JP2006313849A - 導電性ペースト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、溶剤成分として、テルペン−エーテル系化合物および/またはその水添物を含有する導電性ペーストである。テルペン−エーテル系化合物は、例えば、テルペン系化合物とメタノールおよびβ−ゼオライト、アンバーリストなどの触媒を用いて、反応温度−78〜100℃で製造することができる。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの溶剤は、ポリビニルブチラール樹脂に対する溶解性が高く、完全にシートアタック現象を抑制することができていないのが現状である。今後、さらに欠品の削減や多層セラミック電子部品の薄膜化、高密度化に対応するためには、有機ビヒクルのエチルセルロース樹脂に対する溶解性を維持したままで、ポリビニルブチラール樹脂に代表される有機バインダーに対する溶解性をさらに下げる必要がある。
また、このような耐電圧性の低下や静電容量不足は、積層セラミックコンデンサーのヒビやカケ破断の原因にもなっている。
ここで、下記式(II)は、下記式(I)の水添物である。
ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。また、テルペン系化合物は異性化などを伴う反応を用いて使用することもできる。
なお、上記反応におけるテルペン系化合物と、アルコール化合物との反応は、テルペン系化合物1モルに対し、通常、アルコール化合物が0.5〜10モル、好ましくは2〜4モルである。アルコール化合物が0.5モル未満ではテルペン化合物が過剰に存在することになり製造コストや反応選択率の面で好ましくなく、一方、10モルを超えるとアルコール化合物が過剰に存在することになり製造コスト的に好ましくない。
式(II)の化合物は、式(I)を水添して得られるものである。
式(III)の化合物は、例えばカンフェンとメタノールを濃硫酸やp−トルエンスルホン酸、アンバーリストなどの酸触媒下、50から80℃で反応させ、その後触媒除去ならびに蒸留によって精製して得られたで得られた化合物である。
水添する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。
この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
また、本発明の導電性ペーストの溶剤中には、必要に応じて、各種添加剤、溶剤を含有させてもよい。
本発明の導電性ペーストは、貴金属電極層に相当するもので、有機バインダーとなる樹脂を有機溶剤(テルペン骨格にメトキシ基またはエトキシ基を有するテルペン−エーテル系化合物)に溶解して得られる有機ビヒクル中に、Pdなどの金属粉末を分散させたものである。
有機ビヒクル中のテルペン−エーテル系化合物は、60〜95重量%であることが好ましい。より好ましくは、65〜85重量%である。
60重量%未満では、エチルセルロースなどの溶解性が悪くなり、一方、95重量%を超えると、有機ビヒクルの粘度が低くなり過ぎて好ましくない。
有機バインダーとしては、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂が使用される。
導電体ペースト中には、粘度調整用の希釈溶剤を使用してもよい。
導電体ペースト中における、該有機ビヒクルは、5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%である。
有機ビヒクルが、5重量%未満であると、乾燥膜の強度が弱くなり、一方、40重量%を超えると、焼成後の電極厚さが薄くなりすぎて好ましくない。
具体的には、塗布膜厚などの粘度調製として、一般に回転粘度計において100回転での粘度が40,000cps以下になるようにエチルアルコール、トルエン、トリメチルベンゼンなどの希釈溶剤を加えていることが多い。
本発明の溶剤成分は、上記にも記載しているように、有機バインダーとなる樹脂と混合して、有機ビヒクルを形成するものであり、その成分はテルペン骨格にメトキシ基またはエトキシ基を有するテルペン−エーテル系化合物である。
このテルペン−エーテル系化合物は、セラミックグリーンシートに使用されるポリビニルブチラールなどの有機バインダー樹脂に対する溶解性が低く、一方、導電性ペーストに使用されるエチルセルロース、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどの有機バインダーに対しては良好な溶解性を示すものである。
したがって、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極が交互に、規則性をもって積み重ねた積層体を製造することが可能となり、デラミネーションが生じない、電気的特性の劣化の発生しない、積層セラミックコンデンサーを提供することを可能にするものである。
合成例1
[式(I)で表される化合物の合成]]
リモネン136g(ヤスハラケミカル(株)製D−リモネンN、純度95%)にエタノール136g、触媒としてイオン交換樹脂アンバーリスト27gを加え、攪拌しながら反応温度が50℃を超えないように徐々に滴下し、終了後、35℃で、3時間攪拌した。
反応終了後、触媒を濾過し、水洗を行い、フェノチアジン4gを添加し、蒸留によって、式(I)で表される化合物(純度95%)151.2gを得た。
[式(I)で表される化合物の水添反応]
合成例1で得られた式(I))で表される化合物150gに、触媒としてPd−C、1.5gを加え、攪拌しながら反応温度が50℃、水素圧5MPaで、反応温度が50℃を超えないように、水素を徐々に追加しながら、3時間攪拌を行った。
反応終了後、触媒を濾過し、水洗を行い、蒸留によって、式(II)で表される化合物(純度94.3%)138gを得た。
[式(III)で表される化合物の合成]
カンフェン136g(ヤスハラケミカル(株)製カンフェン、純度95%)にメタノール136g、触媒としてイオン交換樹脂アンバーリスト13.6gを加え、攪拌しながら反応温度が62〜80℃で、3時間攪拌した。
反応終了後、触媒を濾過し、水洗を行い、フェノチアジン4gを添加し、蒸留によって、式(III)で表される化合物式(III)−1(純度95%)112gを得た。
(式(III)で表される化合物の合成)
カンフェン136g(ヤスハラケミカル(株)製カンフェン、純度95%)にエタノール136g、触媒としてイオン交換樹脂アンバーリスト13.6gを加え、攪拌しながら反応温度が62〜80℃で、3時間攪拌した。
反応終了後、触媒を濾過し、水洗を行い、フェノチアジン4gを添加し、蒸留によって、式(III)で表される化合物(III)−2(純度95%)122.1gを得た。
50mL共栓付試験管にブチラール樹脂(和光純薬社製:MW2400、住友化学社製:S−LEC BH−3)500mgと本発明の各溶剤(式(I)、式(II)、式(III)−1、式(III)−2)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後、上清を分取し、さらに2,000rpmで5分間遠沈操作を行った。このものの上澄みを1g取り、標品(旭電化工業社製、アデカスタブAO−20)を50mg加えてGPCを測定した。測定後、ブチラール樹脂の分子量に相当するピークエリアと標品のピークエリア比より、各溶剤25gに溶解したブチラール樹脂量(mg)を算出した。その結果を表1に示す。
50mL共栓付試験管にエチルセルロースSTD45(和光純薬製)1,250mgと本発明の各溶剤(式(I)、式(II)、式(III)−1、式(III)−2)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後室温まで放冷し、エチルセルロースの溶け残りが無いか目視で確認した。完全に溶解したものについては○、溶け残りが確認されたものについては×とした。その結果を表1に示す。
50mL共栓付試験管にブチラール樹脂(和光純薬社製:MW2400、住友化学社製:S−LEC BH−3)500mgと各比較溶剤(ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルニルアセテート、イソボルニルヘキサネート、ノピルアセテート、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後上清を分取し、さらに2,000rpmで5分間遠沈操作を行った。このものの上澄みを1g取り、標品(旭電化工業製アデカスタブAO−20)を50mg加えてGPCを測定した。測定後、ブチラール樹脂の分子量に相当するピークエリアと標品のピークエリア比より、各溶剤25gに溶解したブチラール樹脂量(mg)を算出した。その結果を表1に示す。
50mL共栓付試験管にエチルセルロースSTD45(和光純薬社製)1,250mgと各比較溶剤(ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルニルアセテート、イソボルニルヘキサネート、ノピルアセテート、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後、室温まで放冷し、エチルセルロースの溶け残りが無いか目視で確認した。完全に溶解したものについては○、溶け残りが確認されたものについては×とした。その結果を表1に示す。
積層セラミックコンデンサーを製造する場合について、以下の方法で、本発明の導電性ペーストを評価した。
微細化したチタン酸バリウム粉末90重量%とポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製ポリビニルブチラールS−LEC SB3)4重量%、エチルアルコール6重量%からなる有機ビヒクルを混練して、セラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法により、誘電体グリーンシートを作製した。
次に、合成例1〜5および上記比較例で使用したそれぞれの溶剤30重量部に、エチルセルロース樹脂(和光純薬工業(株)製エチルセルロース)5重量部を溶解させ、有機ビヒクルを調合した。次に、この有機ビヒクル10重量部と、Pd(パラジウム)粉末10重量部を混練して、導電性ペーストを作製した。上記誘電体グリーンシート上に、この導電性ペーストをスクリーン印刷し、そのシートを120℃で10分間乾燥させた。その後、そのシートを積層し、80℃、100kg/cm2、3分間で熱圧着し、30層の積層体である内部電極を作製した。その積層体を3mm×5mm角に切断し、大気炉にて1,350℃で2時間焼成した。その後焼成体を研磨し、断面を光学顕微鏡で観察し、デラミネーションの発生の有無を観察した。結果を表1に記載した。
Claims (5)
- 多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、溶剤成分としてテルペン−エーテル系化合物および/またはその水添物を含有することを特徴とした導電性ペースト。
- テルペン−エーテル系化合物および/またはその水添物が下記式(I)、(II)、(III)で表される化合物の少なくとも1種である請求項1記載の導電性ペースト。
- 溶剤成分が、式(I)において、n=2である請求項2記載の導電性ペースト。
- 溶剤成分が、式(II)において、m=2である請求項2記載の導電性ペースト。
- 溶剤成分が、式(III)において、p=1および/または2である請求項2記載の導電性ペースト。
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