JP2006312622A - 水中油型エマルション及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分:(A)総炭素数10〜30のカルボン酸及び/又はその塩、(B)塩基、(C)セラミド類、(D)水、(E)界面活性剤(但し、(A)成分に由来する界面活性剤を除く)を配合し、(E)成分/(C)成分の配合比率(質量比)が0〜2未満である水中油型エマルションである。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、(A)総炭素数10〜30のカルボン酸及び/又はその塩、(B)塩基、(C)セラミド類、(D)水、及び(E)界面活性剤を配合し、(E)成分/(C)成分の配合比率(質量比)が2未満である水中油型エマルションを提供するものであり、また、上記(A)、(B)、(C)成分、必要に応じて添加される(E)成分、及び(D)成分の一部を混合し、ラメラ相を形成した後、残りの(D)成分及び(E)成分を加えることを特徴とする水中油型エマルションの製造方法を提供するものである。
具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸等が挙げられ、その他N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩等が好適に挙げられる。これらの中で、総炭素数14〜24のカルボン酸が好ましく、特に炭素数14〜22の直鎖脂肪酸が好ましい。より具体的な特に好ましい例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また(A)成分のカルボン酸は、単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明の水中油型エマルション中における(A)成分の配合量は、0.0001〜10質量%の範囲が好ましく、さらには0.01〜5質量%の範囲がより好ましい。ここで(A)成分の質量は酸として計算し、以下同様である。
塩基性アミノ酸類の具体例としては、L−アルギニン、リジン、ヒスチジン等が挙げられ、アルカノールアミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノエタン等が挙げられる。また、無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのうち特に、L−アルギニン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオールが好ましい。これらは、単独、又は、2種以上を混合して用いることができる。
本発明の水中油型エマルション中における(B)成分の配合量は、0.00001〜5質量%の範囲が好ましく、さらには0.01〜3質量%の範囲がより好ましい。
また、(A)成分と(B)成分の配合量の比率((A)成分/(B)成分、モル比)は、ラメラ相を形成させるために、0.3〜5の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜2、さらには、ほぼ等モルであることが好ましい。
天然型セラミド類は、下記一般式(I)で表される。
また、成分(C)は2種以上を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、アルキルグリセリンエーテル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル類、アルキルポリグルコシド類、ショ糖脂肪酸エステル類、アミンオキシド類、等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルサルフェート類、アルキルアミドエーテルサルフェート類、アルキルスルホナート類、α―オレフィンスルホン酸類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、アルキルホスフェート類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート類、アシルサルコシナート類、及びアシルタウリン塩類、等が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、アルキル酢酸ベタイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類、アルキルアミドベタイン類、アルキルスルホベタイン類、等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキレン化されていてもよい、第1級、第2級又は第3級脂肪族アミンの塩類、及び、第4級アンモニウム塩類、等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましく、さらに好ましい例としては、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、及びポリグリセリン脂肪酸エステル類;アニオン性界面活性剤として、アルキルホスフェート類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート類、及びアシルタウリン塩類が挙げられる。また、(E)成分は、(A)成分として用いられるカルボン酸又はその塩を除いたものである。
高分子乳化剤としては、アクリル酸アルキル共重合体、アルキル変性ヒドロキシエチルセルロース、特開平11−12119号公報に記載の疎水基と親水基を有する多糖誘導体等が挙げられる。また、市販品としては以下のものが挙げられる。アクリル酸アルキル共重合体としてはアキュリン33等(ISP社);アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(架橋型を含む)としては、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポール1382、カーボポールETD2020等(以上、Noveon INC.)、アクペックHV−501ER(住友精化社);(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の誘導体又はその塩として、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体にポリオキシエチレンアルキルエーテルがエステル結合したアクリル酸・メタクリル酸・アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエーテルエステル共重合体(例えば、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキルポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体(アキュリン22(ISP社))等、アルキル変性ヒドロキシエチルセルロースとして、Natrosol Plus 330CS, Polysurf 67(以上、Aqualon Group、Hercules Inc.に所属)等が挙げられる。
なお、本発明において、高分子乳化剤の含有量は水中油型エマルション全量を基準として0〜30質量%、好ましくは、0.05〜5質量%、の範囲で添加されることが好ましい。
例えば、薬効成分、抗酸化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料等などを配合することができる。
本発明の水中油型エマルションは、皮膚化粧料として使用することが好ましく、化粧水、乳液、保湿美容液、クリーム等として好適に使用し得る。
本発明の水中油型エマルションの製造方法は、製造過程で(A)、(B)、(C)成分、必要に応じて添加される(E)成分、及び(D)成分の一部成分を混合し、ラメラ相を形成した後、残りの(D)成分及び必要に応じて(E)成分を加えることを特徴とする。
本発明においては、主に(A)成分、(B)成分、(D)成分でラメラ相を形成し、該相の(A)成分の分子間に(C)成分が並んだ状態をとると考えられる。従って、(C)成分が含有されてもラメラ相が維持され、(E)界面活性剤が少量配合、又は、配合しなくても、安定に(C)セラミド類を配合することができる。
より具体的には、(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の一部、又は(A)、(B)、(C)成分、(D)成分の一部成分、及び必要に応じて添加される(E)成分によって、ラメラ相が形成される。(A)〜(D)成分を混合する順序は、ラメラ相を形成する組成であれば、特に限定されず(A)、(B)及び(D)成分の一部で形成したラメラ相に(C)成分を添加した後、(D)成分の残量を添加してもよいし、(A)及び(C)成分に、(B)成分を溶解した(D)成分を添加してもよい。また、(A)、(B)及び(C)成分に(D)成分を添加してもよい。より好ましくは、(A)、(B)及び(D)成分の一部で形成したラメラ相に、(C)成分を添加し、その後(D)成分の残量を添加する方法が好ましい。なお、(D)成分の残量を加える際に、(D)成分中に上記高分子乳化剤を用いて油性成分を乳化させ、該乳化物を本発明の水中油型エマルションに添加することは好ましい態様である。また、必要に応じて、(A)〜(E)成分及び該乳化物は50〜90℃まで加温し、混合することが出来る。
(A)、(B)及び(D)成分の質量比に関しては、((A)成分+(B)成分)/最初に一部混合する(D)成分の質量比が0.005〜32の範囲が好適であり、さらには0.005〜2.3の範囲が好ましく、0.01〜1の範囲が特に好ましい。
また、ここでラメラ相を形成するに際しては、(A)成分、(B)成分及び(D)成分のラメラ相中の含有量は、(A)成分0.3〜70質量%、(B)成分0.2〜30質量%、及び(D)成分3〜99.5質量%の範囲であることが好ましい。
なお、ラメラ構造は偏光顕微鏡による観察、又は小角X線散乱のいずれかの測定により確認される。
(1)ラメラ相経由の有無
水中油型エマルションの製造過程で、ラメラ相を経由しているか否か、偏光顕微鏡観察により行った。
○:ラメラ相を形成していた
×:ラメラ相を形成していなかった
(2)使用感
専門評価者5名が、実施例及び比較例で製造した化粧料を洗顔後の顔に塗布して、以下の4段階で判定し、その平均点で評価した。
4:べたつかない
3:あまりべたつかない
2:少しべたつく
1:べたつく
(3)保存安定性
実施例及び比較例で製造した化粧料を、室温で2週間放置し、結晶の析出の有無を光学顕微鏡により観察し、以下の基準で評価した。
○:結晶の析出無し
×:結晶の析出有り
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、ポリオール類、(E)成分のPOE(60)硬化ヒマシ油、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(B)成分を溶解した(D)成分10質量%(水中油型エマルション全量基準)を添加し、攪拌・混合し、ラメラ相を製造した。ラメラ相の形成は偏光顕微鏡により確認した。
次いで、該ラメラ相に、85℃で(E)成分のN−メチルラウロイルタウリンナトリウム、その他成分を溶解した残りの(D)成分を添加して、転相し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。なお、第1表で用いる数字は質量%表示である。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(B)成分、ポリオール類、及び(D)成分30質量%(水中油型エマルション全量基準)を85℃で加熱攪拌・混合し、ラメラ相を形成させておき、該ラメラ相に、(C)成分、及び油性成分を85℃で加熱溶解して加え、攪拌・混合してラメラ相を製造した。ラメラ相の形成は偏光顕微鏡により確認した。これに、85℃でその他成分を残りの(D)成分に加熱溶解した水相を添加して、転相し、25℃まで冷却し水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、ポリオール類、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(B)成分を溶解した(D)成分30質量%(水中油型エマルション全量基準)を添加し、攪拌・混合し、ラメラ相を製造した。ラメラ相の形成は偏光顕微鏡により確認した。
次いで、該ラメラ相に、85℃でその他成分を溶解した残りの(D)成分を添加して、転相し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(B)成分、ポリオール類、(D)成分30質量%(水中油型エマルション全量基準)、及び、(E)成分のPOE(60)硬化ヒマシ油を85℃で加熱し、攪拌・混合し、ラメラ相を形成させておき、該ラメラ相に、(C)成分及び油性成分を85℃で加熱溶解して加え、攪拌・混合してラメラ相を製造した。ラメラ相の形成は偏光顕微鏡により確認した。これに、85℃で(E)成分のN−メチルラウロイルタウリンナトリウム、その他成分を残りの(D)成分に加熱溶解した水相を添加して、転相し、25℃まで冷却し水中油型エマルションを得た。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、ポリオール類、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(B)成分を溶解した(D)成分10質量%(水中油型エマルション全量基準)を添加し、攪拌・混合し、ラメラ相を製造した。ラメラ相の形成は偏光顕微鏡により確認した。
次いで、該ラメラ相に、85℃でその他成分を溶解した残りの(D)成分を添加して、転相し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、油性成分中のコレステロール及びイソステアリン酸コレステリル、ポリオール類を90℃で加熱溶解し、これに90℃で(B)成分を溶解した(D)成分21.5質量%(水中油型エマルション全量基準)をゆっくりと添加し、5分間攪拌し、その後ホモミキサーで攪拌した(回転数7000rpm)。その後25℃まで冷却してセラミド乳化物を得た。
次いで、90℃でアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、その他成分のうちのカルボキシビニルポリマー及びパラオキシ安息香酸メチルを溶解した(D)成分の一部と、90℃でその他成分中の水酸化ナトリウムを溶解した(D)成分の残部を混合し、同温度で攪拌後、油性成分中のスクワラン及びジメチルポリシロキサンを加え、ホモミキサーで攪拌した(回転数7000rpm)。その後25℃まで冷却して乳化物を得た。該乳化物を上記セラミド乳化物に加えて、本発明の水中油型エマルションを得た。評価結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、(E)成分のPOE(60)硬化ヒマシ油、ポリオール類、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(E)成分のN−メチルラウロイルタウリンナトリウム、その他成分を溶解した(D)成分を添加し、攪拌・混合し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(A)成分、(C)成分、ポリオール類、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(E)成分のN−メチルラウロイルタウリンナトリウム、その他成分を溶解した(D)成分を添加し、攪拌・混合し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
第1表に示す成分のうち、(C)成分、(E)成分のPOE(60)硬化ヒマシ油、ポリオール類、及び、油性成分を85℃で加熱溶解し、これに85℃で(E)成分のN−メチルラウロイルタウリンナトリウム、その他成分を溶解した(D)成分を添加し、攪拌・混合し、その後、25℃まで冷却して、水中油型エマルションを得た。上記方法で評価した結果を第1表に示す。
また、本発明の水中油型エマルションの製造方法によれば、界面活性剤を使用しなくても、又は極く少量の界面活性剤を使用するのみでセラミド類を結晶化させずに配合することができ、しかも感触の優れた水中油型エマルションを製造することができる。
Claims (7)
- 次の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分:
(A)総炭素数10〜30のカルボン酸及び/又はその塩、
(B)塩基、
(C)セラミド類、
(D)水、
(E)界面活性剤(但し、(A)成分に由来する界面活性剤を除く)、
を配合し、(E)成分/(C)成分の配合比率(質量比)が0〜2未満である水中油型エマルション。 - (A)成分が総炭素数14〜24のモノカルボン酸及び/又はその塩である請求項1に記載の水中油型エマルション。
- (B)塩基が分子量30〜200の有機塩基である請求項1又は2に記載の水中油型エマルション。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の水中油型エマルションを含有する化粧料。
- (A)総炭素数10〜30のカルボン酸及び/又はその塩、(B)塩基、(C)セラミド類、(D)水、及び必要に応じ(E)界面活性剤を配合し、(E)成分/(C)成分の配合比率(質量比)が2未満であるエマルションの製造方法であって、(A)、(B)、(C)成分、必要に応じて添加される(E)成分、及び(D)成分の一部を混合し、ラメラ相を形成した後、残りの(D)成分及び必要に応じて(E)成分を加えることを特徴とする水中油型エマルションの製造方法。
- 下記(1)及び(2)の質量比で混合してラメラ相を形成する請求項5に記載の水中油型エマルションの製造方法((A)成分の質量は酸として換算する)。
(1){(A)成分+(B)成分}/最初に一部混合する(D)成分の配合比率(質量比)が0.005〜32である。
(2)(C)成分/{(A)成分+(B)成分}の配合比率(質量比)が0.001〜10である。 - (A)総炭素数10〜30のカルボン酸及び/又はその塩、(B)塩基、(C)セラミド類、(D)水、及び必要に応じ(E)界面活性剤を配合し、(E)成分/(C)成分の配合比率(質量比)が2未満であるエマルションの製造方法であって、(A)、(B)及び(D)成分を下記(1)の質量比で混合してラメラ相を形成し、次いで該ラメラ相に、(C)成分を下記(2)の質量比で添加してラメラ相を維持し、その後さらに残りの(D)成分及び必要に応じ(E)成分を加える水中油型エマルションの製造方法((A)成分の質量は酸として換算する)。
(1){(A)成分+(B)成分}/(D)成分の配合比率(質量比)が0.005〜32である。
(2)(C)成分/{(A)成分+(B)成分}の配合比率(質量比)が0.001〜10である。
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