JP2008530333A - 重合触媒 - Google Patents

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Abstract

各成分(a)遷移金属化合物、(b)非アルミノキサン活性化剤、および(c)必要に応じ支持体からなる触媒系の存在下における、エチレンの重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合のための方法は、触媒成分とエチレンおよび/またはそれ以上のα−オレフィンとの60℃〜100℃の範囲の温度における接触により作成されたプレポリマーの使用からなっている。このプレポリマーを単離し或いはエチレンの重合またはエチレンとα−オレフィン(特に1−ヘキセン)との共重合のため現場で使用することができる。このプロセスの使用により触媒の熱安定性が改善されて、ポリマー形態における劣化なしに活性増大をもたらす。

Description

発明の詳細な説明
本発明はオレフィンの重合に適する触媒に関し、特にエチレンの重合またはエチレンと3〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンとの共重合のための気相プロセスにおける操作上の利点を与える遷移金属触媒に関するものである。
近年、メタロセン触媒の導入に基づき、ポリオレフィンホモポリマーおよびコポリマーの製造に多くの進歩がなされている。メタロセン触媒は、一般に従来のチーグラー触媒よりも高い活性を有する利点を与えると共に、一般に性質上シングルサイトである触媒として記載されている。
数種の異なる群のメタロセン錯体が開発されている。古くは、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体に基づく触媒が開発され、その例は欧州特許第129368号明細書もしくは欧州特許第206794号明細書に見ることができる。極く最近、単一またはモノ−シクロペンタジエニル環を有する錯体が開発された。この種の錯体は「拘束配置」の錯体と称され、これら錯体の例は欧州特許第416815号明細書もしくは欧州特許第420436号明細書に見ることができる。これら錯体の両者において、金属原子(たとえばジルコニウム)は最高酸化状態にある。
しかしながら、金属原子が減少した酸化状態にある他の錯体も開発されている。ビス(シクロペンタジエニル)およびモノ(シクロペンタジエニル)の両錯体の例は国際公開第96/04290号パンフレットおよび国際公開第95/00526号パンフレットにそれぞれ記載されている。
上記メタロセン錯体は、助触媒もしくは活性化剤の存在下における重合に用いられる。典型的には活性化剤はアルミノキサン、特にメチルアルミノキサンであり、或いは代案として硼素化合物に基づく化合物とすることもできる。後者の例はボレート類(たとえばトリアルキル置換アンモニウムテトラフェニル−もしくはテトラフルオロフェニル−ボレート)、またはトリアリールボラン(たとえばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。ボレート活性化剤を混入した触媒系は欧州特許第561479号明細書、欧州特許第418044号明細書および欧州特許第551277号明細書に記載されている。
上記メタロセン錯体は溶液相、スラリー相もしくは気相におけるオレフィンの重合につき使用することができる。スラリー相もしくは気相に使用する場合、メタロセン錯体および/または活性化剤は好適には支持される。典型的支持体は無機酸化物(たとえばシリカ)を包含し、或いはポリマー支持体も代案として使用することができる。
オレフィンの重合につき支持メタロセン触媒を作成する例は国際公開第94/26793号パンフレット、国際公開第95/07939号パンフレット、国際公開第96/00245号パンフレット、国際公開第96/04318号パンフレット、国際公開第97/02297号パンフレットおよび欧州特許第642536号明細書に見ることができる。
国際公開第98/27119号パンフレットはカチオンとアニオンとからなるイオン性化合物を含む支持触媒成分を記載しており、ここでアニオンは活性水素を有する成分からなる少なくとも1個の置換基を含む。この開示においては支持メタロセン触媒が例示され、ここで触媒は上記イオン性化合物をトリアルキルアルミニウム化合物で処理し、次いで支持体およびメタロセンで処理することにより作成される。
国際公開第98/27119号パンフレットは、(a)活性水素を有する成分からなる少なくとも1個の置換基を持ったカチオンとアニオンとからなるイオン性化合物、(b)遷移金属化合物、および必要に応じ(c)活性触媒を形成するよう有機金属化合物で処理された支持体からなる実質的に不活性な触媒先駆体を活性化する方法を記載している。
この種類の支持触媒を作成するには各種の方法が用いられている。たとえば国際公開第98/27119号パンフレットはここに開示された支持触媒を作成する数種の方法を記載しており、ここで支持体はイオン性化合物で含浸される。イオン性化合物の容積は、支持体の全気孔容積の20容量%〜200容量%より大に相当する。好適製造ルートにおいてイオン性化合物の溶液の容積は支持体の全気孔容積を実質的に超えず、好ましくはこれに等しい。この種の作成方法は初期沈殿または初期湿潤技術と称することができる。
得られるポリマー生成物の粉末形態学を制御する試みのため従来、予備重合が広く使用されていた。文献には予備重合チーグラー触媒の多くの例が存在し、極く最近予備重合メタロセン触媒系が記載される。
たとえば欧州特許第723976号明細書は、アルミノキサンにより活性化された支持メタロセン錯体からなる予備重合された乾燥触媒組成物を記載している。メタロセン錯体はビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体であり、予備重合は典型的には35℃までの温度にて行われた。
欧州特許第436326号明細書は、触媒とエチレンとの液相における70℃での接触に続く80℃での気相重合によるビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメタロセン/アルミノキサン触媒系の予備重合を例示している。予備重合は、典型的には10〜1000のAl/Zrの原子比にて行われる。
国際公開第94/03506号パンフレットは、+4の酸化状態における金属を有するモノシクロペンタジエニルメタロセン錯体からなる支持イオン性遷移金属触媒を記載している。この触媒組成物は必要に応じ予備重合しうるが、その更なる条件の詳細については記載がない。
本出願人の早期の出願である欧州特許第816394号明細書は、支持された拘束配置の触媒の存在下におけるオレフィン気相重合を例示しており、これは25〜40℃の範囲の温度における第1段階の予備重合を含む。例示された触媒はボラン(たとえばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランにより活性化されたモノシクロペンタジエニルメタロセン錯体であった。
今回、驚くことに、遷移金属化合物と非アルミノキサン活性化剤とからなる触媒系をより高い温度にて予備重合させることにより、一層高い活性、向上した熱安定性および更に向上した粉末形態学をその後の重合からもたらすことを突き止めた。
従って本発明によれば:
(a)遷移金属化合物、
(b)非アルミノキサン活性化剤、および
(c)必要に応じ支持体
からなる触媒系の存在下におけるエチレンの重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合の方法が提供され、前記方法は前記触媒系が触媒成分とエチレンまたはエチレンおよび1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとの60〜100℃の範囲の温度における接触により作成されるプレポリマーを含むことを特徴とする。
プレポリマーは好ましくは70〜95℃の範囲の温度、特に好ましくは70〜90℃の範囲の温度にて作成される。
本発明の予備重合された触媒系は、スラリー相または気相の重合方法に使用するのに特に適する。
スラリープロセスは典型的には、不活性炭化水素希釈剤および約0℃乃至得られるポリマーが実質的に不活性重合媒体に不溶性となる温度より直下の温度における温度を使用する。適する希釈剤はトルエンまたはアルカン類(たとえばヘキサン、プロパンもしくはイソブタン)を包含する。好適温度は約30℃〜約200℃であるが、好ましくは約60〜100℃である。スラリー重合プロセスにはループ反応器が広く使用される。
オレフィンを重合させるため、特にエチレンおよびα−オレフィン(たとえば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン)の単独重合および共重合のための気相重合方法は当業界にて周知されている。
気相のための典型的操作条件は20〜100℃、特に好ましくは40〜95℃であると共に、圧力は大気圧以下〜100バールである。
特に好適な気相プロセスは流動床で操作するものである。この種のプロセスの例は欧州特許第89691号明細書および欧州特許第699213号明細書に記載されており、後者が本発明の予備重合触媒と共に使用するための特に好適なプロセスである。
本発明の予備重合触媒系は、特に好適にはエチレンまたはエチレンとα−オレフィンとを含有する反応器への触媒成分の注入により作成される。
本発明の予備重合触媒系の好適作成方法は、エチレンおよび/またはα−オレフィンを含有する反応器への生成触媒の注入による。「生成」触媒とは、各成分(a)遷移金属化合物、(b)活性化剤、および必要に応じ(c)支持体からなる触媒組成物を意味する。たとえば必要に応じ適する支持体上に支持された遷移金属化合物および活性化剤からなる乾燥触媒組成物がある。
好ましくはエチレン単独を本発明の予備重合触媒系の作成に使用する。
本発明のプレポリマーの作成に使用するのに好適なα−オレフィンは1−ブテン、1−ヘキセンまたは4−メチル−1−ペンテンである。
好ましくはプレポリマーは気相にて作成される。
プレポリマーは現場で作成することができ、或いは代案として最終重合プロセスに使用する前に単離することもできる。
従って本発明の他面によれば、エチレンの重合またはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとの共重合の方法が提供され、この方法は:
(1)第1段階にてエチレンまたはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとを60〜100℃の範囲の温度にて(a)遷移金属化合物、(b)非−アルミノキサン活性化剤、および必要に応じ(c)支持体からなる触媒系の存在下に予備重合させ、
(2)必要に応じ予備重合された触媒を回収し、
(3)第2段階にてエチレンまたはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとを70〜100℃の範囲の温度にて前記予備重合触媒の存在下に重合させる
ことを特徴とする。
第2段階のための好適温度は75〜95℃、特に好ましくは80〜90℃の範囲である。
本発明のこの面による好適プロセスは、両段階を気相にて行うプロセスである。
予備重合段階は水素の存在下または不存在下に行うことができる。
遷移金属化合物は典型的には元素周期律表(IUPACバージョン)の第IIIA〜IIB族の化合物とすることができる。この種の遷移金属化合物は慣用のチーグラー・ナッタ、バナジウムおよびフィリップス型の触媒であって当業界で周知されている。
慣用のチーグラー・ナッタ触媒は第IVA〜VIA族からの遷移金属化合物を包含し、特に式MRx[式中、Mはチタンであり、Rはハロゲンもしくはヒドロカルビルオキシ基であり、xは金属の酸化状態である]のチタン化合物に基づく触媒である。この種の従来種類の触媒はTiCl、TiBr、Ti(OEt)Cl、Ti(OEt)Brなどを包含する。慣用のチーグラー・ナッタ触媒はJ.ブーア、アカデミック・プレス社、ニューヨーク(1979)により「チーグラー・ナッタ触媒および重合」に一層詳細に記載されている。
バナジウム系触媒はバナジルハロゲン化物、たとえばVCl並びにアルコキシハロゲン化物およびアルコキシド、たとえばVOCl、VOCl(OBu)、VCl(OBu)等を包含する。
従来のクロム触媒化合物(フィリップ型触媒と称される)はCrO、クロモセン、シリルクロメート等を包含し、米国特許第4124532号明細書および米国特許第4302565号明細書に記載されている。
他の従来の遷移金属化合物は、たとえば米国特許第4302565号明細書に記載されたマグネシウム/チタン電子ドナー錯体に基づくものである。
他の適する遷移金属化合物は第VIII族のレート(late)遷移金属(LTM)に基づくものであり、たとえば鉄、ニッケル、マンガン、ルテニウム、コバルトもしくはパラジウム金属を含有する化合物である。この種の化合物の例は国際公開第98/27124号パンフレットおよび国際公開第99/12981号パンフレットに記載され、[2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルアニル)FeCl]、[2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルアニル)FeCl]および[2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルアニル)CoCl]により例示することができる。
更に適するものは、アーリー(early)およびレート(late)遷移金属錯体の両者に基づくシングルサイト触媒であり、各種のリガンド環境、たとえばChem.Rev.(2003)、第103巻、第283−315頁に記載されたものを有する。
他の遷移金属化合物は+2、+3もしくは+4のフォーマル酸化状態である第IIIA、IVAもしくはランタニド族の金属の誘導体を包含する。好適化合物は1〜3個のアニオン性もしくは中性リガンド基を有する金属錯体を包含し、これらは環式もしくは非環式の局在π−結合アニオン性リガンド基とすることができる。この種のπー結合アニオン性リガンド基の例は結合もしくは非結合の環式もしくは非環式ジエニル基、アリル基、ボラタベンゼン基、ホスホールおよびアレーン基である。π−結合と言う表現は、リガンド基は部分局在化π−結合からの電子を共有することにより金属に結合することを意味する。
局在π−結合基における各原子は独立して水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、置換メタロイド基よりなる群から選択されるラジカルで置換することができ、ここでメタロイドは周期律表第IVB族から選択される。「ヒドロカルビル」という用語にはC1〜C20直鎖、分枝鎖および環式のアルキルラジカル、C6−C20の芳香族ラジカルなどである。更に2個もしくはそれ以上のこの種のラジカルが一緒になって融合環系を形成することもでき、或いはこれらは金属とのメタロサイクルを形成することもできる。
適するアニオン性の局在π−結合基の例はシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニルなど、並びにホスホールおよびボラタベンゼン基を包含する。
ホスホールはアニオン性リガンドであって、シクロペンタジエニル基の燐含有同族体である。これらは当業界にて公知であり、国際公開第98/50392号パンフレットに記載されている。
ボラタベンゼンはアニオン性リガンドであって、ベンゼンの硼素含有同族体である。これらは当業界にて公知であると共に、オルガノメタリックス、14,1,第471〜480頁(1995)に記載されている。
本発明の好適遷移金属化合物はメタロセン錯体と称される嵩高リガンド化合物であって、上記局在π−結合基の少なくとも1つを含有し、特にシクロペンタジエニルリガンドである。この種のメタロセン錯体は第IVA族金属に基づくもの、たとえばチタン、ジルコニウムおよびハフニウムに基づくものである。
メタロセン錯体は一般式:
LxMQn
[式中、Lはシクロペンタジエニルリガンドであり、Mは第IVA族金属であり、Qは離脱基であり、xおよびnは金属の酸化状態に依存する]
により示すことができる。
典型的には第IVA族金属はチタン、ジルコニウムもしくはハフニウムであり、xは1もしくは2のいずれかであり、典型的離脱基はハロゲンもしくはヒドロカルビルを包含する。シクロペンタジエニルリガンドはたとえばアルキルもしくはアルケニル基により置換することができ、或いはたとえばインデニルもしくはフルオレニルのような融合リング系を構成することもできる。
適するメタロセン錯体の例は欧州特許第129368号明細書および欧州特許第206794号明細書に開示されている。この種の錯体は架橋されず(unbridged)、たとえばビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ペンタメチル)シクロペンタジエニルジクロライドとすることができ、或いは架橋された(bridged)たとえばエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドもしくはジメチルシリル(インデニル)ジルコニウムジクロライドとすることができる。
他の適するビス(シクロペンタジエニル)メタロセン錯体は国際公開第96/04290号パンフレットに記載されたようなビス(シクロペンタジエニル)ジエン錯体である。この種の錯体の例はビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン)およびエチレンビス(インデニル)ジルコニウム1,4−ジフェニルブタジエンである。
モノシクロペンタジエニルもしくは置換モノシクロペンタジエニル錯体の本発明に使用するのに適する例は欧州特許第416815号明細書、欧州特許第418044号明細書、欧州特許第420436号明細書および欧州特許第551277号明細書に記載されている。適する錯体は一般式:
CpMX
[式中、Cpは単一のシクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル基であって必要に応じ置換基を介しMに共有結合され、Mはη結合モードにてシクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル基に結合した第VIA族金属であり、Xはそれぞれの場合ハイドライドまたはハロ、アルキル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミドアルキル、シロキシアルキルなど20個までの非水素原子を有すると共に20個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基リガンドよりなる群から選択される成分であり、または必要に応じ1個のXはCpと一緒になってMとのメタロサイクルを形成し、nは金属の原子価に依存する]
により示すことができる。
特に好適なモノシクロペンタジエニル錯体は式:
Figure 2008530333
[式中、R′はそれぞれの場合独立して水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびその組合せから選択され、前記R′は20個までの非水素原子を有し、必要に応じ2個のR′基(R′は水素、ハロもしくはシアノでない)は一緒になって、融合環構造を形成するシクロペンタジエニル環の隣接位置に接続したその二価の誘導基を形成し;
Xはハイドライドまたは20個までの非水素原子を有するハロ、アルキル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミドアルキル、シロキシアルキルなどおよび20個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基リガンドよりなる群から選択される成分であり、
Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、
Mはハフニウム、チタニウムもしくはジルコニウムであり、
はSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR もしくはGeR であり、ここで:
はそれぞれの場合独立して水素またはヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびその組合せから選択される一員であり、前記Rは10個までの非水素原子を有し、必要に応じZからの2個のR基(Rは水素でない)またはZからのR基とYからのR基とはリング系を形成し、
nはMの原子価に応じて1もしくは2である]
を有する。
適するモノシクロペンタジエニル錯体の例は(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランチタニウムジクロライドおよび(2−メトキシフェニルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランチタニウムジクロライドである。
他の適するモノシクロペンタジエニル錯体は、国際公開第99/40125号パンフレット、国際公開第00/05237号パンフレット、国際公開第00/05238号パンフレットおよび国際公開第00/32653号パンフレットに記載されたホスフィンイミンリガンドを含むものである。この種の錯体の典型例はシクロペンタジエニルチタニウム[トリ(t−ブチル)ホスフィンイミン]ジクロライドである。
本発明に使用する適する他の種類の遷移金属化合物はヘテロアルキル成分を含むモノシクロペンタジエニル錯体、たとえばジルコニウム(シクロペンタジエニル)トリス(ジエチルカルバメート)(米国特許第5527752号明細書および国際公開第99/61486号パンフレットに記載)である。
本発明に使用するのに特に好適なモノシクロペンタジエニルメタロセン錯体は、一般式:
Figure 2008530333
[式中、R′はそれぞれの場合独立して水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびその組合せから選択され、前記R′は20個までの非水素原子を有し、必要に応じ2個のR′基(ここでR′は水素、ハロもしくはシアノでない)は一緒になって融合リング構造を形成するシクロペンタジエニル環の隣接位置に接続された二価の誘導基を形成し;
Xは30個までの非水素原子を有する中性η結合ジエン基であって、これはMとのπ−錯体を形成し;
Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、
Mは+2のフォーマル酸化状態におけるチタンもしくはジルコニウムであり、
はSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR もしくはGeR であり、ここで:
はそれぞれの場合独立して水素またはヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびその組合せから選択される一員であり、
前記Rは10個までの非水素原子を有し、必要に応じZからの2個のR基(Rは水素でない)またはZからのR基およびYからのR基とはリング系を形成する]
により示すことができる。
適するX基の例はs−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン;s−トランス−η−2,4−ヘキサジエン;s−トランス−η−1,3−ペンタジエン;s−トランス−η−1,4−ジトルイル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン、s−シス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン;s−シス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン;s−シス−η−1,3−ペンタジエン;s−シス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンを包含し、前記s−シスジエン基はここに記載したように金属とのπ−錯体を形成する。
最も好適にはR′は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ベンジルもしくはフェニルであり、または2個のR′基(水素を除く)は互いに結合し、全体のCR′基はこれによりたとえばインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニルもしくはオクタヒドロフルオレニル基となる。
極めて好適なY基は窒素もしくは燐含有基であって、式−N(R″)−もしくは−P(R″)−に対応する基を含み、ここでR″はC1−10ヒドロカルビルである。
最も好適な錯体はアミドシラン−もしくはアミドアルカンジイル錯体である。
最も好適な錯体はMがチタンであるものである。
本発明で使用するのに適する特定錯体は国際公開第95/00526号パンフレットに開示されたものであり、ここに参考のため引用する。
本発明に使用するのに特に好適な錯体は(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−ジメチルシランチタニウム−η−1,3−ペンタジエンである。
本発明で使用するのに適する非アルミノキサン活性化剤は典型的には、上記遷移金属化合物と共に使用されるものである。
たとえば慣用のチーグラー・ナッタ触媒と共に使用するのに適する活性化剤は有機金属化合物、たとえば有機アルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物である。
好適トリアルキルアルミニウム化合物はトリエチルアルミニウムである。
本発明の遷移金属化合物と共に使用する他の適する活性化剤は、たとえばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよびボレート類のようなボラン類である。
特に適するものは有機硼素化合物、特にトリアリール硼素化合物である。特に好適なトリアリール硼素化合物はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
活性化剤として適する他の化合物はカチオンとアニオンとを含む化合物である。カチオンは典型的にはプロトンを供与しうるブレンステッド酸であり、アニオンは典型的にはカチオンを安定化しうる適合性の非配位性嵩高物質である。
この種の活性化剤は式:
(L−H) (Ad−
[式中、Lは中性ルイス塩基であり、
(L−H) はブレンステッド酸であり、
d−はdの電荷を有する非配位性の適合性アニオンであり、
dは1〜3の整数である]。
イオン性化合物のカチオンは酸性カチオン、カルボニウムカチオン、シリリウムカチオン、オキソニウムカチオン、有機金属カチオンおよびカチオン性酸化剤よりなる群から選択することができる。
好適には好ましいカチオンはトリヒドロカルビル置換のアンモニウムカチオン、たとえばトリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウムなどを包含する。更に、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムカチオンのようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも適している。
活性化剤として使用する好適イオン性化合物はイオン性化合物のカチオンがヒドロカルビル置換アンモニウム塩からなり、アニオンがアリール置換ボレートからなるものである。
イオン性化合物として適する典型的ボレート類は次の化合物を包含する:
トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、
トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
本発明のモノシクロペンタジエニルメタロセン錯体と共に使用するのに適する好適種類の活性化剤はカチオンとアニオンとを含むイオン性化合物からなり、ここでアニオンは活性水素を有する成分からなる少なくとも1種の置換基を有する。
この種の適する活性化剤は国際公開第98/27119号パンフレット(その該当部分を参考のためここに引用する)に記載されている。
この種類のアニオンの例は次の化合物を包含する:
トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート。
この種類の活性化剤につき適するカチオンの例はトリエチルアンモニウム、トリイソプロピルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウムなどを包含する。
特に適するものは、たとえばジヘキシルデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウムなどのような長鎖のアルキル鎖を有するようなカチオンである。
この種類の特に好適な活性化剤はアルキルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)4−(ヒドロキシフェニル)ボレートである。
特に好適な活性化剤はビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートである。
この種類の活性化剤に関し、好適化合物はアルキルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)−4−(ヒドロキシフェニル)ボレートと有機金属化合物(たとえばトリエチルアルミニウム)との反応生成物である。
本発明の触媒系は必要に応じ支持体を含む。
適する支持体材料は無機金属酸化物を包含し、或いはポリマー支持体、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、粘土、ゼオライトなどを用いることもできる。
本発明の方法により触媒と共に使用するのに最も好適な支持体材料はシリカである。適するシリカはイネオスES70およびグレース・ダビソン948シリカを包含する。
支持体材料は、この支持体材料の水分含有量またはヒドロキシル含有量を減少させるべく熱処理および/または化学処理にかけることができる。典型的には化学脱水剤は反応性金属水素化物、アルミニウムアルキルおよびハライドである。使用に先立ち、支持体材料は100〜1000℃、好ましくは200〜850℃にて不活性雰囲気における減圧下での処理にかけることができる。
好ましくは支持体は有機金属化合物、好ましくは有機アルミニウム化合物、特に好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物により希釈溶剤中で予備処理される。
支持体材料は−20〜150℃、好ましくは20〜100℃の温度にて有機金属化合物により予備処理される。
本発明の方法に使用するのに適する触媒系は、本出願人の同時出願の国際公開第04/018530号パンフレット、国際公開第04/018531号パンフレット、国際公開第04/020487号パンフレット、国際公開第04/055062号パンフレットおよび国際公開第04/055063号パンフレットに記載されたものを包含する。
本発明の方法を使用することにより、触媒の熱安定性が向上してポリマー形態学の劣化なしに向上した活性をもたらす。
特に本発明の使用により、ポリマーにおける微細粒子の強い減少が観察される。これは、より高い重合圧力(たとえば≧15バール圧力)にて特に顕著である。
以下、本発明を実施例を参照して更に説明する:
略語
TEA トリエチルアルミニウム
イオン性化合物A [N(H)Me(C18-22H37-45)2][B(C6F5)3(p-OHC6H4)]
錯体A (C5Me4SiMe2NtBu)Ti(η4-1,3-ペンタジエン)
実施例1(触媒作成)
イオン性化合物Aのトルエン溶液(9.7重量%)の2.114ml(0.156ミリモル)にTEA([Al]=0.25モル/リットル)のトルエン溶液の0.63ml(0.156ミリモル)を添加した。この溶液を3.0gのTEA処理シリカ(グレース948、[Al]=1.36ミリモル/g)に添加し、混合物を塊が見られなくなるまで充分撹拌し、30分間にわたり静置させた。
次いで錯体Aのへブタン溶液(8.57重量%)の0.87ml(0.146ミリモル)を含浸させた。この混合物を塊が見られなくなるまで充分撹拌し、30分間にわたり静置させた。3回の洗浄を330mlのヘキサンで行い,触媒を最終的に減圧下で乾燥させた。
[Al]=1.32ミリモル/g
[Ti]=38μモル/g
実施例2(比較例)
気相重合反応器に110gの塩(予め減圧オーブン内で48時間にわたり160℃にて乾燥)および1.8gのTEA処理シリカ([Al]=1.38ミリモル/g)を添加した。次いで反応器を所望重合温度まで加熱し、エチレンを10バールの所望圧力に達するまで反応器に充填した。重合温度および圧力にて、実施例1により作成された触媒を乾燥注入ユニットを介し注入し(典型的には200mg TEA/シリカと一緒に50mg)、これは気相単独重合を開始させた。反応器圧力をエチレンの連続添加により一定に維持した。各実験(60分間の試験)の終了後、反応をパージ弁の開口により停止させ、未反応のモノマーを反応器から急速に流出させた。次いで反応器を窒素でパージし、数回にわたり冷却すると共に開口させた。ポリマー生成物を回収し、水で洗浄して塩を分離し、減圧オーブン内で減圧下に4時間にわたり50℃で分析が準備されるまで乾燥させた。
Figure 2008530333
最高の触媒活性が80℃の反応温度にて得られると共に、一層高い温度にて顕著な失活を伴った。
実施例3(予備重合段階を伴う試験)
予備重合工程
気相重合反応器に110gの塩(予め160℃にて48時間にわたり減圧オーブン内で乾燥)および1.8gのTEA処理シリカ([Al]=1.38ミリモル/g)を添加した。次いで反応器を標的温度(表2参照)まで加熱し、エチレンを反応器に充填して5バールの所望圧力に達せしめた。実施例1により作成された触媒を次いで乾燥注入ユニットを介して注入し(典型的には200mgTEA/シリカと一緒に50mg)を注入し、これは気相予備重合を開始させ、これを正確に5分間にわたり持続させた。
重合工程
予備重合工程の終了後、反応器温度および圧力を標的重合温度およびエチレン圧力までできるだけ迅速に上昇させ(下表2参照)、典型的には圧力につき30秒間および安定温度については2分間かけた。撹拌器速度を実験の全てにわたり200RPMに一定に保った。反応器圧力をエチレンの連続添加により一定に維持した。各実験の終了後(60分間の試験)反応をパージ弁の開放、未反応モノマーの反応器からの急速な流出により停止させた。次いで反応器を窒素でパージし、2,3回にわたり冷却すると共に開放させた。ポリマー形成物を集め、水洗して塩を分離し、減圧下に減圧オーブン内で4時間にわたり50℃で乾燥させて分析に供した。
Figure 2008530333
試験10は70℃での予備重合に続く90℃での重合による結果、10バールのエチレン圧力にて生成されるポリマーの最高平均粒子寸法と一緒に最高ポリマー収率をもたらすことを示す。試験5は、90℃にて行われて一層低い収率および一層低い平均粒子寸法をもたらす比較プロセス(予備重合なし)を示す。
試験10と比較した試験14および15は明らかに、70℃における予備重合に続く90℃での重合および高いエチレン圧力(15および20バール)がポリマーにおける微細流出物の強い減少をもたらすことを示す。

Claims (16)

  1. 成分として、
    (a)遷移金属化合物、
    (b)非アルミノキサン活性化剤、および
    (c)必要に応じ支持体
    からなる触媒系の存在下におけるエチレンの重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合の方法において、前記触媒系が各触媒成分とエチレンまたはエチレンおよび1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとの60〜100℃の範囲の温度における接触により作成されたプレポリマーからなることを特徴とする重合または共重合の方法。
  2. プレポリマーを70〜90℃の範囲の温度にて作成する請求項1に記載の方法。
  3. プレポリマーを気相にて作成する請求項1または2に記載の方法。
  4. プレポリマーを触媒成分とエチレンとの接触により作成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. エチレンの重合またはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとの共重合のための方法において、
    (1)第1段階にてエチレンまたはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとを(a)遷移金属化合物、(b)非アルミノキサン活性化剤、および(c)必要に応じ支持体からなる触媒系の存在下に60〜100℃の範囲の温度にて予備重合させ、
    (2)必要に応じ予備重合触媒を回収し、
    (3)第2段階にてエチレンまたはエチレンと1種もしくはそれ以上のα−オレフィンとを前記予備重合触媒の存在下に70〜100℃の範囲の温度にて重合
    させる
    ことを特徴とする重合または共重合の方法。
  6. 第2段階を80〜90℃の範囲の温度にて行う請求項5に記載の方法。
  7. 両段階を気相にて行う請求項5に記載の方法。
  8. α−オレフィンを1−ブテン、1−ヘキセンまたは4−メチル−1−ペンテンから選択する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. α−オレフィンが1−ヘキセンである請求項8に記載の方法。
  10. プレポリマーを現場で作成する請求項5に記載の方法。
  11. 遷移金属化合物がメタロセンである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. メタロセンが式:
    Figure 2008530333
    [式中、R′はそれぞれの場合独立して水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびその組合せから選択され、前記R′は20個までの非水素原子を有し、必要に応じ2個のR′基(R′は水素、ハロもしくはシアノでない場合)は一緒になってシクロペンタジエニル環の隣接位置に接続されたその二価の誘導基を形成して融合環構造を形成し;
    Xは30個までの非水素原子を有する中性η結合ジエン基であってMとのπ−錯体を形成し;
    Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、
    Mは+2のフォーマル酸化状態におけるチタンもしくはジルコニウムであり:
    はSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR もしくはGeR であり、ここで
    はそれぞれの場合独立して水素またはヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびその組合せから選択される一員であり、前記Rは10個までの非水素原子を有し、必要に応じZからの2個のR基(Rは水素でない)またはZからのR基とYからのR基とはリング系を形成する]
    を有する請求項11に記載の方法。
  13. 非アルミノキサン活性化剤が式:
    (L−H) (Ad−
    [式中、Lは中性ルイス塩基であり、
    (L−H) はブレンステッド酸であり、
    d−はdの電荷を有する非配位性の適合性アニオンであり、
    dは1〜3の整数である]
    を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 非−アルミノキサン活性化剤がカチオンとアニオンとからなり、アニオンが活性水素を有する成分からなる少なくとも1種の置換基を有する請求項12に記載の方法。
  15. 支持体が無機金属酸化物である請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 無機金属酸化物がシリカである請求項14に記載の方法。
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