく設定されるようになっている。これにより、クラッチ2の駆動側係合要素2aと被駆動側係合要素2bとのスリップ量が少なくなって完全締結の状態に近づくほど、クラッチトルクTclを減少させる割合が増加するようになっている。なお、差回転数の大きさ|NSL|が0のときには補正係数gがg=0となるようになっている。
また、伝達トルク補正部4fは、以下の式4に示すように、伝達トルク演算部4dで演算されたクラッチトルクTclに補正係数gを乗算して、補正クラッチトルクTCTHを演算するようになっている。
CTH=Tcl・g ・・・(式4)
そして、クラッチ制御部4gは、上記の式4に従って算出された補正クラッチトルクに基づいて、各係合要素2a,2b間に互いに押圧力を付与するための指令油圧信号を出力するようになっている。具体的には、伝達トルク補正部4fで演算された補正クラッチトルクTCTHがクラッチ2のトルク容量となるように、クラッチ2の指令油圧信号が出力されるようになっている。
[フローチャート]
本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置は上述のように構成されて、以下に説明する制御フローに従ってクラッチ制御を実施する。図6に示された制御フローはECU4の内部において所定周期で適宜繰り返し実行されている。
まず、ステップA10において、制御にかかる各パラメータ情報が入力される。ここでは、エンジン回転数Ne,アクセル開度θ,車速V,クラッチ2の駆動側回転数NIN及び被駆動側回転数NOUTが入力される。そして続くステップA20では、車両が発進を開始したか否かが判定される。ここでは、ECU4内部において、車速V及びアクセル開度θに基づいて、車両が停車しているか走行を開始したかが判定される。そして、車両が発進した(又は既に発進している)と判定された場合には、ステップA30以降のフローへ進み、発進制御が実施される。一方、車両が発進したと判定されなかった場合、すなわち車両が停車していると判定された場合には、そのままこのフローを終了する。つまり、車両が発進を開始して初めて発進制御が実施されるようになっている。
車両が発進した場合、ステップA30では、差回転数算出部4aにおいて、各回転数NIN,NOUTの差回転数NSLが算出されるとともに、速度比算出部4hにおいて、速度比eが算出される。そして続くステップA40では、トルク係数設定部4bにおいて、速度比eに基づき図4に示す特性に従って、トルク係数Cが設定される。このトルク係数Cの設定により、速度比eの大きさが1.0から離れている場合(例えば、車両の発進直後であってクラッチ2の係合状態が弱く、駆動側回転数NINと比較して被駆動側回転数NOUTが小さいような場合)ほどトルク係数Cが大きく設定されるため、クラッチ2の係合状態を強められることになる。これにより、クラッチ2の状態が開放側から締結側へと制御されることになる。
また、続くステップA50では、オフセット補正量設定部4cにおいて、アクセル開度θに基づき図3に示す特性に従ってオフセット補正量Neoffが設定される。このオフセット補正量Neoffの設定により、アクセル開度θが大きい場合(例えば、アクセルペダル6の踏み込み量が大きい場合)ほどオフセット補正量Neoffが大きく設定されるため、実際のエンジン回転数Neが小さく見積もられる(減少方向へオフセットさせられる)ことになり、エンジン回転数の吹け上がり感(加速性)が上昇することになる。
続くステップA60では、伝達トルク補正部4fにおいて、ステップA30で算出された差回転数の絶対値(大きさ)|NSL|に基づき、図2に示す特性に従って補正係数gが設定される。なお、ここで設定された補正係数gは、後述するステップA120において参照されるようになっている。
さらに続くステップA70では、伝達トルク演算部4eにおいて、前述の式1に従って伝達トルクTcが演算される。このステップでは、ステップA40で設定されたトルク係数CとステップA50で設定されたオフセット補正量Neoffとが反映された伝達トルクTcが演算されることになる。
続くステップA80では、クリープトルク演算部4dにおいて、車速Vに基づき図5に示す特性に従ってクリープトルクTcrが設定されて、ステップA90へ進む。
ステップA90では、ステップA70で演算された伝達トルクTcとステップA80で設定されたクリープトルクTcrとの大きさが比較される。ここで、伝達トルクTcがクリープトルクTcrよりも大きい場合(Tc>Tcr)にはステップA100へ進み、伝達トルク演算部4eにおいて、伝達トルクTcがクラッチトルクTclとして出力されて(Tcl=Tc)、ステップA120へ進み、一方、伝達トルクTcがクリープトルクTcrよりも小さい場合(Tc≦Tcr)にはステップA110へ進み、伝達トルク演算部4eにおいて、クリープトルクTcrがクラッチトルクTclとして出力されて(Tcl=Tcr)、ステップA120へ進む。
ステップA120では、伝達トルク補正部4fにおいて、伝達トルク演算部4eから出力されたクラッチトルクTclに対し、ステップA60で設定された補正係数gが乗算される補正演算がなされて、補正クラッチトルクTCTHが算出され、続くステップA130では、クラッチ制御部4gにおいて、算出された補正クラッチトルクTCTHがクラッチ2のトルク容量となるように、クラッチ2の指令油圧信号が出力されて、このフローが終了する。
[制御ブロック図]
図7は、上述の制御フローにおけるクラッチ制御の処理内容を視覚的に図示したものである。図7に示すように、本実施形態の制御処理は、伝達トルク演算部4eにおける演算処理と、その結果に対する伝達トルク補正部4fにおける補正処理とに大別される。
まず、伝達トルク演算部4eはその内部処理として、速度比算出部4h,トルク係数設定部4b,オフセット補正量設定部4c及びクリープトルク演算部4dの演算処理を内包している。一方、伝達トルク補正部4fはその内部処理として、差回転数算出部4aの演算処理を内包している。
まず、駆動側回転数センサ3a及び被駆動側回転数センサ3bから速度比算出部4hへ、駆動側係合要素2a及び被駆動側係合要素2bの各回転数NIN,NOUTが入力され、これらの回転数の比が速度比e(すなわち、e=NOUT/NIN)として算出される。そしてこの速度比eは、トルク係数設定部4bへと入力される。
トルク係数設定部4bには、速度比eとトルク係数Cとの対応マップ(map2)が例えば図4に示すように記憶されているため、入力された速度比eに応じてトルク係数Cが乗算器11へ入力されることになる。
一方、オフセット補正量設定部4cには、アクセル開度θとオフセット補正量Neoffとの対応マップ(map3)が例えば図3に示すように記憶されているため、入力されたアクセル開度θに応じてオフセット補正量Neoffが減算器12へ入力される。この減算器12において、エンジン回転数Neからオフセット補正量Neoffが減算された後に、乗算器13においてその値が二乗演算される。つまりここでは、式1における(Ne−Neoff2が演算されていることになる。
続いて、乗算器11において、乗算器13で演算された値とトルク係数Cとが乗算される。つまりここでは、式1の右辺全体〔C・(Ne−Neoff2〕、すなわち、伝達トルクTcが演算されていることになる。ここで演算された伝達トルクTcは、選択器14へ入力される。
これに対して、クリープトルク演算部4dには、車速VとクリープトルクTcrとの対応マップ(map4)が例えば図5に示すように記憶されているため、入力された車速Vに応じてクリープトルクTcrが選択器14へ入力されることになる。
したがって、選択器14では、伝達トルクTcとクリープトルクTcrとのいずれか大きい方のトルクが選択され、クラッチトルクTclとして乗算器15へ出力されることになる。
伝達トルク補正部4fは、このような過程を経て演算されたクラッチトルクTclを減少させる補正演算を行うための制御手段である。まず、駆動側回転数センサ3a及び被駆動側回転数センサ3bから差回転数算出部4aへ、駆動側係合要素2a及び被駆動側係合要素2bの各回転数NIN,NOUTが入力され、これらの回転数の差が差回転数NSL(すなわち、NSL=NIN−NOUT)として算出される。ここで伝達トルク補正部4fには、差回転数の大きさ|NSL|と補正係数gとの対応マップ(map1)が例えば図2に示すように記憶されているため、差回転数算出部4aから入力される差回転数NSLの大きさ応じて、補正係数gが乗算器15へ入力されることになる。
したがって、乗算器15では、クラッチトルクTclと補正係数gとが乗算され(式4の右辺が演算され)、補正クラッチトルクTCTHとしてクラッチ制御部4gへ出力される。
[作用・効果]
このような制御によって本発明のクラッチ制御装置9によれば、以下のような作用・効果を奏する。
まず、停車中の車両が発進を開始した直後においては、クラッチ2の滑りが大きくなり、クラッチ2の駆動側係合要素2a側の入力回転数NINに対して被駆動側係合要素2b側の出力回転数NOUTが小さいため、速度比算出部4hにおいて算出されるクラッチ2の速度比eの値が1.0よりも小さく、比較的1.0より離れた値に算出される。そのため、トルク係数設定部4bにおいて設定されるトルク容量Cの値も大きく設定され、伝達トルク演算部4eで演算される伝達トルクTcが増加して、伝達トルク演算部4eから出力されるクラッチトルクTclも増加する。
これにより、クラッチ制御部4gからは、クラッチ2のトルク容量Cを増大させる指令油圧信号が出力されて、クラッチ2の係合状態が締結方向に制御される。したがって、クラッチ2の駆動側係合要素2a側の入力回転数NINに対する被駆動側係合要素2b側の出力回転数NOUTを上昇させることができる。
ここで、伝達トルク補正部4fにおいて設定される補正係数gは、クラッチ2の差回転数の大きさ|NSL|が所定値NSL1以上である状態では、g=1に設定される。したがって、クラッチ2がある程度スリップしている状態では、トルクを減少させる補正演算が実施されず、従来のトルク容量制御と同様の制御を実施することができる。なお、g=1である状態では、補正クラッチトルクTCTHとクラッチトルクTclとが同値であり、クラッチ制御部4gから出力される指令油圧信号は、クラッチトルクTclがクラッチ2のトルク容量となるような大きさとなる。
一方、クラッチトルクTclの増大により、入力回転数NINに対して出力回転数NOUTが上昇すると、徐々にクラッチ2の差回転数NSLが減少する。そして、差回転数の大きさ|NSL|が所定値NSL1未満になると、伝達トルク補正部4fにおいて補正係数gが1未満の値(0<g<1)に設定されることになる。したがって、伝達トルク演算部4eから出力されるクラッチトルクTclを減少させる補正演算を行うことができ、伝達トルク補正部4fからクラッチトルクTclよりも小さい補正クラッチトルクTCTHを出力することができる。
また、補正係数gは、図2に示すように、差回転数NSLが0であるときにg=0に設定されるようになっているが、g=0である場合には、演算上、伝達トルク演算部4eから出力されるクラッチトルクTclも0になることになり、このクラッチトルクTclが0である状態とは、クラッチ2が完全に解放された状態のことのはずである。
しかし、図4に示すように、トルク係数Cの特性により実制御においては、クラッチ2が解放方向へ制御されると回転数比eが1.0から離れるようになるため、それに応じてトルク係数Cも大きくなる。したがって、クラッチ2が完全に解放されることはなく、所定の差回転数が保持された平衡状態に収束することになるのである。一方、クラッチ2の差回転数NSLが所定値NSL以上の範囲では、補正係数がg=1に設定されるため、クラッチ2の係合状態が締結方向に制御される。
なお、クラッチ2がこのような平衡状態となる所定の差回転数とは、クラッチ2の差回転数NSLが0より大きく所定値NSL1未満の範囲(0<NSL<NSL1)内の差回転数である。したがって、補正係数gを減少させる差回転数NSLの所定値NSL1を設けることにより、少なくとも差回転数NSLが0<NSL<NSL1である範囲内で、クラッチ2の差回転数NSLを一定値に保持することができるといえる。つまり、差回転数が略0に近い範囲で、クラッチ2を完全締結させないスリップ状態を保持することが可能となるのである。
このように、トルク容量に対するスリップ量を任意に設定することができるようになり、トルク容量制御において所定のスリップ回転を保持することが可能となる。
なお、車両の発進直後において、クリープトルク演算部4dでは、車速Vが小さいほど大きなクリープトルクTcrが設定される。このとき、伝達トルク演算部4eで演算される伝達トルクTcよりもクリープトルクTcrが大きい場合には、クリープトルクTcrがクラッチトルクTclとして出力される。したがって、クラッチ2に対して、一般的な自動変速機のトルクコンバータにおいてアイドリング時に伝達されるトルクに相当するトルク量を与えることができ、トルクコンバータを搭載しない車両においても、トルコンライクな操作感を実現することができる。
このように、本実施形態に係るクラッチ制御装置9によれば、車両発進時においてクラッチ2をスリップさせたまま保持する平衡状態を形成することができ、クラッチ2を完全締結させることなく略締結しているような状態に制御することができるので、トルク容量制御とスリップ制御との両立を容易とすることができ、良好なクラッチ制御性及び車両操作性を提供することができる。
また、このような平衡状態を、速度比が略1.0の状態で形成することができる。具体的には、差回転数NSLが0より大きく所定値NSL1未満の範囲(0<NSL<NSL1)でクラッチ2を平衡状態にすることができる。そのため、例えばクラッチ2の制御手法をスリップ制御に切り換えるような場合に、トルクショックを生じるおそれがなく、良好な車両操作感を得ることができる。
また、本実施形態に係るクラッチ制御装置9は、制御構成が簡素であり、補正係数gを用いることによって、容易に補正演算を実施することができる。なお、補正係数gは、差回転数の絶対値|NSL|が小さいほど小さく設定されるため、差回転数NSLが0に近い範囲でクラッチ2を平衡状態にすることができる。また、補正係数gは、差回転数NSLが0のときにg=0となるように設定されているため、差回転数の絶対値|NSL|が0となる前に、確実にクラッチ2を平衡状態にすることができる。
なお、補正係数gは、差回転数NSLが所定値NSL1以上の範囲では、g=1に設定されているため、従来の制御ロジックを用いてトルク容量制御を行うことができ、例えば車両発進時において、クラッチ2の係合状態をスムーズに締結方向へ制御することができる。
また、本実施形態に係るクラッチ制御装置によれば、クリープトルク演算部4dを備えたことにより、車両発進時に車両をクリープ走行させることが可能なクラッチのトルク伝達量を確保することができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、補正係数gの設定値が、図2に示されたような特性に設定されているが、補正係数gは差回転数の大きさ|NSL|の関数として規定されていればよく、これらの対応付けについては任意に設定することが可能である。例えば、補正係数gをg=0とする差回転数の大きさを0よりも大きくすることによって、平衡状態におけるクラッチ2のスリップ量を増加させることができる。また、所定値NSL1を増減させることで、平衡状態となりうる差回転数NSLの幅を変化させることができる。例えば、図2に示されたような特性の場合、所定値NSL1を0に近づけるほど、平衡状態となる差回転数も0に近づくことになる。
また、上述の実施形態では、車両をクリープ走行させるためのクリープトルクを演算するクリープトルク演算部4dを備えた構成となっているが、例えばこのようなクリープトルクを演算する機能部を備えないクラッチ制御装置であってもよい。
本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置が適用された車両の駆動系装置の全体構成を示す模式的構成図である。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置における差回転数と補正係数との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置におけるアクセル操作量とエンジン回転数補正量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置における速度比とトルク係数との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置における車速とクリープトルクとの関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置のECUにおけるクラッチの制御内容を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかるクラッチ制御装置における補正クラッチトルクの算出過程を示す制御ブロック図である。
符号の説明
1 エンジン
2 湿式多板クラッチ(摩擦クラッチ,クラッチ)
2a 駆動側係合要素
2b 被駆動側係合要素
3a 駆動側回転数センサ
3b 被駆動側回転数センサ
4 ECU(コントローラ)
4a 差回転数算出部(差回転数算出手段)
4b トルク係数設定部(トルク係数設定手段)
4c オフセット補正量設定部(オフセット補正量設定手段)
4d クリープトルク演算部(クリープトルク演算手段)
4e 伝達トルク演算部(伝達トルク演算手段)
4f 伝達トルク補正部(伝達トルク補正手段)
4g クラッチ制御部(クラッチ制御手段)
4h 速度比算出部(速度比算出手段)
5 車速センサ
6 アクセルペダル
6a アクセル開度センサ(アクセル操作量相当値検出手段)
7 変速機
8 駆動輪
9 クラッチ制御装置

Claims (8)

  1. 車両のエンジンの駆動力を伝達する動力伝達軸上に介装された摩擦クラッチの伝達トルクを制御するクラッチ制御装置であって、
    該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
    アクセルペダルの操作量に相当するアクセル操作量相当値を検出するアクセル操作量相当値検出手段と、
    該クラッチの駆動側及び被駆動側の回転の速度比を算出する速度比算出手段と、
    該クラッチの駆動側及び被駆動側の差回転数を算出する差回転数算出手段と、
    該速度比算出手段で算出された該速度比に基づき、該伝達トルクの演算に係るトルク係数を設定するトルク係数設定手段と、
    該アクセル操作量相当値検出手段で検出された該アクセル操作量相当値に基づき、該伝達トルクの演算に係るエンジン回転数の補正量としてのオフセット補正量を設定するオフセット補正量設定手段と、
    該エンジン回転数検出手段で検出された該エンジン回転数と、該トルク係数設定手段で設定された該トルク係数と、該オフセット補正量設定手段で設定された該オフセット補正量とに基づき、該クラッチが伝達すべき伝達トルクを演算する伝達トルク演算手段と、
    該伝達トルク演算手段で演算される該伝達トルクを該差回転数に応じて減少させる補正演算を実施する伝達トルク補正手段と、
    該伝達トルク補正手段によって補正演算がなされた伝達トルクに基づき、該クラッチの係合状態を制御するクラッチ制御手段とを備えた
    ことを特徴とする、クラッチ制御装置。
  2. 該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が予め設定された所定値未満であるときに、該伝達トルクを減少させる補正演算を実施する
    ことを特徴とする、請求項1記載のクラッチ制御装置。
  3. 該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値に応じた補正係数を設定するとともに、該補正係数を該伝達トルク演算手段で演算された該伝達トルクに乗算する
    ことを特徴とする、請求項2記載のクラッチ制御装置。
  4. 該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が小さいほど該補正係数を小さく設定する
    ことを特徴とする、請求項3記載のクラッチ制御装置。
  5. 該伝達トルク補正手段は、該差回転数の絶対値が該所定値以上であるときに、該補正係数を1に設定する
    ことを特徴とする、請求項3又は4のいずれか1項に記載のクラッチ制御装置。
  6. 該伝達トルク補正手段は、該差回転数が0であるときに、該補正係数を0に設定する
    ことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のクラッチ制御装置。
  7. 該車両の走行速度を検出する車両速度検出手段と、
    該車両速度検出手段で検出された該走行速度に基づき、該車両をクリープ走行させるためのクリープトルクを演算するクリープトルク演算手段とを備えるとともに、
    該伝達トルク演算手段は、該エンジン回転数と該トルク係数と該オフセット補正量とに基づいて演算されるトルクと、該クリープトルク演算部で演算された該クリープトルクとのいずれか大きい方のトルクを該クラッチが伝達すべき該伝達トルクとして演算する
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のクラッチ制御装置。
  8. 車両のエンジンの駆動力を伝達する動力伝達軸上に介装されたクラッチの伝達トルクを制御するクラッチの制御方法であって、
    該エンジンの回転数,該クラッチの駆動側及び被駆動側の差回転数,該クラッチの駆動側及び被駆動側の速度比及びアクセルペダルの操作量に相当するアクセル操作量相当値を検出し、
    該速度比に基づいて該伝達トルクの演算に係るトルク係数を設定するとともに、
    該アクセル操作量相当値に基づいて該伝達トルクの演算に係るエンジン回転数の補正量としてのオフセット補正量を設定して、
    該エンジン回転数と該トルク係数と該オフセット補正量とに基づいて該クラッチが伝達すべき伝達トルクを演算しておき、
    該伝達トルクを該差回転数に応じた補正演算によって減少させた後に、その補正演算がなされた伝達トルクに基づいて該クラッチの断接状態を制御する
    ことを特徴とする、クラッチ制御方法。
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JP2015143544A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 スズキ株式会社 クラッチ伝達トルク制御装置
CN105333032A (zh) * 2015-11-16 2016-02-17 潍柴动力股份有限公司 离合器接合控制方法和系统

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