JP2006307940A - 車両の変速装置 - Google Patents

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浩二 古川
Noriyuki Yamakawa
紀行 山川
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Abstract

【課題】複数の油圧クラッチを有する変速装置を備えるトラクタでは、油圧や電気系に故障が生じた場合、全クラッチが「入」若しくは「切」となって、変速位置が超低速、若しくは高速位置に固定され、迅速且つ安全に移動することができないという課題が有った。
【解決手段】トラクタの主変速装置を、二箇所のクラッチディスクを択一的に入切して、遊星ギヤ機構のキャリアの回転を許容、停止することで、動力伝達比を高低に切り替える3つの高低切替クラッチで構成する。各クラッチのディスクには、一方のクラッチディスクを常時入に付勢するバネと、コントローラによる通電時に他方のクラッチディスクを入とする油圧ピストンを備える。前記3つの遊星ギヤ機構の動力伝達比は、1つだけを減速若しくは1つだけを増速に設定し、全ての油圧ピストンが非作動となる場合及び作動し続ける場合に、最低速及び最高速を除く、中速位置(2速or7速)となる様、設定する。
【選択図】 図7

Description

この発明は、トラクタや建設車両等の車両の変速装置に関するものである。
従来からトラクタ等の動力車両には油圧クラッチを用いた変速装置が用いられている。一般的には、機体の前後進操作を行なうリバーサ機構に油圧クラッチを用いたり、主変速装置に油圧クラッチを用いることが多い。特に大型のトラクタでは操作性の向上を図る目的と、クラッチ接続時のショックを軽減する目的から主変速装置のみならず副変速装置まで油圧クラッチを用いることが多い。例えば、特許文献1には、エンジンの後方に油圧式リバーサ機構を設け、その伝動後位に4段変速が可能な油圧式主変速装置と副変速装置を設けたものが記載されている。
特開平8-338525号公報(図1)
ところで、前記のような農業トラクタでは、各種作業に対応して、凡そ0..2km/hの超低速から30.0km/hといった高車速に亘って、多段の変速段を構成する必要がある。そして、コントローラにより、これら油圧クラッチを用いた変速装置を電気的または油圧的に操作する場合は、電気系統または油圧系統に故障が生じたときにでも、車両を安全に移動できる構成が望まれる。
例えば従来のトラクタでは、油圧系統に故障が生じ、変速装置を構成する全ての油圧クラッチに作動油を送ることができない状態に陥った場合、変速位置が前記超低速位置となって、路上走行に適さない変速位置を使って修理場へ赴くこととなり操作性が悪かったり、全変速位置がニュートラル位置となってしまうと、作業場まで移動できないという課題が有った。一方、電気系統にショートが生じて、全変速装置のクラッチに油圧がかかり続ける状態に陥った場合には、高車速となる高速位置で移動することを余儀なくされ、安全性を損なうという課題が有った。
この発明が解決しようとする課題は、変速装置の故障時にでも、車両を安全且つ迅速に移動ができる車両の変速装置を提供することにある。
このため、請求項1の発明は、次のような構成を採用した。
即ち、二箇所のクラッチディスクを択一的に入切操作して、遊星ギヤ機構(28,28,28)のキャリアの回転を許容、停止することで、動力伝達比を高低二段階に切り替える3つの変速装置(9a,9b,9c)と、前記各変速装置(9a,9b,9c)の各クラッチディスクを通電指令により圧着操作して、車両の変速位置を切り替える制御手段(7)とを有する車両であって、
前記変速装置(9a,9b,9c)の各二箇所のクラッチディスクには、一方のディスクを常時入状態に付勢する付勢手段(60,260,261)と、前記制御手段(7)による通電指令時に前記付勢手段(60,260,261)の付勢力に抗して前記一方のクラッチディスクを切操作すると共に他方のクラッチディスクを入とするアクチュエータ(63,263,264)を備え、
前記3つの遊星ギヤ機構(28,28,28)の動力伝達比を、前記3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合及び作動時である場合に、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)により得られる最低速位置及び最高速位置を除く中速位置となるべく3つの変速装置(9a,9b,9c)の内1つの変速装置(9a)の動力伝達比を増速若しくは減速となる様設定したことを特徴とする車両の変速装置とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した請求項1の発明では、3つの変速装置(9a,9b,9c)間においては遊星ギヤ機構(28,28,28)により動力が常時伝達状態となっており、また3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合、及び全アクチュエータ(63,263,264)が作動状態である場合には、同変速装置(9a,9b,9c)により得られる変速位置が最低速及び最高速位置を除く、中速位置となる。
また請求項2の発明では、前記車両は、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)にて構成される主変速装置(9)と、これら主変速装置(9)よりも動力伝達比の大きい副変速装置(86)を備え、
前記主変速装置(9)では0.1km/h〜1.0km/hの車速レンジを複数段に亘って切り替え可能に設定すると共に、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)の3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合の中速位置を、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動し続ける場合の中速位置よりも高速に設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両の変速装置とした。
(請求項2の作用)
以上のように構成した請求項2の発明では、主変速装置(9)と副変速装置(86)にて、少なくとも16段の変速位置を得ることができ、主変速装置(9)の油圧系統または電気系統に故障が生じた場合は、0.1km/hから1km/h間の車速域において、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合の中速位置を、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動時し続ける場合の中速位置よりも高速となる。
これにより、請求項1の発明では、電気系統または油圧系統に故障が生じ、全変速装置(9a,9b,9c)のアクチュエータ(63,263,264)が非作動時となった状態、若しくは3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動し続ける状態に陥っても中速位置、即ち移動に適した速度となり車両を迅速且つ安全に移動することができる。
また請求項2の発明では、請求項1の発明を、0.1km/h〜1km/hの車速域で各種作業を行う車両を想定し、また電気系統または油圧系統の故障時に、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合は、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動時し続ける場合である場合よりも可能性が高いと想定して、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合の中速位置を、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動時し続ける場合である場合の中速位置よりも高速としたので、前記同様、一般道路でも、極力適度な車速で車両を迅速且つ安全に移動することができる。
以下、図面に基づいてこの発明を備えた農業用トラクタを説明する。
図1はトラクタ1の側面図である。このトラクタ1は、走行装置として左右前輪2,2と左右後輪3,3を備え、ボンネット4内に搭載したエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置によって適宜減速し、その回転動力を前記前輪2,2と後輪3,3に伝達するように構成している。
なお、動力伝達経路については後述するが、前記ミッションケース6内には機体の進行方向を切替える前後進切替装置8と車速を変更する主変速装置9及び副変速装置86が設けられている。そして、ステアリングハンドル11の下方に設けた前後進切替レバー10を前後方向に動かすことによって機体が前進若しくは後進するようになっている。また、前記ミッションケース6の後上部には油圧シリンダケース14が設けられ、この油圧シリンダケース14の左右両側にはリフトアーム15,15が回動自在に枢着されている。リフトアーム15,15とロワーリンク16,16との間にはリフトロッド17,17が介装連結され、ロワーリンク16,16の後部には作業機であるロータリ耕耘装置18が連結されている。
そして操縦席12の側方に設けた油圧操作レバー20を上昇側に操作して油圧シリンダケース14内に収容されている油圧シリンダ(図示省略)に作動油を供給するとリフトアーム15,15が上昇側に回動され、リフトロッド17、ロワーリンク16等を介してロータリ耕耘装置18が上昇する。反対にこの油圧操作レバー20を下降側に操作すると油圧シリンダ内の作動油は油圧タンクを兼ねる前記ミッションケース6内に排出され、リフトアーム15,15を下降回動させる。
また前記ロータリ耕耘装置18は、耕耘部21と耕耘部21上方を覆うロータリカバー22とロータリカバー22後部に枢着されたリヤカバー23等を有する構成となっている。
次に図2、図3、図4に基づいて動力伝達経路について説明する。
前記エンジン5の後部には、前面にフライホイール25を収納し且つ後面にベアリング取付穴を備えたフライホイールケース26を連結し、更にこのケース26後部に、前記フライホイール15と一体の出力軸27端部のサンギヤ27a、及び同ギヤ27aにより駆動される遊星ギヤ機構28等を内装するミッションケース6を連結する構成となっている。
前記遊星ギヤ機構28は、前記サンギヤ27aとキャリヤ30と複数個のプラネタリギヤ32…と出力側のサンギヤ34等からなり、プラネタリギヤ32…はキャリヤ30に固着された3本のピン35…に夫々回転自在に支持されている。1つのプラネタリギヤ32は大小の2段ギヤ32a,32bを備え、前記出力軸27の端部に形成した出力軸27のサンギヤ27aがプラネタリギヤ32の大径ギヤ32aに噛み合い、このプラネタリギヤ32の小径ギヤ32bはキャリヤ30にピン37にて支持されたギヤ39に噛み合い、このギヤ39が前記出力側サンギヤ34に直接噛み合うように構成している。
符号40は軸長手方向に沿うボス部40aを中心部に有する断面形状が椀状の回転体であり、進行方向前側が開口されており、この回転体40は前記キャリヤ30に図示外のボルトによって一体的に固着されている。従ってキャリヤ30が回転するとこの回転体40も一緒に回転する。これらキャリヤ30と回転体40が一体になったものは前後2箇所のベアリング41,42によって支持されている。
また前記出力側サンギヤ34は、この後部に断面形状をクランク状とし、且つ半径方向外側に向けて径が大きく拡がった円筒部34bが形成され、この円筒部34bには前後方向に沿うスリット34cが設けられ、このスリット34cにドーナツ状のクラッチディスク44…が複数枚、前後に移動はできるが回転はできない状態で嵌合装着されている。通常の状態ではこれらクラッチディスク44同士の間隔は開いていて動力を伝達する状態にはなっていない。
そして前記回転体40の内側に嵌合されたピストン46がシリンダ室47内に流入した作動油によって前側に移動させられると前記クラッチディスク44…は圧着されて前記キャリヤ30とサンギヤ34を一体化する。この状態ではサンギヤ34とスプライン嵌合している伝動軸48が正転方向に回転させられて機体は前進する。
なお、このトラクタ1では、前記ピストン46とクラッチディスク44とで前後進切替装置8の前進クラッチを構成するものであり、以下前進用のクラッチを前進クラッチAと呼ぶ。またこの前進クラッチAの半径方向外側には後述する後進クラッチBが設けられる。
前進クラッチAと後進クラッチBを収容する固定ドラム50は円筒状をなし、中央部には前後の空間部を仕切る仕切壁55が設けられている。前記固定ドラム50は、外周部に突部50bが一体的に設けられ、この突部50bをミッションケース6内の適当箇所に設けた内壁に固定して固定ドラム50を支持する構成となっている。
また前記前進クラッチAと後進クラッチBとの間を仕切るように介装された回転体40のスリット部40aと、固定ドラム50の外周縁前端部のスリット部50aとの間にもドーナツ状に形成された複数のクラッチディスク52…が介装され、このクラッチディスク52…をシリンダ室58内に収容された後進用のピストン53が押圧するとキャリヤ30が固定されて回転を停止し、前記出力側サンギヤ34のみが回転させられ、その結果、伝動軸48が逆向きに回転し、機体を後進させるようにしている。上記説明から明らかなように、後進クラッチBは、ピストン53とクラッチディスク52とで構成されている。
また前記固定ドラム50の仕切壁55には油路57が形成されており、この油路57と前進用のシリンダ室47、後進用のシリンダ室58が夫々接続され、作動油が各シリンダ室に流入する構成となっている。
一方、仕切壁55の後側空間部には、前側と同じように半径方向に2室が設けられ、半径方向の内側の室には皿バネ(付勢手段)60が設けられ、外側の室にはシリンダ室62とピストン63(アクチュエータ)が設けられている。符号65は前側空間部に配設された回転体40に相当する第2の回転体であり、固定ドラム50に設けたベアリング66により回転自在に支持されている。また前記回転体65の外周には前後方向に沿うスリット68が複数箇所設けられ、このスリット68…と伝動軸48の大径部48aとの間には軸長手方向には移動できるが回転はできない状態で複数個のクラッチディスク70…が介装されている。この回転体65のスリット68…と固定ドラム50の後部外周に設けた前後方向に沿うスリット72…との間にも軸長手方向には移動できるが回転はできない状態で複数個のクラッチディスク74…が介装されている。
また更に前記両クラッチディスク70,74の間には、これを仕切る1枚のセパレータプレート75が設けられ、このセパレータプレート75を前記皿バネ60で常時前側に向けて押圧すべく構成している。この皿バネ60によりセパレータプレート75は前記ピストン63を非作動側に押し戻される。
即ち、このセパレータプレート75は前後方向に移動可能な状態でクラッチディスク70とクラッチディスク74との間に設けられており、常態では半径方向内側のクラッチディスク70同士を圧着して外側のクラッチディスク74間には隙間がある状態としている。反対にシリンダ室62内に作動圧油を流入させてピストン63を後方へ移動させると半径方向外側のクラッチディスク74同士は圧着されるが半径方向内側のクラッチディスク70同士には隙間が生じるように構成している。
なお、このトラクタ1では内側の皿バネ60とクラッチディスク70を低速クラッチCと呼び、その外側のピストン63とクラッチディスク74を高速クラッチDと呼び、全体を第一高低切替クラッチ(C,D)と呼ぶものとする。
更に前記の第2回転体65の後部には、遊星ギヤ機構28、詳しくは前側キャリヤ30と同じようにキャリヤ77が一体的に固着され、このキャリヤ77にもピン78によってプラネタリギヤ79が回転自在に支持されている。
前記プラネタリギヤ79は大径ギヤ79aと小径のギヤ79bからなり、大径ギヤ79aは前記伝動軸48側のサンギヤ82に噛み合い、小径のギヤ79bは出力軸80側のサンギヤ80aに噛み合っている。
このような構成において、皿バネ60によってセパレータプレート75がクラッチディスク70…を押圧しているときは伝動軸48と回転体65とが一体となり、従って後キャリヤ77も回転体65と一体となってベアリング66の周りを回転し、出力軸80から低速の回転が取り出されるように構成している。
そして、前記シリンダ室62に作動油が供給されると皿バネ60に抗してピストン63が後方へ向けて移動し、回転体65及びキャリヤ77を固定ドラム50に押し付け、これらを固定する。このため、伝動軸48の回転は伝動軸48の後方寄り部位に設けられたサンギヤ82、プラネタリギヤ79等を順次介して出力軸80側に取り出される。この場合、先の場合よりも比較的増速された回転が出力軸80から取り出されることになる。言い換えると、低速クラッチCが繋がった状態では低速状態となり、高速クラッチDが接続されると高速状態に切り替るように構成している。なお、これら遊星ギヤ機構28と前記第一高低切替クラッチ(C,D)を合わせて第一主変速装置9aと呼ぶこととする。
以上のように、固定ドラム50に対して中央の仕切壁55を挟んで前側に前進クラッチAと後進クラッチBが設けられ、仕切壁55の後側には低速クラッチCと高速クラッチDが設けられ、前記前進クラッチAは後進クラッチBよりも半径方向内側にあり、低速クラッチCは高速クラッチDよりも内側に設けられているのである。しかも、前進クラッチAと後進クラッチBとは前後方向において重なり、低速クラッチCと高速クラッチDも前後方向に一部重なるように構成したので、4つのクラッチA,B,C,Dを有するものでありながら変速装置の前後方向の長さを大幅に短縮することができるのである。
またこの発明では、固定ドラム50の前側において、半径方向内側に前進クラッチAを設け、その外側に後進クラッチBを設け、キャリヤ30とサンギヤ34を一体化して直接伝達する側を前進とし、後進側をプラネタリギヤ32を介したギヤ伝達としたので、使用頻度が高い前進側の動力伝達効率が良く馬力の損失なども少なくなるものである。
また前記第一主変速9aの後方には、前記出力軸80から取り出された回転動力を更に4段に変速する第二主変速装置9bと第三主変速装置9cを備える構成となっている。
詳しくは、前記前後進切替装置8及び第一主変速装置9aを収容する前側の変速ユニット83に対して4段変速が可能な後側の変速ユニット84が設けられ、この変速ユニット84は、前記前側の変速ユニット83のうち、第一主変速装置9aの部分だけを取り出してこれを前後対称に設けて、第二主変速装置9bと第三主変速装置9cを構成している。そして、前側の変速ユニット83における第一高低切替クラッチ(C,D)に相当する第二高低切替クラッチ(E,F)で2段の変速が行ない、後側の変速ユニット84の第三高低切替クラッチ(F,H)で更に4段の変速が行なって、走行変速段数は全部で8段の変速が可能となっている。
図3と図4に基づいて、前記後側の変速ユニット84の構成について概略説明すると、固定ドラム250の前後中央部には仕切壁255が設けられ、この仕切壁255を挟んで前側の空間部に第二主変速装置9bの高速クラッチEと低速クラッチFが収容され、後側の空間部に第三主変速装置9cの高速クラッチGと低速クラッチHが収容されている。前記第二主変速装置9bの高速クラッチEは皿バネ260とクラッチディスク270で構成され、低速クラッチFはピストン263とクラッチディスク274で構成され、この低速クラッチFは高速クラッチEに対して半径方向外側に設けられ、両クラッチE,Fは前後方向において一部重なるように設けられている。
また仕切壁255の後側には第三主変速装置9cの高速クラッチGと低速クラッチHが収容され、第3クラッチGは皿バネ261とクラッチディスク271で構成され、低速クラッチHはピストン264とクラッチディスク262で構成されている。また前記低速クラッチHは高速クラッチGに対して半径方向外側に設けられ、前後方向においては一部クラッチ同士が重なるように配置される。
また前記第二主変速装置9bの2組のクラッチディスク270,274を前後方向に移動自在に嵌合支持している前側の回転体300はベアリング302によって固定ドラム250に回転自在に支持され、この回転体300の前端部はプラネタリギヤ304を支持するキャリヤ306と一体的に構成されている。プラネタリギヤ306は2段ギヤで構成され、大径のギヤ304aは出力軸80後端のサンギヤ310に噛み合い、小径ギヤ304bは第2伝動軸320にスプライン嵌合されたサンギヤ316に噛み合う。皿バネ260によってセパレータプレート275は常時後側へ向けて押圧され、高速クラッチEの入り状態を保つ。即ち、サンギヤ316とキャリヤ306は一体となって高速で回転する。
一方、ピストン263が前側へ移動され、セパレータプレート275を介して皿バネ260を前側へ移動させると、外側のクラッチディスク274同士が圧着されて低速クラッチFが入りとなりキャリヤ306及び回転体300を固定ドラム250に押し付ける。
この結果、前側の変速ユニット83側の出力軸80の回転は遊星ギヤ機構28のプラネタリギヤ304を経由してサンギヤ316及びこれにスプライン嵌合された第2伝動軸320に動力が伝達される。この場合、前記高速クラッチEが接続されているときよりも減速比が大きく、回転速度はやや遅くなるようにギヤ比が設定される。
また仕切壁255を挟んだ後側空間部、即ち第三主変速装置9cにおいても同様であり、常態においては皿バネ261によりセパレータプレート322を介して小径ドーナツ状のクラッチディスク271が押圧され、高速クラッチGが入り状態となる。
一方、ピストン264が後方へ向けて押圧されると半径方向外側のクラッチディスク262同士が圧着され、低速クラッチHが入り状態となる。高速クラッチGが入り状態となるか、低速クラッチHが入り状態となるかによって第3出力軸350の回転速度が変わる。即ち、高速クラッチGが入りになると第2伝動軸320後端のサンギヤ330とキャリヤ328は一体となって回転し、低速クラッチHが入り状態になると回転体324とキャリヤ328は停止され、第2伝動軸320の回転は比較的低速回転でサンギヤ330、プラネタリギヤ332を順次介して第3出力軸350に伝達される。
以上のように、前記トラクタ1の主変速装置9では、最も動力上手側に設定された第一高低切替クラッチ(C,D)による動力の減速比(入力軸に対する出力時の回転)を、1以上、即ち増速となる設定とし、第二高低切替クラッチ(E,F)と第三高低切替クラッチ(G,H)による動力の減速比を1以下、即ち減速となる設定としている(図7参照)。
よって、例えば、主変速における最低速位置となる第1速は、第一高低切替クラッチのピストン63が非作動、即ちコントローラ(制御手段)7による通電が「切(OFF)」で、第二高低切替クラッチのピストン263が作動、即ちコントローラ7による通電が「入(ON)」で、第三高低切替クラッチのピストン264が作動、即ちコントローラ7による通電が「入(ON)」の組合わせとなっている。
また主変速における最高速位置となる第8速では、第一高低切替クラッチのピストン63が作動、即ちコントローラ7による通電が「入(ON)」で、第二高低切替クラッチのピストン263が非作動、即ちコントローラ7による通電が「切(OFF)」で、第三高低切替クラッチのピストン263非作動、即ちコントローラ7による通電が「切(OFF)」の組合わせとなっている。
また3つの高低切替クラッチのピストンが作動、即ちコントローラ7の通電が全て「入(ON)」となった場合には、第2速となり、3つの高低切替クラッチのピストンが非作動、即ちコントローラ7の通電が全て「切(OFF)」となった場合には、中速位置、詳しくは第7速となる設定となっている。
これにより、トラクタ1の主変速装置9では、油圧系または電気系にトラブルが生じて、前記3つの高低切替クラッチのピストン全てに油圧がかからない状態に陥っても、主変速装置9は中速位置、詳しくは第2速に設定され、反対に3つの高低切替クラッチのピストンに油圧がかかり続ける状態に陥っても、第7速に設定されるので、適度な速度で車両を迅速且つ安全に、修理場等へ移動することができる。
更に図4の動力伝達線図に基づいてこの主変速装置9の下手側に構成された副変速装置86について説明する。
副変速装置86は、前記主変速装置9にて適宜変速された回転を第三出力軸350から、各減速ギヤまたはクラッチを介して同軸上の副変速軸87へ伝える変速装置である。
副伝動軸87上に設けられた前側の副変速第一シフタ88を前方に移動させると副変速の「高速H」が得られ、この副変速第一シフタ88を後側に移動させると副変速の「中速M」が得られ、後側の副変速第二シフタ89を後方へ移動させると副変速の「低速L」が得られ、これらの変速された回転動力がドライブピニオン軸91に伝達される。ドライブピニオン軸91の動力は更に後輪デフ装置92、後輪最終減速機構93を介して後車軸94に伝達される。
一方、ドライブピニオン軸91から分岐した前輪駆動用の動力は、等速四駆クラッチ95と増速クラッチ96からなる前輪増速装置97に伝達され、等速四駆クラッチ95が接続されると後輪3と前輪2の周速度が略等しい状態で前後輪2,3が駆動され、増速クラッチ96が接続されると前輪駆動軸98は増速回転され、前輪2は後輪3よりもその周速度が倍になって回転するように構成されている。なお、図4において符号99は前輪デフ装置、100は前輪ファイナルケース部の減速機構、101は前輪最終減速機構である。
以上のように構成したトラクタ1の走行系の動力伝達機構では、図7に示すように、8段の主変速と3段の副変速で前後各24段の変速位置を得ることができる。
次に同図に基づいてPTO系の動力伝達機構を説明する。
前記エンジン5の回転動力は、ギヤ機構104を介してPTOクラッチ106へ伝達され、同クラッチ106にて入切された回転動力は、高低2段の切替が可能なPTO変速装置109にて適宜変速され、PTO伝動軸105を介して更にこの後方に備えた正逆転切替装置108に伝達される構成となっている。そして、この正逆転切替装置108で正逆切り替えられた回転がPTO軸110から取り出される構成となっている。従って、この実施例では正転、逆転とも2段の回転がとれるようになっている。
次に図5に示す油圧回路について説明する。
油圧ポンプ115から送り出された作動油は、比例減圧弁120に入って一定の圧力に保持され、回路上手から順に、前記前進クラッチAと後進クラッチBのピストン46,53と、第一主変速装置9aの高速クラッチDを作動させるピストン63と、第二主変速装置9bの低速クラッチFを作動させるピストン263と、第三主変速装置9cの低速クラッチを作動させるピストン264を夫々制御する比例制御弁121,122,123,124,125に送られる。これらの比例制御弁は、前記コントローラ7からの通電指令によって弁の開口量が制御される。例えば、前記前進クラッチAと後進クラッチBは、クラッチペダル129の回動基部に設けられたポテンショメータ128からの信号を受けて比例制御がなされる。したがって、従来の機械式クラッチを有するトラクタや自動車のようにクラッチペダル129の踏込量に応じて、またエンジンの負荷状態応じて、半クラッチ状態を作り出し、車速を無段階に得ることができるものである。また前後進切替装置8以外の比例制御弁122,123,124、125については、変速のタイミングや車速、負荷の状態等に応じてコントローラ7から指令が出され、クラッチ接続のタイミングが適宜コントロールされる。
更に前進クラッチAと後進クラッチBに対しては2組の比例制御弁121,122だけでなく2位置4ポート式の1個の切替制御弁135が並列に設けられており、この切替弁135は、通常は両クラッチA,Bとミッションケース6との間を遮断するが、前記クラッチペダル129基部に備えた最大踏込操作検出スイッチ130がONするとこの切替弁135が開口側に移動して前進クラッチAあるいは後進クラッチB室内の作動油が油圧タンク6側に戻るようにしているのである。
即ち、クラッチペダル129を終端まで踏み込むとシリンダ室内に流入していた作動油がミッションケース6に戻るために走行系動力は中立状態になって機体が停止するのである。
尚、前記クラッチペダル129の最大踏込み操作は、前記スイッチ130の検知を優先するものの、前記ポテンショメータ式のクラッチペダル踏込位置センサ128でも常時検出する構成となっている。そして、何れか一方だけが最大踏込み位置を検出しない場合は、前記センサ若しくはスイッチの故障と判定してメータパネル131に警告を表示する構成となっている。
次に図8に基づいて、前記変速装置9,86の操作系について説明する。
前記操縦席12の側方には、変速レバー13を設け、このレバーグリップに変速スイッチ(増速スイッチ13A,減速スイッチ13B)を備え、この増速スイッチ13Aを押し込む毎に、前記主変速位置9を1段ずつアップし、減速スイッチ13B押し込む毎に主変速位置を1段ずつダウンする構成となっている。また同変速レバー13を、略「h」型のレバーガイド13Gに沿って前後左右にシフト操作することで、前記の通り、副変速の変速位置を「低速L」,「中速M」,「高速H」の三段階に切り替える構成となっている。また同変速レバー13は、前記副変速「高速H」の位置、詳しくは最前方位置で左右外側に傾倒可能して「路上走行HH」位置に操作可能に構成され、同レバー13を傾倒したときには、副変速位置を「高速H」に維持したまま、車両を路上走行状態であることを指定する構成となっている。
またこれら変速レバー13の基部には、同レバー位置の操作位置検出する変速レバー位置検出スイッチ13L,13M,13H,13HHが設けられ、前記変速スイッチ13A,13Bと共にコントローラ7へ信号を送信する構成となっている。
これにより、コントローラ7では、同レバー13が通常の副変速「低速L」,「中速M」,「高速H」位置にあるときには、トラクタ1は作業状態と判定して前記主変速装置9を1〜8段まで使用可能とし、同レバー13が「路上走行HH」位置に傾倒した場合には、前記主変速装置を4段に制限、詳しくは図7例の通り、第一主変速装置9aを「高」の状態を維持して、第二主変速装置9bと第三主変速装置9cの切替にて全4段の変速位置を使用可能としている。
次に、前記コントローラ7の構成について、図6に基づいて説明する。
前記コントローラ7は、内部に各種情報を処理するCPUと、制御プログラムを格納するEEPROMと、これら情報を一時的に記憶するRAMと、他のコントローラ7と通信を行う通信器を備える構成となっている。
そしてコントローラ7の入力部には、前後進切替レバー10基部に備えた前進操作検出スイッチ10fと後進操作検出スイッチ10rと、変速レバー13に備えた増速スイッチ10A、減速スイッチ10B、変速制御入切スイッチ13C、同レバーの操作位置を検出する変速レバー位置検出スイッチ13L,13M,13H,13HH、エンジンのスロットル位置を検出するスロットル位置センサ5a、エンジン回転センサ5b、クラッチペダル踏込位置センサ128、クラッチペダル最大踏込操検出スイッチ130等を接続する構成となっている。
またコントローラ7の出力部には、前記前進クラッチAを「入」とする比例制御弁121のソレノイド121s、後進クラッチBを「入」とする比例制御弁122のソレノイド122s、前後進クラッチを共に「切」とする切替制御弁135のソレノイド、第一主変速装置9aの高速クラッチを「入」とする比例制御弁123のソレノイド123s、第二主変速装置9bの低速クラッチを「入」とする比例制御弁124のソレノイド124s、第三主変速装置9cの低速クラッチを「入」とする比例制御弁125のソレノイド125s等を接続する構成となっている。
そして、以上のように構成したトラクタ1のコントローラ7では、前記変速レバー13に備えた変速制御入切スイッチ13Cの入切設定により、図10と図11に示す変速制御が行われる。
前記変速制御では、前記変速制御入切スイッチ13Cが入(ON)であるかどうかを判定し、これが切(OFF)であれば、前記変速レバー13の切替操作や変速スイッチ13A,13Bの押込み操作に応じた主変速の切替が行なわれる。詳しくは変速レバー13を操作し、副変速位置を切り替えた場合は、主変速位置を車速の変動が極力少なくなる最低速位置若しくは最高速位置に切り替える。また変速スイッチ13A,13Bの押込み操作毎に主変速位置を1段ずつアップダウンさせる。
一方、前記変速制御入切スイッチ13Cが入であるときには続けて、同レバー13が「路上走行HH」位置に設定されているか、前記前後進切替レバー10は前進位置であるか、スロットル位置は所定回転以上の位置に設定されているかどうかを判定し、これらが全てYESの判定であれば、アクセル操作とエンジン負荷条件による変速制御が行われる。
この前記アクセル操作とエンジン負荷条件による変速制御は、前記主変速装置を4段に制限された状態で行なわれる切替制御であって、図11に示すように、前記エンジン5のスロットル位置センサ5aに応じた設定エンジン回転数と、エンジン回転センサ5bによる実エンジン回転数の差により、トラクタ1の走行負荷状態を検出し、この差が所定値を超えた状態が一定時間継続すると、主変速位置9を現位置から1段アップする一方、前記エンジン回転センサ9bによる実エンジン回転数が下がるに従い現位置からダウンする構成となっている。
また前記のようなコントローラ7により主変速位置を切り替える際には、まず図12に示すように、目的の変速クラッチを1つずつ、1ステップないし2ステップで切り替える変速パターンをセットする。そしてこのパターンに従って前記各制御弁のソレノイドへ通電を行なって変速を開始する。またこれらクラッチの昇圧カーブは、車両の加速度に応じて、詳しくは前記車速センサの値が緩やかに上昇、若しくは下降する様、昇圧する構成となっている。
次にトラクタ1に備えたクラッチペダル129の作用について説明する。
通常トラクタ1を発進する時には、まず前記変速レバー13に設けた変速スイッチを押して変速段を指定し、この状態で前後進レバー10を前進側に移動させ、踏んでいたクラッチペダル129から徐々に足を離す。これに連動して、油圧ポンプ115から送り出された作動圧油は比例減圧弁120を通って比例制御弁121に至り、圧力制御された作動油が前進側のシリンダ室47内に流入する。これにより前記前進クラッチAのピストン46が前方に移動してクラッチディスク44を圧着し、遊星ギヤ機構28のキャリヤ30とサンギヤ34とを一体化し、出力軸27と同じ方向の回転を伝動軸48に与える。この場合において、オペレータによって変速段が指定されているので、前側の変速ユニット83か後側の変速ユニット84の中の選択されたクラッチが接続され、目的の主変速が得られる。同時に副変速装置86は「高速H」、「中速M」、「低速L」の中の3段の中から1段が選択され、オペレータが指定した変速段で機体を走行させることができる。
また前記前後進レバー10を後進側に引くと前進クラッチAはOFFとなり、後進クラッチBが作動する。
即ち、前進クラッチ側のシリンダ室47内の作動油はタンク側に戻され、その半径方向外側に設けられた後進クラッチ用のシリンダ室58内に作動油が流入する。すると、ピストン53が前側に移動してクラッチディスク52同士を圧着し、キャリヤ30を固定ドラム50側に固定する。この場合には出力軸27の回転は出力ギヤ27a、遊星ギヤ機構28のプラネタリギヤ32a、32b,ギヤ39、サンギヤ34を順次経て伝動軸48に逆向きの回転を与える。機体は前進速度と略同速で後方に動き出し、機体を後退させる。
またトラクタ1の前進走行中、あるいは後進走行中は、前記クラッチペダル129の踏み込み操作を、ポテンショメータ式のクラッチペダル踏込位置センサ128とクラッチペダル最大踏込位置検出スイッチ130にて検出し、前進クラッチA若しくは後進クラッチBを踏込み位置に応じて半クラッチ状態としたり、切り操作して機体を停止させる構成となっている。
以上のような構成において、前進クラッチAも後進クラッチBも比例制御弁121,122で制御する構成としたので、クラッチ接続のショックを軽減させることができる。また、この実施例では前後進切替装置8を構成するにあたり、遊星ギヤ機構28のキャリヤ30を回転させるか固定するかによって前進側と後進側の選択を行わせるようにしたが、ブレーキを掛けてキャリヤ30を固定する場合は大きい力が必要である。この例では前進側のクラッチを半径方向内側とし、キャリヤ30を固定する際に大きな制動力が要る後進側のクラッチを半径方向外側としたので、前進走行時あるいは後進走行時の動力伝達効率もよく、エンジン馬力を損失するようなことがない。また、前進側の油圧クラッチと後進側の油圧クラッチは夫々独立して構成されているので、前進側のクラッチを接続した状態で後進側のクラッチを僅かに接続して伝動軸の回転を微妙に制御することもでき、作業負荷に応じたクラッチの圧力制御も簡単に行える。
またこのトラクタ1では前後進切替装置8の伝動後位に、高速クラッチCと低速クラッチDを有する第一主変速装置9aを設け、これに遊星ギヤ機構28を連係させ、さらにその伝動後位にも2組の高低クラッチと遊星ギヤ機構を組み合わせた第二、第三主変速装置9b,9cを設けて、図7に示す組合せの中から1つの変速段を選択するように構成したが、このような構成にすれば、変速時に動力伝達が途切れることがない。
よって、前記の通り、主変速装置9の油圧系若しくは電気系にトラブルが生じて主変速装置9にかかる全クラッチD,F,Hのピストンが非作動、若しくは作動状態で固定される状態となっても、副変速位置86との組合わせで、移動に適する車速を複数段取ることができ、トラクタ1を迅速且つ安全に移動することができる。
尚、一般的に人間が歩く速度は、凡そ3〜5km/hに相当し、前記トラクタ等での路上走行速は、凡そ10〜35km/hに相当し、前記トラクタ1では、前記主変速装置9にかかる全クラッチD,F,Hのピストンが非作動に陥っても、第15速と第23速の二段の変速をカバーする設定となっている。
また本願発明の別形態としては、図13に示すように、3つの変速装置9a,9b,9cの内1つの変速装置(9a)の動力伝達比を減速とし、他を増速として、全クラッチの制御弁に対し非通電、及び通電時に最低速位置及び最高速位置を除く中速位置となるべく構成しても良い。
また、この実施例においては、固定ドラム50の中央仕切壁55に油路57を設け、この仕切壁55を挟んで前後に各1組のクラッチを設けて変速ユニットを構成するものであるから、構成を簡潔にすることができ、油路も簡単に構成でき、取り扱いが容易になるものである。特に1つの変速ユニット83(あるいは84)を構成するにあたり、1本の伝動軸48を固定ドラム50の前後一方から組み込み、この伝動軸48に対して前後から遊星ギヤ機構28,28を組み付けるように構成したので組付性に優れ、分解組立作業が容易になる特徴を有する。
トラクタの全体側面図。 変速装置の要部の断面図(1)。 変速装置の要部の断面図(2)。 動力伝達線図。 トラクタの一部油圧回路図。 コントローラの接続状態を示すブロック図。 変速段数とクラッチの作動の関係を説明する図。 操縦席側方の斜視図。 メータパネルの正面図。 変速制御の概要を示す制御フローチャート(1)。 変速制御の概要を示す制御フローチャート(2)。 主変速切替時のクラッチ通電パターンを示す図。 この発明の別形態の変速段数とクラッチの作動の関係を説明する図。
符号の説明
A 前進クラッチ
B 後進クラッチ
C 第一主変速装置の低速クラッチ
D 第一主変速装置の高速クラッチ
E 第二主変速装置の高速クラッチ
F 第二主変速装置の低速クラッチ
G 第三主変速装置の高速クラッチ
H 第三主変速装置の低速クラッチ
1 トラクタ
2 前輪
3 後輪
7 コントローラ
8 前後進切替装置
9 主変速装置
9A 第一主変速装置
9B 第二主変速装置
9C 第三主変速装置
10 前後進レバー
13 変速レバー
28 遊星ギヤ機構
63 クラッチピストン
86 副変速装置
263 クラッチピストン
264 クラッチピストン

Claims (2)

  1. 二箇所のクラッチディスクを択一的に入切操作して、遊星ギヤ機構(28,28,28)のキャリアの回転を許容、停止することで、動力伝達比を高低二段階に切り替える3つの変速装置(9a,9b,9c)と、前記各変速装置(9a,9b,9c)の各クラッチディスクを通電指令により圧着操作して、車両の変速位置を切り替える制御手段(7)とを有する車両であって、
    前記変速装置(9a,9b,9c)の各二箇所のクラッチディスクには、一方のディスクを常時入状態に付勢する付勢手段(60,260,261)と、前記制御手段(7)による通電指令時に前記付勢手段(60,260,261)の付勢力に抗して前記一方のクラッチディスクを切操作すると共に他方のクラッチディスクを入とするアクチュエータ(63,263,264)を備え、
    前記3つの遊星ギヤ機構(28,28,28)の動力伝達比を、前記3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合及び作動時である場合に、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)により得られる最低速位置及び最高速位置を除く中速位置となるべく3つの変速装置(9a,9b,9c)の内1つの変速装置(9a)の動力伝達比を増速若しくは減速となる様設定したことを特徴とする車両の変速装置。
  2. 前記車両は、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)にて構成される主変速装置(9)と、これら主変速装置(9)よりも動力伝達比の大きい副変速装置(86)を備え、
    前記主変速装置(9)では0.1km/h〜1.0km/hの車速レンジを複数段に亘って切り替え可能に設定すると共に、前記3つの変速装置(9a,9b,9c)の3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が非作動時である場合の中速位置を、3つ全てのアクチュエータ(63,263,264)が作動し続ける場合の中速位置よりも高速に設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両の変速装置。
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CN102588575A (zh) * 2011-01-10 2012-07-18 通用汽车环球科技运作有限责任公司 用于有手控阀的变速器的有双挡默认策略的液压控制系统

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