JP2006312748A - オレフィン重合用触媒及びポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Hiroyuki Nakano
博之 中野
Hirotsugu Niwa
博嗣 丹羽
Shuichi Torio
秀一 鳥生
Takao Tayano
孝夫 田谷野
Hidefumi Uchino
英史 内野
Yoshiyuki Ishihama
由之 石浜
Toshihiko Sugano
利彦 菅野
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Abstract

【課題】重合温度が高くても、また得られるポリマーの融点が低いても良好なパウダー性状のポリオレフィンが製造できるオレフィン重合用触媒及びこれを使用したポリオレフィンの製造法を提供する。
【解決手段】以下の特性(a)〜(c)を満足するオレフィン重合用触媒。(a)微粒子状担体に担持されたメタロセン触媒を重合性単量体と接触せしめて予備重合を行うことにより得られる;(b)微粒子状担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度が3MPa以上である:(c)予備重合前と予備重合後の触媒をそれぞれ蛍光観察した結果から得られる予備重合均一化指数(H値)が60%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合温度が高くても、また得られるポリマーの融点が低くても良好なパウダー性状のポリオレフィンが製造できるオレフィン重合用触媒及びこれを使用したポリオレフィンの製造法を提供する。
微粒子状担体に有機金属化合物、例えばメタロセン錯体、ブルックハート錯体、フェノキシイミン錯体を担持した触媒から得られる予備重合触媒の技術は公知である(特開昭63−199206、特開昭63−280703、特開平2−84407、特開平7−228622、特開平9−278821、特開平12−313712等)。また、担体機能とメタロセン化合物を活性化する機能を兼ね備えたイオン交換性層状珪酸塩とメタロセン化合物からなる予備重合触媒も公知である(特開平5−295022等)。
しかしながら、これらの技術においては、単にメタロセン触媒を予備重合させたものであり、粉体性状の性能としてはまだ改良の余地が残っており、例えば、本重合の際に、ポリマー微粒子が発生したり、ポリマー粒子が凝集したりすることを防ぐことは困難であった。特に低融点ポリマーの製造においては、この現象はより深刻な問題となっていた。
これに対し予備重合時の温度制御によりポリマーの粉体性状を改良する方法(特開2001−026613)や、担体機能とメタロセン化合物を活性化する機能を兼ね備えたイオン交換性層状珪酸塩の製造方法によりポリマーの粉体性状を改良する方法(特開2001−031720)が知られている。しかしながらこれらの方法においても粉体性状の改良は充分なものではなかった。
上述の公知技術は、従来の技術に対して各触媒成分の種類を変えたり、予備重合条件を変更したりすることをその解決手段とするものであったが、予備重合触媒のモルフォロジー面から、上記課題を解決しようと試みた例は、未だ知られていない。本発明は、予備重合触媒のモルフォロジー面から取り組むことにより到達されたものである。
本発明が解決しようとする課題は、良好なパウダー性状を与えるポリオレフィンを製造するためのオレフィン重合用触媒の提供である。一般に、同一触媒、同一重合温度では生成するポリマーの融点が低くなるほどパウダー性状が悪化するため、工業的に生産できるポリマーの融点には下限があり、本発明は融点が低く、かつ良好なパウダー性状を与えるポリオレフィンを製造できる触媒を提供する。
また同じ触媒を使用し、同じ融点のポリマーを製造する重合においては、重合温度が高いほど得られるポリオレフィンのパウダー性状が悪化するため、工業的に使用できる重合温度には上限があるが、本発明は重合温度の上限が高い触媒を提供するものである。
さらに、本発明が解決しようとする課題として、製品外観を悪化させる触媒核(通常、フィッシュアイと呼ばれる)の残存の少ない、均質に予備重合された予備重合触媒を提供することにある。
本発明者らは、予備重合触媒のモルフォロジー的な解析をおこない、ポリマー性状の悪化原因との関連を調べた結果、重合パウダー凝集の原因となる触媒粒子には、明確な特徴が存在することが明らかとなり、そのような粒子を減少させることにより上記課題を解決することが可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者らは、微粒子状担体に担持されたメタロセン触媒を重合性単量体に接触せしめて得られた予備重合触媒において、予備重合前と予備重合後の触媒粒子をそれぞれ蛍光観察した結果から得られる予備重合均一化指数(H値)が60%以下となるように均質に予備重合することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明はこれに基づくオレフィン重合用触媒を提供するもので
ある。
かくして、本発明は、以下の特性(a)〜(c)を満足することを特徴とするオレフィン重合用触媒にある。
(a)微粒子状担体に担持されたメタロセン触媒をオレフィンと接触せしめて予備重合を行うことにより得られる;
(b)微粒子状担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度が3MPa以上である;
(c)予備重合前と予備重合後の触媒をそれぞれ蛍光観察した結果から得られる予備重合均一化指数(H値)が60%以下である。
また、本発明は、上記の触媒を使用してオレフィンを単独重合又は共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法、及び、上記の触媒を使用してオレフィンをランダム共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法を提供するものである。
本発明によると、高活性で粒子性状の優れたポリマーを低コストにて得ることができる。特に、従来よりファウリングが起こりやすく製造が困難とされてきた低融点ポリマーの製造においても、ポリマー粒子同士の付着が少なく、反応器への付着等が改良される。また、ポリマーの嵩密度も改善される結果、工業的な規模における連続安定運転の容易化、および生産性の増大も図ることができる。
また、担体強度の低い粒子では触媒粉体や重合体粒子が崩壊しやすいため、微粉が発生する問題、逆に、担体強度が高い粒子では予備重合の際に粒子が不均一に成長するために微粉が発生したり、触媒粒子中に微細化されないまま残存した担体核がフィッシュアイやゲルとなって製品の外観を悪化させるといった問題を解決することができる。
さらに、本発明の触媒成分、あるいは触媒を使用することにより、従来よりも高い重合温度においても、低融点のポリマーを効率よく、かつ安定的に製造することが可能になる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、微粒子状担体に担持されたメタロセン触媒を重合性単量体に接触せしめて予備重合触媒粒子とされる。本発明では、予備重合前と予備重合後の触媒粒子をそれぞれ蛍光観察した結果から得られる予備重合均一化指数(H値)が60%以下であることが一つの特徴である。
本発明で、H値とは、予備重合後の触媒粒子中の有蛍光粒子の個数の割合を百分率で表したものをいう。このH値は触媒粒子の蛍光密度を測定することで求める。ここで、蛍光密度とは触媒に紫外線を当てたときに発する蛍光の強さをいう。また、有蛍光粒子とは、予備重合前における触媒粒子の蛍光の明るさのレベル、すなわち蛍光密度を1としたときに、予備重合後の触媒粒子の蛍光密度が1以上である部分を有する粒子のことをいう。
重合パウダー凝集の原因となる触媒粒子は、[I]粒子一個あたりの予備重合度が低い粒子、または[II]粒子内の一部分に予備重合度が低い部分が残存している粒子であることが見出された。これらの粒子は触媒の蛍光観察によって明確に特徴付けられるが、その特徴が顕れる機構は以下の通り推定される。
[I]粒子一個あたりの予備重合度が低い粒子
このような粒子は、蛍光観察した場合の蛍光密度が、予備重合前の触媒粒子の蛍光密度以上であるという特徴を持つ。触媒が蛍光を発する明確な機構は不明であるが、活性点となる有機金属化合物(例えばメタロセン化合物)を接触させる前の微粒子状担体ではほとんど蛍光を発せず、有機金属化合物と接触後の触媒は蛍光を発することから考えると、活性点となる有機金属化合物に由来する成分が蛍光を発していると推定される。
蛍光密度は粒子の予備重合度によって変化し、予備重合度が低い段階では予備重合前触媒よりも蛍光密度が大きくなる。この予備重合度が低い段階とは、微粒子状担体の細孔容積よりも予備重合ポリマーの体積が小さい段階であり、この段階では微粒子状担体の細孔内に予備重合ポリマーが蓄積されている程度であり、微粒子状担体が崩壊、分散していない状態である。
このような細孔が予備重合ポリマーで埋まっていく段階では蛍光観察した場合の蛍光密度は予備重合前より大きくなる。
さらに予備重合を進めると予備重合ポリマーの体積が微粒子状担体の細孔容積よりも大きくなり、ポリマーの成長に伴い微粒子状担体が崩壊、分散するものと推定される。ここまでくると蛍光の由来となる成分は微粒子状担体の分散に伴って予備重合ポリマー中に分散していくため、単位体積あたりに存在する蛍光の由来となる成分の密度は予備重合度が大きくなるほど小さくなる。そのため蛍光密度は小さくなると考えられる。
しかし、全ての触媒粒子がこの段階まで成長するものではなく、予備重合の条件によっては一部粒子は予備重合度が低いまま成長が停止する。この粒子が製品の粒子性状悪化の原因となる。
[II]粒子内の一部分に予備重合度が低い部分が残存している粒子
予備重合の条件によっては触媒粒子内の一部分に予備重合度が低い部分が残存している粒子ができることがある。その原因として、例えば急激に予備重合を行ったためモノマーの拡散が粒子内部まで進まなくなり表面だけが予備重合されるということが考えられる。このような粒子を蛍光観察すると、予備重合度が低い部分だけは蛍光密度が予備重合前触媒よりも大きくなっておりそれ以外の部分は蛍光密度が小さくなっている。予備重合度が低い部分の蛍光密度が大きい理由は上記[I]と同様で、単位体積あたりに存在する蛍光の由来となる成分(有機金属化合物)の密度が高いためと考えられる。このような特徴をもった粒子もまたパウダー性状悪化の原因となる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記の[I]、[II]のような触媒ではなく、個々の粒子において粒子全体が均一に予備重合されている触媒、したがって、触媒粒子が予備重合で生成されたポリマー中に均一に分散された状態にある。
上記した[I][II]の触媒粒子の含有が少ない、本発明のオレフィン重合用触媒を得るための手法には特に制限はないが、好ましくは、以下に記載するような手法、例えば、特定の細孔構造や圧壊強度を有する微粒子状担体の使用、微粒状担体中のメタロセン触媒活性点の分散の制御、触媒を予備重合する際のポリマーの生成速度の制御、担体1gあたりの予備重合ポリマーの含有量の制御、予備重合工程においてメタロセン錯体を特定の方法で処理するなどの手法が採用される。特定の構造や圧壊強度を有する微粒子状担体は、好ましくは、特定のイオン交換性層状珪酸塩の使用、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理、または特定の有機アルミニウム化合物による処理などによって達成される。また、本発明では、これらの手法を組み合わせることができる。
(I)予備重合後触媒粒子の蛍光密度の比較
本発明の触媒は、「有蛍光粒子」の個数が少ないことを大きな特徴とする。すなわち、「予備重合後の触媒粒子全体の個数」に対する、「有蛍光粒子の個数」の割合(H値)が60%以下とされる。有蛍光粒子は少ない方がよく、H値は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下であるのが望ましい。
蛍光密度は、蛍光顕微鏡写真の明暗度で評価する。以下に述べる方法で撮影した予備重合前触媒の蛍光写真を基準とし、この写真と予備重合後触媒の写真の明暗度を比較することにより蛍光密度の大小が判定できる。明暗度が明るいほど蛍光密度が高い。明暗度の比較は目視でも充分可能であるが、コンピュータを使用した画像解析装置を用いてもよい。
<顕微鏡観察条件>
蛍光観察、透過光観察ともに試料は流動パラフィンに浸した状態で観察する。通常触媒は空気に触れると失活するが、試料は失活してない状態であっても、失活した状態であっても測定は可能である。取り扱いの面から失活させた状態で測定することが好ましい。
蛍光写真の撮影条件としては、予備重合前触媒粒子の蛍光密度に対する、予備重合後触媒粒子の蛍光密度の大小が判別できる条件にすることが必要である。判別を容易にするために予備重合前触媒より蛍光密度が小さい場合には感光しないような条件を採用してもよい。
<予備重合前触媒粒子の蛍光密度>
最初に予備重合前触媒の透過光写真撮影を行ってその視野内の粒子数を計数し、その後同一視野で蛍光写真を撮影する。予備重合前の触媒はどの粒子をとっても、また粒子内のどの部分をとっても面積あたりの蛍光密度はほぼ同じであることが多いが、予備重合前の触媒粒子が粒子毎に強度が異なる場合は平均値を採用する。平均値の算出方法は画像処理装置で行うことが望ましい。
同一視野に50個以上の粒子が写っていることが望ましいが、触媒の粒径や分散性によりそれが難しい場合は同一条件で数枚の視野の写真を撮影し、50個以上の粒子を評価する。
蛍光密度を測定するための予備重合前触媒は、予備重合後触媒を得る過程でその一部を抜き出して確保してもよいし、予備重合工程を行わない以外は予備重合後触媒の調製と同じ条件で別途触媒を作成してもよい。
<予備重合後触媒粒子の蛍光密度>
予備重合後触媒も上記と同様にまず透過光写真撮影を行い、その視野内の粒子数を計数すると共に各粒子の写真上の面積を透過光写真から求める。さらに蛍光写真を予備重合前触媒と同一条件で測定し、有蛍光粒子を探す。
予備重合後の粒子によっては、個々の粒子の一部分だけが蛍光を発している場合がある。そのような場合、有蛍光粒子であるか否かの判断基準として、有光部分(蛍光密度が予備重合前触媒以上である部分)の面積がその粒子の透過光写真上における面積の1/100以上である粒子は、有蛍光粒子であると判定する。このような手順で粒子50個以上について、その蛍光密度を予備重合前触媒の蛍光密度と比較する。なお、割れた触媒、微粉状の触媒粒子は重合用触媒として好ましいものでないが、かかる粒子は有蛍光粒子ではないことが多いため、好ましくない触媒であるにもかかわらずH値は小さい値となってしまう。このため、この判別においては、その影響を除くため、触媒平均粒径の1/4以下の粒子径しか有しない触媒粒子は計算に含めない。触媒平均粒径の1/4以下であるかどうかの判定を行う場合の粒子径は、透過光写真から求めた長径と短径の平均から算出する。
<蛍光顕微鏡>
蛍光顕微鏡とは東京理科大学理工学辞典編集委員会編「理工学辞典」421ページや朝倉健太郎著「顕微鏡のおはなし」70〜74ページに記載されているタイプの顕微鏡が好ましくは使用される。蛍光顕微鏡には透過型蛍光顕微鏡と落射型蛍光顕微鏡があるが、本明細書の観察には落射型を用いるのが好ましい。また試料に紫外線を照射する時間は短い方が試料にダメージを与える可能性が少なくてすみ、好ましくは5分以下、より好ましくは1分以下で測定を終了する。
(II)微粒子状担体の強度
微粒子状担体の強度が小さい場合は、たとえ、H値が小さく、したがって、触媒粒子の予備重合が均一に行われていても重合中に粒子の破砕が起こり良好なパウダー性状は得られない。そのため微粒子状担体の平均圧壊強度は3MPa以上あることが必要であり、好ましくは5MPa、より好ましくは7MPa以上である。一方、担体強度が高すぎると、予備重合あるいは重合の際に粒子成長が不均一となり、微粉が発生する場合もある。したがって、担体強度の上限は平均圧壊強度が20MPa以下であることが好ましく、より好ましくは18MPa以下である。微粒子状担体強度は、圧壊試験器を用いて、任意な10個以上の粒子の圧壊強度を測定し、その平均値を微粒子状担体強度として算出する。
なお有機アルミ化合物などを担持した微粒子状担体、例えばアルミニウムオキシ化合物が担持されたシリカ等は担持した有機アルミなどの成分を失活させてから担体強度を測定してもよいが、その場合その圧壊強度が変化しないようにするため、失活熱による担体温度が100℃を越えないように失活させる。
(III)微粒子状担体の平均粒径
微粒子状担体の平均粒径には特に制限はないが、小さすぎると重合槽内での静電気付着や重合槽からのエントレインメントが多くなり好ましくない。したがって、平均粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。なお微粒子状担体及び触媒の平均粒径はそれらのスラリーをレーザー回折法で測定することによって知ることができる。
(IV)細孔容積
窒素吸脱着法で求めた細孔径1000Å以下の細孔の容積を指す。
(V)触媒
(成分A)
本発明で使用するメタロセン化合物は、共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4〜6族の遷移金属化合物である。かかる遷移金属化合物として好ましいものは、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物である。
Figure 2006312748
(式中、AおよびA'は置換基を有してもよい共役五員環配位子(同一化合物内においてAおよびA'は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは二つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基、Zは窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、Q'は共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基、Mは周期律表4〜6族から選ばれる金属原子、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基を示す。)
この共役五員環配位子(AおよびA')の具体例としては、共役炭素五員環配位子、即ちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロペンタジエニル基は水素原子を五個有するもの[C55−]であってもよく、また、その誘導体、即ちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているものであってもよい。
好ましい例としては、2個の置換基がそれぞれω−端で結合して該シクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成しているもの、即ちインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、および縮合七員環を形成していているもの、即ちアズレニル基、テトラヒドロアズレニル基が挙げられる。この中で、好ましいものは、アズレニル基である。
Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を、Q'は共役五員環配位子の任意の位置とZで示される基を架橋する結合性基を表す。
QおよびQ'の具体例としては、
(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基類、(ロ)ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基、
(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基、さらに具体的には、(CH32Ge、(C652Ge、(CH3)P、(C65)P、(C49)N、(C65)N、(C49)B、(C65)B、(C65)Al(C65O)Alで示される基等である。好ましいものは、アルキレン基類およびシリレン基類である。
Mは周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を、好ましくは周期律表4属金属原子、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。特には、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
Zは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。好ましいものの具体例としては、酸素原子、イオウ原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のチオアルコキシ基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のリン含有炭化水素基、水素原子、塩素、臭素、炭素数1〜20の炭化水素基である。
XおよびYは、各々水素、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、ジフェニルフォスフィノ基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、またはトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基である。XとYは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭化水素基、特に炭素数1〜8のもの、およびアミノ基が好ましい。
(イ)一般式(1)で表される化合物としては、例えばビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−i−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−t−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドモノハイドライド、ビス(1−n−ブチル−3−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメトキシド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)、ビス(1−n−ブチル−3−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチルアミドモノクロリド、ビス(1−メチル−3−トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−シクロヘキシル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−ベンジル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドがあげられる。
(ロ)一般式(2)で表される化合物としては、例えばジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、6−ジイソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス{1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、エチレンビス{1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−i−プロピル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−メチル−4−(2’,6’−ジメチル−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−i−プロピル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}{1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−[2−エチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−5,6,7,8−テトラヒドロアズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−6−イソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4、6−ジフェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(ペンタフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルー7ーフルオロ−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−ジメチルボラノ−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−エチル−4−(3、5−ビストリフルオロメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホン酸)、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、6−ジイソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(ペンタフルオロフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルー7ーフルオロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、エチレン−1、2−ビス{1−(2−エチル−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルアルミニウムビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルホスフィノビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルアミノビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
(ハ)一般式(3)で表される化合物としては、例えば、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスt−ブチルアミド)ジクロリド、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスイソプロピルアミド)ジクロリド、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスシクロドデシルアミド)ジクロリド、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド)}ジクロリド、(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド}ジクロリド、(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド}ジクロリド、(2−メチルインデニル)チタニウム(ビスt−ブチルアミド)ジクロリド、(フルオレニル)チタニウム(ビスt−ブチルアミド)ジクロリド、(3,6−ジイソプロピルフルオレニル)チタニウム(ビスt−ブチルアミド)ジクロリ、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(フェノキシド)ジクロリド、(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(2、6−ジイソプロピルフェノキシド)ジクロリド等が挙げられる。
(ニ)一般式(4)で表される化合物としては、例えば、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−メチルインデニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(フルオレニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、等が挙げられる。
一般式(1)ないし(4)で示される部分[A]は、同一の一般式で示される化合物および/または異なる一般式で表される化合物の二種以上の混合物として用いることができる。
プロピレンをオレフィンとして使用する場合は、一般式(2)、(4)を用いることが好ましく、特に(2)を用いることが特に好ましい。
(成分B)
本発明において使用する微粒子状担体としては、これを使用して得られた触媒が上記した(a)〜(c)を満足する限り種々のものが使用でき、その元素組成、化合物組成についてはとくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。
無機化合物からなる担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
有機化合物からなる担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの微粒子状担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
本発明において、上記した微粒子状担体としては、下記する(b−1)〜(b−3)から選ばれたものであることが、特に好ましい。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体
ここにおけるアルミニウムオキシ化合物としては、好ましくは、次の一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006312748
上記の各一般式中、R4は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(5)及び(6)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。
上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式(7)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(8)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(8)中、R5は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
5B(OH)2 (8)
(b−2)メタクロセン化合物(成分A))と反応して(成分A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子担体
(成分A)と反応して(成分A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
また、ルイス酸、特に(成分A)をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、(成分A)と反応して(成分A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。
(b−3)イオン交換性層状珪酸塩:
本発明において、イオン交換性層状珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物を言う。大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、それ以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用するイオン交換性層状珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。当該珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のようなものが挙げられる。
a 1:1層が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族。
b 2:1層が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群。
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記a、bの混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
本発明では、イオン交換性層状珪酸塩として、特に、均一に予備重合された予備重合触媒が得られることから、以下に示す細孔構造(細孔径分布)を有するイオン交換性層状珪酸塩を使用することが望ましい。かかる細孔構造を有するイオン交換性層状珪酸塩は、好ましくは、後述するような特定の処理方法(特定の化学処理、造粒処理、特定の有機アルミニウム化合物による処理)によって得られるが、かかる細孔構造を有するイオン交換性層状珪酸塩を入手できる場合には、そのまま使用できる。
(i)細孔径分布
本発明で使用されるイオン交換性層状珪酸塩は、次の[特性1]及び[特性2]を有するを使用することが望ましい。
[特性1] 窒素吸脱着法による脱離等温線から算出した細孔分布曲線において、最大ピーク強度DVMを示す細孔直径Dmが、60〜200Åである。
[特性2] 窒素吸脱着法による脱離等温線から算出した細孔分布曲線において、ピーク強度が最大ピーク強度DVMの1/2である点に対応する小径側細孔直径をDm1/2(Å)とするとき、DmとDm1/2の比(Dm1/2/Dm)が、0.65以上、1未満である(ただし、Dm1/2が複数あるときは最も大きな値とする)。
窒素吸脱着法
窒素吸脱着法による吸着および脱離等温線の測定について以下に述べる。測定においては、窒素ガスを使用する。細孔分布を調べるときに一般的な吸着ガスとして特性もよく使用されているためである。
本発明における細孔分布評価は、脱離等温線を採用している。脱離等温線は相対圧を減少させた場合に得られる曲線である。脱離等温線の方が、吸着等温線に比べて、同一の吸着ガス量に対してより低い相対圧力を示し、結果的により低い自由エネルギー状態を示すために、より真の熱力学的安定に近い状態であると一般的に考えられているからである。
上記分析装置としては、カンタークロム社(オートソーブ)、日本ベル社(ベルソープ)、コールター社(オムニソープ)等の一般市販品が使用可能である。細孔分布の計算方法としては、BJH法が最も一般的であり、本発明ではこの方法を採用している。
測定方法の一例を以下具体的に示す。温度77Kで、圧力は相対圧P/P0(P0は、大気圧である)が0.02〜1の範囲で測定する。BJH法により、横軸を細孔直径(単位:オングストローム,Å)、縦軸に細孔容積の微分値(単位:cm3/g)で表現する。測定回数は通常1回で充分である。
細孔径分布
mとは、縦軸の値(細孔容積の微分値)が最大となる細孔直径に対応し、一般には最頻細孔径と表現されている。図1には、細孔分布を示すグラフの例を示した。図1(実施例1)の細孔分布曲線についていえば、101Åの細孔径がこれに相当する。つまり、全体の細孔容積に対して、最も割合の高い細孔を示している。Dmにおける縦軸値が最大ピーク強度DVMである。Dm1/2とは、縦軸の最大値DVMに対して半分の値を示す小粒径側のポイントに対応した細孔径である。図1においては、77Åの細孔径がこれに相当する。つまり、Dm1/2/Dmの比をとると、小さい細孔側に着目した分布の尺度となり、狭い場合にはこの値が小さくなる。図1において、Dm1/2/Dmは、77/101=0.76となる。なお、細孔分布曲線の形状により、Dm1/2が複数存在することがあるが、その場合は最も大きい値とする。
最大のピーク強度を示す細孔直径サイズ(一般には「最頻細孔直径」と呼ばれることが多い。)は、60〜200Å、好ましくは70〜190Å、さらに好ましくは80〜180Åの範囲である。最大ピーク強度DVMを示す細孔直径Dmが200Åを超えるものは、強度が低下してしまうためにポリマー粒子の性状が悪く、好ましくない。また60Åに満たないものは前述したように、触媒の均一な活性化、ポリマー粒子の均一な成長を損なうために、ポリマーの凝集や反応器への付着につながる。
細孔直径Dm1/2は、Dmを挟んで、Dmの大径側と小径側にそれぞれ少なくとも1つ存在するが、本発明では、小径側細孔直径をDm1/2と定義する。更に、小径側にDm1/2が複数あるときは、その最も大きい値を用いて計算する。Dm1/2/Dmは、好ましくは、0.68以上、さらに好ましくは0.70以上である。Dm1/2/Dmが0.68未満であるものは、小さい径の細孔も相当量含むことが多いために、好ましくない。
上述の[特性1]および[特性2]を有するイオン交換性層状珪酸塩をメタロセン錯体の活性化剤としてのオレフィン重合用触媒成分(助触媒)として使用することで、以下に述べるような作用機構が働いていると考えることができる。すなわち、当該イオン交換性層状珪酸塩は、ある特定のサイズの細孔を有しているが、その大きさはメタロセン錯体、有機アルミニウム化合物、およびモノマーに対して十分に大きい。したがって、反応に関与するこれらの化合物が、触媒の形成、活性化、予備重合さらには重合の各段階において、容易に細孔内に入り込むことができ、担体中に錯体が高分散し、メタロセン触媒活性点が均一に形成されることになる。
さらに、触媒粒子の均一な成長には、ポリマー粒子の成長と共に、担体が微粒子状に分散することが非常に重要であり、本発明のような細孔分布を有する担体では、これを助長すると考えられる。この様な触媒では、重合反応において、従来の触媒に比べ、触媒上での局部発熱等が抑制される。特に、溶融あるいは溶解しやすいポリマーの製造時、例えば、プロピレン系の低融点ランダム重合においては、従来なしえなかった、高活性で、かつ、粒子を維持した状態で重合を進行させることが可能となる。
(ii)化学処理
イオン交換性層状珪酸塩に上記した細孔径分布を持たせるために、本発明では化学処理を施すことが好ましい。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。かかる化学処理により、表面に付着している不純物を除去し、粘土の構造に影響を与え、上記した細孔径分布などの特性を付与する。
上記化学処理のうち、酸処理は表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。通常は、酸水溶液の形で用いられる。処理に用いる酸は、2種以上の混合物であってもよい。
酸による一般的な処理条件は、酸濃度が0.1〜50重量%、処理温度が室温〜沸点、処理時間が、5分〜24時間の条件を任意に選択できる。イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。
本発明において特に好ましい態様は、特定の濃度を有する酸で処理することである。すなわち、少なくとも一度、下式を満たす酸濃度(N)の酸で処理することが好ましい。本発明では、この操作を「濃酸処理」と呼ぶことにする。
N≧6.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編II−4(日本化学会,丸善,改訂3版)を引用した。
このような特定条件でイオン交換性層状珪酸塩を処理することが効果的である理由は明らかではないが、次のように推察される。すなわち、
一般的には当該珪酸塩は酸処理により、表面の不純物が除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンが溶出し、表面積が増加することが知られている。つまり、酸処理の進行と共に、表面積や細孔容積が単純に増加すると考えられていた。ところが、本発明のような濃酸処理を行った場合の当該珪酸塩の表面積は、本発明で規定する酸濃度(N)よりも低い濃度で酸処理を行ったときに同程度の構成成分を溶出させた場合の当該珪酸塩の表面積と比較すると、むしろその値が小さくなっている。この事実は、当該珪酸塩の細孔のサイズが大きくなっていることを示唆する。この変化は、触媒の外部と内部の物質移動を容易にさせる効果があると予想される。つまり、高濃度を有する酸で処理された珪酸塩は、細孔のサイズが大きくなるために、触媒あるいは構成粒子の内部でも、外部と同じように、物質移動(メタロセン錯体、モノマー、あるいは、有機アルミニウム化合物等)が容易になると予想される。従って、本発明の珪酸塩により製造した触媒は、活性点がより均質に分散するために、従来の触媒に比べ触媒上での局部発熱等が抑制されると考えられる。特に、溶融あるいは溶解しやすいポリマーの製造時、例えば、プロピレン系の低融点ランダム重合においては、従来なし得なかった、高活性で、かつ、分散粒子を維持した状態で重合を進行させることが可能となる。
酸濃度範囲のさらに好ましい範囲としては、本発明で示す酸濃度(N)(酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:リットル))が、6.0以上、好ましくは7.0以上である。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい。
濃酸処理で用いられる酸は、通常の酸処理に用いられるものと同じものを使用できるが、好ましくは硫酸、硝酸、塩酸であり、特に好ましくは硫酸である。このような特定の処理によって、上述した[特性1]および[特性2]の物性を有するイオン交換性層状珪酸塩を製造することができる。
次に、本発明においては、いわゆる塩類処理をおこなうことも好ましい。塩類処理とはイオン交換性層状珪酸塩中の陽イオンを交換することを目的におこなわれる処理をいう。塩類による処理条件は、特には制限されないが、塩類は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また塩類は、トルエン、n−ヘプタン、エタノール等の有機溶媒中、または塩類が処理温度において液体状であれば、無溶媒で用いることもできるが、好ましくは水溶液として用いられる。ただし、塩の種類によっては酸処理と類似の効果を示すものもある。
本発明では、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
用いられる塩類は、周期律表1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、周期律表2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C24、OCOCH3、CH3COCHCOCH3、OCl3、O(NO32、O(ClO42、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OCOH、OCOCH2CH3、C244およびC657から成る群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
具体的には、Li2SO4、CaCl2、CaSO4、CaC24、Ca(NO32、Ca3(C6572、MgCl2、Sc(OCOCH32、ScF3、ScBr3、Y(OCOCH33、LaPO4、La2(SO43、Sm(OCOCH33、SmCl3、Yb(NO33、Yb(ClO43、Ti(OCOCH34、Ti(CO32、Ti(SO42、TiF4、TiCl4、Zr(OCOCH34、Zr(CO32、Zr(NO34、ZrOCl2、Hf(SO42、HfBr4、HfI4、V(CH3COCHCOCH33、VOSO4、VCl4、VBr3、Nb(CH3COCHCOCH35、Nb2(CO35、Ta2(CO35、Ta(NO)5、TaCl5、Cr(OOCH32OH、Cr(NO33、Cr(ClO43、MoOCl4、MoCl3、MoCl4、MoCl5、MoF6、WCl4、WBr5、Mn(CH3COCHCOCH32、Mn(NO32、Fe(OCOCH32、Fe(NO33、FeSO4、Co(OCOCH32、Co3(PO42、CoBr2、NiCO3、NiC24、Pb(OCOCH34、Pb(OOCH32、PbCO3、Pb(NO32、CuI2、CuBr2、CuC24、Zn(OOCH32、Zn(CH3COCHCOCH32、ZnSO4、Cd(OCOCH2CH32、CdF2、AlCl3、Al2(C243、Al(CH3COCHCOCH33、GeCl4、GeBr4、Sn(OCOCH34、Sn(SO42等が挙げられる。
塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後、塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行う方法がある。
その他の化合物による化学処理としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などに代表されるアルカリ処理、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、等に代表される有機物処理がある。有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(iii)造粒処理
本発明のイオン交換性状層状珪酸塩の平均粒径は、5μm以上、100μm以下が好ましい。5μm未満の微粒子が多く存在すると、ポリマー同士の凝集、反応器への付着等が起こりやすく、また重合プロセスによってはショートパスあるいは長期滞留の要因となり好ましくない。100μm以上の粗粒子については閉塞(例えば、触媒フィード時)が起こりやすい等の問題が生じるために好ましくない。これらを満たす粒子であれば、天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、分級、分別等により粒径を制御して使用してもよい。
造粒法は上記粒径、形状を満たす方法であれば特に限定されないが、噴霧造粒法が好ましい。前述しているように、粒子強度は造粒工程においてその制御が可能である。好ましい範囲の圧壊強度を得るためには、本発明の珪酸塩粒子を微細化した後に再粒子化することが好ましい。当該珪酸塩は、如何なる方法において微細化してもよい。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能であるが、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕とは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した粉砕方法をいう。例えばポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法が例示できる。造粒する前の粒径および1μm未満粒子の体積分率は、平均粒径が0.01〜5μm、かつ1μm未満の粒子分率が10%以上、好ましくは、平均粒子径が0.01〜3μm、かつ1μm未満の粒子分率が40%以上である。噴霧造粒の分散剤は通常、水を使用する。
造粒粒子の形状は球状であることが好ましい。球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液の珪酸塩の濃度は、スラリー粘度にもよるが、0.1〜50%、好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜20%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入り口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
本発明の特定な細孔径分布を有する珪酸塩を製造するためには、化学処理前に造粒を行うことが好ましい。
一般に、イオン交換性層状珪酸塩には吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して使用するのが好ましい。水の除去には通常加熱処理が用いられる。その方法は特に制限されないが、付着水、層間水が残存しないように、また構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが好ましい。
(iv)有機アルミニウム化合物による処理
本発明においては、イオン交換性層状珪酸塩に存在する水酸基や残存した水分による触媒活性点の被毒を防止するために、予備重合前、あるいは本重合前にイオン交換性層状珪酸塩を有機アルミニウム化合物(本明細書においては、当該珪酸塩の処理に用いるこのような有機アルミニウム化合物を有機AL(1)と呼ぶことがある)と接触処理させる場合がある。有機AL(1)としては、一般的には任意の構造を有する有機アルミニウム化合物を使用することが可能である。なお、ここで述べるイオン交換性層状珪酸塩は、これまで述べてきたような処理が施された(複数の処理を組み合わせる場合も含む)珪酸塩を使用することが好ましい。
特筆すべきことは、特定の構造を有する有機アルミニウム化合物で処理して得られる当該珪酸塩を使用することにより、活性の向上だけではなく、ポリマー粒子同士の凝集及び重合槽壁面や重合雰囲気下にある配管壁面への融着ポリマー量を、さらに低減することが可能となる点である。特定の構造とは、一般式(X)で表される有機アルミニウム化合物である。
AlRn3-n (X)
(Rは炭素数4〜12の炭化水素基、Yは水素、ハロゲン、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、nは0より大きく3以下の数を示す。)
好ましい化合物の具体例としてはトリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルペンチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルヘプチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、トリノルマルドデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジノルマルオクチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジノルマルオクチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジノルマルオクチルアルミニウムエトキシド等が挙げられる。
またnが異なる有機アルミニウム化合物を併用することもでき、例えば、次の一般式で表せる割合の有機有機アルミニウム化合物の混合物を使用することができる。
(Oct)2.5(Et)0.5AL
ここで、Oct=C817、Et=C25を表す。
これらのうち好ましくはn=3のトリアルキルアルミニウム及びジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、炭素数4〜12のトリアルキルアルミニウムである。具体的にはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムが例示できる。
上記効果が達成できる理由は明らかではないが、例えば、従来使用していたトリエチルアルミニウムに比べてアルキル鎖が長く、嵩高い置換基を有するトリノルマルオクチルアルミニウム(TnOA)のような有機アルミニウム化合物で処理すると、担体を構成する一次粒子同士の凝集力が低下し、担体強度が弱まるために、均一な成長が可能となる、ことが考えられる。この結果、単位体積あたりの重合熱と除熱の量バランスが釣り合い、ポリマー同士の融着による凝集及び溶融ポリマーの重合槽壁面への付着が改良されると推測される。また、粒子同士の凝集が緩和され、ポリマーの嵩密度も改善される結果、生産性の増大も図ることができる。
イオン交換性層状珪酸塩と有機AL(1)の接触は窒素等の不活性ガス雰囲気下でヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素の単独又は混合溶媒中で行なうことができる。
有機AL(1)の使用量は、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩1gあたり、0.01〜1000mmol、さらに好ましくは0.1〜100mmolである。
溶媒中におけるイオン交換性層状珪酸塩の濃度は好ましくは0.001〜100g/ml、さらに好ましくは0.01〜10g/ml、有機AL(1)の濃度は好ましくは0.001〜100mmol/ml、さらに好ましくは0.01〜10mmolである。
接触順序は、イオン交換性層状珪酸塩を溶媒に分散させてから有機AL(1)を接触させてもよい。又は、有機AL(1)を溶媒に添加した後、イオン交換性層状珪酸塩を分散させてもよい。
接触は一般に、温度が−50℃〜溶媒沸点の間で行い、特には0℃〜溶媒沸点の間で行うのが好ましい。接触時間は1分〜48時間、好ましくは1分〜24時間程度である。
なお、有機AL(1)とイオン交換性層状珪酸塩の接触の順番は、本発明の目的が達成される限り限定されないが、該珪酸塩の化学処理後、好ましくは化学処理に引き続いておこなう乾燥後に行うことがより効果的である。
また、有機AL(1)とイオン交換性層状珪酸塩の接触処理工程と、イオン交換性層状珪酸塩の造粒工程との先後関係は、本発明の目的が達成される限り限定されるものではないが、上記造粒工程後に有機AL(1)による接触処理工程を行うことが好ましい。
また、本発明では、上述した各手法」を組み合わせることによって、本発明の効果を一層顕著なものにすることができる。例えば、イオン交換性層状珪酸塩を造粒して粒径分布及び担体粒子強度を制御した後に、下記に示す[工程1]及び[工程2]を実施して得られた担体は優れた性能を有する。
[工程1]:当該イオン交換性層状珪酸塩の造粒をおこなった後に、下式(I)を満たす酸濃度(N)の酸で処理を行う。
N≧6.0 (式I)
[ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:リットル)を示す。]
[工程2]:[工程1]の後に、有機AL(1)で処理を行う。
なお、上述の(成分B)の中で、特に好ましいものは、(b−3)のイオン交換性層状珪酸塩である。また、本発明では、(b−1)のアルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体、(b−2)の(成分A)と反応して(成分A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体及び(b−3)のイオン交換性層状珪酸塩は、それぞれ単独に(成分B)として使用できる他、これら(b−1)から(b−3)を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明においては、上記(成分A)および(成分B)の他に、(成分C)として有機アルミニウム化合物を使用することができる。本発明で(成分C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式AlR7 p3-pで示される化合物が適当である。
本発明ではこの式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R7は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは0より大きくかつ3までの数である。R7としてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
したがって、好ましい化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、p=3のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R7が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
[触媒の形成・予備重合]
本発明による触媒は、上記の各成分を予備重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。
本願発明で開示するような、均一に予備重合された予備重合触媒を得るための好ましい一つの方法として、予備重合時に、以下に示すような特定の工程を経る手法が挙げられる。予備重合系におけるオレフィンの供給方法は触媒性能に重要な影響を与える。すなわち好ましい予備重合方法は
(a)当該イオン交換性層状珪酸塩の細孔容積に相当する量の予備重合ポリマーが生成するまでの間、
(b)当該イオン交換性層状珪酸塩1gあたりのポリマー生成速度を10mg/分以下に保持する。
本発明の触媒は、上述した(成分A)および(成分B)を組み合わせて得られる。(成分A)はメタロセン化合物、及び(成分B)は微粒子状担体である。かかる本発明の触媒を使用してオレフィンの重合を行う場合、ポリマー粒子の成長に伴い担体粒子が崩壊していく過程をとる。ポリマー粒子の成長速度と担体の崩壊速度がバランスしていないと、粒子の崩壊や微粉の発生が起こる。このことから、不均一な粒子成長を抑えるためには担体強度に見合った予備重合を進める必要がある。特に、イオン交換性層状珪酸塩が微粒子状担体として使用された場合、イオン交換性層状珪酸塩は劈開性を有するため、ポリマー粒子の成長速度と担体の崩壊速度がバランスすることが触媒性能に大きな影響を有する。これは本発明者らによって見出された重要なる知見である。
予備重合におけるポリマー生成速度は、オレフィン濃度、(成分A)の濃度、有機AL濃度、触媒成分のスラリー濃度、予備重合温度、予備重合圧力等で反応を制御することが可能である。具体的には、重合系へのオレフィン供給速度、オレフィン分圧などを制御することが簡便である。
オレフィンは予備重合系内において、液体又は気体のどちらの状態であっても良い。オレフィンは予備重合前に特定量を予め反応器に導入しておいたり、逐次的にフィードしてもよいが、逐次的または連続的にフィードする方が好ましい。特に、逐次的または連続的にフィードする場合、オレフィンの1時間あたりのフィード速度は、通常、(成分B)の1gあたり、0.001〜100gであり、好ましくは0.01〜20gである。さらに詳しくは、予備重合中にオレフィンのフィードを断続的に停止してもよく、フィード速度を経時的に変化させてもよい。また、その際に、分子量調整のために必要に応じて水素を共存使用することも可能である。また反応を制御するために窒素等の不活性ガスを共存させたり、途中でパージにより圧力を低下させたり、不活性溶媒で希釈したり、予備重合温度を変化させることでもポリマー生成速度を調整することが可能である。
不活性溶媒中でスラリー重合法により予備重合を行う場合、(成分A)の濃度は、通常0.001〜100μmol/ml、好ましくは0.01〜10μmol/mlである。同様に(成分B)の濃度は、通常0.001〜100g/ml、好ましくは0.005〜10g/mlである。また、有機AL(2)の濃度は通常0.01〜1000μmol/ml、好ましくは0.1〜100μmol/mlである。
前記触媒成分とオレフィンとの接触による予備重合は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度範囲で行われる。特にオレフィン濃度が高い場合には、反応を制御するためには温度は低い方がより好ましい。温度は一定でもよいが、経時的に変更することができる。特に予備重合初期において、重合速度が大きくなりすぎないように、やや低めの温度で予備重合を開始し、その後昇温することが好ましい。
また、オレフィンの種類によってポリマー生成速度を制御することも可能である。本発明においては、特に予備重合の初期において、ポリマー生成速度を適正値に保持するためには、上記記載の予備重合条件を適宜に選択することとなるが、複数の条件を2以上組み合わせることで制御がさらに容易となる。
(成分B)の細孔容積は前記の通り、使用する微粒子状担体(成分B)の種類や処理方法により左右されるが、通常1gあたりに0.2〜2.0cm3/g程度のものが使用される。従って、(成分B)の使用量及び細孔容積を考慮しながら、予備重合ポリマーの生成速度及び生成量を制御することが肝要である。
本発明の触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が(成分B)に対し、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは3〜10である。である。また、予備重合時に(成分C)を添加、又は追加することもできる。
<重合>
重合しうるα−オレフィンとしては炭素数2〜20程度のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、前記α−オレフィンとして挙げられるもののなかから、主成分となるもの以外のα−オレフィンを選択して用いることができる。コノモマーの量は、所望する物性(融点、分子量、剛性等)のポリマーを製造するために任意の条件で実施可能であるが、特に低融点ポリマーの製造に際して、より効果的に使用することができる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、溶液重合法、不活性溶媒を実質的に用いないプロピレンを溶媒として用いるバルク法、あるいは実質的に液体溶媒を用いずに各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合に適用される。スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0〜200℃であり、また分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜2000kg/cm2Gの範囲で実施可能である。
本発明は、ポリオレフィンのうちでも、特にランダム共重合体の製造に適する。その融点が135℃以下の共重合体、特に125℃以下の共重合体を製造する場合が好ましい。なお、融点が135℃以下のエチレン−プロピレン共重合体を製造する際は、反応槽の壁面付着の改善などの効果が明確に発現するバルク重合法又は気相重合法を採用することが望ましい。
主構成単位となるオレフィンと従たる構成単位となるコモノマーの比率は、目的に応じて適宜選択し得るが、一般に、従たる構成単位となるコモノマー/主構成単位となるオレフィン比が0.01〜50mol%、好ましくは0.1〜20mol%の範囲とされる。エチレン・プロピレンランダム共重合体の場合は、エチレン/プロピレン比が0.01〜50mol%、好ましくは0.1〜20mol%の範囲が望ましい。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
以下の実施例及び比較例において、物性の評価は次のようにして行った。
(1)イオン交換性層状珪酸塩の組成分析
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線にて定量した。
(2)細孔測定
窒素吸脱着法による細孔径分布測定条件は以下の通りである。
・装置:オートソーブ3(カンタークロム社製)
・測定手法:ガス吸着法
・測定条件:
・前処理条件:200℃,2時間 真空中(10−2トール以下)
・試料量:約0.2g
・ガス種:窒素
・ガス液化温度:77K
(3)イオン交換性層状ケイ酸塩の粒径測定
レーザーミクロンナイザー(セイシン企業社製「LMS−24」)を使用した。測定はエタノールを分散媒として用い、屈折率1.33、形状係数1.0として粒径分布および平均粒径(メジアン径)を算出した。
(4)MFR測定
ポリプロピレン系重合体はJIS−K−6758により、またポリエチレン系重合体はJIS−K−6760により測定したメルトインデックス値を示す。
(5)ポリマーBD
ASTM D1895−69に準拠した、ポリマーの嵩密度を示す。
(6) ポリマー凝集量
目開き1690μmの篩を使用して、10分間振動させた篩上のポリマー重量%を測定した。
(7)予備重合触媒の嵩密度の評価
嵩密度は、5mmφ流出孔径を有するステンレス製ロートから固体触媒成分を10ccの容器に流したときの重量を測定し、1ccあたりの重量で表示した。
(8)予備重合触媒の流れ性の評価
流れ性は、5mmφ、6.5mmφ、8mmφ、12mmφ、20mmφの種々の流出孔径を有する円錐角30°のステンレス製ロートに、14ccの固体触媒成分の粉体を導入して測定した。数字は流出のおこる最小孔径にて表示した。
(9)平均圧壊強度の測定
島津製作所(株)製 圧壊試験器「MCTM−500」を用いて、任意に選んだ10個以上の粒子の圧壊強度を測定し、その平均値を無機担体として算出した。
(10)予備重合均一化指数(H値)の評価
<蛍光顕微鏡>
Nikon社製光学顕微鏡OPTIPHOTに落射蛍光装置EDF2(100W 水銀ランプ)を組み込んだものを以下、蛍光顕微鏡と称する。この蛍光顕微鏡に付属している標準のUV励起法(UV−2Aフィルタを使用;330−380nmのUV励起となる)により蛍光観察を行った。
<検鏡試料調製>
観察対象試料は、Nikon社製 蛍光観察用イマージョンオイルTYPE DFを使用して、市販のスライドグラスとカバーグラスに挟み,これを検鏡試料とした。
<検鏡>
上記検鏡試料を通常の透過光観察によって観察対象粒子が適度に存在する部分を確認し,以下の方法で像を記録した。その後,同一視野を蛍光観察し、同一方法で像を記録した。
<観察像撮影装置>
KEYENCE社製デジタルマイクロスコープVH−7000にNikon社製「TV Lens C−0.6X」を介して上記蛍光顕微鏡の三眼鏡筒に接続して、観察像(150倍〜300倍程度)を記録した。VH−7000のCCDの条件設定は、ゲイン:0dB(固定)、シャッター速度:1/15(固定)、ホワイトバランス:1PUSH設定 とした。また、画質改善機能の設定は、オフセット:−5、ゲイン補正:+10、ガンマ補正:+5とした。
写真出力は、KEYENCE社製デジタルカラープリンタVH−P40を使用し、VH−7000側の印刷設定でブライトネス:+20、コントラスト:+20に設定した。VH−7000およびVH−P40における使用条件は上記以外は初期設定のまま使用した。
(11)融点(Tm)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として求めた。
〈実施例1〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
3リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコを使用し、蒸留水1130ミリリットル、続いて濃硫酸(96%)750gをゆっくりと添加し、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径25μm,粒度分布10〜60μm,組成(重量%):Al8.45、Mg2.14、Fe2.34、Si32.8、Na2.62)を300g分散させ、90℃まで1時間かけ昇温し、5.5時間その温度を維持した後、1時間で50℃まで冷却した。このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。さらに、このケーキを蒸留水で最終洗浄液のpHが3.5を越えるまで洗浄し、窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。
窒素吸着法による最頻細孔直径(Dm)は、101Å、最頻細孔径のピーク強度の1/2を示す細孔直径との比(Dm1/2/Dm)は0.76、最大強度に対する細孔径50Åの最大強度(DV50Å/DVM)は0.26であった。第2ピークの強度は30%程度であった。(細孔分布を図1に示す)。1000Å未満の細孔容積が0.42cm3/g、BET法による表面積は、225m2/gであった。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は13MPaであった。
この化学処理したモンモリロナイトの組成(重量%)は、Alが4.80、Mgが0.70、Feが1.20、Siが41.2、Naが検出限界(0.2)未満含まれていた。各成分の溶出率は、Alが55%、Mgが74%、Feが59%、Naが93%以上であった。各成分のSiに対するモル比は、それぞれ0.121、0.0196、0.0146、0.0059未満であった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
先に化学処理したモンモリロナイトを減圧下、200℃で、2時間乾燥を実施した。
内容積1リットルの攪拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥モンモリロナイト20gを導入し、トルエンを3%含むヘプタン(以下、混合ヘプタンと略称する)、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.596M)84mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄(洗浄率<1/100)し、珪酸塩スラリーを200mlに調製した。
次に、あらかじめ(r)−ジメチルシリレンビス{1−[2―メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリドを218mg(0.3mmol)に混合ヘプタンを87ml添加し、充分撹拌した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.706M)を4.25ml加え、室温にて1時間反応させた。その後、先に調製した珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
続いて、窒素で十分置換を行った内容積1.0リットルの攪拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、50℃に昇温後、さらに2時間維持した。サイホンにて予備重合触媒スラリーを回収し、上澄みを約300ml除き、45℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが1.9gを含む予備重合触媒が得られた。
予備重合前触媒粒子と予備重合後触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は25%であった。
[プロピレン−エチレンランダム重合]
内容積3リットルの撹拌式オ−トクレ−ブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン30g、水素100cc、続いて液体プロピレン1500mlを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。先に実施した予備重合触媒をノルマルヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)10mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持した。0.5時間後、エタノール5mlを加え、残ガスをパージして得られたポリマ−を90℃で10時間乾燥した。その結果、175gのポリマ−が得られた。触媒活性は、35600g−PP/g−触媒・時であった。ポリマーBDは0.45(g/cc)、MFRは8.5(dg/分)、融点は126.8℃であった。得られたパウダーの凝集ポリマー量を測定したところ0.8%であった。
結果を表1、表2に示す。表1はイオン交換性層状ケイ酸塩及び触媒の物性を、表2は重合結果を示す。
〈実施例2〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
10Lのセパラブルフラスコ中で蒸留水4.5kgに96%硫酸(3.0kg)を加え、その後、イオン交換性層状珪酸塩(モンモリロナイト)である水沢化学社製ベンクレイSL(平均粒径25μm、1.2kg)を90℃で加え、温度を維持したまま5時間反応させた。反応終了後、冷却し、純水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後70μm以上の粗大粒子を除去した。さらに200℃の窒素気流下で乾燥することにより、化学処理スメクタイト0.80kgを得た。この化学処理スメクタイトの組成はAl:4.0wt%、Si:38.8wt%、Mg:0.60wt%、Fe:1.3wt%、Na<0.2wt%であり、Al/Si=0.107[mol/mol]であった。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は11MPaであった。
窒素吸着法による最頻細孔直径(Dm)は、101Å、最頻細孔径のピーク強度の1/2を示す細孔直径との比(Dm1/2/Dm)は、0.82、最頻細孔径のピーク強度の1/3を示す細孔直径との比(Dm1/3/Dm)は0.71、最大強度に対する細孔径50Åの最大強度(DV50Å/DVM)は0.26であった。また、第2ピークの強度は20%であった(細孔径分布を図2に示す)。1000Å未満の細孔容積が0.44cm3/g、BET法による表面積は、221m2/gであった。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は11MPaであった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
[触媒の調製]
内容積13リットルの攪拌機のついた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと3%トルエンを含むヘプタン(以下、混合ヘプタン)0.74Lの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.40M)1.26Lを加え、内温を25℃に維持した。1時間の反応後、混合ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0Lに調製した。
並行して、(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム2.17g(3.00mmol)に混合ヘプタンを0.80L加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を21.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5.0Lに調製した。
続いて、内温を40℃まで昇温し安定したところで、プロピレンを67g/時間の速度で供給し、温度を維持した。6時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒を混合ヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。その結果、触媒1g当たりポリプロピレンが2.12gを含む予備重合触媒が得られた。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は12%であった。
[プロピレン−エチレンランダム重合]
先に合成した予備重合触媒を使用すること以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、52100g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.475(g/cc)、MFRは8.1(dg/分)、融点は125.7℃、凝集ポリマー量は2.5%であった。
〈実施例3〉
[プロピレン−エチレンランダム重合]
実施例2で合成した予備重合触媒を使用し、重合温度を65℃、エチレンを35g使用する以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、48500g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.483(g/cc)、MFRは1.6(dg/分)、融点は121.7℃、凝集ポリマー量は0.9%であった。
〈実施例4〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
セパラブルフラスコ中で蒸留水1130gに96%硫酸(750g)を加えてその後、イオン交換性層状珪酸塩(モンモリロナイト)である水沢化学社製ベンクレイSL(平均粒径27μm、300g)を加え90℃で390分反応させた。その後蒸留水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去しさらに200℃の窒素気流下で乾燥することにより、化学処理スメクタイト140gを得た。この化学処理スメクタイトの組成はAl:4.6wt%、Si:41.5wt%、Mg:0.60wt%、Fe:0.9wt%、Na<0.2wt%であり、Al/Si=0.115[mol/mol]であった。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は8MPaであった。
窒素吸着法による最頻細孔直径(Dm)は、101Å、最頻細孔径のピーク強度の1/2を示す細孔直径との比(Dm1/2/Dm)は、0.83であった。1000Å未満の細孔容積が0.43cm3/gであった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
容積1Lの3つ口フラスコ内を乾燥窒素で置換し、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、更にヘプタン116mLを加えてスラリーとし、これにトリノルマルオクチルアルミニウム25mmolを加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(洗浄率:1/100)し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン3%含有ヘプタンに(ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(p−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド(218mg;0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(3mmol:濃度145mg/mLのヘプタン溶液を4.26mL)を加えて、60分間室温で攪拌し反応させた。
この溶液を、上記のトリノルマルオクチルアルミニウムと反応させた化学処理スメクタイトのスラリーが入った1Lフラスコに入れ1時間撹拌した。
上記予備重合前触媒スラリーが入ったフラスコにトルエン3%含有ヘプタン213mLを追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブにプロピレンを10g/時の速度で4時間フィードし40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、5分間で内部温度50℃まで昇温しさらに2時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、残った部分に失活防止剤としてトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分間攪拌した。この固体を40℃で3時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒68.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.42であった。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は28%であった。
[プロピレン−エチレンランダム重合]
先に合成した予備重合触媒を使用した以外は実施例1と同様に重合をおこなった。その結果、触媒活性は、40500g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.484(g/cc)、MFRは6.1(dg/分)、融点は125.9℃、凝集ポリマー量は1.2%であった。
〈実施例5〉
[プロピレン−エチレンランダム重合]
実施例2で合成した予備重合触媒を使用し、エチレン15g、水素34ccを使用する以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、22000g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.483(g/cc)、MFRは6.8(dg/分)、融点は136.7℃、凝集ポリマーは見あたらなかった。
〈実施例6〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
セパラブルフラスコ中で蒸留水1130gに96%硫酸(750g)を加えてその後、イオン交換性層状珪酸塩(モンモリロナイト)である水沢化学社製ベンクレイSL(平均粒径27μm、300g)を加え90℃で390分反応させた。その後蒸留水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去しさらに200℃の窒素気流下で乾燥することにより、化学処理スメクタイト140gを得た。この化学処理スメクタイトの組成はAl:4.6wt%、Si:41.5wt%、Mg:0.60wt%、Fe:0.9wt%、Na<0.2wt%であり、Al/Si=0.115[mol/mol]であった。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は8MPaであった。窒素吸着法による最頻細孔直径(Dm)は、101Å、最頻細孔径のピーク強度の1/2を示す細孔直径との比(Dm1/2/Dm)は、0.83であった。1000Å未満の細孔容積が0.43cm3/gであった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
容積1Lの3つ口フラスコ内を乾燥窒素で置換し、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、更にヘプタン116mLを加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム25mmol(濃度68mg/mLのヘプタン溶液として84mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(洗浄率:1/100)し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン3%含有ヘプタンに(ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(p−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド(218mg;0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(3mmol:濃度145mg/mLのヘプタン溶液を4.26mL)を加えて、60分間室温で攪拌し反応させた。
この溶液を、上記のトリエチルアルミと反応させた化学処理スメクタイトのスラリーが入った1Lフラスコに入れ1時間撹拌した。
上記スラリーが入ったフラスコにトルエン3%含有ヘプタン213mLを追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブにプロピレンを40℃で10g/時の速度で1時間フィードし、その後22g/時の速度で3時間50℃でフィードし予備重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、残った部分に失活防止剤としてトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分間攪拌した。この固体を40℃で3時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒106gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は4.30であった。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は24%であった。
[プロピレン−エチレンランダム重合]
先に合成した予備重合触媒を使用し、エチレン15g、水素34cc使用すること以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、11600g−PP/g−触媒・時、MFRは5.9(dg/分)、得られたパウダーの融点は136.2℃、嵩密度は0.481g/ccであり良好なパウダー性状であった。
〈実施例7〉
[プロピレン−エチレンランダム重合]
実施例4で合成した予備重合触媒を使用し、エチレン15g、水素34ccを使用する以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、12300g−PP/g−触媒・時、MFRは5.3(dg/分)、ポリマーBDは0.477(g/cc)、融点は136.0℃であり良好なパウダー性状であった。
〈比較例1〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
蒸留水1590ミリリットル、硫酸マグネシウム7水和物318g、濃硫酸(96%)261g、モンモリロナイトを240g使用し、処理(維持)時間を8時間とする以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果、窒素吸着法による最頻細孔直径(Dm)は、37Å、最頻細孔径のピーク強度の1/2を示す細孔直径との比(Dm1/2/Dm)は、0.97であった(細孔径分布を図3に示す)。1000Å未満の細孔容積が0.43cm3/g、BET法による表面積は、326m2/gであった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
先に化学処理した珪酸塩を使用する以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒1g当たりポリプロピレンが1.71gを含む予備重合触媒が得られた。
予備重合前触媒粒子と予備重合後触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は91%であった。
[プロピレン/エチレンランダム重合]
重合は、先に合成した予備重合触媒を使用すること以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、25300g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.32(g/cc)、MFRは9.3(dg/分)、融点は125.9℃、凝集ポリマー量は85%であった。結果を表1、表2に示す。
〈比較例2〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
90℃で5時間反応させた以外は比較例1と同様に実施した。200℃の窒素気流下で乾燥後、化学処理ケイ酸塩164gを得た。このケイ酸塩の組成はAl:6.74wt%、Si:37.0wt%、Mg:1.49wt%、Fe:1.78wt%、Na<0.2wt%であり、Al/Si=0.190[mol/mol]であった。この担体の平均圧壊強度は17MPaであった。
[触媒/予備重合触媒の調製]
上記の化学処理スメクタイト20g、トリエチルアルミニウム10mmol使用した以外は、実施例7と同様の予備重合前触媒スラリーを調製した。
また、別途ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド(0.3mmol)のトルエン87mL溶液にトリイソブチルアルミニウム(3mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を4.26mL)を加えて反応させた溶液を、上記スラリーに加えた。
上記予備重合前触媒スラリーを1Lオートクレーブに導入し、さらにヘプタンを210mL追加したのち40℃でプロピレンを20g/hの速度で2時間フィードし、予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めてさらに2時間40℃で残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みを除去した後、失活防止剤としてトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を3時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒31.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.57であった。
上記予備重合前触媒粒子と予備重合後触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は94%であった。
[プロピレン−エチレンランダム重合]
上記予備重合後触媒を使用した以外は実施例6と同様にプロピレンの重合をおこなった。得られたパウダーの融点は134.9℃、嵩密度は0.376g/ccでありパウダー性状は不良であった。
<比較例3>
[触媒/予備重合触媒の調製]
実施例6と同様に予備重合前触媒を合成した。
オートクレーブにプロピレンを40℃で10g/時の速度で1時間フィードした。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、残った部分に失活防止剤としてトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分間攪拌した。この固体を40℃で3時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒29.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.49であった。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は100%であった。
[プロピレン−エチレンランダム共重合]
先に合成した予備重合触媒を使用し、実施例1と同様に実施した。得られたパウダーの融点は127.2℃、嵩密度は0.359g/ccでありほとんどが凝集しているパウダーであった。
〈比較例4〉
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
硫酸マグネシウム・7水和物133g、硫酸109gを溶解させた純水385ミリリットル中に、ジェットミル粉砕した市販のモンモリロナイト(クニミネ工業社製、クニピアF)100gを分散させ、100℃で2時間反応後、室温まで冷却した。このスラリーを直径18センチメートルのヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、減圧ろ過を実施した。ろ過は1時間で終了した。ケーキを回収し、純水を3000ミリリットル加え再スラリー化、洗浄を3回繰り返した。ろ過時間は、洗浄回数を重ねる毎に増大し、最終のろ過は約3時間かかった。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、3.47であった。
[イオン交換性層状珪酸塩の造粒]
前記化学処理および洗浄したケーキ固体を12wt%になるように純水を加え、スラリー調製を実施し、1時間攪拌後、ホモジナイザー処理を10分間実施した。一部スラリーを採取し粒径を測定したところ、5.1μmであった。1μm未満の粒子分率は0.1%未満であった。
得られた化学処理されたモンモリロナイトスラリーを、大川原化工機社製、噴霧造粒装置(L−8)を用いて噴霧造粒を実施した。スラリー物性および運転条件は、以下の通りである。
<スラリー物性:pH=2.84、スラリー粘度=30CP、密度=1.081g/cc;運転条件:アトマイザー回転数15000rpm、給液量=0.7L/h、入り口温度=196℃、出口温度=130℃、サイクロン差圧=60mmH2O>
その結果、60gの造粒体を回収した。嵩密度(BD)は0.46g/cc、平均粒径は、47.0μm、球状粒子を任意に10個選んで平均圧壊強度を測定したところ1.2MPaであった。また、細孔容積は0.48cm3/gであった。
[触媒の調製]
上記で得た造粒珪酸塩20.0g(全細孔容積は9.6cm3)を使用し、プロピレンのフィード速度476.2mmol/hr(20g/時の一定速度)で120分間フィードする以外は実施例5と同様に実施した。その結果、固体触媒成分を54.68g回収した。得られた固体触媒成分を分析したところ、予備重合したポリプロピレン重量は32.3gであった。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は28%であった。
一方、上記の予備重合処理と同一条件で予備重合を開始し、表6に示す各時点で予備重合反応を中断(エタノールを加え、未反応の残存ガスをパージ)して、当該時点までに生成したポリプロピレン重量を求め、当該時点での重合速度を算出した。結果を表6に示す。
表6から、プロピレンフィード開始後20〜30分の間において、珪酸塩1g当たりのポリプロピレンの生成速度は10〜17mg/分に達し、その後も6〜11mg/分の高いレベルに維持されていたことが分かる。
使用した珪酸塩の全細孔容積は9.6cm3であるからポリプロピレン重量として10.7gに相当する。珪酸塩の全細孔容積に相当する量の予備重合ポリマー(10.7gのポリプロピレン)が生成する所要時間は約50分であることが分かる。
[プロピレン−エチレンランダム共重合]
上記の予備重合触媒を使用する以外は実施例1と同様に実施した。その結果、得られたプロピレン−エチレン共重合体は55.0gであった。触媒活性は、11000g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.365(g/cc)、MFRは3.41(dg/分)、エチレン含量は3.86wt%、融点は125.9℃であった。結果を表1、表2にまとめた。
〈比較例5〉
[触媒の調製]
予備重合温度を60℃とする以外は、比較例2と同様に実施した。その結果、予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)が2.07の触媒が得られた。
予備重合前の触媒粒子と予備重合後の触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、H値は89%であった。
[プロピレン−エチレンランダム共重合]
上記の予備重合触媒を使用する以外は実施例1と同様に実施した。その結果、触媒活性は、36000g−PP/g−触媒・時、ポリマーBDは0.33(g/cc)、MFRは8.2(dg/分)、融点は127.0℃であった。
実施例9
(1)粘土鉱物の化学処理
2Lフラスコに脱塩水1019g、98%硫酸124g、硫酸チタン96gの混合溶液中に、市販の膨潤性モンモリロナイト(「ベンクレイSL」、水澤化学社製)200gを分散させ、90℃で10時間撹拌した。これを脱塩水にてpH3.5まで濾過・洗浄した。
(2)粘土鉱物の乾燥
上記(1)で得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備的に乾燥してチタニウム塩処理モンモリロナイトを得た。この予備乾燥モンモリロナイトのうち、目開き150メッシュの篩を通過した粒子を更に、200℃で2時間減圧乾燥した。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は14MPaであった。
(3)塩処理モンモリロナイトの有機アルミニウム化合物処理
窒素雰囲気下、3Lフラスコに(2)で得た乾燥モンモリロナイト粒子100gを入れ、n−ヘプタン118mlに分散させた。ここへ、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)483mlを添加して1時間反応させた後、沈降分離して上澄み液400mlを抜き出した。次いでn−ヘプタン400mlを加えて10分間撹拌後、沈降分離して、上澄み液400ml抜き出す洗浄工程を3回繰り返した。
(4)触媒調製
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン1.3L、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド12.0mmol(5.90g)をn−ヘプタン2.0Lに分散して添加し、75℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に温度を保持したまま、上記(3)で得られた有機アルミニウム化合物処理モンモリロナイト100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入して10分間攪拌を継続した。
(5)予備重合および乾燥
上記(4)から引き続き系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で75分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。得られた予備重合触媒スラリーを洗浄率の積が1/8.6になるまでn−ヘプタンで洗浄した。この予備重合触媒スラリーを伝導受熱のためのスチームジャケットを装備した15L槽型振動式減圧乾燥機に移送し、次いでヘプタン4Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。静置して上澄み液約5Lを除去した後、室温にてトリイソブチルアルミニウム56mmol(11.11g)を添加してからビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの固体粉末を11.2mmol(5.50g)添加し、40℃で10分間振動溶解させた。10分振動を続けた後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を留去した。温度を保持したまま、目視にて溶媒がほぼ留去されたことを確認してから2時間減圧乾燥を行い、この結果、予備重合触媒粉末1016gを回収した。
(6)予備重合および乾燥
上記(5)で得られた予備重合触媒粉末のうち900gを窒素雰囲気下、再度上記(4)の反応器に導入し、n−ヘプタン4.2Lで再スラリー化した。内温を75℃とした後、トリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で75分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。得られた予備重合触媒スラリーを上記(5)で使用した乾燥機に移送し、次いでヘプタン4Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。静置して上澄み液約5Lを除去した後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を留去した。温度を保持したまま、目視にて溶媒がほぼ留去されたことを確認してから2時間減圧乾燥を行い、この結果、予備重合触媒粉末1851gを回収した。
(7)触媒の蛍光顕微鏡観察
上記(4)の予備重合前触媒粒子と上記(6)の予備重合後触媒粒子を蛍光観察した写真を比較したところ、予備重合後触媒のうち蛍光密度が予備重合前粒子の蛍光密度以上である粒子の個数の割合(H値)は3%であった。
(8)エチレン−1−ブテン共重合
上記(6)の予備重合触媒を使用してエチレンと1−ブテンの気相共重合を行った。即ちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=1.8%、水素/エチレン=0.038%)が循環する連続式気相重合反応器に(6)で得られた予備重合触媒粉末を517mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、68mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は90℃、エチレン分圧18kg/cm2、重合体の平均生産量、292g/hr、平均滞留時間4.1時間であった。
(9)添加剤配合
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体に添加剤として、以下の酸化防止剤、及び、中和剤を配合し、これを口径20mmの単軸押出機を用いて、混練・造粒した。
酸化防止剤:オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバスペシャリティーケミカルズ製 イルガノックス1076) 1000ppm:テトラキス−(2,4−ジ−ブチルフェニル)4,4−ビフェニレン−ジフォスファイト (クラリアント製 PEPQ) 700ppm
中和剤:カルシウムステアレート(日東化成工業製Ca−St(B.K)) 300ppm
(10)フィルム成形と評価
口径30mmの単軸押出機を用いて、以下の運転条件においてインフレーション成形を行った。
スクリュ:口径30mm、L/D=25、フルフライトタイプ
スクリュ回転数:約27rpm
ダイ:スパイラルマンドレルダイ、口径25mm、Lip幅2.0mm
樹脂温度:180℃
フィルムサイズ:折り径78mm、厚み20μm
得られたフィルムを目視にて観察し、長径0.1mm以上の大きさのフィッシュアイの、フィルム1g当たりの個数を求めたところ、7.8個/gであった。結果を表4,表5に纏めた。
比較例6
実施例9及び5で得られた予備重合触媒粉末を使用して、実施例7〜10と同様にして、触媒の蛍光顕微鏡観察、エチレン−1−ブテン共重合、添加剤配合、フィルム成形と評価を行った。結果を表3、表4に纏めた。
実施例10
(1)粘土鉱物の酸処理
市販の膨潤性モンモリロナイト(「ベンクレイSL」、水澤化学社製)200gを25%硫酸800gの中に分散させ、90℃で2時間撹拌した。これを脱塩水にて濾過・洗浄した。
(2)粘土鉱物の塩処理および乾燥
市販の硫酸チタニル水溶液(堺化学工業(株)製、TiO2として7.5%含有、SO4として25.6%含有)1276gの中に上記(1)で得られた硫酸処理モンモリロナイトのケーキを全量分散させ、30℃で3時間撹拌した。これを脱塩水にてpH3.5まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備的に乾燥してチタニウム塩処理モンモリロナイトを得た。この予備乾燥モンモリロナイトのうち、目開き150メッシュの篩を通過した粒子を更に、200℃で2時間減圧乾燥した。この担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度は18MPaであった。
(3)触媒調製
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.41L、(2)で得られた乾燥モンモリロナイト100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入した。系内の温度を30℃として、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド24.0mmol(11.8g)をn−ヘプタン0.9Lに分散して添加した後、直ぐにトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して系内温度を40℃に上げた。更に60分間攪拌を続けた後、30℃に冷却して洗浄率1/69までn−ヘプタンにて洗浄を行った。
(4)予備重合
上記(3)で得られた触媒スラリーにn−ヘプタンを追加して液量4.21Lとした後、30℃でトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して直ぐに温度を75℃とし、更に10分間攪拌を続けた。次に系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で80分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。
(5)予備重合触媒の乾燥
上記(4)で得られた予備重合触媒スラリー全量を窒素雰囲気下において、実施例9(5)で使用した乾燥機に抜き出した。ヘプタン4Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。乾燥機に移送した予備重合触媒スラリーを静置して上澄み液約5Lを除去した後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を留去した。温度を保持したまま、目視にて溶媒がほぼ留去されたことを確認してから2時間減圧乾燥を行い、この結果、予備重合触媒粉末982gを回収した。
(6)エチレン−1−ヘキセン共重合
上記(5)の予備重合触媒を使用してエチレンと1−ヘキセンの気相共重合を行った。即ちエチレンとヘキセンと水素の混合ガス(ヘキセン/エチレン=1.2%、水素/エチレン=0.036%)が循環する連続式気相重合反応器に(6)で得られた予備重合触媒粉末を366mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、68mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は90℃、エチレン分圧18kg/cm2、重合体の平均生産量、265g/hr、平均滞留時間4.5時間であった。
(7)評価
実施例9(7)(9)(10)と同様にして、触媒の蛍光顕微鏡観察、添加剤配合、フィルム成形と評価を行った。結果を表4,表5に纏めた。
比較例7
(1)触媒調製
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン2.41L、実施例12(2)で得られた乾燥モンモリロナイト100gとn−ヘプタン0.90Lのスラリー分散液を反応器へ導入した。系内の温度を30℃として、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド24.0mmol(11.8g)をn−ヘプタン0.9Lに分散して添加した後、直ぐにトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して系内温度を75℃に上げ、更に10分間攪拌を続けた。
(2)予備重合
引き続き(1)で、系の温度を80℃とした後、エチレンガスを10.0NL/分の速度で80分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内のエチレンガスを窒素で置換した。系内の温度を30℃に冷却して洗浄率1/69までn−ヘプタンにて洗浄を行った。実施例12(5)と同様にして予備重合触媒の乾燥を行い、予備重合触媒粉末783gを回収した。
(3)評価
実施例10(6)および実施例9(7)(9)(10)と同様にして、エチレン−1−ヘキセン共重合、触媒の蛍光顕微鏡観察、添加剤配合、フィルム成形と評価を行った。結果を表3、表4に纏めた。
Figure 2006312748
Figure 2006312748
Figure 2006312748
Figure 2006312748
実施例1で用いたイオン交換性層状珪酸塩の細孔分布曲線を示す。 実施例1で用いたイオン交換性層状珪酸塩の細孔分布曲線を示す。 実施例7で用いたイオン交換性層状珪酸塩の細孔分布曲線を示す。

Claims (7)

  1. 以下の特性(a)〜(c)を満足することを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    (a)微粒子状担体に担持されたメタロセン触媒を重合性単量体と接触せしめて予備重合を行うことにより得られる;
    (b)微粒子状担体の圧壊試験器で測定した平均圧壊強度が3MPa以上である:
    (c)予備重合前と予備重合後の触媒をそれぞれ蛍光観察した結果から得られる予備重合均一化指数(H値)が60%以下である。
  2. 前記微粒子状担体が、平均粒径5μm以上を有する請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 前記H値が、50%以下である請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 前記予備重合は、微粒子状担体の重量に対して、3〜10の重量の予備重合ポリマーが生成するように行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒を使用してオレフィンを単独重合又は共重合するポリオレフィンの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒を使用してオレフィンをランダム共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒を使用する、エチレン/プロピレンのモル%比が、0.1〜20であるエチレン・プロピレンのランダム共重合体の製造方法。
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JP2012214745A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Japan Polypropylene Corp オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒およびそれを用いたポリオレフィンの製造方法
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