JP2006306676A - 新規リン酸ジルコニウム - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、耐熱性や耐薬品性に優れ、固体電解質や抗菌剤原料など様々なものへの加工性に優れるアンモニアイオンを有するリン酸ジルコニウムを提供することである。
【解決手段】
湿式合成の製造条件を限定することで課題を解決できる下記一般式〔1〕で示される新規リン酸ジルコニウムが得られることを見い出し、本発明を完成させた。
a(NH4bZrc(PO43・nH2O 〔1〕
式〔1〕において、Mはアルカリ金属イオン、水素イオン、およびオキソニウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、a、bおよびcは、0<b、1.5<c<2、a+b+4c=9、nは2以下を満たす数である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なリン酸ジルコニウムに関するものであり、これは耐熱性および耐薬品性に優れ固体電解質または抗菌剤原料などとして利用可能なものである。
近年、リン酸ジルコニウム系無機イオン交換体は、この物質の特徴を活かし、様々な用途に利用されている。リン酸ジルコニウム系無機イオン交換体には、非晶質のものと、2次元層状構造をとる結晶質のもの、および3次元網目状構造をとる結晶質のものなどがある。このなかでも3次元網目状構造をとる六方晶リン酸ジルコニウムは、耐熱性、耐薬品性、耐放射線性および低熱膨張性などに優れており、放射性廃棄物の固定化、固体電解質、ガス吸着・分離剤、触媒および抗菌剤原料などに応用されている。
これまでに様々なリン酸ジルコニウムが知られている。例えば、AXNH4(1-X)Zr2(PO43・nH2O(例えば、特許文献1参照)、AZr2(PO43・nH2O(例えば、特許文献2参照)、Hn1-nZr2(PO43・mH2O(例えば、特許文献3参照)などである。
また、ZrとPとの比が異なるリン酸ジルコニウムも知られている。例えば、Na1+4xZr2-x(PO43(例えば、非特許文献1参照)、Na1+2xMgxZr2-x(PO43(例えば、非特許文献1、2参照)、Na1+xZr2Six3-x12(例えば、非特許文献2、3参照)などである。
これらのリン酸ジルコニウムの合成法には、原料を混合後、焼成炉などを用いて1000℃以上のような高温で焼成することにより合成する焼成法、水中または水を含有した状態で原料を混合後加圧加熱して合成する水熱法、および原料を水中で混合後、常圧下で加熱して合成する湿式法などが知られている。
これらのなかでも焼成法は、原料を調合し高温で加温するのみで、P/Zr比を適宜調整したリン酸ジルコニウムを合成することが可能である。しかし、焼成法では、この原料の均一な混合が容易ではなく、均質な組成のリン酸ジルコニウムができにくい。更に、焼成後、粒子状にするには粉砕、分級をしなければならないため、品質上および生産性の点で問題があった。また、当然のことながら、焼成法ではアンモニアを含有する結晶質リン酸ジルコニウムを合成することができない。一方、湿式法や水熱法は、均質な微粒子状リン酸ジルコニウムを得ることが可能ではあるが、P/Zr比が1.5および下記式〔2〕で示されるようなP/Zr比が2以外の結晶質リン酸ジルコニウムは知られていなかった。
NH4ZrH(PO42 〔2〕
特開平6−48713号公報 特開平5−17112号公報 特開昭60ー239313号公報 C.JAGER、他3名、「31P and 29Si NMR Investigatios of the Structure of NASICON-Strukturtyps」、Expermentelle Technik der Physik、1988年、36巻、4/5号、p339−348 C.JAGER、他2名、「31P MAS NMR STUDY OF THE NASICON SYSTEM Na1+4yZr2-y(PO4)3」、Chemical Physics Letters、1988年、150巻、6号,p503−505 H.Y-P.HONG,「CRYSTAL STRUCTURE AND CYSTAL CHEMISTRY IN THE SISTEM Na1+xZr2SixP3-xO12」,Mat.Res.Bull.、11巻,p173−182
本発明は、耐熱性や耐薬品性に優れ、固体電解質や抗菌剤原料など様々なものに適用することができるアンモニアイオンを有するリン酸ジルコニウムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、湿式合成の製造条件を限定することで、下記一般式〔1〕で示される新規のリン酸ジルコニウムが得られることを見い出し、本発明を完成させた。
a(NH4bZrc(PO43・nH2O 〔1〕
式〔1〕において、Mはアルカリ金属イオン、水素イオン、およびオキソニウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、a、bおよびcは、0<b、1.5<c<2、およびa+b+4c=9を満たす数であり、nは2以下である。
本発明のリン酸ジルコニウムは、イオン交換性を有し、且つ均質な微粒子である。また、本発明のリン酸ジルコニウムは、加熱してアンモニウムイオンを水素イオンに変えることにより、粒子径を変えることなく既存の結晶質リン酸ジルコニウム(例えば、AZr2(PO43・nH2O、Aはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンを示す)よりイオン交換活性の高いものに変換することができる。
以下本発明について説明する。
本発明の新規リン酸ジルコニウムは、上記一般式〔1〕で示されるものである。
式〔1〕において、Mで示されるアルカリ金属イオンとしては、Li、Na、K、Rb、およびCsが例示され、これらは単独でも複数混合されていてもよい。なかでも好ましいアルカリ金属イオンは、イオン交換性および合成の容易さなどからNaイオンまたはKイオンであり、より好ましくはNaイオンである。
式〔1〕において、aは0または正数であり、bは正数であり、cは1.5<c<2.0の範囲の正数であり、これらはa+b+4c=9を満たすものである。
式〔1〕においてnは、2以下の数である。
式〔1〕において、bは、0<bであり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上である。式〔1〕において、アンモニウムイオンの配合量が多いほど微粒子のものが得られやすい。また、bが0.1未満では、アンモニウムイオンを含有したことによる効果が得られないことがあるため好ましくない。またbは、3未満であり、好ましくは2未満であり、より好ましくは1.5以下である。
式〔1〕においてcは、1.75<c<1.99が好ましく、より好ましくは1.8〜1.98であり、1.82〜1.97が更に好ましい。cが1.75以下のものを得ることが困難であることがあり、一方、1.99以上のものではイオン交換性の向上が殆ど期待できないことがあることから好ましくない。
式〔1〕においてnは、1以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5であり、0.03〜0.3の範囲が更に好ましい。nが2超では、リン酸ジルコニウムに含まれる水分の絶対量が多く、加工時等に発泡や加水分解などを生じる恐れがあり好ましくない。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成方法は、各種原料を水溶液中で反応させる湿式合成法である。具体的には、ジルコニウム化合物、アンモニアまたはその塩、シュウ酸またはその塩、およびリン酸またはその塩など、所定量含有する水溶液をpH4以下に調整後、70℃以上に加熱することで、本発明のリン酸ジルコニウムを合成することができる。合成後のリン酸ジルコニウムは、さらに濾別し、よく水洗後に乾燥、軽く粉砕することで白色の微粒子リン酸ジルコニウムが得られる。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成原料として使用することができるジルコニウム化合物には、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムなどが例示され、反応性や経済性などを考慮すると、好ましくはオキシ塩化ジルコニウムである。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるシュウ酸またはその塩としては、シュウ酸2水和物、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素ナトリウム、およびシュウ酸水素アンモニウムなどが例示され、好ましくはシュウ酸2水和物である。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるアンモニアまたはその塩としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、アンモニア水、シュウ酸アンモニウム、およびリン酸アンモニウムなどが例示でき、好ましくは塩化アンモニウムおよび/またはアンモニア水である。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成原料として使用できるリン酸またはその塩としては、可溶性または酸可溶性の塩が好ましく、これらとしてリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、およびリン酸アンモニウムなどが例示され、より好ましくはリン酸である。なお、当該リン酸の濃度としては、60%〜85%程度の濃度のものが好ましい。
本発明のリン酸ジルコニウムを合成するときのリン酸またはその塩とジルコニウム化合物とのモル比率(ジルコニウム化合物を1として)は、1.5超〜2未満であり、より好ましく1.51〜1.71未満であり、さらに好ましくは1.52〜1.67であり、特に好ましくは1.52〜1.65である。
即ち、本発明のリン酸ジルコニウムの合成方法は、ジルコニウム化合物1モル当たりリン酸またはその塩のモルが1.5超〜2未満の範囲にある湿式合成法である。
また、本発明のリン酸ジルコニウムを合成するときのリン酸またはその塩とアンモニアまたはその塩とのモル比率(アンモニアまたはその塩を1として)は、0.3〜10が好ましく、更に1〜10が好ましく、特に好ましくは2〜5である。
即ち、本発明のリン酸ジルコニウムの合成方法は、アンモニアまたはその塩を含有する湿式合成法である。
本発明のリン酸ジルコニウムを合成するときのリン酸またはその塩とシュウ酸またはその塩とのモル比率(シュウ酸またはその塩を1として)は、1〜6が好ましく、より好ましく1.5〜5であり、更に好ましくは1.51〜4であり、特に好ましくは1.52〜3.5である。
即ち、本発明のリン酸ジルコニウムの合成方法は、シュウ酸またはその塩を含有する湿式合成法である。
本発明のリン酸ジルコニウムを合成するときの反応スラリー中の固形分濃度は、3wt%以上が好ましく、経済性など効率を考慮すると7%〜15%の間がより好ましい。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成時のpHは、1以上4以下が好ましく、より好ましくは1.5〜3.5、更に好ましくは2〜3であり、特に好ましくは2.2〜3である。当該pHが4超であると、本発明のリン酸ジルコニウムが合成できないことがあるので好ましくない。当該pHが1未満であると本発明のリン酸ジルコニウムが合成できないことがあるので好ましくない。このpHの調整には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア水などが好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
また、本発明のリン酸ジルコニウムを合成するときの合成温度は、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましく、特に好ましくは95℃以上である。また、合成温度としては、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。当該温度が70℃未満であると、本発明のリン酸ジルコニウムが合成できないことがあるので好ましくない。また当該温度が150℃超えであるとエネルギー的に不利であることから好ましくない。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成時には原料が均質に混合され、反応が均一に進むように攪拌することが望ましい。
本発明のリン酸ジルコニウムの合成時間は、合成温度により異なる。例えば、本発明のリン酸ジルコニウムの合成時間として4時間以上が好ましく、8時間以上72時間以下がより好ましく、10時間〜48時間が更に好ましい。
本発明のリン酸ジルコニウムとして、以下のものが例示できる。
(NH41.4Zr1.9(PO43・0.05H2
(NH41.24Zr1.94(PO43・0.15H2
Na0.6(NH40.84Zr1.89(PO43・0.3H2
Na1(NH40.44Zr1.89(PO43・0.2H2
Na0.60.3(NH40.42Zr1.92(PO43・0.2H2
0.92(NH40.44Zr1.91(PO43・0.1H2
Na0.72(NH4)Zr1.82(PO43・0.2H2
Na0.30.34(NH4)Zr1.84(PO43・0.1H2
Na(NH40.76Zr1.81(PO43・0.1H2
Na0.60.4(NH40.6Zr1.85(PO43・0.3H2
本発明におけるリン酸ジルコニウムのメジアン径は、0.1〜5μmの間のものを合成することが可能である。本発明のリン酸ジルコニウムのメジアン径は、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましく、0.3〜2μmが更に好ましい。なお、各種製品への加工性を考慮すればメジアン径のみでなく、最大粒径および散布度も重要である。このことから、本発明のリン酸ジルコニウムの最大粒径は10μm以下にすることが好ましく、8μm以下にすることが更に好ましく、6μm以下にすることが効果を発揮できることから特に好ましい。このメジアン径における標準偏差は、1以下にすることが好ましく,0.5以下にすることがより有効に効果を発揮できることから好ましい。
本発明のリン酸ジルコニウムは、粉末であるので、このまま使用しても、これを加工して使用することもできる。例えば、リン酸ジルコニウムを懸濁状態、粒状体、抄紙体、ペレット体、シート状、またはフィルム状等の成型体としてもよく、またスプレー、多孔質体、または繊維体などの形態とすることもできる。さらにそれらを塗料、不織布、発泡シート、紙、プラスチック、または無機質板などに加工することもできる。
本発明のリン酸ジルコニウムは、耐熱性、耐薬品性、耐放射性および低熱膨張性などに優れている。このことから本発明のリン酸ジルコニウムは、水処理用の金属捕捉剤、電子材料用のイオン捕捉剤、放射性廃棄物の固定化、固体電解質、ガス吸着・分離剤、触媒および抗菌剤原料などに応用することが可能である。また、物理・化学的に安定な白色微粒子でもあることから顔料、研磨剤、アンチブロッキング剤などとしても応用できる。
<実施例>
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
メジアン径は、レーザー回折式粒度分布を用いて体積基準により測定し、この測定結果から標準偏差を求めた。ジルコニウムの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をICP発光分光分析計にて測定し算出した。リンの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をICP発光分光分析計にて測定し算出した。ナトリウムの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液を原子吸光光度計にて測定し算出した。アンモニアの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をインドフェノール法にて測定し算出した。
純水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.195モルおよび塩化アンモニウム0.11モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.9に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することにより本発明のリン酸ジルコニウムを得た。このリン酸ジルコニウムの組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお、このリン酸ジルコニウムの組成式は、リン、ジルコニウム、アンモニア、およびナトリウムをICPや原子吸光光度計、比色法などにより測定し、算出した。
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.185モルおよび塩化アンモニウム0.14モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.9に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することにより本発明のリン酸ジルコニウムを得た。このリン酸ジルコニウムの組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.19モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を28%アンモニア水を用いてpH2.9に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することにより本発明のリン酸ジルコニウムを得た。このリン酸ジルコニウムの組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.195モルおよび塩化アンモニウム0.07モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH2.7に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することにより本発明のリン酸ジルコニウムを得た。このリン酸ジルコニウムの組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
<比較例1>
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルおよび塩化アンモニウム0.11モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を得た。このリン酸ジルコニウムの組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
<比較例2>
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%アンモニア水を用いてpH3.5に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を得た。このリン酸ジルコニウム化合物の組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
<比較例3>
純水300mlに蓚酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH3.5に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を得た。このリン酸ジルコニウム化合物の組成式やメジアン径(μm)などを表1に示した。なお組成式は、実施例1と同様にして測定し、算出した。
Figure 2006306676
硝酸銀0.004モルを溶解した1N硝酸水溶液450mlに、実施例1または実施例2で作製した0.09モルのリン酸ジルコニウムを加え、60℃で2時間攪拌した。その後、これらをよく洗浄し、120℃で乾燥後、軽く粉砕した。これらの組成について調べたところ、それぞれ銀を含有していることが分かった。
このことから、本発明のリン酸ジルコニウムは、イオン交換性を有している。
本発明の新規のリン酸ジルコニウムは、イオン交換性が向上しており、均一性が高い微粒子であるため加工性に優れた無機イオン交換体である。このことから水処理用の金属捕捉剤、電子材料用のイオン捕捉剤、放射性廃棄物の固定化、固体電解質、ガス吸着・分離剤、触媒および抗菌剤原料などに用いることができ、かつ細い繊維や塗料などの加工性が重要となる用途などにも応用可能なものである。

Claims (4)

  1. 下記一般式〔1〕で示されるリン酸ジルコニウム。
    a(NH4bZrc(PO43・nH2O 〔1〕
    式〔1〕において、Mはアルカリ金属イオン、水素イオンおよびオキソニウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、a、bおよびcは、0<b、1.5<c<2、およびa+b+4c=9を満たす数であり、nは2以下である。
  2. 1モルのジルコニウム化合物に対してリン酸またはその塩のモル数が1.5超〜2未満の範囲のものを用いることを特徴とする請求項1に記載のリン酸ジルコニウムの湿式合成法。
  3. 請求項2記載の湿式合成法により合成されたリン酸ジルコニウム。
  4. 上記一般式〔1〕におけるMがナトリウムイオンである請求項1または3に記載のリン酸ジルコニウム。
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