JP4061076B2 - 作業車両の変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の作業車両の変速操作フィーリングを向上する技術に関し、特に、油圧クラッチ式変速装置の変速操作フィーリングを設定変更可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からトラクタ等の作業車両の前後進切換装置が、油圧クラッチ式切換装置を採用した場合には、前後進切換レバー(リバーサレバー)の切換操作により油圧クラッチが作動され、このとき接続タイミングが良好となるように油圧圧力が設定されている。例えば、特開2000−170889号のように、エンジンの負荷率とエンジンの回転数を基に、切換時の油圧の圧力波形を、作業モードと走行モードのいずれかに切り換えてフィーリング良く前後進を切り換えられるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、圃場内での走行時においては、硬質の圃場面を走行するときの切換操作フィーリングと、軟質の圃場面を走行するときの切換操作フィーリングは異なり、圃場が軟弱である場合、タイヤが沈下して走行抵抗が大きくなり、走行モードで切換操作するとタイムラグが大きくなり、反応が遅くオペレーターが運転し難い状態となることがあった。そこで、モードスイッチを自動から手動に切り換えて、手動によりモード選択を行なえるようにしていたが、モード選択を行なうための設定器が必要となっていた。また、主変速装置も油圧クラッチ式変速装置としていたが、走行条件に合わせてモード選択をできる構成としていなかったので、変速操作時の操作フィーリングが悪くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
請求項1においては、エンジン(5)からの動力を主クラッチ(21)に入力し、該主クラッチ(21)の出力軸(23)から、油圧クラッチ式の前後進切換装置(76)と主変速装置(75)に伝え、更に副変速装置を介して走行装置に伝えて走行する構成において、前記前後進切換装置(76)と主変速装置(75)の切換及び変速操作を行なう油圧 クラッチの接続フィーリングを、制御回路(101)に設定した条件に応じて電磁比例弁(120・121)を制御し、複数のパターンに変更可能とし、該パターンの変更を、前記主クラッチ(21)をON・OFF操作する主クラッチペダル(16)と、キースイッチ(131)と、主変速装置(75)を操作する主変速レバー(77)の操作により変更可能とし、パターン変更の際には、主変速レバー(77)を所定の位置に保持し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとし、前記主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むことにより、パターン変更の「初期設定モード」となるものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載の作業車両の変速装置において、前記パターン変更状態を表示パネル(7)で表示し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとすると、表示パネル(7)のモード表示ランプは消灯し、該消灯しているときに主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むと、モード表示ランプが速い点滅を繰り返し、初期設定モードとなるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は作業車両の側面図、図2は同じく平面図、図3は動力伝達構成を示したスケルトン図、図4は油圧回路図、図5は制御ブロック図、図6は走行モードの油圧波形図、図7は作業モードの油圧波形図、図8は制御フローチゃート図である。
【0007】
図1、図2において、この作業車両はトラクタを実施例としており、本機の前後に前輪1及び後輪2を支承し、前部のボンネット6内部にはエンジン5を配置し、該ボンネット6の後方にはダッシュボードを配置し、該ダッシュボード上に表示パネル7及びステアリングハンドル10を設けており、上記ステアリングハンドル10の後方にはシート11を配設している。また、ステアリングハンドル10近傍のダッシュボードには前後進を切り換えるリバーサレバー71が配置され、ダッシュボードより側方に突出され、反対側にはアクセルレバー72が突出されている。シート11の近傍には変速操作手段となる主変速レバー77や副変速レバーやPTOレバーや昇降レバー等が配設される。
【0008】
また、エンジン5の後部にクラッチハウジングが配置され、該クラッチハウジングの後部にミッションケース9を配設し、エンジン5からの動力を後輪2に伝達して駆動し、更に該ミッションケース9より後述する2輪・4輪駆動切替機構79を介して前輪1にも同時に駆動力を伝達することを可能としている。
【0009】
また、エンジン5の駆動力はミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15から図示しないユニバーサルジョイント等を介して機体後端に作業機装着装置を介して装着した作業機100(図3)を駆動するように構成している。そして、前記シート11前下方のステップ上には主クラッチを断接操作するためのクラッチペダル16とブレーキペダル17が配設されている。
【0010】
次に、動力伝動系の構成について図3より、油圧回路について図4より説明する。図3において、前記クラッチハウジング内には多板式の主クラッチ21が収納され、前記クラッチペダル16に連係されている。そして、前記エンジン5の出力軸(クランク軸)22の回転が主クラッチ21に入力され、該主クラッチ21の出力軸23は機体後方に延出され、その後端に形設したギア23aには主変速軸24に遊嵌された主変速四速歯車34が噛合している。該主変速四速歯車34は更に主軸25に固設された伝達歯車44に噛合している。該主軸25には三枚の伝達歯車41・42・43が固設され、あるいは形設されており、該三枚の伝達歯車41・42・43を介して、主変速軸24にそれぞれ遊嵌された主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33に動力が伝達される。また、主変速軸24と主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33、主変速四速歯車34の間にはそれぞれ油圧クラッチ51・52・53・54が配設され、該油圧クラッチ51・52・53・54は図4に示すように油圧制御弁110と接続されて断接可能としている。
【0011】
従って、主クラッチ21の出力軸23が回転すると、主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33及び主変速四速歯車34は各々異なる回転数で回転することとなる。そして、上記主変速レバー77に図4に示す油圧制御弁110がリンク等を介して連動連結されて、該主変速レバー77の操作により四つの油圧クラッチ51・52・53・54のいずれか一つが選択されて「接」とされ、四段階の変速が可能となり、主変速装置75を構成し、主軸25からの変速後の回転が主変速軸24に伝達される。
【0012】
主変速軸24は後方に延長されて、該延長部分には前後進切換装置76(正逆転機構)が構成されて正転側歯車26及び逆転側歯車27がそれぞれ同一軸心上に遊嵌される。該主変速軸24と正転側歯車26及び逆転側歯車27の間にはそれぞれ前進側の油圧クラッチ56、後進側の油圧クラッチ57が配設され、該前進側油圧クラッチ56と後進側油圧クラッチ57は前記リバーサレバー(前後進切換レバー)71と連動連結された油圧制御弁111の切換によって断接される。
【0013】
こうして、リバーサレバー71の操作により油圧制御弁111を切り換えて、前進側のリバーサ用油圧クラッチ56又は後進側のリバーサ用油圧クラッチ57のいずれかが選択され接続され、主変速軸24の回転は正転側歯車26又は逆転側歯車27のいずれかに伝達される。ただし、リバーサレバー71がニュートラル位置の場合は、回転は両歯車26・27のいずれにも伝達されない。
【0014】
前記正転側歯車26は副変速軸35に相対回転不能に連結され、同時に、クリープ変速軸36に固設された伝達歯車37に噛合しており、その回転を両軸35・36に伝達する。逆転側歯車27は、カウンター軸38の一端に形設された歯車39に噛合しており、該カウンター軸38の他端に形設された歯車40は、クリープ変速軸36に固設された前記伝達歯車37に噛合する。従って、逆転側歯車27の回転は、カウンター軸38を介して該クリープ変速軸36を逆転方向に回転させる。また、該クリープ変速軸36の伝達歯車37に噛合する正転側歯車26を介して、それに連結された副変速軸35を逆転方向に回転させる。
【0015】
副変速軸35の後部には副変速機構とクリープ変速機構が設けられ、副変速軸35の後方延長上に副変速第二軸45が同一軸心上に配置され遊転可能としており、該副変速第二軸45にはクリープ変速歯車46が遊嵌される。該クリープ変速歯車46はクリープ変速軸36に形設した歯車47に噛合している。また、副変速第二軸45には入力クラッチスライダ91が軸方向摺動可能にスプライン嵌合され、図示せぬクリープ変速レバーに連係されている。
【0016】
従って、該入力クラッチスライダ91は、上記クリープ変速レバーの操作により副変速軸35又はクリープ変速歯車46のいずれかに噛み合って、その回転を副変速第二軸45に伝達可能としている。即ち、該入力クラッチスライダ91の摺動に基づく選択により、副変速軸35の回転又は副変速軸35からクリープ変速軸36によるクリープ変速を経た回転のいずれかが、副変速第二軸45に入力される。
【0017】
また、前記副変速第二軸45と平行に出力軸48がミッションケース9に軸支され、該出力軸48には二枚の伝達歯車49・50が固設される。該伝達歯車49・50は副変速第二軸45に遊嵌された二枚の変速歯車59・60に噛合して副変速機構を構成している。また、副変速第二軸45には出力クラッチスライダ92が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されている。該出力クラッチスライダ92は図略の副変速レバーに連係されている。
【0018】
従って、副変速レバーの操作により出力クラッチスライダ92が摺動され、二枚の変速歯車59・60のいずれかに噛み合って、該副変速第二軸45の回転を二枚の変速歯車59・60のいずれかに伝達可能としている。従って、出力クラッチスライダ92の摺動に基づく選択により、副変速第二軸45の回転が二段の変速を経て出力され、出力軸48に入力される。
【0019】
前記ミッションケース9後部には後輪デフ装置66bが配置され、前記出力軸48の回転が、その後端に形設したベベルギア20を介して該後輪デフ装置66bに入力され、リアアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を経由して後輪2を駆動する。96はブレーキ装置である。
【0020】
次に、PTO伝動系について説明する。即ち、ミッションケース9内の前部には主軸25と平行にPTOクラッチ軸29が配置され、該PTOクラッチ軸29には四枚のPTO変速歯車、即ち、PTO一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO三速歯車63、PTO四速歯車64が遊嵌される。該PTO変速歯車61・62・63・64は、主軸25に固設あるいは形設した四枚の前記伝達歯車41・42・43・44に噛合しており、主軸25の回転により該PTO変速歯車61・62・63・64が異なる回転数で回転される。
【0021】
また、PTOクラッチ軸29にはPTO逆回転用歯車65が遊嵌され、該PTO逆回転用歯車65は、主変速軸24に遊嵌された前述の主変速一速歯車31に噛合している。即ち、該主変速一速歯車31は、PTO逆転付与機構のアイドルギアとしての役割をも果たす。
【0022】
また、PTOクラッチ軸には二つのPTOクラッチスライダ93・94が軸方向摺動可能にスプライン嵌合される。また、該PTOクラッチスライダ93・94は、図略のPTO変速レバーに連係されている。従って、両PTOクラッチスライダ93・94の摺動に基づく選択により、主軸の回転が四段階の変速を経た後にPTO軸15に伝達される。また、主変速一速歯車31、PTO逆回転用歯車65を介して、主軸25の回転が正逆変換されてPTOクラッチ軸29に伝達される。即ち、正転四速、逆転一速の変速が両軸25・29の間に行われる。前記PTOクラッチ軸29はPTO軸15に相対回転不能に連結される。該PTO軸15は後方に延出され、作業車後端に接続された作業機100を駆動する。
【0023】
次に、前輪駆動系について説明する。即ち、前記PTO軸15にはパイプ状の前輪入力軸55が遊転可能に外嵌され、該前輪入力軸55と平行に前輪クラッチ軸30が軸支される。前記前輪入力軸55には入力歯車67が固設され、該入力歯車67は前記後輪2を駆動するための伝動系の途中に配置した出力軸48に固設された伝達歯車49に噛合している。そして、前輪入力軸55上に歯車18・19を固設し、該歯車18・19は前輪クラッチ軸30上に遊嵌した前輪駆動入力歯車69、前輪駆動増速歯車70と噛合し、該前輪駆動入力歯車69、前輪駆動増速歯車70と前輪クラッチ軸30の間に4輪駆動クラッチ73と増速クラッチ74がそれぞれ配設されして2輪・4輪駆動切替機構79を構成している。前記前輪駆動出力軸30の前端に連結する前輪伝達軸14の前部はユニバーサルジョイント等を介して前輪側のデフ装置66aに入力され、フロントアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を介して前輪1を駆動する。
【0024】
次に図4において、油圧回路を説明する。エンジン5の駆動により油圧ポンプ112・113が駆動され、該油圧ポンプ112からパワーステアリング装置114に圧油が送油されて、ステアリングハンドル10の回動によりパワーステアリング装置114のパワステシリンダ115が伸縮されて前輪1を回動する。なお、図5に示すように、該ステアリングハンドル10の回転部には回動角度を検知するセンサー116が配置され、前輪増速に設定した場合には、所定角度以上ステアリングハンドル10を回動すると、センサー116が回動角を検知して制御回路101を介して制御弁117を切り換えて油圧ポンプ112からの圧油を増速クラッチ74に送油して前輪1を後輪の回転よりも速くするようにしている。同時にブレーキバルブ118を切り換えて回転中心側のブレーキシリンダ119L・119Rを作動させるようにしている。また、4輪駆動切換レバーを操作することにより制御弁117を切り換えて4輪駆動クラッチ73を作動させることもできる。
【0025】
また、前記油圧ポンプ112の圧油は更に電磁弁または電磁比例弁120・121を介して油圧制御弁110・111と接続され、該電磁比例弁120・121は制御回路101と接続されて、後述するように操作フィーリングが良くなるように制御されている。また、前記油圧ポンプ113の吐出油路には分流弁123を介して、一方は作業機100の傾斜角度調節用の制御弁124から角度変更油圧シリンダ125に送油可能とし、他方の油路からは油圧制御装置126を介して昇降シリンダ127に送油可能としている。
【0026】
次に、本発明の変速または前後進切換操作フィーリングを改善する構成について説明する。前述のように主変速装置75及び前後進切換装置76は油圧クラッチの断接により変速または前後切り換えられるようにしており、主変速装置75はノークラッチで変速可能としているが、路上走行等で主変速レバー77の変速操作により変速したときに、瞬時に低速段または高速段切り換わると変速ショックが生じて変速フィーリングが悪くなる。そこで、変速操作時に所定時間遅らせて(タイムラグを与えて)切り換えることによりスムースな変速が行なえるようにしている。また、逆に、軟弱な圃場等での作業の場合には、走行抵抗により通常よりも遅く反応することになるので、タイムラグが殆どないようにして変速操作後にクラッチを接続してスムースな変速ができるようにしている。
【0027】
即ち、制御回路101にはモード設定手段を接続し、該モード設定手段により操作フィーリングを切り換えられるようにしており、本発明では変速手段となる主変速レバー77と主クラッチペダル16を用いて変更できるようにしている。図5に示すように、該主変速レバー77には回動位置(変速位置)を検知する位置検出手段130が設けられ、リバーサレバー71には回動位置を検知する位置検出手段134が配置され、主クラッチペダル16には踏んだかどうか(ON・OFF)を検知するペダル位置検知手段133が設けられ、エンジン5には負荷を検知する手段135が設けられ、また、表示パネル7にはモニターとなるランプが配置され、これら表示パネル7、位置検出手段130、ペダル位置検知手段133、位置検出手段134、負荷検知手段135及び設定状態を記憶するメモリ132、キースイッチ131、エンジン回転数検知手段136等が制御手段となる制御回路101に接続されている。更に前記電磁バルブや電磁比例弁等が制御回路と接続されている。
【0028】
そして、前記制御回路101によって設定に応じて前記電磁比例弁120・121を制御するようにしている。例えば、路上走行等のタイムラグが必要なモード(走行モード、SLモード)では図6に示すような油圧圧力波形となり、変速操作または前後進切換をしたT1より徐々に緩やかに圧力上昇して、T2から段階的に傾斜が大きくなり、T3で油圧クラッチが効き始め更に傾斜を大きくしてT4で主クラッチを「接」とする設定圧力となるようにして、タイムラグを設けている。また、軟弱地等の走行や作業時に対応したモード(作業モード、TLLモード)では図7に示すような油圧圧力波形となり、変速操作したT1直後から圧力上昇が始まり、前記T3よりも早い時間T5で油圧クラッチが効き始めて段階的に急激に圧力上昇して時間T4よりも早い時間T6で主クラッチを「接」とする設定圧力としており、タイムラグがなく速やかに「接」としてスリップ等が発生しているので変速応答遅れは殆どないようにしている。但し、圧力波形(パターン)はこの形状に限定するものではなく、走行モードでは緩やかな傾斜を有し、作業モードでは急傾斜を有するものであればよい。また、本実施例では二つのパターンのモードを設定しているが、3つ以上のモードを設定して、変速レバーで設定変更することを可能とする構成とすることもできる。
【0029】
次に、モード設定の具体例を図8を用いて説明すると、まず、リバーサレバー71、副変速レバー、PTOレバーがニュートラル位置にあることを確認し、主変速レバー77を2速と3速の中間に保持する。次にキースイッチ131を設定時間以上ONとする(501)。このとき表示パネル7のモード表示ランプ(パワーシフトランプを利用する)は異常点滅から消灯する(502)。この消灯しているときにクラッチペダル16を設定回数(例えば3回)踏み込む(ON・OFFする)と(503)、モード表示ランプが速い点滅を繰り返し(504)、初期設定モードなる(505)。
【0030】
ここで、所望の設定モードを選択するために、主変速レバー77を1速(506)または2速(507)に変速する。或いは、リバーサレバー71を後進位置に切り換えると(508)、表示パネル7において設定モードを表示し(509)、モードを確認することができる。この設定モード表示は、例えば、走行モードの場合1回点滅、作業モードの場合3回点滅するようにしている。
【0031】
前記主変速レバー77を1速に位置した状態でクラッチペダル16を踏む(ONする)と(510)、表示パネル7においてランプが1回点滅を繰り返し(511)、クラッチペダル16を離す(OFFする)と(512)、走行モードとなり(513)メモリ131にこのモードを書き込みモード設定が完了する。前記主変速レバー77を2速に位置した状態でクラッチペダル16を踏む(ONする)と(514)、表示パネル7においてランプが数回回点滅を繰り返し(515)、クラッチペダル16を離す(OFFする)と(516)、走行モードとなり(517)メモリ131にこのモードを書き込み、モード設定が完了する。なお、主変速レバー77を変速した状態でクラッチペダル16を踏まなかったり(510)(514)、クラッチペダルをOFFせずにONの状態で別の操作した場合等ではモード設定を終了する(519)。
【0032】
また、前記主クラッチペダル16を設定回数ON/OFF(503)せずにエンジンを始動すると(520)、従来のように負荷により自動的にモードが設定される。つまり、副変速装置が低速段(521)で、エンジン回転数が設定値以上(522)で、エンジン負荷率が設定値以上の状態が一定時間継続したとき(523)に作業モードに設定し(524)、それ以外のときは、走行モード(525)とするのである。なお、本実施例では主変速レバー77を用いてモード設定変更しているが、トラクタ等の走行車両に装備されている副変速レバーやPTO変速レバーやアクセルレバー等を用いることも可能である。
【0033】
このように構成することによって、オペレーターの好みより、前後進切換及び変速フィーリングを容易に変更できるようになり、違和感なく走行操作できるようになる。そして、主変速レバー77をモード設定手段と兼用させることができて、部品点数を増加させることがなく、また、確認用のランプも表示パネル上のモニターランプを利用することができて、部品点数が増加せずコスト低減化が図れるのである。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果が得られる。
請求項1の如く、エンジン(5)からの動力を主クラッチ(21)に入力し、該主クラッチ(21)の出力軸(23)から、油圧クラッチ式の前後進切換装置(76)と主変速装置(75)に伝え、更に副変速装置を介して走行装置に伝えて走行する構成において、 前記前後進切換装置(76)と主変速装置(75)の切換及び変速操作を行なう油圧クラッチの接続フィーリングを、制御回路(101)に設定した条件に応じて電磁比例弁(120・121)を制御し、複数のパターンに変更可能とし、該パターンの変更を、前記主クラッチ(21)をON・OFF操作する主クラッチペダル(16)と、キースイッチ(131)と、主変速装置(75)を操作する主変速レバー(77)の操作により変更可能とし、パターン変更の際には、主変速レバー(77)を所定の位置に保持し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとし、前記主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むことにより、パターン変更の「初期設定モード」となるので、前後進切換時や主変速操作の時に、路上走行時では変速ショックがなくなり、軟弱圃場走行時や作業時に応答遅れ等がなくなり、操作フィーリングを向上することができる。また、パターン(モード)切換スイッチ等を省くことができて、部品点数を減少できてコスト低減化も図れるのである。
【0035】
請求項2の如く、前記パターン変更状態を表示パネル(7)で表示し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとすると、表示パネル(7)のモード表示ランプは消灯し、該消灯しているときに主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むと、モード表示ランプが速い点滅を繰り返し、初期設定モードとなるので、初期設定モードを容易に認識することができ、運転席近傍に配置した操作部に設けた表示パネルの警報モニターやシフトランプ等を用いて点滅等によりモードを表示させることで、新たにモード切換用の表示装置を設ける必要がなく、コスト低減化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 作業車両の側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 動力伝達構成を示したスケルトン図である。
【図4】 油圧回路図である。
【図5】 制御ブロック図である。
【図6】 走行モードの油圧波形図である。
【図7】 作業モードの油圧波形図である。
【図8】 制御フローチゃート図である。
【符号の説明】
5 エンジン
51・52・53・54・56・57 油圧クラッチ
71 リバーサレバー
75 主変速装置
76 前後進切換装置
77 主変速レバー

Claims (2)

  1. エンジン(5)からの動力を主クラッチ(21)に入力し、該主クラッチ(21)の出力軸(23)から、油圧クラッチ式の前後進切換装置(76)と主変速装置(75)に伝え、更に副変速装置を介して走行装置に伝えて走行する構成において、前記前後進切換装置(76)と主変速装置(75)の切換及び変速操作を行なう油圧クラッチの接続フィーリングを、制御回路(101)に設定した条件に応じて電磁比例弁(120・121)を制御し、複数のパターンに変更可能とし、該パターンの変更を、前記主クラッチ(21)をON・OFF操作する主クラッチペダル(16)と、キースイッチ(131)と、主変速装置(75)を操作する主変速レバー(77)の操作により変更可能とし、パターン変更の際には、主変速レバー(77)を所定の位置に保持し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとし、前記主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むことにより、パターン変更の「初期設定モード」となることを特徴とする作業車両の変速装置。
  2. 請求項1記載の作業車両の変速装置において、前記パターン変更状態を表示パネル(7)で表示し、キースイッチ(131)を設定時間以上ONとすると、表示パネル(7)のモード表示ランプは消灯し、該消灯しているときに主クラッチペダル(16)を所定の回数踏み込むと、モード表示ランプが速い点滅を繰り返し、初期設定モードとなることを特徴とする作業車両の変速装置。
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