JP2006313522A - 等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プログラム、等価材料定数算出方法、設計システムおよび構造体の製造方法 - Google Patents

等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プログラム、等価材料定数算出方法、設計システムおよび構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造体を構成する各材料の方向性を考慮した精度の高い等価材料定数を効率よく計算することができる等価材料定数算出システムを提供する。
【解決手段】各材料の形状を表すデータを入力する形状データ入力部と、材料定数を表すデータを入力する材料データ入力部と、構造体を小領域に分割する分割部と、小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、前記小領域内計算部は、各小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成部と、区間を設定する区間設定部と、前記区間において、材料定数が適用される位置を表す関数を積分することで、該区間における等価材料定数を求める区間内計算部と、各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における等価材料定数を求める小領域等価材料定生成部とを備える等価材料定数算出システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、異なる材料定数を有する複数の材料からなる構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プログラム、等価材料定数算出方法並びにそのような構造体の設計システムおよび製造方法に関する。
例えば、電子機器の設計においては、電子機器をコンピュータ上のデータとして扱うことができるようにモデル化して、有限要素法等を用いたシミュレーションを行うことにより、温度や応力等を予測することができる。
電子機器をモデル化する際に、電子機器を構成する部品の形状、材料定数等がデータとして必要となる。例えば、電気機器の構成部品である電子回路基板の形状、材料定数(例えば、熱伝導率等)がデータとして必要となる。電子回路基板は、金属材料からなる配線部と樹脂材料からなる非配線部で構成されている。そのため、金属材料と樹脂材料という材料定数の異なる材料を含んでいる。この場合、すべての配線をモデリングするのは現状のコンピュータのスペックでは不可能である。そこで、異なる材料定数を有する複数の材料からなる電子回路基板全体またはその一部を1つの等価材料定数を有する複数の材料からなる構造体とみなして、等価材料定数を求める必要がある。
このような等価材料定数を算出する方法として、電子回路基板上の配線パターンを考慮した等価熱伝導率の算出方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。図26はこの従来の等価材料定数算出方法の一例である、電子回路基板の等価熱伝導率算出方法の概要を表すフローチャートである。
ステップS911では、等価熱伝導率算出の対象である、電子回路基板の形状データが入力される。電子回路基板は、配線パターン層(以下、配線層と称する)と絶縁層が積層されて構成されている。形状データとして、例えば、電子回路基板全体の輪郭外形、電子回路基板に穴が存在する場合にはその穴の位置や寸法、配線層や絶縁層の厚み、各配線層における配線パターン形状等、各種形状に関するデータが入力される。
ステップS912では、電子回路基板の材料データが入力される。材料データとして、例えば、電子回路基板の配線パターンを構成する金属材料である配線材料の熱伝導率と、配線パターン以外の非配線部分や絶縁層を構成する樹脂材料である絶縁体材料の熱伝導率とが入力される。
ステップS913では、この等価熱伝導率算出の対象である電子回路基板を、この電子回路基板の配線層や絶縁層毎に、N個の小領域に分割する。
ステップS914では、分割された各小領域毎に、上記ステップS911で入力された電子回路基板の形状データを使って配線パターン面積とそれ以外の絶縁部分面積とを求め、この両面積から各小領域における配線部分の面積比を計算する。通常上記電子回路基板は非常に複雑な形状をしており、この電子回路基板の形状データもそれを反映して非常に複雑なものである。しかし、電子回路基板を小領域に分割することによって、その小領域における配線パターン形状は、例えば直線や円弧、あるいは四角形や三角形、円の一部等になるか、あるいは少なくともこれらの形状によって近似可能な形状となる。その結果、小領域における配線パターン面積とそれ以外の絶縁部分面積とを比較的容易且つ高精度に算出することが可能となる。
ステップS915では、この分割されたN個の小領域の配線部分面積比を集計することによって、各配線層或いは絶縁層毎に、その層の配線部分面積比を計算する。この各層毎の配線部分面積比を求める式は数1で表される。数1におけるPiが、第i層における配線部分面積比表している。
Figure 2006313522
数1において、Pijは、第i層の第j小領域における配線部分面積比である。
この式はまた、各小領域毎の配線部分面積比の平均を求めることに相当する。但しここでは、分割された各小領域の面積は等しいことを仮定している。
ステップS916では、上記各配線層あるいは絶縁層毎に計算した配線部分面積比を使用して、積層材と見なした電子回路基板全体の等価熱伝導率λpを計算する。
このλpの算出には、数2または数3を使用することができる。尚、数2は絶縁体材料の熱伝導効果を無視した場合の式である。通常、絶縁体材料の熱伝導率は配線材料の熱伝導率と比較して非常に小さいので、数2のように絶縁体材料の熱伝導効果を無視することによって、計算負荷を軽減することができる。数3は、絶縁体材料の熱伝導効果を考慮した場合の式である。
Figure 2006313522
Figure 2006313522
数2において、λ、P、αは以下の値を表す。
λ:第i層の配線材料の熱伝導率(W/m・K)
:第i層の配線部分面積比(絶縁層については、0.0)
α:第i層の厚さが電子回路基板全体の厚さに占める比率(数4参照)
Figure 2006313522
数3において、λ、λは以下の値を表す。Pとαは数2と同様である。
λ:配線材料の熱伝導率(W/m・K)
λ:絶縁体材料の熱伝導率(W/m・K)
数3では絶縁層に含まれる配線材料部分(スルーホール等)を無視している。もしも数3において、絶縁層に含まれる配線材料部分をも考慮するならば、数3におけるBは数3におけるAと同様にして計算することができる。
さらに、数3では、各層の配線材料、また各層の絶縁体材料は同一である(あるいは少なくとも各層の配線材料の熱伝導率は同一であり、各層の絶縁体材料の熱伝導率も同一である)ことを仮定している。
ステップS917では、ステップS916で計算された電子回路基板全体の等価熱伝導率情報が、熱伝導率データベース等に対して出力される。熱伝導率データベースに保存された等価熱伝導率は、後に、上記電子回路基板を含む電子機器について、有限要素法等を用いた熱伝導解析を行う際に読み出して使用することができる。

特開2000−180395号
しかしながら、上記従来の等価材料定数算出方法においては、各電子材料(配線材料と絶縁体材料)の占有面積の面積比を用いて等価材料定数を算出するが、各電子材料が電子回路基板上に占める部分の形状の方向性については全く考慮されていなかった。
ある電子材料が1つの基板上で同じ面積を占めていたとしても、その電子材料がその基板上で占める部分の形状の方向性によって、方向毎の等価材料定数は大きく異なってくる。
図27は、電子回路基板の配線パターンの一例を示す図である。例えば、図27(a)に示す電子回路基板921では、良熱伝導体である配線材料で構成された配線パターン923が、X軸方向に沿って細く長い面積を占めており、それが6本存在している。この電子回路基板921において、例えば、熱がX軸方向に伝わる場合は、良熱伝導体である配線パターン923を通って片側の辺から対向する辺まで伝わるので、熱の伝わりは良好である。一方、熱がY軸方向に伝わる場合には、配線パターン923と非配線部分924を交互に通って伝わるので、熱の伝わり方は悪くなる。従って、等価熱伝導率はX軸方向では比較的高く、方向Xと垂直な方向(Y軸方向)では比較的低くなる。
逆に、図27(b)に示す電子回路基板922のように、良熱伝導体である配線材料で構成された配線パターン923が、Y軸方向に沿って細く長い面積を占めており、しかもそれが7本存在する場合、熱伝導率はY軸方向では比較的高くなり、これと垂直なX軸方向では比較的低くなる。
上記従来の等価材料定数算出方法で求めることのできる等価材料定数は、占有面積の面積比を用いて等価材料定数を算出されるため、各電子材料が電子回路基板上に占める部分の形状の方向性については全く考慮されていなかった。そのため、例えば、図27(a)および(b)に示すように、各材料が占める部分の形状が異方性を持つ場合には、算出される等価材料定数は、極めて大きな誤差を含むことにならざるを得なかった。
これを解決する手法の1つとして、例えば、上記電子回路基板をより小さな領域に分割し、分割した小領域それぞれについて等価材料定数を求めることで、誤差を小さくすることが考えられる。しかしながらこの手法は、より多くの計算時間を必要とする。また、小領域ごとの等価材料定数は、やはり各電子材料が占める部分の形状の異方性を考慮していないため、異方性を有する等価材料定数の精度向上には効果が低い。そのため、計算処理の効率が悪くなるという課題がある。
また、電子回路基板を細かく分割した場合、計算結果として、分割した小領域数分の等価材料定数が出力されるので、出力されるデータ量が多くなる。そのため、出力された等価材料定数を使って解析を行う際にも、解析処理が複雑になり、効率が悪くなる。
上記課題を鑑み、本発明は、複数の材料から構成される構造体において、各材料の方向性を考慮した精度の高い等価材料定数を効率よく計算することができる等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プロラム、等価材料定数算出方法並びにそのような構造体の設計システムおよび製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する。
また、本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、
前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部と、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成部とを備える。
また、本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理とをコンピュータに実行させ、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる。
また、本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理と、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成処理とをコンピュータに実行させる。
また、本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程とを備え、前記小領域内計算工程において、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する。
また、本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程と、前記コンピュータが備える合成部が、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成工程とを備える。
本発明は上記構成を採ることによって、複数の材料から構成される構造体において、各材料の方向性を考慮した精度の高い等価材料定数を効率よく計算することができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する。
前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表す。前記小領域内計算部は、前記関数を用いて、前記小領域における等価材料定数を算出するので、すくなくとも1つの方向についての等価材料定数を算出することができる。その結果、構造体を構成する各材料の方向性を考慮した精度の高い等価材料定数を効率よく計算することができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記小領域内計算部は、前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成部と、前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定部と、前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算部と、前記区間内計算部で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成部とを備えることが好ましい。
前記小領域内計算部は、前記境界関数F(u)を用いて、小領域における1の座標軸方向の等価材料定数を求めるので、小領域内の各材料の方向性を考慮した等価材料定数を効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記小領域内計算部は、前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成部と、前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出部と、前記各極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成部とを備えることが好ましい。
前記小領域内計算部は、極小領域材料定数生成部によって得られた前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによってさらに得られた各極小領域における周波数スペクトルに基づいて、小領域の等価材料定数を求めるので、小領域内の各材料の方向性を考慮した等価材料定数を効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、前記小領域内計算部は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する。
前記小領域内計算部は、前記面積、前記傾きおよび前記材料定数データに基づいて、前記等価材料定数を算出するので、小領域内に占める各材料の形状の方向性を考慮した等価材料定数が算出される。また、前記小領域内計算部は、前記面積および前記傾きを求めることにより、前記等価材料定数を算出する。そのため、前記小領域内計算部は、例えば、前記小領域をさらに細かく分割して解析する方法に比べて、簡単な処理で方向性を考慮した等価材料定数を算出することができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成部をさらに備えることが好ましい。
前記合成部は、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求めるので、計算結果として得られる等価材料定数のデータ量を必要に応じて減らすことができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部と、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成部とを備える。
本発明にかかる等価材料定数算出システムによれば、分割部が細かく多数の小領域に分割し、小領域内計算部が、細かく分割された多数の小領域について等価材料定数を求めた場合にも、合成部によって、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数が求められる。そのため、計算結果として得られる等価材料定数のデータ量を必要に応じて減らすことができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、前記複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定部と、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定部と、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を少なくとも1方向について合成することにより算出する合成部とを備える。
本発明にかかる等価材料定数算出システムによれば、分割部が分割した小領域ごとに、代表材料決定部が代表材料を決定し、その代表材料の材料定数が材料定数選定部によって選定される。小領域の材料定数を計算する必要がないため、小領域の材料定数の決定に時間を要さない。合成部は、小領域ごとに1つづつ与えられた材料定数を少なくとも1方向について合成することにより、方向性を考慮した等価材料定数を簡単な計算で得ることができる。その結果、前記構造体の異方性を考慮した等価材料定数を効率よく算出することができる。
また、分割部が構造体を多数の小領域に細かく分割した場合にも、合成部によって、隣り合う複数の小領域を合成した領域における等価材料定数が求められる。そのため、計算結果として得られる等価材料定数のデータ量を必要に応じて減らすことができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記分割部は、前記構造体の一部を複数の小領域に分割することが好ましい。これにより、分割部が分割した前記構造体の一部の領域について等価材料定数を算出する処理が行われるので、解析に不要な箇所の等価材料定数を算出する処理を省くことができる。そのため、計算の短時間化を図ることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記分割部は、前記構造体を、複数の互いに平行な層に分割し、さらに各層を分割することによって前記構造体を小領域に分割することが好ましい。
これにより、例えば、層構造を有する構造体等を、層構造に応じて複数の互いに平行な層に分割し、さらに各層を分割することができる。分割部が構造体の層構造に応じて分割することで、合成部が分割された小領域を合成して等価材料定数を求める際に、効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記分割部による分割によって生じた小領域の最大幅は、前記電子回路基板に形成された配線の最小幅以下であることが好ましい。これにより、配線パターンを有する電子回路基板の等価熱伝導率をより正確に算出することができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記合成部は、複数の隣り合う小領域を合成した中領域ごとに等価材料定数を算出するものであって、前記中領域は、前記構造体の一部の領域であり、かつ前記構造体中に複数含まれる領域であることが好ましい。
これにより、前記構造体の一部分を構成する中領域ごとに等価材料定数を算出することになる。そのため、前記構造体を構成する材料の疎密を、等価材料定数の大小で表現することができる。すなわち、構造体に含まれる複数の中領域について等価材料定数が求められるので、構造体における等価材料定数の分布が得られる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記分割部は、前記構造体を複数の層に分割し、分割した各層を小領域に分割するものであって、前記合成部は、前記各層の等価材料定数を基に、前記各層の小領域を積層方向に合成した領域の等価材料定数を求める積層方向合成部と、前記積層方向に垂直な方向で隣り合う前記小領域を合成した領域の等価材料定数を求める垂直方向合成部とを備えることが好ましい。
前記合成部は、前記分割部によって各層毎に分割された小領域を、積層方向に合成した領域の等価材料定数と、積層方向に垂直な方向に隣り合う小領域を合成した領域の等価材料定数とを求めるので、合成された領域の等価材料定数を、効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記合成部は、複数の隣り合う小領域において、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を、互いに接続された抵抗と見なして、合成抵抗を求めることにより、前記等価材料定数を求めることが好ましい。例えば、熱抵抗等のように、材料定数が電気抵抗と似た性質を持つ場合に、材料定数を抵抗とみなすことにより、回路方程式を利用して合成抵抗を求めることができる。これにより、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数を効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記合成部は、合成する複数の小領域の各々における等価材料定数を互いに接続された抵抗とみなして、キルヒホッフの法則を利用して、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求めることが好ましい。
前記合成部は、キルヒホッフの法則を利用することによって、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数を効率よく求めることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記構造体は電子回路基板であり、前記材料定数は熱伝導率または熱抵抗である態様とすることができる。
本発明にかかる等価材料定数算出システムにおいて、前記構造体は電子回路基板であり、前記材料定数は熱伝導率または熱抵抗であり、前記層は前記電子回路基板の配線層または絶縁層である態様とすることができる。これにより、層構造を有する電子回路基板の等価熱伝導率または等価熱抵抗を効率よく算出することができる。
本発明にかかる設計システムは、本発明にかかる等価材料定数算出システムを含む設計システムであって、前記形状データと、前記材料定数データとを含む前記構造体の設計データを記録する記録部と、前記等価材料定数算出システムによって算出された前記構造体の等価材料定数と前記設計データに基づいて、シミュレーションにより前記構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析し出力する解析部と、設計者からの前記設計データの変更命令に基づいて、前記記録部の設計データを変更する、設計変更部とを備える。
本発明にかかる設計システムにおいて、解析部は、本発明にかかる等価材料定数算出システムによって算出された構造体の等価材料定数を用いて解析を行う。解析部は、方向性を考慮した等価材料定数を用いて解析を行うことができる。そのため、解析部において、より現実の現象に近いシミュレーションによる解析が可能になる。
また、等価材料定数算出システムにより、小領域を合成した領域の等価材料定数が求められるので、構造体の微小領域をモデル化することなく、構造体の性質を等価材料定数に入れ込むことができる。そのため、解析部による解析時の要素数(メッシュ数)が減少し、解析時間を大幅に短くすることができる。
等価材料定数算出システムにより算出された等価材料定数のデータ量が少ないため、解析部における計算量も少なくなる。その結果、効率のよい解析が可能となる。
また、設計者は、解析部によって出力された解析結果を見て、設計変更部に対して設計データの変更命令を出すことができる。そのため、解析結果が設計データに反映され、品質の高い設計データが得られる。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理とをコンピュータに実行させ、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムにおいて、前記小領域内計算処理は、前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成処理と、前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定処理と、前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算処理と、前記区間内計算処理で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成処理とを含むことが好ましい。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムにおいて、前記小領域内計算処理は、前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成処理と、前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出処理と、前記各極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成処理とを含むことが好ましい。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理とをコンピュータに実行させ、前記小領域内計算処理は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する処理である。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成処理をさらにコンピュータに実行させることが好ましい。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理と、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成処理とをコンピュータに実行させる。
本発明にかかる等価材料定数算出プログラムは、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定処理と、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定処理と、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を合成することにより算出する合成処理とをコンピュータに実行させる。そのため、本発明にかかる等価材料定数算出プログラムによれば、前記構造体の異方性を考慮した等価材料定数を算出することができる。
本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程とを備え、前記小領域内計算工程において、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する。
本発明にかかる等価材料算出方法において、前記小領域内計算工程は、前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成工程と、前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定工程と、前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算工程と、前記区間内計算工程で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成工程とを備えることが好ましい。
本発明にかかる等価材料算出方法において、前記小領域内計算工程は、前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成工程と、前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出工程と、前記各極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成工程とを備えることが好ましい。
本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程とを備え、前記小領域内計算工程において、前記小領域内計算部は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する工程である。
本発明にかかる等価材料算出方法は、前記コンピュータが備える合成部が、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成工程をさらに備えることが好ましい。
本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程と、前記コンピュータが備える合成部が、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成工程とを備える。
本発明にかかる等価材料定数算出方法は、コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力工程と、前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力工程と、前記コンピュータが備える分割部が、前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、前記コンピュータが備える代表材料決定部が、複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定工程と、前記コンピュータが備える材料定数選定部が、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定工程と、前記コンピュータが備える合成部が、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を合成することにより算出する合成工程とを備える。
本発明にかかる構造体の製造方法は、複数の材料から構成される構造体の設計データが複数記録された記録装置にアクセス可能なコンピュータを使用して前記構造体を製造する構造体の製造方法であって、前記コンピュータが、本発明にかかる等価材料定数算出方法により等価材料定数を算出する工程と、前記コンピュータが備える解析部が、前記等価材料定数および前記設計データに基づいて、シミュレーションにより前記構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析する解析工程と、前記コンピュータが備える設計データ選定部が、前記記録装置に記録された複数の設計データが表す構造体について前記解析工程で得られた解析結果に基づいて、前記複数の設計データの中から設計データを選出する設計データ選出工程と、前記コンピュータとデータ通信可能となるように接続されたCAMが、前記設計データ選出工程で選出された設計データに基づいて構造体を製造する製造工程とを備える。
本発明にかかる製造方法の合成工程においては、本発明にかかる等価材料定数算出方法により等価材料定数を算出することによって、方向性を考慮した構造体の等価材料定数が効率よく算出される。解析工程においては、解析部が、方向性を考慮した等価材料定数を用いて解析を行うので、より現実の現象に近いシミュレーションによる解析が可能になる。この解析結果に基づいて最適な設計データが選出される。CAMは、最適な設計データに基づいて構造体を製造する。その結果、最適な構造を有する構造体が効率よく製造される。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1は、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を、積分方式を用いて算出する等価材料定数算出システムである。
図1(a)は、本実施の形態における等価材料定数算出システムの構成を表す機能ブロック図である。図1(a)に示すように、本実施の形態における等価材料定数算出システム1は、記録部2、形状データ入力部3、材料データ入力部4、分割部5および小領域内計算部6を備える。
等価材料定数算出システム1は、例えば、パーソナルコンピュータや、ワークステーション等の汎用機器(以下、PC等と称す。)上に構築することができる。形状データ入力部3、材料データ入力部4、分割部5および小領域内計算部6の機能は、PC等のCPUが、所定のプログラムを実行することによって実現することができる。記録部2には、PC等に内蔵されているハードディスク、RAM等の記憶媒体の他、フロッピー(登録商標)ディスク、メモリカード等の可搬型記憶媒体や、ネットワーク上にある記憶装置内の記憶媒体等を用いることができる。
また、形状データ入力部3、材料データ入力部4、分割部5および小領域内計算部6が行う処理をコンピュータに実行させるプログラムを、例えば、CD−ROM等の記憶媒体から、あるいは通信回線を介したダウンロード等により、任意のPC等へインストールすることによって、等価材料定数算出システム1を構築することができる。
なお、ハードウエア構成は、図1(a)に示す構成に限られない。例えば、インターネットやLAN等により通信可能となるように接続された複数のPC等に、等価材料定数算出システム1の機能を分散させてもよい。図1(b)は、端末システム1aおよびサーバシステム1bに等価材料定数算出システム1の機能を分散させた場合の構成の例を示す機能ブロック図である。
図1(b)では、端末システム1aは、形状データ入力部3、材料データ入力部4および受信部8を備え、サーバシステム1bは、分割部5および小領域内計算部6を備える。端末システム1aとサーバシステム1bとは、例えば、インターネットまたはイントラネット等のネットワーク21を介して接続されている。端末システム1aは、例えば、ネットワーク21に接続されたパーソナルコンピュータ等により構成される。また、サーバシステム1bは、例えば、ネットワーク21に接続されたサーバコンピュータ等により構成される。
端末システム1aの形状データ入力部3および材料データ入力部4で入力されたデータは、例えば、等価材料定数を算出する処理の要求と共に、サーバシステム1bに送られる。サーバシステム1bの分割部5および小領域内計算部6は、端末システム1aから送られてきたデータを基に、等価材料定数を算出する。算出された等価材料定数は、端末システム1aへ送られる。端末システム1aの受信部8は、サーバシステム1bから送られてきた等価材料定数を受信する。
図1(b)に示す構成により、端末システム1aは、実際に等価材料定数を算出する処理を行わなくても等価材料定数が得られる。なお、端末システム1aは、図1(a)に示すCADシステム12および解析システム13の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
形状データ入力部3は、等価材料定数を算出する対象となる構造体の形状データを入力し、記録部2に保存する。形状データは、例えば、構造体を構成する各材料の形状を表す形状データである。構造体として、例えば、電子回路基板が挙げられる。電子回路基板の形状データは一般的に、電子回路基板設計のためのCADシステム12で作成されCADシステム12中に保存されていることが多いので、この場合にはCADシステム12の形状データベース9に格納されている情報を利用することができる。また、形状データ入力部3は、形状データが記録されたファイルを読み込む等して、新たなデータを入力してもよいし、あるいは、設計者が作成した形状データの入力を、PC等に備えられたキーボード、マウス等の入力装置を介して受け付けてもよい。
材料データ入力部4は、構造体を構成する材料の材料定数を表す材料定数データを入力する。材料定数を表すデータとして、例えば、構造体が電子回路基板であれば、電子回路基板を構成する材料の材料定数(例えば、熱伝導率、熱抵抗等)が挙げられる。電子回路基板の材料定数データについても、電子回路基板設計のためのCADシステム12内の材料データベース11に保存されていればその情報を利用することが可能である。また、ファイル、キーボード、マウス等を介して入力することができることは、形状データ入力部と同じである。
分割部5は、記録部2に記録された形状データが表す構造体を、複数の小領域に分割する。小領域内計算部6は、分割されたそれぞれの小領域について、等価材料定数を算出する。
図2は、小領域内計算部6の構成を表す機能ブロック図である。図2に示すように、小領域内計算部6は、境界関数生成部61、区間設定部62、区間内計算部63、等価材料定数生成部64を備える。これらの機能については、後述する。
次に、本実施の形態における等価材料定数算出システム1の動作について図1、図2、図3および図4を参照しながら説明する。図3は、等価材料定数算出システム1の動作を示すフローチャートである。本実施の形態においては、一例として、電子回路基板の等価熱伝導率を算出する処理について説明する。但し、本発明は電子回路基板やその他の構造体の等価熱伝導率算出方法だけに限るものではなく、複合材料の等価電気伝導率、等価誘電率、等価透磁率、等価ヤング率、その他の材料定数の算出方法を含むものである。
まず、形状データ入力部3が、等価熱伝導率算出の対象となる電子回路基板の形状データを入力する(ステップS21)。電子回路基板の形状データは、例えば、CADシステムで作成される。電子回路基板は、通常、配線層と絶縁層とが交互に積層されて構成されている。図4は、本実施の形態における等価熱伝導率算出の対象となる電子回路基板に含まれる配線層の形状の一例を示す図であって、電子回路基板の層に平行な面、すなわちXY平面における平面図である。
電子回路基板101の配線層は、配線パターン部103と非配線部104とから構成されている。一般的に配線パターン部103は金属材料等の比較的熱伝導率が高い材料で構成されており、非配線部104はガラスや樹脂やセラミックスやこれらの複合物等、比較的熱伝導率が低い材料で構成されていることが多い。
材料データ入力部4は、電子回路基板101を構成する材料の材料定数データを入力する(ステップS22)。材料定数データとして、例えば、電子回路基板101の配線パターン部103を構成する金属材料である配線材料の熱伝導率(λtrace)と、非配線部104を構成する樹脂材料である絶縁体材料の熱伝導率(λinsulator)とが入力される。また、例えば、λinsulatorが、λtraceに比べて非常に小さい等の理由から、以降の等価熱伝導率算出工程において、λinsulatorを無視して計算することができる場合は、λinsulatorの入力を省略することもできる。
電子回路基板101を構成する配線パターン部103と非配線部104との形状は非常に複雑であるので、以降の処理を単純にするために、分割部5は、電子回路基板101を、Z軸方向において、配線層または絶縁層毎の各層に分割し、分割した各層毎に、XY平面方向において小領域102に分割する(ステップS23)。Z軸方向の分割は、電子回路基板101を構成する各配線層や絶縁層毎に分割することができる。XY平面方向における分割は、例えば、図4に示すように、X軸方向に11等分し、Y軸方向に10等分し、全体を110個の小領域に分割することができる。小領域への分割は、必ずしも各方向に等分することは必要ではない。また、必要に応じて異なる大きさの小領域に分割することもできる。
この小領域102への分割は、各配線層や絶縁層毎に同一であっても構わないし、異なっていても構わない。また、この分割は、例えばこの方法で求められた等価熱伝導率を用いて行われる有限要素法等のコンピュータシミュレーションにおける要素分割と同じであってもよいし、この要素分割とは異なる分割方法であってもよい。
次に、小領域内計算部6が、この小領域102毎に等価熱伝導率を算出する(ステップS24)。
ここで、ステップS24における、小領域102毎に等価熱伝導率を算出する処理の詳細を、図2、図5、図6を参照しながら説明する。図5は、小領域102毎に等価熱伝導率を算出する処理(ステップS24)の詳細な流れを示すフローチャートである。
まず、小領域内計算部6は、分割された小領域102の中から、等価熱伝導率を算出する対象となる小領域を選択して決定する(ステップS41)。図6は、選択された小領域102の一例を示す図である。次に、小領域内計算部6は、選択した小領域について算出する熱伝導率の方向uを決定する(ステップS42)。ここでは、まず、方向u=X軸方向とする。すなわち、X軸方向の等価熱伝導率を算出することとする。なお、小領域の等価熱伝導率を算出する際の基準となる座標軸(X軸、Y軸、Z軸)の方向は、小領域内のみで設定されるものではなく、電子回路基板全体について共通の座標軸が設定されることが好ましい。
図6に示す小領域102は、小領域102の左下から右上斜め方向の1本の配線パターン部303と、それ以外の非配線部304とから構成されている。
境界関数生成部61は、配線パターン部303の上辺31(Y軸方向で上位座標)をX−Y座標系で表す関数をY=F1(X)とし、配線パターン部303の下辺32(Y軸方向で下位座標)をX−Y座標系で表す関数をY=F2(X)とする。但し、小領域の中だけが扱われるので、関数F1(X)の定義域はXがXからXの範囲であり、関数F2(X)の定義域はXがXからXの範囲である。F1(X)、F2(X)は、配線パターン部303と非配線部304との境界を表す関数である。これらの関数は、形状データ入力部が入力した形状データに基づいて作成される。
区間設定部62は、F1(X)およびF2(X)の定義域に従って、小領域102にXについての区間を設定する(S43−2)。例えば、F1(X)の定義域とF2(X)の定義域が重なっている区間X〜Xを区間K1、F1(X)のみ定義されている区間X〜Xを区間K2、F2(X)のみ定義されている区間X〜Xを区間K3、F1(X)もF2(X)も定義されていない区間X〜Xを区間K4、区間X〜Xを区間K5と設定することができる。
次に、区間内計算部63は、関数F1(X)、F2(X)および各材料の材料定数データ(λtraceおよびλinsulator)とに基づいて、材料の熱抵抗Rdを表す関数を生成する(S44)。
例えば、区間K1において、ΔXをX〜Xの範囲の非常に微細な範囲とすると、X軸方向の幅がΔXでありY軸方向の長さがcで表される微細領域のX軸方向の熱抵抗RcはΔX/(λinsulator・c・t)で近似される。X軸方向の幅がΔXでありY軸方向の長さがbで表される微細領域のX軸方向の熱抵抗RbはΔX/(λtrace・b・t)で近似され、X軸方向の幅がΔXでありY軸方向の長さがaで表される微細領域のX軸方向の熱抵抗RaはΔX/(λinsulator・a・t)で近似される。ここでtは配線パターン部303のXY平面に垂直な方向の厚みを表す。
ここでΔXの左端のX座標をXdとし、小領域102のY軸方向の長さをY1とすると、a=Y1−F1(Xd)であり、b=F1(Xd)−F2(Xd)であり、c=F2(Xd)であるから、このa、b、cを使用すると、上記Ra、Rb、Rcはそれぞれ数5、数6、数7で示される。
Figure 2006313522
Figure 2006313522
Figure 2006313522
但し、配線パターン部303を構成する材料の熱伝導率はλtraceであり、非配線部304を構成する材料の熱伝導率をλinsulatorである。
X軸方向がΔXの範囲で、Y軸方向が小領域102全体である範囲において、X軸方向の熱抵抗を考えると、それぞれ熱抵抗値がRaとRbとRcとである3つの熱抵抗が並列に接続されていると考えることができるので、その全体の熱抵抗Rdは数8で示される。
Figure 2006313522
上記数8が、微小領域ΔXにおける熱抵抗Rdを表す関数である。上記数8に示す関数は、材料定数が適用される位置を表す関数の一例である。次に、区間内計算部63は、この関数を区間K1内で積分することで、区間K1におけるX軸方向の等価熱抵抗を求める(S45)。
F1(X)とF2(X)との両方が定義されている区間K1(X〜X)におけるX軸方向の等価熱抵抗は、ΔXの幅を極限に小さくし、X軸方向にRdをXからXまで積分することによって求めることができ、その値Rx1は数9で示される。
Figure 2006313522
以上のように、境界を表す関数F1(X)、F2(X)を用いて、微小領域ΔXにおける熱抵抗を表す関数(上記数8)を作成し、この関数を区間K1内で積分することで、区間K1におけるX軸方向の等価熱抵抗を求めることができる。したがって、関数F1(X)、F2(X)さえ求めることができれば、材料の形状が複雑な形状であっても、処理時間および処理量を増やすことなく、効率よく等価熱抵抗を求めることができる。
すなわち、各材料について、その材料のある次元方向(Y軸方向)の大きさと、その材料の材料定数との積とを含む関数(上記数8)を前記次元方向(Y軸方向)と異なる方向(X軸方向)に積分することにより、X軸方向における等価熱抵抗を求めることができる。
但し、本発明において、積分とは、数学的な意味でいう厳密な意味での積分だけでなく、例えば台形近似法や、シンプソン法や、ガウス・ルジャンドル法や、その他の各種近似法を使ってコンピュータで行われる、各種数値積分を含むものとする。
また、本実施の形態においては、配線パターン部303と非配線部304の両方の熱伝導率を考慮して計算を行ったが、非配線部304を構成する材料の熱伝導率λinsulatorが、配線パターン部303を構成する材料の熱伝導率λtraceと比較して非常に小さい場合、非配線部を構成する絶縁体材料の熱伝導効果を無視することによって、計算負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態においては、境界関数F1(X)、F2(X)をXY平面における境界線を表す関数として計算を行ったが、境界関数をXYZ空間における境界面を表す関数として生成して計算を行ってもよい。
ここで、区間K1のX軸方向の等価熱抵抗を算出する方法について説明したが、上記算出方法における好ましい補正例について説明する。図7は、図6に示す小領域102の区間K1において、熱が伝わる様子を表した図である。図中の矢印は熱の流れを示している。上記算出方法においては、図7(a)に示すように、熱は、X軸方向に平行に伝播するという前提のもとに計算が行われている。しかし、伝熱解析の結果等から、図7(b)のように、熱は、配線パターン部303の方向に平行に流れることが知られている。そこで、上記算出方法において、実際の熱の流れを考慮した補正を行うことが好ましい。
具体的には、図8に示すように、補正前の上記算出方法における配線の積分区間の間隔をf、熱線路幅をgとすると、実際の配線の熱線路長fはf=f/sinθ、熱線路幅gは、g=gsinθとなる。このように、実際には、熱線路長が長くなることと、熱線路幅が細くなることを考慮して、配線パターン部303の熱伝導率λtraceを補正することが好ましい。具体的には、上記数6、数8、数9において、λtraceを、見かけの熱伝導率sinθ*λtraceに置き換えて計算することで、精度の高い等価熱伝導率の算出が可能となる。
以上のように、図6に示す区間K1におけるX軸方向の等価熱抵抗Rx1が算出される。同様にして、区間K2〜K5についても、それぞれX軸方向の熱抵抗Rx2〜Rx5が算出される。全ての区間K1〜K5についてX軸方向の等価熱抵抗Rx1〜Rx5を求める処理が終了するまで、図5に示すステップS44〜ステップS45の処理が繰り返される。
ステップS46で、小領域102のすべての区間についてX軸方向の等価熱抵抗Rx1〜Rx5が算出されたと判断すると、等価材料定数生成部64は、小領域102全体における、X軸方向の等価熱抵抗Rxを生成する。小領域102全体のX軸方向の等価熱抵抗Rxは、各区間K1〜K5の等価熱抵抗Rx1〜Rx5が直列に接続されていると考えることができるので、各区間K1〜K5の等価熱抵抗Rx1〜Rx5の和で表される(下記式参照)。
Rx=ΣRxi(Σは、i=1、2、3、4、5についての総和)
XY平面方向における小領域102のX軸方向の等価熱伝導率λxは、小領域102のX軸方向の寸法をLx、Y軸方向の寸法をLy、XY平面に垂直な方向の寸法(厚み)をtとすると、λx=Lx/(Rx・Ly・t)で表される。
X軸方向についての等価熱伝導率λxが算出されると、再びステップS42において、算出対象の座標軸方向uがY軸方向とされる。その後、ステップS43〜ステップS47の処理が同様に繰り返されることによって、Y軸方向についての小領域102における等価熱伝導率λyが算出される。X軸方向の等価熱伝導率λxおよびY軸方向の等価熱伝導率λyが算出されたと、等価材料定数生成部64が判断すると(S48)、再びステップS41において、小領域内計算部6は、次の新たな小領域を選択し、選択した小領域について等価熱伝導率算出処理を行う(S49)。
以上の処理を、電子回路基板101上の全ての小領域について行うことにより、各小領域でのX軸方向の等価熱伝導率およびY軸方向の等価熱伝導率が算出される。算出されたデータは、記録部2に保存される(図3におけるS25)。解析システム13が、電子回路基板101について、例えば、熱的評価を行う際等に、記録部2から等価熱伝導率が読み出されて利用される。
本実施の形態によれば、小領域毎に、X軸方向の等価熱伝導率およびY軸方向の等価
熱伝導率の両方が得られる。そのため、例えば、X軸方向には熱が伝わりやすいが、Y軸方向には伝わりにくいといったXY方向の熱伝導率の異方性が小領域ごとに明らかになる。すなわち、電子回路基板を構成する材料の方向性を考慮した等価熱伝導率が得られることになる。その結果、等価材料定数の計算精度を飛躍的に向上させると同時に、計算時間の短縮をも併せて実現することができる。
なお、この本発明の第1の実施の形態である、等価熱伝導率を計算する方法は、コンピュータによって実行可能なプログラムの各ステップとして記載し、表現することができる。
このコンピュータによって実行可能なプログラムは、本発明の等価材料定数算出プログラムの一実施形態である。
また、このコンピュータによって実行可能なプログラムは、その処理を実行する上で必要となるデータを、外部、例えばユーザの操作等、から入力する必要があり、そのような入力を促すステップと、その入力を実行するステップとを含むこともある。
このようなステップを含む、コンピュータによって実行可能なプログラムも、本発明の等価材料定数算出プログラムの一実施形態である。
また、これらコンピュータによって実行可能なプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体は、本発明の等価材料定数算出プログラムを記録した記録媒体の一実施形態である。
更に、このコンピュータによって実行可能なプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体と、コンピュータとは、その他の幾つかの構成要素と共に、等価熱伝導率計算装置を構成し、これは、本発明の等価材料定数算出装置の一実施形態である。
(実施の形態2)
本発明における他の実施の形態について、以下説明する。実施の形態2は、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を、後述するFFT方式を用いて算出する等価材料定数算出システムである。
本実施の形態における等価材料定数算出システムの構成は、図1(a)に示す機能ブロック図と、以下の述べる点を除いて同様であるので、その説明を省略する。本実施の形態における等価材料定数算出システムの動作は、以下に述べる点を除いて、図3に示すフローチャートと同様であるので、その説明も省略する。
本実施の形態におけるシステムの処理が、実施の形態1におけるシステムの処理と異なる点は、小領域における等価材料定数算出処理(ステップS24)が異なる点である。以下に、本実施の形態における小領域の等価材料定数算出処理について図9および図10を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態における小領域内計算部6の構成を表す機能ブロック図である。図9に示すように、小領域内計算部6は、極小領域材料定数生成部65、スペクトル算出部66、等価材料定数生成部67を備える。
図10は、本実施の形態における、小領域102毎に等価熱伝導率を算出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
まず、小領域内計算部6は、分割された小領域102の中から、等価熱伝導率を算出する対象となる小領域を選択して決定する(ステップS51)。図11は、選択された小領域102の一例を示す図である。
図11に示す小領域102は、X軸方向に一定の間隔(非配線部404の部分)を空けて並ぶ3つの配線パターン部403から構成されており、各配線パターン部403はY軸方向に連続した形状をしている。すなわち、小領域102において配線パターン部403が占める形状は、X軸方向に周波数が高く(波長が短く)、Y軸方向に周波数が低い(波長が長い)という、繰り返しで分布する形状である。
このことを定量的に計測するため、極小領域材料定数生成部65は、図11に示すように、小領域102を更に小さな極小領域に分割する(ステップS52)。例えば、小領域102を、X軸方向では0・・m・・M−1のM個に、Y軸方向では0・・n・・N−1のN個に分割している。この極小領域のそれぞれを極小領域(m,n)とする。
次に、極小領域材料定数生成部65は、各極小領域(m,n)に対してその極小領域(m,n)に配線パターン部403が存在するか否かに応じて1か0を対応付ける関数を定義する。あるいは、各極小領域(m,n)に対して、その極小領域(m,n)に含まれる配線パターン部403の面積比を対応付ける関数f(m,n)を定義する。
例えば、極小領域(0,0)には配線パターン部403が存在し、かつその面積比は半分以上である場合に、f(0,0)=1と定義してもよい。あるいは、極小領域における配線パターン部403の極小領域全体に対する面積比を関数fの値としてもよい。例えば、極小領域(0,0)に配線パターン部403が存在し、かつその面積比が約0.9程度である場合にf(0,0)=0.9と定義してもよい。
また、より厳密に各極小領域に占める配線パターン部403の面積比を計算してその面積比をf(m,n)の値として定義してもよいし、各極小領域に占める配線パターン部403の面積比がある一定の閾値(例えば0.5や0.8)を超えるか否かによって、f(m,n)の値を1または0として定義してもよい。
次に、極小領域材料定数生成部65は、この極小領域(m,n)の等価熱伝導率λ’(m,n)を計算する(ステップS53)。この極小領域(m,n)の等価熱伝導率λ’(m,n)を、仮等価熱伝導率λ’(m,n)とする。λ’(m,n)の計算は、例えば数10を使って行うことができる。数10において、λtraceは、配線パターン部403を構成する材料の熱伝導率であり、λinsulatorは、非配線部404を構成する材料の熱伝導率である。
Figure 2006313522
また、例えば、実施の形態1で小領域の等価材料定数を生成する方法、すなわち、配線パターン部403と非配線部404との境界を表す関数を積分する方法を極小領域について適用することで、λ’(m,n)を計算してもよい。
次に、この小領域102における配線パターン部403の分布形状に伴う仮等価熱伝導率λ’(m,n)のX軸方向とY軸方向とにおける分布状況の周波数スペクトルすなわち周波数成分を計算する(ステップS54)。具体的には、スペクトル算出部66が、λ’(m,n)について、2次元離散フーリエ変換を行い、各周波数成分(波長がX軸方向では2πm/Mに相当し、Y軸方向では2πn/Nに相当する周波数成分)c(m,n)を求める。
この各周波数成分c(m,n)を計算する式は、数11で示される。数11において、iは複素数を表す。
Figure 2006313522
各周波数成分c(m、n)を基に、等価材料定数生成部67が、小領域102全体のX軸方向とY軸方向とのそれぞれの等価熱伝導率λequivalent,Xとλequivalent,Yを求める(ステップS55)。小領域102全体のX軸方向とY軸方向とのそれぞれの等価熱伝導率λequivalent,Xとλequivalent,Yは、各周波数成分c(m、n)に重み付けを行ったものの和を計算することで得られる。具体的には、仮等価熱伝導率λ’(m,n)の各周波数成分c(m、n)の一定のべき乗を加重和することによって計算することができる。この式は数12と数13とで表される。
Figure 2006313522
Figure 2006313522
数12および数13とにおけるべき乗rおよび加重和の加重(αとβ)は、予め実験や理論的な方法によって決定した値である。例えばr=1のみについてαおよびβは定数として計算することができる。同様に、r=2のみ、r=3のみ、r=−1のみ、r=−2のみ、またはr=−3のみについて、αおよびβは定数として計算することができる。また、例えば、r=1〜3についての加重和(例えば、α=α,α,α、β=β,β,βとする)を計算してもよい。r=2〜10の加重和や、r=−5〜+5の奇数乗だけの加重和や、その他の各種べき乗の加重和を使うことができる。
以上のようにして、小領域102のX軸方向とY軸方向との等価熱伝導率を計算することができる。
なお、本実施の形態においては、上記数11において、2次元離散フーリエ変換を用いて、XY方向の材料定数の分布について周波数スペクトルを求めたが、極小領域を3次元として、3次元離散フーリエ変換を用いて、XYZ方向すなわち3次元空間における材料定数の分布について周波数スペクトルを求めることもできる。
(実施の形態3)
本発明における他の実施の形態について、以下説明する。実施の形態3は、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を、算出する等価材料定数算出システムである。
本実施の形態における等価材料定数算出システムの構成は、図1(a)に示す機能ブロック図と、以下の述べる点を除いて同様であるので、その説明を省略する。本実施の形態における等価材料定数算出システムの動作は、以下に述べる点を除いて、図3に示すフローチャートと同様であるので、その説明も省略する。
本実施の形態におけるシステムの処理が、実施の形態1におけるシステムの処理と異なる点は、小領域における等価材料定数算出処理(ステップS24)が異なる点である。以下に、本実施の形態における小領域の等価材料定数算出処理について図12および図13を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態における小領域102の等価熱伝導率を算出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
まず、小領域内計算部6は、分割された小領域102の中から、等価熱伝導率を算出する対象となる小領域を選択して決定する(ステップS61)。図13(a)は、選択された小領域102の一例を示す図である。
図13(a)に示す小領域102において、ABCDを頂点とする台形部分が配線パターン部であり、それ以外の部分は、非配線部である。配線パターン部は、例えば、銅等の材料で構成されており、非配線部は、例えば、エポキシ等の材料で構成されている。
小領域内計算部6は、台形ABCDの面積を算出する(ステップS61)。これらの台形の頂点ABCDEFGHの座標は、例えば、形状データ入力部3で入力された形状データで表される。これにより、配線パターン部の面積が求められる。
次に、小領域内計算部6は、配線パターン部と非配線部間の境界を表す線のX軸方向に対する傾きを求める(ステップS63)。傾きは、例えば、角度等で表される。図13(a)に示す例では、境界線ADのX軸に対する角度θ1および境界線BCのX軸に対する角度θ2が求められる。小領域内計算部6はさらに、これらの角度θ1、θ2の平均値θavを求める。平均値θavは、例えば、角度θ1、θ2の相加平均の値である。
小領域内計算部6は、平均値θavと、配線パターン部を構成する材料の材料定数λtraceと、配線パターン部の面積とを用いて小領域102における等価熱伝導率λequivalentを求める。
等価熱伝導率λequivalentは、例えば、数14のように表される。数14において、小領域102における配線パターン部の面積比をαとし、小領域102における非配線部の面積比を(1−α)とする。また、非配線部の材料の材料定数をλinsulatorとする。
Figure 2006313522
上記数14のように、λtraceにsinθavを掛けて補正を加えることで、小領域102におけるY軸方向の材料定数が算出される。すなわち、簡単な計算で、方向性を考慮した材料定数が得られる。なお、小領域102におけるX軸方向の材料定数を求める場合には、例えば、各材料間の境界線のY軸に対する傾きを求めるとよい。Y軸に対する傾きの平均値をθavとして、上記数14に代入することで、X軸方向の材料定数を求めることができる。
なお、平均値θavは、角度θ1、θ2の相加平均に限らない。例えば、角度θ1、θ2の相乗平均値を平均値θavとすることができる。また、平均値の代わりに最大値、最小値等を用いてもよい。
図13(b)は、θavとして相加平均、相乗平均、最大値、最小値をそれぞれ用いて算出された小領域102における等価材料定数の例を示す表である。この表において、「正確な解析値」は、現実に近い値を得るのに十分な精度で有限要素法を用いて算出された等価材料定数である。
「補正なし」の値は、境界線の傾きを考慮せずに配線パターン部と非配線部との面積比に基づいて求められた等価材料定数である。すなわち、「補正なし」の値は、数14においてsinθavを用いずに算出された等価材料定数である。
「最大値」の値は、数14においてθavに、角度θ1、θ2の最大値を用いて算出された等価材料定数である。「最小値」の値は、θavに、角度θ1、θ2の最小値を用いて算出された等価材料定数である。
「相加平均」の値は、θavに、角度θ1、θ2の相加平均値を用いて算出された等価材料定数である。「相乗平均」の値は、θavに、角度θ1、θ2の相乗平均値を用いて算出された等価材料定数である。
図13(b)に示す表では、「正確な解析値」を100%とした場合の各値のパーセンテージも示されている。この表から、相乗平均の値および相加平均の値が正確な解析値に極めて近いことがわかる。
(実施の形態4)
本発明における他の実施の形態について、以下説明する。実施の形態4は、複数の材料から構成される構造体について、構造体に含まれる個々のソリッドの等価材料定数を、後述する比例配分方式を用いて算出し、これら複数のソリッドを合成した領域における等価材料定数をさらに算出する等価材料定数算出システムである。
図14は、本実施の形態における等価材料定数算出システム10の構成の一例を示す機能ブロック図である。図14に示すブロック図において、図1(a)に示すブロック図と同じブロックには、同一の番号を付し、説明を繰り返さない。
図14に示すブロック図が図1(a)と異なる点は、合成部7が設けられている点である。合成部7は、積層方向合成部71と垂直方向合成部72とを備える。積層方向合成部71は、分割部5によって分割された小領域を積層方向に合成した領域の等価材料定数を求める。垂直方向合成部72は、小領域の積層方向に垂直な方向で隣り合う前記小領域を合成した領域の等価材料定数を求める。
図15は、本実施の形態における等価材料定数算出システムの動作を表すフローチャートである。図15に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートと同じステップには、同一の番号を付し、その説明を繰り返さない。
図15に示すフローチャートが、図3と異なる点は、ステップS35およびステップS36の処理が新たに加わった点である。また、図15における小領域毎の等価材料定数を求める処理(S34)は、図3における小領域毎の等価材料定数を求める処理(S24)と異なる処理となっている。まず、ステップS34の処理の詳細について説明する。
まず、小領域内計算部6は、分割された小領域102の中から、等価熱伝導率を算出する対象となる小領域を選択して決定する。図16は、選択された小領域102の一例を示す図である。
この選ばれた小領域102は、小領域102全体の面積の約1/4程度を占める円形の配線パターン部203の一部分と、そこから引き出された細いリード線である配線パターン部203の一部分とその残りである非配線部204とから構成されている。
円形の配線パターン部203の一部分の位置や直径と、細いリード線である配線パターン部203の一部分の位置、幅、長さ等は、形状データ入力部が入力した形状データとして記録部2に保存されているので、この小領域102の位置座標とX軸方向長とY軸方向長とを規定すると、この小領域102における配線パターン部203の面積、非配線部204の面積、およびこれらの面積比とを直ちに計算することができる。
小領域102における配線パターン部203の面積比をαとし、小領域102における非配線部204の面積比を(1−α)とする。配線パターン部203を構成する材料の熱伝導率をλtraceとし、非配線部204を構成する材料の熱伝導率をλinsulatorとする。小領域102の等価熱伝導率λequivalentは数15のように表される。
Figure 2006313522
上記数15に表される等価熱伝導率λequivalentは、必ずしもX軸方向の等価熱伝導率とY軸方向の等価熱伝導率とを区別していない。例えば、X軸方向の等価熱伝導率とY軸方向の等価熱伝導率とは同一λequivalentであると考えることもできる。そのため、等価熱伝導率λequivalentは、異方性が考慮されていないので、精度の低いものとなる。精度を上げるためには、電子回路基板をさらに細かく分割して、より多くの小領域について等価材料定数を求める必要がある。しかし、小領域の数が多くなると、出力される等価材料定数の数もそれだけ多くなる。その結果、出力された等価材料定数を使って解析を行う際にも、解析処理が複雑になり、効率が悪くなる。そこで、等価材料定数の精度をある程度保ったまま、出力データの数を減らすことが必要となる。そのため、本実施の形態においては、隣り合う複数の前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める処理(S35、S36)が設けられている。
以下、これらの処理(S35、S36)について説明する。なお、これらの処理は、図3に示すフローチャートのステップS24の後に追加することで、実施の形態1〜3にも適用することができる。そのため、実施の形態1〜3の場合のように、小領域102では、X軸方向の等価熱伝導率λequivalent ,XとY軸方向の等価熱伝導率λequivalent ,Yの両方が求められたとして以下の処理を説明する。
ステップS34において、各小領域102の等価熱伝導率が算出されると、積層方向合成部71が、Z軸方向に積層された各層の小領域を積層方向に合成した領域におけるX軸方向の等価熱伝導率とY軸方向の等価熱伝導率とを求める(ステップS35)。
以下に、ステップS35の処理、すなわち、各層の小領域を積層方向に合成した領域における等価熱伝導率を求める処理について説明をする。
図17は、電子回路基板101をZ軸方向に7層に分割し、分割した各層をXY平面における小領域102にさらに分割し、このさらに分割された小領域102のうちの1つを含む断面を3次元空間においてY軸方向から見た場合の、X−Z平面における断面図である。
この小領域102を含む断面は、X−Z平面における断面図で見ると、Z軸方向に積層されたX−Y平面に平行な7層の小領域を含んでいる。その7層の小領域は、Z軸方向で座標が上位のものから、配線層521、絶縁層532、配線層523、絶縁層534、配線層525、絶縁層536、配線層527であり、それぞれ厚さは、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7である。
また、それぞれの配線層521、523、525、537は配線パターン部503と非配線部504とから構成され、配線パターン部は通常金属材料等からなっている。非配線部504は絶縁体部511からなっていることもあり、何もない空間であることもある。
それぞれの絶縁層532、534、536は絶縁体部511で構成されているが、その一部には配線パターン部503を構成する金属材料等を含むこと(スルーホール512等)もある。
7層のうち第i層(i=1、2、・・・、7)の小領域X軸方向の等価熱伝導率をλequivalent,X,i、第i層の小領域のY軸方向の等価熱伝導率をλequivalent,Y,iとして、得にX軸方向とY軸方向とを区別しない時は、λequivalent,iで表すこととする。すると、第i層の単位幅(Y軸方向の単位寸法)におけるX軸方向の等価熱抵抗Requivalent,X,iは、等価熱伝導率λequivalent,X,iの逆数で表される。
Requivalent,X,i=1/(λequivalent,X,i・ti)
同様に、第i層におけるY軸方向の等価熱抵抗Requivalent,Y,iは、1/(λequivalent,Y,i・ti)となる。
また、7層の小領域を積層方向(Z軸方向)の全層にわたって合成した領域を、X軸方向またはY軸方向から見ると、等価熱抵抗Requivalent,iの小領域が7層(i=1〜7)並列に接続されていると考えることができる。したがって、小領域102をZ軸方向の全層にわたって合成した領域における等価熱抵抗Requivalentは数16で表される。
Figure 2006313522
小領域102をZ軸方向の全層に合成した3次元領域におけるX軸方向またはY軸方向の等価熱伝導率λequivalentは、数16で表される等価熱抵抗Requivalentの逆数を全体の厚さLzで割ることによって計算することができるので、数17で表される。
Figure 2006313522
このX軸方向とY軸方向とを区別した式は、数18と数19とで表される。
Figure 2006313522
Figure 2006313522
以上説明したように、ステップS35では、小領域102を積層方向の全層にわたって合成した3次元領域におけるX軸方向の等価熱抵抗Requivalent,XとY軸方向の等価熱抵抗Requivalent,Yとを計算することができる。
次に、ステップS35において求められた等価熱抵抗Requivalentを基に、垂直方向合成部72が、隣り合う複数の領域を合成した領域における等価材料定数を求める(ステップS36)。
図18は、例えば、隣り合う4つの小領域601、602、603、604をZ軸方向から見た平面図である。
小領域601は、例えば、ステップS35において、小領域102を積層方向に全層に渡って合成した3次元領域である。その場合、小領域601は、X軸方向の等価熱抵抗Requivalent,XとY軸方向の等価熱抵抗Requivalent,Yを有することになる。他の3つの小領域602、603、604も同様に、積層方向の全層に渡って合成された3次元領域であり、それぞれでX軸方向の等価熱抵抗、Y軸方向の等価熱抵抗を有している。
ここで、1つの小領域601は、例えばn1を中心とする正方形で表される。小領域601のX軸方向の等価熱抵抗はR14とR12とが直列に接続されたものと考えることができる。R14およびR12は、下記式で示す関係にある。下記式においては、0<α<1である。
R14=Requivalent,X・α
R12=Requivalent,X・(1−α)
αの値は、通常、0.5であるが、状況に応じて変えることができる。
同様に、小領域601のY軸方向の等価熱抵抗はR11とR13とが直列に接続されたものと考えることができる。他の小領域602、小領域603、小領域604についても同様である。
4つの小領域601、602、603、604を合成した領域のX軸方向の等価熱抵抗は、n0とn5との間の熱抵抗と考えることができる。また、上記合成した領域全体の熱抵抗は、小領域601、602、603、604の熱抵抗R11〜14、R21〜24、R31〜34、R41〜44が、図18に示すように接続されたものと考えることができるので、n0とn5との間の熱抵抗は、電気抵抗の計算におけるキルヒホッフの法則を利用して算出することができる。n0とn5との間の熱抵抗を、キルヒホッフの法則を用いて算出する場合には、行列演算を用いることができる。
ここで、キルヒホッフの法則を用いて、n0とn5との間の熱抵抗を算出する場合の計算例を説明する。図18において、節点n0、n1、n2、n3、n4、n5における電位をそれぞれV1、V2、V3、V4、V5とする。ここで、niに入ってくる電流の総和は0であることから、下記数20〜24が成り立つ。例えば、節点n0に入ってくる電流の総和は、下記数20の左辺で表され、これは0である。同様に、節点n1では数21、節点n2では数22、節点n3では数23、節点n4では数24、節点n5では数25が成り立つ。ここで、n0に入ってくる電流をI、n5に入ってくる電流をIとしている。
Figure 2006313522
Figure 2006313522
Figure 2006313522
Figure 2006313522
Figure 2006313522
Figure 2006313522
また、n0に入ってくる電流とn5から出ていく電流が等しいので、下記数26が成り立つ。
Figure 2006313522
数20〜26の7つの式は行列形式で表すことができる。その行列式の各行を、例えばガウスジョルダン法等を用いて簡素化し、V5、V0、Iの値を求めることができる。これらの値を数27に代入してn0〜n5間の合成抵抗λeq,xを算出することができる。
Figure 2006313522
数27において、lx、ly、lzは、小領域601、602、603、604を合成した領域のx、y、z軸方向の寸法であり、IはIまたはIである。
小領域601、602、603、604を合成した領域のY軸方向の等価熱抵抗は、n6とn7との間の熱抵抗と考えることができ、これについても同様にして計算することができる。
なお、図18ではXY平面方向において、隣り合う小領域601、602、603、604を合成した領域における等価熱抵抗を求める方法を説明したが、3次元空間において隣り合う領域を合成した領域を考えても同様であるから、説明を省略する。
また、隣り合った領域を合成した領域における等価材料定数の算出方法は、上記のキルヒホッフの法則を用いる方法に限られない。例えば、有限要素法、差分法等を用いることができる。
(合成領域の等価材料定数算出方法の変形例)
ここで、有限要素法を用いて、隣り合った領域を合成した領域における等価材料定数を算出する方法の例を説明する。有限要素法での解き方の例においては、小領域の材料定数をバネ定数と見なして、小領域を合成した領域に働く力を求める。
図19は、例えば、隣り合う3つの小領域701、702、703をZ軸方向から見た平面図である。小領域701、702、703がそれぞれ有する材料定数は、それぞれX軸方向についてのばね係数k1、k2、k3と見なされる。これらのX軸方向のばね係数を使って、剛性方程式を作成し、行列計算によって解を求めることにより、X軸方向について合成された等価材料定数を求めることができる。
剛性方程式の作成方法の例について説明する。図19において、節点B0に働く外力をp0、節点B3に働く外力をp3とする。節点B0、B1、B2、B3における変位をu、u、u、uとする。節点B0での力のつりあいは、下記式で表される。
(u−u)=p0 (式1)
同様にして、節点B1、B2、B3でのつりあいは、
−k(u−u)+k(u−u)=0 (式2)
−k(u−u)+k(u−u)=0 (式3)
−k(u−u)=p3 (式4)
となる。上記式1〜4を行列で表すと下記数28となる。
Figure 2006313522
上記数28において、適当なp0の入力と境界条件(例えばu0=0)から、出力p3が計算される。このp0およびp3から、小領域701、702、703を合成した領域の等価のバネ定数が求められる。
以上が、合成領域の等価材料定数算出方法の変形例である。なお、図18では4つの小領域601、602、603、604を合成する場合について説明したが、より多くの小領域102で構成されるとしても、同様であるからやはり説明は省略する。
また、本実施の形態においては、等価熱抵抗を材料定数として説明したが、等価熱伝導率は等価熱抵抗の逆数を求めることによって計算することができる。
また、本実施の形態においては、分割された小領域102を、Z軸方向に合成した領域について等価材料定数を求め、これらのZ軸方向に合成した領域をさらにXY平面方向において合成した領域について等価材料定数を求めている。合成の順序はこれに限られず、例えば、小領域102を、XY平面方向に合成した後、Z軸方向に合成してもよい。また、XY平面方向の合成もしくはZ方向の合成のいずれかのみ行われてもよい。
また、構造体を分割する際に、必ずしもZ軸方向の各層に分割する必要はない。例えば、層に分割するのではなく、立方体や直方体等のように3次元空間に広がりをもった小領域に分割することができる。分割されたそれぞれの小領域において、実施の形態1や実施の形態2で示したように小領域毎に等価材料定数を算出する処理を行い、隣り合う小領域を合成した領域について、上記の方法で、等価材料定数を求めることができる。
また、本実施の形態では例えば配線パターン部103を構成する材料は全て同一で、熱伝導率も同一であることを仮定しているが、配線パターン部103は熱伝導率の異なる複数の材料から構成されていてもよい。非配線部104についても同様である。
(実施の形態5)
図20は、本実施の形態における等価材料定数算出システム100の構成の一例を示す機能ブロック図である。図20に示すように、等価材料定数算出システム100は、記録部2、形状データ入力部3、材料データ入力部4、領域設定部17、分割部5、代表材料決定部18、材料定数選定部19、合成部7から構成されている。
等価材料定数算出システム100は、例えば、パーソナルコンピュータや、ワークステーション等の汎用機器(以下、PC等と称す。)上に構築することができる。形状データ入力部3、材料データ入力部4、領域設定部17、分割部5、代表材料決定部18、材料定数選定部19、合成部7の機能は、PC等のCPUが、所定のプログラムを実行することによって実現することができる。記録部2には、PC等に内蔵されているハードディスク、RAM等の記憶媒体の他、フレキシブルディスク、メモリカード等の可搬型記憶媒体や、ネットワーク上にある記憶装置内の記憶媒体等を用いることができる。
また、形状データ入力部3、材料データ入力部4、領域設定部17、分割部5、代表材料決定部18、材料定数選定部19、合成部7が行う処理をコンピュータに実行させるプログラムを、例えば、CD−ROM等の記憶媒体から、あるいは通信回線を介したダウンロード等により、任意のPC等へインストールすることによって、等価材料定数算出システム100を構築することができる。
なお、ハードウエア構成は、図20に示す構成に限られない。例えば、インターネットやLAN等により通信可能となるように接続された複数のPC等に、等価材料定数算出システム100の機能を分散させてもよい。
形状データ入力部3は、等価材料定数を算出する対象となる構造体の形状データを入力し、記録部2に保存する。
形状データは、例えば、構造体を構成する各材料の形状を表す形状データである。構造体の一例として、電子回路基板が挙げられる。電子回路基板の形状データは一般的に、電子回路基板設計のためのCADシステム12で作成されCADシステム12中に保存されることが多い。形状データ入力部3は、CADシステム12の形状データベース9に格納されている情報を等価材料定数算出システム100へ読み込む。
また、形状データ入力部3の入力処理は、形状データベース9から形状データを読み込む場合に限られない。例えば、形状データが記録されたファイルを読み込む等して、新たなデータを入力してもよい。あるいは、設計者からの形状データの入力を、PC等に備えられたキーボード、マウス等の入力装置を介して受け付けてもよい。
材料データ入力部4は、構造体を構成する材料の材料定数を表す材料定数データを入力する。材料定数を表すデータとして、例えば、構造体が電子回路基板であれば、電子回路基板を構成する材料の材料定数(例えば熱伝導率)が挙げられる。電子回路基板の材料定数データについても、電子回路基板設計のためのCADシステム12内の材料データベース11に保存されている情報を、材料データ入力部4が読み込むことが可能である。また、ファイル、キーボード、マウス等を介して入力することができることは、形状データ入力部3と同じである。
領域設定部17は、構造体において等価材料定数を求める領域を設定する。等価材料定数を求める領域は、構造体の一部または全体とすることができる。領域設定部17は、例えば、等価材料定数を求める領域を示すデータの入力を、PC等に備えられたキーボード、マウス等の入力装置を介して設計者からの受け付けてもよい。これにより、設計者が、構造体中において等価材料定数を求めたい領域を指定することができる。
分割部5は、記録部2に記録された形状データが表す構造体を、複数の小領域に分割する。分割部5は、領域設定部17で設定された領域を複数の小領域に分割する。代表材料決定部18は分割された小領域を代表する材料を決定する。材料定数選定部19は、材料データ入力部4が入力した材料定数群から、代表材料決定部18で決定された小領域を代表する材料の材料定数を選定する。
合成部7は、積層方向合成部71と垂直方向合成部72とを備える。積層方向合成部71は、分割部5によって分割された小領域のうち、複数の隣り合った小領域を積層方向に合成し、等価材料定数を求める。垂直方向合成部72は、複数の隣り合った小領域を積層方向に垂直な方向に合成し、等価材料定数を求める。ここで、積層方向合成部71と垂直方向合成部72を作動させる順序については、どちらからでも良い。また、合成部7の動作は、積層方向合成部71と垂直方向合成部72のどちらか一方のみ作動されるものであってもよい。
このようにして得られた等価材料定数は、合成された小領域の位置、寸法とともに記録部2に保存される。記録部2に保存された等価材料定数に関するデータは、必要に応じて解析システム13へと引き渡される。解析システム13では、引き渡されたデータを用いて構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動等の解析が行われる。
図21は、等価材料定数算出システム100の動作を表すフローチャートである。図4は、等価熱伝導率算出の対象となる電子回路基板に含まれる配線層の形状の一例を示す図である。
図20、図21、図4を参照して、等価材料定数算出システム100の動作フローを説明する。ここでは、一例として、電子回路基板の等価熱伝導率を算出する処理について説明する。
まず、形状データ入力部3が、等価熱伝導率算出の対象となる電子回路基板の形状データを入力する(ステップS71)。電子回路基板の形状データは、例えば、CADシステム12で作成される。電子回路基板は、通常、配線層と絶縁層とが交互に積層されて構成されている。
図4は、電子回路基板の積層方向に垂直な面、すなわちXY平面における配線層の平面図である。電子回路基板101の配線層は、配線パターン部103と非配線部104とから構成されている。一般的に配線パターン部103は金属材料等の比較的熱伝導率が高い材料で構成されており、非配線部104はガラスや樹脂やセラミックスやこれらの複合物等、比較的熱伝導率が低い材料で構成されていることが多い。
材料データ入力部4は、電子回路基板101を構成する材料の材料定数データを入力する(ステップS72)。材料定数データとして、例えば、電子回路基板101の配線パターン部103を構成する金属材料である配線材料の熱伝導率(λtrace)と、非配線部104を構成する樹脂材料である絶縁体材料の熱伝導率(λinsulator)とが入力される。
領域設定部17は、電子回路基板101に含まれる領域であって、等価材料を算出する領域を設定する(ステップS73)。等価材料を算出する領域は、例えば、設計者からの入力によって指定される。本実施の形態では、電子回路基板101の全体が、等価材料を算出する領域として設定された場合について説明する。
なお、領域設定部17によって設定される領域は、電子回路基板101全体である場合に限られず、一部の領域が設定される場合もある。例えば、配線パターンの少ない電子回路基板101の端部等、等価材料定数を求める必要のない領域については、設定領域から除くことができる。設定領域から除かれた領域については、分割部5、代表材料決定部18、材料定数選定部19および合成部7による処理を省略することができる。これにより、等価材料定数算出のための計算量が軽減される。
電子回路基板101を構成する配線パターン部103と非配線部104との形状は非常に複雑であるので、以降の処理を単純にするために、分割部5は、電子回路基板101を、複数の小領域に分割する(ステップS74)。
分割部5は、例えば、電子回路基板101を、Z軸方向において、配線層または絶縁層毎の各層に分割する。さらに分割部5は、各層を任意に設定した二次元デカルト座標の第一軸、第二軸それぞれに垂直に分割する。すなわち、分割部5は、分割した各層を、XY平面方向において小領域に分割する。小領域102は、分割された小領域のうちの1つである。
Z軸方向の分割は、電子回路基板101を構成する各配線層や絶縁層毎に分割することができる。XY平面方向における分割は、例えば、図4に示すように、X軸方向に11等分し、Y軸方向に10等分し、全体を110個の小領域に分割することができる。小領域への分割は、必ずしも各方向に等分することは必要ではない。また、必要に応じて異なる大きさの小領域に分割することもできる。
この小領域への分割は、各配線層や絶縁層毎に同一であっても構わないし、異なっていても構わない。
また、小領域への分割の細かさは、必要に応じて設定することができる。例えば、図4に示す小領域102をさらに細かく分割することもできるし、小領域102の4つ分の大きさを1つの小領域とする分割をすることもできる。
ここで、分割幅を各層の最小配線幅以下に設定すると、より精度が向上する。図22は、小領域102をさらに細かく分割して、分割幅を配線幅以下とする場合の例を示す図である。図22に示す例は、図4における小領域102をさらに分割した場合の例である。小領域102aは分割された小領域の1つである。小領域102aの分割幅は、配線幅hよりも小さくなっている。
次に、図21を参照して、代表材料決定部18が、それぞれの小領域を代表する材料を決定する(ステップS75)。代表材料決定部18は、例えば、小領域の中心に位置する材料を、その小領域の代表材料とすることができる。また、代表材料決定部18は、中心に位置する材料に限らず、小領域中のある定義された位置の材料を代表材料と判定してもよい。例えば、小領域のXY平面における形状が四角形である場合、この四角形の頂点の1つに位置する材料を代表材料とすることができる。
図16は、小領域の一例を示す図である。図16に示す小領域102は、小領域102全体の面積の約1/4程度を占める円形の配線パターン部203と、そこから引き出された細いリード線である配線パターン部203とその残りである非配線部204とから構成されている。小領域102において、中心に位置している材料は配線パターン部203の材料であるので、この小領域を代表する材料は配線パターンの材料であると決定される。
次に、材料定数選定部19が、材料データ入力ステップ(ステップS72)で入力された材料定数を基に、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を選定する(ステップS76)。材料定数選定部19は、ステップS75で決定された代表材料の材料定数を、ステップS72で入力された材料定数データを参照することにより選定する。図16に示す小領域102の代表材料は、配線パターンの材料である。従って、例えば、材料定数データに含まれる配線材料の熱伝導率が、小領域102の代表材料定数として選定される。
代表材料決定部18および材料定数選定部19は、ステップS75およびステップS76の処理を、全ての小領域について繰り返す。
各小領域について代表の材料定数が求められると、各小領域の代表材料定数を基に、合成部7が、複数の小領域を合成した領域における等価材料定数を求める(ステップS77)。合成部7は、例えば、X軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に隣り合う複数の小領域を合成した領域における等価材料定数を、少なくとも1方向について求める。
合成部7が、隣り合う複数の小領域を合成した領域における等価材料定数を求める処理は、上記実施形態において、図17および図18を用いて説明した処理と同様であるので、その説明を省略する。
なお、上記実施形態の図17および図18で説明した処理によって、複数の小領域を合成した領域の等価材料定数を求めることによって、電子回路基板101の一部の領域であって、かつ電子回路基板101に複数含まれる中領域ごとに、等価材料定数を算出することができる。図23は、電子回路基板101に含まれる中領域の例を示す図である。図23においては、XY平面において小領域を4つ分の大きさを持つ領域を1つの中領域としている。中領域106は、中領域のうちの1つである。
なお、図23においては、小領域4つ分を1つの中領域としているが、中領域の大きさは、必要に応じて変化させることが好ましい。また、全ての小領域を合成して、電子回路基板101全体について1つの等価材料定数を求めることもできる。
また、例えば、配線パターンの少ない電子回路基板101の端部等、等価材料定数を求める必要のない領域については、合成部7による合成処理を省略することができる。これにより、等価材料定数算出のための計算量が軽減される。
本実施の形態では、例えば配線パターン部103を構成する材料は全て同一で、熱伝導率も同一であることを仮定しているが、配線パターン部103は、熱伝導率の異なる複数の材料から構成されていてもよい。非配線部104についても同様である。
また、本実施の形態においては、電子回路基板の等価熱伝導率を求める場合について説明した。本発明にかかる等価材料定数算出システムは、電子回路基板の等価熱伝導率算出システムに限るものではなく、その他の複合材料を含む構造体の等価材料定数を算出するシステムに用いることができる、例えば、樹脂の中に半導体が設けられる構造を有する半導体部品、樹脂とガラスを含む基板、樹脂とシリカを含む封止樹脂、樹脂と銀を含む導電性接着剤等の等価材料定数の算出に用いることができる。
また、本発明にかかる等価材料定数算出システムは、等価熱伝導率を算出するシステムに限るものではない。例えば、複合材料の等価電気伝導率、等価誘電率、等価透磁率、等価ヤング率、その他の材料定数を算出する等価材定数料算出システムも本発明に含まれる。
(実施の形態6)
実施の形態6は、実施の形態1〜5における等価材料定数算出システム100を含む設計システムに関する。本実施の形態にかかる設計システムは、複数の材料から構成される構造体を設計するためのシステムである。
図24は、本実施の形態にかかる設計システム15の構成の一例を示す機能ブロック図である。図24に示すブロック図において、図20に示すブロック図と同じブロックには、同一の番号を付し、説明を繰り返さない。また、等価材料定数算出システム100の処理は、実施の形態5と同様であるので、その説明も省略する。
設計システム15は、等価材料定数算出システム100に加えて、CADシステム12、解析システム13、設計変更部14を備える。
CADシステム12は、複数の材料から構成される構造体を設計し、その設計データを保存する。設計データには、形状データおよび材料定数データが含まれる。形状データは、形状データベース9に、材料定数データは、材料データベース11にそれぞれ保存される。
CADシステム12は、CAM(Computer Aided Manufacturing)システム16とデータ通信が可能となるように接続されている。CADシステム12は、設計データをCAMシステム16に送る。
CAMシステム16は、CADシステム12から受け取った設計データに基づいて、構造体を自動的に製造する。CAMシステム16は、コンピュータを援用した自動製造システムである。CAMシステム16においては、構造体を製造するための自動機械に対して、コンピュータが作業命令を伝達する(図示せず)。
解析システム13は、解析部13aと出力部13bを備える。解析部13aは、等価材料定数算出システム100によって算出された構造体の等価材料定数とCADシステム12によって作成された設計データとに基づいて、シミュレーションにより構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析する。出力部13bは、解析部13aの解析結果を出力する。出力部13bは、解析結果を設計変更部14へ送信する機能や、解析結果を設計者にわかるように表示またはプリントアウトする機能を備える。解析結果を表示またはプリントアウトする機能は、例えば、ディスプレイやプリンタ等によって実現される。
設計変更部14は、解析システム13の出力部13bから受けた解析結果を基に、CADシステム12に保存された設計データを変更する。また、設計変更部14は、設計者からの設計データ変更命令を受け付けるためのユーザインタフェースを備える。設計変更部14は、設計者からの設計データ変更命令に基づいて、CADシステム12に保存された設計データを変更する。
次に、設計システム15を使って、構造体を設計、製造する方法について説明する。図25は、設計システム15が、構造体の製造を行う処理の流れを示すフローチャートである。
まず、CADシステム12は、構造体の設計を行う(ステップS81)。例えば、同種の構造体について、複数の異なるパターンの設計データを作成する。CADシステム12が作成した設計データには、形状データおよび材料定数データが含まれる。それらは、CADシステム12の形状データベース9および材料データベース11に保存される。
等価材料定数算出システム100は、ステップS81で作成された複数の設計データについて、それぞれの設計データが表す構造体の等価材料定数を算出する(ステップS82)。等価材料定数の算出方法は、実施の形態5における処理と同様であるので、説明を省略する。
解析部13aは、ステップS82で算出された等価材料定数およびステップS81で作成された設計データに基づいて、シミュレーションにより設計データが表す構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析する(ステップS83)。解析処理には、市販のCAE(Computer Aided Engineering)ソフトを用いることができる。解析部13aを用いて、構造体の温度、強度、ノイズ量などの設計仕様が満たされているか、あるいは、構造体の材料が許容できる温度、強度を超えていないか等を調べることができる。解析部13aによる解析処理は、複数の設計データが表す構造のそれぞれについて行われる。
出力部13bは、解析部13aの解析結果を、設計者にわかるように表示する。例えば、構造体における熱の流れの解析結果として、構造体の表面もしくはある断面における温度コンター図、横軸に位置、縦軸に温度をプロットしたグラフ、構造体中の所定の位置における温度の値等が挙げられる。
また、出力部13bは、解析結果の一部または全部を設計変更部14へ送る。例えば、出力部13bは、構造体の特定の部分における温度を表すデータ等を解析結果として設計変更部14へ送る。
設計変更部14は、ステップS83の解析結果に基づいて、複数の設計データの中から最適な設計データを選出する(ステップS84)。例えば、設計変更部14は、解析結果として構造体の温度分布が得られた場合、構造体のある部分での温度が、一定の値を超えない設計データを、CAMシステム16に送る構造体の設計データとして選出する。また、熱解析だけでなく、応力解析、電磁界解析などの全ての解析で、合格と判断された設計データを選出することもできる。ここで、選出される設計データは、必ずしも1つである必要はない。設計変更部14は、解析結果を基に設計データを選出するので、CAMシステム16で製造しても不具合が発生しないと予想される設計データを選出することができる。
設計変更部14は、出力部13bから受けた解析結果を基に、CADシステム12に保存された設計データを自動的に変更することもできる。
また、設計変更部14は、設計者からの設計データ変更命令に基づいて、CADシステム12に保存された設計データを変更してもよい。出力部13bによって、表示された解析結果を、設計者が見て、設計変更命令を設計変更部14に対して入力することができる。
設計変更部14によって、設計データが変更されることによって、より品質の高い構造体の設計データが得られる。
設計変更部14で、変更または選出された設計データについては、再度、ステップS82、S83の解析処理を行うことができる。設計データの選出または変更(ステップS84)とステップS82、S83の処理を繰り返すことにより、品質の高い構造体の設計データを得ることができる。
CADシステム12は、最終的に選出された設計データを、CAMシステム16に送る。CAMシステム16は、CADシステム12から送られてきた設計データに基づいて、構造体製造用のマスクパターンを作製する(ステップS85)。例えば、CAMシステム16のコンピュータが、設計データに含まれる形状データを読み込んで、その形状データが示す形状を有するマスクパターンを作製する。
本発明は、構造体を構成する各電子材料の方向性をも考慮した等価材料定数を計算することが可能である等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プログラム、等価材料定数算出方法およびそれらを使用した構造体の設計システム、構造体の製造方法として利用できる。
(a)等価材料定数算出システムの構成を表す機能ブロック図である。(b)は、端末システム1aおよびサーバシステム1bに等価材料定数算出システム1の機能を分散させた場合の構成の例を示す機能ブロック図である。 小領域内計算部6の構成を表す機能ブロック図である。 等価材料定数算出システム1の動作を示すフローチャートである。 等価熱伝導率算出の対象となる電子回路基板に含まれる配線層の形状の一例を示す図である。 小領域102毎に等価熱伝導率を算出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。 選択された小領域102の一例を示す図である。 (a)は、小領域102の区間K1において、熱がX軸方向に平行に伝播する様子を表した図である。(b)は、熱が配線パターン部303の方向に平行に流れる様子を表した図である。 配線の熱線路長および熱線路幅を示す図である。 小領域内計算部6の構成を表す機能ブロック図である。 小領域102毎に等価熱伝導率を算出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。 選択された小領域102の一例を示す図である。 小領域102の等価熱伝導率を算出する処理の詳細な流れを示すフローチャートである。 (a)は、選択された小領域102の一例を示す図である。(b)は、θavとして相加平均、相乗平均、最大値、最小値をそれぞれ用いて算出された小領域102における等価材料定数の例を示す表である。 等価材料定数算出システム10の構成の一例を示す機能ブロック図である。 等価材料定数算出システムの動作を表すフローチャートである。 選択された小領域102の1つを示す図である。 小領域102のうちの1つを含む断面をXZ平面について見た場合の断面図である。 隣り合う4つの小領域601、602、603、604をXY平面について見た平面図である。 隣り合う3つの小領域701、702、703をZ軸方向から見た平面図である。 等価材料定数算出システムの構成を表す機能ブロック図である。 等価材料定数算出システム100の動作を示すフローチャートである。 小領域102をさらに細かく分割する場合の例を示す図である。 電子回路基板101に含まれる中領域の例を示す図である。 設計システム15の構成の一例を示す機能ブロック図である。 設計システム15が、構造体の製造を行う処理の流れを示すフローチャートである。 従来の等価材料定数算出方法等の一例を示す図である。 (a)および(b)は、電子回路基板の配線パターンの一例を示す図である。
符号の説明
1 等価材料定数算出システム
2 記録部
3 形状データ入力部
4 材料データ入力部
5 分割部
6 小領域内計算部
7 合成部
71 積層方向合成部
72 垂直方向合成部
8 受信部
9 形状データベース
11 材料データベース
12 CADシステム
13 解析システム
14 設計変更部
15 設計システム
16 CAMシステム
17 領域設定部
18 代表材料決定部
19 材料定数選定部
21 ネットワーク
101 電子回路基板
102 小領域
103,203,303,403,503 配線パターン部
104,204,304,404,504 非配線部
511 絶縁体部
512 スルーホール
521,523,525,527 配線層
532,534,536 絶縁層
921,922 電子回路基板
923 配線パターン
924 非配線部分

Claims (31)

  1. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、
    前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、
    前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する等価材料定数算出システム。
  2. 前記小領域内計算部は、
    前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成部と、
    前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定部と、
    前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算部と、
    前記区間内計算部で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成部とを備える請求項1に記載の等価材料定数算出システム。
  3. 前記小領域内計算部は、
    前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成部と、
    前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出部と、
    前記極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成部とを備える請求項1に記載の等価材料定数算出システム。
  4. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、
    前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部とを備え、
    前記小領域内計算部は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する等価材料定数算出システム。
  5. 前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成部をさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  6. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、
    前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算部と、
    前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成部とを備える等価材料定数算出システム。
  7. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出システムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力部と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力部と、
    前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割部と、
    前記複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定部と、
    それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定部と、
    複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を少なくとも1方向について合成することにより算出する合成部とを備える等価材料定数算出システム。
  8. 前記分割部は、前記構造体の一部を複数の小領域に分割することを特徴とする、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  9. 前記分割部は、前記構造体を、複数の互いに平行な層に分割し、さらに各層を分割することによって前記構造体を小領域に分割する請求項1〜8のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  10. 前記構造体は電子回路基板であり、
    前記分割部による分割によって生じた小領域の最大幅は、前記電子回路基板に形成された配線の最小幅以下である請求項7に記載の等価材料定数算出システム。
  11. 前記合成部は、複数の隣り合う小領域を合成した中領域ごとに等価材料定数を算出するものであって、
    前記中領域は、前記構造体の一部の領域であり、かつ前記構造体中に複数含まれる領域である請求項5、6、7のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  12. 前記分割部は、前記構造体を複数の層に分割し、分割した各層を小領域に分割するものであって、
    前記合成部は、前記各層の小領域における等価材料定数を基に、前記各層の小領域を積層方向に合成した領域の等価材料定数を求める積層方向合成部と、
    前記積層方向に垂直な方向で隣り合う前記小領域を合成した領域の等価材料定数を求める垂直方向合成部とを備える請求項5、6、7、11のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  13. 前記合成部は、複数の隣り合う小領域において、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を、互いに接続された抵抗と見なして、合成抵抗を求めることにより、前記等価材料定数を求める請求項5、6、7、11、12のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  14. 前記構造体は電子回路基板であり、
    前記材料定数は熱伝導率または熱抵抗である請求項1〜13のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システム。
  15. 前記構造体は電子回路基板であり、
    前記材料定数は熱伝導率または熱抵抗であり、
    前記層は前記電子回路基板の配線層または絶縁層である請求項9または請求項12に記載の等価材料定数算出システム。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の等価材料定数算出システムを含む設計システムであって、
    前記形状データと、前記材料定数データとを含む前記構造体の設計データを記録する記録部と、
    前記等価材料定数算出システムによって算出された前記構造体の等価材料定数と前記設計データに基づいて、シミュレーションにより前記構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析し出力する解析部と、
    設計者からの前記設計データの変更命令に基づいて、前記記録部の設計データを変更する、設計変更部とを備える設計システム。
  17. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、
    前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理とをコンピュータに実行させ、
    前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラム。
  18. 前記小領域内計算処理は、
    前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成処理と、
    前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定処理と、
    前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算処理と、
    前記区間内計算処理で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成処理とを含む請求項17に記載の等価材料定数算出プログラム。
  19. 前記小領域内計算処理は、
    前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成処理と、
    前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出処理と、
    前記各極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成処理とを含む請求項17に記載の等価材料定数算出プログラム。
  20. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、
    前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理とをコンピュータに実行させ、
    前記小領域内計算処理は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する処理である等価材料定数算出プログラム。
  21. 前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成処理をさらにコンピュータに実行させる請求項17〜20のいずれか1項に記載の等価材料定数算出プログラム。
  22. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料算出プログラムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、
    前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、
    前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算処理と、
    前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成処理とをコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラム。
  23. 複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する処理をコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラムであって、
    前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力する形状データ入力処理と、
    前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力する材料データ入力処理と、
    前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割処理と、
    複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定処理と、
    それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定処理と、
    複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を合成することにより算出する合成処理とをコンピュータに実行させる等価材料定数算出プログラム。
  24. コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、
    前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、
    前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程とを備え、
    前記小領域内計算工程において、前記小領域内計算部は、前記形状データおよび材料定数データを基に、前記小領域内において、少なくとも1つの方向についての位置を表す値を変数に含む関数で、小領域の一部分の領域における等価材料定数を表し、前記関数を用いて、前記少なくとも1つの方向についての前記小領域における等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法。
  25. 前記小領域内計算工程は、
    前記構造体について設定された直交座標系において、1の座標軸方向における座標をuとして、前記形状データを基に、前記小領域内の前記各材料間の境界を表す境界関数F(u)を生成する境界関数生成工程と、
    前記境界関数F(u)の定義域に従って前記小領域に、uについての1または2以上の区間を設定する区間設定工程と、
    前記区間において、前記関数F(u)と、前記材料定数データとに基づいて、材料定数が適用される位置を表す関数を作成し、該関数を該区間内で積分することで、該区間における前記座標軸方向の等価材料定数を求める区間内計算工程と、
    前記区間内計算工程で求められた各区間の区間等価材料定数に基づいて小領域における前記座標軸方向の等価材料定数を求める等価材料定数生成工程とを備える請求項24に記載の等価材料定数算出方法。
  26. 前記小領域内計算工程は、
    前記小領域を1または2以上の方向にそって、さらに複数の極小領域に分割し、各極小領域について、前記形状データおよび前記材料定数データに基づいて、前記極小領域の等価材料定数を求める極小領域材料定数生成工程と、
    前記小領域における前記極小領域の等価材料定数の前記1または2以上の方向についての分布を、フーリエ変換することによって各極小領域における周波数スペクトルを求めるスペクトル算出工程と、
    前記各極小領域における前記周波数スペクトルに基づいて、前記1または2以上の方向についての前記小領域における等価材料定数を求める等価材料定数生成工程とを備える請求項24に記載の等価材料定数算出方法。
  27. コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、
    前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して、前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、
    前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程とを備え、
    前記小領域内計算工程において、前記小領域内計算部は、前記小領域に含まれる各材料の面積を、前記形状データに基づいて算出し、前記各材料間の境界を表す線の、所定の方向に対する傾きを求め、該傾きと、前記面積と、前記材料定数データとに基づいて前記小領域における等価材料定数を算出する工程である等価材料定数算出方法。
  28. 前記コンピュータが備える合成部が、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成工程をさらに備える請求項24〜27のいずれか1項に記載の等価材料定数算出方法。
  29. コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料算出方法であって、
    前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える分割部が、前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、
    前記コンピュータが備える小領域内計算部が、前記小領域に含まれる各材料の構成比を、前記形状データに基づいて算出し、前記構成比と、前記材料定数データとに基づいて、前記小領域における等価材料定数を算出する小領域内計算工程と、
    前記コンピュータが備える合成部が、前記小領域における等価材料定数に基づいて、複数の隣り合う前記小領域を合成した領域における等価材料定数を求める合成工程とを備える等価材料定数算出方法。
  30. コンピュータを使用して、複数の材料から構成される構造体の等価材料定数を算出する等価材料定数算出方法であって、
    前記コンピュータが備える形状データ入力部が、前記構造体を構成する各材料の形状を表す形状データを入力して、前記コンピュータが備える記録装置に記録する形状データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える材料データ入力部が、前記構造体を構成する材料のうち少なくとも1つの材料定数を表す材料定数データを入力して前記記録装置に記録する材料データ入力工程と、
    前記コンピュータが備える分割部が、前記形状データで表される前記構造体を複数の小領域に分割する分割工程と、
    前記コンピュータが備える代表材料決定部が、複数の小領域ごとにそれぞれの小領域を代表する材料を決定する代表材料決定工程と、
    前記コンピュータが備える材料定数選定部が、それぞれの小領域を代表する材料の材料定数を前記材料定数データから選定する材料定数選定工程と、
    前記コンピュータが備える合成部が、複数の隣り合う小領域を合成した領域における等価材料定数であって、少なくとも1方向についての等価材料定数を、複数の隣り合う小領域の代表材料の材料定数を合成することにより算出する合成工程とを備える等価材料定数算出方法。
  31. 複数の材料から構成される構造体の設計データが複数記録された記録装置にアクセス可能なコンピュータを使用して前記構造体を製造する構造体の製造方法であって、
    前記コンピュータが、請求項24〜30のいずれか1項に記載の方法により等価材料定数を算出する工程と、
    前記コンピュータが備える解析部が、前記等価材料定数および前記設計データに基づいて、シミュレーションにより前記構造体における熱の流れ、応力分布、電磁界または流体運動を解析する解析工程と、
    前記コンピュータが備える設計データ選定部が、前記記録装置に記録された複数の設計データが表す構造体について前記解析工程で得られた解析結果に基づいて、前記複数の設計データの中から設計データを選出する設計データ選出工程と、
    前記コンピュータとデータ通信可能となるように接続されたCAMが、前記設計データ選出工程で選出された設計データに基づいて構造体を製造する製造工程とを備える構造体の製造方法。
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