JP2006323892A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックコート層からの磁性層表面への形状転写による損傷を抑制し、高耐久性と優れた電磁変換特性を長期に亘って維持可能な高信頼性を有する磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】長尺状の非磁性支持体1の一主面上に、非磁性粉末と結合剤とを含有する非磁性層3と、磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層2とが積層形成されており、磁性層2の形成面側とは反対側の主面上にバックコート層4を有するものとし、バックコート層4の表面が、下記(1)、(2)に示す条件を満たしているものとする。
(1)高さ40nm以上の突起は、分布が0.841×10-3個/μm2以下であり、高さの標準偏差が0.010以下である。
(2)高さ100nm以上の突起は、分布が0.012×10-3個/μm2以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、デジタルデータをリニアに記録再生するデータバックアップシステムに対応するテープ状の磁気記録媒体に関するものである。
近年、磁気記録媒体の分野においては、IT関連の急速な発達に伴い、データ容量は増加の一途を辿り、取り扱うデータの重要度も増している。従って、このようなシステムに対応するデータストレージ製品に対しては、大容量化、高速データ転送、高信頼性といったニーズが一層高くなってきている。
ところで、磁気テープを使用したデータストレージ用システムとしては、磁気テープの最初の部分でローディングし、記録再生する際、磁気ヘッド部にテープが巻きつかずに通過するような、いわゆるリニア方式のストレージシステムが広く使用されている。
このようなリニア方式のシステムに対応できる磁気テープに関し、先述した大容量化を達成するためには、まず、磁性層の薄膜化という方法が挙げられる。これにより記録時の自己減磁損失や再生時の厚み損失を減少させることができ、高密度記録領域での電磁変換特性を効果的に改善することができる。
しかしながら、磁性層の薄膜化に伴い、表面の凹凸に起因するスペーシングロスの問題が顕在化してくる。
これは、磁性層を薄膜化したときに、その表面状態が非磁性支持体の表面性に依存するようになることが原因となって生ずる問題であり、非磁性支持体の表面の状態が粗であれば、磁性層の表面も粗の状態となり、結果として電磁変換特性の悪化を引き起こし、ドロップアウトを誘発させるというものである。
また、薄膜化したことにより、走行耐久性が低下するという問題もある。
そこで、磁性層と非磁性支持体の間に、下層非磁性層を介在させる重層塗布型構成が提案された。
この重層塗布型構成によると、下層非磁性層を介在させたことにより、磁性層の表面形状が非磁性支持体の表面形状に追従しなくなり、表面を自由に設計することができるという利点を有している。
また、磁性層のみならず下層非磁性層に種々の機能を持たせることにより、リニア記録再生システムの特徴である固定された磁気ヘッドと磁気ヘッド上を高速走行する磁気テープとの摺動に対し、走行耐久性の向上を図ることが可能となる。
ところで、磁気テープ媒体については、走行性について高い信頼性を得るために、磁性層が設けられている側とは反対側の主面に、通常バックコート層が設けられる。
これにより、ドライブ内の走行系に対し磁気テープを安定に走行させることができ、更にはバックコート層表面に所定の凹凸を形成させることでガイドピンとの摩擦を制御することができる。
また、バックコート層を形成することにより、電気抵抗の低減化が図られ、帯電防止効果を得たり、巻き特性が改善されて、走行時の乱巻きを防止したり、磁気テープ全体の強度を向上させることができるため、形状改善効果が得られる。
しかしながら、リニア記録再生システムのドライブにおいて、磁気テープを長時間繰り返し走行させると、出力低下によるエラーレートの上昇を引き起こす場合がある。
この原因としては、磁気テープの粉落ちによるヘッドクロッグによる影響と、磁性層面のダメージによる影響とが考えられる。
磁性層表面のダメージについては、原子間力顕微鏡(AFM)や走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、微細な穴が走行方向に連なった状態になっていることに起因することが判明した。この微細穴の形成原因としては、バックコート層表面の突起物が磁性層表面に転写すること(以下、打痕と記す)が考えられる。この打痕は、バックコート層の表面に高い突起が散在していると、かかる突起に応力が集中し、磁気記録媒体を巻回したときに隣接する磁性層表面に過度に圧着することにより発生するものである。
なお、このような打痕は、未走行の場合においても観察されるが、走行後には、連なり状態となった打痕が観察されるようになり、また、このようなダメージが多く見られるものほど、走行後における粉落ち量が多い傾向にあることがわかった。
上述したような打痕が走行することで連なったような状態になる機構に関しては、下記の理由が考えられる。
一般に、リニア記録再生システムにおいては、高いデータ転送レートを得るために、磁気テープは、数m/s程度の高速で走行するが、かかる場合にも走行安定性(直進性)を維持するために磁気テープには高いテンションがかけられている。特に走行反転する際には、磁気テープの速度やテンションは不安定であることから微小な巻きズレが発生し、これに伴い打痕の発生位置が僅かにずれる。これが繰り返されることで、形状転写による打痕が連なったような状態になるのである。
そして、この連なった打痕形成の際に、磁性層表面の破壊が生じて、粉落ちが発生するものと考えられる。
従って、上述したようなリニア方式を採用した記録再生システムに用いられる磁気テープの品質を向上させるためには、繰り返し走行において磁性層側に損傷を与えないようにバックコート層の表面性を規定することが必要となってくる。
従来においても、磁気テープの走行安定性と、バックコート層側から磁性層表面への形状転写を抑制するために、バックコート層の表面形状に対する検討は行われていた(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開2003−317228号公報 特開2004−22103号公報 特開2004−22105号公報
しかしながら、今後、記録密度は一層増加していくことが予想され、これに伴い磁性層が薄層化していくと考えられているが、上記各特許文献に記載されている技術は、いずれもバックコート層表面の微細突起の高さと密度にのみ検討されているに留まり、未だ充分には、磁性層表面への形状転写、粉落ちによる磁気ヘッドへの付着、及び電磁変換特性の経時的な劣化を回避することは実現されていなかった。
そこで本発明においては、上述した実情に鑑み、高速走行に耐え、データの高速転送を実現可能であり、バックコート層からの磁性層表面への形状転写による損傷を抑制し、高耐久性と優れた電磁変換特性を長期に亘って維持可能な高信頼性を有する磁気記録媒体を提供することとした。
本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の一主面上に、非磁性粉末と結合剤とを含有する非磁性層と、磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層とが積層形成されており、磁性層の形成面側とは反対側の主面上にバックコート層を有するものとし、バックコート層の表面が、下記(1)、(2)に示す条件を満たしているものとする。
(1)高さ40nm以上の突起は、分布が0.841×10-3個/μm2以下であり、高さの標準偏差が0.010以下である。
(2)高さ100nm以上の突起は、分布が0.012×10-3個/μm2以下である。
本発明によれば、バックコート層の表面の突起に関して具体的数値を特定したことにより、長時間繰り返して走行を行った場合においても、確実に磁性層側に与えられるダメージが抑制でき、優れた電磁変換特性と、高い走行信頼性を長期に亘って維持可能な磁気記録媒体を提供することができた。
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
磁気記録媒体10は、非磁性支持体1の一主面上に、下層非磁性層3を介して磁性層2が重層形成されており、他の主面にバックコート層4が形成された構成を有している。
なお、本発明に係る磁気記録媒体は、下記に示す例に限定されるものではなく、磁性層形成面の反対側の主面にバックコート層が形成されている構成であればよく、例えば、磁性層側が一層のみで構成されている、いわゆる単層塗布型媒体でも良く、三層以上が重層されているような多層塗布型媒体であっても良い。
非磁性支持体1としては、磁気テープ用のベースフィルム材料をいずれも適用できる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
非磁性支持体1は、単層構造であっても多層構造であってもよい。また、例えば、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。非磁性支持体の膜厚は、2〜10μm程度が好適である。
次に、磁性層2について説明する。
磁性層2は、強磁性粉末、結合剤を主成分とし、その他、非磁性補強剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、硬化剤、及び各種添加剤を、所定の溶剤を用いて調整した磁性塗料を塗布することにより形成されたものとする。
強磁性粉末としては、従来塗布型の磁気テープ媒体に適用されているものをいずれも用いることができる。例えば、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等が挙げられ、更にこれらの種々の特性を改善する目的でAl、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn等の金属成分が添加されたものであってもよい。
このうちFe系の磁性粉末は電気的特性に優れている。また、耐食性及び分散性の点ではFe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn−Mn系等のFe−Al系合金粉末が好ましい。
強磁性粉末の形状は、平均長軸長が0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.4μm、更に好ましくは0.01〜0.25μmであり、かつ軸比(平均長軸長/平均短軸長)が12μm以下、更には10μm以下のものが好ましい。
強磁性粉末は、飽和磁化量(σs)が70emu/g以上であることが好ましい。σsが70emu/g未満であると、最終的に得られる磁気記録媒体において充分な電磁変換特性が得られないおそれがある。
また、高密度記録領域での記録再生を可能にする観点から、強磁性粉末は、BET法による比表面積が20〜90m2/gであることが好ましく、更には、20〜40m2/gであることがより好ましい。比表面積が上記範囲にあると、強磁性粉末の形状の微粒子化を伴い、高密度記録が可能となり、ノイズ特性の優れた磁気記録媒体を得ることが可能となる。
なお、強磁性粉末は、上記材料のうちの一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、強磁性粉末としては、バリウムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化鉄等も使用可能であるが、バリウムフェライトにおいては、Feの一部が少なくともCo及びZnで置換されたバリウムフェライトであって、平均粒径(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ)が300〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さを版厚で除した値)が2.0〜10.0、保磁力Hcが35〜120kA/mのものが好ましい。
次に、磁性層2を構成する結合剤について説明する。
結合剤としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アルリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルロールトリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。
また、結合剤樹脂には、強磁性粉末の分散性を向上させる目的で、分子中に−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2等の極性官能基が導入されていても良い。ここで、上記Mは、水素原子、あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属であるものとする。
更に、極性官能基としては、−NR1R2、−NR1R2R3+-の末端基を有する側鎖型のもの、NR1R2+-の主鎖型のものが適用できる。
ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、+-は弗素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。
また、極性官能基としては、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等も適用できる。
極性官能基の量は、10-1〜10-8mol/gであることが好ましく、10-2〜10-6mol/gであることがより好ましい。
上述した結合剤は、単独で用いてもよく、複数の種類を混合して用いてもよい。
例えば、ポリウレタン及び/またはポリエステルと、塩化ビニル系樹脂とを混合して用いる場合には、その重量比は90:10〜10:90が好適であり、さらに好ましくは70:30〜30:70の範囲であるものとする。
結合剤のガラス転移温度Tgは50〜70℃が好適である。
ガラス転移温度を上記範囲内に選定することにより、結合剤は、微細な強磁性粉末間を流動性よく充填することができる。
また、pH値が7以上の強磁性粉末とガラス転移温度が50〜70℃であるような結合剤を用いることにより、強磁性粉末を、結合剤中に良好に分散させることができる。
また、結合剤樹脂は、数平均分子量が5000〜200000であるものが好ましく、更には、10000〜100000であるものが望ましい。なお、重合度は約50〜1000程度であるものとする。
上述したような結合剤樹脂の磁性層2への混合量は、強磁性粉末100重量部に対して8〜50重量部が適当であり、更には10〜25重量部とすることが好ましい。
非磁性補強剤は、塗膜強度を補足し、走行耐久性を向上させる目的で添加するものとし、
例えば、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等が挙げられ、また、磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、塗膜強度向上等を目的とした、カーボンブラック等を挙げることができる。
非磁性補強剤の添加量は、強磁性粉末100重量部に対して、3〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部とする。
また、非磁性補強剤の粒子は、モース硬度が4以上、好ましくは5以上、さらには6以上のものが望ましい。
また、非磁性補強剤の粒子は、比重が2〜6であるものが好ましく、さらには3〜5であるものが望ましい。
更に、非磁性補強剤の粒子は、平均一次粒子径が0.05〜0.6μmであるものが好ましく、さらには0.05〜0.3μmであるものが望ましい。
潤滑剤としては、シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、モノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪族アミン、オレフィンオキサイド等、従来公知のものをいずれも使用でき、これらは単独、あるいは混合して適用してもよい。
また、潤滑剤は、磁性塗料中に添加してもよく、後工程により磁性層の表面に付与させてもよい。
特に脂肪酸や脂肪酸エステルを塗料中に添加する場合、脂肪酸の添加量は、磁性粉末に対して0.2〜10重量%とすることが好ましく、更には、0.5〜5重量%とすることが望ましい。
脂肪酸の添加量が磁性粉末に対して0.2重量%未満であると、最終的に得られる磁気記録媒体の走行性が劣化してしまい、一方、10重量%を超えると、脂肪酸が磁性層2の表面に過剰に染み出してしまい、出力低下や塗膜自体の可塑化を生じるおそれがあるためである。また、脂肪酸エステルの添加量が磁性粉末に対して0.2重量%未満であると、最終的に得られる磁気記録媒体のスチル耐久性が不足し、一方、10重量%を超えると、脂肪酸エステルが磁性層2の表面に過剰に染み出してしまい、出力低下や塗膜の可塑化を生じるおそれがあるためである。
なお、脂肪酸と脂肪酸エステルは併用することが好ましく、その場合、脂肪酸と脂肪酸エステルの比率は重量比で10:90〜90:10の範囲から選定することが好ましい。
なお、重層塗布型の磁気記録媒体においては、走行耐久性に寄与する磁性層表面の潤滑剤量は、後述する下層非磁性層3側から供給することによって調整することも可能であるため、磁性層2への潤滑剤添加量や潤滑剤の併用の仕方は、上記説明に限定されるものではない。
分散剤としては、例えば特開平4−214218号公報に挙げられている各種材料のような、従来公知の化合物を適用できる。分散剤の添加量は、上記強磁性粉末に対して0.5〜5重量%とすることが好適である。
帯電防止剤としては、例えば特開平4−214218号公報に挙げられている従来公知の界面活性剤を適用できる。帯電防止剤の添加量は、上記結合剤に対して0.01〜40重量%とすることが好適である。
硬化剤としては、例えばポリイソシアネートを適用できる。
ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)と活性水素化合物との付加体等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)と活性水素化合物との付加体等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
これらポリイソシアネートの重量平均分子量は、100〜3000の範囲であることが望ましい。
次に、下層非磁性層3について説明する。
下層非磁性層3は、結合剤と非磁性粉末とを主体とする非磁性塗料を塗布することにより形成される。
非磁性粉末としては、例えば、針状α−酸化鉄、ストラクチャー構造を有するカーボンブラック、単分散型カーボンブラック、ゲータイトルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。
上記非磁性粉末は、Si化合物やAl化合物等によって表面処理されていてもよい。なお表面処理は、SiやAl等の含有量が上記非磁性粉末に対して0.1〜10重量%となるように行うのが好ましい。
なお、非磁性粉末の形状は、針状であっても球状であってもよいが、針状であるものがより好ましい。針状の非磁性粉末を適用することにより、下層非磁性層3の表面性が向上し、その結果、磁性層2の表面を平滑化させることができる。
但し、非磁性粉末の平均長軸径、平均短軸径、及び軸比(長軸径/短軸径)は、以下の範囲とすることが好ましい。
非磁性粉末の平均長軸径は0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.2μmであるものとする。
また、平均短軸径は0.1μm以下、好ましくは0.06μm以下であるものとする。
軸比は2〜20、好ましくは5〜10であるものとする。
また、比表面積は、10〜250m2/g、好ましくは30〜100m2であるものとする。
上述したような平均長軸径、平均短軸径、軸比、及び比表面積を有する非磁性粉末を適用することにより、その上層に形成される磁性層2の表面性を良好な状態に制御することができるようになる。
なお、上記非磁性粉末は、単独で用いることもできるし、複数の種類を併用してもよい。
併用する場合は、併用する粒子のサイズに留意する必要があり、塗布後に良好な表面平滑性を確保するためには、平均粒子サイズ(針状粒子ならば、平均長軸長)が0.3μm以下、望ましくは0.2μm以下に選定する。また、比表面積は、10〜250m2/g、好ましくは30〜100m2とする。
上記非磁性粉末の下層非磁性層3への混合量は、下層非磁性層3を構成する全成分の合計量に対して、50〜99重量%、さらには70〜95重量%とすることが好ましい。
非磁性粉末の混合量を、上記範囲とすることにより、下層非磁性層3、及び磁性層2の表面性を良好な状態に制御することができる。
結合剤としては、上述した磁性層2において適用可能な結合剤樹脂を、いずれも使用することができる。
結合剤の混合量は、非磁性粉末100重量部に対して5〜150重量部、さらには10〜120重量部とすることが好ましい。
また、下層非磁性3には、磁性層2と同様に、非磁性補強剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、硬化剤等の各種添加剤を含有させてもよい。潤滑剤は、上記磁性層2と同様に層中に含有させてもよく、後工程で表面塗布するようにしてもよい。
次に、バックコート層4について説明する。
バックコート層4は、結合剤と非磁性粉末とを主体とする非磁性塗料を塗布することにより形成される。
非磁性粉末としては、主に帯電防止効果を目的として、カーボンブラック、グラファイトを適用する。また、所定の強度を付加するため、所定の非磁性補強剤を適用する。非磁性補強剤としては、具体的には、TiO2、TiO、ZnO、CaCO3、CaO、SnO2、SiO2、α−Fe23、Cr23、α−Al23、ZnS、MoS2、BaSO4、CaSO4、MgCO3、BN、SiC等が挙げられ、特に、カーボンブラック、グラファイト、ZnO、TiO2、BaSO4、CaSO4のうちの一種類、あるいは二種以上を組み合わせで使用することが好ましい。
非磁性粉末の粒子の形状については、特に制限されるものではなく、球状、針状、板状、サイコロ状等、通常用いられている種々の形状のものを用いることができる。
なお、最終的に得られる磁気記録媒体において、バックコート層の表面突起が起因する磁性層側のダメージにより、電磁変換特性の劣化を招来することを回避するため、バックコート層4中に含有させるカーボンブラックや非磁性補強材の粒子サイズを選定し、本発明においては、下記のように、バックコート層の表面性を規定した。
すなわち、バックコート層4の表面に形成されている突起が、下記(1)、(2)に示す高さ分布の条件を満たしているものとする。
(1)高さ40nm以上の突起は、分布が0.841×10-3個/μm2以下であり、高さの標準偏差が0.010以下である。
(2)高さ100nm以上の突起は、分布が0.012×10-3個/μm2以下である。
上記条件を満たすべく、バックコート層中のカーボンブラックは、平均粒子サイズが10〜50nmの微粒子カーボンブラックと、平均粒子サイズが60〜100nmの中粒径カーボンブラックを併用して適用することが好ましい。微粒子カーボンブラックと中粒子カーボンブラックとの混合比率が100:0〜70:30とすることが好ましい。
また、非磁性補強材としては、モース硬度が5〜9であり、平均粉体サイズが10〜300nmであるものが好ましい。平均粉体サイズが10nmより小さい場合、補強剤としての効果が充分に得られなくなり、一方、300nmより大きいと、バックコート層4の表面性が劣化してしまうためである。
なお、分散工程やカレンダー処理工程等の方法により、バックコート層面の突起の状態が、上述したようになっていれば、必ずしも前記のような粒子条件となることを必要としない。
バックコート層4の結合剤や分散剤には、バックコート層4の表面状態として、上記条件を満足するものであれば、磁性層2において適用したものをいずれも使用可能である。
特に、ポリエステル、またはポリウレタン樹脂を併用して用いることによって耐久性及び走行性が向上し、磁気記録媒体としての性能が発揮されることが確かめられた。
また、熱分解、加水分解安定性等を考慮すると、ポリエステルポリウレタン系樹脂、さらにはポリカーボネートポリウレタン系樹脂が好ましい。
また、架橋剤として、3官能イソシアネート化合物、例えばトリメチロールプロパン1モルとトリレンジイソシアネート3モルとの反応生成物、あるいはジイソシアネート3モルの環状付加重合物であるイソシアヌレート等を併用すれば、耐久性等をさらに向上させることができる。
バックコート層4には、磁性層2と同等に、潤滑剤等の添加剤を加えてもよい。
潤滑剤に関しては、層中に含有させてもよく、後工程で層表面に付与させてもよい。
次に、磁気記録媒体10の作製方法について説明する。
先ず、上述したような各種材料を用いて、磁性層2、下層非磁性層3、バックコート層4を形成するための磁性塗料、下層非磁性層用塗料、バックコート層用塗料をそれぞれ調整する。
磁性塗料は、先に例示した、強磁性粉末、結合剤、非磁性補強剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、硬化剤等の各種添加剤を、溶媒とともに混練、混合して、高濃度磁性塗料を調整した後、所定の溶剤を用いて希釈、分散させることにより調整される。
下層非磁性層用塗料は、磁性塗料と同様に、先に例示した、非磁性粉末、結合剤、及び各種添加剤を、溶媒とともに混練、混合して、高濃度非磁性塗料を調整した後、所定の溶剤を用いて希釈、分散させることにより調整される。
バックコート層用塗料は、磁性塗料同様に、先に例示したカーボンブラック粉末、非磁性補強剤、結合剤、及び各種添加剤を、溶媒とともに混練、混合して高濃度バック塗料を調整した後、所定の溶剤を用いて希釈、分散させることにより調整される。
上記各塗料を調整するための溶剤としては、従来公知の有機溶媒を適用することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらを適宣混合して使用する。
塗料の調整の際、混練工程においては、連続二軸混練機、多段階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニーダー等、例えば特開平4−214218号公報に開示されている混練機を、いずれも適用可能である。
そして、分散工程においては、ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワーミル、アジター、ホモジナイザー、超音波分散機等を用いることができる。
磁気テープの作製工程においては、調整された磁性塗料、下層非磁性層用塗料を、非磁性支持体1上に、同時に重層塗布することにより下層非磁性層3および磁性層2を形成することができる。
塗料を同時に重層塗布する際には、例えば、ダイコーターが用いられる。ダイコーターのリップ構成としては、2リップ方式、3リップ方式、4リップ方式等が挙げられる。
一般に、非磁性支持体1上に下層非磁性層3及び磁性層2を形成する場合、一層ずつ塗布乾燥を行う方式(いわゆるウエット・オン・ドライ塗布方式)と、乾燥されていない湿潤状態にある下層非磁性層3上に、磁性層2を重ねて塗布する方式(いわゆるウエット・オン・ウエット塗布方式)とがある。
磁気記録媒体を製造する際には、塗膜の均質性、上下界面の接着性、生産性の観点からウエット・オン・ウエット重層塗布方式による同時湿潤重層塗布を行うのが好ましい。
また、非磁性支持体1の他の主面に、バックコート層4を形成する際には、上述した所定の塗料を非磁性支持体1上に塗布する。
塗布方式としては、1リップ方式のダイコーターによるもの、グラビア塗布方式、ブレード塗布方式、塗料押し出し方式等、従来公知の何れの塗布方式も適用できる。
なお、磁性層/下層非磁性層と、バックコート層とは、何れを先に塗布しても良く、非磁性支持体1の両者に塗布装置を設け、同時に塗布するようにしてもよい。
塗布後の塗膜形成システムに用いられるカレンダーロール装置は、スチールロールとスチールロールを交互に設置し、その間に塗布ロールを挟み、圧力と温度を与えながら非磁性支持体を構成する原反材料を走行させてカレンダー処理を行っているが、このカレンダー処理を行うカレンダーロール装置は、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性樹脂ロールとスチールロールを組み合わせたものを使用してもよい。
上述のようにして得られる原反ロールは、オーブンに投入して硬化処理を行った後、所定の幅に裁断され、目的とする磁気テープが得られる。
本発明の磁気記録媒体について、具体的な実験結果に基づいて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
まず、下記に示す組成により、磁性層形成用の塗料、下層非磁性層形成用の塗料の各材料成分を計量し、ニーダー及びサンドミルを用いて混練分散処理を行って、各塗料を調整した。
(磁性層形成用の塗料組成)
P/B比=6
強磁性鉄粉末 :100重量部
(BET法による比表面積:50m2/g、保磁力:2400Oe)
スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 : 4重量部
スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 : 16重量部
カーボンブラック(平均粒子サイズ0.03μm): 4重量部
α−アルミナ(平均粒子サイズ0.07μm) : 5重量部
ミリスチン酸 : 3重量部
ブチルステアレート : 3重量部
ヘプチルステアレート : 3重量部
メチルエチルケトン :200重量部
トルエン :150重量部
シクロヘキサノン :200重量部
(下層非磁性層形成用の塗料組成)
P/B比=6
α−Fe23 :100重量部
(BET法による比表面積52m2/g)
スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 : 4重量部
スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 : 16重量部
カーボンブラック : 20重量部
(平均粒子サイズ0.02μm)
α−アルミナ(平均粒子サイズ0.10μm) : 3重量部
ブチルステアレート : 3重量部
ヘプチルステアレート : 3重量部
メチルエチルケトン :100重量部
トルエン : 50重量部
シクロヘキサノン :100重量部
更に、上記磁性層形成用塗料、及び下層非磁性層形成用塗料の分散液には、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製商品名コロネートL)を10重量部添加した。
また、下記に示す組成により、バックコート層形成用の塗料の各成分を計量し、ニーダー及びボールミルを用いて6時間分散処理を行って、塗料を調整した。
(バックコート層形成用の塗料組成)
カーボンブラック粉末(平均粒子サイズ:20nm) :100重量部
ポリカーボネートポリウレタン(ガラス転移温度55℃): 70重量部
ニトロセルロース樹脂 : 30重量部
酸化チタン(平均粒子サイズ100nm) : 0.5重量部
メチルエチルケトン :600重量部
トルエン :400重量部
更に、バックコート層形成用塗料の分散液に、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製商品名コロネートL)を10重量部添加した。
上述のようにして調整した磁性層形成用の塗料と、下層非磁性層形成用の塗料とを、膜厚6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥膜厚が、磁性層0.15μm、下層非磁性層1.0μmとなるように同時重層塗布した。
この際、磁性塗膜においては、未乾燥状態である間にランダム的に磁場配向処理を施し、その後乾燥して重層塗膜を形成した。
そして、この重層塗膜を得た側とは反対側の面に、バックコート層の塗料を塗布し、乾燥膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その後、スチールロールが交互に設置されたカレンダー装置を用いて表面平滑処理を下記に示す条件により行い、広幅の原反ロールを得た。
(表面平滑処理条件)
処理温度:110℃
処理圧(線圧力):150N/mm2
処理速度:150m/min
処理回数:2回
このようにして得られた原反ロールを、60℃に加熱されたオーブンに、20時間放置して硬化処理を行い、その後、1/2ンチ幅にスリットすることでパンケーキを作製した。
そして、所定のカートリッジに組み込んでサンプルとした。
〔実施例2〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を90重量部と、平均粒径80nmのカーボンブラック粉末を10重量部とを併用した。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔実施例3〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を70重量部と80nmのカーボンブラック粉末を30重量部とを併用し、バック塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔実施例4〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を60重量部と平均粒子サイズが80nmのカーボンブラック粉末を40重量部併用し、バック塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔比較例1〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を70重量部と、平均粒子サイズが80nmのカーボンブラック粉末を30重量部併用した。
その他の条件は上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔比較例2〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を70重量部と80nmのカーボンブラック粉末を30重量部併用し、バックコート層形成用塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。但し、カレンダー処理は1回のみ行った。
〔比較例3〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を70重量部と80nmのカーボンブラック粉末を30重量部併用し、バックコート層形成用と量の分散時間を10時間とした。
磁性塗料、下層非磁性層形成用と量は、上記実施例1と同様に調整した。
これら塗料は、上記実施例1と同様の塗膜形成システムを用いて塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て磁気テープとして所定のカートリッジに組み込みサンプルとしたが、カレンダー処理温度は70度とした。
〔比較例4〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが80nmのカーボンブラック粉末を100重量部使用し、バックコート層形成用塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔比較例5〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を90重量部と平均粒子サイズが100nmのカーボンブラック粉末を10重量部併用し、バックコート層形成用塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
〔比較例6〕
バックコート層形成用の塗料の材料として、平均粒子サイズが20nmのカーボンブラック粉末を50重量部と平均粒子サイズが100nmのカーボンブラック粉末を50重量部併用し、バックコート層形成用塗料の分散時間を10時間とした。
その他の条件は、上記実施例1と同様とし、塗布工程、カレンダー工程、硬化工程を経た後、広幅の原反ロールを作製し、スリット工程を経て所定のカートリッジに組み込みサンプルを作製した。
上述のようにして作製した実施例1〜4、比較例1〜6の各サンプルについて、バックコート層の突起分布の測定、及び走行耐久性試験を行い、評価を行った。
以下、測定、評価方法について説明する。
(バックコート層の突起分布)
光干渉型表面形状測定装置(Micromap社製)を使用し、バックコート層の表面に対し、235.3μm×176.8μmの範囲を無作為に10ポイント選定して測定した。その後、その総データを画像解析することにより突起高さ分布を求め、単位面積当たりの突起個数と、突起高さの標準偏差を求めた。
ここで、磁性層の表面の打痕の連なった傷の深さを同測定装置にて測定したところ平均面から40nm以上の深さであったことから、高さが40nm以上のバックコート層表面突起に着目して解析を行った。
(走行耐久性試験)
走行耐久試験に使用したドライブ装置(LTO Ultrium460ドライブ(米HP社製))の概略構成図を図2に示す。
図2に示すドライブ装置20においては、並列して配置された供給リール21と巻き取りリール22とを備え、供給リール21と巻き取りリール22間に亘って磁気テープが巻回されている。供給リール21に巻回された磁気テープは、供給リールから繰り出され、巻き取りリール22に向かって走行し、巻き取られる。両リール間の走行路中には、回転ガイド23、24が設けられており、これら回転ガイド23、24間に、磁気ヘッド25が設けられている。
このドライブ装置20にサンプル磁気テープを装着し、温度25℃、相対湿度60%の環境下において、200GBの記録データを記録し再生する試験を200パス行い、その際のエラーレートを測定した。
更に、この走行試験後に磁性層表面のダメージ状態及び、ドライブ内の磁気ヘッド上の粉落ち状態を目視で観察し、それぞれ三段階で評価した。
上記実施例1〜4、比較例1〜6の各サンプルにおけるバックコート層の作製条件を下記表1に示し、上記各測定評価結果について下記表2に示す。
Figure 2006323892
Figure 2006323892
上記表1、表2に示すように、実施例1〜4の磁気テープは、バックコート層表面の突起分布において打痕傷の要因である40nm以上の突起の総数が0.841×10-3個/μm2以下であり、100nm以上の突起数が0.012×10-3個/μm2以下であり、40nm以上の突起高さの標準偏差が0.010以下であるものとした。
これらにおいては、打痕の連なりとして見られる磁性層表面のダメージが僅かに発生する程度であり、磁気ヘッド上の粉落ちについても極めて少なく、実用上良好な状態であった。
また、実施例〜4の磁気テープは、エラーレートが10-5台(1.5×10-5〜2.2×10-5)と低く、実用上充分に良好な結果を示した。
一方、比較例1においては、実施例3に比較してバックコート層形成用塗料の分散時間を短縮し、比較例2においては、同じく実施例3に比較してカレンダー処理回数を減らして、40nm以上の突起高さの標準偏差が0.010より大とし、バックコート層表面の突起分布において40nm以上の突起の総数が0.841×10-3個/μm2より多いものとし、100nm以上の突起数が0.012×10-3個/μm2より多いものとした。
これらにおいては、走行による磁性層表面のダメージや、磁気ヘッド上の粉落ちが多く見られた。
また、これらにおいては、エラーレートが10-4台であり、上述した本発明に係る実施例に比較して悪化した。
比較例3においては、実施例3と比較してカレンダー処理温度を低くして、40nm以上の突起高さの標準偏差が0.010より大とし、バックコート層表面の突起分布において40nm以上の突起の総数が0.841×10-3個/μm2より多いものとし、100nm以上の突起数が0.012×10-3個/μm2より多いものとした。
この例においては、走行による磁性層表面のダメージや、磁気ヘッド上の粉落ちが多く見られた。
また、この例においても、エラーレートが10-4台となり、上述した本発明に係る実施例に比較して悪化した。
比較例4〜6においては、バックコート層中に含有させるカーボンブラックの平均粒子径や、配合比について、上記各実施例と異なるものとして、40nm以上の突起高さの標準偏差が0.010より大とし、バックコート層表面の突起分布において40nm以上の突起の総数が0.841×10-3個/μm2より多いものとし、100nm以上の突起数が0.012×10-3個/μm2より多いものとした。
これらにおいては、特に高い突起がバックコート層表面に多く存在するものとなったため、走行による磁性層表面のダメージが著しく増加し、磁気ヘッド上の粉落ちが多く見られた。また、エラーレートについても著しい悪化が確認された。
上述した結果から明らかなように、磁性層表面のダメージ、及びそれに伴う磁気ヘッド上の粉落ちは、データバックアップシステムとしては致命的な欠陥となるエラーレートの上昇を引き起こすものであることが確認された。
そして、磁性層表面のダメージや、磁気ヘッドの粉落ちの発生を引き起こす要因として、バックコート層表面の突起総数や粗大突起の数、突起高さの標準偏差が関与していることが確認された。また、バックコート層表面の突起数が比較的少ない場合においても、突起高さの標準偏差が大きいと磁性層表面のダメージが増加し、磁気ヘッドの粉落ちが多くなる傾向にある。この理由としては、バックコート層表面の突起高さが不均一であると、周辺部より高い突起に応力が集中し、この突起が、積層により接した磁性層表面に過度に圧着して損傷を与えるためである。
上述したことに鑑みて、バックコート層表面の突起による磁性層表面へのダメージや、磁気ヘッドの粉落ちを抑制するために、バックコート層表面の、所定の高さ以上の突起の数、標準偏差について特定することとし、本発明においては、高さが40nm以上の突起数を0.841×10-3個/μm2以下にし、また、100nm以上の粗大突起を0.012×10-3個/μm2以下にする必要があり、かつ40nm以上の突起高さの標準偏差を0.010以下になるように、突起を均一化することにより、突起にかかる応力を分散せしめることができ、磁性層表面のダメージが効果的に低減化され、磁気ヘッド上の粉落ちについても極めて少なくすることができ、またエラーレートも低減化でき、実用上良好なものとすることができた。
本発明の磁気記録媒体の概略断面図を示す。 走行耐久試験に使用したドライブ装置の概略構成図を示す。
符号の説明
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……下層非磁性層、4……バックコート層、10……磁気記録媒体、20……ドライブ装置、21……供給リール、22……巻き取りリール、23,24……回転ガイド、25……磁気ヘッド

Claims (3)

  1. 長尺状の非磁性支持体の一主面上に、非磁性粉末と結合剤とを含有する非磁性層と、磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層とが積層形成されており、前記磁性層の形成面側とは反対側の主面上にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
    前記バックコート層の表面が、下記(1)、(2)に示す条件を満たしていることを特徴とする磁気記録媒体。
    (1)高さ40nm以上の突起は、分布が0.841×10-3個/μm2以下であり、高さの標準偏差が0.010以下である。
    (2)高さ100nm以上の突起は、分布が0.012×10-3個/μm2以下である。
  2. 前記バックコート層は、少なくとも非磁性粉末と結合剤とを含有する非磁性塗料を塗布することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. リニア方式を適用した記録再生システムに用いられることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
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