JP2006038531A - 三相交流電源の逆相検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑なハードウェア構成を必要とせずに、三相交流電源の逆相状態を簡単かつ確実に検出する。
【解決手段】三相交流電源の各相の交流電圧信号Vr,Vs,VtをA/D変換器19a〜19cを介してデジタル入力し、マイコンなどからなる制御装置15による内部的な処理にて、交流電圧信号Vr,Vs,Vtから所定の相を基準にした電源位相信号θpsを生成し、その電源位相信号θpsの進み方向を示す方向検出信号S1に基づいて逆相状態を検出する。逆相状態を検出した場合には、その旨の逆相検出信号を運転禁止指令として出力して運転を停止させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えばエレベータにおける電動機の駆動電源として用いられる三相交流電源の逆相検出装置に関する。
エレベータでは、一定周波数の交流電源から任意周波数の交流出力を生成するPWM(Pulse Width Modulation)制御方式の電力変換装置(以下、PWMコンバータと呼ぶ)を用いて、電動機の駆動を制御している。このPWMコンバータでは、三相交流電源を全波整流して一旦直流に変換し、これを平滑コンデンサなどで平滑した後に所望の周波数の交流電源へと変換する。
ここで、三相交流電源は客先電源(商用電源)として存在し、そこに三相分の電源配線を接続することで、それぞれに120度ずつ位相がずれた3つの交流電圧信号(R,S,T)を入力している。
ところが、例えば作業員の配線ミスなどにより、三相交流電源の相順が誤って接続されていることがある。このような状態を逆相と呼び、例えばR相,S相,T相の順が正常であるのに対し、R相,T相,S相の順で配線されているような状態である。このような逆相状態では、モータを正常に駆動できず、機器類が破損してしまう可能性がある。
従来、このような三相交流電源の逆相状態に関する様々な提案がなされている。例えば、特許文献1では、三相交流電源の相順序を切り換える正相・逆相切換リレー回路と、三相交流電源が互いに一相ずつずれた所定の相順序のときにそれぞれ接点を閉じる複数の逆相防止リレーとを備えて、三相交流電源の欠相状態あるいは逆相状態での運転を防止することが開示されている。
特開2000−152491号公報
例えばエレベータの分野では、機械室などに設置される制御盤を小型化し、その設置スペースを縮小化することが検討されている。しかしながら、上記特許文献1のように、機器破損防止のための逆相検出装置をマイコンとは別にリレー回路などのハードウェアで構成した場合には装置が大型化してしまうなどの問題がある。
そこで、本発明は、複雑なハードウェア構成を必要とせずに、三相交流電源の逆相状態を簡単かつ確実に検出することのできる三相交流電源の逆相検出装置を提供することを目的とする。
本発明の三相交流電源の逆相検出装置は、三相交流電源の各相の交流電圧信号を所定レベルまで降圧した後にデジタル化して入力する電圧入力手段と、この電圧入力手段により入力された各相の交流電圧信号に基づいて、所定の相を基準にした各相の位相のずれを示す電源位相信号を生成する位相信号生成手段と、この位相信号生成手段によって生成された電源位相信号の進み方向を検出する進み方向検出手段と、この進み方向検出手段によって検出された電源位相信号の進み方向に基づいて上記三相交流電源の逆相状態を判定する逆相判定手段と、この逆相判定手段による判定結果に応じて運転を禁止制御する運転制御手段とを具備して構成される。
このような構成によれば、三相交流電源の各相の交流電圧信号をデジタル入力することで、マイコンなどからなる制御装置による内部的な処理にて、上記デジタル入力した各相の交流電圧信号から各相の位相のずれを示す電源位相信号を生成し、その電源位相信号の進み方向を検出することにより、そのときの進み方向に基づいて逆相状態であるか否かを判定する。その結果、欠相状態であると判定した場合には運転を禁止制御する。
本発明によれば、三相交流電源の各相の交流電圧信号をデジタル入力し、マイコンなどからなる制御装置による内部的な処理にて逆相状態を検出する構成としたことで、複雑なハードウェア構成を必要とせずに、三相交流電源の逆相状態を簡単かつ確実に検出して、逆相による機器類の破損を防ぐことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る三相交流電源の逆相検出装置が適用されるモータ制御装置の全体構成を示す図である。なお、このモータ制御装置は、例えばエレベータの電動機を制御対象として用いられる。
このモータ制御装置は、三相交流電源11、コンバータ12、インバータ13、モータ14、制御装置15を主として構成されている。
三相交流電源11は、客先電源(商用電源)であり、3本の配電線を介して位相が互いに120度ずれた三相(R相,S相,T相)の交流電圧信号Vr,Vs,Vtを供給する。コンバータ12は、これらの交流電圧信号Vr,Vs,Vtを入力とし、制御装置15の制御の下で交流電圧信号Vr,Vs,Vtを直流電圧信号Vp(正),Vn(負)に変換する。インバータ13は、同じく制御装置15の制御の下で、コンバータ12によって変換された直流電圧信号Vp,Vnに基づいて所定周波数にパルス幅変調した三相(U相,V相,W相)の交流電圧信号Vu,Vv,Vwを生成し、これを所定のタイミングで切り換えながらモータ14に供給する。
モータ14は、例えばエレベータであれば、乗りかごを昇降するための巻上機の電動機として用いられ、インバータ13から供給される三相の交流電圧信号Vu,Vv,Vwによって回転する。
なお、このモータ14としては、SPMモータまたはIPMモータが用いられる。SPMモータは、Surface Permanent Magnet:表面磁石貼付型モータと呼ばれ、ロータ(回転子)の内部に永久磁石を貼り付けたモータである。IPMモータは、Interior Permanent Magnet:内部磁石埋込型モータと呼ばれ、ロータ(回転子)の内部に永久磁石を埋め込んだモータである。このIPMモータは、永久磁石によるマグネットトルクに加え、ロータの突極性に起因するリラクタンストルクを利用できるため、小型でも大きなトルクを効率的に得ることができるといった利点があり、例えばエレベータにて制御盤の小型化や設置スペースの縮小化を図る場合に適している。
制御装置15は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなり、例えばエレベータであれば機械室内に設置された制御盤に組み込まれる。この制御装置15は、モータ制御に関わる機能構成として、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)16とコンバータ制御部17を備える。
PLL16は、降圧トランス18およびA/D変換器19a〜19cを介して三相交流電源11から供給される三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vtをデジタル化した信号を入力とし、これらの信号に基づいて各相の位相のずれを示す電源位相信号θpsを生成する。降圧トランス18は、例えば200〜300Vの高電圧である交流電圧信号Vr,Vs,Vtの電圧値をマイコン入力電圧である5Vまで降圧する。A/D変換器19a〜19cは、この降圧トランス18の後段に設けられ、それぞれに5Vまで降圧された交流電圧信号Vr,Vs,Vtをデジタル信号に変換して制御装置15に与える。
一方、この制御装置15には、VrとVsの電圧供給ラインに設置された電流検出器20a,20bによって検出された電流信号IrとItがA/D変換器21a,21bを介してデジタル入力されている。コンバータ制御部17は、このデジタル入力された電流信号Ir,Itと、上記PLL16によって生成された電源位相信号θpsに基づいてコンバータ制御のためのPWM指令を出力する。
次に、三相交流電源11の逆相状態を検出する逆相検出装置について説明する。
三相交流電源11の逆相状態とは、例えば配線ミスなどにより三相交流電源11の相順が誤って接続されていることを言う。例えばR相,S相,T相の順が正常であるのに対し、R相,T相,S相の順で配線されているような場合である。通常、このような逆相状態を検出するための逆相検出装置は、コンバータ制御する制御装置15の外に設置されているが、本実施形態では、この逆相検出装置を制御装置15の中に組み込んでいる。つまり、マイコンなどからなる制御装置15の内部的なソフトウェア処理により、逆相状態を検出する構成としている。
図2は制御装置15の逆相検出機能部分の構成を示すブロック図であり、上述したPLL16およびコンバータ制御部17の他に、微分器31、正負判定部32、運転ロジックシーケンス部33を備える。なお、これらの構成要素は、制御装置15が図示せぬROMなどに記憶されたプログラムに従って実行する逆相検出処理を模式的に示したものである。
PLL16は、A/D変換器19a〜19cを介して入力された三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vtのデジタル信号に基づいて、電源位相信号θpsを生成するための構成要素である。この場合、PLL16では、所定の相(ここではR相とする)を基準にした各相の位相のずれを示す電源位相信号θpsを生成する。この電源位相信号θpsは、上記コンバータ制御部17と共に微分器31に与えられる。
微分器31はPLL16によって生成された電源位相信号θpsの進み方向を検出するための構成要素であり、また、正負判定部32はこの微分器31から出力される方向信号S1に基づいて三相交流電源11の逆相状態を判定するための構成要素である。
すなわち、PLL16によって生成された電源位相信号θpsを微分器31に与えて微分することにより、その位相の進み方向に応じて正値または負値となる方向検出信号S1が得られる。この場合、三相交流電源11の各相の順序が正しい状態で交流電圧信号Vr,Vs,Vtが供給されていれば、電源位相信号θpsの微分信号である方向検出信号S1は正値として出力される。
これに対し、配線ミスなどにより三相交流電源11の各相の順序が誤った状態で交流電圧信号Vr,Vs,Vtが供給されていれば、電源位相信号θpsの微分信号である方向検出信号S1は負値として出力される。
正負判定部32では、この方向信号S1の正値であれば三相交流電源11が正常状態であると判定し、負値であれば逆相状態であると判定する。なお、このときの正負判定のための閾値はゼロとして設定されている。つまり、方向信号S1の値が上記閾値であるゼロより低くければ負値として判断するものである。
この様子を図3および図4に示す。
図3は三相交流電源11の各相の順序が正しい状態の各信号波形を示しており、図3(a)は三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vt、同図(b)は電源位相信号θps、同図(c)は方向検出信号S1の信号波形である。なお、ここでは理解しやすいように各信号をアナログの波形で表しているが、実際には制御装置15の中で各信号はデジタル処理されている。
三相交流電源11が正しく配線されている場合には、図3(a)に示すように、R相→S相→T相の順で三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vtが得られる。この場合、R相に対してS相、T相はそれぞれ120度ずつ位相がずれて出力される。PLL16では、これらの交流電圧信号Vr,Vs,Vtに基づいて電源位相信号θpsを生成する。
この電源位相信号θpsは、R相を基準にした各相の位相のずれを表しており、正常に交流電圧信号Vr,Vs,Vtが供給されていれば、同図(b)に示すように右上がりの波形となる。この波形の傾き方向は位相の進み方向を表しており、0度から360度の周期で右上がりとなれば、位相が正しく進んでいることを意味する。
この電源位相信号θpsを微分器31に通して微分すると、その進み方向に応じて正値または負値となる一定レベルの方向検出信号S1が得られる。この場合、進み方向が正常であれば、同図(c)に示すように正値の方向検出信号S1が得られる。したがって、正負判定部32では、この正値の方向検出信号S1の入力により、三相交流電源11が正常状態であると判定する。
これに対し、三相交流電源11が正しく配線されていない場合、つまり、R相,S相,T相の相順が間違って接続されている場合には、図4のようになる。
図4は三相交流電源11の各相の順序が間違っている状態の各信号波形を示しており、図4(a)は三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vt、同図(b)は電源位相信号θps、同図(c)は方向検出信号S1の信号波形である。なお、図3と同様に、これらの信号は実際には制御装置15の中でデジタル処理されている。
今、図4(a)に示すように、T相→S相→R相といった順で三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vtが供給されているとする。これらの信号交流電圧信号Vr,Vs,VtをPLL16に入力して電源位相信号θpsを求めると、同図(b)のように右下がりの波形となる。これは、T相→S相→R相といった順に限らず、T相→R相→S相、R相→T相→S相などであっても同様であり、各相の相順が誤っていると、電源位相信号θpsが正確に得られず、その進み方向が反転して右下がりの波形となる。
このような電源位相信号θpsを微分器31に通して微分すると、同図(c)に示すように負値の方向検出信号S1が出力され、正負判定部32にて三相交流電源11が逆相状態であると判定される。
このように、電源位相信号θpsの進み方向に基づいて三相交流電源11の逆相状態を簡単かつ確実に検出することができ、逆相状態を検出した場合には、その旨の欠相検出信号を運転禁止指令として運転ロジックシーケンス部33に出力して直ちに運転を停止させることで、逆相による機器類の破損を未然に防ぐことができる。
また、このような逆相検出の機能をマイコンである制御装置15に持たせ、三相交流電源11から供給される各相の交流電圧信号Vr,Vs,Vtをデジタル入力して、制御装置15による内部的な処理にて逆相状態を検出する構成としたことで、制御装置15の外でハードウェア的に逆相状態を検出する構成に比べて部品点数が大幅に削減され、安価にて実現することができる。しかも、逆相検出のために制御装置15に入力する交流電圧信号Vr,Vs,Vtのデジタル信号は、もともと電圧位相検出用のPLL16に入力していたものである。したがって、今回の逆相検出のために新たにA/D変換器などの部品を設置する必要もない。
なお、上記実施形態では、正負判定部32における閾値をゼロとしたが、ゼロよりも少し上に閾値を定めることでも良い。すなわち、図5に示すように、正常時の方向検出信号S1の値をL1、閾値をTHとすると、例えばTH=L1/2として定める。このように閾値THを定めておけば、R相,S相,T相の三相のすべてが欠相している状態(このような場合には、何も出力されないので方向検出信号S1の値は当然ゼロである)も含めて逆相検出を行うことができる。
また、図6に示すように、制御装置15の前段に2つの減算器41,42を設けて、例えば交流電圧信号VrとVsとの差分信号(Vr−Vs)と、交流電圧信号VrとVtとの差分信号(Vr−Vt)をA/D変換器43a,43bを介して制御装置15に二相入力する構成としても良い。このような二相入力構成とすれば、制御装置15では、所定の演算式に従って上記2つの差分信号(Vr−Vs),(Vr−Vt)からVr,Vs,Vtの三相分の信号を内部的に生成して、上記同様の逆相検出を行うことができる。
この二相入力構成では、減算器41,42が別に必要となるが、それよりも高価で設置スペースを要するA/D変換器の数を三相入力の構成よりも削減できるといった利点がある。なお、二相入力の組み合わせは、Vrを基準とした(Vr−Vs)と(Vr−Vt)に限らず、例えばVsを基準とした(Vs−Vr)と(Vs−Vt)などであっても良い。
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態に係る三相交流電源の逆相検出装置が適用されるモータ制御装置の全体構成を示す図。 同実施形態における制御装置(マイコン)の逆相検出機能部分の構成を示すブロック図。 同実施形態における三相交流電源の各相の順序が正しい状態の各信号波形を示しており、図3(a)は三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vt、同図(b)は電源位相信号θps、同図(c)は方向検出信号S1の信号波形を示す図。 同実施形態における三相交流電源の各相の順序が間違っている状態の各信号波形を示しており、図4(a)は三相の交流電圧信号Vr,Vs,Vt、同図(b)は電源位相信号θps、同図(c)は方向検出信号S1の信号波形を示す図。 同実施形態における制御装置に備えられた正負判定部の閾値の設定方法を説明するための図。 本発明の他の実施形態として三相交流電源の二相入力構成の一例を示すブロック図。
符号の説明
11…三相交流電源、12…コンバータ、13…インバータ、14…モータ、15…制御装置、16…PLL、17…コンバータ制御部、18…降圧トランス、19a〜19c…A/D変換器、20a,20b…電流検出器、21a,21b…A/D変換器、31…微分器、32…正負判定部、33…運転ロジックシーケンス部、41…加算器、42…加算器、43a,43b…A/D変換器、Vr,Vs,Vt…交流電圧信号、θps…電源位相信号、S1…方向検出信号。

Claims (4)

  1. 三相交流電源の各相の交流電圧信号を所定レベルまで降圧した後にデジタル化して入力する電圧入力手段と、
    この電圧入力手段により入力された各相の交流電圧信号に基づいて、所定の相を基準にした各相の位相のずれを示す電源位相信号を生成する位相信号生成手段と、
    この位相信号生成手段によって生成された電源位相信号の進み方向を検出する進み方向検出手段と、
    この進み方向検出手段によって検出された電源位相信号の進み方向に基づいて上記三相交流電源の逆相状態を判定する逆相判定手段と、
    この逆相判定手段による判定結果に応じて運転を禁止制御する運転制御手段と
    を具備したことを特徴とする三相交流電源の逆相検出装置。
  2. 上記逆相判定手段は、上記進み方向検出手段から出力される方向検出信号の値が予め設定された閾値よりも低い場合に逆相状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の三相交流電源の逆相検出装置。
  3. 上記閾値は、ゼロよりも大きく正常時の方向検出信号の値よりも小さい値に設定されていることを特徴とする請求項2記載の三相交流電源の逆相検出装置。
  4. 上記位相信号生成手段、上記進み方向検出手段、上記逆相判定手段、上記運転制御手段は、マイクロコンピュータに組み込まれていることを特徴とする請求項1記載の三相交流電源の逆相検出装置。
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