JP2006316779A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピエゾスタックと駆動体には合成共振周期Tが存在するため、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内の場合、昇圧時間tが経過しても荷重上昇が続いて過大なピーク荷重が生じ、ピエゾスタックに負荷を与える。
【解決手段】 ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をt、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、0.6T≦tの関係を満足するように昇圧時間tを設定する。これにより、ピエゾスタックの充電昇圧が終了するタイミングと、合成共振周期Tによって荷重勾配が最大になるタイミングとが重なる不具合を回避でき、且つ昇圧時間tに達する直前の昇圧勾配を穏やかにできる。この結果、ピエゾスタックに生じるピーク荷重およびディップ荷重が抑えられ、ピエゾスタックの長期信頼性を向上できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピエゾ素子を積層してなるピエゾスタックの伸び出力により燃料噴射が制御されるピエゾインジェクタを備える燃料噴射装置に関するもので、特にピエゾスタックの信頼性の向上に係わる技術に関する。
ピエゾ素子を積層してなるピエゾスタックは、充電されると積層方向に膨張して伸び出力を発生する。
ピエゾインジェクタは、ピエゾスタックが充電されると伸び出力を発生する性質を利用して、ピエゾスタックによりバルブ(三方弁、二方弁等)を作動させてニードルの排圧を制御することでニードルを作動させたり、ピエゾスタックによりニードルを直接的に駆動したりして、燃料噴射をコントロールするものである。
従来におけるピエゾスタックの充電技術は、目標噴射タイミングにおいて噴射が開始されるように設計されているだけで、ピエゾスタックの充電を開始してから、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間tは、全く考慮されていなかった(例えば、特許文献1、2参照)。
(第1の問題点)
ピエゾインジェクタにおいて、駆動体はピエゾスタックに押し付けられる構造であるため、ピエゾスタックと駆動体には、合成共振周期Tが存在する。
このため、ピエゾスタックや駆動体に摩擦等の外部負荷がかからない理想的(仮想的)な状態の場合、充電を開始した後、0.5Tの±0.1T内のタイミングにおいて合成共振周期Tにおける荷重右上がり勾配(共振周期の右上がり勾配)が最大になる。
ここで、上述したように、従来の技術では、昇圧時間tは、全く考慮されていなかった。
このため、ピエゾスタックに充電を開始した後、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内になる場合が想定される。
その場合は、図1(a)に示すように、充電電圧が目標充電電圧に達して、昇圧が終了しても、ピエゾスタックと駆動体による伸び方向の変位が停止せず、伸び荷重(ピエゾスタックの積層方向の荷重)が上昇を続けて高荷重(オーバーシュートによるピーク)を発生してしまう。
その後、合成共振周期Tでディップとピークを繰り返す。
このようなピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタックに直接的に加わるため、ピエゾスタックの破損の要因となる。
即ち、昇圧時間tが、0.5Tの±0.1T内になると、ピエゾスタックの長期信頼性が低下する。
(第2の問題点)
また、ピエゾスタックに充電を開始した後、昇圧時間tに達するタイミングが、0.4T内の場合は、昇圧勾配が非常に大きい。
このため、充電電圧が目標充電電圧に達して、昇圧が終了しても、ピエゾスタックと駆動体による伸び方向の変位が停止せず、上記と同様、伸び荷重が上昇を続けて高荷重(オーバーシュートによるピーク)が発生し、その後、合成共振周期Tでディップとピークを繰り返す。
このようなピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタックに直接的に加わるため、ピエゾスタックの破損の要因となる。
即ち、昇圧時間tが、0.4T内の場合でも、ピエゾスタックの長期信頼性が低下する。
(第3の問題点)
上記第1、第2の問題点では、ピエゾスタックや駆動体に摩擦等の外部負荷がかからない理想的(仮想的)な状態での問題点を開示した。
しかるに、実際には、ピエゾスタックや駆動体には摩擦等の外部負荷が加わる。そこで、以下では現実的な問題点を開示する。
ピエゾスタックは充電が開始されると伸び荷重を発生する。この伸び荷重は、ピエゾスタックが伸びを開始した後、駆動体が動き始める瞬間に最大荷重に達する。具体例を図11を参照して説明すると、ピエゾスタックの充電が開始されてから、21μsecにおいて、ピエゾスタックに荷重変動のピークが発生する。その後、ディップとピークを繰り返す。
このようなピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタックに直接的に加わるため、ピエゾスタックの破損の要因となる。
即ち、荷重変動のピークとディップが生じることにより、ピエゾスタックの長期信頼性が低下する。
(第4の問題点)
ピエゾインジェクタにかぎらず、インジェクタは短い周期で繰り返して噴射を行うマルチ噴射を実施する場合がある。
具体例を開示すると、短い噴射期間のパイロット噴射を実行した直後に、長い噴射期間のメイン噴射を実施する場合がある。
その場合、パイロット噴射時に発生した共振が、続くメイン噴射の昇圧時間t内に及ぶ可能性がある。なお、後噴射に影響が及ぶ前噴射の共振を残存共振と称する。
昇圧時間t内に残存共振が及ぶと、昇圧による荷重変動と、残存共振の荷重変動とが、重畳されることになる。具体的には、残存共振により荷重が上昇する時に、ピエゾスタックを昇圧すると、荷重の上昇速度がより速くなり、重畳による高荷重が発生する。
このような高荷重は、ピエゾスタックに直接的に加わるため、ピエゾスタックの破損の要因となる。
なお、昇圧時間t内に残存共振が及ぶと、上記とは別に、次の問題が生じる。
残存共振により荷重が上昇する時に、ピエゾスタックを昇圧すると、伸び荷重の上昇タイミングが早まることで、噴射タイミングが進む可能性がある。
逆に、残存共振により荷重が低下する時は、ピエゾスタックを一定勾配で昇圧しても、ピエゾスタックの伸びが抑えられて、噴射タイミングが遅れる可能性がある。
(第5の問題点)
ピエゾスタックに生じる伸び荷重は、駆動体に伝えられるものであるが、駆動体とは異なる側のピエゾスタックは、固定部材によって支持される構造になっている。即ち、固定部材が駆動体とは異なる側のピエゾスタックの伸び出力を受け止める構造になっている。 ここで、ピエゾスタックに生じる荷重の内、駆動体側の荷重は、駆動体が移動することで緩和される。
しかし、固定部材側のピエゾスタックは、固定部材によりリジットに固定されているため、ピエゾスタックに生じる荷重の内、駆動体とは異なる側の荷重は、外部に拡散されずに、固定部材側のピエゾ素子に加わる。この結果、固定部材に近い側のピエゾ素子(特に固定部材側の端部のピエゾ素子)には大きな応力が加わる。
このため、固定部材側のピエゾ素子(特に固定部材側の端部のピエゾ素子)が破損しやすく、ピエゾスタックの長期信頼性が低下する。
(第6の問題点)
上記第3の問題点で開示したように、ピエゾスタックの充電が開始後、駆動体が動き始める瞬間に最大荷重に達する。その直後に、最大荷重で駆動体が移動を開始することで、負荷荷重が抜けるディップが生じる。
ピエゾスタックを構成するピエゾ素子は、衝撃に弱いものであり、上述の如く高荷重により破損する場合の他に、急激な引っ張り荷重により破損する場合がある。
即ち、ピエゾスタックに急激なディップ荷重が生じることにより、ピエゾスタックの長期信頼性が低下する。
特開2003−88145号公報 特開2003−92438号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピエゾインジェクタにおけるピエゾスタックの破損を防ぎ、ピエゾスタックの長期信頼性を向上することができる燃料噴射装置の提供にある。
[請求項1の手段]
請求項1の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第1の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
0.6T≦t
の関係を満足する第1昇圧制御を実施する。
これによって、昇圧時間tに達するタイミングが0.6T以降であるため、昇圧が終了するタイミングと、合成共振周期Tによる荷重の右上がり勾配が最大になるタイミングとが重ならない。
また、昇圧時間tに達するタイミングが、0.6T以降であるため、昇圧勾配が穏やかになる。
この結果、充電電圧が目標充電電圧に達した後に生じる高荷重(オーバーシュートによるピーク)を抑えることができるとともに、その後のピークディップの繰り返しも抑えることができる。
このように、ピエゾスタックに生じるピーク荷重およびディップ荷重が抑えられるため、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項2の手段]
請求項2の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第1、第2の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合で、
0.25T≦t<0.6Tの場合、
ピエゾスタックの充電開始〜0.5tの平均昇圧速度より、0.5t〜1tの平均昇圧速度を遅くする第2昇圧制御を実施する。
これによって、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内であっても、0.4T内であっても、昇圧時間tに達する際の昇圧勾配を穏やかにできる。
この結果、充電電圧が目標充電電圧に達した後に生じる高荷重(オーバーシュートによるピーク)を抑えることができるとともに、その後のピークディップの繰り返しも抑えることができる。
このように、ピエゾスタックに生じるピーク荷重およびディップ荷重が抑えられるため、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項3の手段]
請求項3の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第3の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くする、および/またはピエゾスタックに生じる荷重変動ディップ頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする第3昇圧制御を実施する。
即ち、第3昇圧制御は、ピーク頂部の前後間の昇圧速度を遅くする、および/またはディップ頂部の前後間の昇圧速度を速くするものである。
これによって、駆動体が動き始める瞬間に生じるピーク荷重や、その後におけるディップ荷重やピーク荷重の発生を抑えることができる。
この結果、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項4の手段]
請求項4の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第3の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の印加電圧を低下させる第4昇圧制御を実施する。
即ち、第4昇圧制御は、ピーク頂部の前後間における電圧の昇圧勾配を、負勾配にするものである。
これによって、駆動体が動き始める瞬間に生じるピーク荷重や、その後におけるディップ荷重やピーク荷重の発生を抑えることができる。
この結果、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項5の手段]
請求項5の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第4の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとし、ピエゾスタックと駆動体に前回噴射による残存共振が生じている場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタックに印加する第5昇圧制御を実施する。
(請求項5の第1の効果)
昇圧時間t内において残存共振の荷重が上昇する時は、逆位相により電圧の昇圧勾配が負勾配にされるため、荷重の上昇速度が緩和され、高荷重の発生を抑えることができる。 この結果、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
(請求項5の第2の効果)
昇圧時間t内において残存共振の荷重が上昇する時は、逆位相により電圧の昇圧勾配が負勾配にされるため、荷重の上昇速度が緩和され、噴射タイミングが進む不具合を回避できる。
逆に、昇圧時間t内において残存共振の荷重が低下する時は、逆位相により電圧の昇圧勾配を大きくする制御を実施することで、ピエゾスタックの伸びが抑えられる現象を回避して、噴射タイミングが遅れる不具合を回避することができる。
[請求項6の手段]
請求項6の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項5の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置は、昇圧時間tを経過した後も、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタックに印加する第6昇圧制御を実施するものである。
これによって、昇圧時間tを経過した後におけるディップ荷重やピーク荷重の発生を抑えることができ、ピエゾスタックの長期信頼性を向上できる。
[請求項7の手段]
請求項7の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第3の問題点を解決するものである。
駆動体と、この駆動体を摺動自在に支持する摺動保持部材との接触部には、摩擦係数を下げる摩擦係数低減手段が設けられている。
これによって、ピエゾスタックが伸びを開始した後、駆動体が動き始める瞬間に発生する最大荷重を抑えることができる。
このように、ピエゾスタックに加わる最大荷重が抑えられることにより、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項8の手段]
請求項8の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第5の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、ピエゾスタックとの間に、固定部材より剛性の低い低剛性部を設けたものである。
これによって、ピエゾスタックに生じる荷重の内、固定部材側の荷重が、低剛性部の変形により吸収されて緩和される。
この結果、固定部材側のピエゾ素子の破損を防ぐことが可能になり、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項9の手段]
請求項9の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項8の手段に係わる技術である。
固定部材は、ステンレスよりなり、低剛性部は、ヤング率が10Gpa以下の低剛性部材よりなる。
これによって、ピエゾスタックに生じる荷重の内、固定部材側の荷重は、低剛性部材の変形により吸収されて緩和される。
[請求項10の手段]
請求項10の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項8の手段に係わる技術である。
低剛性部は、固定部材においてピエゾスタックの伸び出力を受ける面に設けられ、表面粗度が1.6Zより粗く設けられることでヤング率が10Gpa以下の粗面である。
これによって、ピエゾスタックに生じる荷重の内、固定部材側の荷重は、粗面の変形により吸収されて緩和される。
[請求項11の手段]
請求項11の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第5の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、駆動体とは異なる側(固定部材側)の端部のピエゾ素子は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子に比較して、内部応力を低下させる構造になっている。
これによって、ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子に生じる応力が緩和されるため、固定部材側の端部のピエゾ素子の破損を防ぐことが可能になる。この結果、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項12の手段]
請求項12の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項11の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、駆動体とは異なる側(固定部材側)の端部のピエゾ素子の素子径は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子の素子径に比較して、大きく設けられている。
このように、固定部材側の端部のピエゾ素子の素子径が大径に設けられることにより、内部応力が分散する。
[請求項13の手段]
請求項13の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項12の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子の素子径は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子の素子径より、3%以上大きいものである。
[請求項14の手段]
請求項14の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項11の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子の厚みは、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子の厚みに比較して、厚く設けられている。
このように、固定部材側の端部のピエゾ素子が厚く設けられることにより、内部応力が分散する。
[請求項15の手段]
請求項15の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項14の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子の厚みは、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子の厚みより、3%以上厚いものである。
[請求項16の手段]
請求項16の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第5の問題点を解決するものである。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子に比較して、素子強度が高く設けられている。
このように、ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子の素子強度が高いため、固定部材側の端部のピエゾ素子の破損を防ぐことが可能になる。この結果、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[請求項17の手段]
請求項17の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した請求項16の手段に係わる技術である。
ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、固定部材側の端部のピエゾ素子の素子強度は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子の素子強度より、10%以上高く設けられている。
[請求項18の手段]
請求項18の手段を採用する燃料噴射装置は、上述した第6の問題点を解決するものである。
駆動体とは異なる側においてピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、ピエゾスタックとの間には、ピエゾスタックに圧縮力を与える反発部材が配置されている。
このように、ピエゾスタックに圧縮力を与える反発部材を配置することにより、ピエゾスタックの昇圧中に負荷荷重が抜けるディップが生じても、その負荷荷重が抜けるディップを反発部材が吸収するため、ピエゾスタックに急激な抜け荷重(急激な引っ張り荷重)が生じる不具合を回避することができる。
このように、ピエゾスタックに加わるディップ荷重が抑えられることにより、ピエゾスタックの長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタの耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
最良の形態1〜10を以下に示す。
なお、最良の形態1〜5は、ピエゾスタックの昇圧制御によりピエゾスタックの信頼性を向上させる形態であり、最良の形態6〜10はピエゾインジェクタの機械的な構造によりピエゾスタックの信頼性を向上させる形態である。
最良の形態1の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置とを具備する。
そして、制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
0.6T≦t
の関係を満足する第1昇圧制御を実施する。
最良の形態2の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置とを具備する。
そして、制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合で、
0.25T≦t<0.6Tの場合、
ピエゾスタックの充電開始〜0.5tの平均昇圧速度より、0.5t〜1tの平均昇圧速度を遅くする第2昇圧制御を実施する。
最良の形態3の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置とを具備する。
そして、制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くする、および/またはピエゾスタックに生じる荷重変動ディップ頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする第3昇圧制御を実施する。
最良の形態4の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置とを具備する。
そして、制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとした場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の印加電圧を低下させる第4昇圧制御を実施する。
最良の形態5の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置とを具備する。
そして、制御装置は、ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタックと駆動体の合成共振周期をTとし、ピエゾスタックと駆動体に前回噴射による残存共振が生じている場合、
ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタックに印加する第5昇圧制御を実施する。
最良の形態6の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する。
そして、駆動体と、この駆動体を摺動自在に支持する摺動保持部材との接触部には、摩擦係数を下げる摩擦係数低減手段が設けられている。
最良の形態7の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する。
そして、駆動体とは異なる側においてピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、ピエゾスタックとの間には、固定部材より剛性の低い低剛性部が設けられている。
最良の形態8の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する。
そして、ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、駆動体とは異なる側の端部のピエゾ素子は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子に比較して、内部応力を低下させる構造になっている。
最良の形態9の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する。
そして、ピエゾスタックを構成しているピエゾ素子のうち、駆動体とは異なる側の端部のピエゾ素子は、駆動体に近い側の端部のピエゾ素子に比較して、素子強度が高く設けられている。
最良の形態10の燃料噴射装置は、ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、ピエゾスタックの伸び出力により駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する。
そして、駆動体とは異なる側においてピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、ピエゾスタックとの間には、ピエゾスタックに圧縮力を与える反発部材が配置されている。
請求項1に係る本発明が適用された実施例1を図1〜図9を参照して説明する。
(基本構成)
まず、図2を参照して燃料噴射装置の基本概略を説明する。
燃料噴射装置は、外部から燃料の供給を受けるピエゾインジェクタ1と、このピエゾインジェクタ1の作動を制御する制御装置2とを備える。
ピエゾインジェクタ1は、ピエゾ素子3(符号、図6参照)を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック4と、このピエゾスタック4の伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体5とを備え、この駆動体5が積層方向へ移動することにより燃料噴射を実行する。なお、ピエゾインジェクタ1には、駆動体5を介してピエゾスタック4を圧縮する第1リターンバネ6が設けられており、ピエゾスタック4が放電されて伸び出力(膨張力)を失うと同時にピエゾスタック4を圧縮させて、駆動体5を伸び出力とは異なる積層方向に移動させる構造になっている。
即ち、ピエゾインジェクタ1は、ピエゾスタック4が充電されると伸び出力を発生する性質を利用して、ピエゾスタック4によりバルブ(三方弁、二方弁等)を作動させてニードル7の排圧を制御することでニードル7を作動させたり、ピエゾスタック4によりニードル7を直接的に駆動したりして、燃料の噴射と、噴射の停止をコントロールするものである。
制御装置2には、ピエゾインジェクタ1の制御プログラムとして、ピエゾスタック4の充放電制御機能が搭載されている。
この充放電制御機能には、ピエゾスタック4の充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、ピエゾスタック4と駆動体5の合成共振周期をTとした場合、
0.6T≦t
の関係を満足する第1昇圧制御を実施する機能が設けられている。
即ち、制御装置2には、昇圧時間tを0.6T以上に意図的に長くして、ピエゾスタック4の充電昇圧が終了するタイミング(昇圧時間tに達するタイミング)と、合成共振周期Tにおける荷重右上がり勾配(共振周期の右上がり勾配)が最大付近になるタイミングとが重ならないようにして、昇圧時間tに達する直前の昇圧勾配を穏やかにする機能が設けられている。
(具体的な燃料噴射装置の説明)
以下では、燃料噴射装置の具体的な一例としてコモンレール式の燃料噴射装置を図3を参照して説明し、その後ピエゾインジェクタ1の具体的な一例として三方弁タイプのピエゾインジェクタ1を図4、図5等を参照して説明し、その後ピエゾスタック4の一例を図6等を参照して説明し、さらにその後に制御装置2の具体的な一例を図7〜図9等を参照して説明する。
燃料噴射装置のシステム構成を図3を参照して説明する。
燃料噴射装置は、エンジン(例えばディーゼルエンジン:図示しない)の各気筒に燃料噴射を行うシステムであり、ピエゾインジェクタ1、制御装置2の他に、コモンレール11、サプライポンプ12等から構成される。なお、制御装置2は、ECU(エンジン制御ユニット)13とEDU(駆動ユニット)14で構成されるものであり、EDU14はECU13のケース内に内蔵されるものであっても良い。
コモンレール11は、ピエゾインジェクタ1に供給する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器であり、燃料噴射圧に相当するコモンレール圧が蓄圧されるように高圧ポンプ配管15を介して高圧燃料を圧送するサプライポンプ12の吐出口と接続されるとともに、各ピエゾインジェクタ1へ高圧燃料を供給する複数のインジェクタ配管16が接続されている。
コモンレール11から燃料タンク17へ燃料を戻すリリーフ配管18には、プレッシャリミッタ19が取り付けられている。このプレッシャリミッタ19は圧力安全弁であり、コモンレール11内のコモンレール圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール11のコモンレール圧を限界設定圧以下に抑える。
また、コモンレール11には、減圧弁21が取り付けられている。この減圧弁21は、ECU13から与えられる開弁指示信号によって開弁してリリーフ配管18を介してコモンレール圧を急速に減圧するものである。このように、コモンレール11に減圧弁21を搭載することによって、ECU13はコモンレール圧を車両走行状態に応じた圧力へ素早く低減制御できる。なお、この減圧弁21は、設けられない場合もある。
ピエゾインジェクタ1は、エンジンの各気筒毎に搭載されて燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、コモンレール11より分岐する複数のインジェクタ配管16の下流端に接続されて、コモンレール11に蓄圧された高圧燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、その具体的な構成は後述する。
なお、ピエゾインジェクタ1からのリーク燃料も、リリーフ配管18を経て燃料タンク17に戻される。
サプライポンプ12は、コモンレール11へ高圧燃料を圧送する高圧燃料ポンプであり、燃料タンク17内の燃料をフィルタ22を介してサプライポンプ12へ吸引するフィードポンプを搭載し、このフィードポンプによって吸い上げられた燃料を高圧に圧縮してコモンレール11へ圧送する。フィードポンプおよびサプライポンプ12は共通のカムシャフト23によって駆動される。なお、このカムシャフト23は、エンジンによって回転駆動されるものである。
サプライポンプ12には、燃料を高圧に加圧する加圧室内に燃料を導く燃料流路に、その燃料流路の開度度合を調整するためのSCV(吸入調量弁)24が搭載されている。このSCV24は、ECU13からのポンプ駆動信号によって制御されることにより、加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整し、コモンレール11へ圧送する燃料の吐出量を変更するバルブであり、コモンレール11へ圧送する燃料の吐出量を調整することにより、コモンレール圧を調整するものである。即ち、ECU13はSCV24を制御することにより、コモンレール圧を車両走行状態に応じた圧力に制御できる。
(ピエゾインジェクタ1の説明)
ピエゾインジェクタ1の一例としての断面図を図4に示し、その概略図を図5に示す。なお、以下では、図中上側を上、図中下側を下と称して説明する。
ピエゾインジェクタ1は、略棒状体を呈するもので、下側がエンジンの燃焼室壁を貫通して、下端部が燃焼室内に突出するものである。ピエゾインジェクタ1は、下側から上に向かって順に、ノズル部31、三方弁32、変位拡大手段33、ピエゾスタック4を備える。
(ノズル部31の説明)
ノズル部31は、高圧燃料の噴射と停止を切り替えるものであり、ハウジング34(ノズルホルダ35)に摺動自在に支持されたニードル7を備える。ニードル7は、上部に設けられた大径部36がノズルホルダ35内に摺動自在に支持されるものであり、ニードル7の下端円錐部37がノズルホルダ35の下端内側に形成された環状シート38に着座または離座する。ニードル7の下側の外周空間39には、ハウジング34(バルブボディ41およびノズルホルダ35)に形成された高圧通路42を介して高圧燃料が導入され、ニードル7の離座時に噴孔43から燃料が噴射される。ニードル7の下側の外周空間39に供給される高圧燃料は、大径部36の段差面36aに作用して、ニードル7を上向き(離座方向)にリフトするように作用している。
一方、大径部36の上側の背圧室44には、高圧通路42からインオリフィス45を介して燃料が供給されており、背圧室44に供給される高圧燃料は大径部36の上面36bに作用して、第2リターンバネ46とともにニードル7を下向き(着座方向)に押しつける。
(三方弁32の説明)
三方弁32は、背圧室44を高圧通路42または低圧通路(リーク燃料通路)47の一方に切り替える背圧切替手段であり、この実施例ではスプール弁で構成される。スプール弁よりなる三方弁32は、ハウジング34(バルブボディ41)内に摺動自在に支持されたスプール(弁体)48を備え、図5(a)に示すように下方向へ移動すると、背圧室44に通じる背圧連通路25とリーク燃料を排出する低圧通路47が連通して背圧室44の圧力が下がる。これにより、ニードル7が離座して燃料を噴射する。
逆に、スプール48が図5(b)に示すように上方向へ移動すると、背圧室44に通じる背圧連通路25と高圧燃料が供給される高圧通路42とが連通して背圧室44の圧力が高まる。これにより、ニードル7が着座して燃料噴射が停止する。
なお、スプール48の下端には、スプール48を上方へ押し戻す第3リターンバネ49が配置されている。
(変位拡大手段33の説明)
変位拡大手段33は、ピエゾスタック4の伸縮変位量(積層方向の変化量、即ち上下方向の変化量)を大きくして三方弁32のスプール48に伝えるものであり、スプール48の上部に設けられた小径ピストン51、ピエゾスタック4により直接駆動される駆動体5(この実施例では大径ピストン)、小径ピストン51の上面と駆動体5の下面の間に形成された変位拡大室52で構成される。
駆動体5は、ハウジング34(バルブボディ41)の内部において摺動自在に支持される。この駆動体5は、第1リターンバネ6によってピエゾスタック4に押しつけられており、積層されたピエゾスタック4の伸縮量と同じだけ上下方向に変位する。即ち、駆動体5は、ピエゾスタック4の伸び出力により直接駆動されて積層方向(下方向)へ移動するものである。
そして、ピエゾスタック4が積層方向に伸びて駆動体5が下方向へ移動することにより、三方弁32のスプール48が下方へ移動して背圧室44の圧力が下がり、燃料を噴射する。逆に、ピエゾスタック4が積層方向に収縮して駆動体5が上方向へ移動することにより、三方弁32のスプール48が上方へ移動して背圧室44の圧力が上がり、燃料噴射を停止する。
(ピエゾスタック4の説明)
ピエゾスタック4は、周知構成のものであり、その一例を図6を参照して説明する。
ピエゾスタック4は、充電により板厚方向に膨張する板状のピエゾ素子3を多数積層してなる。各ピエゾ素子3は、略円板形状を呈する圧電体、この圧電体の両面に形成された内部電極からなり、多数のピエゾ素子3を板厚方向に積層してピエゾスタック4が構成される。
また、ピエゾスタック4の側面には、2つの側面電極53が設けられている。一方の側面電極53は圧電体の一方の内部電極と電気的に接続され、他方の側面電極53は圧電体の他方の内部電極と電気的に接続されている。ここで、側面電極53は、図6に示すように、上端部(固定端側)を硬質電極53aとし、他部分を軟質電極53bとしても良いが、すべて軟質電極53bであっても良い。
なお、2つの側面電極53は、後述する固定台座56内を上下方向に貫通する2つの通電ターミナル54とそれぞれ電気的に接合するものであり、通電ターミナル54と接続される外部コネクタ54a(符号、図4参照)に電圧が印加されることで、ピエゾスタック4の各ピエゾ素子3が通電されるようになっている。
ここで、この実施例では、ピエゾスタック4としてピエゾ素子3のみを積層する例を示すが、ピエゾスタック4の一部に通電により発熱する加熱用の電気抵抗素子を介在させる構成を採用するなど、適宜、他の素子を介在させても良い。
ここで、ピエゾスタック4は、燃料と接触しないように、シールケースの内部に収容されている。
シールケースは、スタックケース55、固定台座(上側台座)56、駆動体5を収容して駆動体5の上下方向の変位を妨げない筒状ベローズ59(符号、図4参照)よりなる。 スタックケース55は、ピエゾスタック4の外周を覆う円筒形状を呈した金属ケースであり、その内部はピエゾスタック4の外径より僅かに大径であって、ピエゾスタック4を上下方向に伸縮可能に収容する。
固定台座56は、下側の大径部56a、上側の小径部56b、中間のテーパ部56cからなる金属部材であり、その大径部56aがスタックケース55の上端に固着されて、スタック室の上端を密閉する。
また、固定台座56は、ピエゾスタック4の上端部と当接して、ピエゾスタック4の上端の上下方向の変位を阻止する部材である。
一方、ピエゾスタック4を収容するシールケースは、ピエゾインジェクタ1のハウジング34(バルブボディ41)に形成されたアクチュエータ室内に配置されるものであり、固定台座56のテーパ部56cは、アクチュエータ室の上部に形成されたテーパ受面57と当接し、固定台座56を介してピエゾスタック4の上端の上下方向の変位を阻止する部材である。
即ち、ピエゾスタック4の上端と当接する固定台座56、およびこの固定台座56の上端と当接するバルブボディ41は、ピエゾスタック4の上側(駆動体5とは異なる側)においてピエゾスタック4の伸び出力を受け止める固定部材に相当するものである。
ここで、固定台座56、およびこの固定台座56を支持するバルブボディ41は、ヤング率が13Gpa程度の硬質金属(ステンレス)よりなるものであり、ピエゾスタック4の上側を強固に固定する構造になっている。
(制御装置2の説明)
制御装置2は、上述したように、ECU13とEDU14より構成される。
ECU13は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、RAM、SRAM、EEPROM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路を含んで構成される周知構造のコンピュータよりなる。
ECU13は、読み込まれたセンサ類の信号(エンジンパラメータ:乗員の運転状態、エンジンの運転状態に応じた信号)に基づいて各種の演算処理を行う。
なお、ECU13には、エンジンパラメータを検出するセンサ類として、アクセル開度を検出するアクセルセンサ、エンジン回転数やクランク角を検出する回転数センサ、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ58など、各種のセンサが接続されている。
ECU13には、ピエゾインジェクタ1の噴射制御を行う「充放電制御機能(ピエゾインジェクタ制御機能)」と、SCV24の開度制御を行う「SCV制御機能」とが搭載されている。
充放電制御機能は、現在の運転状態に応じたタイミングでピエゾスタック4の充放電を制御する機能であり、予め搭載されたプログラムと、制御装置2に読み込まれた各種センサ類の信号(エンジンパラメータ)とに基づいて、単噴射やマルチ噴射等の「噴射形態」、各噴射毎の「噴射開始時期」、各噴射毎の「噴射期間(噴射量)」を算出し、算出した噴射形態、噴射開始時期、噴射期間に基づいてピエゾスタック4の充電と放電を制御する。
具体的に、この充放電制御機能は、噴射開始時期に噴射を開始させるための「充電開始タイミング」を求めるとともに、噴射期間(噴射量)から「放電開始タイミング」を求め、充電開始タイミング〜放電開始タイミングに亘る「噴射信号TQ」をEDU14の充放電回路61に出力する制御プログラムである。
SCV制御機能は、現在の運転状態に応じた目標コモンレール圧を求め、コモンレール圧センサ58で検出される実コモンレール圧が目標コモンレール圧となるSCV開度を算出する制御プログラムであり、算出した「開弁信号(例えば、PWM信号)」をSCV24に出力する。
(充放電回路61の説明)
ピエゾスタック4の充放電回路61の一例を図7を参照して説明する。
充放電回路61は、直流電源62と、ピエゾスタック4を充電させるための充電スイッチ63と、ピエゾスタック4を放電させるための放電スイッチ64と、充放電されるピエゾスタック4を選択するための選択スイッチ65と、エネルギー蓄積コイル66と、複数の還流用ダイオード67とで構成されている。
直流電源62は、車載のバッテリ68から数十〜数百Vの直流電圧を発生させるDC/DCコンバータ69、このDC/DCコンバータ69に並列接続されたバッファコンデンサ71を備える。このバッファコンデンサ71は、比較的静電容量の大きなもので、ピエゾスタック4の充電作動時にも一定の電圧値を保つようになっている。
充電スイッチ63は、ECU13より与えられる充電信号(噴射信号TQのON)に基づいてON−OFF制御される。放電スイッチ64は、ECU13より与えられる放電信号(噴射信号TQのOFF)に基づいてON−OFF制御される。また、選択スイッチ65もECU13によってON−OFF制御される。これら、充電スイッチ63、放電スイッチ64、選択スイッチ65は、MOSFET等の半導体スイッチング素子でも良いし、機械的なリレースイッチであっても良い。
エネルギー蓄積コイル66は、直流電源62と各ピエゾスタック4を電気的に接続するための通電経路に介在されて、通電経路を流れる電気エネルギーを蓄えるものである。
(温度補償回路72の説明)
充放電回路61には、温度等が変動しても充電時にピエゾスタック4に一定のエネルギーを蓄積させるための温度補償回路72が設けられている。
この温度補償回路72の一例を図8に示す。温度補償回路72は、ピエゾスタック4に与えられる電圧値を積分する積分手段を備え、その積分値が所定値に達すると、ピエゾスタック4の充電を終了させるものである。
積分手段は、ピエゾスタック4の充電電圧値を読み取るための固定抵抗73と可変抵抗74を用いたモニター手段75と、このモニター手段75によって読み取られた電圧値を電流値に変換する電圧/電流変換手段76と、この電圧/電流変換手段76の出力電流によって充電されるリファレンスコンデンサ77とを備える。なお、リファレンスコンデンサ77は、温度特性に優れた例えば5〜12μFのものが搭載されている。
そして、温度補償回路72は、リファレンスコンデンサ77に充電される充電電圧が、基準電圧78によって設定された値(目標充電電圧)に達すると、Hiの信号を出力するコンパレータ79を備え、このコンパレータ79の出力によってピエゾスタック4の充電を終了するように設けられている。
つまり、温度補償回路72は、ピエゾスタック4に印加される電圧を電流変換し、これを時間積分し、積分値が所定値に達したら、即ち、ピエゾスタック4の充電電圧が目標充電電圧に達したら、ピエゾスタック4の充電を終了させるものである。
(充電作動の説明)
ピエゾスタック4の充電の基本作動を図9を参照して説明する。
ECU13より充放電回路61に噴射信号TQが与えられると(TQのON)、以下の作動により、充電スイッチ63のONとOFFが繰り返される。
先ず、充電スイッチ63がONする。すると、図9中の実線A1 に示すように、バッファコンデンサ71に蓄えられた高電圧が充電スイッチ63、エネルギー蓄積コイル66を介してピエゾスタック4に与えられる。この時、ピエゾスタック4が充電されるとともに、エネルギー蓄積コイル66にエネルギーが蓄積される。ピエゾスタック4の通電電流値はモニターされており、ピエゾスタック4の通電電流値が所定電流値(例えば12A)に上昇したら、充電スイッチ63がOFFされる。
充電スイッチ63がOFFされると、図9中の実線A2 に示す状態が生じる。即ち、エネルギー蓄積コイル66に蓄えられたエネルギーが還流用ダイオード67を介してピエゾスタック4に与えられる状態が続き、ピエゾスタック4の充電が継続される。モニターされるピエゾスタック4の通電電流値が所定電流値(例えば10A)に低下したら、再び充電スイッチ63がONされ、図9中の実線A1 の状態に戻される。以下、充電スイッチ63のON−OFFを繰り返す。
以上の作動によってピエゾスタック4が充電される。
上記の充電作動によって、リファレンスコンデンサ77の充電電圧(積分値)が上昇する。この充電電圧(積分値)が予め設定された目標充電電圧(判定値)に達すると、コンパレータ79がHiの信号を出力する。すると、充放電回路61が充電スイッチ63をOFFし、ピエゾスタック4の充電が終了される。
なお、充電を終了するための値(目標充電電圧)は、リファレンスコンデンサ77の容量、モニター手段の可変抵抗値の設定値、および基準電圧78の設定値によって合わせ込まれるものである。
(放電作動の説明)
ピエゾスタック4の放電の基本作動を図9を参照して説明する。
ECU13より充放電回路61に与えられていた噴射信号TQが停止(TQのOFF)すると、以下の作動により、放電スイッチ64のONとOFFが繰り返される。
先ず、放電スイッチ64がONする。すると、図9中の破線B1 に示すように、ピエゾスタック4に蓄えられていた電圧がエネルギー蓄積コイル66、放電スイッチ64を介して流れ、ピエゾスタック4に蓄積されていた電気エネルギーがエネルギー蓄積コイル66に転送され、ピエゾスタック4の放電が進む。ピエゾスタック4の電流値はモニターされており、ピエゾスタック4の電流値が所定電流値(例えば12A)に達したら、放電スイッチ64がOFFされる。
放電スイッチ64がOFFされると、図9中の破線B2 に示す状態が生じる。即ち、エネルギー蓄積コイル66に蓄えられたエネルギーが還流用ダイオード67を介してバッファコンデンサ71に回生される。そして、ピエゾスタック4の電流値が所定電流値(例えば10A)に低下したら、再び放電スイッチ64をONし、図9中の破線B1 の状態に戻す。以下、放電スイッチ64のON−OFFを繰り返す。
以上の作動によってピエゾスタック4が放電される。
なお、充放電回路61には、充電用の温度補償回路72と同様の放電用の温度補償回路72が搭載されており、温度等によってピエゾスタック4の負荷が変動しても、ピエゾスタック4から一定の電気エネルギーが抜き取られると、ピエゾスタック4の放電を終了するように設けられている。
〔問題点〕
請求項1の発明が適用されていない燃料噴射装置では、目標噴射タイミングで噴射が開始されるように設計されているだけで、ピエゾスタック4の充電を開始してから、目標の充電電圧に達するまでの昇圧時間tは、全く考慮されていない。
ここで、上述したように、駆動体5はピエゾスタック4に押しつけられる構造であるため、ピエゾスタック4と駆動体5には、両者による合成共振周期Tが存在する。
このため、ピエゾスタック4や駆動体5に摩擦等の外部負荷がかからない理想的(仮想的)な状態で考えた場合、充電を開始した後、0.5Tの±0.1T内のタイミングにおいて、合成共振周期Tの荷重の右上がり勾配(共振周期の右上がり勾配)が最大になる。 なお、各タイムチャートにおいて、符号Aは充電電圧の変化を示すものであり、符号Bはピエゾスタック4の発生する荷重の変化を示すものである。
ここで、昇圧時間tが考慮されていない場合、ピエゾスタック4に充電を開始した後、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内になる場合が想定される。
その場合は、図1(a)に示すように、充電電圧が目標充電電圧に達して昇圧が終了しても、ピエゾスタック4と駆動体5による伸び方向の変位が合成共振により停止せず、伸び荷重が増大し続けて高荷重(オーバーシュートによるピーク荷重)が発生する。その後、合成共振周期Tでディップとピークとを繰り返す。このピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタック4に直接的に加わるため、ピエゾスタック4の破損の要因となる。
また、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内でなくても、昇圧時間tに達するタイミングが、0.4T内の場合は、昇圧勾配(充電電圧の上昇速度勾配)が非常に大きくなり、結果的に荷重の上昇勾配も非常に大きくなる。
このため、充電電圧が目標充電電圧に達して、昇圧が終了しても、ピエゾスタック4と駆動体5による伸び方向の変位が停止せず、上記と同様、伸び荷重が増大し続けて高荷重(オーバーシュートによるピーク荷重)が発生する。その後、合成共振周期Tでディップとピークを繰り返す。このピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタック4に直接的に加わるため、ピエゾスタック4の破損の要因となる。
〔実施例1の特徴〕
上記の問題点を解決するために、この実施例1においてピエゾスタック4の充放電制御を行う制御装置2は、
ピエゾスタック4の充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、
ピエゾスタック4と駆動体5の合成共振周期をTとした場合、
0.6T≦t
の関係を満足する第1昇圧制御を実施するように設けられている。
即ち、第1昇圧制御は、例えば、ピエゾスタック4と駆動体5の合成共振周期Tが13.5kHzの場合、13.5kHzを時間に直すと13.9μsecであるため、昇圧時間tを13.9μsec×0.6以上にするものである。
昇圧時間tを0.6T以上にする具体的な技術として、次の3つを例示する。
(1)エネルギー蓄積コイル66のインダクタンス容量を大きくするなどの調整をして、昇圧時間tを0.6T以上にする。
(2)ピエゾスタック4を充電する際において、充電スイッチ63のON後に、充電スイッチ63をOFFする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をOFFする所定電流値を12A→10Aに下げ)、昇圧時間tを0.6T以上にする。
(3)ピエゾスタック4を充電する際において、充電スイッチ63のOFF後に、充電スイッチ63をONする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をONする所定電流値を10A→8Aに下げ)、昇圧時間tを0.6T以上にする。
即ち、上記(2)、(3)は充電スイッチ63のOFF時間を長くすることで昇圧速度を遅くするものである。
そして、上述した(1)〜(3)のいずれか、あるいは複数を組み合わせて、図1(b)、(c)中の破線Aに示すように、昇圧時間tを0.6T以上にする。これにより、ピエゾスタック4の充電昇圧が終了するタイミング(昇圧時間tに達するタイミング)と、合成共振周期Tにおける荷重右上がり勾配が最大になるタイミングとが重ならず、且つ昇圧時間tに達する直前の昇圧勾配を穏やかにできる。
(実施例1の効果)
この実施例1の燃料噴射装置は、上述したように、昇圧時間tが0.6T以上であるため、昇圧が終了するタイミングと、合成共振周期Tにおける荷重右上がり勾配が最大になるタイミングとが重ならない。
また、昇圧時間tが0.6T以上であるため、昇圧勾配が穏やかになる。
この結果、充電電圧が目標充電電圧に達した後にピエゾスタック4に生じる高荷重(オーバーシュートによるピーク)を抑えることができるとともに、その後に負荷荷重のピークディップの繰り返しも抑えることができる。
具体的な一例として、昇圧時間tが1.0Tの場合(即ち、t=T)においてピエゾスタック4に生じる負荷荷重の変動の様子を図1(b)に示し、昇圧時間tが1.5Tの場合(即ち、t=1.5T)においてピエゾスタック4に生じる負荷荷重の変動の様子を図1(c)に示す。
図1(b)に示すt=Tの場合は、充電電圧が目標充電電圧に達して、昇圧が終了する時と、ピエゾスタック4と駆動体5の合成共振周期Tによる伸び方向の変位が停止する時とが一致する。即ち、昇圧時間tに達した時に、合成共振周期Tが上死点となる。
これによって、充電電圧が目標充電電圧に達した後におけるピーク荷重およびディップ荷重の発生を抑えることができる。
図1(c)に示すt=1.5Tの場合は、充電電圧が目標充電電圧に達して、昇圧を終了する時に、合成共振周期Tにおける荷重右上がり勾配が最大になる。
しかし、昇圧時間tが1.5Tと長く、昇圧勾配(充電電圧の上昇速度勾配)が穏やかであるため、昇圧時間tが0.5Tの時に比較して、合成共振周期Tにおけるサイン波の右上がり勾配が穏やかになる。
これによって、昇圧時間tが0.5Tの時に比較して、充電電圧が目標充電電圧に達した後におけるピーク荷重およびディップ荷重の発生を抑えることができる。
このようにして、実施例1の燃料噴射装置では、ピエゾスタック4に生じるピーク荷重およびディップ荷重が抑えられるため、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項2に係る発明が適用された実施例2を図10を参照して説明する。なお、以下の各実施例において、実施例1と同一符号は、同一機能物を示すものである。
上記の実施例1では、昇圧時間tを0.6T以上とすることで、充電電圧が目標充電電圧に達した後のピーク荷重およびディップ荷重の発生を抑える例を示した。
これに対して、実施例2は、昇圧時間tが0.6T未満であっても、充電電圧が目標充電電圧に達した後のピーク荷重およびディップ荷重の発生を抑えるものである。
実施例2の制御装置2は、
0.25T≦t<0.6Tの場合、
ピエゾスタック4の充電開始〜0.5tの平均昇圧速度より、0.5t〜1tの平均昇圧速度を遅くする第2昇圧制御を実施する。
即ち、昇圧時間tに達する直前の昇圧速度を遅くするものである。
具体的な一例を図10(b)を参照して説明する。
この例は、t=0.5Tであるが、0〜0.4Tまでの昇圧勾配が大きく、0.4〜0.5Tまでの昇圧勾配が小さいものである。
昇圧終了直前期間の昇圧速度を遅くする具体的な技術として、次の2つを例示する。
(1)ピエゾスタック4を充電する際、昇圧終了直前の期間において、充電スイッチ63のON後に、充電スイッチ63をOFFする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をOFFする所定電流値を12A→10Aに下げ)、昇圧速度を遅くする。
(2)ピエゾスタック4を充電する際、昇圧終了直前の期間において、充電スイッチ63のOFF後に、充電スイッチ63をONする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をONする所定電流値を10A→8Aに下げ)、昇圧速度を遅くする。
即ち、上記(1)、(2)は充電スイッチ63のOFF時間を長くすることで昇圧速度を遅くするものである。
そして、上述した(1)、(2)の一方、あるいは両方を組み合わせることで、図中、実線Aで示すように、昇圧終了直前期間の昇圧速度を遅くすることができる。
このように設けられることによって、昇圧時間tに達するタイミングが、0.5Tの±0.1T内のタイミングであっても、あるいは昇圧時間tが、0.4T内の場合でも、昇圧時間tに達する際の昇圧勾配が穏やかになる。
この結果、充電電圧が目標充電電圧に達した後に生じる高荷重(オーバーシュートによるピーク)を抑えることができるとともに、その後のピークディップの繰り返しも抑えることができる。
このように、ピエゾスタック4に生じるピーク荷重およびディップ荷重が抑えられるため、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項3に係る発明が適用された実施例3を図11、図12を参照して説明する。
(実施例3、4が解決する問題点)
ピエゾスタック4および駆動体5には、膨張時に摩擦等の外部負荷が加わる。
ピエゾスタック4は充電が開始されると伸び荷重を発生する。この伸び荷重は、ピエゾスタック4が伸びを開始した後、駆動体5が動き始める瞬間に最大荷重に達する。具体例を図11を参照して説明すると、ピエゾスタック4の充電が開始されてから、21μsecにおいて、ピエゾスタック4に荷重変動のピークが発生する。また、荷重変動のピークが発生した直後は伸びが戻る方向のディップが生じ、その後、ピークとディップのオーバーシュートを繰り返す。
このようなピーク荷重とディップ荷重は、ピエゾスタック4に直接的に加わるため、ピエゾスタック4の破損の要因となる。
(実施例3の特徴)
実施例3の燃料噴射装置は、上記の問題点を解決するために、次の手段を採用する。
実施例3の制御装置2は、ピエゾスタック4の充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、ピエゾスタック4に生じる荷重変動ピーク頂部(荷重ピークにおける最低値)の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くする、および/またはピエゾスタック4 に生じる荷重変動ディップ頂部(荷重ディップにおける最低値)の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする第3昇圧制御を実施する。
具体的な一例を図12を参照して説明する。なお、図12では、ピエゾインジェクタ1の合成共振周期Tが135.9μsecで、昇圧時間tが一例として150μsecとしてある。
ピエゾスタック4の充電が開始された後、駆動体5が動き始める瞬間(21μsec)に荷重変動のピークが発生し、その後多重共振が生じてピーク荷重とディップ荷重が生じている。また、135.9μsec付近においても合成共振周期Tによるピーク荷重が生じている。
そして、制御装置2は、ピーク発生時の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅く、および/またはディップ発生時の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする。
ピーク発生時の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅く、および/またはディップ発生時の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする具体的な技術を開示する。
ピエゾスタック4の充電時に生じるピーク発生時期およびディップ発生時期は、ピエゾインジェクタ1の設計に関連して生じるものであり、予めデータ取りを行うなどして予測することができる。そして、ピーク発生時期およびディップ発生時期をECU13のマップ等に書き込み、充電開始後、ピーク発生時期の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くする制御、およびディップ発生時期の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする制御を実施する。
なお、ピーク発生時期およびディップ発生時期の±0.1T内の昇圧速度を他の昇圧速度に対し変化させる具体的な技術として、次の2つを例示する。
(1)ピエゾスタック4を充電する際、ピーク発生時期の±0.1T内において、充電スイッチ63のON後に、充電スイッチ63をOFFする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をOFFする所定電流値を12A→10Aに下げ)、昇圧速度を遅くする。ディップ発生時期の±0.1T内において、充電スイッチ63のON後に、充電スイッチ63をOFFする所定電流値を上げ(例えば充電中に充電スイッチ63をOFFする所定電流値を12A→14Aに上げ)、昇圧速度を速くする。
(2)ピエゾスタック4を充電する際、ピーク発生時期の±0.1T内において、充電スイッチ63のOFF後に、充電スイッチ63をONする所定電流値を下げ(例えば充電中に充電スイッチ63をONする所定電流値を10A→8Aに下げ)、昇圧速度を遅くする。ディップ発生時期の±0.1T内において、充電スイッチ63のOFF後に、充電スイッチ63をONする所定電流値を上げ(例えば充電中に充電スイッチ63をONする所定電流値を10A→11Aに上げ)、昇圧速度を速くする。
即ち、上記(1)、(2)は充電スイッチ63のOFF時間を長くすることで昇圧速度を遅くするもの、および充電スイッチ63のON時間を長くすることで昇圧速度を速くするものである。
そして、上述した(1)、(2)の一方、あるいは両方を組み合わせることで、図12中、実線Aに示すように、ピーク発生時期の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くすることができる。また、ディップ発生時期の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くすることができる。
なお、この実施例3では、マップに書き込んだ値(ピーク発生時期およびディップ発生時期)から、昇圧速度を遅くする例を示すが、荷重センサ等でピエゾスタック4の発生荷重を検出し、その発生荷重に基づいて昇圧速度をフィードバック補正しても良い。
実施例3では、上記の技術により、ピーク頂部の前後間の昇圧速度が遅くされる、および/またはディップ頂部の前後間の昇圧速度が速くされるため、駆動体5が動き始める瞬間に生じるピーク荷重や、その後におけるディップ荷重やピーク荷重の発生を抑えることができる。
この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項4に係る発明が適用された実施例4を図13を参照して説明する。
上記実施例3では、ピーク頂部の前後間の昇圧速度を遅くする、および/またはディップ頂部の前後間の昇圧速度を速くすることで、ピーク荷重やディップ荷重の発生を抑える例を示した。
これに対して、実施例4の制御装置2は、昇圧時間t内において、ピエゾスタック4に生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の印加電圧を低下させる第4昇圧制御を実施する。
具体的な一例を図13を参照して説明する。なお、図13では、実施例3と同様、ピエゾインジェクタ1の合成共振周期Tが135.9μsecで、昇圧時間tが一例として150μsecとしてある。
ピエゾスタック4の充電が開始された後、駆動体5が動き始める瞬間(21μsec)に荷重変動のピークが発生し、その後多重共振が生じてピーク荷重とディップ荷重が生じている。また、135.9μsec付近においても合成共振周期Tによるピーク荷重が生じている。
そして、制御装置2は、ピーク発生時の±0.1T内の印加電圧を低下する。
ピーク発生時の±0.1T内の印加電圧を低下させる具体的な技術を開示する。
ピエゾスタック4の充電時に生じるピーク発生時期は、上記実施例3で示したように、ピエゾインジェクタ1の設計に関連して生じるものであり、予めデータ取りを行うなどして予測することができる。そして、ピーク発生時期をECU13のマップ等に書き込み、充電開始後、ピーク発生時期の±0.1T内の印加電圧を低下させる制御を実施する。
ピーク発生時期の±0.1T内の印加電圧を低下させる具体的な技術として、次の例を示す。
(1)ピエゾスタック4を充電する際、ピーク発生時期の±0.1T内において、充電動作を止め、代わりに放電動作を行う。
これによって、ピーク発生時期の±0.1T内におけるピエゾスタック4の充電電圧を低下させることができる。
なお、この実施例4では、マップに書き込んだ値(ピーク発生時期)から、充電電圧を低下させる例を示すが、荷重センサ等でピエゾスタック4の発生荷重を検出し、その発生荷重に基づいて充電電圧をフィードバック補正しても良い。
実施例4では、上記の技術により、ピーク頂部の前後間の充電電圧を低下させるため、駆動体5が動き始める瞬間に生じるピーク荷重や、その後のピーク荷重の発生を抑えることができる。また、ピーク荷重を抑えることで、その直後に生じるディップ荷重も抑えることができる。
この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項5、6に係る発明が適用された実施例5を図14を参照して説明する。
(実施例5が解決する問題点)
燃料噴射装置は、短い周期で繰り返して噴射を行うマルチ噴射を実施する場合がある。具体例を開示すると、図14に示すように、短い噴射期間のパイロット噴射を実行した直後に、長い噴射期間のメイン噴射を実施する場合がある。
その場合、パイロット噴射時に発生した共振が残存共振として、続くメイン噴射の昇圧時間t内に及ぶ場合がある。
メイン噴射の昇圧時間t内に残存共振が及ぶと、昇圧による荷重変動と、残存共振の荷重変動とが重畳されて高荷重が生じ、ピエゾスタック4の破損の要因となる。
一方、メイン噴射の昇圧時間t内に残存共振が及び、荷重が上昇すると、伸び荷重の上昇タイミングが早まることで噴射タイミングが進む可能性がある。
逆に、メイン噴射の昇圧時間t内に残存共振が及び、荷重が低下すると、ピエゾスタック4の伸びが抑えられて、噴射タイミングが遅れる可能性がある。
(実施例5の特徴)
実施例5の燃料噴射装置は、上記の問題点を解決するために、次の手段を採用する。
実施例5の制御装置2は、昇圧時間t内に、前回噴射による残存共振が生じている場合、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタック4に印加する第5昇圧制御を実施する。
具体的には、図14の実線Aに示すように、(1)残存共振による荷重が上昇する時は、実施例4のように、放電動作を行うなどして、ピエゾスタック4の充電電圧を低下させ、(2)逆に、残存共振による荷重が低下する時は、急速充電動作を行うなどして、ピエゾスタック4の充電電圧の上昇勾配を大きくする制御を実施するものである。
なお、昇圧時間tに生じる残存共振は、パイロット噴射(前噴射)の通電開始時期と、ピエゾインジェクタ1の設計に関連して生じるものであり、予めデータ取りを行うなどして予測することができる。そこで、ECU13は、昇圧時間t内に生じる残存共振を、パイロット噴射(前噴射)の通電開始時期と、ECU13のマップ等に書き込んだピークディップの発生データに基づいて算出し、昇圧時間tに生じる残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタック4に印加する制御を実施する。
また、この実施例5の制御装置2は、昇圧時間tを経過した後も、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧をピエゾスタック4に印加する第6昇圧制御を実施する。
具体的には、図14の実線Bに示すように、昇圧時間tの経過後、(1)残存共振による荷重が上昇する時は、放電動作を行うなどして、ピエゾスタック4の充電電圧を低下させ、(2)逆に、残存共振による荷重が低下する時は、充電動作を行うなどして、ピエゾスタック4の充電電圧を上昇させる制御を実施するものである。
なお、この実施例5では、前噴射の通電開始時期と、マップに書き込んだ値(ピーク発生時期およびディップ発生時期)から、残存共振の影響を補正する例を示すが、荷重センサ等でピエゾスタック4の発生荷重を検出し、その発生荷重に基づいて充電電圧をフィードバック補正しても良い。
実施例5では、上記の技術により、残存共振の荷重が上昇する時は、逆位相により電圧の昇圧勾配が負勾配にされるため、荷重の上昇速度が緩和され、高荷重の発生を抑えることができる。
この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
一方、昇圧時間t内において残存共振の荷重が上昇する時は、昇圧勾配が負勾配にされて荷重の上昇速度が緩和されるため、噴射タイミングが進む不具合を回避できる。
逆に、昇圧時間t内において残存共振の荷重が低下する時は、昇圧勾配が大きくされて、ピエゾスタック4の伸びが抑えられる現象を回避するため、噴射タイミングが遅れる不具合を回避できる。
請求項7に係る発明が適用された実施例6を図15を参照して説明する。
(実施例6が解決する問題点)
上記実施例3で示したように、ピエゾスタック4に充電開始し、ピエゾスタック4が伸びを開始した後、駆動体5が動き始める瞬間に最大荷重に達する。この最大荷重は、ピエゾスタック4に直接的に加わるため、ピエゾスタック4の破損の要因となる。
(実施例6の特徴)
実施例6のピエゾインジェクタ1は、駆動体5と、この駆動体5を摺動自在に支持する第1摺動保持部材(バルブボディ41等)との接触部に、摩擦係数を下げる第1摩擦係数低減手段81が設けられている。
また、駆動体5の移動は、小径ピストン51の動きやすさの影響を受けるため、実施例6のピエゾインジェクタ1は、小径ピストン51と、この小径ピストン51を摺動自在に支持する第2摺動保持部材(バルブボディ41等)との接触部にも、摩擦係数を下げる第2摩擦係数低減手段82が設けられている。
第1、第2摩擦係数低減手段81、82の一例を開示する。
第1、第2摩擦係数低減手段81、82は、駆動体5および小径ピストン51の滑りを向上させるための手段であり、(1)駆動体5および小径ピストン51の摺動面の鏡面加工、(2)第1、第2摺動保持部材(バルブボディ41等)における摺動面の鏡面加工、(3)駆動体5および小径ピストン51の角部(端部)の面取り、(4)駆動体5の摺動クリアランスの変化を抑えるために、駆動体5と第1摺動保持部材(バルブボディ41等)の熱膨張率を同じにする(例えば、両方ステンレス)、(5)小径ピストン51の摺動クリアランスの変化を抑えるために、小径ピストン51と第2摺動保持部材(バルブボディ41等)の熱膨張率を同じにする(例えば、両方ステンレス)。
実施例6は、これら(1)〜(5)のいずれか、あるいは複数を組み合わせることで、駆動体5および小径ピストン51の滑りを向上させるものである。
この実施例6により、ピエゾスタック4が伸びを開始した後、駆動体5が動き始める瞬間に発生するピーク荷重を抑えることができる。また、小径ピストン51が動き始める瞬間に発生するピーク荷重を抑えることができる。
このように、ピエゾスタック4に加わるピーク荷重が抑えられることにより、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項8、9に係る発明が適用された実施例7を図16を参照して説明する。
(実施例7〜実施例11が解決する問題点)
上述した実施例1で開示したように、ピエゾスタック4の上端と当接する固定台座56、およびこの固定台座56の上端と当接するハウジング34(バルブボディ41)は、ピエゾスタック4の上側(駆動体5とは異なる側)においてピエゾスタック4の伸び出力を受け止める固定部材に相当するものである。
ここで、固定台座56、およびこの固定台座56を支持するバルブボディ41は、ヤング率が13Gpa程度の硬質金属(ステンレス)よりなるものであり、ピエゾスタック4の上側を強固に固定する構造になっている。
そして、ピエゾスタック4の充電時、ピエゾスタック4に生じる伸び荷重の一方は、駆動体5に伝えられるものであるが、ピエゾスタック4に生じる伸び荷重の他は、固定部材(固定台座56、および固定台座56を支持するバルブボディ41)によって受け止められる。
ここで、ピエゾスタック4に生じる荷重の内、駆動体5側の荷重は、駆動体5が移動することで緩和される。
しかし、ピエゾスタック4の上側は、固定部材によりリジットに固定されているため、荷重は外部に拡散されない。このため、ピエゾスタック4における上側のピエゾ素子3(特に、上端のピエゾ素子3)には大きな応力が加わる。
このため、固定部材側のピエゾ素子3(特に固定部材側の端部のピエゾ素子3)が破損しやすく、ピエゾスタック4の長期信頼性が低下する。
(実施例7の特徴)
上記の問題点を解決するため、実施例7のピエゾインジェクタ1は、ピエゾスタック4の伸び出力を受け止める固定部材と、ピエゾスタック4との間に、固定部材より剛性の低い低剛性部を設けている。
具体的に、この実施例7では、固定台座56とバルブボディ41との間に、低剛性部として、ヤング率が10Gpa以下の低剛性部材(例えば、銅ワッシャ等)83を介在させている。
なお、この実施例7では、固定台座56とバルブボディ41との間に、低剛性部としての低剛性部材83を配置する例を示すが、固定台座56とピエゾスタック4の上端との間に低剛性部材83を配置しても良い。
この実施例7により、ピエゾスタック4に生じる荷重の内、固定された上側の荷重は、低剛性部材83の変形により緩和される。
この結果、ピエゾスタック4の上側(特に上端)のピエゾ素子3の破損を防ぐことが可能になり、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項8、10に係る発明が適用された実施例8を図17を参照して説明する。
この実施例8の低剛性部は、固定部材においてピエゾスタック4の伸び出力を受ける面に設けられ、表面粗度が1.6Zより粗く設けられることでヤング率が10Gpa以下の粗面84である。
具体的に、この実施例8では、ハウジング34と固定部材の当接部分の一方(具体的には、テーパ部56cあるいはテーパ受面57の一方)の粗度を粗く設けることで、固定台座56を支持する部分のヤング率を10Gpa以下に設けたものである。なお、図17では、テーパ部56cに粗面84を設けた例を示す。
この実施例8により、実施例7と同様の効果を得ることができる。また、実施例7の別部品(低剛性部材83)が不要であるため、ピエゾインジェクタ1の組付けが容易にできる。
請求項11〜13に係る発明が適用された実施例9を図18を参照して説明する。なお、図18は実施例9〜11の説明用の共通図面である。
この実施例9のピエゾインジェクタ1は、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端(駆動体5とは異なる側の端部)のピエゾ素子3aを、下端(駆動体5に近い側の端部)のピエゾ素子3bに比較して、内部応力を低下させる構造としたものである。
具体的には、上端のピエゾ素子3aの素子径を、下端のピエゾ素子3bの素子径に比較して大きく設けることで、上端のピエゾ素子3aの内部応力が低下するようにしている。さらに具体的には、上端のピエゾ素子3aの素子径を、下端のピエゾ素子3bの素子径より、3%以上大きく設けている。
この実施例9により、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端のピエゾ素子3aに加わる荷重応力が、大径に設けられた上端のピエゾ素子3aで緩和されるため、上端のピエゾ素子3aの破損を防ぐことが可能になる。この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項11、14、15に係る発明が適用された実施例10を図18を参照して説明する。
上記の実施例9では、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端(駆動体5とは異なる側の端部)のピエゾ素子3aを、大径に設けることで、内部応力を低下させる例を示した。
これに対し、この実施例10は、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端のピエゾ素子3aの厚みを、下端のピエゾ素子3bの厚みに比較して厚く設けることで、上端のピエゾ素子3aの内部応力が低下するようにしている。具体的には、上端のピエゾ素子3の厚みを、下端のピエゾ素子3の厚みより、3%以上厚く設けている。
この実施例10により、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端のピエゾ素子3aに加わる荷重応力が、厚く設けられた上端のピエゾ素子3aで緩和されるため、上端のピエゾ素子3aの破損を防ぐことが可能になる。この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項16、17に係る発明が適用された実施例11を図18を参照して説明する。
上記の実施例9、10では、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端(駆動体5とは異なる側の端部)のピエゾ素子3aの内部応力を低下させる例を示した。
これに対し、この実施例11は、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端のピエゾ素子3aの素子強度を、下端のピエゾ素子3bの素子強度に比較して高く設けたものである。
具体的には、上端のピエゾ素子3aを構成する圧電体を、他のピエゾ素子3の圧電体よりじっくり焼結することで、上端のピエゾ素子3aの素子強度が高く設けられている。より具体的には、上端のピエゾ素子3aの素子強度が、下端のピエゾ素子3bの素子強度より、10%以上高く設けられている。
この実施例11により、ピエゾスタック4を構成しているピエゾ素子3のうち、上端のピエゾ素子3aの強度が高く設けられていることにより、上端のピエゾ素子3aの破損を防ぐことが可能になる。この結果、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
請求項18に係る発明が適用された実施例12を図19を参照して説明する。
(実施例12が解決する問題点)
ピエゾスタック4には、共振、駆動体5の駆動、小径ピストン51の移動により、ピーク荷重およびディップ荷重が生じる。ピエゾスタック4を構成するピエゾ素子3は、衝撃に弱いものであり、上述の如く高荷重により破損する場合の他に、急激な引っ張り荷重により破損する場合がある。
即ち、ピエゾスタック4に急激なディップ荷重が生じることにより、ピエゾスタック4の長期信頼性が低下する。
(実施例12の特徴)
ピエゾスタック4の充電時、ピエゾスタック4に生じる伸び荷重の一方は、駆動体5に伝えられるものであるが、ピエゾスタック4に生じる伸び荷重の他方は、固定部材(固定台座56、および固定台座56を支持するバルブボディ41)によって受け止められる。 そこで、この実施例12では、ピエゾスタック4の伸び出力を受け止める固定部材(固定台座56、および固定台座56を支持するハウジング34)と、ピエゾスタック4との間に、ピエゾスタック4に圧縮力を与える反発部材85を配置している。
具体的に、この実施例12では、固定台座56とバルブボディ41の間に、反発部材85として、バネ材(例えばウエーブワッシャ)を介在させている。
なお、この実施例12では、固定台座56とバルブボディ41の間に、反発部材85を配置する例を示すが、固定台座56とピエゾスタック4の上端との間に反発部材85を配置しても良い。
この実施例12により、ピエゾスタック4に負荷荷重が抜けるディップ荷重が生じても、その負荷荷重が抜けるディップ荷重を反発部材85が吸収するため、ピエゾスタック4に急激な抜け荷重(急激な引っ張り荷重)が生じる不具合を回避することができる。
このように、ピエゾスタック4に加わるディップ荷重が抑えられることにより、ピエゾスタック4の長期信頼性が向上し、ピエゾインジェクタ1の耐久性を高め、燃料噴射装置の信頼性を高めることができる。
[変形例]
上記の各実施例を組み合わせて用いても良い。
合成共振周期に対する充電電圧および荷重変化を示すタイムチャートである(実施例1)。 燃料噴射装置の概略図である(実施例1)。 燃料噴射装置の概略図である(実施例1)。 ピエゾインジェクタの断面図である(実施例1)。 ピエゾインジェクタの概略図である(実施例1)。 ピエゾスタックの概略図である(実施例1)。 充放電回路の電気回路図である(実施例1)。 温度補償回路の概略図である(実施例1)。 充放電回路の作動説明図である(実施例1)。 合成共振周期に対する充電電圧および荷重変化を示すタイムチャートである(実施例2)。 時間軸に対する荷重変化を示すタイムチャートである(参考例)。 時間軸に対する充電電圧および荷重変化を示すタイムチャートである(実施例3)。 時間軸に対する充電電圧および荷重変化を示すタイムチャートである(実施例4)。 時間軸に対する充電電圧および荷重変化を示すタイムチャートである(実施例5)。 ピエゾインジェクタの概略図である(実施例6)。 ピエゾスタックの概略図である(実施例7)。 ピエゾスタックの概略図である(実施例8)。 ピエゾスタックの概略図である(実施例9、10、11)。 ピエゾスタックの概略図である(実施例12)。
符号の説明
1 ピエゾインジェクタ
2 制御装置
3 ピエゾ素子
3a 上端のピエゾ素子(駆動体とは異なる側の端部のピエゾ素子)
3b 下端のピエゾ素子(駆動体に近い側の端部のピエゾ素子)
4 ピエゾスタック
5 駆動体(大径ピストン)
41 バルブボディ(摺動保持部材、固定台座を介してピエゾスタックの荷重を受け止める固定部材)
51 小径ピストン
56 固定台座(ピエゾスタックの荷重を直接受け止める固定部材)
81 第1摩擦係数低減手段
82 第2摩擦係数低減手段
83 低剛性部材(低剛性部)
84 粗面(低剛性部)
85 反発部材

Claims (18)

  1. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、
    前記ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置と、
    を具備する燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    前記ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、 前記ピエゾスタックと前記駆動体の合成共振周期をTとした場合、
    0.6T≦t
    の関係を満足する第1昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、
    前記ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置と、
    を具備する燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    前記ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、 前記ピエゾスタックと前記駆動体の合成共振周期をTとした場合で、
    0.25T≦t<0.6Tの場合、
    前記ピエゾスタックの充電開始〜0.5tの平均昇圧速度より、0.5t〜1tの平均昇圧速度を遅くする第2昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  3. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、
    前記ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置と、
    を具備する燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    前記ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、 前記ピエゾスタックと前記駆動体の合成共振周期をTとした場合、
    前記ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、前記ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも遅くする、および/または前記ピエゾスタックに生じる荷重変動ディップ頂部の±0.1T内の昇圧速度を、他の昇圧速度よりも速くする第3昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  4. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、
    前記ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置と、
    を具備する燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    前記ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、 前記ピエゾスタックと前記駆動体の合成共振周期をTとした場合、
    前記ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、前記ピエゾスタックに生じる荷重変動ピーク頂部の±0.1T内の印加電圧を低下させる第4昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  5. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタと、
    前記ピエゾスタックの充放電制御を行う制御装置と、
    を具備する燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    前記ピエゾスタックの充電開始から、目標充電電圧に達するまでの昇圧時間をtとし、 前記ピエゾスタックと前記駆動体の合成共振周期をTとし、
    前記ピエゾスタックと前記駆動体に前回噴射による残存共振が生じている場合、
    前記ピエゾスタックの充電開始から目標充電電圧に至る昇圧時間t内において、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧を前記ピエゾスタックに印加する第5昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 請求項5に記載の燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、
    昇圧時間tを経過した後も、残存共振による荷重変動とは逆位相の電圧を前記ピエゾスタックに印加する第6昇圧制御を実施することを特徴とする燃料噴射装置。
  7. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する燃料噴射装置において、
    前記駆動体と、この駆動体を摺動自在に支持する摺動保持部材との接触部には、摩擦係数を下げる摩擦係数低減手段が設けられていることを特徴とする燃料噴射装置。
  8. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する燃料噴射装置において、
    前記駆動体とは異なる側において前記ピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、前記ピエゾスタックとの間には、前記固定部材より剛性の低い低剛性部が設けられていることを特徴とする燃料噴射装置。
  9. 請求項8に記載の燃料噴射装置において、
    前記固定部材は、ステンレスよりなり、
    前記低剛性部は、ヤング率が10Gpa以下の低剛性部材であることを特徴とする燃料噴射装置。
  10. 請求項8に記載の燃料噴射装置において、
    前記低剛性部は、前記固定部材において前記ピエゾスタックの伸び出力を受ける面に設けられ、表面粗度が1.6Zより粗く設けられることでヤング率が10Gpa以下の粗面であることを特徴とする燃料噴射装置。
  11. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子は、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子に比較して、内部応力を低下させる構造になっていることを特徴とする燃料噴射装置。
  12. 請求項11に記載の燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子の素子径は、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子の素子径に比較して、大きく設けられていることを特徴とする燃料噴射装置。
  13. 請求項12に記載の燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子の素子径は、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子の素子径より、3%以上大きいことを特徴とする燃料噴射装置。
  14. 請求項11に記載の燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子の厚みは、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子の厚みに比較して、厚く設けられていることを特徴とする燃料噴射装置。
  15. 請求項14に記載の燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子の厚みは、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子の厚みより、3%以上厚いことを特徴とする燃料噴射装置。
  16. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子は、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子に比較して、素子強度が高く設けられていることを特徴とする燃料噴射装置。
  17. 請求項16に記載の燃料噴射装置において、
    前記ピエゾスタックを構成している前記ピエゾ素子のうち、前記駆動体とは異なる側の端部の前記ピエゾ素子の素子強度は、前記駆動体に近い側の端部の前記ピエゾ素子の素子強度より、10%以上高いことを特徴とする燃料噴射装置。
  18. ピエゾ素子を積層してなり、充電により積層方向へ伸び出力を発生するピエゾスタック、およびこのピエゾスタックの伸び出力により直接駆動されて積層方向へ移動する駆動体を備え、前記ピエゾスタックの伸び出力により前記駆動体が積層方向へ移動することで燃料噴射を実行するピエゾインジェクタを具備する燃料噴射装置において、
    前記駆動体とは異なる側において前記ピエゾスタックの伸び出力を受け止める固定部材と、前記ピエゾスタックとの間には、前記ピエゾスタックに圧縮力を与える反発部材が配置されたことを特徴とする燃料噴射装置。
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