JP2006321205A - ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】複数枚のマスクの開口の重なりによってノズル孔となる貫通孔とそれに連続するテーパー部とをノズルプレート材料に対してレーザー光を照射することによって形成する際、射出欠ノズルや射出曲がりの発生なく、射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートの製造方法を提供する。
【解決手段】ノズルプレート材料10に対してそれぞれ開口を有する複数のマスク8を重合配置させ、マスク8の互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、透過部を透過させたレーザー光Lをノズルプレート材料10に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、レーザー光Lを、所定以上の酸素ガスの雰囲気下でノズルプレート材料10に照射すると共に、貫通孔のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ノズルプレート材料10に対してそれぞれ開口を有する複数のマスク8を重合配置させ、マスク8の互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、透過部を透過させたレーザー光Lをノズルプレート材料10に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、レーザー光Lを、所定以上の酸素ガスの雰囲気下でノズルプレート材料10に照射すると共に、貫通孔のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とする。
【選択図】 図1
Description
本発明はノズルプレートの製造方法、ノズルプレート及びインクジェット記録ヘッドに関し、詳しくは、ノズル孔となる貫通孔をレーザーアブレーションにより形成するインクジェット記録ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法、ノズルプレート及びそれを有するインクジェット記録ヘッドに関する。
最近、インクジェット記録ヘッドのノズルプレートに高分子材料が使用されるようになってきた。このノズルプレートにノズル孔を形成する方法として、高分子材料の穿孔に適するエキシマレーザーによるアブレーション加工の検討が多くなされている。
エキシマレーザーによるアブレーション加工は、常温、常圧、短時間で、サブミクロン〜ミクロンオーダーの精度で、熱歪みやバリのない孔や溝を形成でき、また、マスクを透過したエキシマレーザー光を、レンズで被加工物に結像させることにより加工を行う所謂マスク加工ができる特徴がある。エキシマレーザーは短パルス(〜20ns)、高輝度(〜数十MW)の紫外光を出力できる。発振波長は、レーザーガスの種類により異なるが、アブレーションに良く使用されるのは、XeCl(波長308nm)、KrF(波長248nm)である。
従来、それぞれ小判穴形状の開口を形成した2枚のマスクを重ね合わせ、それらマスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、その透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔とそれに連続するテーパー部とを加工するようにしたノズルプレートの製造方法が特許文献1に開示されている。
特許第2985682号公報
ノズルプレート材料にレーザー光を照射してテーパー部を有するノズル孔を加工する場合、テーパー部を形成しないものに比べてレーザー光照射時に発生するススの量が極端に多くなる。発生したススは、組み立て後の記録ヘッドの射出時に、射出欠ノズルや射出曲がり等の悪影響を及ぼすおそれがあるため、接着前にススを除去するための洗浄工程が必要となり、工数の増加によりコストアップにつながる問題がある。
また、本発明者らは、ノズルプレートの製造に関し、インク滴を射出欠ノズルや射出曲がり等の不具合なく安定的に吐出させることができるようにするためには、ノズルプレートのノズル孔の出口側形状が重要であることを突き止めた。上記のように複数枚のマスクを用い、レーザー光を照射することによりノズル孔を加工形成するものにおいては、ノズル孔の出口側形状は貫通孔を形成する際に決定されるため、その貫通孔の出口側形状を厳密に規定する必要がある。しかし、特許文献1には開口を小判穴形状から円形に変化させて加工を行うことが開示されているだけで、その円形とされた貫通孔の出口側形状についての具体的な規定は何ら開示がない。
更に、ノズルプレートのノズル孔に形成されるテーパー部は、その入口側の径が大きいほど流路抵抗が下がり、駆動電圧を下げることができる。駆動電圧の低下は発熱量の低下につながり、インク粘度の変動を抑え、粘度減少を生じにくくすることができる。インクの粘度が減少すると、ノズル孔から空気を吸い込み易くなり、射出の不安定化につながるために好ましいことではない。
しかしながら、テーパー部の入口側の径が大きすぎると、流路抵抗が小さくなるために、射出によって発生するインクの振動が治まるのに時間がかかり、射出の安定性に劣るようになる。また、ノズルプレートの接着工程において接着剤が流れ込み易くなって接着剤詰まりによる射出欠ノズルが発生するおそれが高まる。
そこで、本発明は、複数枚のマスクの開口の重なりによってノズル孔となる貫通孔とそれに連続するテーパー部とをノズルプレート材料に対してレーザー光を照射することによって形成する際、射出欠ノズルや射出曲がりの発生なく、射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートの製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、複数枚のマスクの開口の重なりによってノズル孔となる貫通孔とそれに連続するテーパー部とをノズルプレート材料に対してレーザー光を照射することによって形成され、射出欠ノズルや射出曲がりの発生なく、射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートを提供することを課題とする。
更に、本発明は、複数枚のマスクの開口の重なりによってノズル孔となる貫通孔とそれに連続するテーパー部とをノズルプレート材料に対してレーザー光を照射することによって形成され、射出欠ノズルや射出曲がりの発生なく、射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートを備えたインクジェット記録ヘッドを提供することを課題とする。
本発明の他の課題は以下の記載により明らかとなる。
上記の各課題は以下の各発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法である。
請求項2記載の発明は、ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法である。
請求項3記載の発明は、ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法である。
請求項4記載の発明は、ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法である。
請求項5記載の発明は、ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法である。
請求項6記載の発明は、前記ノズルプレート材料は、被加工部が75μm以上150μm以下の厚みを有し、前記貫通孔を形成した後、該貫通孔に連続するテーパー部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のノズルプレートの製造方法である。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするノズルプレートである。
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたノズルプレートを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
請求項1記載の発明によれば、レーザー光の照射によって発生したススが燃焼して除去され、加工後のノズル孔内に詰まるおそれはなくなり、加工後の洗浄工程も不要となる。しかも、貫通孔のレーザー光の出口側の形状を円形とし、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることにより、ススの除去効果と相俟って、ノズル孔の品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートとすることができる。
請求項2記載の発明によれば、貫通孔のレーザー光の出口側の長径とテーパー部の入口側の長径との比を規定することにより、テーパー部による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、レーザー光をノズルプレート材料に照射する際、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で照射を行い、なお且つ、貫通孔のレーザー光の出口側の長径とテーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることにより、テーパー部による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができると共に、レーザー光Lの照射によって発生したススが燃焼して除去され、加工後のノズル孔内に詰まるおそれはなくなり、より一層の射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートとすることができる。
請求項4記載の発明によれば、貫通孔のレーザー光の出口側の形状と、貫通孔のレーザー光の出口側の長径とテーパー部200の入口側の長径との比とを規定したことにより、ノズル孔の品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、テーパー部による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができ、より一層射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートとすることができる。
請求項5記載の発明によれば、レーザー光の照射を酸素ガスの雰囲気下で行い、なお且つ、貫通孔のレーザー光の出口側の形状及び貫通孔のレーザー光の出口側の長径とテーパー部の入口側の長径との比を規定したことにより、ノズル孔の品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、テーパー部による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができると共に、加工後のノズル孔内に詰まるおそれはなくなり、より一層の射出安定性に優れたノズル孔を有するノズルプレートとすることができる。
請求項6記載の発明によれば、貫通孔先端の出口部分の加工精度を高めることができ、この貫通孔をノズル孔とするインクジェット記録ヘッドから吐出されるインクの着弾精度を高めることができ、また、これにより記録形成される画像の品質を向上させることができる。
請求項7記載の発明によれば、以上の効果を発揮することのできるノズルプレートを提供することができる。
請求項8記載の発明によれば、以上の効果を発揮することのできるインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、レーザー穿孔装置の一例を示す概略図である。まず、このレーザー穿孔装置を参照して、ノズル孔の加工方法の概要について説明する。
同図において、1はレーザー発振器、2は第1ミラー、3は第2ミラー、4は第3ミラー、5はCCDカメラ、6はCCDカメラ5への結像レンズ、7はフィールドレンズ、8はマスク、9は対物レンズ、10はノズルプレート材料、11はX−Yテーブルである。
レーザー発振器1から出射したレーザー光Lは、第1ミラー2、第2ミラー3及び第3ミラー4を経て、フィールドレンズ7及び所望の開口を形成するマスク8を透過した後、対物レンズ9によりノズルプレート材料10表面の被加工部に結像される。ここでは2枚のマスク8a、8bを重合させて構成しているが、本発明においてマスク8の枚数は複数枚であればよく、2枚に限定されない。また、ここでは一組の凸レンズであるフィールドレンズ7及び対物レンズ9によってテレセントリック光学系を構成しており、同時に多数の孔加工が可能となる。被加工部とは、レーザー光Lが照射されることにより加工が施されるノズルプレート材料10の部位である。この結像されたレーザー光Lによりノズルプレート材料10の被加工部に加工が施される。
第3ミラー4はレーザー光Lについては全反射するが、可視光については高い透過率を持つため、CCDカメラ5による観察が可能である。このため、被加工部への結像位置はCCDカメラ5により確認され、X−Yテーブル11を移動調整することにより位置調整される。
ノズルプレートを作成するための材料であるノズルプレート材料10としては、レーザー光により容易にアブレーション可能な材料が用いられ、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン等の樹脂を好ましく用いることができる。
ここで、上記レーザー発振器1に用いられるレーザーはエキシマレーザーであることが好ましく、レーザー光Lによってノズルプレート材料10の被加工部に貫通孔100(図2(b)参照)を形成する際、対物レンズ9の一次側に配置されるマスク8により形成される透過部80の形状は、ノズルプレートのノズル孔の出口側の形状と同一形状とされる。なお、図3は、貫通孔100を形成する際の透過部80の様子を示している。図中の長径及び短径の位置は透過部80の形状により決まるものであり、図示する位置に限定されない。
ノズルプレート材料10にレーザー光を用いて貫通孔100を形成するに先立って、図2(a)に示すようにノズルプレート材料10の表面(インク滴が吐出される側)に撥インク膜12を被覆形成し、ノズルプレート材料10の表面に撥インク性を付与しておくことが好ましい。
撥インク膜12としては、ノズルプレート材料10の表面に撥インク性を付与し得ると共に、上述したようにレーザー光により容易に除去されるものであれば任意であり、例えば含フッ素樹脂溶液をコーティングする方法、含フッ素樹脂分散液をコーティングした後、加熱溶融処理を施す方法等により形成することができる。撥インク膜12の膜厚は、0.1〜0.5μm程度が好ましい。
かかる撥インク膜12の表面側には、貫通孔100の形成に先立って、更に保護部材13を貼付しておくことが、貫通孔100を形成する際の撥インク膜12の損傷を防止し、良好に加工できるようにする観点から好ましい。保護部材13としては、粘着テープ類が挙げられる。
粘着テープ類としては、基材としてポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等の樹脂を使用し、粘着剤としてゴム系粘着剤等を塗布したものを使用することができる。
このような保護部材13の厚みは、50μm以上200μm以下とすることが好ましい。保護部材13は、通常、ロール状に巻かれた状態のものを使用時に巻き解いていくため、50μm未満では、強度が弱すぎて、取り扱い性が悪いと共に、巻き解いた際に皺やスジを発生させる問題がある。また、200μmを越えるようなものでは、保護部材13がカールしてしまい、やはり取り扱い性が悪いと共に、後述するアクチュエータ基板Bに接着する際の密着性に劣るようになり、作業性が低下する。より好ましくは、75μm以上150μm以下とすることである。
撥インク膜12及び保護部材13を有するノズルプレート材料10に貫通孔100を形成する場合、それら撥インク膜12及び保護部材13の形成側とは反対側からレーザー光Lを照射するが、この場合、図2(b)に示すように、ノズルプレート材料10及び撥インク膜12を貫通させるが、保護部材13を貫通させない程度の孔加工を行う。
次いで、以上のようにして貫通孔100を形成したノズルプレート材料10に対して、マスク8により開口形状を可変させることによりテーパー部の加工を行うことができる。マスク8は、ここでは2枚のマスク8a、8bを重合させて構成しているが、本発明においてマスク8の枚数は複数枚であればよく、2枚に限定されない。テーパー部は、図1に示すように、2枚のマスク8a、8bを重合配置させ、互いの開口の重なりによって透過部を形成し、それぞれのマスクを移動させてそれらの重合度合いを変化させて透過部の形状を変化させることによって加工する。
図4は、マスク8の移動機構の概略構成を示す平面図である。このマスク8は、2枚のマスク8a、8bを重合させて構成しているが、各マスク8a、8bには、例えば長さ600μm、幅130μmの長円形状を呈するそれぞれ複数の開口、ここでは2つの開口81a、82aと81b、82bとがそれぞれ形成されている。なお、この開口の数はノズルプレート材料10に対して一度に加工される数であり、その数は図示する2つに限定されるものではない。
各マスク8a、8bの一端は、それぞれ支持枠83a、83bに取り付けられている。これら支持枠83a、83bは、図示しないモータによって回動する螺子杆84a、84bと螺合しており、モータの駆動によりそれぞれガイドレール85a、85bに沿って、図中の矢印で示すように開口81a、82a、81b、82bの長さ方向に沿って互いに接離する方向に相対的にスライド移動可能に構成され、これにより開口81a、82aと81b、82bとの重合によって形成される透過部80の面積を可変としている。
テーパー部を形成するには、まず、透過部80の面積が貫通孔100の面積と対応するようにマスク8a、8bの重合度合いが調整されて、上述したように貫通孔100が形成された後、マスク8a、8bをその重合度合いを大きくする方向に若干移動させることにより透過部80の面積を若干大きくし、貫通孔100が形成されているノズルプレート材料10の被加工部に対してレーザー光Lを照射する。これにより最初に形成された貫通孔100よりも若干大径の穴100aが形成される(図5(a))。
次いで、マスク8a、8bの重合度合いを更に大きくし、透過部80の面積を更に大きくし、同じくノズルプレート材料10の被加工部に対してレーザー光Lを照射する。これにより上記穴100aよりも若干大径の穴100bが形成される(図5(b))。
これを同様に繰り返すことにより、貫通孔100に連続するテーパー部200が形成される(図5(c))。このテーパー部200の形成に際しては、既に貫通孔100が形成されているため、レーザーが同じ出力である限り、テーパー部200を加工する際のレーザー光Lが貫通孔100の出口102の加工精度に影響を及ぼすおそれはない。
また、テーパー部200は、図示するように階段状に形成されるものに限らず、透過部80の面積の時間変化を一定にすることにより、断面が滑らかな漏斗状に形成することもできる。
以上のようにして貫通孔100及びテーパー部200が形成された後、保護部材13を剥離すると、貫通孔100がノズル孔aとされたノズルプレートAが作成される。
作成されたノズルプレートAは、ノズル孔aに対応する複数のインク室bが形成されたアクチュエータ基板Bの前端面B1に接着され、これによりインクジェット記録ヘッドHが作成される(図7)。アクチュエータ基板Bは、ここではインク室bの側壁をせん断変形させることによりインク室b内の容積を変化させ、そのとき発生する圧力によってインク室b内のインクをインク滴としてノズル孔aから吐出するものを例示しているが、インク室b内のインクをノズル孔aからインク滴として吐出可能であればいかなる構造であってもよい。
ここで、第1の発明について説明する。
第1の発明は、レーザー穿孔装置を用いてレーザー光Lをノズルプレート材料10に照射する際、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で照射を行うと共に、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を円形とし、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下に規定することにある。なお、円とは、狭義には、1点からの距離が等しい点の集合と定義されるが、本発明における円とは、狭義の円(真円)に限らず楕円も含む。
レーザー光Lの照射時に酸素ガスの雰囲気下で行うには、図5(a)(b)に示すように、ノズルプレート材料10の被加工部に酸素ガスを吹きかけながらレーザー光Lの照射を行うようにすることが好ましい。所定以上とは、吹きかけられる酸素ガスによってレーザー光Lの照射で発生したススが酸化してできたガスを取り除くことができ、レーザー光Lを照射することによって発生する飛散物の吹き出し部分に、常に消費される以上の酸素ガスを供給することであり、具体的には、被加工部の加工面1cm2当たり0.1リットル/min(20℃)以上とすることが好ましい。
このように、レーザー光Lをノズルプレート材料10に照射する際、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で照射を行うことにより、レーザー光Lの照射によって発生したススが燃焼して除去され、加工後のノズル孔a内に詰まるおそれはなくなり、加工後の洗浄工程も不要となる。
しかも、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を円形とし、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることにより、ススの除去効果と相俟って、ノズル孔aの品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、射出安定性に優れたノズル孔aを有するノズルプレートとすることができる。円の短径/長径が0.8以上1.0以下の範囲を外れると、射出欠ノズルや射出曲がりが発生し易くなる。円の短径/長径は、より好ましくは、0.98以上1.0以下とすることである。
次に、第2の発明について説明する。
第2の発明は、以上のようにして形成される貫通孔100とデーパー部200について、図6に示すように、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることにある。
このように貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を規定することにより、テーパー部200による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができる。上記長径D1と長径D2との比が1:2よりも下回ると、流路抵抗が大きくなり、駆動電圧が上がることにより発熱や粘度減少の問題が発生し易くなる。また、1:10よりも上回ると、射出時のインクの振動が治まりにくくなり、また、接着時の接着剤の流れ込みの問題も発生し易くなり、射出安定性を維持し難くなる。より好ましくは、1:3以上1:6以下とすることである。
次に、第3の発明について説明する。
第3の発明は、レーザー光Lを、所定以上の酸素ガスの雰囲気下でノズルプレート材料10に照射すると共に、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることである。
レーザー光Lの照射を酸素ガスの雰囲気下で行うことは、第1の発明において説明したのと同様であるため説明は省略する。また、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることについては、第2の発明において説明したのと同様であるため省略する。
このように、レーザー光Lをノズルプレート材料10に照射する際、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で照射を行い、なお且つ、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることにより、テーパー部200による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができると共に、レーザー光Lの照射によって発生したススが燃焼して除去され、加工後のノズル孔a内に詰まるおそれはなくなり、より一層の射出安定性に優れたノズル孔aを有するノズルプレートとすることができる。
次に、第4の発明について説明する。
第4の発明は、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすると共に、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることである。
貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることについては、第1の発明において説明したのと同様であるため説明は省略する。また、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることについては、第2の発明において説明したのと同様であるため説明は省略する。
このように、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状と、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比とを規定したことにより、ノズル孔aの品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、テーパー部200による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができ、より一層射出安定性に優れたノズル孔aを有するノズルプレートとすることができる。
次に、第5の発明について説明する。
第5の発明は、レーザー光Lを、所定以上の酸素ガスの雰囲気下でノズルプレート材料10に照射すると共に、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることである。
レーザー光Lの照射を酸素ガスの雰囲気下で行うこと、及び、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることは、第1の発明において説明したのと同様であるため説明は省略する。また、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を1:2以上1:10以下とすることについては、第2の発明において説明したのと同様であるため省略する。
このように、レーザー光Lの照射を酸素ガスの雰囲気下で行い、なお且つ、貫通孔100のレーザー光Lの出口側の形状及び貫通孔100のレーザー光Lの出口側の長径D1とテーパー部200の入口側の長径D2との比を規定したことにより、ノズル孔aの品質精度が向上し、射出欠ノズルや射出曲がりの発生をなくし、テーパー部200による流路抵抗を小さくする効果を生かしつつ、射出時のインクの振動を早期に治め、空気の吸い込みや接着時の接着剤の流れ込みの発生を抑制することができると共に、加工後のノズル孔a内に詰まるおそれはなくなり、より一層の射出安定性に優れたノズル孔aを有するノズルプレートとすることができる。
なお、以上の各発明の説明では、ノズルプレート材料10に貫通孔100を形成した後、テーパー部200を加工するようにしたが、逆にテーパー部200を形成した後に貫通孔100を形成するようにしてもよい。
また、各発明において、ノズルプレート材料10は、貫通孔100を形成する際の被加工部の厚みd(図2(b)参照)が75μm以上150μm以下の厚みを有していることが好ましい。
エキシマレーザーは、レーザー光が必ずしも一定の方向に出ず、パルス毎に方向が微妙に揺らいでいる。また、発光強度分布もパルス毎に揺らいでいる。本発明者の検討したところによると、この揺らぎがノズルプレート製造の際のノズル出口側の加工精度に影響を与えていることがわかっている。
すなわち、ノズルプレート材料10に対して一度にn個のノズルをm回に分けて加工する場合、n個毎にノズルの軸が少しばらついた加工となる。厳密にいえば、n個の中でも精度は一定ではなく、このようなノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドにより画像記録を行うと、画像品質が悪くなる。
これは以下の理由によるものと考えられる。つまり、エキシマレーザーにより加工された孔の断面を見ると、光のエネルギー密度が大きければ、レーザー光の入射側(ノズル入口)と抜け側(ノズル出口)の孔径は近くなり、逆の場合は、入射側に比べて抜け側の径は小さく、テーパー角としては大きな値となる。このとき、レーザー光の方向や強度分布が揺らぐと、加工毎に右側のテーパーが小さかったり、その逆であったりすることとなる。例えば右側のテーパーが小さければ、図8に示すように、結果として軸が右に倒れたことと同じとなり、ノズル出口側の加工精度を低下させ、射出されるインク滴の曲がりが発生して着弾精度が悪化する。
エキシマレーザーは、1〜3mrad(=1m進むと1〜3mm広がる)程度の広がり角を持っており、図9に示すように平行光成分Pだけからなるわけではない。広がり角の大きい部分θに由来する光は、ノズルプレート材料に当たった後、ノズル孔を掘り進む際、右もしくは左側のテーパー角に非対称に影響し、その成分の揺らぎはすぐに実質的なノズル軸に影響する。
θ成分は、対物レンズのより周囲を通過する部分を含むため、収差が大きく不均一になり易い。さらに平行光成分Pだけに比べ、使用されるレーザー光の範囲が図示AからBと広い範囲の影響を受けるため、変動し易くなる。レーザー光が平行光成分Pのみであれば、初期の光学的な調整がしっかりなされている限り角度のばらつきは小さいが、上述の通りエキシマレーザーには広がり角の大きい部分θの成分も含むため、これがノズル出口側の加工精度を低下させ、このノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドにより記録形成される画像の品質を低下させてしまうと考えられる。
しかし、ノズルプレート材料10の被加工部の厚みdが75μm以上150μm以下とすると、ここに貫通孔100を形成すると、エキシマレーザーのレーザー光Lのうち、対物レンズ9の略中央部を通過して被加工部に対して略平行に入射する対称で比較的光量の安定したレーザー光L1の寄与が大きくなり、反面、対物レンズ9の収差の大きい部分を経由し、光量が不安定で斜めから入射するレーザー光L2は、貫通孔100の入口101付近で蹴られて出口102付近までは届きにくいため、貫通孔100先端の出口102部分の加工精度を高めることができる。その結果、この貫通孔100をノズル孔とするインクジェット記録ヘッドから吐出されるインクの着弾精度を高めることができ、また、これにより記録形成される画像の品質を向上させることができる。
更に、ノズルプレート材料10が十分な厚みを有している場合には、テーパー部200を形成する際、最初に、貫通孔100を形成するための被加工部の厚みdが75μm以上150μm以下となる厚みを残してテーパー部の一部201を形成し(図10(a))、その後、上記被加工部に貫通孔100を形成し(図10(b))、更にその後、残りのテーパー部を形成することによりテーパー部200を完成させる(図10(c))ようにしてもよい。
(実施例1)
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表1に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表1に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
得られた各ノズルプレートを、256個のインク室を有し、その側壁を分極されたPZTにより構成してなるアクチュエータ基板の前端面に接着剤を用いて接着し、インクジェットヘッドH1〜H9をそれぞれ100個ずつ作成した。
なお、レーザー光を用いてノズル孔を加工する際の条件として、短径/長径の条件に加えて、被加工部の加工面1cm2当たり0.1リットル/min(20℃)の酸素ガスを吹きかけながら加工したものと吹きかけずに加工したものの条件を加え、ススの発生状況と各々について同一駆動条件でインク滴を射出してその射出安定性について評価した。
射出安定性は、各々のヘッドについて記録紙に所定のテストパターンを記録して射出欠ノズルの有無や射出曲がりの程度を観察し、インクジェットヘッドH1〜H9について1〜10の10段階で総合評価した。評価は数値が大きいほど良好であることを示しており、特に「6」以上の評価が本発明において好ましいものとされる。
その結果を表1に示す。
(実施例2)
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表2に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表2に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
得られた各ノズルプレートを、256個のインク室を有し、その側壁を分極されたPZTにより構成してなるアクチュエータ基板の前端面に接着剤を用いて接着し、インクジェットヘッドH10〜H18をそれぞれ100個ずつ作成し、各々について同一駆動条件でインク滴を射出して、インクジェットヘッドH10〜H18の各々について気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度及び射出安定性について評価した。
気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度は、インク滴の射出後、ノズル孔を顕微鏡観察し、インクジェットヘッドH10〜H18の各々について100ヘッド中の発生個数を評価した。気泡の吸い込みや接着剤詰まりは射出欠につながるため、本発明において発生しないことが好ましいとされる。
射出安定性は実施例1と同様に評価した。
その結果を表2に示す。
(実施例3)
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表3に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表3に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
得られた各ノズルプレートを、256個のインク室を有し、その側壁を分極されたPZTにより構成してなるアクチュエータ基板の前端面に接着剤を用いて接着し、インクジェットヘッドH19〜H22をそれぞれ100個ずつ作成した。
なお、レーザー光を用いてノズル孔を加工する際の条件として、D1とD2との比の条件に加えて、被加工部の加工面1cm2当たり0.1リットル/min(20℃)の酸素ガスを吹きかけながら加工したものと吹きかけずに加工したものの条件を加え、各々について同一駆動条件でインク滴を射出して、ススの発生状況、気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度及び射出安定性について評価した。
気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度は実施例2と同様に評価した。
射出安定性は実施例1と同様に評価した。
その結果を表3に示す。
(実施例4)
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表4に示す通りとなるようにすると共に、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表4に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表4に示す通りとなるようにすると共に、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表4に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
得られた各ノズルプレートを、256個のインク室を有し、その側壁を分極されたPZTにより構成してなるアクチュエータ基板の前端面に接着剤を用いて接着し、インクジェットヘッドH23〜H28をそれぞれ100個ずつ作成し、各々について同一駆動条件でインク滴を射出してその気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度及び射出安定性について評価した。
気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度は実施例2と同様に評価した。
射出安定性は実施例1と同様に評価した。
その結果を表4に示す。
(実施例5)
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表5に示す通りとなるようにすると共に、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表5に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
ノズルプレート材料として、厚さ75μmのポリイミド樹脂シートを用意し、それぞれ長孔が形成された2枚のマスクの重なり度合いを変化させることにより透過部を変化させ、エキシマレーザー(λ=248nm)を用いて、貫通孔のレーザー出口側形状を、円形で、且つ、短径/長径が表5に示す通りとなるようにすると共に、貫通孔のレーザー出口側の長径D1と、テーパー部の入口側の長径D2との比が表5に示す通りとなるように256個の貫通孔とそれに連続するテーパー部を形成し、これをノズル孔とするノズルプレートを作成した。
得られた各ノズルプレートを、256個のインク室を有し、その側壁を分極されたPZTにより構成してなるアクチュエータ基板の前端面に接着剤を用いて接着し、インクジェットヘッドH29〜H31をそれぞれ100個ずつ作成した。
なお、レーザー光を用いてノズル孔を加工する際の条件として、短径/長径の条件及びD1とD2との比の条件に加えて、被加工部の加工面1cm2当たり0.1リットル/min(20℃)の酸素ガスを吹きかけながら加工したものと吹きかけずに加工したものの条件を加え、各々について同一駆動条件でインク滴を射出して、ススの発生状況、気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度及び射出安定性について評価した。
気泡の吸い込み発生頻度、接着剤詰まり発生頻度は実施例2と同様に評価した。
射出安定性は実施例1と同様に評価した。
その結果を表5に示す。
A:ノズルプレート
a:ノズル孔
B:アクチュエータ基板
B1:前端面
b:インク室
H:インクジェット記録ヘッド
8:マスク
80:透過部
10:ノズルプレート材料
100:貫通孔
200:テーパー部
a:ノズル孔
B:アクチュエータ基板
B1:前端面
b:インク室
H:インクジェット記録ヘッド
8:マスク
80:透過部
10:ノズルプレート材料
100:貫通孔
200:テーパー部
Claims (8)
- ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、
前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。 - ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、
前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。 - ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、
前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。 - ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、
前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下とすると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。 - ノズルプレート材料に対してそれぞれ開口を有する複数のマスクを重合配置させ、前記マスクの互いの開口の重なりによって形成される透過部の面積を変化させながら、前記透過部を透過させたレーザー光をノズルプレート材料に照射することにより、ノズル孔となる貫通孔及びそれに連続するテーパー部を形成するようにしたノズルプレートの製造方法であって、
前記レーザー光を、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で前記ノズルプレート材料に照射すると共に、前記貫通孔のレーザー光の出口側の形状を、円形で、且つ、該円の短径/長径を0.8以上1.0以下、前記貫通孔のレーザー光の出口側の長径と前記テーパー部の入口側の長径との比を1:2以上1:10以下とすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。 - 前記ノズルプレート材料は、被加工部が75μm以上150μm以下の厚みを有し、前記貫通孔を形成した後、該貫通孔に連続するテーパー部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のノズルプレートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするノズルプレート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたノズルプレートを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
Priority Applications (1)
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JP2005148759A JP2006321205A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート及びインクジェット記録ヘッド |
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JP2005148759A Pending JP2006321205A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート及びインクジェット記録ヘッド |
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2005
- 2005-05-20 JP JP2005148759A patent/JP2006321205A/ja active Pending
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