JP5476579B2 - 2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 - Google Patents
2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5476579B2 JP5476579B2 JP2009015808A JP2009015808A JP5476579B2 JP 5476579 B2 JP5476579 B2 JP 5476579B2 JP 2009015808 A JP2009015808 A JP 2009015808A JP 2009015808 A JP2009015808 A JP 2009015808A JP 5476579 B2 JP5476579 B2 JP 5476579B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- clay
- film
- self
- water
- supporting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
(1)Li、Mg及びSiを含み、Li/Si=0.08〜0.17、Mg/Si=0.65〜0.72の範囲であるスチブンサイトを含む2:1型3八面体合成粘土。
(2)Naを含まない(1)に記載の2:1型3八面体合成粘土。
(3)500℃での加熱処理後の吸水率が5%未満である(1)又は(2)に記載の2:1型3八面体合成粘土。
(4)不純物としてのLiが、Li/Si<0.15である(1)〜(3)いずれか一項に記載の2:1型3八面体合成粘土。
(5)上記(1)〜(4)いずれか一項に記載の2:1型3八面体合成粘土及び分散媒として水を含み、チクソトロピー性を有する透明粘土ゲル。
(6)上記(5)に記載の透明粘土ゲルを用いてなるコーティング粘土膜。
(7)透明度が全光線透過率90%以上である(5)に記載のコーティング粘土膜。
(8)400℃以下の加熱処理後の全光線透過率が70%以上である(6)又は(7)に記載のコーティング粘土膜。
(9)加熱処理をすることによって、耐水性が向上することを特徴する(6)〜(8)いずれか一項に記載のコーティング粘土膜。
(10)上記(5)に記載の透明粘土ゲルを用いてなる自立粘土膜。
(11)透明度が全光線透過率80%以上である(10)に記載の自立粘土膜。
(12)厚さ30〜500μmを有する(10)又は(11)に記載の自立粘土膜。
(13)400℃以下の加熱処理後の全光線透過率が70%以上である(10)〜(12)いずれか一項に記載の自立粘土膜。
(14)加熱処理をすることによって、耐水性が向上することを特徴する(10)〜(13)いずれか一項に記載の自立粘土膜。
Li/Siは、合成原料に入れたSiの量に対して、層間イオン又は層内に入ったLiを測定し計算した。層間イオンとしてのLi量は、メチレンブルー吸着法を用いて層間のLiと交換されたメチレンブルーの量を測定し、換算した。一方、層内に入ったLiの量は合成原料に添加したLi量とICP測定で検出されたLi量の差から算出した。Mg/SiはEDX元素分析を用いて測定した。
上記リチウムイオンの過剰な条件下での合成においては、合成後に過剰に存在するリチウムは粘土の構成元素としてではなく、塩の形で生成することになる。このリチウム塩は、合成後に、例えば、洗浄を行うことによって除去しても良いが、洗浄を行わなくても上記範囲内(Li/Si<0.15)であれば本発明の効果に大きく影響を与えない。一方、不純物として含まれるリチウム塩が、Li/Siで0.15以上となると、粘土合成の時粘土の結晶化が妨害される可能性がある。
なお、本発明における不純物としてのLi/Siは下記の方法により算出した値を示す。不純物としてのLi量は、添加したLi量から層間イオンとしてのLiと層内に入ったLiの量を引いた値である。層間イオンとしてのLi量は、メチレンブルー吸着法を用いて層間のLiと交換されたメチレンブルーの量を測定し、換算した。層内に入ったLiの量は合成原料に添加したLi量とICP測定で検出されたLi量の差から算出した。Li/Siは、合成原料に入れたSiの量と不純物としてのLi量の比から計算した。
粘土のシリカ源となるケイ素化合物及びマグネシウム源となるマグネシウム化合物を含有する水溶液を調製する。前記水溶液は、例えば、それぞれの化合物を含有する水溶液を常温(15〜25℃)にて混合することによって調整することができる。
第1工程にて得られた均質複合沈殿物の分散液に、リチウムイオン源となるリチウム化合物を含有する水溶液を混合し出発原料スラリーを得る。
第3の工程は、第2の工程で得られた出発原料スラリーの水熱反応を行う。この工程では、出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み、水熱反応をさせる。水熱反応の温度は、100〜300℃であることが好ましい。水熱反応の時間は、24時間以上であることが好ましい。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込む前に、また、水熱反応終了後に、必要に応じて、出発原料スラリー中に不純物として含まれるリチウム塩を洗浄することも可能である。
第3の工程の水熱反応後、オートクレーブ内の内容物を取り出し、15〜150℃の温度で乾燥、適宜粉砕することにより、本発明の2:1型3八面体合成粘土を得ることができる。
コロイダルシリカ(Ludox TM 50、SigmaAldrich社製)60gと蒸留水120mlとを混合した分散液に硝酸20mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)91gと蒸留水128mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を25.4ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み、200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕し、2:1型3八面体合成粘土を得た。得られた粘土を用いて、下記各種評価を行った。
[2:1型3八面体合成粘土の確認]
XRDのパターン(Bruker/MacScience M21X)から目的の粘土が生成しているかを確認した。得られた粘土の水分散液(2.5wt%)をガラス基板上に滴下し、乾燥してできた粘土膜のXRDパターンを測定した。目的の粘土が得られている場合、図1に示すようなd(001)ピークが2θ=6℃付近に現れるスメクタイトのパターンを示す。このd(001)ピークの有無によって目的の粘土が得られているかどうかを判断した。結果を表1に示す。
[Li/Si及びMg/Siの算出]
下記の方法により、Li/Si及びMg/Siの算出を行った。
Li/Siは、合成原料に入れたSiの量に対して、層間イオン又は層内に入ったLiを測定し計算した。
層間イオンとしてのLi量は、メチレンブルー吸着法を用いて層間のLiと交換されたメチレンブルーの量を測定し、換算した。具体的には、得られた粘土を110℃で1時間乾燥し0.02gを秤量し、濃度1.5×10−6mol/mlのメチレンブルー水溶液30ml中に添加し、撹拌しながら3日間室温にて放置した。その後、孔径0.45μmのフィルターを用いて、粘土と溶液を分離した。分離した溶液0.1mlに蒸留水3mlを添加し希釈した後、希釈溶液のメチレンブルー濃度を測定した。濃度の測定は、分光光度計((株)島津製作所製 MPS−2450)を用い波長665nmで測定し、粘土100gあたりのメチレンブルー吸着量を算出した。ここで算出されたメチレンブルー吸着量を、層間イオンとして存在するLiの量とした。
一方、層内に入ったLiの量は合成原料に添加したLi量とICP測定で検出されたLi量の差から算出した。具体的には、得られた粘土0.1mgを10mlの酢酸アンモニウム溶液(1N)に入れ、100rpmで一晩振とうした。その後、上澄みを孔径0.45μmのフィルターに通して、ICP分析(ICP発光分析装置(セイコー電子(株)製 SPS−1500R))を行った。
Mg/SiはEDX元素分析((株)日立製作所製 S−800)を用いて測定した。
結果を表1に示す。
[不純物としてのLi/Siの算出]
下記の方法により、Li/Siの算出を行った。
不純物としてのLi量は、添加したLi量から層間イオンとしてのLiと層内に入ったLiの量を引いた値である。層間イオンとしてのLi量は、上記と同様にメチレンブルー吸着法を用いて層間のLiと交換されたメチレンブルーの量を測定し、換算した。層内に入ったLiの量は上記と同様に合成原料に添加したLi量とICP測定で検出されたLi量の差から算出した。Li/Siは、合成原料に入れたSiの量と不純物としてのLi量の比から計算した。結果を表1に示す。
[Na含有量]
粘土に含まれているナトリウムイオン量を測定した。酢酸アンモニウム溶液(1N)に得られた粘土0.1mgを入れ、一晩100rpmで振とうした。その後、上澄みをフィルター(気孔0.45μm)に掛けてから、ICP分析(ICP発光分光分析装置(セイコー電子社製/SPS−1500R)を行った。結果を表1に示した。上記装置の検出限界値以下の場合はN.D.と記載した。
[水分散性(透明粘土ゲルの調製)]
得られた粘土を、蒸留水に分散させ、2.5wt%の透明粘土ゲルを得た。水によく分散し、チクソトロピー性を有することが確認された場合は○、分散後、沈殿物の生成が確認された場合は×として水分散性の判断をした。結果を表1に示す。
[成膜性(自立粘土膜の調製)]
上記水分散性評価で得られた透明粘土ゲルをポリプロフィレン容器の中に注ぎ、室温にて自然乾燥した。乾燥した粘土膜を、容器から物理的に剥離することにより、自立粘土膜を得た。得られた自立粘土膜の写真を図3に、その自立粘土膜の端面のSEM写真を図4に示した。なお、SEM写真はHITACHI製/S−800を使用した。成膜性の評価は目視にて下記の基準にて行った。結果を表1に示す。
膜形成はするが、収縮が大きく塊の状態:△
膜形成せず粉末状態:×
[透明度]
上記成膜性の評価で得られた自立粘土膜を用いて透明度を測定した。透明度は、濁度計(日本電色工業株式会社製/NDH5000)における全光線透過率の測定により評価した。また、水分散性評価で得られた透明粘土膜をスライドガラス上に塗布し、乾燥して得られたコーティング粘土膜を用いて同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[耐水性(水中への溶解性)]
成膜性の評価で得られた自立粘土膜を用いて、耐水性の評価を行った。得られた自立粘土膜を400℃で3時間加熱処理した後、水の中に入れ一晩放置し、自立粘土膜が溶けるかどうかを目視にて判断した。水中への溶解が見られない場合を○とし、水中への溶解が見られた場合は×として評価した。結果を表1に示す。
[耐水性(吸湿率変化)]
上記成膜性の評価で得られた自立粘土膜を用いて加熱処理前後の吸湿率を測定した。得られた自立粘土膜を500℃で12時間加熱した後、温度40℃、湿度90%に設定した恒温高湿庫中に5時間放置した。吸水率は、500℃での加熱処理後の自立粘土膜の質量と、恒温高湿庫への放置後の自立粘土膜の質量とを測定し、その質量変化より算出した。
(実施例2)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を30.8ml添加し、水熱合成を150℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例3)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を30.8ml添加し、水熱合成を200℃で24時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例4)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を30.8ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例5)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を33.2ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を42.2ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を50.8ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を58.9ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を58.9ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行い、水熱合成後に生成した反応生成物を取り出し、水洗浄を5回繰り返し行った以外は実施例1と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
アモルファスシリカ(Cab−O−Sil M5、Cabot社製)60gと蒸留水600mlとを混合した分散液に硝酸40mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)182gと蒸留水256mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を58.0ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。評価は実施例1と同様に行った。
(実施例11)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を67.0ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例10と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例12)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を73.2ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例10と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例13)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を95.6ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は実施例10と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例14)
硝酸マグネシウム(一級試薬)182gと蒸留水182mlとを混合した溶液に珪酸エチル208gを入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を61.6ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。評価は実施例1と同様に行った。
(実施例15)
二酸化珪素n水和物71gと蒸留水600mlとを混合した分散液に硝酸40mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)182gと蒸留水256mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を61.6ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。評価は実施例1と同様に行った。
(比較例1)
3号水ガラス(SiO2:28%、NaO2:9%、小宗化学薬品社製)200gと蒸留水1000mlとを混合した分散液に硝酸70mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)182gと蒸留水182mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(20wt%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄を繰り返した。得られた出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。評価は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
コロイダルシリカ(Ludox TM 50、Sigma Aldrich社製)60gと蒸留水120mlとを混合した分散液に硝酸20mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)91gと蒸留水128mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を16.8ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。比較例2においては粘土が得られなかった。
(比較例3)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を84.3ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は比較例2と同様に合成を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
アモルファスシリカ(Cab−O−Sil M5、Cabot社製)60gと蒸留水600mlとを混合した分散液に硝酸40mlを添加した。これに硝酸マグネシウム(一級試薬)182gと蒸留水256mlとを混合した溶液を入れて攪拌しながら、アンモニア水(28%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH10になったところで滴下を止め、室温で一晩熟成させ、均一複合沈殿を得た。その後、蒸留水の添加、振盪、固液分離の過程による水洗浄をアンモニア臭がなくなるまで繰り返した。充分に洗浄を行った均一複合沈殿の分散液に、10wt%の水酸化リチウム水溶液を19.4ml添加し、よく混合し、出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーをオートクレーブに仕込み,200℃で48時間水熱反応させた。冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、60℃で乾燥した後、粉砕した。比較例4においては粘土が得られなかった。
(比較例5)
10wt%の水酸化リチウム水溶液を38.6ml添加し、水熱合成を200℃で48時間行った以外は比較例4と同様に合成を行った。
実施例でられた粘土は、水分散性評価において、チクソトロピー性を有する透明なゲルが得られた。一方、比較例2〜5の粘土は、水分散性評価において、粘土の沈殿が見られた。
実施例で得られた粘土は、成膜性の評価において、透明な粘土膜が形成し、図4に示すような規則的な積層構造となった。一方、比較例2〜5の粘土は、成膜性評価において、乾燥後に、白い粉末状、又は、乾燥中に収縮し厚みのある白い塊となった。
実施例で得られた粘土は、耐水性の評価において、水に溶けることなく、形状を維持していた。一方、比較例1の粘土は、水に溶解し、耐水性は見られなかった。
実施例2〜4では、本発明の本発明の2:1型3八面体合成粘土の合成方法の一例における好ましいLi添加量の範囲内で水熱法の条件(水熱反応温度、水熱反応時間)を変化させたが、他の実施例と同等の水分散性、成膜性を有する粘土が合成でき、他の実施例と同等の透明性及び耐水性を有するコーティング粘土膜及び自立粘土膜が形成できた。
実施例10〜15では、本発明の本発明の2:1型3八面体合成粘土の合成方法の一例における好ましいLi添加量の範囲内で、リチウムイオン源となるリチウム化合物として、アモルファスシリカ、珪酸エチル及び二酸化珪素n水和物を用いて合成を行った。その結果、コロイダルシリカを用いた場合と同等の水分散性、成膜性を有する粘土が合成でき、他の実施例と同等の透明性及び耐水性を有するコーティング粘土膜及び自立粘土膜が得られた。
Claims (11)
- Li、Mg及びSiを含み、Naを含まず、原子比でLi/Si=0.08〜0.17、Mg/Si=0.65〜0.72の範囲であるスチブンサイトを含み、
前記Li/SiにおけるLiが、層間イオン又は層内に入ったLiである2:1型3八面体合成粘土。 - 500℃での加熱処理後の吸水率が5%未満である請求項1に記載の2:1型3八面体合成粘土。
- 不純物としてのLiが、原子比でLi/Si<0.15である請求項1又は2に記載の2:1型3八面体合成粘土。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載の2:1型3八面体合成粘土及び分散媒として水を含み、チクソトロピー性を有する透明粘土ゲル。
- 請求項4に記載の透明粘土ゲルを用いてなるコーティング粘土膜。
- 加熱処理をすることによって、耐水性が向上することを特徴する請求項5に記載のコーティング粘土膜。
- 請求項4に記載の透明粘土ゲルを用いてなる自立粘土膜。
- 厚さ30〜500μmを有する請求項7に記載の自立粘土膜。
- 透明度が全光線透過率80%以上である請求項8に記載の自立粘土膜。
- 400℃以下の加熱処理後の全光線透過率が70%以上である請求項8又は9に記載の自立粘土膜。
- 加熱処理をすることによって、耐水性が向上することを特徴する請求項7〜10いずれか一項に記載の自立粘土膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009015808A JP5476579B2 (ja) | 2009-01-27 | 2009-01-27 | 2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009015808A JP5476579B2 (ja) | 2009-01-27 | 2009-01-27 | 2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010173870A JP2010173870A (ja) | 2010-08-12 |
JP5476579B2 true JP5476579B2 (ja) | 2014-04-23 |
Family
ID=42705207
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009015808A Expired - Fee Related JP5476579B2 (ja) | 2009-01-27 | 2009-01-27 | 2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5476579B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5397807B2 (ja) * | 2009-09-08 | 2014-01-22 | 日立化成株式会社 | 合成スメクタイト及びその製造方法、並びに複合フィルム |
JP5713257B2 (ja) * | 2011-01-21 | 2015-05-07 | 日立化成株式会社 | 合成スメクタイトペースト、合成スメクタイト自立膜、合成スメクタイト膜及び合成スメクタイト膜の製造方法 |
JP5970830B2 (ja) * | 2011-01-31 | 2016-08-17 | 住友化学株式会社 | 無機層状化合物分散液および多層構造体の製造方法 |
JP2012193750A (ja) * | 2011-03-14 | 2012-10-11 | Japan Matekkusu Kk | 無機繊維粘土複合材及びその製造方法、並びにこの複合材からなるガスケット又はパッキン |
JP2012193088A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Taiheiyo Cement Corp | リチウムイオン電池用正極活物質の製造法 |
JP5862862B2 (ja) * | 2011-08-31 | 2016-02-16 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | プレカーサー及びこれを原料とする粘土の合成方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4054537A (en) * | 1976-04-26 | 1977-10-18 | N L Industries, Inc. | Process for synthesizing compositions containing smectite-type clays and gellants produced thereby |
JPS6186414A (ja) * | 1984-10-05 | 1986-05-01 | Onoda Kagaku Kogyo Kk | けい酸塩の製造方法 |
JP2667978B2 (ja) * | 1987-01-26 | 1997-10-27 | 工業技術院長 | 合成多孔体およびその製造方法 |
JP5099412B2 (ja) * | 2006-03-11 | 2012-12-19 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 変性粘土を用いた膜 |
JP4973856B2 (ja) * | 2007-03-30 | 2012-07-11 | クニミネ工業株式会社 | 粘土フィルム及びその製造方法 |
JP5212965B2 (ja) * | 2007-03-30 | 2013-06-19 | クニミネ工業株式会社 | 合成粘土材料及び粘土フィルム |
-
2009
- 2009-01-27 JP JP2009015808A patent/JP5476579B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010173870A (ja) | 2010-08-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5476579B2 (ja) | 2:1型3八面体合成粘土、透明粘土ゲル、コーティング粘土膜及び自立粘土膜 | |
Wang et al. | Metal oxide decorated layered silicate magadiite for enhanced properties: insight from ZnO and CuO decoration | |
JP2009107907A (ja) | 合成スメクタイト、及びこれを含有する分散液、粘土フィルム、耐水フィルム、並びに合成スメクタイト及び耐水フィルムの製造方法 | |
JP4973856B2 (ja) | 粘土フィルム及びその製造方法 | |
WO2014126075A1 (ja) | 高い比表面積を有する棒状の水酸化マグネシウム粒子、及び棒状の酸化マグネシウム粒子、並びにそれらの製造方法 | |
WO2012127889A1 (ja) | 球状の水酸化マグネシウム粒子、及び球状の酸化マグネシウム粒子、並びにそれらの製造方法 | |
JP2009173482A (ja) | 膨潤性層状複水酸化物およびその製造方法とそれを用いたゲル状物質、ゾル状物質ならびにナノシート | |
JP4785134B2 (ja) | 電気絶縁性が改良された受酸剤、それを含む組成物およびその成形品 | |
MX2013004813A (es) | Sintesis de titanato de sodio. | |
JP5212965B2 (ja) | 合成粘土材料及び粘土フィルム | |
JP2011051845A (ja) | 粘土の層間イオンをリチウムイオンと交換したリチウム交換粘土の製造方法 | |
WO2018150600A1 (ja) | ケイ酸塩被覆体及びその製造方法 | |
JP2008290913A (ja) | 水酸化コバルト・鉄結晶および水酸化コバルト・鉄単層ナノシートならびにそれらの製造方法 | |
CN101607722A (zh) | 一种氢氧化镁六方纳米片的合成方法 | |
JP2012121777A (ja) | もみ殻灰を用いた合成粘土及び粘土膜の製造方法 | |
Aizawa et al. | Preparation of spherical apatite particles by the homogeneous precipitation method in the presence of magnesium ions and their ion-exchange properties | |
Sugiura et al. | Hydrated silicate layer formation on mica-type crystals | |
JP2667978B2 (ja) | 合成多孔体およびその製造方法 | |
JP4939021B2 (ja) | 被覆水酸化マグネシウム、その製造方法及びそれを含む電子部品材料用樹脂組成物 | |
JP5713257B2 (ja) | 合成スメクタイトペースト、合成スメクタイト自立膜、合成スメクタイト膜及び合成スメクタイト膜の製造方法 | |
OKADA et al. | Crystal growth of a hectorite-like layered silicate on monodisperse spherical silica particles with different diameters | |
JP6890826B2 (ja) | スメクタイトスラリー | |
JP2013010056A (ja) | 重金属イオン吸着材およびその製造方法 | |
Ruiz-Hitzky et al. | MXenes vs. clays: emerging and traditional 2D layered nanoarchitectonics | |
JP5397807B2 (ja) | 合成スメクタイト及びその製造方法、並びに複合フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111130 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20111130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130412 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130423 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130619 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5476579 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |