JP2006328593A - 複合撚糸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 同じ撚り方向を有する紡績糸2本以上と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって、複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆で、複合撚糸の撚数が2本以上の紡績糸の各々の撚数の0.3〜2倍の範囲にあり、紡績糸98〜40質量及び水溶性糸2〜60質量%からなる複合撚糸、及び該複合撚糸を含む織編物から水溶性糸を水で溶解除去した織編物。
【選択図】 なし
Description
さらに、本発明の目的は、高速の織機や編機を使用した際にも糸切れなどのトラブルの発生がなくて製編織性に優れ、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用でき、小ロット多品種に高い生産性で対応でき、しかも細番手から太番手まで任意の太さの複合糸を得ることができる、伸縮性の織編物の製造に有用な、ポリウレタン弾性糸不使用の複合糸を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した複合糸から形成した、高い伸縮性を有し、軽量性、風合、柔軟性などの特性に優れ、しかも織編物を構成している紡績糸からの繊維の素抜けがなくて強力に優れる、ポリウレタン弾性糸不使用の織編物を提供することである。
また、本発明者らは、紡績糸の2本以上と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸では、複合撚糸を構成している2本以上の紡績糸の種類(例えば、繊維素材の種類、紡績糸の太さ、その他の物性など)を変えることで、該複合撚糸から作製した織編物中の水溶性糸を溶解除去して得られる織編物に、前記した高い伸縮性、ふっくらとして感触や風合、軽量性、通気性などの特性と併せて、多種多様の特性や外観などを発現させ得ることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1)(i) 撚り方向を同じくする紡績糸の2本以上と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって;
(ii) 複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であり;
(iii) 複合撚糸の撚数が、2本以上の紡績糸のそれぞれの撚数のいずれに対しても、0.3〜2倍の範囲にあり;且つ、
(iv) 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が98〜40質量および水溶性糸の割合が2〜60質量%である;
ことを特徴とする複合撚糸である。
そして、本発明は、
(2) 水溶性糸が、水溶性のフィラメント糸である前記(1)の複合撚糸である。
(3) 前記(1)または(2)の複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物;および、
(4) 前記(1)または(2)の複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる前記(3)の織編物;
である。
本発明の複合撚糸では、紡績糸として、羊毛繊維よりなる紡績糸だけではなく、他の天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用できる。
2本以上の紡績糸を水溶性糸と特定の撚数で、紡績糸の撚り方向と逆の方向に撚り合わせてなる本発明の複合撚糸は、その撚数が1本の紡績糸を水溶性糸と撚り合わせた複合撚糸に比べて少なくても、複合撚糸の強力、製編織時の取り扱い性などに優れている。しかも、本発明の複合撚糸は撚数を少なくできることから、複合撚糸を製造する際の撚糸を効率良く行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
本発明の複合撚糸は、細番手から太番手まで任意の紡績糸を使用して製造でき、しかも2本以上で用いられる紡績糸の種類や組み合わせなどを選択することで、最終的に得られる水溶性糸を溶解除去した後の織編物に多種多様の性質、風合、外観などを発現させることができる。
本発明の複合撚糸および伸縮性の織編物は、ポリウレタン弾性糸を含まないため、ポリウレタン弾性糸の使用に起因する熱や光などによる経時劣化がない。
さらに、本発明の複合撚糸から作製した織編物中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる織編物では、2本以上の紡績糸が互いに合撚した状態になっているため、布帛を構成している紡績糸からの繊維の素抜けが生じず、強力、耐久性に優れる。
そのため、本発明の織編物は、前記した特性を活かして、衣類用途、医療用途、工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
本発明の複合撚糸は、紡績糸2本以上と水溶性糸から構成されている。
本発明の複合撚糸では、複合撚糸を構成する2本以上の紡績糸の撚り方向が同じであること、および複合撚糸の撚り方向が該2本以上の紡績糸の撚り方向と逆になっていることが必要である。2本以上の紡績糸の撚り方向が同じであることにより、該2本以上の紡績糸と水溶性糸を紡績糸の撚り方向と逆の方向に撚り合わせた本発明の複合撚糸では、全ての紡績糸が部分的にまたは完全に解撚されて元の紡績糸よりも長くなった状態になっている。そのため、本発明の複合撚糸を用いて作製した織編物から水溶性糸を水で溶解除去して得られる織編物に高い伸縮性が付与される。
本発明の複合撚糸を構成する紡績糸は、例えば、木綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、水(熱水)不溶性のポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維などから選ばれる1種の繊維からなる単独紡績糸、前記した繊維の2種以上からなる混紡紡績糸のいずれであってもよい。複合撚糸およびそれを用いて製造する織編物の用途などに応じて、適当な紡績糸を選択して使用すればよい。
本発明の複合撚糸を構成する2本以上の紡績糸は、同じ繊維から形成されていてもよいし、または異なった繊維から形成されていてもよい。何ら限定されるものではないが、例えば、2本以上の全ての紡績糸が綿紡績糸であってもよいし、2本以上の紡績糸のすべてが同じ合成繊維よりなる紡績糸であってもよいし、2本以上の紡績糸のうちの一部の紡績糸が綿紡績糸で残りの紡績糸がウール紡績糸、合成繊維製紡績糸および/または綿と合成繊維の混紡糸であってもよいし、2本以上の紡績糸のうちの一部の紡績糸が特定の合成繊維よりなる紡績糸で残りの紡績糸がそれとは異なる合成繊維よりなる紡績糸であってもよい。
そのうちでも、本発明の複合撚糸を構成する2本以上の紡績糸は、いずれも単糸であることが、複合撚糸を製造する際に工程を省略化できる点、紡績糸の解撚に伴う自由度が大きく、そのことが伸縮性に大きく寄与する点から好ましい。
但し、本発明では、「複合撚糸の撚数が、2本以上の紡績糸のそれぞれの撚数のいずれに対しても、0.3〜2倍の範囲にある」という要件を満たすことが必要であり、そのために2本以上の紡績糸は前記の要件を満たす撚数を有している必要がある。
例えば、2本の紡績糸A,Bを用いる場合に、紡績糸Aの撚数が50回/m、紡績糸Bの撚数が500回/mであると、紡績糸Aの撚数の0.3〜2倍は15〜100回/m、紡績糸Bの撚数の0.3〜2倍は150〜1000回/mとなり、紡績糸Aの撚数の0.3〜2倍の値と紡績糸Bの撚数の0.3〜2倍の値に共通する部分(共通する数値範囲)がなく、このような撚数の紡績糸Aと紡績糸Bを用いた場合には、複合撚糸の撚数(上撚りの数)が本発明で規定する上記の要件を満たさなくなる。かかる点から、本発明では、2本以上の紡績糸の各紡績糸の撚数を0.3〜2倍したときに共通する数値(数値範囲)が存在しない紡績糸同士は併用できない。
紡績糸が双糸または3本以上の合撚糸である場合は、双糸または3本以上の合撚糸を製造した際の最後の撚りの撚方向が、双糸または合撚糸の製造に用いた単糸の撚方向と逆方向になっていること、また該最後の撚りの撚数(本発明でいう紡績糸の撚数;双糸または合撚糸を製造した際の撚数)が、双糸または合撚糸の製造に用いた単糸の撚数の0.3〜0.9倍であることが、撚糸の生産性、糸のハンドリング性、風合、紡績糸の入手容易性などの点から好ましい。
紡績糸および水溶性糸の割合を前記範囲にすることによって、製編織性、糸強力、撚の安定性などに優れる複合撚糸が得られる。しかも、複合撚糸から作製した織編物から複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際に、水溶性糸の除去が良好に行われ、しかも水溶性糸の除去された隙間を埋めようとする収縮力が織編物に働いて、伸縮性を向上させることができ、併せて織編物の風合、感触、軽量性、通気性なども向上する。
複合撚糸における水溶性糸の割合が上記範囲よりも少ないと(紡績糸の割合が上記範囲よりも多いと)、複合撚糸から製造した織編物から水溶性糸を除去した後の織編物の伸縮性、軽量性、通気性などが低下し、しかも硬くて劣った風合になり易い。一方、複合撚糸における水溶性糸の割合が上記範囲よりも多いと(紡績糸の割合が上記範囲よりも少ないと)、複合撚糸から製造した織編物から水溶性糸を除去した後の織編物は、形態安定性に劣るようになって、目寄れなどが生じ易くなる。
また、水溶性糸の本数は1〜3本、特に1〜2本であることが撚糸機のクリル本数を減らせる点で、また複合撚糸から作製した織編物からの水溶性糸の溶解除去の容易性などの点から好ましい。
例えば、600回/m(Z撚)の紡績糸2本と水溶性糸を撚り合わせて(上撚りして)本発明の複合撚糸を製造する場合は、該2本の紡績糸と水溶性糸を600回/m×(0.3〜2倍)=180〜1200回/mの撚数でS方向に撚り合わせて本発明の複合撚糸にする。
また、例えば、500回/m(S撚)の紡績糸Aおよび800回/m(S撚)の紡績糸Bという撚数の異なる2本の紡績糸を水溶性糸とZ方向に撚り合わせて(上撚りして)本発明の複合撚糸を製造する場合は、500回/m×(0.3〜2倍)=150〜1000回/mと、800回/m×(0.3〜2倍)=240〜1600回/mの共通した数値範囲である240〜1000回/mの範囲のZ撚をかけて本発明の複合撚糸にする。
なお、本明細書における「複合撚糸の撚数」(上撚の撚数)とは、紡績糸の2本以上と水溶性糸を撚り合わせたときの撚数のことであり、実際には撚糸工程時の設定撚数に準じた値となる。
織編物の製造に当っては、織編物の種類、用途、織編物に要求される伸縮の程度などに応じて、本発明の複合撚糸の使用割合を調節することができる。高い伸縮性を有する織編物を得るためには、織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水に溶解除去する前の織編物において、本発明の複合撚糸の使用割合を該織編物の質量に対して10質量%以上にすることが好ましく、20質量%以上にすることがより好ましい。それによって、該織編物を水(熱水)で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去したときに、高い伸縮性を有する織編物を得ることができる。織編物における複合撚糸の使用割合が低すぎると、織編物を水(熱水)で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去しても、伸縮性のある織編物が得られにくくなる。
織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際の水の温度は、水溶性糸を構成する水溶性繊維の種類や水に対する溶解度、糸の形態や太さなどに応じて調節できる。水溶性糸が水溶性ポリビニルアルコール系繊維から形成されている場合は、通常、温度70〜100℃の水を用いて処理を行うと、水溶性糸を短い時間で速やかに織編物から溶解除去することができる。
しかも、水溶性糸を水で溶解除去した後の織編物では、複合撚糸を構成していた2本以上の紡績糸が互いに合撚された合撚糸の形態で織編物中に残るため、紡績糸を形成している繊維の素抜けが生じず、強力が維持される。
そのため、本発明の複合撚糸から作製した織編物から水溶性糸を水で溶解除去して得られた織編物は、上記した優れた特性を活かして、例えば、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などに有効に使用することができる。
以下の実施例および比較例において、生地(平織生地)の伸長率は次のようにして測定した。
(1) 以下の例で製造した生地から、生地の経方向の寸法が15cm(長さ)で緯方向の寸法が2.5cm(幅)である試験片(a)と、生地の経方向の寸法が2.5cm(幅)で緯方向の寸法が15cm(長さ)である試験片(b)をそれぞれ切り取った。
(2) 上記(1)で切り取った試験片(a)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(a)の端部から取り去り、代わりに300gの重りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La2)(cm)を測定して、下記の数式(i)から生地の経方向の伸長率(%)を求めた。
経方向の伸長率(%)={(La2−La1)/La1}×100 (i)
(3) 上記(1)で切り取った試験片(b)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(b)の端部から取り去り、代わりに300gの重り取りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb2)(cm)を測定して、下記の数式(ii)から生地の緯方向の伸長率(%)を求めた。
緯方向の伸長率(%)={(Lb2−Lb1)/Lb1}×100 (ii)
(1)(i) 紡績糸として、撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)を準備した。なお、この紡績糸は、2.54cm当りの撚数T=20.32回であり、番手S=40であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、20.32/√40=20.32/6.32=3.22である。
(ii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)(80℃の水に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(3) 上記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%(2本の紡績糸の合計質量)および水溶性糸16質量%からなっていた。
(5) 上記(4)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が22%および緯方向の伸長率が23%であり、高い伸縮性を有していた。しかも、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性よび通気性にも優れており、その上、生地からの綿繊維の素抜けがなく、強力にも優れていた。
(1) 木綿40番双糸を経糸として使用し、実施例1の(2)で得られた複合撚糸を緯糸として使用し、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。この製織工程では、糸切れなどのトラブルを全く生ずることなく、平織生地を高速で織ることができ、製織量産性において何ら問題がなかった(織速度0.1m/分)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地の緯糸をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が23%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。その上、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、しかも軽量性および通気性にも優れていた。しかも、生地を形成している緯糸からの綿繊維の素抜けがなく、緯糸の糸強力にも優れていた。
(1) 撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)を準備し、この紡績糸2本と実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が300回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚り数)=紡績糸の撚数の0.375倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸86質量%および水溶性糸14質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が21%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。また、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性および通気性にも優れていた。しかも、生地を形成している緯糸からの綿繊維の素抜けがなく、緯糸の糸強力にも優れていた。
(1) 撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)を準備し、この紡績糸2本と実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が1400回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚り数)=紡績糸の撚数の1.75倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%および水溶性糸16質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が21%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。また、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性および通気性にも優れていた。しかも、生地を形成している緯糸からの綿繊維の素抜けがなく、緯糸の糸強力にも優れていた。
(1) 撚数が900回/m(Z撚)の木綿100%の60番手紡績糸(都築紡績社製「TS60単糸」)と、撚数が700回/m(Z撚)の木綿100%の30番手紡績糸(都築紡績社製「TS30単糸」)を準備し、これらの紡績糸の各1本(合計2本)と実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が800回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚り数)=60番手の紡績糸の撚数の0.89倍、30番手の紡績糸の撚数の1.14倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸85質量%および水溶性糸15質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が12%および緯方向の伸長率が22%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。また、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性および通気性にも優れていた。しかも、異番手の紡績糸2本を使用したことによる撚の凹凸が表現された生地となった。さらに、生地を形成している緯糸からの綿繊維の素抜けがなく、緯糸の糸強力にも優れていた。
(1) 撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)2本と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚りの数)=紡績糸の撚数の0.25倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%および水溶性糸16質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が14%であって、実施例1〜4に比べて伸縮性が低いものであった。
撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)2本と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が2000回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造したが[複合撚糸の撚数(上撚りの数)=紡績糸の撚数の2.5倍]、糸切れが多くて撚糸が困難で、複合撚糸を製造することができなかった。
(1) 撚数が350回/m(Z撚)の木綿100%の10番手紡績糸(都築紡績社製「TS10単糸」)5本と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚りの数)=紡績糸の撚数の0.571倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸98.2質量%および水溶性糸1.8質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が13%であって、実施例1〜4に比べて伸縮性が低いものであった。
(1) 撚数が1500回/m(Z撚)の木綿100%の120番手紡績糸[Royal Textile Mills Ltd.(インド)製「Royal 120」]2本と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸3本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が1500回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数(上撚りの数)=紡績糸の撚数の1.0倍]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸37質量%および水溶性糸63質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地は、形態安定性に劣っていて、目寄れが生じ易く、実用性の低いものであったため、経方向および緯方向の伸長率を測定しなかった。
(1) 経糸として木綿40番双糸の1本を使用し、緯糸として実施例1の(2)で得られた複合撚糸と木綿30番双糸を1本:4本の比率で使用して、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率8%)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に15分間浸漬して(浴比=1:15)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで60℃の熱水で10分間水洗し(浴比=1:15)、その後、生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が11%であった。
本発明の複合撚糸を含む織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる本発明の織編物は、その高い伸縮性、優れた風合、感触、軽量性、通気性などの特性を活かして、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
Claims (4)
- (i) 撚り方向を同じくする紡績糸の2本以上と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって;
(ii) 複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であり;
(iii) 複合撚糸の撚数が、2本以上の紡績糸のそれぞれの撚数のいずれに対しても、0.3〜2倍の範囲にあり;且つ、
(iv) 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が98〜40質量および水溶性糸の割合が2〜60質量%である;
ことを特徴とする複合撚糸。 - 水溶性糸が、水溶性のフィラメント糸である請求項1に記載の複合撚糸。
- 請求項1または2に記載の複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物。
- 請求項1または2に記載の複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる請求項3に記載の織編物。
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