JP2006296000A - 出力欠相検出回路 - Google Patents

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隆夫 伊藤
Tetsuji Iwasaki
哲治 岩崎
Takuya Chikada
拓也 近田
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Abstract

【課題】インバータ装置から出力される三相交流電源に接続された複数の負荷装置のうち、いずれかの負荷装置に欠相が生じた場合に、その欠相を検出する出力欠相検出回路である。
【解決手段】インバータ装置に接続された複数の負荷装置8a〜8cの動作時における各相相互間のインバータ出力電流の検出信号を各相絶対値データとして求める絶対値演算回路13と、絶対値演算回路13により求められた前記各相絶対値データ相互間の各差分Huv,Hvw,Hwuを求める差分演算回路15a〜15cと、差分演算回路15によって求められた各相相互間の差分と予め設定された基準差分値とをそれぞれ比較し、各差分のいずれかが基準差分値より大きい場合に欠相が生じていると判定する判定回路16とを備えたものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、三相交流電流を出力するインバータ装置に接続される複数の負荷装置のいずれかに欠相が生じた場合に、この欠相を検出する出力欠相検出回路に関するものである。
インバータ装置の出力に一つの負荷装置、例えば誘導電動機を用いたバイブレータが接続された状態で、このバイブレータの例えばU相が欠相した場合は、バイブレータのU相電流は0となり、欠相していないV相とW相には電流が流れる。インバータ装置とバイブレータが1対1の場合は、インバータ装置のU相の電流が0となるので、各相の0電流検出により欠相を検出することができる。
従来のこのような出力欠相検出方法としては、図10のブロック回路図に示すように電流制御回路1,座標変換器2,PWM発生回路3,電力変換器4,電流検出器5,出力欠相検出回路6及びインバータ保護回路7とを備え、出力欠相検出回路6は電流検出器5で検出される、例えばひ交流電動機などの負荷装置8の三相の電流値Iu ,Iv ,Iw により、欠相の有無を検出しているものである。
この従来技術における出力欠相検出回路6は、絶対値検出回路を介して検出された各相の電流の絶対値と欠相状態検出回路で所定の基準値と比較し、基準値より小さい相の信号を出力して欠相を検出し、この欠相検出信号によりインバータ保護回路7を動作させることを基本としているものである。この従来例においては、負荷装置8の特性によってインバータ装置から出力される三相の電流の振幅レベルが小さい場合には、出力欠相を適切に検出できないという課題があり、これを解決するための出力欠相検出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−292580号公報
しかしながら、従来の出力欠相検出方法や出力欠相検出回路は、インバータ装置と負荷装置が1対1の接続関係にある場合についてであり、1台のインバータ装置に複数の負荷装置が接続されているシステムにおいて、その内の1台の負荷装置に欠相が生じた場合にこれを検出して、インバータ装置を停止せしめるなどの保護手段を有するインバータ装置は提案されていなかった。
従って、インバータ装置の出力に負荷装置として、例えば3本のバイブレータが接続された状態で、その内の1本のバイブレータの例えばU相が欠相した場合は、欠相したバイブレータのU相電流は0となり、欠相していないV相とW相に電流が流れる状態となるが、欠相していない正常な状態の他のバイブレータ2本についてはU,V,W各相に電流が流れる。
インバータ装置の出力としては、3本のバイブレータの合計の電流が流れるため、U相の電流は0にならずに正常時より2/3程度小さい電流が流れる。この時、欠相したバイブレータのモータは、トルクが正常に発生できないため回転数が低下することによりモータの逆起電力も低下し、V相,W相の電流は正常時より大きい電流が流れる。もし、欠相したモータが停止した場合は非常に大きな電流がV相,W相に流れ、モータを焼損させることがある。従って、インバータ装置の出力電流0を欠相の判定基準とする出力欠相検出方法では、インバータ装置に複数の負荷装置(例えばバイブレータ)が接続された状態での出力欠相検出を行うことがでないという問題があった。
本発明の目的は、インバータ装置に複数の負荷装置が接続された使用状態において、負荷装置の1台に欠相が生じた場合、これを検出してインバータ装置の動作を停止せしめるなどの保護回路を動作させ、負荷装置のモータの焼損を防止せしめる出力欠相検出回路を提供することである。
この目的を達成するために、本願の第1の発明による出力欠相検出回路は、インバータ装置から出力される三相交流電源に接続された複数の負荷装置のうち、少なくとも一つの負荷装置に欠相が生じた場合の出力欠相検出回路であって、前記インバータ装置に接続された前記複数の負荷装置の動作時における各相毎のインバータ出力電流の検出信号を各相絶対値データとして求める絶対値演算回路と、該絶対値演算回路により求められた前記各相絶対値データ相互間の各差分を求める差分演算回路と、該差分演算回路によって求められた前記各差分と予め設定された基準差分値とをそれぞれ比較し、前記各差分の少なくとも一つが前記基準差分値より大きい場合に欠相を生じていると判定する判定回路とを備えたものである。
本願の第2の発明による出力欠相検出回路は、インバータ装置から出力される三相交流電源に接続された複数の負荷装置のうち、少なくとも一つの負荷装置に欠相が生じた場合の出力欠相検出回路であって、前記インバータ装置に接続された前記複数の負荷装置の動作時における各相毎のインバータ出力電流の検出信号を各相絶対値データとして求める絶対値演算回路と、該絶対値演算回路により求められた前記各相絶対値データ相互間の各差分を求める差分演算回路と、該差分演算回路によって求められた前記各相の各差分を加算して総合差分を求める差分加算回路と、該差分加算回路によって求められた前記総合差分と予め設定された基準総合差分値とを比較し、前記総合差分が前記基準総合差分値より大きい場合に欠相を生じていると判定する判定回路とを備えたものである。
以上説明したように、本発明によれば、インバータ装置に複数の負荷装置が接続された使用状態、又は使用起動状態において、この内いずれかの負荷装置に出力欠相が生じている場合に、この出力欠相を検出して当該インバータ装置の動作を停止させることができるため、出力欠相が生じている負荷装置のモータの焼損や損傷を未然に防止することができる。
図1は、本発明が対象とする交流三相電流を出力するインバータ装置に、複数の負荷装置として例えば3台のモータが接続された場合のブロック図であり、従来例として示した図10と同一部分には同一の符号を付してある。図10のブロック回路図と相違するところは、本発明の出力欠相検出回路11であり、この回路により複数の負荷装置のいずれかに欠相が生じた場合に、これを確実に検出してインバータ保護回路7を動作せしめるものである。
本発明における出力欠相検出回路11は、交流三相電流であるインバータ出力の各相の電流に対応する検出信号の絶対値を検出し、この検出された絶対値の各相相互間の差分を演算し、この差分が予め定めた所定値より大きい場合に3台(複数)の負荷装置8a〜8c(モータM1〜M3)のいずれかに欠相が生じたと判定して、直ちにインバータ保護回路7を動作させるものである。
次に図2に示した出力欠相検出回路11の第1の実施例について説明する。図2において12はハイパスフィルタ回路、13は絶対値演算回路、14はローパスフィルタ回路、15a〜15cはそれぞれ差分演算回路、16は判定回路である。この回路が負荷装置8a〜8cに欠相のない正常な状態で動作をしている場合について、図3に示した波形図と共の説明する。図2のインバータ出力電流の各相の検出信号Iu ,Iv ,Iw (図3(a)の波形)は、ハイパスフィルタ回路12によりオフセット成分を除去して検出信号Iu0,Iv0,Iw0(図3(b)の波形)を出力する。この検出信号Iu0,Iv0,Iw0は絶対値演算回路13によりそれぞれ絶対値Iu1,Iv1,Iw1(図3(c)の波形)を求める。
この絶対値Iu1,Iv1,Iw1は、ローパスフィルタ回路14により平滑化された絶対値データIu2,Iv2,Iw2(図3(d)の波形)として出力される。差分演算回路15a,15b,15cは、この絶対値データIu2,Iv2,Iw2のそれぞれについて各相相互間の差を演算し、U相のIu2とV相のIv2との差Huv,V相のIv2とW相のIw2との差Hvw,W相のIw2とU相のIu2との差Hwu(図3(e)の波形)を出力する。この各相相互間の絶対値データの差(差分)を後述する予め定めた所定値と比較し、その所定値より小さければ欠相が生じていないと判定する。図3に示した状態は、各相相互間の絶対値データの差はいずれも小さいため、欠相は生じていないと判定回路16により判定される。
次にインバータ装置に接続された複数(3台)の負荷装置8a〜8cのいずれか1台の例えばU相に欠相が生じた場合について、図2の出力欠相検出回路11の動作を図4に示した波形図(太線が欠相が生じた状態を示し、細線は正常状態を参考に表示したものである。)により説明する。この場合は図4(a)〜(e)に示すように、U相(左列)の検出信号Iu ,Iu0,絶対値Iu1,Iu2は正常状態よりも小さくなり、V相(中列)の検出信号Iv ,Iv0、絶対値Iv1,Iv2、及びW相(右列)の検出信号Iw ,Iw0、絶対値Iw1,Iw2は正常状態よりも大きくなる。従って、差分演算回路15a,15b,15cによる絶対値データの差を比較すると、V相のIv2とW相のIw2との差Hvwは極めて小さく図面上では殆ど0であるが、U相のIu2とV相のIv2との差Huv、及びW相のIw2とU相のIu2との差Hwuは大きく、予め定めた所定値を越えており、判定回路16により欠相が生じていると判定され、直ちにインバータ保護回路7を動作させることになる。
前述した負荷装置の正常状態と複数台中の1台に欠相が生じた場合について、表1に示した実際に測定した試験データに基づいて説明する。なお、試験データは、負荷装置8としてコンクリートバイブレータ4台分について、各相電流の平均値をマイコンにて検出し、正常時と欠相時との違いを測定したものである。表1は型式φ30(振動筒の径寸法約30mm),同φ40(振動筒の径寸法約40mm),同φ50(振動筒の径寸法約50mm),同φ60(振動筒の径寸法約60mm)の正常動作状態と運転中にU相,V相又はW相に欠相が生じた場合について各相の電流変化のデータ(検出信号)である。
Figure 2006296000
表1のデータから明らかなように、欠相が生じていない正常動作時の各相の電流値に対応する検出信号の各相相互間の差異は極めて少ないが、各相のいずれかに欠相が生じた場合は、欠相している相の電流値に対応する検出信号は極端に少なく、正常な相の検出信号は増加することを示している。
次に表2は、前記表1に示したφ30,φ40,φ50の3台が接続された状態において、3台共正常動作時と、3台のうちφ30,φ40又はφ50のいずれかのU相に欠相が生じた場合について、各相相互間の絶対値データの差を検証したものである。即ち、正常動作時における3台の各相の電流値(Iu2,Iv2,Iw2),各相相互間の差分(Huv,Hvw,Hwu)及びその差分の合計差分(Huvw )と、各φ30,φ40,φ50のいずれかのU相に欠相が生じた場合における3台の各相の合計電流値,各相相互間の差分及びその差分の合計差分を示したものである。
表2に示すように、正常動作時の各相相互間の差分はそれぞれHuvは100、Hvwは65、Hwuは165である。これに対してφ30のU相の欠相時には、Huvは1055、Hvwは21、Hwuは1034であり、U相と他相(V相,W相)との差分は正常動作時の差分に比較して極めて大きくなる。また、φ40のU相が欠相した場合の各相相互間の差分は、Huvは1727、Hvwは2、Hwuは1729であり、φ50のU相が欠相した場合の各相相互間の差分は、Huvは3085、Hvwは87、Hwuは2998となり、正常動作時の差分に比較して更に大きくなる。
なお、表2における各相相互間の差分の合計差分(Huvw )のデータは、後述する他の実施例の説明をする際に説明する。
Figure 2006296000
次に他の検証例を表3に示す。表3は前記表1に示したφ40,φ50,φ60の3台について、3台共正常動作時と、3台のうちφ40,φ50又はφ60のいずれかのU相に欠相が生じた場合について、各相相互間の絶対値データの差を検証したものである。即ち、正常動作時における3台の各相の電流値(Iu2,Iv2,Iw2),各相相互間の差分(Huv,Hvw,Hwu)及びその差分の合計差分(Huvw )と、各φ40,φ50,φ60のいずれかのU相に欠相が生じた場合における3台の各相の合計電流値,各相相互間の差分及びその差分の合計差分を示したものである。
このデータから明らかなように、正常動作時の各相相互間の差分はそれぞれHuvは239、Hvwは46、Hwuは285である。これに対してφ40のU相の欠相時には、Huvは1588、Hvwは21、Hwuは1609であり、U相と他相(V相,W相)との差分は正常動作時の差分に比較して極めて大きくなる。また、φ50のU相が欠相した場合の各相相互間の差分は、Huvは2946、Hvwは68、Hwuは2878であり、φ60のU相が欠相した場合の各相相互間の差分は、Huvは5415、Hvwは16、Hwuは5399となり、正常動作時の差分に比較して更に大きくなる。
Figure 2006296000
前述したように、表2に示した第1の検証例においては、各相相互間の差分が正常時は200以下でり、欠相時は1000以上の差分が検出されている。従って、判定回路16の欠相検出の判定基準値を例えば500と定めておけば、各相相互間のいずれかの差分が500を超えた場合は、φ30,φ40,φ50の3台の中のいずれかに欠相が生じていることを検出することができる。
また、表3に示した第2の検証例においては、各相相互間の差分が正常時は300以下でり、欠相時は1500以上の差分が検出されている。従って、判定回路16の欠相検出の判定基準値を例えば800と定めておけば、各相相互間毎のいずれかの差分が800を超えた場合は、φ40,φ50,φ60の3台の中のいずれかに欠相が生じていることを検出することができる。
この判定回路16の判定基準は、表2,表3に示すように、使用される複数の負荷装置(φ30〜φ60)の電流容量などにより、正常時の差分と欠相時の差分が異なるため、予め負荷装置の種類毎に試験データを求め、負荷装置の型式や接続台数等により判定基準を必要に応じて設定することが望ましい。
次に本発明の出力欠相検出回路の第2の実施例を図5に基づいて説明する。図5の回路は図2の回路の差分演算回路15a,15b,15cと判定回路16との間に差分加算回路17を設けたものである。図2に示した第1の実施例の出力欠相検出回路では、複数の負荷装置の各相相互間の各々の差分を検知して、いずれかの相間の差分が判定基準値を超えた場合に欠相が生じたと判定するものであるが、この図5の実施例では各相相互間の差分の合計差分(Huvw )が判定基準値を超えた場合に欠相が生じたと判定するものである。即ち、前述の表2の第1の検証例の場合は、負荷装置のφ30,φ40,φ50の3台の動作が正常動作時のときの合計差分(Huvw )は330であり、前述と同様にφ30のU相に欠相が生じた場合は、合計差分(Huvw )は2110であり、同様にφ40の場合の合計差分(Huvw )は3458,φ50の場合の合計差分(Huvw )は6170である。従って、判定回路16判定基準値を例えば1000に設定することにより、差分加算回路17の出力である差分の合計が1000を超えたとき3台の中のいずれかに欠相が生じていることを検出することができる。
また、表3の第2の検証例の場合は、負荷装置のφ40,φ50,φ60の3台が正常動作時のときの合計差分(Huvw )は570であり、前述と同様にφ40のU相に欠相が生じた場合は、合計差分(Huvw )は3218であり、同様にφ50の場合の合計差分(Huvw )は5892,φ60の場合の合計差分(Huvw )は10830である。従って、判定回路16判定基準値を例えば1500に設定することにより、差分加算回路17の出力である差分の合計が1500を超えたとき3台の中のいずれかに欠相が生じていることを検出することができる。
次に本発明の出力欠相検出回路の第3の実施例を図6に基づいて説明する。図6の出力欠相検出回路は、図2の出力欠相検出回路に設けられていたハイパスフィルタ回路12を除去したものである。即ち、電流検出器5からの三相交流の電流値Iu ,Iv ,Iw を直接に絶対値演算回路13に入力するものである。この回路の場合は、図2に示した実施例のようにハイパスフィルタ回路12によりオフセット成分が除去されないため、その後の絶対値演算回路13,ローパスフィルタ回路14での処理に若干の不正確な要素が加わるが、前述したように複数の負荷装置が正常時の場合と、欠相時の場合との各相相互間毎の各相の電流値に対応する差分が大きく相違することから、ハイパスフィルタ回路12を除去した場合でも、判定結果に誤りは殆ど生じない。
次に本発明の出力欠相検出回路の第4の実施例を図7に基づいて説明する。図7の出力欠相検出回路は、図5の出力欠相検出回路に設けられていたハイパスフィルタ回路12を除去したものである。この実施例の場合も図6に示した実施例と同様にオフセット成分が除去されないという問題はあるが、複数の負荷装置が正常時の場合と、欠相時の場合との各相相互間の合計の差分が大きく相違することから、判定結果に誤りは殆ど生じない。
次に本発明の出力欠相検出回路の第5の実施例を図8に基づいて説明する。図8の出力欠相検出回路は、図2に示した第1の実施例のハイパスフィルタ回路12に替えてサンプリング回路18を設け、絶対値演算回路13の出力側に絶対値データ記憶回路19と平均値演算回路20を設け、ローパスフィルタ回路14を除去したものである。この出力欠相検出回路の特徴とするところは、各相の電流値をサンプリング回路18により所要のタイミングでサンプリングし、絶対値演算回路13で絶対値データに変換して、絶対値データ記憶回路19に一時的に記憶せしめると共に、平均値演算回路20でサンプリングした絶対値データの平均値を求め、平均化された各相の電流値に対応する検出信号に基づき各相相互間の差分を差分演算回路15a,15b,15cで求めるものである。この各相相互間の差分を判定回路16により判定基準値と比較し、欠相の有無を判定する。
前述の図8に示したサンプリング回路18のサンプリング周期は、例えば100μsでデータ数としては256個程度を記憶させ、その平均値を演算することにより、各負荷装置の各相の電流値を検出し、欠相の発生の有無を監視する。
次に本発明の出力欠相検出回路の第6の実施例を図9に基づいて説明する。図9の出力欠相検出回路は、図8に示した出力欠相検出回路の第5の実施例に差分加算回路17を設け、図5に示した第2の実施例と同様に各相相互間の差分の合計が判定基準値を超えた場合に欠相が生じたと判定するものである。
また、前述した第1の実施例〜第6の実施例における表1の試験データは、運転中に欠相した場合の電流値に対応する検出信号のデータであるが、欠相状態の負荷装置を含む複数の負荷装置の起動時においても、前述した第1の実施例〜第6の実施例により欠相を検出することができる。この試験データの一部を表4に示す。表4は前述したコンクリートバイブレータの型式φ30,φ40,φ50,φ60について、欠相状態で起動した際の電流値に対応する検出データを示したものである。
Figure 2006296000
このデータに基づき表5にφ30,φ40,φ50の3台が接続された状態において、3台共正常動作時と、3台のうちφ30,φ40又はφ50のいずれかのU相に欠相が生じた場合について、各相相互間の絶対値データの差を検証したものである。即ち、正常動作時における各相相互間の差分は、Huvは100,Huvは65,Huvは165であるのに対し、φ30の欠相の場合は各相相互間の差分は、Huvは1700,Huvは6,Huvは1706であり、φ40の欠相の場合は各相相互間の差分は、Huvは5010,Huvは133,Huvは5142であり、φ50の欠相の場合は各相相互間の差分は、Huvは7214,Huvは95,Huvは7309である。
また、各相相互間の差分の合計差分は、正常動作時の合計差分(Huvw )330に対し、φ30のU相に欠相が生じた場合の合計差分(Huvw )は3412であり、同様にφ50の場合の合計差分(Huvw )は10286,φ60の場合の合計差分(Huvw )は14618である。
従って、φ30,φ40,φ50のいずれかのU相に欠相が生じて起動した場合の各相相互間の差分は、表1に示した運転中に欠相が生じた場合に比較して大きくなるものであり、起動時での欠相も確実に検出することができる。
Figure 2006296000
以上詳細に説明したように本発明の出力欠相検出回路においては、三相交流インバータ装置に接続された複数の負荷装置のいずれか一つに欠相が生じた場合、その欠相が起動時又は運転中に拘らず、確実に欠相している負荷装置があることを検出することができるものであり、直ちにインバータ保護回路7を動作させることができ、欠相の負荷装置の焼損、損傷を防止することができる。また、前述の実施例は、負荷装置としてコンクリートバイブレータを対象として説明したが、三相交流インバータ装置に接続される負荷装置であれば、高周波自振モータなどどのような負荷装置の欠相についても検出することができる。
本発明による出力欠相検出回路は、三相交流電流を出力するインバータ装置に接続される複数の負荷装置の出力欠相検出に適用できる。
本発明の出力欠相検出回路が適用される三相交流電流を出力するインバータ装置の一例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の第1の実施例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の実施例における正常動作状態の各部の波形図である。 本発明の出力欠相検出回路の第1の実施例における欠相状態の各部の波形図である。 本発明の出力欠相検出回路の第2の実施例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の第3の実施例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の第4の実施例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の第5の実施例を示すブロック回路図である。 本発明の出力欠相検出回路の第6の実施例を示すブロック回路図である。 従来の出力欠相検出回路が適用される三相交流電流を出力するインバータ装置の一例を示すブロック回路図である。
符号の説明
1 電流制御回路
2 座標変換器
3 PWM発生回路
4 電力変換器
5 電流検出器
6,11 出力欠相検出回路
7 インバータ保護回路
8 負荷装置
12 ハイパスフィルタ回路
13 絶対値演算回路
14 ローパスフィルタ回路
15 差分演算回路
16 判定回路
17 差分加算回路
18 サンプリング回路
19 絶対値データ記憶回路
20 平均値演算回路

Claims (7)

  1. インバータ装置から出力される三相交流電源に接続された複数の負荷装置のうち、少なくとも一つの負荷装置に欠相が生じた場合の出力欠相検出回路であって、
    前記インバータ装置に接続された前記複数の負荷装置の動作時における各相毎のインバータ出力電流の検出信号を各相絶対値データとして求める絶対値演算回路と、
    該絶対値演算回路により求められた前記各相絶対値データ相互間の各差分を求める差分演算回路と、
    該差分演算回路によって求められた前記各差分と予め設定された基準差分値とをそれぞれ比較し、前記各差分の少なくとも一つが前記基準差分値より大きい場合に欠相を生じていると判定する判定回路と、
    を備えた出力欠相検出回路。
  2. インバータ装置から出力される三相交流電源に接続された複数の負荷装置のうち、少なくとも一つの負荷装置に欠相が生じた場合の出力欠相検出回路であって、
    前記インバータ装置に接続された前記複数の負荷装置の動作時における各相毎のインバータ出力電流の検出信号を各相絶対値データとして求める絶対値演算回路と、
    該絶対値演算回路により求められた前記各相絶対値データ相互間の各差分を求める差分演算回路と、
    該差分演算回路によって求められた前記各相の各差分を加算して総合差分を求める差分加算回路と、
    該差分加算回路によって求められた前記総合差分と予め設定された基準総合差分値とを比較し、前記総合差分が前記基準総合差分値より大きい場合に欠相を生じていると判定する判定回路と、
    を備えた出力欠相検出回路。
  3. 前記絶対値演算回路の前段に前記インバータ出力電流のオフセット成分を除去するハイパスフィルタ回路及び/又は前記絶対値演算回路と前記差分演算回路との間に前記絶対値データを平滑化するためのローパスフィルタ回路が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力欠相検出回路。
  4. 前記複数の負荷装置の動作時における各相相互間のインバータ出力電流の検出信号に基づき求められる前記差分は、サンプリング回路により該各相毎のインバータ出力電流を単位時間内に複数回測定した各検出信号を前記絶対値演算回路により絶対値データを求めた後、各相毎に絶対値データ記憶回路に記憶せしめ、かつ該記憶された各相毎の複数の絶対値データを平均値演算回路により平均化し、該平均化された各相毎に平均絶対値データに基づき前記差分演算回路により求められた平均差分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の出力欠相検出回路。
  5. 前記予め設定された基準差分値は、前記複数の負荷装置の正常動作時と欠相時における各相毎のインバータ出力電流の各検出信号を前記絶対値演算回路により絶対値データとして求め、該絶対値データを前記差分演算回路により正常動作時と欠相時の前記各相相互間の差分データを求めて、該正常動作時の差分データと欠相時の大きい差分データとの間の判定可能な差分値としたことを特徴とする請求項1に記載の出力欠相検出回路。
  6. 前記予め設定された基準総合差分値は、前記複数の負荷装置の正常動作時と欠相時における各相毎のインバータ出力電流の各検出信号を前記絶対値演算回路により絶対値データとして求め、該絶対値データを前記差分演算回路により正常動作時と欠相時の前記各相相互間の差分として求め、該各相相互間の各差分を前記差分加算回路によって加算された正常動作時と欠相時の総合差分データとして求め、該正常動作時総合差分データと欠相時の総合差分データとの間の判定可能な差分値としたことを特徴とする請求項2に記載の出力欠相検出回路。
  7. 前記判定回路の判定結果が、前記負荷装置のいずれかに欠相が生じていると判定した場合には、前記インバータ装置の動作を停止せしめるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力欠相検出回路。
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