JP2006317501A - プリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム及びドライフィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドライフィルムのブロッキングが抑制されたプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムを提供すること。
【解決手段】 (I)支持フィルム、(II)感光層及び(III)保護フィルムが積層されてなるドライフィルムであって、前記保護フィルム(III)が、0.910〜0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンから形成されたものであることを特徴とするプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム、ドライフィルム及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム及びそれをロール状の形態としたドライフィルムロールに関するものであり、さらに詳しく言えば、フィルムのブロッキングが抑制され、性能の良好なプリント配線板保護膜を与えることができるドライフィルム、ドライフィルムロール及びその製造方法に関するものである。
プリント配線板の製造においては、導電性回路の保護や導体間の絶縁性保持のために、導体回路の表面上に保護膜を形成することが行われている。このようなプリント配線板保護膜の形成には、支持フィルム上に感光層と、感光層を保護するために感光層上に設けた保護フィルムとからなる感光性ドライフィルムが用いられており、その支持フィルムとしてはポリエチレンテレフタレートフィルムが、またその保護フィルムとしてはポリエチレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムが多用されている(例えば、特許文献1(特開2002-156754号公報)参照)。
このような支持フィルム、感光層及び保護フィルムからなるドライフィルムは、ロール状の形態として使用されることがあり、支持フィルムと保護フィルムとが、それぞれ感光層の接していない面同士で接触することとなる。このような場合、フィルム同士が密着して剥離が困難となるいわゆるブロッキングが起こることがある。これは同種フィルム同士や異種フィルムでも低密度ポリエチレン等の柔軟なフィルムを使用した場合に顕著であり、特にドライフィルムをロール状にする場合にはロール製造時の張力とフィルムが曲がることに伴う曲げ応力が残留しているため、この傾向を助長することとなる。
ドライフィルムロールにおいてこのようなブロッキングが発生した場合、ロールからドライフィルムを繰り出しにくくなるなど作業性が低下する。さらには支持フィルムと保護フィルムの密着が強いため、繰り出し時に感光層と保護フィルムあるいは感光層と支持フィルムの間で剥離が起こってしまい、その後の工程に使用することが困難となることがある。また繰り出し時に感光層に過大な応力がかかり、特にプリント配線板保護膜用の耐熱性が要求される感光層では、感光層が破損することもある。
フィルムのブロッキング防止方法として、アンチブロッキング剤を添加することが行われているが、アンチブロッキング剤の分散が不良であるとフィルム表面に凸状のゲルを生成しする。このようなゲルが存在する部分は、これに接する感光層に応力を集中させることで感光層の膜厚を局部的に減少させ、甚だしい場合にはピンホールを形成し、プリント配線板保護膜としての性能を低下させるという問題がある。特にドライフィルムをロール状の形態にする場合、ロール製造時の張力が残留し、これを助長する傾向にあり、低密度ポリエチレンフィルム等の比較的柔軟で伸度の大きいフィルムを用いた場合に著しい。
なお、このような感光層の局部的な膜厚変化があっても、エッチングレジストにおいては露光、硬化後の使用、すなわちエッチング工程においては、本来の機能への影響は小さいが、プリント配線板保護膜においては局部的な膜厚の変化によりはんだ耐熱性が低下したり、絶縁特性が低下する場合があり、プリント配線板保護膜用のドライフィルムにおいては大きな問題となる。
特開2002−156754号公報
本発明は、ドライフィルムのブロッキングが抑制されたプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムを提供することにある。
本発明者は、感光性ドライフィルムにおいて、保護フィルムとして特定密度範囲のポリエチレンを用いることにより耐ブロッキング性に優れ、性能の良好なプリント配線板保護膜を与えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.(I)支持フィルム、(II)感光層及び(III)保護フィルムが積層されてなるドライフィルムであって、前記保護フィルム(III)が、0.910〜0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンから形成されたものであることを特徴とするプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
2.支持フィルム(I)がポリエステルフィルムである前記1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
3.ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである前記2記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム
4.支持フィルム(I)が、0.01〜0.70質量%のアンチブロッキング剤を含む前記1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
5.低密度ポリエチレンフィルムがアンチブロッキング剤を含まないものである前記1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
6.低密度ポリエチレンフィルムが酸化防止剤を含まないものである前記1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
7.低密度ポリエチレンフィルムが滑剤を含まないものである前記1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
8.感光層(II)が、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及び(C)エポキシ樹脂を必須成分とする感光性組成物から形成されるものである前記1に記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
9.カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートである前記8記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
10.カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートが、下記一般式(1)
Figure 2006317501
(式中、nは1〜10の整数であり、Xは単結合、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、及びスルホニル基の中から選ばれ、Yは水素原子または2,3−エポキシプロピル基を表し、nが1の場合にはYは2,3−エポキシプロピル基であり、nが2〜10の場合には少なくともひとつのYは2,3−エポキシプロピル基である。)
で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られるものである前記9記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
11.カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂を必須成分とする感光性組成物(C)が、(D)光硬化性モノマーまたはオリゴマーをさらに含む前記8記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
12.前記1〜11のいずれか1項に記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムをロール状の形態としたプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムロール。
13.下記工程(イ)〜(ホ)、
(イ)ロール状に巻き取られた支持フィルム(I)ロールから、支持フィルム(I)を繰り出す工程、
(ロ)繰り出された支持フィルム(I)上に感光性組成物を連続的に塗布する工程、
(ハ)支持フィルム(I)上に塗布された感光性組成物を乾燥し、感光層(II)を形成する工程、
(ニ)ロール状に巻き取られた保護フィルム(III)ロールから、保護フィルム(III)を繰り出して前記感光層(II)上に貼合し、ドライフィルムレジストを形成する工程、及び
(ホ)形成されたドライフィルムレジストをロール状に巻き取る工程
を含み、前記保護フィルム(III)が、0.910〜0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンから形成されたものであることを特徴とするプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムロールの製造方法。
本発明では保護フィルムとして、特定の密度の低密度ポリエチレンを用いているため、ドライフィルムロールのブロッキングが抑制され、耐熱性、光感度、絶縁特性等が良好で、信頼性に優れたプリント配線板保護膜を与える。
本発明で使用する支持フィルム(I)は、ポリエステル樹脂を任意の方法によりフィルム状に成形してなるものである。ポリエステル樹脂としては公知のものが使用でき、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。これらポリエステル樹脂の固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は通常0.52〜1.50dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00dl/g、特に好ましくは0.60〜0.80dl/gである。この固有粘度が0.52dl/g未満の場合には引裂き強度が不足することがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50dl/gを超える場合には、原料製造工程及びフィルム成形工程における生産性が損なわれることがある。
本発明に係る支持フィルム(I)に使用されるポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂の製造方法に特に制限はなく、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応させた後、次いで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで溶融状態で重縮合反応させてポリエチレンテレフタレートとすることにより得ることができる。また好ましい例としては、テレフタル酸ジメチルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させた後、得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで溶融状態で重縮合反応させてポリエチレンテレフタレートとする方法が挙げられる。さらに上記の溶融状態での重縮合反応により得られたポリエチレンテレフタレートは、必要に応じて固相状態での重合反応を行うことにより、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。
本発明に係る支持フィルム(I)として使用されるポリエステルフィルムは、通常オリゴマー含有量が1.0質量%以下であり、好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.4質量%以下である。オリゴマー含有量が1.0質量%を超えると、本発明の範囲のアンチブロッキング剤を添加しても、ブロッキング防止の効果が見られない。オリゴマー含有量が1.0質量%を超える場合、本発明の範囲を超える量のアンチブロッキング剤を添加するとブロッキング防止の効果が得られるが、この場合は支持フィルムにゲルが発生しやすくなり、感光層形成時のハジキや、保存時における感光層の流動によって感光層の膜厚が局部的に薄くなることにより、プリント配線板保護膜としての性能が低下する。またフィルムの透明性が低下するため、感光性ドライフィルムの感度が低下する。さらにはオリゴマーが支持フィルム(I)と感光層(II)の界面に移行することにより、経時的に支持フィルム(I)と感光層(II)との密着強度が低下したり、感光層(II)を硬化して形成したプリント配線板保護膜の表面性状を低下させたりすることがある。
オリゴマー含有量が1.0質量%以下のポリエステルを製造する方法に特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。製造方法としては、例えばオリゴマー含量が1.0質量%を超えるポリエステルフィルムから、有機溶剤等によりオリゴマー成分を抽出し、オリゴマー含有量を1.0質量%以下とする方法が挙げられる。またポリエステルフィルムの原料であるポリエステル樹脂として、重合条件を調節してオリゴマー含有量を低減したポリエステル樹脂を使用する方法、及び当該樹脂中の金属触媒成分を洗浄等により除去したものを使用する方法が挙げられる。後者の方法では、フィルム成形時のオリゴマー生成が抑制され、オリゴマー含有量の少ないフィルムを容易に得ることができる。
本発明に係る支持フィルム(I)の厚さに特に制限はなく、通常1〜200μmの範囲であり、好ましくは1〜100μmの範囲、より好ましくは5〜80μmの範囲、さらに好ましくは8〜50μmの範囲、よりさらに好ましくは8〜40μmの範囲、特に好ましくは10〜35μmの範囲、最も好ましくは10〜30μmの範囲である。厚さが1μm未満では強度が不足し、支持フィルム剥離時の作業性が低下することがある。また厚さが200μmを超えると露光後のパターン形状が不鮮明になることがある。
本発明に係る支持フィルム(I)は、0.01〜0.7質量%のアンチブロッキング剤を含有することが望ましい。アンチブロッキング剤は、フィルム同士の粘着あるいは接着を抑制する機能を有する物質であり、無機系または有機系のものが特に限定されずに用いられる。
無機系アンチブロッキング剤としては、溶融シリカ、合成シリカ、天然シリカ、シリカ、アルミナ、チタニア、これらの複合酸化物等、A型ゼオライト、Pc型ゼオライト、X型ゼオライト等のゼオライト、タルク、カオリン、アルミノシリケート、ケイ藻土、滑石等を挙げられる。これらはいずれも、酸変性やイオン交換等の処理が施されていてもよい。
また、有機系アンチブロッキング剤としては、例えば、架橋アクリレート樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート、架橋ポリスチレン、非溶融型のシリコン樹脂及びシリコンゴム、シリコン系共重合体、ポリアミド、トリアジン環を有する縮合型樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げられる。これらは、粉末状、好ましくは球状微粒子の形態で用いられる。これらのアンチブロッキング剤は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらアンチブロッキング剤の平均粒径は任意であるが、通常0.1〜10.0μmであり、好ましくは0.3〜8.0μm、より好ましくは0.5〜6.0μm、さらに好ましくは0.8〜5.0μm、特に好ましくは1.0〜4.0μmである。平均粒子径が0.1μm未満では、ブロッキングの抑制効果が見られない場合があり、また10.0μmを超えてもブロッキング抑制の効果が見られなくなる場合がある。
アンチブロッキング剤の配合量は、通常、前記支持フィルム(I)中0.01〜0.70質量%であり、好ましくは0.02〜0.65質量%、より好ましくは0.04〜0.60質量%、さらに好ましくは0.08〜0.55質量%、よりさらに好ましくは0.10〜0.50質量%、特に好ましくは0.12〜0.5質量%、最も好ましくは0.14〜0.4質量%である。配合量が0.01質量%未満では、ブロッキング防止の効果が見られない場合があり、また0.70質量%を超えて配合すると、透明性の低下によるドライフィルムの光感度の低下が起こることがある。またゲルの発生により露光時に紫外線等の散乱が起こり、レジストパターンの形状が不鮮明となることがある。
さらにゲルの発生により感光層の膜厚が局部的に減少し、回路パターンを有する基板との積層時に気泡が残留したり、回路パターンへの感光層の追随が困難となる。また甚だしい場合にはゲルにより感光層にピンホールが発生することもある。これらはいずれもプリント配線板保護膜としての性能を低下させ、はんだ耐熱性や絶縁特性の低下をもたらすこととなる。
アンチブロッキング剤は、任意の方法により添加することができ、例えばポリエステル樹脂を製造した後に溶融混練して添加される。この方法において、アンチブロッキング剤は予め10質量%程度の濃度に希釈されたマスターペレットの状態として添加することが好ましい。またポリエステル樹脂製造の反応時、例えばエステル交換法による場合、エステル交換反応中ないし重縮合反応中の任意の時期、または直接重合法による場合の任意の時期に、反応系中に添加することもできる。特に、重縮合反応の初期、例えば固有粘度が約0.3dl/gに至るまでの間にアンチブロッキング剤粒子を反応系中に添加するのが好ましい。
本発明に係る支持フィルム(I)は、任意の方法により製造される。例えば前記支持フィルムを形成するポリエステル樹脂、必要に応じてアンチブロッキング剤さらにはその他の添加剤を混合し、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて100〜300℃程度の温度で混練した後、Tダイ等を取り付けた押出機等により押出成形することでフィルム状に成形される。
なお、本発明に係る支持フィルム(I)は、単層のフィルムでもよく、また多層のフィルムでもよい。さらに、本発明の支持フィルム(I)は、無延伸フィルム、延伸フィルムのどちらであってもよく、延伸フィルムの場合には、一軸または二軸延伸のいずれであってもよい。延伸にあたっては公知の方法が採用可能であり、押出機等を用いてフィルム原反を作製した後、このフィルム原反をテンター式、パンタグラフ式などの延伸装置を用い、連続的に逐次にあるいは同時に延伸を行うこともできる。また本発明の(I)支持フィルムはコロナ処理等の各種処理が行われたものであってもよい。
次に本発明に係る感光層(II)について説明する。感光層(II)は、プリント配線板の保護膜として使用される任意の組成物から形成されるものであり、好ましくは、(A)カルボキシル基を有する光硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、及び(C)エポキシ樹脂を必須成分とする感光性組成物より形成される。
前記カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物に使用される、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)は、任意のものが使用できる。その使用量は本発明の感光層(II)中10〜90質量%の範囲であり、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは25〜70質量%の範囲、最も好ましくは30〜60質量%の範囲である。カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)の使用量が10質量%未満あるいは90質量%を超える場合には、硬化が不十分となり耐熱性が低下する。
カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)は、好ましくは下記一般式(1)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られるものである。
Figure 2006317501
式(1)において、nは1〜10の整数である。
式(1)において、Xは単結合、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、スルホニル基の中から選ばれ、好ましくはメチレン基またはイソプロピリデン基であり、最も好ましくはメチレン基である。
また、前記一般式(1)において、Yは水素原子または2,3−エポキシプロピル基を表し、n=1の場合には、Yは2,3−エポキシプロピル基であり、nが2以上の場合には、少なくともひとつのYは2,3−エポキシプロピル基である。
本発明で使用する不飽和基含有モノカルボン酸(b)は、1分子中に1個のカルボキシル基と1個以上の不飽和基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸(b)は、単独あるいは複数を併用することができる。これらのうち好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸であり、最も好ましくはアクリル酸である。
前記エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応は、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して、不飽和基含有モノカルボン酸(b)が0.8〜1.2当量となる比率で反応させることが好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.0当量である。
エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応は、通常有機溶剤中で行われる。有機溶剤としては、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
また、前記反応は触媒の存在下で行うことも可能である。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等を使用することができる。
前記触媒の使用量は、通常エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部である。反応中の重合を防止する目的で、重合防止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられ、その使用量は、エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部である。反応温度は、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃である。
カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)の製造に用いられる多塩基酸無水物(c)は、1分子中に1以上の酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、また複数を併用しても良い。これらのうち好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸であり、最も好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸である。
カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)の製造における多塩基酸無水物(c)の反応は、前記エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応に用いたものと同様の溶媒中において、通常60〜120℃の温度範囲において行われる。多塩基酸無水物(c)の使用量は、前記エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物中の水酸基1当量に対して、通常0.1〜2.0当量の範囲である。多塩基酸無水物(c)の使用量を変化させることにより、光硬化性樹脂(A)の酸価を調整できる。このようにして得られる本発明の光硬化性樹脂(A)の酸価は20〜200mgKOH/gであることが好ましく、50〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が20mgKOH/g未満では光硬化性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性が低下し、200mgKOH/gを超えると硬化膜の電気特性が低下する傾向がある。
本発明で使用されるカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)の他の好ましい例としては、ポリヒドロキシカルボン酸(d)、ポリオール(e)、ポリイソシアナート(f)、及び不飽和ヒドロキシ化合物(g)とを反応させて得られるものが挙げられ、好ましくはカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
ポリヒドロキシカルボン酸(d)、ポリオール(e)、ポリイソシアナート(f)、及び不飽和ヒドロキシ化合物(g)から、カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、好ましい製造方法としては、各成分を一括混合して反応させる方法、前記(d)、(e)及び(f)を反応させて1分子あたり1個以上のイソシアナート基を含有するウレタンイソシアナートプレポリマーを形成させた後、該ウレタンイソシアナートプレポリマーと前記(g)を反応させる方法等が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸(d)は、1分子中に2以上のヒドロキシル基と1以上のカルボキシル基を有する化合物であり、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸などが挙げられる。またポリヒドロキシカルボン酸(d)の他の例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリンのポリプロポキシトリオール、トリメチロールプロパンのポリエトキシトリオール、ペンタエリスリトールのポリプロポキシテトラオール、トリメチロールプロパンのε−カプロラクトン変性物などの3官能以上のポリオール化合物のヒドロキシル基1当量に対して、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの多塩基酸無水物を、酸無水物基で0.25〜0.5当量反応させた化合物等を挙げることができる。これらポリヒドロキシカルボン酸(d)のうち、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸が好ましい。
本発明のカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)として使用可能なカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用されるポリオール(e)は、1分子中に2以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価アルコールや、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールである。
ポリオール(e)の他の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ジオール、多価アルコールと多塩基酸のエステルから得られるポリエステル系ポリオール、ヘキサメチレンカーボネート、ペンタメチレンカーボネート等に由来の単位を構成単位として含むポリカーボネート系ジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリブチロラクトンジオール等のポリラクトン系ジオールが挙げられる。これらのうち好ましくは、ポリラクトン系ジオールおよびポリカーボネート系ジオールである。
これらのポリマーポリオールは、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ジオール及びポリラクトン系ジオールの中から一種類または複数種類を組み合わせて用いることができる。また、これらポリマーポリオールは、その分子中にカルボキシル基を有するものでもよい。これらのポリマーポリオールの数平均分子量は、可撓性の面から200〜2000であるものが好ましい。
本発明において、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)として使用可能なカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用されるポリイソシアナート(f)の具体例としては、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメチレンジイソシアナート、(o,m,またはp)−キシレンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアナート及び1,5−ナフタレンジイソシアナート等のジイソシナートが挙げられる。これらのポリイソシアナートは1種または2種以上用いることができる。これらのうち好ましくは2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメチレンジイソシアナート、(o,m,またはp)−キシレンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートであり、最も好ましくはイソホロンジイソシアナートである。
本発明において、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)として使用可能なカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用される不飽和ヒドロキシ化合物(g)は、1分子中に1以上のヒドロキシル基と1以上の不飽和結合を有する化合物であり、公知のものが使用できる。不飽和ヒドロキシ化合物(g)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリルレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(a)は1種または2種以上用いることができる。これらのうち2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤(B)は、紫外線等の放射線の照射により不飽和結合を有する化合物の重合を開始する能力を有する化合物である。具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、チオキサンテン、2−クロルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2,4−ジメチルチオキサンテン等のチオキサンテン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン等のアルキルアントラキノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンジルジメチルケタール類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン類、9,10−フェナンスレンキノン等が挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、必要に応じて光増感剤を併用することができる。
これらの光重合開始剤(B)の中でも、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール類、アシルホスフィンオキサイド類、α−アミノケトン類、α−ヒドロキシケトン類が好ましく、特に、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンが、波長吸収効率が高く、高活性であるため好ましい。
これらの光重合開始剤(B)の配合量は、本発明のドライフィルムの感光層(II)中0.1〜30質量%の範囲であり、好ましくは1.0〜20質量%の範囲であり、特に好ましくは2.0〜15質量%の範囲である。光重合開始剤(B)の配合量が0.1質量%未満であると、感光層の硬化が不十分となる場合がある。
本発明において使用するエポキシ樹脂(C)は1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、任意のエポキシ樹脂を使用することが可能である。これらは単独で使用しても良く、また複数を併用してもよい。より具体的には、フェノール類またはアルコール類とクロロメチルオキシランとの反応によって得られるビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビキシレノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、カルボン酸類とクロロメチルオキシランとの反応によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アミン類とクロロメチルオキシランとの反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、二重結合の酸化によって得られる内部エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの詳細については、例えば新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社1987発行)に記載されている。
これらの中でも好ましくはグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び複素環型エポキシ樹脂であり、さらに好ましくは、ビフェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビキシレノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂である。
また、エポキシ樹脂(C)としては、臭素化エポキシ樹脂を使用することも可能である。臭素化エポキシ樹脂の使用により難燃性の付与が期待できる。ここで使用される臭素化エポキシ樹脂は、1分子中に1以上の臭素原子を有するエポキシ樹脂であり、公知のものが使用できる。臭素化エポキシ樹脂としては、好ましくは下記一般式(2)
Figure 2006317501
、及び下記一般式(3)
Figure 2006317501
で示されるものが使用できる。
式(2)において、Xは単結合、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、及びスルホニル基の中から選ばれ、好ましくはメチレン基またはイソプロピリデン基であり、最も好ましくはイソプロピリデン基である。また前記一般式(2)において、mは0または1〜10の整数である。
式(3)において、Zは水素原子または2,3−エポキシプロピル基を表し、少なくともひとつのZは2,3−エポキシプロピル基である。また前記一般式(3)において、qは0または1〜10の整数である。
本発明で使用される臭素化エポキシ樹脂の具体例としては、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールFのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、臭素化ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテルなどが挙げられる。これら臭素化エポキシ樹脂は単独で使用しても良く、複数を併用してもよい。これらのうち好ましくはテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型の臭素化エポキシ樹脂であり、最も好ましくはテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
本発明におけるエポキシ樹脂(C)の使用量は、本発明の感光層(II)中1〜70質量%であり、好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。エポキシ樹脂(C)の使用量が1質量%未満では耐熱性が低下することがあり、70質量%を超えると現像性や保存安定性が低下することがある。
また、エポキシ樹脂(C)として臭素化エポキシ樹脂を使用する場合、その使用量は感光層(II)中において、通常3.0〜25.0質量%であり、好ましくは5.0〜20.0質量%、さらに好ましくは7.0〜15.0質量%である。臭素化エポキシ樹脂の使用量が3.0質量%未満では、難燃性の向上に対する効果が認められない場合があり、25.0質量%を超えると耐熱性の低下や、アルカリ現像性が低下する場合がある。
本発明における感光性組成物には、前記カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)に加え、さらに(D)光硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有することが好ましい。これらは感光性組成物の粘度を調整したり、感光性組成物を硬化物としたときの耐熱性、可撓性などの物性を調整する目的で添加される。光硬化性モノマーまたはオリゴマー(D)は、前記光重合開始剤(B)により重合する化合物であれば特に制限は無く、公知のものを単独で、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。
光硬化性モノマーまたはオリゴマー(D)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはグリセロールジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、メタクリロオキシエチルフェニールアシッドホスフェート(フェニールP)等のリン原子を有するメタクリレートなどのモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、光硬化性モノマーまたはオリゴマー(D)の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス・グリシジル(メタ)アクリレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリアクリレート;ビスフェノールSのエチレンオキシド4モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル変性ジアクリレート、脂肪酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル変性トリアクリレート等の変性ポリオールポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、前記カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)以外のウレタン(メタ)アクリレート、前記(A)以外のエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに、光硬化性モノマーまたはオリゴマー(D)としては、ビス(アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート;α,ω−ジアクリロイル−(ビスエチレングリコール)−フタレート、α,ω−テトラアクリロイル−(ビストリメチロールプロパン)−テトラヒドロフタレート等のポリエステルアクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル(メタ)アクリレート;ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート;フェノキシエチルアクリレート等も使用できる。
これらのうち好ましいものとしては、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートおよび前記カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)以外のウレタン(メタ)アクリレート、前記(A)以外のエポキシ(メタ)アクリレートである。
これら光硬化性モノマーまたはオリゴマー(D)の使用量は、前記感光層(II)中において、通常0.1〜30質量%の範囲であり、好ましくは1.0〜20質量%の範囲であり、特に好ましくは3.0〜15質量%の範囲である。
前記の感光性組成物は、さらに硬化反応触媒(E)を含有してもよい。硬化反応触媒(E)は、エポキシ基同士の反応またはエポキシ基とカルボキシル基との反応を促進する化合物であり、公知のものを使用することができる。
硬化反応触媒(E)の具体例としては、アミン類、窒素含有複素環化合物、アンモニウム塩、及びポリアミド類が挙げられる。アミン類としては、脂肪族及び芳香族の第一級、第二級、第三級アミンが挙げられる。
第一級または第二級アミンの例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メンセンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)スピロ−2,4,8,10−テトラオキサウンデカン等が挙げられる。
第三級アミンの例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、N,N,N' ,N' −テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンの例としては、メタフェニレンジアミン、4,4' −ジアミノジフェニルメタン、4,4' −ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ジアミノジフェニルスルフォン、m−アミノフェノール等が挙げられる。
また、アミン類の他の例としては、テトラメチルグアニジン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩及び/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体等が挙げられる。
窒素含有複素環化合物としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン等のピリジン類;イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、2−メチルイミダゾリウム・イソシアヌレート等のイミダゾール類;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のモルホリン類;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。
また、窒素含有複素環化合物の他の例としてトリアジン化合物が挙げられる。具体例としては、メラミン、N−エチレンメラミン、N,N',N''−トリフェニルメラミン、ヘキサ(N−メチル)メラミン等のメラミン類;、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン,2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、トリス(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルシアヌレート、N,N'−ジエチルイソシアヌレート、メチルシアヌレート、メチルイソシアヌレート等のシアヌル酸類が挙げられる。
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリブチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
ポリアミド類としては、ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラアミン等のポリアミンを縮合反応させて得られる第一及び第二アミノ基を有するポリアミノアミドが挙げられる。
これら硬化反応触媒(E)の使用量は、本発明のドライフィルム用感光性組成物中において、通常1.0質量%未満であり、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.7質量%、よりさらに好ましくは0.6質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.4質量%以下である。
本発明におけるカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)およびエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物は、上記の各成分を通常の方法で混合することによって製造することができる。混合の方法には特に制限はなく、一部の成分を混合してから残りの成分を混合してもよく、またはすべての成分を一括で混合してもよい。また、感光性組成物には、粘度調節などのために必要に応じて有機溶媒を添加して使用してもよい。このようにして粘度を調節することによって、ローラーコート、スピンコート、スクリーンコート、カーテンコートなどで対象物上に塗布することが容易となる。有機溶媒としては、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;アセト酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;カルビトールアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系、カルビトール系およびそれらのエステル、エーテル誘導体の溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;ニトロ化合物系溶媒;トルエン、キシレン、ヘキサメチルベンゼン、クメン芳香族系溶媒;テトラリン、デカリン、ジペンテン等の炭化水素からなる芳香族系および脂環族系等の溶媒等が挙げられる。1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら有機溶剤の使用量は任意であるが、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)およびエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物中において、通常10〜70質量%の範囲であり、好ましくは20〜65質量%の範囲、最も好ましくは30〜60質量%の範囲である。
なお、前記感光層(II)を形成するカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)およびエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物には必要に応じて、熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、無機あるいは有機充填剤等の添加剤を添加することができる。熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等が挙げられる。消泡剤は、塗工時および硬化時に生じる泡を消すために用いられ、具体例としてはアクリル系、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。レベリング剤は、塗工時に生じる皮膜表面の凹凸を失くすために用いられ、具体例としてはアクリル系、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。密着性付与剤の具体例としては、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等が挙げられる。無機充填剤の具体例としては、タルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸塩化合物等が挙げられる。有機充填剤の具体例としては、シリコン樹脂、シリコンゴム、弗素樹脂等が挙げられる。
本発明の保護フィルム(III)は、密度が0.910〜0.930g/cm3である低密度ポリエチレンをフィルム状に成形してなるものであり、単層のフィルムであっても、多層のフィルムであってもよい。
保護フィルム(III)に使用される低密度ポリエチレンとしては、有機過酸化物や空気の存在下に100MPa以上の圧力下でエチレンをラジカル重合して得られる高圧法低密度ポリエチレン、有機アルミニウム及びチタン等の遷移金属化合物からなる重合触媒により1〜10MPa程度の圧力下でエチレンと1−ブテンあるいは1−ヘキセン等とを共重合して得られる中低圧法ポリエチレンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは高圧法低密度ポリエチレンである。
本発明の保護フィルム(III)として使用される低密度ポリエチレンフィルムは、密度が0.910〜0.930g/cm3であり、好ましくは0.915〜0.928g/cm3、より好ましくは0.918〜0.928g/cm3、さらに好ましくは、0.920〜0.928g/cm3、よりさらに好ましくは0.921〜0.928g/cm3、さらに好ましくは0.921〜0.927g/cm3、特に好ましくは0.921〜0.926g/cm3、最も好ましくは0.922〜0.926g/cm3である。密度が0.910g/cm3未満では、ドライフィルムロールのブロッキングが発生することがある。また、感光層(II)と保護フィルム(III)の間の密着強度が低下し、ドライフィルムを所望の幅にスリットする時に、保護フィルム(III)の剥離が起こり、巻き皺が発生する場合がある。また、密度が0.930g/cm3を超えるとブロッキングは起こり難くなる傾向にあるが、巻き皺が発生しやすくなり、特にスリット時に著しい。
密度が0.910〜0.930g/cm3の低密度ポリエチレンを製造する方法に特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。これらの製造方法は、例えば重合時の温度や共重合する1−ブテン等のモノマー供給量を変化させることで、所望の密度範囲の低密度ポリエチレンを得ることができる。
本発明の保護フィルム(III)の厚さに特に制限はなく、通常1〜200μmの範囲であり、好ましくは1〜100μmの範囲、より好ましくは5〜80μmの範囲、さらに好ましくは8〜50μmの範囲、よりさらに好ましくは8〜40μmの範囲、特に好ましくは10〜35μmの範囲、最も好ましくは10〜30μmの範囲である。厚さが1μm未満では強度が不足し、支持フィルム剥離時の作業性が低下することがある。また厚さが200μmを超えると経済的に好ましくない。
本発明に係る保護フィルム(III)は、アンチブロッキング剤を1.0質量%以下の量含有していてもよいが、その含有量は好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、アンチブロッキング剤を含まないことが最も好ましい。
アンチブロッキング剤を1.0質量%を超えて配合すると、ゲルの発生により感光層の膜厚が局部的に減少し、回路パターンを有する基板との積層時に気泡が残留したり、回路パターンへの感光層の追随が困難となる。また、甚だしい場合にはゲルにより感光層にピンホールが発生することもある。これらはいずれも永久保護膜としての性能を低下させ、はんだ耐熱性や絶縁特性の低下をもたらす。
無機系アンチブロッキング剤としては、溶融シリカ、合成シリカ、天然シリカ、シリカ、アルミナ、チタニア、これらの複合酸化物等、A型ゼオライト、Pc型ゼオライト、X型ゼオライト等のゼオライト、タルク、カオリン、アルミノシリケート、ケイ藻土、滑石等が挙げられる。これらは、いずれも、酸変性やイオン交換等の処理が施されていてもよい。
また、有機系アンチブロッキング剤としては、例えば、架橋アクリレート樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート、架橋ポリスチレン、非溶融型のシリコン樹脂及びシリコンゴム、シリコン系共重合体、ポリアミド、トリアジン環を有する縮合型樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらは、粉末状、好ましくは球状微粒子の形態で用いられる。これらのアンチブロッキング剤は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらアンチブロッキング剤の平均粒径は任意であるが、通常0.1〜10.0μmであり、好ましくは0.3〜8.0μm、より好ましくは0.5〜6.0μm、さらに好ましくは0.8〜5.0μm、特に好ましくは1.0〜4.0μmである。平均粒子径が0.1μm未満では、ブロッキングの抑制効果が見られない場合があり、また10.0μmを超えてもブロッキング抑制の効果が見られなくなる場合がある。
アンチブロッキング剤は、任意の方法により添加することができ、例えば低密度ポリエチレンを製造した後に溶融混練することで添加される。この方法において、アンチブロッキング剤は予め10質量%程度の濃度に希釈されたマスターペレットの状態として添加することも可能である。また低密度ポリエチレン製造時の任意の時期に、反応系中に添加することもできる。
本発明に係る保護フィルム(III)は、酸化防止剤を0.5質量%以下の量含有していてもよいが、その含有量は、好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、酸化防止剤を含まないことが最も好ましい。酸化防止剤の含有量が0.5質量%を超えると、感光層(II)と保護フィルム(III)の間の密着強度が低下し、ドライフィルムを所望の幅にスリットする時に、保護フィルム(III)の剥離が起こり、巻き皺が発生する場合がある。またプリント配線基板との密着強度が低下し、はんだ耐熱性等の永久保護膜としての性能が低下する。
酸化防止剤の具体例としては、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1’−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系のもの、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイトビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトなどのリン系のものなどが挙げられる。
また、本発明に係る保護フィルム(III)は、滑剤を0.3質量%以下の量含有していてもよいが、その含有量は、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以下であり、滑剤を含まないことが最も好ましい。滑剤の含有量が0.3質量%を超えると、感光層(II)と保護フィルム(III)の間の密着強度が低下し、ドライフィルムを所望の幅にスリットする時に、保護フィルム(III)の剥離が起こり、巻き皺が発生する場合がある。またプリント配線基板との密着強度が低下し、はんだ耐熱性等の永久保護膜としての性能が低下することがある。
滑剤の具体例としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの脂肪族炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸やこれらの金属塩(例えばリチウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩)、パルミチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリル酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドが好ましい。
本発明に係る保護フィルム(III)は、任意の方法により製造され、例えば前記保護フィルムを形成するポリオレフィン樹脂、アンチブロッキング剤さらには必要に応じてその他の添加剤を混合し、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて100〜300℃程度の温度で混練した後、Tダイ等を取り付けた押出機等により押出成形することでフィルム状に成形される。
次に本発明の感光性ドライフィルムロールの製造方法について説明する。本発明のドライフィルムロールは、下記工程(イ)〜(ホ)の工程を含む方法により製造される。
(イ)ロール状に巻き取られた支持フィルム(I)ロールから、支持フィルム(I)を繰り出す工程、
(ロ)繰り出された支持フィルム(I)上に、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物を連続的に塗布する工程、
(ハ)支持層フィルム(I)上に塗布されたカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物を乾燥し、感光層(II)を形成する工程、
(ニ)ロール状に巻き取られた保護フィルム(III)ロールから保護フィルム(III)を繰り出して前記(II)感光層上に貼合し、ドライフィルムレジストを形成する工程、及び
(ホ)形成されたドライフィルムレジストをロール状に巻き取る工程。
工程(イ)において、まず、ロール状に巻き取られた支持フィルム(I)ロールから、支持フィルム(I)が繰り出される。繰り出された支持フィルムの端部は、感光性組成物の塗布すなわち工程(ロ)が行われる領域、乾燥すなわち工程(ハ)が行われる領域、及び保護フィルムの貼合すなわち工程(ニ)が行われる領域を経由し、工程(ホ)が行われる領域で巻き芯に固定される。次いで、この巻き芯を回転させて支持フィルム(I)を当該巻き芯に巻き取ることにより支持フィルムが連続的に繰り出される。
工程(ロ)において、前記のように繰り出された支持フィルム(I)上に、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物が連続的に塗布される。塗布の方法は任意であるが、通常、ドクターブレード、コンマコーターあるいはダイコーターなどを用いて行われる。
工程(ハ)において、前記支持フィルム(I)上に塗布されたカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物が乾燥され、感光層(II)が形成される。乾燥方法は任意であり、熱風や赤外線などにより40〜150℃程度の温度で乾燥が行われる。
工程(ニ)においては、ロール状に巻き取られた保護フィルム(III)ロールから保護フィルム(III)が繰り出され、前記感光層(II)上に貼合される。保護フィルム(III)の巻き出しは、通常保護フィルムロールを一定の回転数あるいは一定の張力を維持するように回転させることで行われる。当該ロールの回転は、ロール自体を直接駆動させてもよく、また繰り出された保護フィルム(III)を引き取ることにより間接的に駆動させてもよい。また貼合は任意の方法で行うことができるが、通常は支持フィルム(I)及び支持フィルム上に形成された感光層(II)からなる積層体と保護フィルム層(III)とをロール、好ましくは熱ロールの間を通すことにより行われる。ロールの圧力は任意であり、またロールの温度も任意であるが、通常は室温〜100℃の範囲である。
工程(ホ)において、前記工程(イ)〜(ニ)で形成されたドライフィルムレジストがロール状に巻き取られる。巻き取りは通常、紙、金属あるいはポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)など任意のプラスチック等からなる巻き芯に巻き取ることで行われる。
巻き芯の直径に特に制限はないが、ロールの直径を小さくするためには巻き芯の直径は小さいことが好ましく、この場合1〜10cmの範囲であり、好ましくは1〜4cmの範囲である。
一方、ロール状のドライフィルムにかかる応力を低減し、所定の大きさに切り出した後のカールを抑制するためには、巻き芯の直径が大きいことが望ましい。この場合巻き芯の直径は10〜30cmの範囲であり、好ましくは11〜20cmの範囲である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートフィルム中のオリゴマー含有量の測定:
支持フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出して、その質量を正確に秤量した(W1)。次いでこの試験片を還流冷却器のついた300mlのフラスコに入れ、さらにこのフラスコにモレキュラーシーブで乾燥したキシレン150mlを投入した。このフラスコを窒素置換した後、加熱して10時間還流した。フラスコを冷却後、試験片を取り出して乾燥し、その質量を正確に秤量した(W2)。以下の式によりオリゴマー含有量を算出した。
Figure 2006317501
低密度ポリエチレン(LDPE−1)の製造:
内容積5Lの撹拌機を有する高圧重合反応器にエチレン及び連鎖移動剤としてエチレンに対して0.8mol%のプロピレンを含む混合物を150MPaに圧縮して100kg/hで連続的に供給した。さらに反応器に重合開始剤として過酸化ジ第三ブチルを連続的に注入して200℃でエチレンを重合し、低密度ポリエチレンを製造した。得られた低密度ポリエチレンの密度は0.925g/cm3(JIS K6760に準拠して測定した値である。)であった。
低密度ポリエチレン(LDPE−2)の製造:
エチレン及びプロピレンの混合物を160MPaに圧縮し、230℃で重合を行った以外はLDPE−1と同様にエチレンの重合を行い、低密度ポリエチレンを製造した。得られた低密度ポリエチレンの密度は0.922g/cm3であった。
低密度ポリエチレン(LDPE−3)の製造:
エチレン及びプロピレンの混合物を160MPaに圧縮し、200℃で重合を行った以外はLDPE−1と同様にエチレンの重合を行い、低密度ポリエチレンを製造した。得られた低密度ポリエチレンの密度は0.918g/cm3であった。
低密度ポリエチレン(LDPE−4)の製造:
[固体触媒成分の調製]
窒素置換したガラス製フラスコに東ソーアクゾ(株)製AA型三塩化チタン0.25g、2,4−ペンタンジオン0.19ml(1.3mmol)、テトラヒドロフラン25mlを入れ1時間還流して、三塩化チタンとN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの錯化合物の青紫色溶液を得た。また、窒素置換したガラス製フラスコに市販の無水塩化マグネシウム0.15gとテトラヒドロフラン12mlを入れ、塩化マグネシウムが溶解するまで還流した。この塩化マグネシウム溶液を、別の窒素置換したフラスコに、600℃で4時間焼成したDAVISON952グレードのシリカ1.4gとともに入れ、55℃で1時間撹拌した後、真空下で溶媒を除去し固体成分を得た。上記透明溶液とヘキサン70mlをこの固体成分に加え、60℃で1時間撹拌した後に真空下で溶媒を除去し、固体触媒成分を得た。
[エチレンと1−ブテンとの共重合]
窒素置換した1.5Lのオートクレーブに予めトリエチルアルミニウム1.1mmolと固体触媒成分82.5mg、イソブタン800mlを仕込み、内温を80℃に昇温した。ついで、水素を分圧で1.5kg/cm2圧入し、1−ヘキセンを155g仕込んだ後、エチレンを分圧が5.0kg/cm2になるまで圧入し重合を開始した。エチレン分圧を5.0kg/cm2になるように保ちながら、60分重合を行った。得られた低密度ポリエチレンの密度は0.908g/cm3であった。
低密度ポリエチレンフィルムの製造:
上記で得られた低密度ポリエチレンにアンチブロッキング剤及びその他の添加剤を加えて溶融混練しペレット化した後、空冷式インフレーションフィルム成形機(モダンマシナリー社製,押出機バレル径45mm,フルフライトスクリュー,装着フィルター120メッシュ,ダイ径80mm)を用い、押出機の温度設定をシリンダー部130〜150℃、アダプター・ダイ部150℃、引取り速度20m/min、ブローアップ比2.0の条件で、厚さ25μmのフィルムを製膜した。
合成例1:カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A−1)
ビスフェノールF型固型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製,エポキシ当量800)400部をエピクロルヒドリン925部とジメチルスルホキシド462.5部を溶解させた後、撹拌下70℃で98.5%NaOH81.2部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。次いで過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、さらに30%NaOH10部を加え70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量290のエポキシ樹脂(a−1)370部を得た。
上記で得たエポキシ樹脂(a−1)2900部(10当量)、アクリル酸720部(10当量)、メチルハイドロキノン2.8部、カルビトールアセテート1950部を仕込み、90℃に加熱、撹拌し、反応混合物を溶解した。次いで、反応液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン16.7部を仕込み、100℃に加熱し、約32時間反応し、酸価が1.0mgKOH/gの反応物を得た。次に、これにテトラヒドロ無水フタル酸1480部(9当量)、カルビトールアセテート423部を仕込み、95℃に加熱し、約6時間反応し、冷却後、固形分の酸価が100mgKOH/gの固形分の濃度65%のカルボキシル基含有光硬化性樹脂(A−1)を得た。このものの粘度(25℃)は320ポイズであった。
合成例2:カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A−2)
撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとしてポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製,PLACCEL212,分子量1250)3750g、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物としてジメチロールプロピオン酸402g、ポリイソシアナートしてイソホロンジイソシアナート1554g及びヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート238g、さらにp−メトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを各々1.0gずつを投入した。撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、ジブチル錫ジラウレート1.6gを添加した。反応容器内の温度が低下し始めたら再度加熱して80℃で撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアナート基の吸収スペクトル(2280cm-1)が消失したことを確認して反応を終了し、カルボキシル基含有光硬化性樹脂(A−2)を得た。得られた光硬化性樹脂(A−2)の数平均分子量は2,5000、酸価は40mgKOH/gであった。
実施例1:
(1)感光性組成物の製造
主剤組成物及び硬化剤組成物を構成する各成分を表1に記載の割合で配合したのち、3本ロールミルにより2度混合し、主剤組成物及び硬化剤組成物を調製した。次にこの主剤組成物、硬化剤組成物及び有機溶剤を混合し、撹拌機により毎分2000回転で5分撹拌することでカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物を得た(配合1)。
(2)永久保護膜用感光性ドライフィルムの製造
工程(イ):
ポリエチレンテレフタレートフィルムのロールから支持フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム((株)東レ製,ルミラーX10S)を0.5m/分の速度で繰り出した。なお繰り出しは、ロールから巻きほぐした支持フィルム端部を巻き芯に固定し、この巻き芯を回転させることにより行った。
工程(ロ):
上記工程(イ)で連続的に繰り出された支持フィルム(I)上に、上記(1)で得られた感光性組成物を、コンマコーターを用いて塗工した。
工程(ハ):
次いで支持フィルム(I)上に塗布された感光性組成物を、85℃に設定された熱風乾燥炉(フィルム移動方向の炉長 2m)を通過させることにより感光層(II)を形成した。乾燥後の感光層(II)の膜厚は36μmであった。
工程(ニ):
さらに上記で形成された感光層(II)の上に、低密度ポリエチレンフィルム(保護フィルム(III)である。)を55℃に設定された熱ロールにより貼合した。
工程(ホ):
保護フィルム(III)を貼合されて形成されたドライフィルムは、支持フィルムを固定した前記巻き芯に巻き取ることにより感光性ドライフィルムロールを製造した。
その後、このドライフィルムロールを繰り出しながら、巻き出されたドライフィルムの両側端をトリミングして除去し、トリミング後のドライフィルムを他の巻き芯に巻き取ることで再度ドライフィルムロールとした。このドライフィルムロールについて、ブロッキング性、密着性、気泡残留、光感度、はんだ耐熱性及びプレッシャークッカー耐性を以下に従い評価した。結果を表2に示す。
(3)ブロッキング性の評価
上記感光性ドライフィルムロールからドライフィルムを繰り出した時に、保護フィルムと支持フィルムの間における接着の有無を観察した。接着が見られないものを○、接着が見られたものを×とした。
(4)密着性の評価
上記感光性ドライフィルムロールからドライフィルムを繰り出した時に、感光層と保護フィルムあるいは感光層と支持フィルムの間の剥離の有無を観察した。剥離が見られないものを○、剥離が見られたものを×とした。
(5)気泡残留の評価
上記感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥がし、60℃の真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製,V−130)により、片面にラインアンドスペース100μm/100μmの銅回路パターンを有する基板(縦10cm×横5cm,銅箔:厚さ17μm,基材:厚さ50μmのポリイミドフィルム)上に回路パターンを被覆するようにラミネートし、プリント配線板を製造した。得られたプリント配線板について目視で気泡の有無を観察した。
(6)光感度の測定
上記感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥がし、60℃の真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製,V−130)により銅箔(厚さ35μm)を片面に積層したポリイミドフィルム(厚さ50μm)からなるプリント基板(宇部興産(株)製,ユピセル(登録商標)N)の銅箔上にラミネートし、積層体を調製した。この積層体を、フォトマスク(21ステップ(段)デンシティータブレット,日立化成(株)製)を通して紫外線で露光(超高圧水銀ランプ,主波長365nm、700mJ/cm2)したのち、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、ついで30℃の水で洗浄した。この操作の後、正常に硬化していたステップの段数を光感度の値とした。
(7)はんだ耐熱性の評価
上記感光性ドライフィルムのカバーフィルムを剥がし、60℃の真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製)により銅張積層板の銅上にラミネートした。次にこの積層体の感光層を、5mm×5mmの市松模様を有するフォトマスクを通じて超高圧水銀ランプにより露光(主波長365nm,900mJ/cm2)し、露光後の感光層を1%炭酸ナトリウム水溶液により現像した。その後、150℃のオーブンで表1記載の時間熱硬化することで、市松模様のレジストパターンを有する積層体を得た。
上記に従って調製した試験片をレジスト面がはんだに接触するように260℃のはんだ浴に10秒間フロートさせた後、レジスト膜の膨れ及び剥離の有無を判定評価した。これらの操作を1サイクルとして繰り返し、レジスト膜の膨れ及び剥離が認められなかったサイクル数をはんだ耐熱性の指標とした。
(8)プレッシャークッカー耐性の評価(PCT試験)
以下に従って製造したプリント配線板を121℃、2気圧、相対湿度100%に保たれた容器(タバイ(株)製,HASTTPC−412−MD)内に100時間放置し、以下に従って外観の変化、絶縁抵抗試験を評価した。
プリント配線板の製造:
上記感光性ドライフィルムのカバーフィルムを剥がし、60℃の真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製)により市販の基板(IPC規格,IPC−C(櫛型パターン))上にラミネートした。次にこの積層体を超高圧水銀ランプにより露光(主波長365nm,900mJ/cm2)し、支持フィルムを剥離後150℃のオーブンで60分間熱硬化することで、プリント配線板を得た。
外観の変化:
○:感光層からなる硬化膜に浮き、剥がれ、表面白化が見られない、
△:感光層からなる硬化膜の一部に浮き、剥がれ、表面白化が見られる、
×:感光層からなる硬化膜の全面に浮き、剥がれ、表面白化が見られる。
電気絶縁性:
上記で得たプリント配線板の回路に、JISC5012に準じて100V直流電圧を加え1分間保った後、その電圧印加状態で電気絶縁計にて絶縁抵抗値の測定を行った。測定はPCT試験の前後で行い、以下の基準に従って判定した。
◎:PCT試験後の絶縁抵抗値が、PCT試験前の絶縁抵抗値の1/100以上のもの、
○:PCT試験後の絶縁抵抗値が、PCT試験前の絶縁抵抗値の1/100未満〜1/1000以上のもの、
△:PCT試験後の絶縁抵抗値が、PCT試験前の絶縁抵抗値の1/1000未満〜1/10000以上のもの、
×:PCT試験後の絶縁抵抗値が、PCT試験前の絶縁抵抗値の1/10000未満のもの。
実施例2〜13、比較例1〜3:
保護フィルム、アンチブロッキング剤、及びカルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とする感光性組成物として表2記載のものを用いた他は、実施例1と同様に行い感光性ドライフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
実施例14:
支持フィルムとして下記に従って製造したものを使用した以外は、実施例1と同様に行った。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造:
高純度テレフタル酸332g、エチレングリコール136g、チタンテトラブトキシド0.086gをオートクレーブに仕込み、圧力0.17MPa、255℃の窒素雰囲気下にて、生成する水を常時系外に留去しながら、撹拌下2時間反応させた後、250℃に降温してさらに6時間反応させた。さらに二酸化ゲルマニウムとエチレングリコールを1:10の重量比で混合した溶液0.62gを添加して20分撹拌、さらにリン酸0.06gを添加して、1時間反応させた。その後、280℃まで1時間かけて昇温させ、系内を1torrにまで減圧し、さらに4時間反応させ、未反応のエチレングリコールを系外に留去した。このように液相重合して得られたポリエチレンテレフタレートを、さらに窒素雰囲気下140℃で15時間乾燥するとともに結晶化を行った後、窒素雰囲気下、205℃で15時間固相重合を行った。ついで得られたポリエチレンテレフタレート100gを90℃の蒸留水130gに4時間浸漬して水処理を行った後、窒素中140℃で14時間乾燥した。得られたポリエチレンテレフタレートのo−クロロフェノール中25℃で測定した固有粘度は0.80dl/gであった。
上記で得られたポリエチレンテレフタレートに0.05質量%のアンチブロッキング剤を添加して、シリンダー温度270℃の同方向回転二軸押出機により溶融混練した後、Tダイを取り付けた押し出し機により285℃でフィルムに成形し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET−2)を得た。
Figure 2006317501
Figure 2006317501
Figure 2006317501
表2の結果から、実施例においては、保護フィルムとして本発明の密度範囲の低密度ポリエチレフィンフィルムを用いているため、ドライフィルムロールのブロッキングが抑制され、耐熱性、光感度、絶縁特性等が良好で、信頼性に優れた永久保護膜を与えることがわかる。
一方、比較例1及び2では、低密度ポリエチレフィンフィルムの密度が本発明の範囲より小さいためブロッキングが発生し、また密着性等も劣ることがわかる。
また、比較例3では、保護フィルムに高密度ポリエチレンを使用、すなわちポリエチレフィンフィルムの密度が本発明の範囲より大きいものを使用しているため、ブロッキングは発生しないものの感光層と保護フィルム間の密着性に劣ることがわかる。

Claims (13)

  1. (I)支持フィルム、(II)感光層及び(III)保護フィルムが積層されてなるドライフィルムであって、前記保護フィルム(III)が、0.910〜0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンから形成されたものであることを特徴とするプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  2. 支持フィルム(I)がポリエステルフィルムである請求項1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  3. ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項2記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム
  4. 支持フィルム(I)が、0.01〜0.70質量%のアンチブロッキング剤を含む請求項1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  5. 低密度ポリエチレンフィルムがアンチブロッキング剤を含まないものである請求項1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  6. 低密度ポリエチレンフィルムが酸化防止剤を含まないものである請求項1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  7. 低密度ポリエチレンフィルムが滑剤を含まないものである請求項1記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  8. 感光層(II)が、カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及び(C)エポキシ樹脂を必須成分とする感光性組成物から形成されるものである請求項1に記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  9. カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートである請求項8記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  10. カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートが、下記一般式(1)
    Figure 2006317501
    (式中、nは1〜10の整数であり、Xは単結合、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、及びスルホニル基の中から選ばれ、Yは水素原子または2,3−エポキシプロピル基を表し、nが1の場合にはYは2,3−エポキシプロピル基であり、nが2〜10の場合には少なくともひとつのYは2,3−エポキシプロピル基である。)
    で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られるものである請求項9記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  11. カルボキシル基を有する光硬化性樹脂(A)、光重合開始剤(B)及びエポキシ樹脂を必須成分とする感光性組成物(C)が、(D)光硬化性モノマーまたはオリゴマーをさらに含む請求項8記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムをロール状の形態としたプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムロール。
  13. 下記工程(イ)〜(ホ)、
    (イ)ロール状に巻き取られた支持フィルム(I)ロールから、支持フィルム(I)を繰り出す工程、
    (ロ)繰り出された支持フィルム(I)上に感光性組成物を連続的に塗布する工程、
    (ハ)支持フィルム(I)上に塗布された感光性組成物を乾燥し、感光層(II)を形成する工程、
    (ニ)ロール状に巻き取られた保護フィルム(III)ロールから、保護フィルム(III)を繰り出して前記感光層(II)上に貼合し、ドライフィルムレジストを形成する工程、及び
    (ホ)形成されたドライフィルムレジストをロール状に巻き取る工程
    を含み、前記保護フィルム(III)が、0.910〜0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンから形成されたものであることを特徴とするプリント配線板保護膜用感光性ドライフィルムロールの製造方法。

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