JP2006322350A - ベーンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハウジング内に設けられたカムリングと、その内周側に配設されて回転駆動されるロータとを備え、該ロータの径方向に出没自在に設けた複数のベーンの隣接するベーンに形成されるポンプ室の容積を変化させてポンプ作動を行うベーンポンプにおいて、ポンプ脈動や振動・騒音を低減させる。
【解決手段】 例えば図6(c),(d)の低回転時における全圧式のカムリングにおいて、その外周の左半分に形成される第1流体圧室1にタンク圧が導入されて低圧がかかり、右半分に形成される第2流体圧室2にオリフィス下流圧が導入されて中圧がかかる。運転時はカムリングの内外差圧によって図示一点鎖線のように変形するが、本発明はこれと逆の、破線で示す形状2a,1b,2bのようにカムリングに予めプロファイルを与えておく。運転時にカムリングが変形した際、適切なプロファイルとなる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両のパワーステアリング装置の駆動源等に用いられるベーンポンプに係り、特に、ポンプ本体部の容量を変えることによって吐出流量を制御する可変容量型ベーンポンプに関する。
従来、例えば車両のパワーステアリング装置の駆動源として、ハウジング内に設けられたカムリングと、その内周側に配設されて回転駆動されるロータとを備え、該ロータの径方向に出没自在に設けた複数のベーンの隣接するベーンに形成されるポンプ室の容積を変化させてポンプ作動を行う、ベーンポンプが用いられている。
また可変容量型ベーンポンプは、前記カムリングをロータに対して偏心移動させることでポンプの吐出流量を制御し、これによってポンプ駆動力を低減し省エネルギー化を図っている。
このようなベーンポンプにおいて、カムリングのプロファイルは真円形状であるか、又は例えば下記特許文献1に記載のように、吸込区間において、ベーン背圧室の流量合計が回転の進行によらず常に一定となるプロファイルに設計されていた。
特開2004−23973号公報
上記のようなベーンポンプにおいては、吐出圧の増大に伴うカムリング内外周にかかる圧力により、カムリングが変形し、適切なカムプロファイルを維持することができない。このため吐出特性が変化し、ポンプから異音が発生するという問題がある。
とりわけ可変容量型ベーンポンプにおいては吸入領域と吐出領域とが1つずつ設けられているため、カムリングの同方向に圧力がかかるスパンが大きい上、カムリング外周側の圧力変化も大きいため、カムリングの変形が顕著に表れやすい。
すなわち、実際の運転時(吐出圧が上がれば上がるほど)にはカムリングに作用する圧力によりカムリングが変形するが、従来はそのカムリングの変形を全く考慮せずにプロファイルを設計していた。このため実際の運転時にはカム設計した曲線から大きく逸脱してしまい、ポンプ脈動や振動・騒音が増大するという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものでその目的は、ポンプ脈動や振動・騒音を低減させたベーンポンプを提供することにある。
(1)上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ハウジング内に配設されて回転駆動されるロータと、前記ロータに設けられたスロットに径方向に出没自在に設けられたベーンと、前記ハウジング内に設けられると共に、円環状に形成され、内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、前記カムリングの軸方向両側に設けられ、少なくともその一方側に、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートとを備えた挟持部材とを備えたベーンポンプにおいて、
前記カムリングのプロファイルを、円形よりも、このカムリングの内外周にかかる圧力の大きい側へ凸状に膨らむ形状となるように構成し、カムリングを、圧力による変形分とは逆の変形を予め持たせた。
この構成により、実際の運転時に圧力が上がった際に、内外周にかかる圧力差により、カムリングが高圧側から低圧側に押されて変形をした状態で、本来の狙いとする適切なカムリングのプロファイルとなり、脈動、振動、騒音を低減することができる。
(2)上記課題を解決するための請求項2に記載の発明は、ハウジング内に配設されて回転駆動されるロータと、前記ロータに設けられたスロットに径方向に出没自在に設けられたベーンと、前記ハウジング内に揺動自在に設けられると共に、円環状に形成され、内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、前記カムリングの軸方向両側に設けられ、少なくともその一方側に、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートとを備えた挟持部材と、前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間を第1流体圧室と、第2流体圧室とに隔成するシール部材と、を備え、前記第1流体圧室と第2流体圧室とに導かれる液圧により前記カムリングを揺動し、前記複数のポンプ室の容積を変化させる可変容量型のベーンポンプにおいて、
前記カムリングのプロファイルを、円形よりも、このカムリングの内外周にかかる圧力の大きい側へ凸状に膨らむ形状となるように構成し、カムリングを、圧力による変形分とは逆の変形を予め持たせた。
この構成により、実際の運転時に圧力が上がった際に、内外周にかかる圧力差により、カムリングが高圧側から低圧側に押されて変形をした状態で、本来の狙いとする適切なカムリングのプロファイルとなり、脈動、、騒音、振動を低減することができる。
上記構成の可変容量型のベーンポンプにおいては、吸入領域と吐出領域とが1つずつ設けられているため、カムリングの同方向にかかるスパンが大きい上、カムリング外周側の圧力変化も大きい。このため実際の運転時に圧力が上がった際に、カムリングの内外周にかかる圧力差により、カムリングが高圧側から低圧側へ押されたような変形をしたとき、本来の狙いとする適切なカムリングのプロファイルとなり、脈動、騒音、振動の低減効果をより一層得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施形態例に限定されるものではない。図1、図2は可変容量型ベーンポンプの基本的構成の一例を表し、図1はポンプ内をポンプ駆動軸の軸線に直交して切断した要部断面を示し、図2はポンプ内をポンプ駆動軸線に沿って切断した要部断面を示している。
図2において、20は、本発明にかかる可変容量型ベーンポンプのポンプハウジングであり、このポンプハウジング20は、ポンプ本体部を収容する凹部21aを備えたハウジング本体21と、このハウジング本体21に結合されて凹部21aを閉塞するリヤカバー22とによって構成されている。
ポンプハウジング20には車両のエンジンによって駆動される駆動軸23が回転自在に支持され、この駆動軸23にロータ24が一体回転可能に結合されている。ロータ24は、図1に示すようにその外周側放射方向に複数のベーンスロット70が形成され、その各スロット70にベーン25が出没自在に収容されている。
図1において、26は、前記ロータ24とともにポンプ本体部を構成し、同ロータ24を内周側に収容するカムリングであり、このカムリング26には前記各ベーン25の先端が摺接する略円形状の内面が設けられている。このカムリング26のプロファイルについては後に詳述する。
また、カムリング26はその外周部の一部(図中の下端)がポンプハウジング20内に揺動自在にピン27(第1支持点)によって支持され、そのピン27を中心とする揺動によってロータ24に対する偏心量を調整できるようになっている。図1中Oは、ロータ24及び駆動軸23の回転中心を示し、O’はカムリング26の中心を示すが、このカムリング26の中心O’はその揺動によって同図中をほぼ左右方向に変位する。
このベーンポンプは、常態において、カムリング26が回転中心Oに対して偏心しているため、ロータ24がベーン25の先端をカムリング26の内周面に摺接させつつ回転すると、隣接するベーン25,25間に形成されるポンプ室の容積を増減変化させ、それによって連続的にポンプ作動を行う。そして、カムリング26とロータ24の偏心量が変化すると、ポンプ室の容積変化率が変わり、それに伴ってポンプ容量が変化する。
また、28は、ポンプハウジング20の凹部21a内に嵌合され、内部にカムリング26の収容空間を形成するリング状部材であり、29(図2参照)は、このリング状部材28とともに凹部21a内に収容されたサイドプレートである。リング状部材28は、硬質材料によってロータ24、ベーン25、及び、カムリング26の三者の幅よりも若干広く形成され、その内周面は前記カムリング26の揺動変位を許容し得るよう略楕円状に形成されている。このリング状部材28はカムリング26の揺動中心となるピン27に係合され、このピン27によって回り止めがなされている。
そして、リング状部材28の内周面のうちのピン27の位置と相反する位置(内周の略180°ずれた位置)には、径方向内側にばね付勢されたシール部材30(図1参照)が配置され、このシール部材30がカムリング26の変位(揺動)を許容しつつ同カムリング26の外周面に密接するようになっている。
このシール部材30は、ピン27とともにリング状部材28の内側空間を、図1中左側の第1流体圧室1と同図中右側の第2流体圧室2とに隔成し、各流体圧室1,2に導入された作動油の圧力がカムリング26に対して相反方向から作用するようにしている。尚、カムリング26は第1流体圧室1方向に最大に変位したときにロータ24に対する偏心量が最大になり、逆に第2流体圧室2方向に最大に変位したときに同偏心量が最小になる。
サイドプレート29はポンプハウジング20の内部壁(リヤカバー22の内壁)とともにリング状部材28の両側部を閉塞するとともに、カムリング26の側部を摺動可能に閉塞するようになっている。
一方、リング状部材28の周壁のうちの第2流体圧室2に臨む部位には、図1に示すように所定径の貫通孔43が形成され、また、ポンプハウジング20の周壁のうちの、この貫通孔43に連続する位置には有底円筒状のスプリング収容部44が形成され、このスプリング収容部44には付勢スプリング45が収容されている。付勢スプリング45の先端部は、貫通孔43を通して第2の流体圧室2内に突出してカムリング26の外周面に当接し、カムリング26を第1の流体圧室1方向(偏心量が最大になる方向。)に付勢している。
尚リング状部材28の内周の、前記第1流体圧室1側であって吸入領域a(図1中の上半部の領域)と吐出領域b(図1中の下半部の領域)の境界付近の部位には、カムリング26側に若干突出した隆起部28a(第2支持点)が形成されている。
この隆起部28aは、カムリング26が第1流体圧室1方向(最大偏心方向)に付勢されたときにカムリング外周面と接触することによって、図示のように第1流体圧室1のスペースを確保するように働く。
また、ポンプハウジング20の凹部21aの底面には、図2に示すように、サイドプレート29との間に低圧室33と高圧室34を形成する窪みが形成されており、低圧室33と高圧室34はサイドプレート29に形成された連通孔35,36を介して夫々カムリング26内の吸入領域aと吐出領域bに導通している。そして、カムリング26内の吸入領域aは吸入ポート37に接続され、吐出領域bは吐出ポート38に接続されている。尚、サイドプレート29は高圧室34の作動油の圧力を受け、リング状部材28をリヤカバー22方向に押し付けている。
リング状部材28の上方(シール部材30側)のポンプハウジング20には、作動油の排出流量を制御する制御バルブ57が設けられている。この制御バルブ57には、仕切り片58a,58bを有した弁体58により隔成された上流側流体室61、中間流体室62、下流側流体室63が各々形成されている。64は弁体58を上流側流体室61側へ付勢するスプリングである。
中間流体室62にはタンク80から作動油が供給されるようになっている。またタンク80の作動油は吸入通路81を介して前記吸入領域aにも供給される。上流側流体室61には、前記吐出領域b(吐出ポート38)に連通した吐出通路82を介して吐出作動油が導入される。また前記吐出領域(吐出ポート38)に連通した吐出通路83にはオリフィス84が介挿されている。このオリフィス84の下流側の作動油は油圧アクチュエータ(図示省略)へ供給されるとともに制御バルブ57の下流側流体室63に供給される。
85は、その一端が上流側流体室61と中間流体室62の境界付近に開口して設けられた連通路(リターンポート)である。86は、その一端が中間流体室62と下流側流体室63の境界付近に開口して設けられた連通路である。制御バルブ57内の作動油は連通路85およびリング状部材28に設けられた孔87を介して第1流体圧室1に導入され、また連通路86および前記部材28に設けられた孔88を介して第2流体圧室2に導入されるように構成されている。
尚図1、図2では、カムリング26の、付勢スプリング45の軸方向への変位に応じてオリフィス84の開口面積を調整するように構成されているが、その機構については図示省略している。
次に上記のように構成されたベーンポンプの動作を図1〜図4とともに説明する。図3は図1、図2の要部構成を模式化した図であり、図1、図2と同一部分は同一符号をもって示している。図4はポンプ速度と吐出流量の関係を示す特性図である。
まずポンプ作動開始時は、図3(a)に示すように、制御バルブ57の弁体58はスプリング64によって上流側流体室61側に付勢されており、またカムリング26は付勢スプリング45によって隆起部28a側に付勢されている(最大偏心状態となっている)。これによって、弁体58の仕切り片58aが上流側流体室61側に位置するため連通路85は中間流体室62に連通し、第1流体圧室1にはタンク80から中間流体室62、連通路85および孔87を介してタンク圧が導入されている。
また弁体58の仕切り片58bが中間流体室62側に位置するため連通路86は下流側流体室63に連通し、第2流体圧室2には下流側流体室63、連通路86および孔88を介してオリフィス84の下流圧が導入されている。
尚図3(a)に示すカムリング26の最大偏心状態において、オリフィス84の開口面積は、図示省略の調整機構によって最大開口面積に調整されている。
そして、エンジンの始動によって駆動軸23が回転すると、カムリング26が最大偏心位置に変位した状態において、カムリング26内をロータ24が回転する。こうして、ロータ24が回転すると、カムリング26内でポンプ作動が連続して行われ、タンク80から吸入領域aに吸い込んでベーン25によって加圧された作動油が、吐出領域bから吐出通路82、83へ吐出される。そして、吐出通路82に吐出された作動油は、制御バルブ57の上流側流体室61へ導入され、吐出通路83に吐出された作動油はオリフィス84を通過して図示省略の油圧アクチュエータへと供給される一方、制御バルブ57の下流側流体室63に導入される。
このとき、オリフィス84の前後に差圧が生じ、その差圧が制御バルブ57の弁体58に作用するが、弁体58はこの差圧が設定値に達するまではスプリング64によって上流側流体室61側に押し付けられている。したがって、第1流体圧室1と第2流体圧室2はほぼ同圧に維持され、オリフィス84の前後差圧が設定圧以上になるまでの間、吐出流量は図4のA区間のようにロータ24の回転速度の上昇に略比例して増加する。
ロータ24の回転速度が上昇し、オリフィス84の前後差圧が設定圧以上(すなわち第1流体圧室1の圧力>第2流体圧室2の圧力)になると、制御バルブ57の弁体58がその差圧によって、図3(b)に示すように下流側流体室63方向に変位する。
これによって、弁体58の仕切り片58aが中間流体室62側に位置するため、連通路85は上流側流体室61に連通し、第1流体圧室1には吐出通路82、上流側流体室61、連通路85および孔87を介してオリフィス上流圧が導入される。
また弁体58の仕切り片58bが下流側流体室63側に位置するため、連通路86は中間流体室62に連通し、第2流体圧室2には中間流体室62を介してタンク圧が導入される。
そして第1流体圧室1の圧力によりカムリング26は図3(b)のように第2流体圧室2側に変位し、ロータ24に対する偏心量が減少する。するとその変位に応じて図示省略の調整機構によってオリフィス84の開口面積が縮小され、この結果ベーンポンプは、図4のB区間のように、ロータ24の回転速度と相反して吐出流量を減少させ、所謂フローダウン特性を呈することとなり、作動油の温度上昇や、駆動トルクの上昇が防止される。
図1、図2、図3のベーンポンプはカムリングの駆動方式としては所謂全圧式(高圧式)と呼ばれるものであるが、本発明はこれに限らず差圧式、低圧式のベーンポンプにも適用できるものである。
図5はカムリングの3つの駆動方式の模式図であり、図1〜図3と同一部分は同一符号をもって示している。図5(a)の差圧式において、図5(b)の全圧式と異なる構成は、連通路86の代わりに、下流側流体室63と孔88を結ぶ連通路91が設けられている点にあり、また図5(c)の低圧式において、図5(b)の全圧式と異なる構成は、連通路86および孔88の代わりに、タンク80と第2流体圧室2を結ぶ連通路92が設けられている点にある。
第1流体圧室1には、いずれの駆動方式も、オリフィス84の上流圧とタンク圧とが選択的に導入されるように構成されている。
第2流体圧室2には、(a)の差圧式では常時オリフィス下流圧が導入され、(b)の全圧式では前述したようにオリフィス下流圧とタンク圧が選択的に導入され、(c)の低圧式では常時タンク圧が導入されるように構成されている。
次に、本発明のカムリングのプロファイルについて説明する。本発明では、カムリングに作用する圧力に起因したカムリングの変形を把握し、予め変形量を補正したカム形状に構成するものである。
図6、図7は、差圧式、全圧式、低圧式の各駆動方式のカムリングについて、実際のベーンポンプの運転時にカムリングがどのように変形するかを調べ、その変形形状と、該変形を補正した設計プロファイルとを表した図である。
図6、図7において図1〜図3と同一部分は同一符号をもって示しており、図中の低、中、高は各々圧力を示し、実線の円はカムリングを真円としたときの形状を示し、一点鎖線は運転時の実際のカムリング変形形状を示し、破線は本発明のカムリングのプロファイルを示している。
また図6は低回転時(図4のA区間)を示し、図7は高回転時(図4のB区間)を示し、(a)、(c)、(e)における破線は単純に圧力のみで考察した場合の形状を、(b)、(d)、(f)における破線は圧力以外の周囲の影響を考察に入れた場合の形状を各々示している。
まず差圧式の低回転時は、前記図5(a)に示すようにカムリング26は最大偏心状態にあり、第1流体圧室1にはタンク圧が導入されるため低圧がかかり、第2流体圧室2にはオリフィス84の下流圧が導入されるため中圧がかかる。
このため吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングは、外側から内側に付勢する内外差圧によって内側に変形し、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形し、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形する(各々図示一点鎖線)。
そこで本実施形態例では図示破線のように、前記圧力による変形分を考慮しそれと逆側の変形を予め与えたカムリングのプロファイルとする。
すなわち、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも外側に凸となる形状2aとし、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状2bとし、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状1bとする。
これによって、実際の運転時にカムリング内外差圧によりカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性および吐出特性が向上する。
ここで、カムリングのプロファイルを設計するうえでの前記圧力以外の各種条件を考察してみると、カムリングの揺動支点である前記ピン27(第1支持点)付近および最大偏心時に接触する前記隆起部28a(第2支持点)付近では、カムリングは変形し難いので、これら第1、第2支持点付近のカムリングのプロファイルを略円形状としても何ら問題はない。
またカムリングは、隣り合う領域で異なる方向の荷重を受けても、境界部で急激な逆向きの変形を起こす事は無く、徐々に凹から凸または凸から凹形状に変化するため、その変形をオフセットした形状も同様に滑らかに凹凸を変化させる。
したがって差圧式の低回転時においては図6(b)に示すように、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域のプロファイルを、形状1bと同様に実線の真円よりも内側に凸となる形状1a′(但し1a′の第2流体圧室2寄りの領域のプロファイルが真円よりも外側に凸となる形状1a2′を有する)とする。
また図6(a)では、形状2aと形状2bの境界部で凹凸の形状変化が激しいので、図6(b)に示すように、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の、第1流体圧室1寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状2b1′とし、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の、吸入領域a寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状2ba′とする。
次に全圧式の低回転時は、前記図5(b)に示すようにカムリング26は最大偏心状態にあり、第1流体圧室1にはタンク圧が導入されるため低圧がかかり、第2流体圧室2にはオリフィス84の下流圧が導入されるため中圧がかかる。
このように各所にかかる圧力は前記差圧式の低回転時と同一であるため、実際の運転時の変形形状(一点鎖線)は図6(c)に示すように図6(a)と同一となり、このため本発明によるカムリングのプロファイル(破線の形状)も、図6(c)、(d)に示すように図6(a)、(b)と同一に設計するものである。また図6(c)、(d)における作用、効果も前述した図6(a)、(b)と同様であるのでその説明は省略する。
次に図6(e)の低圧式の低回転時は、前記図5(c)に示すようにカムリング26は最大偏心状態にあり、第1流体圧室1にはタンク圧が導入されるため低圧がかかり、第2流体圧室2にはタンク圧が導入されるため低圧がかかる。
このため吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形し、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形する(各々図示一点鎖線)。
そこで本実施形態例では図示破線のように、前記圧力による変形分を考慮しそれと逆側の変形を予め与えたカムリングのプロファイルとする。
すなわち、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状1bとし、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状2bとする。
これによって、実際の運転時にカムリング内外差圧によりカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性が向上する。
また周囲の影響を考慮して、図6(f)に示すように、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の、第2流体圧室2寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状1a2″とし、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の、吐出領域b寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状1ab″とする。また吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の、第1流体圧室1寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状2a1″とし、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の、吐出領域b寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状2ab″とする。
次に図7(a)の差圧式の高回転時は、図5(a)のオリフィス84の前後差圧が大きくなって制御バルブ57の弁体58が変位するため、仕切り片58aが中間流体室62側に位置し、第1流体圧室1にはオリフィス上流圧が導入されて高圧がかかる。また第2流体圧室2にはオリフィス84の下流圧が導入されて中圧がかかる。このため吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングは、外側から内側に付勢する内外差圧によって内側に変形し、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングは、外側から内側に付勢する内外差圧によって内側に変形し、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形する(各々図示一点鎖線)。
そこで本実施形態例では図示破線のように、前記圧力による変形分を考慮しそれと逆側の変形を予め与えたカムリングのプロファイルとする。
すなわち、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも外側に凸となる形状1aとし、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも外側に凸となる形状2aとし、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状2bとする。
これによって、実際の運転時にカムリング内外差圧によりカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性および吐出特性が向上する。
また図7(a)では、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域の真円形状と吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域の形状1aの境界部で凹凸の形状変化が激しいので、図7(b)に示すように、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の、吸入領域a寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状1baとし、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の、第2流体圧室2寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状1b2とする。
次に図7(c)の全圧式は、図5(b)のオリフィス84の前後差圧が大きくなって制御バルブ57の弁体58が変位するため、仕切り片58aが中間流体室62側に位置し、第1流体圧室1にはオリフィス上流圧が導入されて高圧がかかる。また仕切り片58bが下流側流体室63側に位置するため、第2流体圧室2にはタンク圧が導入されて低圧がかかる。
このため吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングは、外側から内側に付勢する内外差圧によって内側に変形し、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングは、内側から外側に付勢する内外差圧によって外側に変形する(各々図示一点鎖線)。
そこで本実施形態例では図示破線のように、前記圧力による変形分を考慮しそれと逆側の変形を予め与えたカムリングのプロファイルとする。
すなわち、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも外側に凸となる形状1aとし、吐出領域bで且つ第1流体圧室1側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状1bとし、吐出領域bで且つ第2流体圧室2側の領域のカムリングのプロファイルを、実線で示す真円よりも内側に凸となる形状2bとする。
これによって、実際の運転時にカムリング内外差圧によりカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性および吐出特性が向上する。
また図7(c)では、前記形状1aと1bの境界部、および形状2bと吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の領域の真円形状との境界部で、凹凸の形状変化が激しいので、図7(d)に示すように、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の、第2流体圧室2寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状1a2″とし、吸入領域aで且つ第1流体圧室1側の、吐出領域b寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状1ab″とし、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の、第1流体圧室1寄りの領域のプロファイルを、真円よりも外側に凸となる形状2a1″とし、吸入領域aで且つ第2流体圧室2側の、吐出領域b寄りの領域のプロファイルを、真円よりも内側に凸となる形状2ab″とする。
次に図7(e)の低圧式の高回転時は、前記図5(c)のオリフィス84の前後差圧が大きくなって制御バルブ57の弁体58が変位するため、仕切り片58aが中間流体室62側に位置し、第1流体圧室1にはオリフィス上流圧が導入されて中圧がかかる。また第2流体圧室2にはタンク圧が導入されるため低圧がかかる。このように各所にかかる圧力は前記全圧式の高回転時と同一であるため、実際の運転時の変形形状(一点鎖線)は図7(e)に示すように図7(c)と同一となり、このため本発明によるカムリングのプロファイル(破線の形状)も、図7(e)、(f)に示すように図7(c)、(d)と同一に設計するものである。また図7(e)、(f)における作用、効果も前述した図7(c)、(d)と同様であるのでその説明は省略する。
尚、本発明のプロファイルを有したカムリングを適用した場合の、ポンプ回転数とポンプ脈動レベルの関係を図8に示す。図8(a)は低負荷時、図8(b)は中負荷時、図8(c)は高負荷時を表しているが、いずれの場合も、実線で示す従来のポンプの特性よりも、破線で示す本発明によるポンプの特性の方が良好であることがわかる。
また本発明は、可変容量型ベーンポンプに限らず、固定式カムリングを採用したベーンポンプに適用する場合も、前記と同様に実際の運転時の変形分とは逆の変形を予め与えたプロファイルを持たせることにより、前記と同様の作用、効果が得られる。
更に、上記実施形態例から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載のベーンポンプは、前記吐出ポートに連通する吐出通路に設けられたオリフィスと、このオリフィスの前後差圧が導かれる切換弁と、前記第2流体圧室に設けられ、前記カムリングをこの第2流体圧室側から前記第1流体圧室側へ付勢する付勢手段と、を更に備え、前記切換弁は、前記第1流体圧室へ導かれる圧力を前記オリフィスの上流側圧力と大気圧とを切り換え、前記第2流体圧室へは、前記オリフィスの下流側圧力を導くように構成するとともに、前記カムリングの、吸入領域で且つ第2流体圧室の領域におけるプロファイルと、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルとを、円形よりも外周側へ凸状に膨らむ形状に各々構成する。
この構成により、カムリングの最大偏心状態においては、第1流体圧室側が低圧となり、第2流体圧室側が高圧となる。また、付勢手段によりカムリングが第1流体圧室側へ付勢されているため、カムリングの安定性が良い。
さらに、吸入領域で且つ第2流体圧室の領域におけるカムリング外側(第2流体圧室側)から内側(吸入領域側)方向へ付勢するカムリングの内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性を向上させることができる。
また、ポンプ高回転時は、第1流体圧室側の圧力が第2流体圧室側および吸入領域の圧力よりも高くなる。このためポンプ高回転時において、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング外側(第1流体圧室側)から内側(吸入領域側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性を向上させることができる。
(ロ)前記(イ)項に記載のベーンポンプにおいて、前記カムリングの吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルと、吐出領域で且つ第2流体圧室の流体圧におけるプロファイルとを、円形よりも内周側へ凸状に膨らむ形状に各々構成する。
この構成において、ポンプ低回転時は、第1流体圧室側の圧力が吐出領域の圧力より低くなる。このためポンプ低回転時において、吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第1流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
また、吐出領域の圧力は、低回転時も高回転時も、第2流体圧室の圧力よりも高い。このため、吐出領域で且つ第2流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第2流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
(ハ)請求項2に記載のベーンポンプは、前記吐出ポートに連通する吐出通路に設けられたオリフィスと、このオリフィスの前後差圧が導かれる切換弁と、前記第2流体圧室に設けられ、前記カムリングをこの第2流体圧室側から前記第1流体圧室側へ付勢する付勢手段と、を更に備え、前記切換弁は、前記第1流体圧室へ導かれる圧力を前記オリフィスの上流側圧力と大気圧とを切り換え、前記第2流体圧室へ導かれる圧力を、前記オリフィスの下流側圧力と大気圧とを切り換えるように構成するとともに、前記カムリングの、吸入領域で且つ第2流体圧室の領域におけるプロファイルと、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルとを、円形よりも外周側へ凸状に膨らむ形状に各々構成する。
この構成により、カムリングの最大偏心状態においては、第1流体圧室側が低圧となり、第2流体圧室側が高圧となる。また、付勢手段によりカムリングが第1流体圧室側へ付勢されているため、カムリングの安定性が良い。
さらに、カムリングの偏心量が減少する方向に移動する際、第2流体圧室へは大気圧が徐々に導入されるため、カムリングの応答性が良い。
またポンプ低回転時は、第2流体圧室側の圧力が吸入領域の圧力より高くなる。このためポンプ低回転時において、吸入領域で且つ第2流体圧室の領域におけるカムリング外側(第2流体圧室側)から内側(吸入領域側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
またポンプ高回転時は、第1流体圧室側の圧力が吸入領域の圧力より高くなる。このためポンプ高回転時において、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング外側(第1流体圧室側)から内側(吸入領域側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性を向上させることができる。
(ニ)前記(ハ)項に記載のベーンポンプにおいて、前記カムリングの、吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルと、吐出領域で且つ第2流体圧室の流体圧におけるプロファイルとを、円形よりも内周側へ凸状に膨らむ形状に各々構成する。
この構成において、ポンプ低回転時は、吐出領域の圧力が第1流体圧室側の圧力よりも高くなる。このためポンプ低回転時において、吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第1流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
また、ポンプ高回転時は、吐出領域の圧力が第2流体圧室側の圧力よりも高くなる。このためポンプ高回転時において、吐出領域で且つ第2流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第2流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
(ホ)前記請求項2に記載のベーンポンプは、前記吐出ポートに連通する吐出通路に設けられたオリフィスと、このオリフィスの前後差圧が導かれる切換弁と、前記第2流体圧室に設けられ、前記カムリングをこの第2流体圧室側から前記第1流体圧室側へ付勢する付勢手段と、を更に備え、前記切換弁は、前記第1流体圧室へ導かれる圧力を前記オリフィスの上流側圧力と大気圧とを切り換え、前記第2流体圧室へは、大気圧を導くように構成するとともに、前記カムリングの、吐出領域で且つ第2流体圧室の領域におけるプロファイルと、吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルとを、円形よりも内周側へ凸状に膨らむ形状に各々構成する。
この構成によれば、カムリングの最大偏心状態においては、カムリング全周が大気圧となるため、第1流体圧室と第2流体圧室の間の圧力漏れが生じないので、ポンプ効率が良い。
また、吐出領域の圧力は、低回転時も高回転時も、第2流体圧室の圧力よりも高い。このため、吐出領域で且つ第2流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第2流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
また吐出領域の圧力は、特にポンプ低回転時に第1流体圧室の圧力よりも高くなる。このため、吐出領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング内側(吐出領域側)から外側(第1流体圧室側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吐出特性を向上させることができる。
(ヘ)前記(ホ)項に記載のベーンポンプにおいて、前記カムリングの、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるプロファイルを、円形よりも外側方向へ凸状に膨らむ形状に構成する。
この構成において、ポンプ高回転時は、第1流体圧室の圧力が吸入領域の圧力よりも高くなる。このためポンプ高回転時において、吸入領域で且つ第1流体圧室の領域におけるカムリング外側(第1流体圧室側)から内側(吸入領域側)方向へ付勢するカムリング内外差圧によってカムリングが変形した際、適切なカムリングのプロファイルとなり、ポンプの吸入特性を向上させることができる。
(ト)前記請求項2に記載のベーンポンプは、前記吐出領域であって、前記第1流体圧室と第2流体圧室の境界点においてカムリングの揺動を支持する第1支持点と、前記第1流体圧室側であって、前記吸入領域と吐出領域の境界付近においてカムリングを支持する第2支持点と、を更に備え、前記カムリングのプロファイルを、前記第1支持点付近および第2支持点付近において、略円形の形状に構成する。
この構成において、第1支持点付近および第2支持点付近では圧力が変化してもカムリングのプロファイルが変化し難いため、円形の形状とすることにより、適切な吸入、吐出特性とすることができる。
本発明の一実施形態例のベーンポンプの、ポンプ駆動軸の軸線に直交して切断した要部断面図。 本発明の一実施形態例のベーンポンプの、ポンプ駆動軸の軸線に沿って切断した要部断面図。 本発明の一実施形態例の全圧式ベーンポンプの概要を表し、(a)は低回転時の模式図、(b)は高回転時の模式図。 可変容量型ベーンポンプにおけるポンプ速度と吐出流量の関係を示す特性図。 本発明が適用されるベーンポンプの各種カムリング駆動方式を表し、(a)は差圧式の模式図、(b)は全圧式の模式図、(c)は低圧式の模式図。 本発明の、ベーンポンプ低回転時におけるカムリングのプロファイルの実施形態例を表し、(a),(c),(e)は圧力のみを考慮した場合のプロファイル説明図、(b),(d),(f)は周囲の影響を考慮した場合のプロファイル説明図。 本発明の、ベーンポンプ高回転時におけるカムリングのプロファイルの実施形態例を表し、(a),(c),(e)は圧力のみを考慮した場合のプロファイル説明図、(b),(d),(f)は周囲の影響を考慮した場合のプロファイル説明図。 本発明のカムリングを用いたポンプと従来のポンプの、低、中、高の各負荷時における、ポンプ回転数と脈動レベルの関係を示す特性図。
符号の説明
1…第1流体圧室、2…第2流体圧室、20…ポンプハウジング(ハウジング)、21…ハウジング本体、22…リヤカバー(挟持部材)、23…駆動軸、24…ロータ、25…ベーン、26…カムリング、27…ピン(第1支持点)、28…リング状部材、28a…隆起部(第2支持点)、29…サイドプレート(挟持部材)、30…シール部材、33…低圧室、34…高圧室、37…吸入ポート、38…吐出ポート、45…付勢スプリング、57…制御バルブ、58…弁体、61…上流側流体室、62…中間流体室、63…下流側流体室、64…スプリング、80…タンク、81…吸入通路、82、83…吐出通路、84…オリフィス、85、86…連通路、87、88…孔、a…吸入領域、b…吐出領域。

Claims (2)

  1. ハウジング内に配設されて回転駆動されるロータと、
    前記ロータに設けられたスロットに径方向に出没自在に設けられたベーンと、
    前記ハウジング内に設けられると共に、円環状に形成され、内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングの軸方向両側に設けられ、少なくともその一方側に、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートとを備えた挟持部材と、を備え、
    前記カムリングのプロファイルは、円形よりも、このカムリングの内外周にかかる圧力の大きい側へ凸状に膨らむ形状を有することを特徴とするベーンポンプ。
  2. ハウジング内に配設されて回転駆動されるロータと、
    前記ロータに設けられたスロットに径方向に出没自在に設けられたベーンと、
    前記ハウジング内に揺動自在に設けられると共に、円環状に形成され、内周側に前記ロータおよびベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングの軸方向両側に設けられ、少なくともその一方側に、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートとを備えた挟持部材と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間を第1流体圧室と、第2流体圧室とに隔成するシール部材と、を備え、
    前記第1流体圧室と第2流体圧室とに導かれる液圧により前記カムリングを揺動し、前記複数のポンプ室の容積を変化させるベーンポンプにおいて、
    前記カムリングのプロファイルは、円形よりも、このカムリングの内外周にかかる圧力の大きい側へ凸状に膨らむ形状を有することを特徴とするベーンポンプ。
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