JP4658907B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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Description
特許文献1では、走行用の変速装置のシフト部材(特許文献1の図8の41,42)を操作して走行用の変速装置を変速操作するアクチュエータ(特許文献1の図8のP1,P2)を備えている。これにより、運転者が変速用のスイッチを操作したりすることによる変速指令に基づいて、伝動クラッチが遮断状態に操作され、アクチュエータにより走行用の変速装置が変速操作されて、伝動クラッチが伝動状態に操作されるように構成されている。
この状態において、伝動クラッチ9が遮断状態に操作されて、シフト部材29が伝動ギヤ25から離し操作され伝動ギヤ26に咬合操作されて、伝動クラッチ9が伝動状態に操作される。
作業車では一般に、エンジンの燃料噴射量を調節してエンジンの回転数を制御するガバナを備えており、エンジンの回転数がアクセル操作具(例えば人為的に操作されるハンドアクセルレバー)で設定されてた設定回転数となるようにガバナを作動させるガバナ特性(オールスピードガバナ特性)に基づいて、ガバナを作動させている。
これにより、前述のようにシフト部材29を伝動ギヤ26に咬合操作しようとした際、エンジン1につながる伝動ギヤ26は回転数を一定に維持しようとするので(前述のガバナ特性による)、シンクロメッシュ機構により伝動ギヤ26からシフト部材29に動力が伝達され、シフト部材29の回転数が伝動ギヤ26の回転数に合致しようとして、シフト部材29の回転数だけが大きく変化しようとする為と考えられる。
エンジンの下手側に、複数段に変速自在なシンクロメッシュ型式の走行用の変速装置と、伝動クラッチとを、この順序で直列に備え、前記走行用の変速装置のシフト部材を操作して前記走行用の変速装置を変速操作する変速手段を備えて、
前記伝動クラッチを遮断状態に操作して、前記変速手段により前記走行用の変速装置を変速操作し、前記伝動クラッチを伝動状態に操作して、前記走行用の変速装置の変速操作が行われるように構成すると共に、
人為的に操作されるアクセル操作具と、前記エンジンの燃料噴射量を調節して前記エンジンの回転数を制御する噴射量調節装置とを備え、
前記エンジンの回転数が前記アクセル操作具で設定された設定回転数となるように前記噴射量調節装置を作動させる第1噴射量特性と、前記エンジンの回転数の上限回転数と下限回転数との間での負荷の変動が許容されるように前記噴射量調節装置を作動させる第2噴射量特性とを備えて、
前記走行用の変速装置の変速操作が行われていない状態では前記第1噴射量特性に基づいて前記噴射量調節装置を作動させ、前記走行用の変速装置の変速操作が行われている状態では、前記伝動クラッチの遮断状態への操作に同期して前記噴射量調節装置を前記第1噴射量特性で作動させる状態から前記第2噴射量特性で作動させる状態に変更し、前記伝動クラッチの遮断状態では前記第2噴射量特性に基づいて前記噴射量調節装置を作動させ、前記伝動クラッチの伝動状態への操作に同期して前記噴射量調節装置を前記第2噴射量特性で作動させる状態から前記第1噴射量特性で作動させる状態に変更する噴射量制御手段を備えてある。
第2噴射量特性は、エンジンが過回転状態(オーバーレブ)にならないようにする上限回転数、及びエンジンがストール状態にならないようにする下限回転数を設定するものであり、上限及び下限回転数の間では、アクセル操作具で設定されたアクセル開度(燃料噴射量)でのエンジンの出力と、エンジンに掛かる負荷とのバランスに任せており、エンジンに掛かる負荷の増減に基づいて、エンジンの回転数が上昇及び下降する(ミニマムマキシマムガバナ特性)(リミットガバナ特性)。
この状態において、伝動クラッチ9が遮断状態に操作されて、シフト部材29が伝動ギヤ25に咬合する位置から伝動ギヤ26に咬合する位置に操作され始めたとする。
これにより、本発明の第1特徴によると、既存の装置と言ってよい噴射量調節装置を有効に利用しているので(噴射量調節装置の特性(第1及び第2噴射量特性)を変更しているので)、前述のようにシフト部材の回転数と伝動ギヤの回転数とを合致(又は略合致)させる為に、噴射量調節装置以外にあまり不必要な装置を備える必要がない。
噴射量調節装置によりエンジンの回転数が上昇及び下降し易い状態とすることによって、前述のようにシフト部材の回転数と伝動ギヤの回転数とが合致(又は略合致)させられるので、シフト部材と伝動ギヤとの間のシンクロメッシュ構造は、比較的小さな容量のもので良いものとなる。
本発明の第1特徴によると、複数段に変速自在なシンクロメッシュ型式の走行用の変速装置と伝動クラッチとを、この順序で直列に備えた作業車の走行変速構造において、噴射量調節装置の特性(第1及び第2噴射量特性)を変更することによって、シフト部材の回転数と伝動ギヤの回転数とが素早く合致(又は略合致)するようになり、走行用の変速装置を円滑に変速操作できるようになって、走行用の変速装置の変速操作性を向上させることができた。
本発明の第1特徴によると、既存の装置と言ってよい噴射量調節装置を有効に利用している点、及びシフト部材と伝動ギヤとの間のシンクロメッシュ構造が、比較的小さな容量のもので良いものとなる点により、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
前記変速手段及び前記伝動クラッチを油圧式に構成するとともに、前記変速手段の作動に伴う前記変速手段での油圧の低下で前記伝動クラッチが遮断状態に操作され、前記変速手段の作動終了に伴う前記変速手段での油圧の上昇で前記伝動クラッチが伝動状態に操作されるように構成し、
前記変速手段での油圧の変動を検出する圧力センサーを備え、
前記噴射量制御手段が、前記変速手段での油圧の低下を前記圧力センサーが検出すると、その検出に基づいて前記噴射量調節装置を前記第1噴射量特性で作動させる状態から前記第2噴射量特性で作動させる状態に変更し、前記変速手段での油圧の上昇を前記圧力センサーが検出すると、その検出に基づいて前記噴射量調節装置を前記第2噴射量特性で作動させる状態から前記第1噴射量特性で作動させる状態に変更するように構成してある。
図1は作業車の一例である農用トラクタの伝動系を示しており、エンジン1(ディーゼルエンジン)の動力が主クラッチ2を介してミッションケース3の入力軸4に伝達され、入力軸4の動力が中間軸5及び油圧多板式のPTOクラッチ6を介して、PTO軸7に伝達されている。運転部(図示せず)にクラッチペダル(図示せず)が備えられ、クラッチペダルと主クラッチ2とが機械的に連係されており、クラッチペダルを踏み操作すると主クラッチ2が遮断状態に操作され、クラッチペダルを戻し操作すると主クラッチ2が伝動状態に操作される。
図1に示すように、伝動軸31が伝動軸20に同芯状に備えられて、伝動軸20,31の間に伝動クラッチ9が備えられている。伝動クラッチ9は油圧多板式に構成されて、バネ(図示せず)により遮断状態に付勢されており、作動油が供給されることにより伝動状態に操作される。
図1に示すように、シフト部材29,30をスライド操作する油圧シリンダ49,50及びシフト部材41をスライド操作する油圧シリンダ51、シフト部材42をスライド操作する油圧シリンダ52が備えられている。次に、油圧シリンダ49〜52、伝動クラッチ9の油圧回路について説明する。
図2に示すように、人為的に操作されるもので1速位置〜12速位置の操作位置を備えた変速レバー68が備えられており、変速レバー68の操作位置が制御装置69に入力されている。油路54における絞り部58の下手側のパイロット圧を検出する圧力センサー70が備えられており、圧力センサー70の信号が制御装置69に入力されている。エンジン1の燃料噴射量を調節する電子ガバナ71(噴射量調節装置に相当)が備えられており、電子ガバナ71によりエンジン1の回転数の制御が行われる。運転部(図示せず)にハンドアクセルレバー72(アクセル操作具に相当)が備えられて、ハンドアクセルレバー72の操作位置が制御装置69に入力されている。
次に、変速レバー68を1速位置から2速位置に操作した場合について、図4に基づいて説明する。
図2に示す状態は、前後進レバー67を前進位置Fに操作して、変速レバー68を1速位置に操作している状態であり、油圧シリンダ49が1速位置(シフト部材29が1速ギヤ25に咬合)、油圧シリンダ50が中立位置、油圧シリンダ51が高速位置、油圧シリンダ52が低速位置に位置して、伝動クラッチ9が伝動状態に操作されている状態である(伝動クラッチ9の作動圧が伝動状態に相当する作動圧P2の状態)(時点T1)(図3(イ)参照)。
従って、油圧シリンダ49(シフト部材29)が中立位置から2速位置に円滑に作動する(シフト部材29が2速ギヤ26に円滑に咬合操作される)(時点T4)。
これと同時に、第2ガバナ特性に基づいて電子ガバナ71が作動する状態から、第1ガバナ特性に基づいて電子ガバナ71が作動する状態に変更されて、電子ガバナ71によりエンジン1の回転数が設定回転数に戻し操作されるのであり、伝動軸20(シフト部材29)の回転数が2速位置での回転数に上昇する(時点T5)。
次に、変速レバー68を2速位置から1速位置に操作した場合について、図4に基づいて説明する。
前後進レバー67を前進位置Fに操作して、変速レバー68を2速位置に操作している状態において、油圧シリンダ49が2速位置(シフト部材29が2速ギヤ26に咬合)、油圧シリンダ50が中立位置、油圧シリンダ51が高速位置、油圧シリンダ52が低速位置に位置して、伝動クラッチ9が伝動状態に操作されている(伝動クラッチ9の作動圧が伝動状態に相当する作動圧P2の状態)(時点T6)(図3(イ)参照)。
従って、油圧シリンダ49(シフト部材29)が中立位置から1速位置に円滑に作動する(シフト部材29が1速ギヤ25に円滑に咬合操作される)(時点T9)。
これと同時に、第2ガバナ特性に基づいて電子ガバナ71が作動する状態から、第1ガバナ特性に基づいて電子ガバナ71が作動する状態に変更されて、電子ガバナ71によりエンジン1の回転数が設定回転数に戻し操作されるのであり、伝動軸20(シフト部材29)の回転数が1速位置での回転数に下降する(時点T10)。
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、前後進レバー67を図6に示すように構成してもよい。
図6に示すように、運転部(図示せず)において、前輪18を操向操作する操縦ハンドル73の左横側に、人為的に操作される前後進レバー67が備えられて、前後進レバー67とシフト部材40とが機械的(又は電気的にアクチュエータを介して)に連係されており、前後進レバー67はシフト部材40を円筒軸33に咬合操作する前進位置F、及びシフト部材40を後進ギヤ32に咬合操作する後進位置Rに操作自在に構成されている。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1形態]において、図1に示す伝動クラッチ9を主変速装置8と第1副変速装置11との間ではなく、第1副変速装置11と第2副変速装置12との間に備えるように構成してもよい。このように構成すると、主変速装置8及び第1副変速装置11が走行用の変速装置となる。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1形態]において、図1に示す伝動クラッチ9を主変速装置8と第1副変速装置11との間ではなく、デフ駆動軸44に備えるように構成してもよい。このように構成すると、主変速装置8、第1及び第2副変速装置11,12が走行用の変速装置となる。
8 走行用の変速装置
9 伝動クラッチ
29,30 シフト部材
70 圧力センサー
71 噴射量調節装置
72 アクセル操作具
Claims (2)
- エンジンの下手側に、複数段に変速自在なシンクロメッシュ型式の走行用の変速装置と、伝動クラッチとを、この順序で直列に備え、前記走行用の変速装置のシフト部材を操作して前記走行用の変速装置を変速操作する変速手段を備えて、
前記伝動クラッチを遮断状態に操作して、前記変速手段により前記走行用の変速装置を変速操作し、前記伝動クラッチを伝動状態に操作して、前記走行用の変速装置の変速操作が行われるように構成すると共に、
人為的に操作されるアクセル操作具と、前記エンジンの燃料噴射量を調節して前記エンジンの回転数を制御する噴射量調節装置とを備え、
前記エンジンの回転数が前記アクセル操作具で設定された設定回転数となるように前記噴射量調節装置を作動させる第1噴射量特性と、前記エンジンの回転数の上限回転数と下限回転数との間での負荷の変動が許容されるように前記噴射量調節装置を作動させる第2噴射量特性とを備えて、
前記走行用の変速装置の変速操作が行われていない状態では前記第1噴射量特性に基づいて前記噴射量調節装置を作動させ、前記走行用の変速装置の変速操作が行われている状態では、前記伝動クラッチの遮断状態への操作に同期して前記噴射量調節装置を前記第1噴射量特性で作動させる状態から前記第2噴射量特性で作動させる状態に変更し、前記伝動クラッチの遮断状態では前記第2噴射量特性に基づいて前記噴射量調節装置を作動させ、前記伝動クラッチの伝動状態への操作に同期して前記噴射量調節装置を前記第2噴射量特性で作動させる状態から前記第1噴射量特性で作動させる状態に変更する噴射量制御手段を備えてある作業車の走行変速構造。 - 前記変速手段及び前記伝動クラッチを油圧式に構成するとともに、前記変速手段の作動に伴う前記変速手段での油圧の低下で前記伝動クラッチが遮断状態に操作され、前記変速手段の作動終了に伴う前記変速手段での油圧の上昇で前記伝動クラッチが伝動状態に操作されるように構成し、
前記変速手段での油圧の変動を検出する圧力センサーを備え、
前記噴射量制御手段が、前記変速手段での油圧の低下を前記圧力センサーが検出すると、その検出に基づいて前記噴射量調節装置を前記第1噴射量特性で作動させる状態から前記第2噴射量特性で作動させる状態に変更し、前記変速手段での油圧の上昇を前記圧力センサーが検出すると、その検出に基づいて前記噴射量調節装置を前記第2噴射量特性で作動させる状態から前記第1噴射量特性で作動させる状態に変更するように構成してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
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JPH07332147A (ja) * | 1994-06-09 | 1995-12-22 | Kubota Corp | 作業車の負荷検出構造 |
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2006
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JPH07332147A (ja) * | 1994-06-09 | 1995-12-22 | Kubota Corp | 作業車の負荷検出構造 |
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