しかしながら、例えば、吸着ノズルに対する電子部品の吸着時の位置ズレが、通常のズレ量よりも多少大きい場合であったとしても、部品位置補正機能と呼ばれる機能を用いれば、製品不良は発生しない。また、上記のように、電子部品が正規の位置から多少ズレて装着されたとしても、電子部品の実装を行う工程の後工程となる上記リフロー装置でのリフロー工程において、半田の表面張力により電子部品が正規の位置に戻ることもある(セルフアライメント現象)。
このように、従来の実装装置では、上記異常な設備部品を特定できるという利点はあるものの、実際には、この設備部品が原因となり製品不良が必ず発生する訳ではない。このため、上記電子部品実装装置から得られる情報だけでは、単に、製品の品質低下の可能性の有無が判断できるに過ぎず、製品不良が発生することまでは分からない。
また、製品不良が発生するか否かを予測可能とする、電子部品実装装置における設備部品の異常の判定は、理論的には実施可能である。
しかしながら、この場合には、上述した標準偏差等の数値に関し、製品不良が発生する閾値を設定する必要がある。このため、このような閾値を設定するには、実際に数多くの製品を製造して、上記数値データを収集しなければならない。特に、信頼性の高い閾値を設定するためには、より多くの数値データが必要となる。また、上記閾値を設定できたとしても、外部環境等の様々な要因により、設定した閾値が適切でなくなる場合もある。
それゆえ、上述した異常の判定は、論理的に可能であっても、実現することは非常に難しい。
さらに、閾値が適切でないと、対処が必要な設備部品を見落としてしまったり、あるいは対処が必要でない設備部品を対処が必要な設備部品であると判断してしまうことが生じる。
また、これらの問題点は、電子部品実装装置において生じるものではなく、該電子部品実装装置と同様な機能を有する製造設備であれば、同様に生じるものである。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、異常な設備部品のうちで、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下させている設備部品を通知可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
本発明に係る情報処理装置は、上記の課題を解決するため、製造設備を構成する部品であって、前記製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とすると、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、異常な設備部品を特定する特定手段と、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する品質判定手段と、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、外部に通知する通知手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、特定手段により、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、異常な設備部品を特定することができる。
ところで、設備部品は、製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品であるため、この設備部品が異常である場合には、製品の品質レベルが低下するおそれがある。しかしながら、該設備部品が異常であるというだけで、必ずしも、製造される製品が、所定の品質レベルを備えないわけでもない。
このため、設備部品が異常であるというだけで、該設備部品を調整したり、あるいは該設備部品交換したりすると、製造効率が低下したり、製造コストが増大することになる。
しかしながら、本発明では、品質判定手段により、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。つまり、異常であると判定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。
また、通知手段により、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、外部に通知することができる。
したがって、ユーザは、異常な設備部品のうちで、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品を知ることができるという効果を奏する。
なお、上記製品は、製造ラインの中間工程で製造される中間製品であってもよい。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、製造された製品の個数に対する、製品の不良個数の割合を不良率とすると、前記品質判定手段は、前記検査結果データに基づいて、各製品が不良か否かを判定する良否判定手段と、前記良否判定手段の判定結果に基づいて、前記不良率を算出する不良率算出手段とを備え、前記不良率算出手段により算出された不良率が所定の閾値以上である場合に、前記所定の品質レベルを備えていないと判定することを特徴としている。
上記の構成によれば、良否判定手段により各製品が不良か否かを判定することができるため、不良率算出手段により、製造された製品の個数に対する、製品の不良個数の割合である不良率を算出することができる。
さらに、品質判定手段により、不良率が所定の閾値以上である場合に、前記所定の品質レベルを備えていないと判定できる。
したがって、品質判定手段が、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が所定の品質レベルを備えているか否かを、不良率に基づいて判定可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製造設備は、同種の設備部品を備えており、前記製品は、少なくとも前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品を用いて製造され、前記特定手段により特定された設備部品が、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、前記特定手段により特定された設備部品を用いて製造された製品の個数に対する、製品の不良個数の割合を第1不良率と、前記特定手段により特定された設備部品と同種の他の設備部品を用いて製造された製品の個数に対する、製品の不良個数の割合を第2不良率とすると、前記品質判定手段は、前記第1不良率と第2不良率とを比較することにより、前記異常であると特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することを特徴としている。
上記の構成によれば、製品は、少なくとも前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品を用いて製造される。
ところで、前記特定手段により特定された設備部品が、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、第1不良率が第2不良率に比べて或る程度高いと、前記特定手段により特定された設備部品が、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品であると考えることができる。
そこで、本発明では、品質判定手段により、前記第1不良率と第2不良率と比較することにより、前記異常であると特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する。
したがって、品質判定手段が、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が上記所定の品質レベルを備えているか否かを、上記同種の設備部品同士間の不良率に基づいて判定可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製品を特定するためのデータと、該製品の製造に用いられた設備部品を特定するためのデータとが関連付けられたデータを関連付データとすると、前記品質判定手段は、前記検査結果データに基づいて各製品が不良か否かを判定する良否判定手段と、前記良否判定手段の判定結果、および、前記関連付データに基づいて、前記第1不良率および第2不良率を算出する不良率算出手段とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、良否判定手段により、各製品が不良か否かを判定することができる。
ところで、関連付データには、前記製品を特定するためのデータと、該製品の製造に用いられた設備部品を特定するためのデータとが関連付けられている。このため、良否判定手段により良否判定された各製品が、前記特定手段により特定された設備部品を用いて製造された製品か、あるいは、前記特定手段により特定された設備部品と同種の設備部品を用いて製造された製品かを識別できる。
したがって、第1不良率および第2不良率を算出することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記品質判定手段が、前記第1不良率と第2不良率とが所定の閾値を超えていると判定した場合には、前記通知手段は、前記通知を行わないことを特徴としている。
上記の構成によれば、前記品質判定手段が、前記第1不良率と第2不良率とが所定の閾値を超えていると判定した場合には、前記通知手段は、前記通知を行わない。
ここで、第1不良率と第2不良率とが共に所定の閾値を超えている場合には、前記特定手段により特定された設備部品、および、該設備部品と同種の設備部品に原因があるとは考えにくい。
それゆえ、このような場合において前記特定手段により特定された設備部品を、外部に通知すると、通知を受けた者(ユーザ)は、該設備部品が製品の品質レベルを所定のレベル以下に低下させている設備部品でないにも関わらず、該設備部品を製品の品質レベルを所定のレベル以下に低下させている設備部品であると判断してしまう。
しかしながら、本発明では、上記のような場合には通知を行わないので、ユーザが判断を誤ることが生じないという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製造設備は、同種の設備部品を備えており、前記製品は、少なくとも前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品を用いて製造され、前記特定手段により特定された設備部品が、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、前記各設備部品を用いて製造された製品の個数に対する、設備部品毎の製品の不良個数の割合を不良率とすると、前記品質判定手段は、前記各不良率に基づいて、前記異常であると特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することを特徴としている。
上記の構成によれば、製品は、少なくとも前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品を用いて製造される。
ところで、前記特定手段により特定された設備部品が、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、前記特定された設備部品を用いて製造された製品の不良率が、他の同種設備部品を用いて製造された製品の不良率に比べて或る程度高いと、前記特定手段により特定された設備部品が、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品であると考えることができる。
そこで、本発明では、品質判定手段により、同種設備部品毎の不良率に基づくことにより、前記異常であると特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する。
したがって、品質判定手段が、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が上記所定の品質レベルを備えているか否かを、上記同種の設備部品同士間の不良率に基づいて判定可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記通知手段は、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を表示する表示装置であることを特徴としている。
上記の構成によれば、表示装置により、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を表示することができる。
したがって、ユーザは、上記特定手段により特定された設備部品を、視認可能になるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製造設備は、電子部品を前記製品となる回路基板上に実装する設備であると共に、同種の設備部品を備えており、前記回路基板は、該回路基板の異なる位置に、それぞれ電子部品を実装することにより製造され、前記各電子部品は、ぞれぞれ、少なくとも前記同種の設備部品の何れかの設備部品を用いて実装されるものであり、前記検査装置は、さらに、各電子部品の実装状態を検査するものであって、前記品質判定手段は、前記検査装置における検査結果を示す検査結果データに基づいて、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品における各電子部品の実装状態が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することを特徴としている。
上記の構成によれば、品質判定手段により、前記検査装置における検査結果を示す検査結果データに基づいて、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品における各電子部品の実装状態が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。
したがって、ユーザは、異常な設備部品のうちで、回路基板の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品を知ることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理方法は、上記の課題を解決するために、製造設備を構成する部品であって、前記製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とすると、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、特定手段が異常な設備部品を特定する特定ステップと、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、品質判定手段が、前記特定ステップにより特定された設備部品により製造された製品が所定の品質レベルを備えているか否かを判定する品質判定ステップと、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、通知手段が外部に通知する通知ステップとを備えることを特徴としている。
上記の方法によれば、特定ステップにおいて、特定手段により、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、異常な設備部品を特定することができる。
ところで、設備部品は、製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品であるため、この設備部品が異常である場合には、製品の品質レベルが低下するおそれがある。しかしながら、該設備部品が異常であるというだけで、必ずしも、製造される製品が、所定の品質レベルを備えないわけでもない。
このため、設備部品が異常であるというだけで、該設備部品を調整したり、あるいは該設備部品交換したりすると、製造効率が低下したり、製造コストが増大することになる。
しかしながら、本発明では、品質判定ステップにおいて、品質判定手段により、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、前記特定ステップにより特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。つまり、異常であると判定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。
また、通知ステップにおいて、通知手段により、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、外部に通知することができる。
したがって、ユーザは、異常な設備部品のうちで、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品を知ることができるという効果を奏する。
なお、上記製品は、製造ラインの中間工程で製造される中間製品であってもよい。
また、本発明に係るプログラムは、上記の課題を解決するために、上記情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
したがって、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る記録媒体は、上記の課題を解決するために、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴としている。
したがって、上記記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
本発明に係る情報処理装置は、以上のように、製造設備を構成する部品であって、前記製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とすると、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、異常な設備部品を特定する特定手段と、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、前記特定手段により特定された設備部品により製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する品質判定手段と、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、外部に通知する通知手段とを備える構成である。
したがって、ユーザは、異常な設備部品のうちで、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品を知ることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理方法は、上記の課題を解決するために、製造設備を構成する部品であって、前記製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とすると、前記製造設備から取得した、各設備部品による各製品の処理結果を示した処理結果データに基づいて、特定手段が異常な設備部品を特定する特定ステップと、前記製造設備にて製造された後の各製品の品質を検査する検査装置から取得した検査結果データに基づいて、品質判定手段が、前記特定ステップにより特定された設備部品により製造された製品が所定の品質レベルを備えているか否かを判定する品質判定ステップと、前記所定の品質レベルを備えていないと判定された製品を製造した設備部品を、通知手段が外部に通知する通知ステップとを備えることを特徴としている。
したがって、ユーザは、異常な設備部品のうちで、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下に低下させている設備部品を知ることができるという効果を奏する。
また、本発明に係るプログラムは、以上のように、上記情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
したがって、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る記録媒体は、以上のように、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴としている。
したがって、上記記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りである。
図2は、本実施の形態に係る複数の製造設備を有する製造ラインの概略構成を示した図である。同図に示すとおり、製造ライン1は、半田印刷装置11、印刷状態検査装置12、電子部品実装装置(製造設備)13、実装状態検査装置(検査装置)14、リフロー装置15、基板検査装置16、情報処理装置17を備えている。また、情報処理装置17は、図1に示すとおり、製造情報管理部21、検査情報管理部22、不良箇所判断部23、記憶部24、および表示部(通知手段・表示装置)25を備えている。
また、印刷状態検査装置12、電子部品実装装置13、実装状態検査装置14、基板検査装置16、および、情報処理装置17は、LAN(Local Area Network)により、互いに接続されている。
半田印刷装置11は、マスクを用いて、回路基板に形成されたランド上に、半田(クリーム半田)を印刷する装置である。
印刷状態検査装置12は、半田印刷装置11で印刷された半田の状態(例えば、印刷位置等)を検査する。そして、印刷状態検査装置12は、自装置において検査結果を表示する。また、印刷状態検査装置12は、検査対象となった製品を特定するデータと、該検査結果を示したデータとを関連付けて、該関連付けたデータを、情報処理装置17内の検査情報管理部22に送る。
電子部品実装装置13は、半田印刷装置11によって半田が印刷された回路基板上に、各種の電子部品を実装する。以下、電子部品実装装置13の概略構成を、図3に基づいて説明する。
電子部品実装装置13は、同図に示すとおり、可動ヘッド31、4つの吸着ノズル32a〜32d、部品供給部33、吸着状態検出部34、実装部35、および制御部36備えている。また、以下の説明においては、説明の便宜上、吸着ノズル32a〜32dを、電子部品実装装置13にて製造される製品の品質に影響を与える部品(設備部品)として説明する。
可動ヘッド31は、所定の軸(図示せず)を中心に回転する。吸着ノズル32a〜32dは、可動ヘッド31に備えられ、該可動ヘッド31の回転に伴い移動する。また、吸着ノズル32a〜32dは、それぞれ、電子部品を吸着する機構を備えている。同図においては、P1で示される位置において、吸着ノズル32a〜32dが、電子部品を1個ずつ順に吸着する。また、電子部品の吸着は、可動ヘッド31の回転により、吸着ノズル32a〜32dが実装部35の位置に移動するまで行われる。
部品供給部33は、5つの供給ユニット41a〜41eを、それぞれ、該部品供給部33の所定の位置に備えている。また、部品供給部33は、同図の矢印で示す所定の方向に往復運動(以下、単に移動と称する)を行う。そして、部品供給部33が移動することにより、供給ユニット41a〜41eの位置が変更される。
さらに、供給ユニット41a〜41eには、それぞれに電子部品が備えられている。そして、供給ユニット41a〜41eは、部品供給部33の移動により、上記P1で示される位置に、各ユニットに備えられた電子部品を供給する。また、各供給ユニットには、同種の電子部品が備えられる。以下では、供給ユニット41a〜41eが供給する電子部品を、それぞれ、電子部品A〜Eとして区別する。
なお、以下では、説明を簡単にするため、供給ユニット41a〜41eの順番で、各電子部品を供給するものとする。また、吸着ノズル32a〜32dは、このような順番で供給される電子部品を、吸着ノズル32a〜32dの順番で吸着するものとする。
電子部品実装装置13の制御部36は、各吸着ノズル32a〜32dが上記P1で示される位置に移動した際に、電子部品の吸着に用いられる吸着ノズルを示す情報(ノズルID)と、上記P1で示される位置に電子部品を供給している供給ユニットを示す情報(ユニットID)と、該供給ユニットに備えられている電子部品を示す情報(部品ID)と、電子部品の実装対象となっている回路基板を示す情報(基板ID)とを取得する。そして、上記制御部36は、この取得した各IDを互いに関連付けて、該関連付けた情報(以下、第1関連付データと称する)を不良箇所判断部23に送る。
以下では、電子部品A〜Eの部品IDを、それぞれ、P0001〜P0005とする。さらに、供給ユニット41a〜41eのユニットIDを、それぞれ、U01〜U05とする。また、吸着ノズル32a〜32dの吸着ノズルのIDを、それぞれ、J01〜J04とする。さらに、基板IDを、電子部品の実装が行われる順に、B0001、B0002、…、B000N、…とする(Nは自然数)。
なお、上記ノズルIDは、例えば、各吸着ノズルに識別子を付しておき、図示しないセンサが該識別子を読み取る構成とすればよい。また、ユニットIDに関しても、各供給ユニットに識別子を付しておき、図示しないセンサが該識別子を読み取る構成とすればよい。さらに、部品IDはユニットIDにより特定できるため、予め、部品IDとユニットIDとを対応付けて電子部品実装装置に記憶しておき、該記憶された情報を基に、ユニットIDから部品IDを取得すればよい。また、上記基板IDに関しては、印刷状態検査装置12から電子部品実装装置13に送られてくる回路基板の順番を、基板IDとして用いることができる。また、各回路基板に識別子(製品番号)を付しておき、図示しないセンサが該識別子を読み取る構成としてもよい。また、上記各IDの取得の方法は、一例であって、上述した方法に限定されるものではない。
他の方法としては、通常は電子部品実装装置13内に記憶されたプログラム(実装プログラム)によって電子部品の実装は制御されるため、この実装プログラムの実行に伴って得られるデータから、上記各IDを取得してもよい。この場合には、上述したセンサでの読み取りは不要である。
なお、実装方式によっては、上記各IDは実装時に決定する場合もある。また、電子部品の吸着に失敗した場合には、別のノズルで吸着することになる。したがって、何れの方法であっても、実際の実装した時に、上記各IDを取得(特定)することが好ましい。
吸着状態検出部34は、電子部品が実装される前に、各吸着ノズル32a〜32dに電子部品が吸着されているか否かを検出する。そして、吸着状態検出部34は、上記検出結果を示すデータ(以下、検出結果データと称する)を、上記制御部36に送る。
制御部36は、上記検出結果データを受け付ける。また、制御部36は、この検出結果データと、該検出時のノズルIDとを関連付けて、該関連付けた情報(以下、第2関連付データと称する)を情報処理装置17の製造情報管理部21に送る。なお、この検出時のノズルIDは、例えば、別途、吸着状態検出部34に図示しないセンサを設けておき、該センサがノズルに付された上記識別子を読み取ることにより取得すればよい。ただし、上記検出時のノズルIDの取得方法は、この方法に限定されるものではない。
実装部35は、吸着ノズル32a〜32dで吸着されることにより搬送されてきた電子部品を、回路基板上に実装する。なお、1つの回路基板には、複数の電子部品A〜Eが実装される。そして、実装部35により電子部品の実装が終了した後、電子部品実装装置13は、電子部品が実装された回路基板を、実装状態検査装置14に送る。
次に、実装状態検査装置14について説明する。
実装状態検査装置14は、電子部品実装装置13から送られてきた回路基板の品質を検査する。より詳しくは、実装状態検査装置14は、回路基板における各電子部品A〜Eの実装状態を検査する。実装状態検査装置14は、電子部品A〜E毎に、基準位置に対する実装位置のズレ量が所定の範囲内であるか否か、ブリッジ状態が良好であるか否かといった項目を検査する。
また、実装状態検査装置14は、上記検査結果を示すデータ(以下、検査結果データ)を上記部品IDに関連付ける。さらに、この関連付けされたデータと、基板IDとを関連付ける。なお、通常は、回路基板のどの位置にどの種類の部品(電子部品A〜E)が実装されているかといった情報が分かっているため、この情報に基づいて、検査結果と部品IDとの関連付けができる。なお、以下では、上記基板IDが関連付けられた情報を、第3関連付データと称する。
そして、実装状態検査装置14は、上記第3関連付データを、逐次、情報処理装置17の検査情報管理部22に送る。
次に、製造情報管理部21について説明する。製造情報管理部21は、電子部品実装装置13から、上述した第2関連付データを受け取る。そして、製造情報管理部21は、受け付けた第2関連付データに基づいて、所定の形式のデータベースを生成する。
さらに、製造情報管理部21は、上記データベースに基づいて、図4に示すとおり、吸着ノズル32a〜32d毎に、吸着を実施した回数(吸着回数)と吸着されていなかった回数(吸着エラー回数)とから、吸着失敗率(吸着エラー率)(%)を算出する。そして、製造情報管理部21は、吸着エラー率を、該吸着エラー率の算出対象とした吸着ノズルに対応付けて、データベースに格納する。つまり、同図においては、例えば、0.558という値(吸着エラー率)を、吸着ノズル32aを示す吸着ノズルID:J01に対応付けて、上記データベースに格納する。
次に、検査情報管理部22について説明する。検査情報管理部22は、実装状態検査装置14から、上述した第3関連付データを受け取る。そして、検査情報管理部22は、受け付けた第3関連付データに基づいて、所定の形式のデータベースを生成する。図5は、このデータベースを、テーブル形式で示した図である。
なお、同図における○印は、基準位置に対する実装位置のズレ量が所定の範囲内でない場合、または、ブリッジ状態が良好でない場合を示している。また、同図における−印は、基準位置に対する実装位置のズレ量が所定の範囲内である場合、または、ブリッジ状態が良好である場合を示している。例えば、同図を参照することにより、基板IDがB0001で示される回路基板における、部品IDがP0001で示される電子部品(つまり電子部品A)に関しては、ブリッジ状態が良好であるが、基準位置に対する実装位置のズレ量が所定の範囲内でないことがわかる。
次に、不良箇所判断部23について説明する。
不良箇所判断部23は、電子部品実装装置13から、上述した第1関連付データを受け付ける。そして、不良箇所判断部23は、受け付けた第1関連付データに基づいて、所定の形式のデータベースを生成する。さらに、不良箇所判断部23は、この生成したデータベースを記憶部24に記憶する。図6は、このデータベースを、テーブル形式で示した図である。
例えば、同図を参照することにより、基板IDがB0001で示される回路基板における、部品IDがP0001で示される電子部品(つまり電子部品A)に関しては、ノズルIDがJ01のノズルを用いて実装されていることがわかる。
また、不良箇所判断部23は、図1に示すとおり、特定部(特定手段)51、選択部52、検査情報取得部53、および品質判定部(品質判定手段)54を備えている。
特定部51は、製造情報管理部21で生成されたデータベースを用いて、吸着エラー率が所定の閾値よりも大きいノズルIDを特定する。例えば、上記閾値を0.5%とした場合、図4においては、特定部51によりJ01が特定される。さらに、特定部51は、上記特定したノズルID(図4では、J01というノズルID)を、選択部52および品質判定部54に送る。
選択部52は、特定部51からJ01というノズルIDを受け付ける。さらに、選択部52は、記憶部24に記憶されたデータベースに基づいて、J01というノズルIDを有する吸着ノズル(具体的には、吸着ノズル32a)を用いて実装された電子部品の部品IDと、該電子部品が実装された回路基板の基板IDとを選択的に取得する。そして、選択部52は、取得した部品IDおよび基板IDを、検査情報取得部53に送る。
図6の場合には、B0001という基板IDおよびP0001という部品IDと、B0001という基板IDおよびP0005という部品IDと、B0002という基板IDおよびP0004という部品IDとが、選択部52により検査情報取得部53に送られる。
検査情報取得部53は、選択部52から部品IDおよび基板IDを受け付ける。さらに、検査情報取得部53は、検査情報管理部22で生成されたデータベースを用いて、受け付けた部品IDおよび基板IDとに対応する検査結果データを取得する。そして、検査情報取得部53は、上記取得した検査結果データを、受け付けた部品IDと基板IDとの組毎に区別して、品質判定部54に送る。具体的には、検査情報取得部53は、図7で示すように、抽出した検査結果データを、部品IDおよび基板IDに関連付けた状態で品質判定部54に送る。
品質判定部54は、良否判定部(良否判定手段)54aおよび不良率算出部(不良率算出手段)54bを備えている。また、品質判定部54は、検査情報取得部53から上記検査結果データを受け付ける。さらに、品質判定部54は、特定部51から、J01というノズルIDを受け付ける。
品質判定部54は、上記受け付けた検査結果データに基づいて、上記基板IDで示される回路基板が所定の品質レベルを有しているか否かを判定する。より詳しくは、上記基板IDで示される回路基板における、上記部品IDで示される電子部品の実装状態が、所定の品質レベルを有しているか否かを判定する。以下、具体的な判定方法について説明する。
良否判定部54aは、上記受け付けた検査結果に基づいて、実装された各電子部品が不良か否かを判定する。より詳しくは、良否判定部54aは、ズレ量が所定の範囲内にない電子部品、および/または、ブリッジ状態が良好でない電子部品を、実装不良と判定する。図7に関しては、B0001という基板IDの基板に実装された、P0001という部品IDの電子部品を、実装状態が不良と判定する。また、良否判定部54aは、それ以外の電子部品を、実装が良好であると判定する。
さらに、良否判定部54aは、上記の判定結果を、不良率算出部54bに送る。
不良率算出部54bは、上記判定結果を受け付ける。そして、不良率算出部54bは、上記判定結果に基づいて、基板IDと部品IDとの各組み合わせにおいて、電子部品の実装不良が発生している割合を算出する。つまり、上述したようにズレ量が所定の範囲内にない、および/または、ブリッジ状態が良好でない電子部品が、上記組み合わせの組数の何割に昇っているかを算出する。
具体的には、実装不良と判定された電子部品の数をC1と、実装状態が良好であると判定された電子部品の数をC2と、不良率をRとすると、不良率算出部54bは、以下の式(1)に示すように、不良率Rを算出する。
R=C1/(C1+C2) … (1)
この後、品質判定部54は、不良率算出部54bが算出した不良率が、所定の閾値よりも大きい値であるか否かを判定する。つまり、品質判定部54は、J01というノズルIDの吸着ノズルにより電子部品を実装された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する。より詳しくは、品質判定部54は、J01というノズルIDの吸着ノズルにより回路基板に実装された電子部品の実装状態が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する。
そして、品質判定部54が、上記不良率が所定の閾値以上であると判定した場合(つまり、所定の品質レベルを備えていないと判定した場合)には、品質判定部54は、J01というノズルIDを、表示部25に送る。一方で、品質判定部54が、上記不良率が所定の閾値未満であると判定した場合(つまり、所定の品質レベルを備えていると判定した場合)には、品質判定部54は、J01というノズルIDを、表示部25に送らない。
表示部25は、品質判定部54から、上記J0というノズルIDを受け付けた場合、図示しない表示画面に上記のノズルIDを表示する。
以上のように、情報処理装置17は、電子部品実装装置(製造設備)13から取得した、各吸着ノズル(設備部品)32a〜32dによる各回路基板(製品)の処理結果を示した処理結果データ(吸着エラー率)に基づいて、異常な吸着ノズルを特定する特定部(特定手段)51と、電子部品実装装置13にて製造された後の各回路基板の品質を検査する実装状態検査装置(検査装置)14から取得した検査結果データに基づいて、特定部51により特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する品質判定部(品質判定手段)54と、上記所定の品質レベルを備えていないと判定された回路基板を製造した吸着ノズルを、外部に表示(通知)する表示部(通知手段)25とを備える構成である。
この構成によれば、特定部51により、電子部品実装装置13から取得した、各吸着ノズルによる各回路基板の処理結果を示した処理結果データ(吸着エラー率)に基づいて、異常な吸着ノズルを特定することができる。
ところで、吸着ノズルは、電子部品実装装置13にて製造される回路基板の品質に影響を与える部品であるため、この吸着ノズルが異常である場合には、回路基板の品質レベルが低下するおそれがある。しかしながら、該吸着ノズルが異常であるというだけで、必ずしも、製造される回路基板が、所定の品質レベルを備えないわけでもない。
このため、吸着ノズルが異常であるというだけで、該吸着ノズルを調整したり、あるいは該設備部品交換したりすると、製造効率が低下したり、製造コストが増大することになる。
しかしながら、本実施の形態の情報処理装置17では、品質判定部54により、電子部品実装装置13にて製造された後の各回路基板の品質を検査する実装状態検査装置14から取得した検査結果データに基づいて、特定部51により特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。つまり、異常であると判定された吸着ノズルにより製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定することができる。
また、表示部25により、上記所定の品質レベルを備えていないと判定された回路基板を製造した吸着ノズルを、表示することができる。
したがって、ユーザは、異常な吸着ノズルのうちで、回路基板の品質レベルを所定の品質レベル以下させている吸着ノズルを知ることが可能となる。
なお、上記において、電子部品実装装置13からの上記処理結果データの取得は、情報処理装置17の製造情報管理部21により行われる。さらに、実装状態検査装置14からの上記検査結果データの取得は、情報処理装置17の検査情報管理部22により行われる。
また、製造された回路基板(製品)の個数に対する、回路基板の不良個数を不良率とすると、情報処理装置17は、品質判定部54が、上述した検査結果データに基づいて、各回路基板が不良か否かを判定する良否判定部(良否判定手段)54aと、良否判定部54aの判定結果に基づいて、上記不良率を算出する不良率算出部(不良率算出手段)54bとを備え、不良率算出部54bにより算出された不良率が所定の閾値以上である場合に、上記所定の品質レベルを備えていないと判定する構成であると言える。
この構成によれば、良否判定部54aにより各回路基板が不良か否かを判定することができるため、不良率算出部54bにより、製造された回路基板の個数に対する、回路基板の不良個数の割合である不良率を算出することができる。さらに、品質判定部54により、不良率が所定の閾値以上である場合に、上記所定の品質レベルを備えていないと判定できる。
したがって、品質判定部54が、特定部51により特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が所定の品質レベルを備えているか否かを、不良率に基づいて判定可能となる。
ところで、上記の実施の形態においては、品質判定部54が、上記不良率が所定の閾値以上であると判定した場合に、品質判定部54が、所定のノズルID(J01)を表示部25に送る構成としたが、これに限定されるものではない。
例えば、上記不良率(以下、第1不良率)と、他の吸着ノズルを用いて製造された場合における、電子部品の実装状態の不良率(以下、第2不良率)とを算出し、第1不良率が第2不良率よりも、或る値だけ高い場合に、所定のノズルID(J01)を表示部25に送る構成としてもよい。
また、上記他の吸着ノズルに関しては、吸着ノズル毎に、電子部品の実装状態の不良率(第2不良率)を算出する構成としておき、各第2不良率と第1不良率とを比較して、第1不良率が各第2不良率よりも或る値だけ高い場合に、所定のノズルID(J01)を表示部25に送る構成としてもよい。
なお、上記の値は、ユーザが、設定可能な構成としておけばよい。なお、この値は、0であってもよい。
また、第1不良率を第2不良率で除した値が、或る閾値よりも大きい場合に、所定の吸着ノズルID(J01)を表示部25に送る構成としてもよい。例えば、上記或る閾値を2とした場合には、特定された吸着ノズルを用いた場合の不良率(第1不良率)が、他の吸着ノズルを用いた場合の不良率(第2不良率)の2倍以上となった場合に、所定の吸着ノズルID(J01)を表示部25に送ることになる。この場合にも、ユーザは、J01というノズルIDで示される吸着ノズルによって、回路基板の品質が低下していることが判断できる。ただし、この場合において、第2不良率が0の場合には、上述したように、第1不良率が上記所定の閾値以上の場合に、所定の吸着ノズルID(J01)を表示部25に送る構成とする。このような構成とすることにより、第2不良率が0の場合を除き、電子部品実装装置13において製造される電子部品の種類に応じた閾値の設定が不要となる。このため、設定した上記或る閾値を、製造される電子部品の種類に関係せず、汎用的に利用可能となる。
また、このように第1不良率と第2不良率とを比較する構成を採る場合には、選択部52、検査情報取得部53、および品質判定部54の構成を、さらに、以下の機能を有する構成としておけばよい。
まず、選択部52が、さらに、記憶部24に記憶されたデータベースに基づいて、J02〜J04というノズルIDを有する各吸着ノズルを用いて実装された電子部品の部品IDと、該電子部品が実装された回路基板の基板IDとを選択的に取得する構成とする。そして、選択部52が、取得した部品IDおよび基板IDを、検査情報取得部53に送る構成とする。
また、検査情報取得部53が、上記受け付けた部品IDおよび基板IDとに対応する検査結果を取得し、該取得した検査結果を、受け付けた部品IDと基板IDとの組毎に区別して、品質判定部54に送る構成とする。
さらに、品質判定部54が、検査情報取得部53から送られてきた検査結果に基づいて、上記第2不良率を算出する構成とすればよい。
上記のような構成の場合、情報処理装置17は、電子部品実装装置(製造設備)13は、同種の吸着ノズル(設備部品)32a〜32dを備えており、上記回路基板(製品)は、少なくとも上記同種の吸着ノズルの何れか1つの吸着ノズルを用いて製造され、特定部51により特定された吸着ノズルが、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、特定部51により特定された吸着ノズルを用いて製造された回路基板の個数に対する、回路基板の不良個数の割合を第1不良率と、特定部51により特定された吸着ノズルと同種の吸着ノズルを用いて製造された回路基板の個数に対する、製品の不良個数の割合を第2不良率とすると、品質判定部54は、上記第1不良率と第2不良率とを比較することにより、上記異常であると特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する構成であると言える。
この構成によれば、回路基板は、少なくとも同種の吸着ノズルの何れか1つの吸着ノズルを用いて製造される。
ところで、特定部51により特定された吸着ノズルが、前記同種の設備部品の何れか1つの設備部品である場合、第1不良率が第2不良率に比べて或る程度高いと、特定部51により特定された設備部品が、製品の品質レベルを所定の品質レベル以下させている設備部品であると考えることができる。そこで、品質判定部54により、上記第1不良率と第2不良率と比較することにより、上記異常であると特定された吸着ノズルにより製造された製品が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する。
これにより、品質判定部54が、特定部51により特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が上記所定の品質レベルを備えているか否かを、上記同種の吸着ノズル同士間の不良率に基づいて判定可能となる。
また、表示部25に吸着ノズルIDを送るか否かの判断方法については、上述した方法の他、以下のような方法も考えられる。まず、各吸着ノズルを用いた場合における各不良率を数値の集合とみなして、該集合における標準偏差を求める。次に、上記特定された吸着ノズルを用いた場合の不良率の偏差値を求める。そして、この求めた偏差値が、或る値を超えた場合に、所定の吸着ノズルIDを表示部25に送る。このように、様々な判断方法を採ることができる。
また、第1不良率と、吸着ノズル毎の第2不良率とを、グラフ化して表示部に表示する構成とすれば、ユーザは、視覚的に各不良率の相違を判断可能になる。
また、全ての吸着ノズル32a〜32dの不良率をグラフ化する構成としてもよい。このような構成とすれば、ユーザは、或る吸着ノズル(特定された吸着ノズル)を用いた場合における不良率が、他の吸着ノズルを用いた場合における不良率よりも高くなっていることを、即座に認識できることが可能となる。この場合、不良率に関する閾値を示す線をグラフと共に表示させる構成とすることにより、ユーザは、上記或る吸着ノズルを用いた場合の不良率のみが、この閾値より高くなっているか否かを判断できるようになる。
次に、情報処理装置17における処理フローを図8に基づいて説明する。
まず、製造情報管理部21が、電子部品実装装置13から上述した処理結果データ(不良率)を取得する(S1)。また、検査情報管理部22が、実装状態検査装置14から上記検査結果データを取得する(S2)。
次に、特定部51が、上記処理結果データに基づいて、異常な吸着ノズルを特定する(S3)。S3の後は、品質判定部54が、上記検査結果データに基づいて、特定部51により特定された吸着ノズルにより製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを判定する(S4)。
S4において所定の品質レベルを備えていないと判定された場合、表示部25が、上記所定の品質レベルを備えていないと判定された回路基板を製造した吸着ノズルを表示する(S5)。そして、S5の後は処理を終了する。一方、S4において所定の品質レベルを備えていると判定された場合には、上述した表示を行うことなく、処理を終了する。
ところで、上記の実施の形態においては、図4に示すとおり、吸着ノズル毎に、吸着エラー率を算出した。ここで、供給ユニット41a〜41eを、電子部品実装装置13にて製造される製品の品質に影響を与える部品(設備部品)とする場合、以下の構成とすればよい。
まず、供給ユニット毎に、吸着ノズルの吸着エラー率を算出する構成とし、特定部51が、さらに、吸着エラー率が所定の閾値よりも大きいユニットIDを特定する構成とする。そして、特定部51が、上記特定したユニットIDを、選択部52および品質判定部54に送る構成とする。
また、選択部52、検査情報取得部53、および品質判定部54において、上述したのと同様な処理を、この構成の場合においても行うこととする。このような構成とすることにより、品質判定部54が、上述した不良率が所定の閾値以上であると判定した場合(つまり、所定の品質レベルを備えていないと判定した場合)には、品質判定部54が、上記のユニットIDを表示部25に送れることになる。
したがって、この構成の場合、品質判定部54が、特定部51により特定された供給ユニットにより製造された回路基板が上記所定の品質レベルを備えているか否かを、上記同種の供給ユニット同士間の不良率に基づいて判定可能となる。
なお、吸着ノズル毎に吸着エラー率を算出する代わりに、供給ユニット毎に吸着ノズルの吸着エラー率を算出するのみの構成としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、吸着エラー率を算出して、異常な吸着ノズル(設備部品)を判定する例を挙げて説明したが、この例に限定されるものではない。
例えば、電子部品実装装置13の構成を、以下のような構成としてもよい。まず、各吸着ノズル32a〜32dに対する電子部品の吸着位置を検出する構成とする。さらに、吸着状態検出部34を、基準となる位置に対する吸着位置のズレを求める構成とする。また、電子部品実装装置13が、このズレ量(検出結果データ・処理結果データ)と、該検出時のノズルIDとを関連付けて、該関連付けた情報(以下、第4関連付データと称する)を製造情報管理部21に送る構成とする。
また、この場合、情報処理装置17の製造情報管理部21の構成を、以下のような構成とすればよい。まず、製造情報管理部21が、電子部品実装装置13から、上述した第4関連付データを受け取る。そして、製造情報管理部21が、受け付けた第4関連付データに基づいて、所定の形式のデータベースを生成する。さらに、製造情報管理部21が、上記データベースに基づいて、吸着を実施した回数(吸着が失敗した回数も含む)のうち、上記ズレ量が所定の値を超えた回数の割合を算出する。そして、製造情報管理部21は、上記割合を、該割合の算出対象とした吸着ノズルに対応付けて、データベースに格納する。
この構成の場合には、上記吸着位置に基づき異常であると判定された吸着ノズルによって製造された回路基板が、所定の品質レベルを備えているか否かを、品質判定部54により判定することができる。したがって、この構成の場合も、ユーザは、異常な吸着ノズルのうちで、回路基板の品質レベルを所定の品質レベル以下させている吸着ノズルを知ることが可能となる。
また、このように吸着位置のズレを求める場合であっても、上述したように、さらに、供給ユニット毎に、吸着を実施した回数のうち、上記ズレ量が所定の値を超えた回数の割合を算出する構成としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、表示部25は、品質判定部54から受け付けたIDを表示する構成としたが、これに限定されるものではない。表示による通知の代わりに、例えば音声で上記IDを通知する構成としてもよい。
また、上述した閾値の値は、適宜、求められる品質、製造効率、製造コスト等を勘案して、ユーザが決定すればよい。
また、設備部品が異常であることの特定は、上述した手法に限定されず、例えば、上述した特許文献1の手法を用いてもよい。
また、上記の実施の形態においては、電子部品実装装置13が可動ヘッドを1つ備える構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。つまり、電子部品実装装置13が複数の可動ヘッドを備え、かつ、可動ヘッドが複数の吸着ノズルおよび供給ユニットを備える構成でも、本発明は適応可能である。
また、吸着ノズルの数、供給ユニット41の数も、上述した個数に限定されるものではない。
また、上記の実施の形態においては、電子部品実装装置13が、設備部品(製造設備を構成する部品であって、前記製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品)を備えているとして説明したが、このような設備部品を備える装置は、電子部品実装装置13に限定されるものではない。
半田印刷装置11の場合、上記設備部品としては、例えば、マスクを移動させる装置、スキージを移動する装置、回路基板を印刷位置に移動させる装置等の様々な装置が対象とすることができる。
また、本発明は、回路基板の製造ラインに限定されるものではなく、様々な製品の製造ラインに適応可能である。さらに、製造設備自体で設備部品が異常であるか否かの検査を行い、さらに、製造設備で製造された製品の品質を検査するシステムであれば、本発明は適応可能である。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、情報処理装置17の不良箇所判断部23、製造情報管理部21、検査情報管理部22(両管理部とも記憶部に相当する構成を除く)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、情報処理装置17は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報処理装置17の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記情報処理装置17に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、情報処理装置17を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。