JP2006310830A - ボンド磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた防錆性能を有するボンド磁石を提供すること。
【解決手段】 ボンド磁石1は、希土類元素を含む磁性粉末及びバインダー樹脂を含む磁石素体3と、この磁石素体3の表面上に形成されたリン酸金属塩を含む保護層5とを備えている。そして、このボンド磁石1は、リン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子が、X線マイクロアナライザーを用いた線分析により、保護層の表面から40μm以上の深さ位置まで検出される検出箇所を少なくとも一箇所有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ボンド磁石、より詳しくは、表面に保護層が形成されたボンド磁石に関する。
従来、希土類元素を含む磁石としては、磁性粉末を焼結した焼結磁石と、磁性粉末及びバインダー樹脂を混合して成形したボンド磁石とが知られている。これらの希土類元素を含む磁石は、主成分として比較的容易に酸化される希土類元素を含有しているため錆が発生し易く、耐食性が比較的低い傾向にあった。このため、製造時及び使用時において磁石としての性能の劣化が顕著であった。
このような問題点を解決するため、焼結磁石においては、その表面に電着塗装により耐食性を有する保護膜を形成したり、ゾル液を塗布して200℃以上で熱処理することにより耐食性を有する保護膜を形成したりして、磁石の耐食性を改善することが行われている。しかし、もう一方の希土類元素を含む磁石であるボンド磁石は、バインダー樹脂を含有しているため電着塗装が困難であることや、上記のような高温の熱処理ではバインダー樹脂が劣化してしまうこと等の理由によって、焼結磁石と同様の保護膜を形成するのが困難であった。
そこで、上記とは異なるボンド磁石の耐食性を改善する方法として、表面に化成処理を施して化成皮膜を形成する方法が知られている。例えば、下記特許文献1には、表面にリン酸塩を被覆させた樹脂結合型磁石(ボンド磁石)が開示されている。
特開昭64−13707号公報
しかしながら、上述した化成皮膜を形成する方法によっても、ボンド磁石の耐食性、特に防錆性能を十分に向上させるのは未だ困難な傾向にあった。
そこで、本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、従来に比して優れた防錆性能を有するボンド磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らが従来のボンド磁石について詳細な検討を行ったところ、このようなボンド磁石で十分な防錆性能が得られないのは、下記に示す理由が一因となっていることを見出した。すなわち、ボンド磁石には、焼結磁石に比して多数の空隙が形成されていることから、従来の焼結磁石と同様に磁石の表面付近にのみ保護層を形成した場合には、外部の酸素や湿気等が上記空隙を通って内部まで容易に侵入できる状態となってしまうことが判明した。このため、磁石素体と外気とが接触し易くなり、その結果、ボンド磁石の防錆性能が不十分となっていた。
そこで、本発明者らは更に詳細な研究を進めた結果、磁石の表面からある一定以上の深さにまで保護層を形成すれば、上記のような空隙を有するボンド磁石においても外気の侵入を十分に防止し得るようになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のボンド磁石は、希土類元素を含むボンド磁石であって、磁石素体と、磁石素体の表面上に形成されたリン酸金属塩を含む保護層とを備え、リン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子が、X線マイクロアナライザー(EPMA)を用いた線分析により、保護層の表面から40μm以上の深さ位置まで検出される検出箇所を少なくとも一箇所有することを特徴とする。
ここで、リン原子及び金属が、「表面から40μm以上の深さ位置まで検出される」とは、ボンド磁石に対してEPMAによる線分析を行った場合に、当該ボンド磁石の少なくとも一点において、ボンド磁石に照射した電子線が最初に衝突した位置(かかる位置が「表面」に該当する)から40μm以上の深さ位置まで保護層に含まれるリン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子の特性X線が検出されることをいうものとする。つまり、リン原子及び金属原子の特性X線が検出される最大の検出深さ(最大検出深さ)が40μm以上である。ボンド磁石において、このような深さ位置を有する領域は、磁石素体を構成している磁性粉末間の空隙部分において顕著に認められる傾向にある。
本発明のボンド磁石は、希土類元素を含むものの、このように深い位置にまでリン酸金属塩を含む保護層が形成されていることから、上述したような空隙を通って外部の酸素や湿気等が磁石素体内部に侵入することを十分に防止できる。このため、従来のボンド磁石に比して優れた防錆性能を有するものとなり得る。また、この保護層は、例えば、磁石素体を化成処理液に浸すことで形成可能であり、大量の磁石素体に対してまとめて形成することが可能である。このため、このような保護層を施されたボンド磁石は、従来の種々の耐食性被膜が形成された磁石に比して、低コストなものとなり得る。
また、上記本発明のボンド磁石においては、リン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子が、上記検出箇所(40μm以上の深さ位置まで検出される箇所)以外の領域で少なくとも50nm以上の深さ位置まで検出されると好ましい。つまり、保護層は、ボンド磁石の全面にわたって50nm以上の深さ位置まで形成されていることが好ましい。これにより、保護層による防錆性能を十分に確保することができるようになる。
本発明によれば、従来に比して優れた防錆性能を有するボンド磁石を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本実施形態のボンド磁石の構造について図1及び2を参照して説明する。
図1は、本実施形態のボンド磁石を示す斜視図である。また、図2は、図1に示すボンド磁石のII−II方向に沿う断面構造を模式的に示す図である。図示されるように、ボンド磁石1は、磁石素体3と、その表面を覆うように形成された保護層5とを備えた構成を有している。
磁石素体3は、希土類元素を含む磁性粉末とバインダー樹脂とを含むものであり、磁性粉末がバインダー樹脂によって結合された状態となっている。希土類元素を含む磁性粉末としては、希土類磁石の原料として通常用いられるものであれば特に制限はなく、希土類元素としてSmやNd等を含むものが挙げられる。より具体的には、Sm−Co系の磁性粉末、Nd−Fe−B系の磁性粉末、Sm−Fe−N系の磁性粉末等が挙げられる。
上述したなかでも、磁性粉末としては、SmCoやSmCo17で表されるSm−Co系の磁性粉末、又は、NdFe14Bで表されるNd−Fe−B系の磁性粉末が好ましい。これらの磁性粉末は、ボンド磁石1を形成した場合に優れた磁気特性を発現し得る。また、磁性粉末は、その平均粒径(長径)が10〜200μmであり、最大粒径が500μm以下であると、良好な磁気特性が得られるため特に好ましい。
バインダー樹脂としては、磁性粉末同士を結着させることができる熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を適用することができる。このようなバインダー樹脂としは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂がより好ましい。
磁石素体3においては、磁性粉末とバインダー樹脂とは以下に示すような混合比で配合されていることが好ましい。すなわち、磁石素体3においては、磁性粉末とバインダー樹脂との合計100質量部に対して、95質量部以上の磁性粉末が含まれていることが好ましい。磁性粉末の配合量が95質量部未満であると、ボンド磁石1の磁気特性が低下する傾向にある。ただし、磁性粉末を十分に結合させる観点からは、少なくとも1.5質量部のバインダー樹脂が含まれていることが好ましい。
磁石素体3中には、上述した磁性粉末及びバインダー樹脂以外に、ステアリン酸亜鉛等の各種金属石鹸やチタネート系、シラン系等のカップリング剤等が含まれていてもよい。
保護層5は、上述の如く、希土類元素を含む磁石素体3の表面上に形成されたリン酸金属塩を含む層であり、磁石素体3への外気の影響(酸素や湿気等)を低減する機能を有している。このような保護層5は、磁石素体3に対して後述するような化成処理を施すことにより形成された化成皮膜であると好ましい。保護層5を構成するリン酸金属塩としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸鉄、リン酸亜鉛カルシウム等が挙げられる。
保護層5としては、なかでも、リン酸亜鉛(Zn(PO・4HO)を含むものが好ましい。リン酸亜鉛を含む保護層5においては、当該層に含まれるリン(P)及び亜鉛(Zn)が、質量比で、1.25≦Zn/P≦2.44の条件を満たしている場合に、後述するように、希土類磁石1の表面から40μm以上の深さ位置までこれらの元素が検出されるとよい。このような保護層5によれば、特に優れた防錆性能が得られるようになる。なお、保護層5におけるリン及び亜鉛の定量は、レーザーアブレーション−ICP質量分析装置(LA−ICP−MS)を用いて測定することができる。
本実施形態のボンド磁石1においては、上述の如く、磁石素体3の表面上に保護層5が形成されているが、この保護層5は、以下に示す条件を満たすように磁石素体3の所定の深さ位置にまで形成されている。すなわち、ボンド磁石1に対してX線マイクロアナライザー(EPMA)による線分析を行ったとき、保護層5は、ボンド磁石1の表面(すなわち、保護層5の最表面)から40μm以上の深さ位置まで形成されている。EPMAによる線分析によって検出される保護層5の深さ位置を、以下、「検出深さ」という。
EPMAによるボンド磁石の線分析は、具体的には、以下に示すようにして行うことができる。すなわち、ボンド磁石1の表面平坦部や角部等の所望の位置にX線を照射し、このボンド磁石1により反射したX線を、所定の分光結晶で分光した後、検出器で検出し、検出されたX線を分析することによって、保護層5の構成原子であるリン及び亜鉛がどの程度の深さ位置まで検出されるかを測定する。これにより測定された深さ位置が、上記「検出深さ」となる。分光結晶は、検出すべき元素に応じて適宜選択して用いることが好ましく、リン原子には高感度ペンタエリスリトールPET、亜鉛原子にはフッ化リチウムLiFを適用することができる。また、検出器としては、キセノン封入型検出器が挙げられる。
磁石素体3の表面は、微視的に見れば磁性粉末を構成する粒子によって微小な凹凸を有した状態となっている。保護層5は、このような磁石素体3の凹凸表面上に形成されていることから、その厚さ又は表面からの深さは不均一となっており、比較的厚く(深く)形成されている領域と、比較的薄く(浅く)形成されている領域とが混在している。
本実施形態のボンド磁石1においては、このような不均一な厚さ(深さ)を有する保護層5が、少なくとも一箇所において、上述した検出深さ(すなわち40μm以上)の位置まで検出される箇所(検出箇所)を有していれば、十分な防錆性能を発揮し得る。つまり、ボンド磁石1における保護層5は、検出深さが40μm未満の領域を有していても構わない。ただし、保護層5による防錆性能を十分に確保する観点からは、保護層5は、ボンド磁石1の全体にわたって最低でも50nm以上の検出深さを有するように形成されていることが好ましい。
特に、後述する化成処理によって保護層5を形成すると、ボンド磁石1においては、平面部よりも角部の保護層5が薄く又は浅くなる傾向にあることから、ボンド磁石1は、その角部の保護層5が上記検出深さ以上を有していると、優れた防錆性能を発揮し得るものとなり易い。
なお、より優れた防錆性能を得る観点からは、保護層5は、40μm以上の検出深さを少なくとも一箇所有するように形成されていると好ましく、70μm以上の検出深さを少なくとも一箇所有するように形成されているとより好ましい。
このように、本実施形態のボンド磁石1は、磁石素体3の表面上に上述した条件を満たす保護層5が形成されている。かかる保護層5は、ボンド磁石1の外部に存在する酸素や湿気等を内部に通し難いという特性を有している。そのため、この保護層5を備えるボンド磁石においては、内部の磁石素体3と外気との接触が少なく、磁石素体3に含まれる希土類元素の酸化反応等に基づく特性低下が大幅に低減される。
次に、上述した構成を有するボンド磁石1の製造方法について説明する。
まず、希土類元素を含む磁性材料を形成するために所望の組成を有する合金を、鋳造法、メルトスピニング法、ストリップキャスト法等のプロセスにより製造する。得られた合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いて粗粉砕した後、更にジェットミル、アトライター等の微粉砕機により上述した磁性粉末の好適な粒径となるように微粉砕して磁性粉末を得る。
得られた磁性粉末をバインダー樹脂及び硬化剤等と混合した後、加圧ニーダー等の混練機に投入して混練する。次いで、この混錬物を、圧縮成形機等により圧縮成形する。この際、磁場中で圧縮成形を行うことにより着磁を同時に行ってもよい。なお、着磁は、圧縮成形後に別途行ってもよい。優れた磁気特性を有する磁石素体3を得る観点からは、784〜980MPa、8〜10t/cm程度の高圧力で圧縮成形を行うことが好ましい。
それから、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合には、圧縮成形後、得られた成形体を100〜250℃程度で加熱することによりバインダー樹脂を硬化させて、磁石素体3を得る。バインダー樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、このような熱硬化は行わなくてよい。
続いて、磁石素体3にエタノール等の溶媒を吹き付けることにより磁石素体3を洗浄して、磁石素体3の表面に付着した余分な磁性粉末や油分を除去する。なお、溶媒としては、十分な洗浄機能を有しており、磁石素体3中のバインダー樹脂等に影響のないものであれば特に制限はなく、エタノール以外の溶媒を用いてもよい。また、溶媒吹き付けによる洗浄に代えて、超音波洗浄を行ってもよく、これらを併用してもよい。洗浄後、磁石素体3表面に付着した溶媒等は、自然乾燥又は加熱乾燥により除去する。
それから、洗浄後の磁石素体3に対して、後述の化成処理を良好に行うための表面調整工程を行う。具体的には、例えば、リン酸チタン等のチタン塩のコロイド粒子を含む溶液に磁石素体3を浸漬することにより、磁石素体3の表面に当該コロイド粒子を付着させる。これにより、このコロイド粒子が付着した部分が活性点となり、その後の化成処理が良好に行われるようになる。コロイド粒子を磁石素体3の内部まで付着させることを目的として、減圧下で上述した浸漬を行ってもよい。
次いで、磁石素体3を所定の化成処理液に浸漬することにより化成処理を施し、磁石素体3の表面にリン酸金属塩を含む化成皮膜からなる保護層5を形成させて、図1及び2に示す構造のボンド磁石1を得る。具体的には、例えば、リン酸金属塩としてリン酸亜鉛を用いる場合、まず、磁石素体3を、リン酸、硝酸、酸化亜鉛等を含む化成処理液に浸漬させる。かかる化成処理液には、PO 3ー、NO 、Zn2+等のイオンが含まれている。このような化成処理液に浸漬された磁石素体3においては、表面に存在する金属(例えば、Fe等)がリン酸と反応することによって化成処理液に溶解する。そして、この溶解が生じた表面上において、亜鉛イオンとリン酸イオンが反応して、リン酸亜鉛が生成する。なお、このような反応は、磁石素体3表面において、磁性粉末がバインダー樹脂に覆われていない領域で生じることとなる。
化成処理の際の化成処理液の温度は、40〜90℃とすることが好ましく、50〜80℃とすることがより好ましく、65〜75℃とすることが特に好ましい。化成処理の温度条件が50℃未満であると、化成処理液中の各成分の溶解性が低下して、上述したような検出深さを有する保護層5が得られ難くなる傾向にある。また、化成処理の処理時間は、5〜30分程度とすることが好ましい。化成処理時間がこれよりも短いと、十分な厚さの保護層5が形成されない傾向にあり、これよりも長いと、製造にかかるコストが増大するほか、化成処理液が蒸発し易くなって当該溶液の濃度変化が不都合に大きくなる場合がある。
その後、得られたボンド磁石1をイオン交換水により洗浄して表面に付着した化成処理液を除去した後、85℃、30分程度の乾燥を行い、処理を終了する。
以上、好適な実施形態に係るボンド磁石の構造及び製造方法について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、その趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、まず、ボンド磁石は、保護層の表面上に更に塗装等による塗膜が形成されたものであってもよい。上述した保護層は、磁石素体の表面を保護する機能のみならず、当該保護層の上に更に形成される膜等との密着性にも優れるという特性を合わせて有している。したがって、このような保護層を備えるボンド磁石に、更に塗装等を施した場合、塗膜の磁石素体に対する密着性が極めて良好となり、得られたボンド磁石は、一層優れた耐食性(防錆性能)を発揮し得るものとなる。
また、上述した製造方法においては、磁性粉末を製造するための原料として合金を準備してこれを粉砕したが、例えば、この合金を、いったん溶解させた後、高速急冷して合金薄帯とした後に粉砕を行ってもよい。これにより、より磁気特性に優れたボンド磁石が得られるようになる。さらに、上記実施形態では、磁石素体3の成形を圧縮成形により行ったが、例えば、押し出し成形等により行ってもよい。さらにまた、磁石素体3の化成処理は、保護層5の検出深さを増大させるために減圧下で行ってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ボンド磁石の製造]
(実施例1)
72質量%のFe、19質量%のNd及び7質量%のBを含む合金を準備し、これを粉砕して磁性粉末を得た。次に、得られた磁性粉末をバインダー樹脂であるエポキシ樹脂と混合した後、980MPaの圧力で圧縮成形し、さらに150℃の熱処理を施しバインダー樹脂を硬化させて、磁石素体を得た。
次いで、得られた磁石素体をエタノールで洗浄して乾燥した後、リン酸チタンのコロイド溶液に浸漬して表面調整処理を行った。その後、表面調整処理後の磁石素体を、16000ppmのPO、7000ppmのNO及び7000ppmのZnを含む化成処理液に浸漬して化成処理を行い、磁石素体表面に化成皮膜からなる保護層を形成させてボンド磁石を得た。なお、本実施例においては、化成処理を、化成処理液温度70℃、処理時間10分の条件で行った。
その後、得られたボンド磁石をイオン交換水で洗浄した後、85℃で30分乾燥して、実施例1のボンド磁石を完成させた。なお、得られたボンド磁石の保護層について、レーザーアブレーション−ICP質量分析装置(LA−ICP−MS;レーザー部:New Wave Research社製LUV266X、ICP−MS部:横河アナリティカルシステムズ製Agilent7500S、レーザー条件:波長20μm、周波数10Hz)による観察を行ったところ、保護層に含まれるリン(P)と亜鉛(Zn)の質量比Zn/Pは、1.25≦Zn/P≦2.44の範囲内であることが確認された。
(比較例1)
化成処理を、化成処理液温度50℃、処理時間10分の条件で行ったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のボンド磁石を得た。
(比較例2)
化成処理を、化成処理液温度60℃、処理時間10分の条件で行ったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のボンド磁石を得た。
[特性評価]
(ボンド磁石のEPMAによる線分析)
実施例1及び比較例1〜2のボンド磁石について、表面及び角部を線分析し、これらの各部分においてリン原子又は亜鉛原子が検出される最大の深さ(最大検出深さ;μm)を測定した。線分析には、X線マイクロアナライザー(EPMA;JEOL製JXA−8800RL)を用い、加速電圧:15kV、照射電流量:0.1A、測定範囲:0〜500μm、ピッチ:100μm、電子線滞在時間(dwelltime):1000ms、分析線:P、ZnのKα線、の条件で、分光結晶(P:高感度ペンタエリスリトールPET、Zn:フッ化リチウムLiF)で分光したX線を、キセノン封入型検出器で検出し、分析した。分析試料としては、ボンド磁石をエポキシ樹脂に埋め込んだ後、研磨して露出した断面に、カーボンを蒸着したものを用いた。得られた結果をまとめて表1に示す。
Figure 2006310830
(防錆性能の評価:高温高湿試験)
実施例1、比較例1及び比較例2の各ボンド磁石を、それぞれ10個ずつ作製し、これらを60℃、95%RHの高温高湿環境下に500時間放置した後、高温高湿放置後の全てのボンド磁石の表面を顕微鏡(10倍)で観察して、錆の発生の有無を確認した。そして、各実施例又は比較例の10個のサンプル中、錆の発生が見られなかったもの(以下、「良品」とする)の数を数えた。この結果に基づいて、各実施例及び比較例のボンド磁石で良品が得られた割合(良品率(%))を算出した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2006310830
(防錆性能の評価:水道水への浸漬試験)
実施例1、比較例1及び比較例2のボンド磁石を、25℃の水道水(Na含有量:17ppm、Cl含有量:23ppm)に10時間浸漬した後に取り出し、各ボンド磁石が浸漬されていた水道水を観察して、水道水にボンド磁石からの錆が混入しているかどうかを目視で確認した。得られた結果を表3に示す。表3中、錆の混入が見られなかったものを◎、錆の混入がわずかに見られたものを○、錆の混入が顕著に見られたものを×で示した。
Figure 2006310830
表1〜表3より、実施例1のボンド磁石は、高温高湿試験及び水道水浸漬試験において錆の発生が確認されなかった。これに対し、比較例1及び2のボンド磁石では、双方の試験において錆の発生が見られた。この結果から、EPMAによる所定以上の検出深さまで保護層(化成皮膜)が形成された本発明のボンド磁石によれば、優れた防錆性能が得られることが判明した。
本実施形態のボンド磁石を示す斜視図である。 図1に示すボンド磁石のII−II方向に沿う断面構造を模式的に示す図である。
符号の説明
1…ボンド磁石、3…磁石素体、5…保護層。

Claims (2)

  1. 希土類元素を含むボンド磁石であって、
    磁石素体と、該磁石素体の表面上に形成されたリン酸金属塩を含む保護層と、を備え、
    前記リン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子が、X線マイクロアナライザーを用いた線分析により、前記保護層の表面から40μm以上の深さ位置まで検出される検出箇所を少なくとも一箇所有することを特徴とするボンド磁石。
  2. 前記リン酸金属塩に由来するリン原子及び金属原子が、前記検出箇所以外の領域で少なくとも50nm以上の深さ位置まで検出されることを特徴とする請求項1記載のボンド磁石。
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