JP2006310201A - 燃料電池用ガス拡散層、および、これを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散層、および、これを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガス拡散層に排水性および保湿性を付与する。
【解決手段】 導電性多孔質基材層上にカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、前記カーボン層に、水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用ガス拡散層に関し、より詳細には、排水性と保湿性とを有する燃料電池用ガス拡散層に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池には、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などがある。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動して高出力密度が得られることから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜の両側に二つの電極が配設され、さらにこれをガス拡散層で挟持した構造となっている。電極は、電極触媒と固体高分子電解質との混合物により形成された多孔性のものであり、電極触媒層とも呼ばれる。
固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応などを通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。まず、アノード(燃料極)側に供給された燃料ガスに含まれる水素が、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード(酸素極)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、アノード側電極触媒層を構成している導電性担体、さらにアノード側電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。かような電気化学的反応は、主に、触媒粒子と、固体高分子電解質と、燃料ガスまたは酸化剤ガスなどの反応ガスと、が接触する三相界面において進行するのである。従って、ガス拡散層は、供給された反応ガスを電極触媒層へと均一に供給することが必要とされる。
また、燃料電池における固体高分子電解質膜は、湿潤していないと高いプロトン導電性を示さない。そのため、固体高分子型燃料電池に供給する反応ガスは、ガス加湿装置などを用いて加湿することにより、固体高分子電解質膜の湿度分布を均一にする必要がある。
高加湿、高電流密度などの運転条件下では、アノードからカソードに向けて固体高分子電解質膜を移動するプロトンに伴って移動する水の量、およびカソード側電極触媒層内に生成して凝集する生成水の量が増加する。この時、これらの生成水は、特にカソード側電極触媒層内に滞留し、反応ガス供給路となっていた細孔を閉塞するフラッディング現象を招く。これにより、反応ガスの拡散などが阻害され、電気化学的反応が妨げられ、結果として電池性能の低下を招く。
そこで、従来では、導電性多孔質基材層表面にカーボンブラックおよび疎水剤などからなるカーボン層を有するガス拡散層がMEAに用いられている(例えば、特許文献1参照。)。前記カーボン層は、疎水剤にコーティングされたカーボンブラックが集合体となり多孔質構造を形成する。従って、加湿して供給された反応ガスをより均一に拡散させることができるだけでなく、過剰な水を毛細管力により吸い取り速やかに排出することが可能となる。また、特許文献2では、気孔径の分布中心が異なる気孔が混在するカーボン層を有するガス拡散層が開示されている。これにより、ガス通路と水通路とを分離し、フラッディング現象を防止している。また、特許文献3では、カーボン層の面方向に撥水性材料および気孔径分布に傾斜を付与したカーボン層を有するガス拡散層が開示されている。
特開2003−89968号公報 特開2001−57215号公報 特開2003−092112号公報
燃料電池には、従来から、広範な運転条件において高い発電性能を維持できることが所望されている。
しかしながら、特許文献1による導電性多孔質基材層上にカーボン層が形成されてなるガス拡散層によれば、ある程度の排水性は向上するが、低加湿および低電流密度などの運転条件下では、生成水も少なく固体高分子電解質膜が乾き易くなり、電池出力が低下する問題があった。
また、特許文献2および特許文献3のガス拡散層によっても、高加湿運転時の排水性を向上させることは可能であるが、十分な保湿性が得られず、低加湿運転時などにおいて固体高分子電解質膜の乾燥を十分に抑制することができない問題があった。
そこで、本発明が目的とするところは、排水性と保湿性の双方を兼ね備えたガス拡散層を提供することである。
本発明は、導電性多孔質基材層上にカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、
前記カーボン層が、水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類含む燃料電池用ガス拡散層により上記課題を解決する。
上記構成を有する本発明によれば、排水性と保湿性の双方を兼ね備えたガス拡散層を提供することが可能となる。従って、前記ガス拡散層によれば、広範な運転条件下において、高い発電性能を安定して示すことができる燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の第一は、上述の通り、導電性多孔質基材層上にカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、前記カーボン層が、水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類含む燃料電池用ガス拡散層である。
導電性カーボンにおける水蒸気吸着性能とは、導電性カーボン表面に吸着できる水蒸気量を意味する。具体的には、導電性カーボンの重量(g)に対する導電性カーボン表面に吸着できる水蒸気の体積(ml)を導電性カーボンにおける水蒸気吸着性能(ml/g)とする。前記導電性カーボンの水蒸気吸着性能は、70℃における水蒸気吸着等温線測定で得られる相対圧(飽和水蒸気圧に対する水蒸気圧)0〜1におけるものとし、これは市販の水蒸気吸着等温線測定装置(日本ベル(株)製 BELSORP 18)により測定することができる。
本発明では、ガス拡散層に排水性および保湿性を付与することについて種々の検討を行った結果、ガス拡散層におけるカーボン層に水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類用いることで、カーボン層における保湿性を調整するのが容易であることが判明した。すなわち、カーボン層において、水蒸気吸着性能が高い導電性カーボンを用いた部位はより多くの水蒸気を吸着することができガス拡散層に排水性およびガス拡散性を付与することが可能となり、水蒸気吸着性能が低い導電性カーボンを用いた部位は水蒸気の吸着量が少なくガス拡散層内の保湿性を適度に保つことが可能となる。従って、本発明のガス拡散層は、排水性と保湿性とを兼ね備えることができ、低加湿運転、低電流密度など運転条件下であっても燃料電池における固体高分子電解質膜の乾燥を防止し、高加湿運転、高電流密度などの運転条件下であっても生成水によるフラッディング現象を抑制することが可能となる。
また、カーボン層に水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類用いることで、カーボン層において保湿性を高めたい部位や、排水性を高めたい部位の調整を容易に行うことができる。
導電性カーボンにおける水蒸気吸着性能として、具体的には、ガス拡散層に保湿性を付与する観点からは、70℃における水蒸気吸着等温線測定で得られる相対圧(飽和水蒸気圧に対する水蒸気圧)0〜1における水蒸気吸着性能が、好ましくは0〜0.5ml/g、より好ましくは0〜0.3ml/g、特に好ましくは0〜0.1ml/gである水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンがカーボン層に含まれるのがよい。
また、ガス拡散層に排水性を付与する観点からは、70℃における水蒸気吸着等温線測定で得られる相対圧(飽和水蒸気圧に対する水蒸気圧)0〜1における水蒸気吸着性能が、好ましくは0.5ml/gを超え1ml/g未満、より好ましくは0.7〜1ml/g、特に好ましくは0.8〜1ml/gである水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンがカーボン層に含まれるのがよい。
本発明のカーボン層では、上記した少なくとも二種類の水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンを用いるのがよい。
前記カーボン層において、好ましくは、厚さ方向に向かって前記導電性カーボンの水蒸気吸着性能を大きくする。これにより、カーボン層の断面方向に保湿性を変えることができる。
カーボン層における導電性カーボンの水蒸気吸着性能がカーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって小さくなる場合、カーボン層表面から厚さ0〜50μmの部分に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を、好ましくは0.5〜1ml/g、より好ましくは0.7〜1ml/g、特に好ましくは0.8〜1ml/gとし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜50μmの部分に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を、好ましくは0〜0.5ml/g、より好ましくは0〜0.3ml/g、特に好ましくは0〜0.1ml/gとし、カーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって導電性カーボンの水蒸気吸着性能を小さくなるようにするのがよい。
また、カーボン層における導電性カーボンの水蒸気吸着性能がカーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって小さくする場合、カーボン層表面から厚さ0〜50μmの部分に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を、好ましくは0〜0.5ml/g、より好ましくは0〜0.3ml/g、特に好ましくは0〜0.1ml/gとし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜50μmの部分に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を、好ましくは0.5〜1ml/g、より好ましくは0.7〜1ml/g、特に好ましくは0.8〜1ml/gとし、カーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって導電性カーボンの水蒸気吸着性能を小さくなるようにするのがよい。
厚さ方向に向かって前記導電性カーボンの水蒸気吸着性能が大きくなる構成を有するカーボン層において、導電性カーボンの水蒸気吸着性能は厚さ方向に向かって、段階的に大きくなってもよく、漸増して大きくなってもよい。しかしながら、製造が容易である他、電解質膜の保湿の効果が得られることから、導電性カーボンの水蒸気吸着性能は厚さ方向に向かって段階的に大きくなる構成となるのが望ましい。
かような構成を有するカーボン層の好ましい形態としては、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能が、前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能よりも大きくする形態が挙げられる。
本発明のガス拡散層において、前記カーボン層(1)が、導電性多孔質基材層と接して配置されるのがよい。かような構成を有するガス拡散層を図1の断面模式図を用いて説明する。図1において、本発明のガス拡散層は、導電性多孔質基材層121上に、カーボン層(1)122と、カーボン層(2)123とがこの順で積層されてなる構成を有する。カーボン層(2)123よりもカーボン層(1)122に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を大きくすることにより、厚さ方向に向かって(矢印a方向)カーボン層における導電性カーボンの水蒸気吸着性能を段階的に大きくすることができる。
このように導電性多孔質基材層とカーボン層(1)とが接触して配置されることにより、カーボン層(1)において水蒸気吸着が促進されて湿度が下がることにより、カーボン層と導電性多孔質基材層との間のガスの移動を促進することが可能となりガス拡散層のガス拡散性を向上させることができる。さらに、前記ガス拡散層を用いてMEAとした際に、前記カーボン層(2)と電極触媒層とを接して配置することができ、電極触媒層付近の水蒸気吸着を抑制し、発電反応により生成した水によって湿度を高く保つことができ、電極触媒層および固体高分子電解質膜の乾燥を抑制することが可能となる。従って、前記カーボン層を有するガス拡散層によれば、カーボン層に排水性および保湿性を効率的に付与することができるのである。
前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能は、好ましくは0〜0.5ml/g、より好ましくは0〜0.3ml/g、特に好ましくは0〜0.1ml/gの範囲にあるとよい。前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着量が上記範囲内であれば膜電極接合体における固体高分子電解質膜の乾燥を抑制することができる。
前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能は、好ましくは0.5〜1ml/g、より好ましくは0.7〜1ml/g、特に好ましくは0.8〜1ml/gの範囲にあるとよい。前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着量が上記範囲内であれば膜電極接合体におけるフラッディングを抑制することができる。
本発明のガス拡散層におけるカーボン層(1)および(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能は、前記ガス拡散層の水蒸気吸着等温線を測定することにより測定できる。
前記カーボン層に用いられる導電性カーボンとしては、主成分がカーボンであるのが好ましい。これにより高い電子伝導性が得られる。前記導電性カーボンとして、より具体的には、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックなどが好ましく挙げられる。
前記導電性カーボンは、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などであってもよい。また、耐食性などを向上させるために、前記カーボン粒子に黒鉛化処理などの加工を行ってもよい。
本発明のカーボン層では、上述した導電性カーボンから所望する水蒸気吸着性能を有するものを適宜選択して用いるのがよい。
前記導電性カーボンの形状は、特に制限されず、粒子状、楕円状、立方体状などのいずれの形状を有していていてもよいが、カーボン層における空孔径の調整などを考慮すると粒子状を有しているのが好ましい。この場合、前記導電性カーボンは、特に制限されないが、平均粒子径が好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μm程度のものを用いるのがよい。
前記カーボン層は、導電性カーボンと疎水剤とを含むのが好ましい。これにより疎水剤にコーティングされた導電性カーボンが集合体となり安定した多孔質構造を有するカーボン層が得られる。
前記カーボン層がカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有する場合、前記カーボン層(2)において、前記導電性カーボンと疎水剤との質量比を、好ましくは80:20〜60:40、より好ましくは80:20〜63:37、特に好ましくは80:20〜65:35とするのがよい。これにより、前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボン表面の水蒸気吸着性能を低くすることがで、さらに、空孔径を適度に調整することができカーボン層におけるガス拡散性を向上させることも可能となる。
前記カーボン層(1)において、前記導電性カーボンと疎水剤との質量比を、好ましくは90:10以上80:20未満、より好ましくは88:12以上80:20未満、特に好ましくは85:15以上80:20未満とするのがよい。これにより、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボン表面の水蒸気吸着性能を大きくすることができ、さらに、空孔径を適度に調整することができカーボン層におけるフラッディングを防止することができる。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に、さらに他のカーボン層を配置すればよい。この時、カーボン層全体において厚さ方向に向かって導電性カーボンの吸着性能が大きくなるようにして、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間にさらに配置される他のカーボン層における導電性カーボンと疎水剤との質量比を調整すればよい。具体的には、カーボン層(2)とカーボン層(1)の導電性カーボンと疎水剤との質量比に対して、中間の値を取ればよい。
前記カーボン層に用いられる導電性カーボンとして具体的な説明は上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
前記カーボン層に用いられる疎水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
前記カーボン層がカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有する場合、疎水剤と導電性カーボンが所定の比率を有する構成の他、カーボン層(1)とカーボン層(2)とで含まれる導電性カーボンの比表面積を変える構成も好ましい。
具体的には、前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの比表面積を、好ましくは200m/g未満、より好ましくは50〜150m/g、特に好ましくは50〜100m/gとするのがよい。これによりカーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を低くすることができるだけでなく、カーボン層の耐久性を向上させることが可能となる。カーボン層(2)は膜電極接合体を組立てた際に電極触媒層と接して配置される。電極触媒層の構成材料であるNafion(登録商標)等の固体高分子電解質は一般的には強酸性であるため、カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンを腐食させる恐れがある。しかしながら、比表面積が200m/g未満の導電性カーボンは耐食性にも優れるため、前記導電性カーボンをカーボン層(2)に配置することにより、導電性カーボンの腐食を抑制してカーボン層の耐久性を向上させることができるのである。
また、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの比表面積を、好ましくは200m/g以上、より好ましくは500〜1000m/g、特に好ましくは750〜1000m/gとするのがよい。これによりカーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を高くすることができるだけでなく、水蒸気から凝縮された水分が導電性カーボン表面を覆うようにして広がるため、水分によってカーボン層(1)における空孔が閉塞されるのを抑制してフラッディングを防止することができる。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に、さらに他のカーボン層を配置すればよい。この時、カーボン層全体において厚さ方向に向かって導電性カーボンの吸着性能が大きくなるようにして、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間にさらに配置される他のカーボン層における導電性カーボンの比表面積を調整すればよい。具体的には、カーボン層(2)とカーボン層(1)における導電性カーボンの比表面積に対して、中間の値を取ればよい。
前記カーボン層に用いられる導電性カーボンとしては、主成分がカーボンであるのが好ましい。なお、前記導電性カーボンの具体的な種類、形状などは上記したのと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、カーボン層における前記導電性カーボンの比表面積は、BETの窒素吸着法により測定できる。
前記比表面積が200m/g未満の導電性カーボンとしては、黒鉛化カーボンを用いるのがより好ましい。前記黒鉛化カーボンは、上述したカーボンブラックなどの導電性カーボンを熱処理などにより黒鉛化したものである。導電性カーボンは黒鉛化が進行することにより、比表面積が減少して水蒸気吸着性能が小さくなるとともに、耐食性が向上する。前記熱処理としては、特に制限されないが、上述したカーボンブラックを不活性ガス雰囲気下、1500〜3000℃程度の高温で熱処理する方法などが挙げられる。
前記比表面積が200m/g未満の導電性カーボンとしては、黒鉛化カーボンの他に、アセチレンブラックも好ましく用いられる。アセチレンブラックは、原料であるアセチレンの純度が高いことや分解生成時に高温になることから、比表面積が小さく、水蒸気吸着性能も小さいため好ましく用いられる。
導電性カーボンの比表面積が調整された前記カーボン層は、前記導電性カーボンの他に、さらに、バインダーとして疎水剤を含むのが好ましい。前記疎水剤としては、上述したのと同様のものが用いられるため、ここでは詳細な説明を省略する。
導電性カーボンの比表面積が調整された前記カーボン層について、前記導電性カーボンと前記疎水剤の質量比は、好ましくは90:10〜60:40、より好ましくは80:20〜70:30とする。従って、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)においては、得られるカーボン層の水蒸気吸着性能などが所望の値となるように、前記導電性カーボンと前記疎水剤との質量比を上記範囲内で調整するのがよい。
より好ましくは、前記カーボン層(1)における前記導電性カーボンと疎水剤との質量比を、90:10〜80:20、特に90:10〜85:25とするのがよい。これにより、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボン表面の水蒸気吸着性能をより大きくすることができるだけでなく、フラッディングを防止することができる。また、前記カーボン層(2)における前記導電性カーボンと疎水剤との質量比を、好ましくは80:20〜60:40、より好ましくは70:30〜60:40とするのがよい。これにより、前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボン表面の水蒸気吸着性能をより低くすることができるだけでなく、ガス拡散性に優れるカーボン層が得られる。
導電性カーボンと親水剤とを含むカーボン層では、水蒸気吸着が促進されてガス拡散性が高い。従って、本発明のガス拡散層におけるカーボン層のガス拡散性を高くしたい部位に、導電性カーボンと親水剤とを含ませてもよい。
好ましくは、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有するカーボン層において、前記カーボン層(1)が導電性カーボンと親水剤とを含む。これにより、水蒸気吸着がより促進されて、カーボン層と導電性多孔質基材層との間のガスの移動をより促進することが可能となり、ガス拡散層のガス拡散性をより向上させることができる。
前記カーボン層(1)における導電性カーボンとしては、主成分がカーボンであるのが好ましい。なお、前記導電性カーボンの具体的な種類、形状などは上記したのと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、前記親水剤としては、Nafion(DuPont社製 登録商標)、Flemion(旭化成株式会社製 登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどの、スルホン酸基等の親水性基を含有する高分子などが好ましく挙げられる。これらの親水剤であれば、導電性カーボンの水蒸気吸着性能を向上させるだけでなく、結着剤の機能を果たすこともできるため、親水剤にコーティングされた導電性カーボンが集合体となり安定した多孔質構造を有するカーボン層(1)が得られる。
前記カーボン層(1)において、導電性カーボンと親水剤との質量比は、好ましくは90:10〜60:40、より好ましくは80:20〜70:30、とするのがよい。導電性カーボンと親水剤との質量比が上記範囲内であれば、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能を十分に高めることができる。
カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有するカーボン層において、前記カーボン層(1)が導電性カーボンと親水剤とを含む構成を有する場合、前記カーボン層(2)としては、疎水剤および導電性カーボンを含むものを用いればよい。前記疎水剤および導電性カーボンを含むカーボン層(2)としては、上記したのと同様のものが用いられるため、詳細な説明は省略する。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に、さらに他のカーボン層を配置すればよい。この時、カーボン層全体において厚さ方向に向かって導電性カーボンの吸着性能が大きくなるようにして、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間にさらに配置される他のカーボン層における導電性カーボンの比表面積を調整すればよい。具体的には、カーボン層(2)とカーボン層(1)における導電性カーボンの比表面積に対して、中間の値を取ればよい。
また、予め親水処理された導電性カーボンもより高い水蒸気吸着性能を有する。また、かような導電性カーボンは、水蒸気から凝縮させた水分を導電性カーボン表面を覆うようにして吸着することができる。従って、本発明のガス拡散層におけるカーボン層の排水性を高めたい部位に親水処理された導電性カーボンを含ませることにより、優れた排水性およびガス拡散性をカーボン層に付与することができる。
好ましくは、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有するカーボン層において、前記カーボン層(1)が親水処理された導電性カーボンを含む。これにより、水蒸気吸着がより促進されて、カーボン層と導電性多孔質基材層との間のガスの移動をより促進することが可能となり、ガス拡散層のガス拡散性をより向上させることができる。
親水処理された導電性カーボンに用いられる導電性カーボンとしては、主成分がカーボンであるのが好ましい。なお、前記導電性カーボンの具体的な種類、形状などは上記したのと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
前記親水処理された導電性カーボンとしては、上述した導電性カーボンに、カルボキシル基、フェノール基などの親水性基が導入されることにより表面が親水性に改質されたものなどが挙げられる。前記親水性基は、水蒸気から水分子の吸着を促進する活性サイトとして作用するとともに、吸着させた水分子間の水素結合を媒介として水の凝縮を促進することができ、これにより導電性カーボン表面の水蒸気吸着性能をより向上させることができる。
前記親水性基が導入された導電性カーボンは、過マンガン酸カリウム、硝酸、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過酸化水素などを含む強酸化性水溶液に導電性カーボンを浸漬させる液相法など公知の方法を用いることにより得られる。
前記親水処理された導電性カーボンとしては、上記したものの他に、酸化皮膜が形成された導電性カーボンも好ましく挙げられる。空気雰囲気中で熱処理することにより導電性カーボン表面に形成された酸化被膜は親水性を有する。
前記酸化被膜の厚さは、好ましくは50〜200nm、より好ましくは100〜150nm程度とするのがよい。酸化被膜の厚さが、50nm未満であると十分な水蒸気吸着性能が得られない恐れがあり、200nmを超えると熱伝導性が低下するする恐れがある。なお、カーボン粒子の酸化被膜の厚さは、元素分析することにより測定できる。
前記酸化皮膜が形成された導電性カーボンは、導電性カーボンを空気雰囲気中で熱処理することにより得られる。熱処理は、好ましくは500〜1500℃、より好ましくは700〜1000℃で、0.5〜1時間程度行えばよい。
また、酸化皮膜の親水性をより向上させるために、前記熱処理を行う前に、導電性カーボン表面に酸化処理により親水性を発現する物質を形成する元素を予め添加してもよい。
酸化処理を行うことにより親水性を発現する物質としては、リン酸ナトリウム(NaPO)などのナトリウムおよびリンを含む酸化物の他に、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の酸化物、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物などが挙げられる。
従って、カーボン粒子に予め添加する元素としては、リン、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属などの、前記金属酸化物を構成する金属の元素が挙げられる。これらの金属の元素であれば、空気雰囲気中の熱処理などの酸化処理により酸化されて、親水性を発現する物質を形成することができる。前記金属の元素は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、前記金属の元素は、塩化ナトリウム(NaCl)、リン石灰(CaF(PO)など、前記金属の元素を含む化合物として導電性カーボンに予め添加されてもよい。
酸化処理により親水性を発現する物質を形成する元素を導電性カーボン表面に添加するには、上述した元素を含む溶液中に導電性カーボンを浸漬させる方法などを用いればよく、特に制限されない。
前記カーボン層(1)において上述した親水処理された導電性カーボンの他に、疎水剤または親水剤を含むのがよい。これにより、親水剤または疎水剤にコーティングされた導電性カーボンが集合体となり安定した多孔質構造を有するカーボン層(1)が得られる。なお、親水剤および疎水剤の具体的な種類は、上述したのと同様のものが用いられる。
前記カーボン層(1)において、親水処理された導電性カーボンと、疎水剤または親水剤との質量比は、好ましくは90:10〜60:40、より好ましくは80:20〜70:30とするのがよい。これにより、前記カーボン層(1)における導電性カーボンの水蒸気吸着性能を十分に高めることができる。
カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなる構成を有するカーボン層において、前記カーボン層(1)が親水処理された導電性カーボンを含む構成を有する場合、前記カーボン層(2)としては、疎水剤および導電性カーボンを含むものなど上述したのと同様のものを用いればよい。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に、さらに他のカーボン層を配置すればよい。この時、カーボン層全体において厚さ方向に向かって導電性カーボンの吸着性能が大きくなるようにして、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間にさらに配置される他のカーボン層における導電性カーボンの比表面積を調整すればよい。具体的には、カーボン層(2)とカーボン層(1)における導電性カーボンの比表面積に対して、中間の値を取ればよい。
本発明のガス拡散層において、前記カーボン層の厚さは、好ましくは25〜100μm、より好ましくは50〜75μm程度とすればよい。カーボン層の厚さが、25μm未満であるとカーボン層による効果が所望するほど得られない恐れがあり、100μmを超えるとガスの拡散経路が長くなり却ってガス拡散性が低下する恐れがある。
また、前記カーボン層をカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層構造とする場合には、前記カーボン層(1)の厚さは、好ましくは12.5〜50μm、より好ましくは25〜37.5μm程度とすればよい。また、前記カーボン層(2)の厚さは、好ましくは12.5〜50μm、より好ましくは25〜37.5μm程度とすればよい。
前記カーボン層の空隙率は、所望するガス拡散層が得られるように適宜決定すればよいが、60〜90体積%程度とすればよい。また、前記カーボン層をカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層構造とする場合には、カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各空隙率は、特に制限されないが、上記範囲内となるようにすればよい。
前記カーボン層の平均空孔径は、所望するガス拡散層が得られるように適宜決定すればよいが、50〜100nm程度とすればよい。また、前記カーボン層をカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層構造とする場合には、カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各平均空孔径は、特に制限されないが、上記範囲内となるようにすればよい。
本発明のガス拡散層は、上述したカーボン層の他、導電性多孔質基材層を有する。前記導電性多孔質基材層は、外部から供給された燃料ガスまたは酸化剤ガスを十分に拡散させるための多孔質構造を有し、発電反応により生成した電子を集電するための十分な導電性を有する基材からなるものであればよい。
前記導電性多孔質基材層は、従来公知のものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料などが挙げられる。より具体的には、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボン不織布などの基材が好ましく挙げられる。前記導電性多孔質基材層は、市販品を用いることもでき、例えば、東レ株式会社製カーボンペーパTGPシリーズ、東邦テナックス株式会社製カーボンクロスなどが挙げられる。
前記導電性多孔質基材層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記導電性多孔質基材層には、排水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐために撥水剤が含まれているのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
本発明のガス拡散層の製造方法としては、特に制限されず公知の方法を適宜参照して用いることができる。
まず、導電性多孔質基材層の撥水処理方法としては、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。撥水剤の水性ディスパージョン溶液またはアルコールディスパージョン溶液に、導電性多孔質基材層に用いられる基材を浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。乾燥時の排ガス処理の容易さからは、撥水剤の水性ディスパージョン溶液を用いるのが好ましい。
次に、カーボン層の作製方法としては、従来公知の方法を適宜参照して用いればよい。例えば、導電性カーボンと疎水剤とを有するカーボン層の場合、所望の水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンおよび疎水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製する。前記スラリーにおいて、所望の水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンを複数混合させる。次に、前記スラリーを、導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥させる。これにより、水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類含むカーボン層が得られる。
また、疎水剤と導電性カーボンの含有量が異なるカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなるカーボン層の作製方法としては、上記と同様にしてスラリーを調製する際に、疎水剤の含有量が異なるスラリーを複数調製する。その後、疎水剤の含有量が少ないスラリーから順に導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥させる工程を繰り返す。
また、導電性カーボンの比表面積が異なるカーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなるカーボン層の作製方法としては、上記と同様にしてスラリーを調製する際に、導電性カーボンの比表面積が異なるスラリーを複数調製する。その後、比表面積が大きい導電性カーボンを含むスラリーから順に導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥させる工程を繰り返す。
また、導電性カーボンと親水剤を含むカーボン層の作製方法としては、所望の水蒸気吸着性能を有する導電性カーボンおよび親水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、前記スラリーを導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥させることにより作製すればよい。その後、さらに、導電性カーボンと疎水剤とを含むスラリーを塗布および乾燥させることにより、導電性カーボンと疎水剤とを含むカーボン層(1)と、導電性カーボンと親水剤とを含むカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなるカーボン層が得られる。
さらに、親水処理されてなる導電性カーボンを含むカーボン層の作製方法としては、導電性カーボンと疎水剤または親水剤を含むスラリーを上記と同様にして調製し、導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥させる方法を用いればよい。その後、さらに、導電性カーボンと疎水剤とを含むスラリーを塗布および乾燥させることにより、導電性カーボンと疎水剤とを含むカーボン層(1)と、親水処理された導電性カーボンと疎水剤または親水剤とを含むカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなるカーボン層が得られる。
上記した方法では、少なくとも導電性カーボンを含むスラリーを導電性多孔質基材層上に塗布および乾燥する方法であったが、前記スラリーを先に乾燥させた後に粉砕し、得られた粉末を導電性多孔質基材層上に散布する方法であってもカーボン層を作製することができる。
上述した各方法により得られたカーボン層は、マッフル炉や焼成炉を用いて250〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。これにより、カーボン層の強度を高めることができる。
本発明の第二は、上述した本発明の第一のガス拡散層を用いた燃料電池用膜電極接合体である。前記膜電極接合体が用いられる燃料電池の種類としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、などが挙げられるが、実用性・安全性の観点からは、固体高分子型燃料電池(PEFC)として用いるのが好ましい。従って、以下では、固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明する。
前記膜電極接合体の構成は、従来公知のものであれば特に制限なく用いられる。例えば、図2に示すように、固体高分子電解質膜200の両側に、アノード側電極触媒層210aおよびアノード側ガス拡散層220aと、カソード側電極触媒層210cおよびカソード側ガス拡散層220cと、それぞれ配置された構成などが挙げられる。また、カーボン層が二層以上からなる構成を有する本発明の第一のガス拡散層を用いる場合、カーボン層(2)223aおよび223cと、電極触媒層210aおよび210cとを接触させ、導電性多孔質基材層221aおよび221cが膜電極接合体の外側に配置されるのがよい。これによりカーボン層が有する多孔質構造による毛細管力で電極触媒層中の余分な水分を吸取ることができ、電極触媒層内のフラッディングを防止することができる。
本発明の第一のガス拡散層は、上述した通り、排水性と保湿性の双方を兼ね備える。従って、前記ガス拡散層によれば、フラッディング現象を防止しつつ、固体高分子電解質膜の湿潤性を保つことが可能となる。従って、広範な運転条件下において高い発電性能を安定して発揮することができる膜電極接合体が得られる。さらに、固体高分子電解質膜の湿潤性を一定に保つことができるため、固体高分子電解質膜の劣化を抑制し、膜電極接合体の耐久性を向上させることも可能となる。
膜電極接合体において、本発明の第一のガス拡散層は、アノード側ガス拡散層またはカソード側ガス拡散層の少なくともいずれか一方に用いられればよいが、フラッディング現象が膜電極接合体の特にカソード側で生じ易いためカソード側ガス拡散層に用いられるのが好ましく、より好ましくはアノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層の双方に用いられる。
なお、前記膜電極接合体は本発明の第一のガス拡散層を用いる以外は、従来公知の膜電極接合体の構成と同様である。そのため、前記膜電極接合体における固体高分子電解質膜、電極触媒層などの詳細な説明は省略する。
本発明の第三は、上述した膜電極接合体を用いた燃料電池である。膜電極接合体によれば、高電流密度、高加湿などの水が多量に生じ易い運転条件下であってもフラッディング現象を抑制することができ、さらに、低電流密度、低加湿などの固体高分子電解質膜の乾燥が生じ易い運転条件下であっても固体高分子電解質膜の湿潤性を維持することができる。従って、本発明によれば、広範な運転条件下であっても高い発電性能を安定して発揮することができ、耐久性に優れる燃料電池が得られるのである。
燃料電池の構造は、特に限定されず、膜電極接合体をセパレータなどで挟持した構造などが挙げられる。
セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、従来一般的なものであれば特に制限なく用いることができる。前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。また、空気と燃料ガスの流路を確保するためにガス流通溝が形成されてもよく、従来公知の技術を適宜利用することができる。セパレータの形状は、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明が下記実施例に限定されることはない。
(実施例1)
(1)導電性多孔質基材層の撥水処理
導電性多孔質基材層としてカーボンペーパ(東レ株式会社製 TGP−H−060、厚さ200μm)を用い、これを100mm×100mm角に打ち抜いた後、PTFEの水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 D1、PTFE60質量%含有)を純水で所定の濃度に希釈した溶液中に2分間浸漬させた後、オーブン内にて60℃、10分間乾燥させることにより、導電性多孔質基材の撥水処理を行った。このとき、導電性多孔質基材層中のPTFE含有量は20質量%であった。
(2)カーボン層の作製
まず、カーボンブラックA(製品名Vulcan XC−72R、平均粒径1μm、比表面積260m/g)と、上記工程(1)と同じPTFEの水性ディスパージョン溶液、および水を、カーボンブラックとPTFEとが質量比で60:40となるようにし、ホモジナイザーにて3時間混合分散することによりスラリー(1)を調製した。次に、カーボンブラックB(製品名デンカブラック、平均粒径1μm、比表面積64m/g)を用いる以外は、前記スラリー(1)の調製と同様にして、スラリー(2)を調製した。
先に撥水処理を行った導電性多孔質基材層上に、前記スラリー(1)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(1)を得た後、前記カーボン層(1)上に前記スラリー(2)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(2)を得た。これにより、導電性多孔質基材層上にカーボン層(1)およびカーボン層(2)が形成されたガス拡散層1を得た。なお、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)の厚さは、それぞれ25μmとし、前記カーボン層(1)における平均空孔径は100nmとし、前記カーボン層(2)における平均空孔径は100nmとした。カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各カーボンブラック表面の水蒸気吸着性能[ml/g]を表1にまとめて示す。
(実施例2)
カーボンブラックC(ケッチェンブラックEC)を、窒素ガスの不活性ガス雰囲気下、2500℃、24時間、熱処理することにより、黒鉛化カーボン(製品名黒鉛化ケッチェンブラック、平均粒径1μm、比表面積160m/g)を得た。
前記スラリー(1)の調製において、カーボンブラックAに替わって前記黒鉛化カーボンを用いた以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層2を得た。なお、前記カーボン層(1)における平均空孔径は100nmとし、前記カーボン層(2)における平均空孔径は100nmとした。カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各カーボンブラック表面の水蒸気吸着性能[ml/g]を表1にまとめて示す。
(実施例3)
まず、カーボンブラックA(製品名Vulcan XC−72R、平均粒径1μm、比表面積260m/g)と、実施例1の工程(1)と同じPTFEの水性ディスパージョン溶液、および水を、カーボンブラックとPTFEとが質量比で80:20となるようにし、ホモジナイザーにて3時間混合分散することによりスラリー(4)を調製した。次に、カーボンブラックとPTFEとの質量比を60:40とした以外は、前記スラリー(4)の調製と同様にして、スラリー(5)を調製した。
実施例1と同様の撥水処理を行った導電性多孔質基材層上に、前記スラリー(4)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(1)を得た後、前記スラリー(5)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(2)を得た。これにより、導電性多孔質基材層上にカーボン層(1)およびカーボン層(2)が形成されたガス拡散層3を得た。なお、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)の厚さは、それぞれ25μmとし、前記カーボン層(1)における平均空孔径は100nmとし、前記カーボン層(2)における平均空孔径は100nmとした。カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各カーボンブラック表面の水蒸気吸着性能[ml/g]を表1にまとめて示す。
(実施例4)
カーボンブラックA(製品名Vulcan XC−72R、平均粒径1μm、比表面積260m/g)と、Nafion溶液(登録商標 DuPont社製 DE520、Nafion含量5wt%)、および2−プロパノールを、カーボンブラックAとNafionとが質量比で80:20となるようにし、ホモジナイザーにて3時間混合分散することにより、スラリー(6)を得た。
前記スラリー(4)に替わって前記スラリー(6)を用いた以外は、実施例3と同様にしてガス拡散層4を得た。前記カーボン層(1)における平均空孔径は100nmとし、前記カーボン層(2)における平均空孔径は100nmとした。カーボン層(1)およびカーボン層(2)における各カーボンブラック表面の水蒸気吸着性能[ml/g]を表1にまとめて示す。
Figure 2006310201
(比較例1)
実施例1で調製したスラリー(1)のみを撥水処理された導電性多孔質層上に塗布した以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層6を得た。なお、前記導電性多孔質層に作製したカーボン層の厚さは50μmとした。
(比較例2)
実施例1で調製したスラリー(2)のみを撥水処理された導電性多孔質層上に塗布した以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層7を得た。なお、前記導電性多孔質層に作製したカーボン層の厚さは50μmとした。
(比較例3)
実施例3で調製したスラリー(4)のみを撥水処理された導電性多孔質層上に塗布した以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層7を得た。なお、前記導電性多孔質層に作製したカーボン層の厚さは50μmとした。
(評価)
実施例1、3、および、比較例1〜3において作製した各ガス拡散層を用いて、下記の手順に従って膜電極接合体を作製し、膜電極接合体の発電性能を測定することにより、各ガス拡散層の評価を行った。
(1)触媒インク調製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)10g、固体高分子電解質溶液(DuPont社製 NAFION溶液DE520、電解質含量5wt%)90g、純水25g、2−プロパノール(和光純薬工業社製 特級試薬)10gを、20℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にて、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒インクとした。
(2)電極触媒層の作製
厚さ200μmのPTFE製シート(ニチアス社製ナフロン(登録商標)シート)の片面上に、スクリーンプリンターを用いて先に調製した触媒インクを塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させた後、一辺10cmの正方形に切り出した。
(3)膜電極接合体および単セルの組立て
一辺10cmの正方形で厚さ30μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製NAFION NR−112)を挟んで、先に作製した2枚の電極触媒層形成PTFE製シートの電極触媒層形成側が対向するように重ねて、片側PTFE製シートあたり3MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスし、冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで、固体高分子電解質膜に電極触媒層を転写させ接合体を得た。このとき、PTFE製シートから固体高分子電解質への電極触媒層の転写率が100%で、固体高分子電解質膜上の片面電極触媒層面積1cmあたりの白金重量が0.40mgとなるようにした。また、電極触媒層の厚さは、それぞれ10μmであった。
得られた接合体を、先に作製したガス拡散層を2枚用いて導電性多孔質基材層が外側となるようにして挟んで重ねた状態とし、これをグラファイト製セパレータで挟持し、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して、評価用単セルとした。
(4)単セル評価
実施例1、3、および比較例1〜3の各評価用単セルの発電試験を行った。
(発電試験1)
アノードに水素、カソードに空気を供給し、ガス流量はアノード/カソード=1.5S.R./2.5S.R.、相対湿度アノード100%R.H./カソード30%R.H.、セル温度70℃、の条件で発電試験を行った。電流密度1A/cmにおけるセルの抵抗値および電圧を表2に示す。
次に、アノードに水素、カソードに空気を供給し、ガス流量はアノード/カソード=1.5S.R./2.5S.R.、相対湿度アノード100%R.H./カソード100%R.H.、セル温度70℃、の条件で発電試験を行った。電流密度1A/cmにおけるセルの抵抗値および電圧を表2に示す。
なお、「S.R.」(Stoichiometric Ratio)とは、所定量の電流を流すために必要な水素または酸素の量の比率を意味し、「アノードS.R.=1.5」とは、所定量の電流を流すために必要な水素量の1.5倍の流量で水素を流すことを意味する。
Figure 2006310201
表2からカソードにおける相対湿度が30%R.H.、電流密度が1A/cmにおける固体高分子電解質膜が乾燥し易い低加湿条件下では、カーボンの水蒸気吸着性能が小さいカーボン層のみを有する比較例1が、水蒸気の吸着が生じ難いため、固体高分子電解質膜の湿度が高く保たれ、セル抵抗が低くなっていることがわかる。カーボンの水蒸気吸着性能が大きいカーボン層のみを有する比較例2では、固体高分子電解質膜が乾燥し易く、セル抵抗が高い。これに対して、実施例1は、比較例1に近いセル抵抗が得られ、低加湿条件下であっても、固体高分子電解質膜の乾燥を抑制し、高い発電性能が得られることがわかる。
また、カソードにおける相対湿度が100%R.H.、電流密度が1A/cmにおける高加湿かつ高電流密度であるフラッディングが生じ易い条件下では、比較例1が電圧が低下し、フラッディングを招いていることがわかる。比較例2では、フラッディングを抑制して、高い電圧が得られている。これに対して、実施例1は、比較例2よりも高いセル電圧が得られ、高加湿・高電流密度の条件下であっても、フラッディングを抑制して高いセル電圧が得られることがわかる。
なお実施例2において作製したガス拡散層を用いての発電評価1は実施していないが、表1の水蒸気吸着性能測定結果から、実施例2は実施例1に比較して低加湿条件下での発電性能はやや劣るが、高加湿条件下での発電性能は同等であると推定できる。
このように本願のガス拡散層によれば、固体高分子電解質膜の乾燥およびフラッディングを抑制することができ、広範な運転条件においても高い発電性能を安定して発揮することができる燃料電池が得られることがわかる。
(発電試験2)
アノードに水素、カソードに空気を供給し、ガス流量はアノード/カソード=1.5S.R./2.5S.R.、相対湿度アノード100%R.H./カソード30%R.H.、セル温度70℃、の条件で、電流密度を1A/cmで固定して連続して運転を行うことにより、耐久性を評価した。発電開始から0秒後(初期性能)と、100時間後のセルの抵抗値および電圧を表3に示す。
Figure 2006310201
表3から、実施例3は抵抗が低く、固体高分子電解質膜の乾燥が抑制されることにより、固体高分子電解質膜へのダメージが小さく、電圧の低下が少ない。これに対して、比較例3では、固体高分子電解質膜が乾燥し易いために、固体高分子電解質膜へのダメージが大きく、徐々に電圧が低下していることがわかる。なお実施例4において作製したガス拡散層を用いての発電評価2は実施していないが、表1の水蒸気吸着性能から、実施例4は実施例3に比較して低加湿条件下での発電性能は同等以上であり、高加湿条件下での発電性能はやや劣るものの比較例3と比較して優れていると推定できる。このことから、本発明のガス拡散層によれば、固体高分子電解質膜の湿潤性を一定に保つことができることにより、固体高分子電解質膜の劣化を抑制することが可能となり、耐久性が向上された燃料電池が得られる。
本発明のガス拡散層によれば、広範な運転条件においても高い発電性能を安定して発揮することができる燃料電池を提供することが可能となる。
本発明のガス拡散層の断面模式図を示す。 本発明の一実施形態である膜電極接合体の断面模式図を示す。
符号の説明
121 …導電性多孔質基材層、
122 …カーボン層(1)、
123 …カーボン層(2)、
200 …固体高分子電解質膜、
210a…アノード側電極触媒層、
210c…カソード側電極触媒層、
220a…アノード側ガス拡散層、
220c…カソード側ガス拡散層。
221a…アノード側導電性多孔質基材層、
221c…カソード側導電性多孔質基材層、
222a…アノード側カーボン層(1)、
222c…カソード側カーボン層(1)、
223a…アノード側カーボン層(2)、
223c…カソード側カーボン層(2)。

Claims (13)

  1. 導電性多孔質基材層上にカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、
    前記カーボン層が、水蒸気吸着性能が異なる導電性カーボンを少なくとも二種類含む燃料電池用ガス拡散層。
  2. 前記カーボン層の厚さ方向に向かって前記導電性カーボンの水蒸気吸着性能が大きくなる請求項1記載の燃料電池用ガス拡散層。
  3. 前記カーボン層は、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能が、前記カーボン層(2)に含まれる導電性カーボンの水蒸気吸着性能よりも大きい請求項1または2記載の燃料電池用ガス拡散層。
  4. 前記カーボン層(1)が前記導電性多孔質基材層と接して配置される請求項3記載の燃料電池用ガス拡散層。
  5. 前記カーボン層(2)は、前記導電性カーボンおよび疎水剤を含み、前記導電性カーボンと前記疎水剤との質量比が80:20〜60:40である請求項3または4のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  6. 前記カーボン層(1)は、前記導電性カーボンおよび疎水剤を含み、前記導電性カーボンと前記疎水剤との質量比が90:10以上80:20未満である請求項3〜5のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  7. 前記カーボン層(2)において、前記導電性カーボンの比表面積が200m/g未満である請求項3または4記載の燃料電池用ガス拡散層。
  8. 前記導電性カーボンは、黒鉛化処理されてなる請求項7記載の燃料電池用ガス拡散層。
  9. 前記カーボン層(1)において、前記導電性カーボンの比表面積が200m/g以上である請求項3、4、7、または8に記載の燃料電池用ガス拡散層。
  10. 前記カーボン層(1)は、前記導電性カーボンと親水剤とを含む請求項3〜5、8、または9のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  11. 前記カーボン層(1)は、親水処理された前記導電性カーボンを含む請求項3〜5、8、または9のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層を用いた燃料電池用膜電極接合体。
  13. 請求項15に記載の燃料電池用膜電極接合体を用いた燃料電池。
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