JP2006311721A - インバータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インバータ装置のスイッチング素子の保護及び騒音軽減が要求されている。
【解決手段】 インバータ装置の直流―交流変換回路(3)の第1〜第6のスイッチング素子(Q1〜Q6)を熱的に保護するために放熱体(6)を設ける。放熱体(6)に温度検出器(7)を結合させる。放熱体(6)の温度を演算によって推定する手段を設ける。放熱体(6)の温度の推定値と検出値との差を求める。この差によって第1〜第6のスイッチング素子(Q1 〜Q6)のスイッチング周波数を制御する。前記差が大きい時にスイッチング周波数を非可聴周波数とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スイッチング素子の温度を考慮してスイッチング周波数を最適又はこれに近い状態に設定する機能を有するインバータ装置に関する。
PWM(パルス幅制御)型インバータの変換用のスイッチング素子としてIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のパワーデバイスが用いられている。スイッチング素子は、定常損失及びスイッチング損失(オン・オフ時の損失)を有するので、この損失によってスイッチング素子の接合部温度が上昇する。スイッチング素子の接合部温度の許容値は一般的には150℃とされている。スイッチング素子の接合部温度の上昇を抑えるために、放熱体即ちヒートシンクや冷却用ファンが使用されている。ヒートシンクや冷却用ファンを大幅な余裕を有するように構成すると、これが必然的に大型且つコスト高になる。スイッチング素子の破壊を防ぐために、ヒートシンクの温度を検出し、この検出温度が許容温度よりも高くなった時にスイッチング素子に対する通電を停止させる方法が例えば特許文献1で知られている。
スイッチング素子の熱破壊の防止を合理的に達成するために特許文献1では、インバータの出力電流に所定の係数を乗算して許容温度を決定している。
PWM型インバータの別の問題として、負荷が交流電動機又はトランスを含む場合、又はインバータの出力段に平滑用リアクトルを含む場合にスイッチング周波数に基づく磁気的騒音(磁歪音)が発生する問題がある。この磁気的騒音はスイッチング周波数を可聴周波数よりも高く設定することによって改善できる。しかし、スイッチング周波数を常に可聴周波数よりも高く設定すると、単位時間当りのスイッチング素子のスイッチング回数が大きくなり、単位時間当りのスイッチング損失が増大する。
また、インバータ装置に対して、より確実且つより簡単にスイッチング素子の熱破壊を防止する要求がある。
特開2002−262580号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、従来のインバータ装置において、スイッチング素子のスイッチング周波数を最適又はこれに近い状態に設定することが困難なことである。
また、本発明が解決しようとする別の課題は、従来のインバータ装置において、これ自身又は負荷の磁気的騒音を合理的に抑制することが困難なことである。
また、本発明が解決しようとする別の課題は、従来のインバータ装置において、スイッチング素子の熱破壊を合理的に防止し且つスイッチング周波数を合理的に設定することが困難なことである。
上記課題を解決するための本発明は、
直流電力を供給するための直流入力端子と、
負荷に交流電力を供給するための交流出力端子と、
前記直流入力端子と前記交流出力端子との間に接続され且つオン・オフ動作によって直流を交流に変換するためのスイッチング素子を含んでいる直流−交流変換回路と、
前記スイッチング素子に熱結合された放熱体と、
前記スイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルスの幅を制御するためのパルス幅制御信号を形成するパルス幅制御信号形成回路と、
前記スイッチング素子を流れる電流又はこの電流に比例した値を有する電流を主電流(I)として検出する電流検出器と、
前記主電流(I)の増大と共に第1の傾きを有して増大する検出値(Tf)を前記放熱体の温度として得ることができる温度検出器と、
前記電流検出器に接続され、且つ前記電流検出器から得られた前記主電流(I)に所定の係数を乗算する手段を含み、且つ前記主電流(I)の増大と共に前記第1の傾きよりも緩い第2の傾きを有して増大する推定値(Toh)を前記放熱体の推定温度のとして得ることができるように形成された温度推定手段と、
前記温度推定手段と前記温度検出器とに接続され且つ前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)を示す差信号を形成する機能を有している差信号形成手段と、
前記差信号形成手段に接続され且つ前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)に対応する値を有する周波数指令(fc*)を形成する機能を有している周波数指令形成手段と、
前記パルス幅制御信号と比較してスイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルスを形成するために使用する比較波を発生するものであって、前記周波数指令形成手段に接続され且つ前記比較波を前記周波数指令(fc*)に対応した周波数で発生する機能を有している比較波発生回路と、
前記パルス幅制御信号形成回路及び前記比較波発生回路に接続され且つ前記パルス幅制御信号と前記比較波とを比較して前記スイッチング素子をオン・オフ制御するためのスイッチ制御パルスを形成する機能を有しているスイッチ制御パルス形成回路と、
前記スイッチ制御パルス形成回路と前記スイッチング素子の制御端子との間に接続されたスイッチ駆動回路と
を具備していることを特徴とするインバータ装置に係わるものである。
本発明において、前記検出値(Tf)の前記第1の傾きは、前記主電流の増大に対して前記検出値(Tf)が直線的に増大する傾きのみでなく、前記主電流の増大に対して前記検出値(Tf)が曲線的即ち2次曲線的に増大する傾きも意味する。また、前記推定値(Toh)の前記第2の傾は、前記主電流の増大に対して前記推定値(Toh)が直線的に増大又は減少する傾きのみでなく、前記主電流の増大に対して前記推定値(Toh)が曲線的即ち2次曲線的で増大又は減少する傾きも意味する。また、本発明において、前記放熱体は、前記スイッチング素子の電流通路(半導体部分)の熱を放出することができる全ての部材を意味する。
なお、請求項2に示すように、前記温度検出器は、放熱体の温度をTf、所定の係数をa、前記主電流をI、第1の定数をKrとした時に、
Tf=aI+Kr
に従う出力を発生するものであり、
前記温度推定手段は、前記スイッチング素子が所定の基準周波数に従うパルスでオン・オフ制御されていると仮定し、且つ前記スイッチング素子の接合部又は前記放熱体の温度の推定値をToh、前記式の係数aよりも小さい係数をb、前記主電流をI、前記式の前記第1の定数Krよりも大きい第2の定数をKcとした時に、
Toh=bI+Kc
に従う演算を実行するものであることが望ましい。
また、請求項3に示すように、前記温度推定手段は、前記係数bを得るために、前記交流出力端子の交流電圧の周波数(fo )の増大と共に減少する値を有する第1の係数A(fo)を発生する第1の係数発生手段と、前記基準周波数に比例した値を有する第2の係数B(fcr)を発生する第2の係数発生手段と、 前記第1の係数A(fo )と前記第2の係数B(fcr)とを乗算して前記係数bを得る乗算手段とを有していることが望ましい。
また、請求項4に示すように、前記周波数指令形成手段は、前記差信号形成手段に接続され且つ前記差(ΔT)に所定の係数(α)を乗算して前記周波数指令(fc*)を得る機能を有していることが望ましい。
また、請求項5に示すように、前記第2の係数発生手段は、互いに値の異なる複数の基準周波数に対応して複数の第2の係数を発生する機能を有していることが望ましい。
また、請求項6に示すように、前記比較波発生回路は、可変電流源回路と、前記可変電流源回路に接続された比較波発生用コンデンサと、前記比較波発生用コンデンサに並列接続された放電用スイッチと、前記比較波の最大振幅を決定するための比較波発生用基準電圧源と、前記比較波発生用コンデンサに接続された一方の入力端子と前記比較波発生用基準電圧源に接続された他方の入力端子と前記放電用スイッチの制御端子に接続された出力端子とを有する比較波発生用比較器と、前記周波数指令形成手段と前記可変電流源回路の制御端子との間に接続され且つ前記周波数指令に比例的に前記可変電流源回路の出力電流(Ic )を制御する電流制御回路とを具備していることが望ましい。
また、請求項7に示すように、更に、前記差信号形成手段に接続され且つ前記差(ΔT)が所定値よりも小さくなったか否かを判定する機能及び前記差(ΔT)が所定値よりも小さくなったことを示す判定結果によって前記スイッチング素子のオン・オフ制御を停止する機能を有している停止制御手段を備えていることが望ましい。
また、請求項8に示すように、更に、前記差(ΔT)の所定値を示す基準電圧を発生する停止制御用基準電圧源と、前記差信号形成手段に接続された一方の入力端子と前記停止制御用基準電圧源に接続された他方の入力端子と前記放電用スイッチの制御端子に接続された出力端子とを有する停止制御用比較器とを有していることが望ましい。
また、請求項9に示すように、前記周波数指令形成手段は、前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)が所定値よりも大きい時に、前記スイッチング素子のスイッチング周波数を非可聴周波数にするための周波数指令(fc*)を形成する機能を有していることが望ましい。
本発明によれば、スイッチング素子のスイッチング周波数を最適又はこれに近い状態に設定することができる。
また、請求項7及び8の発明によれば、スイッチング素子の熱破壊の防止を合理的に達成できる。
また、請求項9の発明によれば、スイッチング周波数に基づく磁気的騒音(磁歪音)の発生を容易且つ合理的に防止することができる。
次に、図1〜図9を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示す本発明の実施例に従う可変電圧可変周波数型(VVVF型)インバータ装置は、直流電源1に接続された第1及び第2の直流入力端子1a、1bと、平滑用又は安定化用コンデンサ2と、3相ブリッジ型直流−交流変換回路3と、第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cと、制御回路5と、直流−交流変換回路3のためのヒートシンク即ち放熱体6と、温度検出器7と、電流検出器8と、周波数指令及び保護情報作成手段9と、電圧検出回路10と、第1、第2及び第3のフィルタ用リアクトルL1 、L2 、L3 と、第1、第2及び第3のフィルタ用コンデンサC1 、C2 、C3 とを備えている。
第1及び第2の直流入力端子1a、1bと第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cとの間に接続された直流−交流変換回路3即ちインバータ回路は、直流電圧を3相交流電圧に変換し、これを第1、第2及び第3の出力端子4a、4b、4cに接続された例えば誘導電動機から成る負荷11に供給する周知の3相ブリッジ型インバータ回路であり、IGBTから成る第1、第2、第3、第4、第5及び第6のスイッチング素子Q1 、Q2 、Q3 、Q4 、Q5 、Q6 と、これ等のそれぞれに逆方向に並列接続された保護用又は帰還用の第1、第2、第3、第4、第5及び第6のダイオードD1 、D2 、D3 、D4 、D5 、D6 とから成る。なお、第1〜第6のダイオードD1 〜D6 を第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の内蔵又は寄生ダイオードとすることができる。第1及び第2のスイッチング素子Q1 、Q2 の第1の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子Q3 、Q4 の第2の直列回路と、第5及び第6のスイッチング素子Q5 、Q6 の第3の直列回路とは第1及び第2の直流入力端子1a、1b間に接続され、第1、第2及び第3の直列回路の中間点が第1、第2及び第3のフィルタ用リアクトルL1 、L2 、L3 を介して第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cに接続されている。第1、第2及び第3のフィルタ用コンデンサC1 、C2 、C3 は第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4c間にそれぞれ接続されている。
第1、第2及び第3のフィルタ用リアクトルL1 、L2 、L3、及び第1、第2及び第3のフィルタ用コンデンサC1 、C2 、C3は、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6をオン・オフ動作させることによって生じる高周波成分を除去するものである。従って、誘導電動機等の負荷11が高周波成分の除去を要求していない時には、第1、第2及び第3のフィルタ用リアクトルL1 、L2 、L3 及び第1、第2及び第3のフィルタ用コンデンサC1 、C2 、C3 を省くことができる。
第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 及び第1〜第6のダイオードD1 〜D6 は、金属等の放熱性の良い材料から成る放熱体6の上に配置され、放熱体6に熱的に結合されている。従って、放熱体6の温度はスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度に比例的関係を有する。
温度検出器7は放熱体6に固着され、放熱体6の温度を電気信号に変換して検出し、ライン7aによって検出値Tf を示す信号を周波数指令及び保護情報作成手段9に送る。スイッチング素子Q1 〜Q6 と放熱体6とは所定の熱抵抗を介して熱結合されているので、温度検出器7は第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度を間接的に検出していることになる。なお、ここでは、説明を容易にするために、温度検出器7で検出する放熱体6の温度と温度検出器7から出力される検出値との両方を同一のTfで示すことにする。
電流検出器7で検出される直流―交流変換回路3の主電流としての出力電流Iと検出値Tfとの関係を例えば次の(1)式で示すことができる。
Tf=aI+Kr (1)
ここで、aは傾きを示す所定の係数、Krは第1の定数を示す。
この(1)式及び図6から明らかなように、検出値Tfが出力電流Iに対して第1の傾きを有して比例的に変化する。
なお、温度検出器7から放熱体6の温度を示す信号を出力する代わりに、放熱体6と第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度との間の温度差が確定できる場合は、放熱体6の温度に前記温度差を加算して第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度を示す信号を形成し、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度を示す信号を温度検出器7から出力することができる。
電流検出器8は、直流−交流変換回路3の出力ラインに接続され、直流−交流変換回路3の出力電流Iを検出し、ライン8aによって周波数指令及び保護情報作成手段9に送る。図1では第1の交流出力端子4aを流れる出力電流Iのみを電流検出器8で検出し、この出力電流Iを第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 に流れる電流に比例する主電流として使用しているが、点線で示すように第3の交流出力端子4cに至る通路に沿って別の電流検出器8´を追加して配置すること、更に第2の交流出力端子4bに至る通路にも更に別の電流検出器(図示せず)を配置することができる。このように複数の電流検出器を設ける場合には、これ等の出力の平均値によって第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の電流を検出する。また、直流−交流変換回路3の出力電流Iを検出する代りに、点線で示すように入力側の直流電流通路に沿って別の電流検出器8´´を配置し、これから得られる入力電流を第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 を流れる電流に比例する主電流として使用することもできる。また、第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cに接続される負荷11の電流を検出する電流検出器を設け、この出力を第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の電流に比例する主電流として使用することもできる。
周波数指令及び保護情報作成手段9は、温度検出器7、電流検出器8及び制御回路5にライン7a、8a、12によって接続されている。この周波数指令及び保護情報作成手段9は、放熱体6の温度を演算で求めて推定値Tohを得る手段と、推定値Tohと温度検出器7から得られた検出値Tf との差ΔTを示す差信号を演算で求める差信号形成手段と、この差ΔTに係数αを乗算して第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 をオン・オフ制御するためのスイッチ制御パルスの周波数(スイッチング周波数)を決定するための周波数指令fc*を形成する周波数指令形成手段とを含み、ライン9aによって周波数指令fc*を制御回路5に送り、ライン9bによって保護情報としての前記差ΔTを示す信号を制御回路5に送る。図1では理解を容易にするために周波数指令及び保護情報作成手段9が制御回路5と別に示されているが、周波数指令及び保護情報作成手段9を制御回路5に含めて示すこともできる。この周波数指令及び保護情報作成手段9の詳細は後述する。
電圧検出回路10は第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cに接続され、インバータ出力電圧Vo を検出し、これをライン10aによって制御回路5に送る。
制御回路5は、ライン9a、9b、12によって周波数指令及び保護情報作成手段9に接続され、且つライン10aによって電圧検出回路10に接続され、更に、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の制御端子にライン13〜18によって接続されている。なお、図示を簡略化するために図1においてライン13〜18と第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の制御端子との間の接続ラインが省かれている。
図1の制御回路5は図2に大別して示すように、パルス幅制御信号形成回路21と、本発明に従う可変周波数型比較波発生回路22と、PWM(パルス幅変調)パルス形成回路23と、駆動回路24と、停止制御手段25とを有する。
パルス幅制御信号形成回路21は、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 をオン・オフ制御するためのスイッチ制御パルス(PWMパルス)の幅を制御するための周知のパルス幅制御信号(PWMパルス幅指令)を形成してPWMパルス形成回路23に送る。なお、パルス幅制御形成回路21はライン12に第1〜第3の交流出力端子4a〜4cの交流出力電圧の周波数fo を示す信号を送出する機能も有している。このパルス幅制御信号形成回路21の詳細は後述する。
可変周波数型比較波発生回路22は、ライン9aによって図1の周波数指令及び保護情報作成手段9に接続され、本発明に従う比較波周波数指令fc*に応答して比較波即ち搬送波(キャリア)を発生する。比較波は一般に鋸波又は三角波等の周期性波形から成る。この可変周波数型比較波発生回路22の詳細は後述する。
スイッチ制御パルス形成回路としてのPWMパルス形成回路23は、パルス幅制御信号形成回路21及び比較波発生回路22に接続され且つ複数のパルス幅制御信号と比較波とをそれぞれ比較してスイッチ制御パルスとしてのPWMパルスを形成する機能を有する。このPWMパルス形成回路23の詳細は後述する。
PWMパルス形成回路23に接続された駆動回路24は、PWMパルスに応じて第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 をオン・オフ駆動する周知の回路であって、第1〜第6のライン13〜18に第1〜第6の制御パルスG1 〜G6 を送出する。この駆動回路24の詳細は後述する。
停止制御手段25は、図1の周波数指令及び保護情報作成手段9にライン9bで接続され、このライン9bの保護情報としての差ΔTを示す信号に応答して直流−交流変換回路3を停止するか否かを判断し、停止の判断をした時に可変周波数型比較波発生回路22を停止制御し、結果として直流−交流変換回路3を停止制御するものである。この停止制御手段25の詳細は後述する。
次に、図3を参照して制御回路5の各部を更に詳しく説明する。パルス幅制御信号形成回路21は、パルス幅制御用周波数指令回路26と、3相正弦波発生回路27と、パルス幅制御用基準電圧源28と、パルス幅制御用誤差増幅器29と、第1、第2及び第3のパルス幅制御用乗算器30、31、32とから成る。
パルス幅制御用周波数指令回路26は、第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cの出力電圧の周波数fo を可変制御するために可変周波数指令fo*を発生する。3相正弦波発生回路27は、周波数指令fo*で指示された周波数を有する3相基準正弦波をライン27a、27b、27cに送出する。
パルス幅制御用基準電圧源28は直流−交流変換回路3の出力電圧Vo を変えるために可変基準電圧源に構成されている。このパルス幅制御用基準電圧源28とパルス幅制御用周波数指令回路26とを鎖線で示すように連動させ、出力電圧Vo とその周波数fo とを同時に増大又は減少させることができる。パルス幅制御用誤差増幅器29はライン10aの出力検出電圧Vo とパルス幅制御用基準電圧源28の基準電圧Vr との差を示す誤差信号ΔVを出力する。
第1、第2及び第3のパルス幅制御用乗算器30、31、32はライン27a、27b、27cの第1、第2及び第3相の正弦波基準電圧に誤差信号ΔVを乗算して振幅調整された正弦波から成る図5(A)に示す第1、第2及び第3のパルス幅制御信号V1 、V2 、V3 を出力する。パルス幅制御信号形成回路21は図3に示す回路に限定されるものでなく、第1、第2及び第3のパルス幅制御信号V1 、V2 、V3 と同一又は等価な信号を形成することができる別の回路であってもよい。
可変周波数型比較波発生回路22は、比較波発生用コンデンサ33と、可変電流源回路34と、電流制御回路35と、放電用スイッチ36と、比較波発生用基準電圧源37と、比較波発生用比較器38とから成る。
比較波発生用コンデンサ33と可変電流源回路34との直列回路は直流電源端子39とグランドとの間に接続されている。従って、比較波発生用コンデンサ33は可変電流源回路34の電流Ic によって充電される。可変電流源回路34の制御端子は電流制御回路35に接続されている。このため電流制御回路35の出力信号に応答して可変電流源回路34の電流Ic が変化する。可変電流源回路34は、例えばnチャネル絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(以下、単にFETと言う。)と抵抗との直列回路で構成することができる。この場合、FETのゲート(制御端子)が電流制御回路35の出力で制御され、FETを流れる電流が変化する。
電流制御回路35はライン9aを介して図1の周波数指令及び保護情報作成手段9に接続され、ライン9aの比較波周波数指令fc*に比例的に変化する電流制御信号を可変電流源回路34に供給する。従って、比較波発生用コンデンサ33は、比較波周波数指令fc*に比例的に変化する電流Ic によって充電される。
npn型トランジスタで示されている放電用スイッチ36は比較波発生用コンデンサ33に並列に接続されている。比較波発生用比較器38の一方の入力端子は比較波発生用コンデンサ33の一端に接続され、その他方の入力端子は比較波発生用基準電圧源37に接続されている。従って、比較波発生用コンデンサ33の両端子間電圧即ち比較波Vt が比較波発生用基準電圧源37の基準電圧Va に達すると、比較波発生用比較器38の出力が高レベルに転換し、放電用スイッチ36がオン状態になり、比較波発生用コンデンサ33が放電し、鋸波電圧から成る比較波Vt が得られる。可変周波数型比較波発生回路22は、図3に示す回路に限定されるものでなく、比較波Vt と同一又は類似の鋸波又は三角波又は周期性波形を発生する別の回路で構成できる。
PWMパルス形成回路23は第1、第2及び第3のPWM用比較器40、41、42から成る。第1、第2及び第3のPWM用比較器40、41、42の一方の入力端子は第1、第2及び第3のパルス幅制御用乗算器30、31、32に接続され、これ等の他方の入力端子は比較波発生用コンデンサ33の一端に接続されている。従って、第1、第2及び第3のPWM用比較器40、41、42は図5(A)に示すように鋸波電圧から成る比較波Vt と第1、第2及び第3のパルス幅制御信号V1 、V2 、V3 とを比較し、図5(B)(D)(F)に示す2値信号形式のPWM信号から成る第1、第3及び第5のスイッチ制御パルスG1 、G3 、G5 を発生する。
駆動回路24は、第1、第2及び第3の駆動増幅回路43、44、45と、第1、第2及び第3の反転増幅回路(NOT回路)46、47、48とから成る。第1、第2及び第3の駆動増幅回路43、44、45は第1、第2及び第3のPWM用比較器40、41、42の出力を増幅してライン13、15、17に第1、第3及び第5のスイッチ制御パルスG1 、G3 、G5 を送出し、第1、第2及び第3の反転増幅回路46、47、48は第1、第2及び第3のPWM用比較器40,41,42の出力を反転して図5(C)(E)(G)に示す第2、第4及び第6のスイッチ制御パルスG2 、G4 、G6 をライン14、16、18に送出する。なお、駆動回路24に第1及び第2のスイッチング素子Q1 、Q2 が同時にオンになること、第3及び第4のスイッチング素子Q3 、Q4 が同時にオンになること、及び第5及び第6のスイッチング素子Q5 、Q6 が同時にオンになることを防ぐ回路即ち周知のデッドタイム付与回路を設けることができる。
停止制御手段としての停止制御回路25は、停止制御用基準電圧源49と停止制御用比較器50とから成る。停止制御用比較器50の一方の入力端子はライン9bを介して図1の周波数指令及び保護情報作成手段9に接続され、その他方の入力端子は停止制御用基準電圧源49に接続され、その出力端子が放電用スイッチ36の制御端子(ベース)に接続されている。
停止制御用基準電圧源49の基準電圧Vb は、ライン9bの差ΔTを示す信号のレベルと比較するものであって、零又は零に近い比較的低い所定値に設定されている。従って、ライン9bの保護情報としての差ΔTを示す信号が停止制御用電圧源49の基準電圧Vb よりも小さくなると、停止制御用比較器50の出力が高レベルになり、放電用スイッチ36が強制的にオン状態になり、比較波発生用コンデンサ33からの比較波Vt の発生が停止する。
この実施例では回路構成を簡略化するために放電用スイッチ36を停止用スイッチとして兼用しているが、停止用スイッチを個別に設けることができる。また、電源端子39とグランドとの間に停止用スイッチを接続し、これを停止制御回路25の出力でオフ制御することによって直流−交流変換回路3の動作を停止することもできる。また、ライン13〜18に停止用スイッチを接続し、これを停止制御回路25の出力でオフ制御して直流−交流変換回路3の動作を停止させることもできる。
図4に図1の周波数指令及び保護情報作成手段9の1例が詳しく示されている。この周波数指令及び保護情報作成手段9は、大別して放熱体6又は第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部の温度の推定値Tohを求める推定値演算手段51と、差信号形成手段52と、周波数指令演算手段53とから成る。
推定値演算手段51は、第1の係数A(fo )を発生する手段としての第1のメモリ54と、第2の係数B(fcr )を発生する手段としての第2のメモリ55と、基準周波数指令手段56と、第1及び第2の乗算器57a、57bを含む乗算手段57と、第2の定数Kc を発生する 定数発生手段58と、加算手段59とから成り、次の(2)式の演算を実行する。
Toh=bI+Kc
={A(fo)B(fcr)}I+Kc (2)
ここで、bは{A(fo)B(fcr)}を示し、前記(1)式の係数aよりも小さい値を有し、定数Kc は前記(1)式の定数Kr よりも大きい値を有する。
第1の係数発生手段としての第1のメモリ54は、第1、第2及び第3の交流出力端子4a、4b、4cの出力電圧の周波数fo の変化に応じて変化する複数の第1の係数が格納されたメモリテーブルを有する。このメモリテーブルには、図8に示すように出力電圧の周波数fo の第1、第2、第3及び第4の値fo1、fo2、fo3、fo4に対応する4つの第1の係数A1 (fo )、A2 (fo )、A3 (fo )、A4 (fo )が格納されている。図8には図示の都合上、4つの第1の係数が示されているが、これ等の数を増減することができる。なお、図8に示す第1の係数A1 (fo )、A2 (fo )、A3 (fo )、A4 (fo )は実験によって決定されている。
第1のメモリ54は、ライン12によって図3のパルス幅制御用周波数指令回路26に接続され、パルス幅制御用周波数指令回路26から得られる出力電圧の周波数foを示す信号をアドレス信号として第1の係数A1 (fo )、A2 (fo )、A3 (fo )、A4 (fo )を読み出す。この時、周波数fo は段階的値に整理され、例えば、0〜fo1の区間をfo1、fo1〜fo2の区間をfo2、fo2〜fo3の区間をfo3、fo3〜fo4の区間をfo4として第1の係数A(fo )を読み出す。
図8の出力電圧の周波数foと第1の係数A(fo )との関係は、直流−交流変換回路3の出力電圧の周波数fo 以外の条件を固定して周波数fo を変化させた時における、出力電圧の周波数foと第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度又は放熱体6の温度との関係に一致する。即ち、第1の係数A(fo )の変化は出力電圧の周波数foの変化に対応した第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の接合部温度又は放熱体6の温度の変化を示す。図8から明らかなように、第1の係数A(fo )は直流−交流変換回路3の出力電圧の周波数fo に対して反比例的に変化する。従って、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 及び放熱体6の温度上昇は直流の時に最も高くなる。
第2のメモリ55は、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 のスイッチング周波数の基準値(以下、基準周波数fcrと言う。)と第2の係数B(fcr)との関係を示すテーブルが格納されている。図9は、基準周波数fcr以外の全ての条件を固定して直流−交流変換回路3を動作させた時の基準周波数fcrの変化と第2の係数B(fcr)との関係を示し、第1、第2、第3及び第4の基準周波数fcr1 、fcr2 、fcr3 、fcr4 に対して4つの第2の係数B1 (fcr)、B2 (fcr)、B3 (fcr)、B4 (fcr)が示されている。勿論、第2のメモリ55に対する第2の係数B(fcr)の格納数を増減することができる。
図9から明らかなように第2の係数B(fcr)は初期設定スイッチング周波数と呼ぶことも可能な基準周波数fcrに対して比例的に変化している。この第2の係数B(fcr)は第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 のスイッチング周波数と第1〜第6のスイッチング素子及び放熱体6の温度との関係を示すものであり、スイッチング周波数即ち基準周波数fcrに比例して第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 及び放熱体6の温度が高くなる。なお、前記(2)式の第2の係数B(fcr)を決定するための基準周波数fcrは、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 のスイッチング周波数の可変範囲の中間値よりも低い値、より好ましくは最低に決定される。
第2のメモリ55の複数の第2の係数B(fcr)から選択されたものを出力させるために、基準周波数指令手段56が設けられている。この基準周波数指令手段56は、第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 のスイッチング周波数の基準値即ち基準周波数fcrを指令する信号を送出する。第2のメモリ55は基準周波数fcrをアドレスとして図9の第2の係数B1 (fcr)、B2 (fcr)、B3 (fcr)、B4 (fcr)から選択された1つを出力する。なお、図4では、第2のメモリ55に複数の第2の係数B(fcr)を格納したが、単に1つの第2の係数B(fcr)を格納することもできる。
第1の乗算手段57aは、第1及び第2のメモリ54、55に接続され、第1の係数A(fo )と第2の係数B(fcr)とを乗算してA(fo )B(fcr)を出力する。このA(fo )B(fcr)は前述の(2)式の係数aに相当している。
第2の乗算手段57bは、第1の乗算手段57aと出力電流Iの検出ライン8aとに接続され、出力電流Iに対して第1の乗算手段57aから得られた係数b=A(fo )B(fcr)を乗算してA(fo )B(fcr)Iを出力する。なお、乗算手段57を、A(fo )B(fcr)Iを得ることが可能な別の乗算形式に変形することができる。また、第1の係数A(fo )を1と見なして差し支えない時には、第1の係数発生手段としての第1のメモリ54を省き、ライン8aの出力電流Iに第2のメモリ55の第2の係数B(fcr)のみを乗算してB(fcr)Iを示す信号を乗算手段57から出力することができる。この場合、前述の(2)式の係数aはB(fcr)となる。
定数 発生手段58は、放熱体6の温度の演算による推定値Tohを求めるために必要な第2の定数(一定値)Kc を発生するものであり、例えばメモリで構成される。
第2の乗算手段57bと定数 発生手段58とに接続された加算手段59は、第2の乗算手段57bの出力{A(fo )B(fcr)}Iに第2の定数Kc を加算してToh={A(fo )B(fcr)}I+Kc を示す信号即ち放熱体6の温度の推定値Tohを出力する。
なお、推定値Tohを第1〜第6のスイッチング素子Q1 〜Q6 の温度の推定値Tohに変更することもできる。
差信号形成手段52は加算手段59と放熱体6の温度の検出値Tf を示す信号を伝送するライン7aとに接続され、推定値Tohから検出値Tf を減算して両者の差ΔTを示す信号を送出する。差信号形成手段52から得られた差ΔTを示す信号は次段の周波数指令演算手段53に送られると共に、ライン9bによって図3の停止制御手段25にも送られる。
図6に示すように推定値Tohと検出値Tf とは出力電流Iに対して異なる係数を有して変化するので、出力電流IがI1 、I2 、I3 、I4 と変化すると、差ΔTはΔT1 、ΔT2 、ΔT3 、ΔT4 と変化する。即ち、出力電流Iの増大に応じて差ΔTは徐々に小さくなる。従って、差ΔTによって出力電流I及び負荷11の大きさを推定することができ、差ΔTを保護情報として使用することができる。即ち、図6の保護温度Toffに対応する出力電流がI4の時の差ΔT4は直流−交流変換回路3をオフにする温度情報を含んでいる。
図4の周波数指令演算手段53は、第3の係数発生手段60と第3の乗算手段61とから成る。第3の係数発生手段60は、所定値を有する第3の係数αを発生する。差信号形成手段52と第3の係数発生手段60とに接続された第3の乗算器61は差信号形成手段52から得られた差△Tに対して第3の係数αを乗算した値α△Tから成る比較波用周波数指令fc*をライン9aに送出する。
図7に示すように差ΔTの値がΔT4 、ΔT3 、ΔT2、ΔT1のように増大するに従って比較波用周波数指令fc*の値もfc1*、fc2*、fc3*、fc4*のように増大する。図6から明らかなように差△Tの値が比較的大きい時には出力電流Iが比較的小さく且つ放熱体6及び第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の温度は保護温度Toffよりも低いので、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6及び第1〜第6のダイオードD1〜D6における損失が増大しても差し支えないことを意味している。そこで、本発明では、スイッチング損失よりも磁気的騒音の軽減を優先させ、差△Tが比較的小さい時に第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング周波数が可聴周波数より高い値に制御される。これにより、負荷11の誘導電動機又はトランス、又はフイルタ用ルアクトルL1、L2、L3等の磁気回路における磁気的騒音(磁歪音)が軽減される。スイッチング周波数の変更は図2で既に説明したように可変周波数型比較波発生回路22を制御することによって実行する。比較波用周波数指令fc*は、出力電流Iがその許容最大値(例えばI4)の好ましくは、10%以下、より好ましくは50%以下、最も好ましくは90%以下の時に非可聴周波数(例えば10kHz以上)に設定され、それ以外は可聴周波数に設定される。
図3の停止制御手段25の停止制御用基準電圧源49の基準電圧Vbは、図6 の保護温度Toffを推定値Tohが横切る点即ち出力電流Iの値がI4の時の推定値Toh と検出値Tfとの差△T4を示す電圧に設定されている。従って、保護情報を含んでいる差△Tの値が△T4以下になると、停止制御用比較器50の出力が高レベルになり、既に説明したように比較波Vtの発生が停止し、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のオン・オフ動作が停止し、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の熱破壊が防止される。
本実施例は次の利点を有する。
(1) 第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング周波数が所定の基準周波数に固定されておらずに推定値Tohと検出値Tfとの差△Tに基づいて変えられる。即ち、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の接合部温度に余裕がある時にはスイッチング周波数を高めることができる。特に、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の接合部温度に余裕がある時にスイッチング周波数が非可聴周波数(例えば10kHz以上)に高められると、負荷11としての例えば誘導電動機又はトランスを含む回路、又はフイルタ用リアクトルL1、L2、L3における磁気騒音を防ぐことができる。
(2) 第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング周波数は差△Tに比例的に変化するので、差△Tが比較的小さくなると、スイッチング周波数は比較的低くなり、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング周波数に依存する損失及び発熱が少なくなり、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の保護が優先される。これにより、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の熱破壊防止と磁気騒音の低減とを合理的に達成することができる。
(3) 推定値Tohを求める時に、交流出力電圧の周波数foの変化に応じて第1の係数A (fo)の値が変えられている。従って推定値Tohの精度を高めるこことができる。また、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングのための基準周波数fcrが変更された時にも第2の係数B(fcr)が変えられる。従って推定値Tohの精度を更に高めるこことができる。
(4) 比較波周波数指令fc*を推定値Tohと検出値Tfとの差△Tに第3の係数αを乗算して求めるので、比較波周波数指令fc*を容易に得ることができる。
(5) 第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のオン・オフ動作の停止制御が差△Tを示す電圧信号を保護情報として使用して行われている。従って、停止制御を容易に実行することができる。
(6) 比較波発生用コンデンサ33の放電用スイッチ36を停止制御に兼用しているので、停止制御を簡単な回路で実行できる。
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば次の変形が可能なものである。
(1) 実施例1では、第1の係数A(fo)、第2の係数B(fcr)、第3の係数α、第1の定数Kcを実験的に求めたが、この代わりに直流―交流変換回路3、放熱体6等の物理的構成に基づいて計算で求めることができる。即ち、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6のpn接合部とこれ等のケースとの間の熱抵抗rth(j-c)、ケースと放熱体6との間の熱抵抗rth(c-f)、過渡熱抵抗、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の定常損失及びスイッチング損失を考慮した周知の計算で第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6の接合温度又は放熱体6の温度の推定値Tohを求めることができる。なお、この計算に第1〜第6のダイオードD1〜D6の発熱も考慮することが望ましい。また、第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6がIGBTの場合には、コレクターエミッタ間飽和電圧VCE(sat)のバラツキによって損失が変化するので、コレクターエミッタ間飽和電圧を考慮して推定値Tohを求めることが望ましい。
(2) 直流―交流変換回路3を単相ブリッジ型インバータ回路、又はハーフブリッジ型インバータ回路、又はプッシュプル型インバータ回路等に変形することができる。
(3) 制御回路5を図3と同様な機能を有する別の回路に置き換えることができる。また、制御回路5及び周波数指令及び保護情報作成手段9の少なくとも一部をディジタル回路で構成することができる。
(4) 第1〜第6のスイッチング素子Q1〜Q6をIGBT以外のトランジスタ、FET等の別の半導体スイッチとすることができる。
(5)図6の検出値Tfの傾きを、出力電流Iの増大に対して検出値Tfが直線的に増大する傾きのみでなく、曲線的即ち2次曲線的に増大する傾きに変更することもできる。また、図6の推定値Tohの傾きを、出力電流Iの増大に対して推定値Tohが直線的に増大する傾きのみでなく、曲線的即ち2次曲線的に増大する傾きに変更することもできる。
本発明の実施例1に従うインバータ装置を示す回路図である。 図1の制御回路を概略的に示すブロック図である。 図2の制御回路を更に詳しく示す回路図である。 図1の周波数指令及び保護情報作成手段を詳しく示す回路図である。 図3の各部の状態を示す波形図である。 出力電流と温度の推定値及び検出値との関係を示す図である。 温度の推定値と検出値との差△Tと比較波用周波数指令fc*との関係を示す図である。 出力電圧の周波数foと第1の係数A(f)との関係を示す図である。 スイッチングの基準周波数fcrと第2の係数B(fcr)との関係を示す図である。
符号の説明
3 直流―交流変換回路
5 制御回路
6 放熱体
7 温度検出器
8、8′、8″ 電流検出器
9 周波数指令及び保護情報作成手段
22 可変周波数型比較発生回路
25 停止制御手段

Claims (9)

  1. 直流電力を供給するための直流入力端子と、
    負荷に交流電力を供給するための交流出力端子と、
    前記直流入力端子と前記交流出力端子との間に接続され且つオン・オフ動作によって直流を交流に変換するためのスイッチング素子を含んでいる直流−交流変換回路と、
    前記スイッチング素子に熱結合された放熱体と、
    前記スイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルスの幅を制御するためのパルス幅制御信号を形成するパルス幅制御信号形成回路と、
    前記スイッチング素子を流れる電流又はこの電流に比例した値を有する電流を主電流(I)として検出する電流検出器と、
    前記主電流(I)の増大と共に第1の傾きを有して増大する検出値(Tf)を前記放熱体の温度として得ることができる温度検出器と、
    前記電流検出器に接続され、且つ前記電流検出器から得られた前記主電流(I)に所定の係数を乗算する手段を含み、且つ前記主電流(I)の増大と共に前記第1の傾きよりも緩い第2の傾きを有して増大する推定値(Toh)を前記放熱体の推定温度のとして得ることができるように形成された温度推定手段と、
    前記温度推定手段と前記温度検出器とに接続され且つ前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)を示す差信号を形成する機能を有している差信号形成手段と、
    前記差信号形成手段に接続され且つ前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)に対応する値を有する周波数指令(fc*)を形成する機能を有している周波数指令形成手段と、
    前記パルス幅制御信号と比較して前記スイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルスを形成するために使用する比較波を発生するものであって、前記周波数指令形成手段に接続され且つ前記比較波を前記周波数指令(fc*)に対応した周波数で発生する機能を有している比較波発生回路と、
    前記パルス幅制御信号形成回路及び前記比較波発生回路に接続され且つ前記パルス幅制御信号と前記比較波とを比較して前記スイッチング素子をオン・オフ制御するためのスイッチ制御パルスを形成する機能を有しているスイッチ制御パルス形成回路と、
    前記スイッチ制御パルス形成回路と前記スイッチング素子の制御端子との間に接続されたスイッチ駆動回路と
    を具備していることを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記温度検出器は、放熱体の温度をTf、所定の係数をa、前記主電流をI、第1の定数をKrとした時に、
    Tf=aI+Kr (1)
    に従う出力を発生するものであり、
    前記温度推定手段は、前記スイッチング素子が所定の基準周波数に従うパルスでオン・オフ制御されていると仮定し、且つ前記スイッチング素子の接合部又は前記放熱体の温度の推定値をToh、前記(1)式の係数aよりも小さい係数をb、前記主電流をI、前記(1)式の前記第1の定数Krよりも大きい第2の定数をKcとした時に、
    Toh=bI+Kc (2)
    に従う演算を実行するものであることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  3. 前記温度推定手段は、前記(2)式の係数bを得るために、
    前記交流出力端子の交流電圧の周波数(fo )の増大と共に減少する値を有する第1の係数A(fo)を発生する第1の係数発生手段と、
    前記基準周波数に比例した値を有する第2の係数B(fcr)を発生する第2の係数発生手段と、
    前記第1の係数A(fo )と前記第2の係数B(fcr)とを乗算して前記(2)式の前記係数bを得る乗算手段と
    を有していることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
  4. 前記周波数指令形成手段は、前記差信号形成手段に接続され且つ前記差(ΔT)に所定の係数(α)を乗算して前記周波数指令(fc*)を得る機能を有していることを特徴とする請求項2又は3記載のインバータ装置。
  5. 前記第2の係数発生手段は、互いに値の異なる複数の基準周波数に対応して複数の第2の係数を発生する機能を有していることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
  6. 前記比較波発生回路は、
    可変電流源回路と、
    前記可変電流源回路に接続された比較波発生用コンデンサと、
    前記比較波発生用コンデンサに並列接続された放電用スイッチと、
    前記比較波の最大振幅を決定するための比較波発生用基準電圧源と、
    前記比較波発生用コンデンサに接続された一方の入力端子と前記比較波発生用基準電圧源に接続された他方の入力端子と前記放電用スイッチの制御端子に接続された出力端子とを有する比較波発生用比較器と、
    前記周波数指令形成手段と前記可変電流源回路の制御端子との間に接続され且つ前記周波数指令に比例的に前記可変電流源回路の出力電流(Ic )を制御する電流制御回路と
    を具備していることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  7. 更に、前記差信号形成手段に接続され且つ前記差(ΔT)が所定値よりも小さくなったか否かを判定する機能及び前記差(ΔT)が所定値よりも小さくなったことを示す判定結果によって前記スイッチング素子のオン・オフ制御を停止する機能を有している停止制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  8. 更に、前記差(ΔT)の所定値を示す基準電圧を発生する停止制御用基準電圧源と、
    前記差信号形成手段に接続された一方の入力端子と前記停止制御用基準電圧源に接続された他方の入力端子と前記放電用スイッチの制御端子に接続された出力端子とを有する停止制御用比較器と
    を有していることを特徴とする請求項6記載のインバータ装置。
  9. 前記周波数指令形成手段は、前記推定値(Toh)と前記検出値(Tf )との差(ΔT)が所定値よりも大きい時に、前記スイッチング素子のスイッチング周波数を非可聴周波数にするための周波数指令(fc*)を形成する機能を有していることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
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