JP4354148B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、速度センサを用いることなく誘導電動機を制御する誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
速度センサが備えられていない誘導電動機駆動システムにおいては、誘導電動機に電圧が印加されずフリーランしている状態から過大な電流やトルクによるショックを発生させずに安定に再起動する機能が必要となる。そのためには、誘導電動機においては、フリーラン回転速度とフリーラン回転方向の検出が必要である。このようなフリーラン回転速度およびフリーラン回転方向の検出を行っている従来技術として特開平3−3694号公報がある。図11を用いてこの従来技術の構成を説明する。
【0003】
図11において、1は誘導電動機、2は電力供給手段、3は電流検出手段、4は電流指令値生成手段、5は電圧指令値生成手段、6hはリプル抽出手段、7hはフリーラン状態推定手段、31cは回転周波数検出手段、41は比較タイミング発生手段、42は位相比較手段である。
【0004】
まず、誘導電動機1、電力供給手段2、電流指令値生成手段4、電流検出手段3、電圧指令値生成手段5とで構成される電流制御ループのフリーラン状態の際の動作について説明する。本説明においては電流指令値、電圧指令値、電流値を固定子座標上の直交した2軸(α軸,β軸)で与えている。
【0005】
電流検出手段3は、実際の電流を電流センサなどで取得した3相での値iu,iv,iwに対し、次の式(1)(2)を用いてα,β軸での値iα、iβに座標変換して電圧指令値生成手段5に出力する。
iα=(2/3)-1*(iu−1/2*iv−1/2*iw) …(1)
iβ=(1/2)-(1/2)*iw−(1/2)-(1/2)*iv …(2)
【0006】
電圧指令値生成手段5は、電流指令値生成手段4から入力されるα軸電流指令値iα_ref,β軸電流指令値iβ_refと上記のようにして得られたiα、iβを入力とし、次の式(3)(4)によってα軸電圧指令値vα_ref,β軸電圧指令値vβ_refを算出する。ただし、Kp、Kiは、電流制御の応答を決定する比例ゲイン定数、積分ゲイン定数である。
vα_ref=Kp*(iα_ref−iα)+Ki*∫(iα_ref−iα)dt …(3)
vβ_ref=Kp*(iβ_ref−iβ)+Ki*∫(iβ_ref−iβ)dt …(4)
【0007】
α,β軸電圧指令値vα_ref、vβ_refは、電力供給手段2へと出力される。電力供給手段2では、入力されたα,β軸電圧指令値vα_ref、vβ_refに基づく実際の電圧ベクトルを誘導電動機1へと出力する。例えば主回路として電圧型インバータを用いる場合には、α,β軸電圧指令値vα_ref、vβ_refを3相での波形に変換した後、3相のインバータのスイッチングパターンを生成する演算処理を経て、主回路の制御入力にスイッチングパターンを入力することで、誘導電動機1にパルス幅変調された3相電圧が供給される。
【0008】
このように構成される電流制御ループによって、実際のα,β軸電流iα、iβは、電流指令値生成手段4が出力するα,β軸電流指令値iα_ref、iβ_refに追従するように制御される。
【0009】
次に、リプル抽出手段6h、フリーラン状態推定手段7hについて説明する。
図12は、従来技術のフリーラン状態の推定について説明するためのものであり、電流指令値生成手段4から直流の電流指令値をステップ状に出力したときの電圧指令信号iα_ref、および電流検出値iα、iβの挙動を示している。本例では、図12(a)に破線で示すように、α軸電流指令値としてステップ状のiα_ref=I0(直流値)を与え、図12(b)に示すように、β軸電流指令値としてiβ_ref=0を与えている。図12(a)に実線で示すように、あるいは図12(b)に実線(正転時)および破線(逆転時)で示すように、上記の電流ループの機能が働くことによって、実際のα,β軸電流iα、iβの平均値は、電流指令値生成手段4が出力するα,β軸電流指令値iα_ref=I0、iβ_ref=0に追従するように制御されるが、vα_ref、vβ_ref、iα、iβにはフリーラン回転周波数と同じ周波数のリプルが現れる。これは、誘導電動機1が、回転周波数と同じ周波数の共振点をもつ電気回路の特性を有しているためであり、電流指令値をステップ状に与えるショックが電流制御ループに印加されることによって各軸の電流と、各軸の電圧指令値に振動が誘起される。振動の持続性は、誘導電動機の回路定数に関係しているが、電圧指令値生成手段5のゲインの値によって操作が可能である。
【0010】
図12に示すとおり、ステップ状の指令値を印加しないβ軸の電流iβ、電圧指令値vβ_refには直流分が含まれず、リプル成分のみとなる。よって回転周波数検出手段31cでは、β軸電圧指令値vβ_refの符号反転のタイミングをカウントすることでリプル周波数、すなわち回転周波数を検知する。具体的には、フリーラン状態推定手段7hは、リプル計測期間をT[sec]、この期間中の符号反転の回数Nを計測して、これらの計測値を用いて回転周波数を次式
(N-1)/(2*T)[Hz]
によって算出し、算出した回転周波数の検出結果を外部に出力する。
【0011】
一方、フリーランの回転方向については、vα_refとvβ_ref、或いはiαとiβのリプル成分の位相順に注目することで確認が可能である。フリーラン回転方向と、vβ_refとvα_ref、或いはiαとiβのリプル成分の位相順は図13に示すようになる。
【0012】
正回転時にあっては、vα_ref(iα)のリプル成分の位相(図12(c)参照)は、vβ_ref(iβ)のリプル成分の位相(図12(d)の実線参照)に対し90[deg]進んで発生し、逆転時にあっては、vα_ref(iα)のリプル成分の位相は、vβ_ref(iβ)のリプル成分の位相(図12(d)の破線参照)に対し90[deg]遅れて発生する。この特性を活かし、α,β軸それぞれのリプル成分を抽出して図13の関係を用いれば、フリーラン回転方向の判別が可能である。
【0013】
図13においては、vβ_refが「−」から「+」への符号反転をするときにvα_refが「+」であれば、正転と推定し、vβ_refが「+」から「−」への符号反転をするときにvα_refが「−」であれば、正転と推定し、vβ_refが「−」から「+」への符号反転をするときにvα_refが「−」であれば、逆転と推定し、vβ_refが「+」から「−」への符号反転をするときにvα_refが「+」であれば、逆転と推定している。
【0014】
リプル成分の抽出に際し、従来技術では、β軸に関してはvβ_refそのものをリプル成分として用い、α軸に関しては、vα_refから、誘導電動機の一次抵抗値における電圧降下を差し引くことでリプル成分を抽出している。その原理を以下に説明する。
【0015】
誘導電動機の回路方程式は、以下のように記述できる。ただし、固定子直交座標α,β軸による記述であり、vα、vβは実際の一次電圧、irα、irβは二次電流、Rsは一次抵抗、Lsは一次インダクタンス、Mは相互インダクタンスを指す。
vα=Rs*iα+d/dt(Ls*iα+M*irα) …(5)
vβ=Rs*iβ+d/dt(Ls*iβ+M*irβ) …(6)
【0016】
ここで、iα、iβの平均値をiα0、iβ0、リプル成分をiαp、iβpとすると、iα、iβは以下のように表現できる。ただし、従来技術の電流指令値の与え方の場合、電流制御によってiα0=I0、iβ0=0となる点に注意する。
iα=iα0+iαp=I0+iαp …(7)
iβ=iβ0+iβp=iβp …(8)
【0017】
一方、誘導電動機の二次側回路は相互インダクタンスによって一次側と結合しているため、二次電流irα、irβには、直流分は含まれない。式(7)(8)と同様の表記をすると次のようになる。
irα=irαp …(9)
irβ=irβp …(10)
【0018】
電圧型インバータではほぼ指令どおりの電圧が印加できるため、vα_ref=vα、vβ_ref=vβと仮定できる。この仮定と式(5)〜(10)とから、リプル情報を含む電流の項をまとめて整理すると次のようになる。
(α軸の電圧リプル成分)
=Rs*iαp+d/dt(Ls*iαp+M*irαp)
=vα_ref−Rs*I0…(11)
(β軸の電圧リプル成分)
=Rs*iβp+d/dt(Ls*iβp+M*irβp)
=vβ_ref…(12)
【0019】
式(12)より、β軸の電圧リプル成分はvβ_refそのものであることが再度確認できる。一方、式(11)より、α軸の電圧リプル成分は、vα_ref−Rs*I0で算出できることが分かる。
【0020】
このことを利用し、従来技術では、リプル抽出手段6hにおいて一次抵抗値Rs_nを設定しておき、vα_ref−Rs_n*I0を演算することでvα_refのリプル成分を抽出している。抽出したリプル成分vα_ref−Rs_n*I0は、位相比較手段42に入力される。
【0021】
こうして得られるα,β軸のリプル成分の位相関係を比較し、回転方向を検出する。具体的には、直流分の含まれないvβ_refの符号反転タイミングを比較タイミング発生手段41にて検知し、この検知されたタイミングにおいて位相比較手段42がvα_ref−Rs_n*I0の符号(極性)を判別し、さらに図13の関係の中から当てはまる回転方向情報を得る。そして、得られた回転方向検知結果をフリーラン状態推定手段7hの外部に出力する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘導電動機の制御装置にあっては、vα_refのリプル成分の抽出にあたり、iα_refのステップ指令値I0と一次抵抗設定値Rs_nを用いて、オフセットを演算除去しているため、熱などによって実際の一次抵抗値Rsが変化し、制御装置に用いている一次抵抗値Rsと食い違いが生じている場合には、(Rs_n-Rs)*Iαのオフセットが残存することになる。このとき、図13を利用した正負判別において誤った符号を判別するケースが増え、位相順の誤判別、フリーラン回転方向の誤判別を引き起こす。その結果、安定なフリーラン再起動ができず、過電流に陥る、或いは、大きなトルクショックを生じるケースがあるという問題がある。
【0023】
また、図13に示すように、位相比較のタイミングがvβ_refの符号変化時に限定されており、フリーラン回転数が低くリプル周波数が低い場合には一定期間内の位相比較のタイミングが少なくなる問題もある。上記抵抗変動や他の要因に起因した誤判断の影響を少なくするために複数回の符号判別結果を平均化処理しても、位相比較回数そのものが少ない場合には平均処理の効果が得にくいという問題もある。
【0024】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能とし、フリーランの回転方向を正確に検出し得る誘導電動機の制御装置を得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる誘導電動機の制御装置は、誘導電動機と、誘導電動機の電流指令値を出力する電流指令値生成手段と、誘導電動機の電流値を検出する電流検出手段と、電流指令値生成手段から出力される電流指令値と電流検出手段から出力される電流値とから電圧指令値を算出する電圧指令値生成手段と、電圧指令値生成手段からの電圧指令値を用いて誘導電動機へ電力を供給する電力供給手段とを備える誘導電動機の制御装置において、上記誘導電動機がフリーラン中に、上記電流指令値生成手段から直流電流指令値が出力された場合、前記電流検出手段からの電流値または電圧指令値生成手段からの電圧指令値を微分してリプル成分を抽出するリプル抽出手段と、このリプル抽出手段の出力を用い、前記リプル成分の周波数と位相関係から誘導電動機のフリーラン状態を推定するフリーラン状態推定手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、リプル成分抽出に微分演算を用いるようにしており、これにより誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【0027】
つぎの発明にかかる誘導電動機の制御装置は、上記の発明において、上記電流指令値生成手段は、直交する固定子座標軸のうちα軸の電流指令値を所定の直流量とし、他方のβ軸の電流指令値を0として前記電力供給手段に出力するものであり、前記リプル抽出手段は、α軸の電流値またはα軸の電圧指令値と、β軸の電流値またはβ軸の電圧指令値とを微分してリプル成分を抽出し、前記フリーラン状態推定手段は、リプル抽出手段からのα軸の微分電流値とβ軸の微分電流値とに基づく周波数と位相関係を用いるか、あるいはリプル抽出手段からのα軸の微分電圧指令値とβ軸の微分電圧指令値とに基づく周波数と位相関係を用いることにより、誘導電動機のフリーラン状態を推定することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、α軸およびβ軸のリプル成分抽出に微分演算を用いるようにしており、これにより誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【0029】
つぎの発明にかかる誘導電動機の制御装置は、上記の発明において、上記電流指令値生成手段は、直交する固定子座標軸のうちα軸の電流指令値を所定の直流量とし、他方のβ軸の電流指令値を0として前記電力供給手段に出力するものであり、前記リプル抽出手段は、α軸の電流値またはα軸の電圧指令値を微分してリプル成分を抽出し、前記フリーラン状態推定手段は、リプル抽出手段からのα軸の微分電流値と前記電流検出手段からのβ軸の電流値とに基づく周波数と位相関係を用いるか、あるいはリプル抽出手段からのα軸の微分電圧指令値と前記電圧指令値生成手段からのβ軸の電圧指令値とに基づく周波数と位相関係を用いることにより、誘導電動機のフリーラン状態を推定することを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、直流分の重畳しているα軸の電流値或いは電圧指令値のみに微分演算を施してリプル抽出を行うようにしたので、電流或いは電圧指令値のα軸およびβ軸リプル成分の位相関係が、誘導電動機の回転子が正転の場合ほぼ180度、逆転の場合ほぼ0度となるため、直流電流指令値を印加中の任意のタイミングで、各リプル成分の符号を確認するだけで容易に回転方向判別が可能となる。
【0031】
つぎの発明にかかる誘導電動機の制御装置は、上記の発明において、前記フリーラン状態推定手段は、上記リプル抽出手段が出力するα軸の微分電流値またはα軸の微分電圧指令値の符号を判別する第1の符号判別手段と、前記電流検出手段からのβ軸の電流値または前記電圧指令値生成手段からのβ軸の電圧指令値の符号を判別する第2の符号判別手段と、前記第1および第2の符号判別手段の出力の積を演算して第1の回転方向判別結果を出力する積算出手段と、上記積算出手段の出力を積分する積分手段と、この積分手段の出力の符号を判別し、この判別結果を最終的なフリーラン回転方向として出力する最終符号判別手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、直流電流指令値の印加期間中における第1のフリーラン回転方向の判別結果が積分することで、ノイズの影響を平均化によって薄めるようにしており、これによりノイズの影響があってもより正確な回転方向の判別をなし得る。
【0033】
つぎの発明にかかる誘導電動機の制御装置は、誘導電動機と、誘導電動機の電流指令値を出力する電流指令値生成手段と、誘導電動機の電流値を検出する電流検出手段と、電流指令値生成手段から出力される電流指令値と電流検出手段から出力される電流値とから電圧指令値を算出する電圧指令値生成手段と、電圧指令値生成手段からの電圧指令値を用いて誘導電動機へ電力を供給する電力供給手段とを備える誘導電動機の制御装置において、上記誘導電動機がフリーラン中に、上記電流指令値生成手段から直流電流指令値が出力された場合、前記電流指令値生成手段からの電流指令値と電流検出手段からの電流値との偏差を求めることにより電流リプル成分を抽出するリプル抽出手段と、このリプル抽出手段の出力を用い、前記リプル成分の周波数と位相関係から誘導電動機のフリーラン状態を推定するフリーラン状態推定手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、電流リプル抽出に偏差算出演算を用いるようにしており、これにより誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる誘導電動機の制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0036】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における誘導電動機の制御装置を示すもので、図11に示した従来技術と同じ構成要素については同一符号を付している。
【0037】
図1において、1は誘導電動機、2は電力供給手段、3は電流検出手段、4は電流指令値生成手段、5は電圧指令値生成手段、6aはリプル抽出手段、7aはフリーラン状態推定手段である。
【0038】
電流指令値生成手段4は、誘導電動機の電流指令値iα_ref,iβ_refを電圧指令値生成手段5に出力する。電流検出手段3は、誘導電動機の電流値iα,iβを検出し、検出した電流値iα,iβを電圧指令値生成手段に出力する。電圧指令値生成手段5は、電流指令値生成手段4から出力される電流指令値と電流検出手段3から出力される電流値とから電圧指令値vα_ref,vβ_refを算出し、算出した電圧指令値を電力供給手段2に出力する。電力供給手段2は、入力された電圧指令値に基づき電圧ベクトルを生成し、生成した電圧ベクトルを誘導電動機1へ出力する。
【0039】
リプル抽出手段6aは、誘導電動機がフリーラン中に電流指令値生成手段4から直流電流指令値を出力した場合に、電流値iα,iβ或いは電圧指令値vα_ref,vβ_refの少なくとも一方からリプル成分を抽出する。この場合は、電圧指令値vα_ref,vβ_refを用いてリプル成分を抽出するものとする。
【0040】
フリーラン状態推定手段7aは、リプル抽出手段6aによって抽出されたリプル成分の周波数と位相関係から誘導電動機1のフリーラン状態、すなわち回転周波数および回転方向を推定する。
【0041】
つぎに、この実施の形態1における特徴的な構成であるリプル抽出手段6aについて説明する。
【0042】
先の式(11)(12)を用いた説明で述べたように、α軸電圧指令値vα_refには一次抵抗部分の電圧降下によるオフセットが重畳している。従来技術では、このオフセット分を、一次抵抗設定値Rs_nと電流指令値I0を用いて減算処理している。また一方、β軸電流指令値をiβ_ref=0と選択することで、電圧指令値vβ_refにオフセットが重畳することは回避している。
【0043】
図1のリプル抽出手段6aでは、このようなvα_ref、vβ_refに対し微分演算を施してリプル成分を抽出する。I0が直流量であり、d/dtI0=0であることに注意すると、リプル抽出手段6aにおける処理は以下のようになる。
Figure 0004354148
【0044】
式(13)を先の式(11)と比較すると、電圧指令値vα_refの直流分が微分によって除去され、α軸電圧のリプル成分を抽出できることが確認できる。ただし微分によってリプルの位相は90[deg]進むことに注意が必要である。
【0045】
一方、式(14)と先の式(12)を比較すると、同様にβ軸電圧のリプル成分が微分によって90[deg]進んで抽出される。こうしてリプル抽出手段6aで抽出された信号、d/dt(vα_ref)、d/dt(vβ_ref)は、フリーラン状態推定手段7aに入力される。
【0046】
α,β軸の電圧リプル成分の位相はそろって90[deg]進むため、位相の関係は先の図12で示したものと全く同様である。従って、フリーラン状態推定手段7aでは、従来技術のフリーラン状態推定手段7hでの処理と同一の処理手順で回転周波数の検知、回転方向の検知が可能である。すなわち、図13に示したように、回転方向については、vβ_refが「−」から「+」への符号反転をするときにvα_refが「+」であれば、正転と推定し、vβ_refが「+」から「−」への符号反転をするときにvα_refが「−」であれば、正転と推定し、vβ_refが「−」から「+」への符号反転をするときにvα_refが「−」であれば、逆転と推定し、vβ_refが「+」から「−」への符号反転をするときにvα_refが「+」であれば、逆転と推定する。また、回転周波数については、リプル計測期間をT[sec]、この期間中の符号反転の回数Nを計測して、これらの計測値を用いて回転周波数を式(N-1)/(2*T)[Hz]によって算出する。
【0047】
このように、実施の形態1によれば、電圧指令値vα_refに重畳した直流分を微分演算によって消去できるため、抵抗値を用いることなくリプル成分を抽出可能である。よってリプル成分抽出結果に実際の抵抗変動の影響を受けないという効果が得られ、回転方向判別の精度が改善される効果が得られる。
【0048】
なお、上記の例では、β軸電流指令値iβ_refに関しては、iβ_ref=0の場合について説明したが、iβ_refとして任意の直流量を加えた場合、vβ_refにも電圧降下分のオフセットが生じる。しかしその場合でも式(14)は成り立つ。よって、実施の形態1の場合には、印加する直流電流指令値ベクトルの方向を限定しなくとも良いという効果も得られる。
【0049】
図2は、実施の形態1の変形態様を示す図である。この変形態様においては、リプル抽出手段6bは、電流検出手段3から出力される電流値iα,iβを用いてリプル成分を抽出するようにしている。
【0050】
先の式(7)、(8)に示したとおり、電流値iαには指令値iα_ref=I0に等しい直流分が重畳している。式(7)、(8)の両辺を微分すると以下の式(15)、(16)のようになる。
d/dt(iα)=d/dt(I0+iαp)=d/dt(iαp) …(15)
d/dt(iβ)=d/dt(iβp) …(16)
【0051】
α軸電流iαの直流分が微分によって除去され、α軸電圧のリプル成分を抽出できることが確認できる。ただし微分によってリプルの位相は90[deg]進むことに注意が必要である。一方、式(16)と同様にβ軸電流iβのリプル成分が微分によって90[deg]進んで抽出される。こうしてリプル抽出手段6bで抽出された信号d/dt(iα)、d/dt(iβ)は、フリーラン状態推定手段7bに入力される。
【0052】
α,β軸の電圧リプル成分の位相はそろって90[deg]進むため、位相の関係は先の図12で示したものと全く同様である。従って、フリーラン状態推定手段7bでは、従来技術のフリーラン状態推定手段7hでの処理と同じ処理手順で回転周波数の検知、回転方向の検知が可能である。すなわち、図13に示したように、回転方向については、iβが「−」から「+」への符号反転をするときにiαが「+」であれば、正転と推定し、iβが「+」から「−」への符号反転をするときにiαが「−」であれば、正転と推定し、iβが「−」から「+」への符号反転をするときにiαが「−」であれば、逆転と推定し、iβが「+」から「−」への符号反転をするときにiαが「+」であれば、逆転と推定する。また、回転周波数については、リプル計測期間をT[sec]、この期間中の符号反転の回数Nを計測して、これらの計測値を用いて回転周波数を式(N-1)/(2*T)[Hz]によって算出する。
【0053】
このように、図2に示す実施の形態1の変形態様によれば、検出電流iαに重畳した直流分を微分演算によって消去できるため、抵抗値を用いることなくリプル成分を抽出可能である。よってリプル成分抽出結果に実際の抵抗変動の影響を受けないという効果が得られ、回転方向判別の精度が改善される効果が得られる。
【0054】
なお、上記の例では、β軸電流指令値iβ_refに関しては、iβ_ref=0の場合について説明したが、iβ_refとして任意の直流量を加えた場合、iβにも指令値iβ_refに相当するオフセットが生じる。しかしその場合でも式(16)は成り立つ。よって、図2の構成例の場合には、図1の場合と同様、印加する直流電流指令値ベクトルの方向を限定しなくとも良いという効果が得られる。
【0055】
また、実施の形態1のリプル抽出手段6a、6bの後段に位置するフリーラン状態推定手段7a、7bでは、リプル成分の位相情報、符号情報しか用いない。よってリプル抽出手段6a、6bでの微分演算では、電圧指令値や電流値からオフセットが除去さえできれば、リプルの振幅情報を必ずしも保存する必要はない。よって、微分演算後にリプルの符号判別を助けるために適当なゲインを積算してリプル成分信号の振幅を大きくしたり、微分演算の代替として時間の割り算を省略した差分演算を利用したり、高周波ノイズを過大に増幅させないように微分演算ではなくハイパスフィルタ演算(擬似微分演算)を利用するなどしても良い。
【0056】
実施の形態2.
つぎに、図3〜図6を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。図3は実施の形態2における誘導電動機の制御装置を示すもので、実施の形態1と同じ構成要素については同一符号を付している。
【0057】
この実施の形態2においては、リプル抽出手段6cは、直交する固定子座標軸の2軸のうち、ステップ状に直流の指令値を印加する軸の電圧指令値(この場合は、Vα_ref)に対してのみ微分演算を行うようにしており、他方の軸の電圧指令値(Vβ_ref)に関しては、微分演算を行うことなくフリーラン状態推定手段7cに入力している。
【0058】
先の式(11)、(12)に関する説明で述べたように、電流指令値をiα_ref=I0、iβ_ref=0として与えた場合、α軸電圧指令値vα_refには一次抵抗部分の電圧降下によるオフセットが重畳しており、β軸電圧指令値vβ_refにはオフセットは重畳しない。また、α軸のリプル成分とβ軸のリプル成分は位相差が90[deg]であり、図12および図13を用いて説明したように、フリーラン回転方向によってそれらの進み/遅れ関係が決まっている。
【0059】
ここで、リプル抽出手段6cによって、α軸電圧指令値vα_refに対して微分演算を施すと、先の式(11)のように抵抗値を用いることなく、α軸電圧のリプル成分を抽出可能である。一方、β軸の電圧指令値(Vβ_ref)に関しては、微分演算を行うことなくフリーラン状態推定手段7cに入力しているので、フリーラン状態推定手段7cには、位相が90[deg]進んだα軸電圧リプル成分d/dt(vα_ref)と、β軸の電圧リプル成分vβ_refそのものが入力されることになる。
【0060】
図5(a)は、位相が90[deg]進んだα軸電圧リプル成分d/dt(vα_ref)を示すものである。また図5(b)は、β軸の電圧リプル成分vβ_refを示すものであり、実線が正転時を、破線が逆転時を示している。
【0061】
図6は、フリーラン状態推定手段7cでの、フリーラン回転方向の判別条件を示すものである。図5(a)および図5(b)の各波形を照合すれば判るように、フリーラン回転方向の判別条件には、次のような関係が成立する。
【0062】
すなわち、α軸電圧リプル成分d/dt(vα_ref)およびβ軸の電圧リプル成分vβ_refの符号が不一致の時には、正転と推定し、α軸電圧リプル成分d/dt(vα_ref)およびβ軸の電圧リプル成分vβ_refの符号が一致の時には、逆転と推定する。
【0063】
このように、α軸電圧リプル成分の方だけ位相を90[deg]進める結果、フリーラン状態推定手段7cで比較される2つのリプル成分の位相差は、正転時には180[deg]、逆転時には0[deg]となるため、各リプル成分の符号に注目するとフリーラン回転方向が分かることになる。従来技術におけるフリーラン状態推定手段7hでは、90[deg]の位相進み/遅れを判別するため、vβ_refの符号反転のタイミングにおけるvα_refの符号に注目する必要があったが、実施の形態2の場合、フリーラン状態推定手段7cでは、任意の時刻で各リプル成分の符号さえ検知すれば、回転方向判別が可能となる。
【0064】
以上のように、実施の形態2によれば、抵抗値を用いることなく、直流電流指令を印加した軸のオフセット成分を除去でき、フリーラン状態推定手段の検出精度が抵抗変動に左右されないという効果が得られる。さらに、直交した固定子座標2軸のうちの一方のリプル成分のみに微分演算を施し、2軸のリプル成分の抽出結果の位相差を180[deg]或いは0[deg]とすることで、任意のタイミングにおける2つのリプル成分の符号判別で回転方向の判別が可能となり、シーケンスが単純になって制御の信頼性が向上し、方向判別のS/N比が大幅に向上する効果が得られる。
【0065】
図4は、実施の形態2の変形態様を示す図である。この変形態様においては、リプル抽出手段6dは、電流検出手段3から出力される電流値iαを用いてリプル成分を抽出するようにしている。すなわち、リプル抽出手段6dは、直交する固定子座標軸の2軸のうち、オフセットの重畳する軸の電流値(この場合は、iα)に対してのみ微分演算を行い、他方の軸の電流値(iβ)に関しては、微分演算を行うことなくフリーラン状態推定手段7dに入力している。
【0066】
先の図12を用いて説明したように、電流指令値をiα_ref=I0、iβ_ref=0として与えた場合、α軸電流値iαには直流分I0に加えてリプル成分が重畳しており、β軸電流iβはリプル成分のみである。また、α軸のリプル成分とβ軸のリプル成分は位相差が90[deg]であり、図12および図13を用いて説明したように、フリーラン回転方向によってそれらの進み/遅れ関係が決まっている。
【0067】
ここで、リプル抽出手段6dによって、α軸の電流値iαに対して微分演算を施すと、先の式(11)のように抵抗値を用いることなく、α軸電圧のリプル成分を抽出可能である。一方、β軸の電流値iβに関しては、微分演算を行うことなくフリーラン状態推定手段7dに入力しているので、フリーラン状態推定手段7dには、位相が90[deg]進んだα軸電流リプル成分d/dt(iα)と、β軸の電流リプル成分iβそのものが入力されることになる。
【0068】
図5(c)は、位相が90[deg]進んだα軸電流リプル成分d/dt(iα)を示すものである。また図5(d)は、β軸の電流リプル成分iβを示すものであり、実線が正転時を、破線が逆転時を示している。
【0069】
この場合も、フリーラン状態推定手段7dでの、フリーラン回転方向の判別条件は、図6に示すように、α軸電流リプル成分d/dt(iα)およびβ軸の電流リプル成分iβの符号が不一致の時には、正転と推定し、α軸電流リプル成分d/dt(iα)およびβ軸の電圧リプル成分iβの符号が一致の時には、逆転と推定する。
【0070】
このようにこの変形態様においても、実際の抵抗変動の影響を受けずにフリーラン状態を推定できる。また、2軸のリプル成分の抽出結果の位相差を180[deg]或いは0[deg]とすることで、任意のタイミングにおける2つのリプル成分の符号判別で回転方向の判別が可能となり、シーケンスが単純になって制御の信頼性が向上し、方向判別のS/N比が大幅に向上する効果が得られる。
【0071】
なお、実施の形態2のリプル抽出手段6c、6dの後段に位置するフリーラン状態推定手段7c、7dでは、リプル成分の位相情報、符号情報しか用いない。よってリプル抽出手段6c、6dでの微分演算では、電圧指令値や電流値からオフセットが除去さえできれば、リプルの振幅情報を必ずしも保存する必要はない。よって、微分演算後にリプルの符号判別を助けるために適当なゲインを積算してリプル成分信号の振幅を大きくしたり、微分演算の代替として時間の割り算を省略した差分演算を利用したり、高周波ノイズを過大に増幅させないように微分演算ではなくハイパスフィルタ演算(擬似微分演算)を利用するなどしても良い。
【0072】
実施の形態3.
つぎに、図7および図8を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。図7は実施の形態3における誘導電動機の制御装置を示すものでものである。この実施の形態3において、リプル抽出手段6eは、図3に示したリプル抽出手段6cと同様、直交する固定子座標軸の2軸のうち、ステップ状に直流の指令値を印加する軸の電圧指令値(この場合は、Vα_ref)に対してのみ微分演算を行っている。フリーラン状態推定手段7eには、図3に示す実施の形態2と同様、リプル抽出手段6eで微分演算を行った後のα軸のリプル成分d/dt(vα_ref)と、他方の軸の電圧指令値のリプル成分(Vβ_ref)が入力されている。
【0073】
この実施の形態3においては、フリーラン状態推定手段7eのより具体的な構成を示している。
【0074】
フリーラン状態推定手段7eは、微分によって抽出されたα軸のリプル成分d/dt(vα_ref)の符号を判別し出力する符号判別手段21aと、β軸のリプル成分vβ_refの符号を判別し出力する符号判別手段22aと、符号判別手段21aおよび符号判別手段22aの各出力の積によって第1のフリーラン回転方向判別結果を算出する積算出手段23aと、積算出手段23aの出力を積分する積分手段24aと、積分手段24aの符号を判別し第2のフリーラン回転方向判別結果を出力する最終符号判別手段25aと、回転周波数を検出する回転周波数検出手段31aとから構成される。回転周波数検出手段31aは、従来技術の図11の回転周波数検出手段31cと同じであり、その説明は省略する。
【0075】
フリーラン状態推定手段7eには、微分によって抽出されたα軸の電圧リプル成分d/dt(vα_ref)とβ軸のリプル成分vβ_refが入力される。これらの位相関係については実施の形態2で説明したとおりであり、図5(a)(b)及び図6に示したようになる。これらの符号を算出する符号判別手段21a、符号判別手段22aでは、判別された符号が正の場合には1、負の場合には−1を出力する。これらの2つの出力結果を、積算出手段23aにて逐次積算すると、図6に示した関係から、積算出手段23aからは、正転の場合−1、逆転の場合1が逐次出力されることになる。これを、下式(17)に示すように、第1のフリーラン回転方向判別結果とする。
Figure 0004354148
【0076】
実際の装置においては、電流センサからノイズが混入したり、電流センサ情報にオフセットが重畳していたり、運転条件によってはリプル振幅が小さかったりといった要因で、積算出手段23aの出力である第1のフリーラン回転方向判別結果は、必ずしも、逐次正しい結果、すなわち式(17)のとおりの出力をしているとは限らない。そこで、以下の式(18)(19)に基づき、第1のフリーラン回転方向判別結果を積分手段24aにて逐次積分し、積分された結果の符合を最終符号判別手段25aにて判別し、これが負であれば正転、正であれば逆転と判断して第2のフリーラン回転方向判別結果とする。
Figure 0004354148
【0077】
式(17)(18)によれば、(誤った結果を出力した期間の総計)<(正しい結果を出力した期間の総計)であれば、以下の式(19)が成り立つ。
Figure 0004354148
【0078】
このように実施の形態3によれば、直流電流指令値の印加期間中における第1のフリーラン回転方向判別結果が積分されるため、実施の形態2の効果に加え、ノイズの影響等で図6に示した判定条件に基づく判別が失敗した期間があっても影響を平均化によって薄めることで、S/N比を改善した第2のフリーラン回転方向判別結果が得られ、より正確な回転方向の判別をなし得る。
【0079】
なお、上記符号判別手段21aあるいは符号判別手段22aにおいては、積算出手段23aの出力のチャタリングを防止して第1のフリーラン回転方向判別結果のS/N比を改善するために、符号判別の際に絶対値がある閾値以下の場合には0を出力する機能を付加することが望ましい。
【0080】
図8は、実施の形態3の変形態様を示す図である。この変形態様においては、リプル抽出手段6fは、電流検出手段3から出力される電流値iαを用いてリプル成分を抽出するようにしている。すなわち、リプル抽出手段6dは、直交する固定子座標軸の2軸のうち、オフセットの重畳する軸の電流値(この場合は、iα)に対してのみ微分演算を行っている。フリーラン状態推定手段7fには、図4に示す実施の形態2と同様、リプル抽出手段6fで微分演算を行った後のα軸の電流値のリプル成分d/dt(iα)と、他方のβ軸の電流値のリプル成分iβが入力されている。
【0081】
フリーラン状態推定手段7fは、微分によって抽出されたα軸のリプル成分d/dt(iα)の符号を判別し出力する符号判別手段21bと、β軸のリプル成分iβの符号を判別し出力する符号判別手段22bと、符号判別手段21bおよび符号判別手段22bの各出力の積によって第1のフリーラン回転方向判別結果を算出する積算出手段23bと、積算出手段23bの出力を積分する積分手段24bと、積分手段24bの符号を判別し第2のフリーラン回転方向判別結果を出力する最終符号判別手段25bと、回転周波数を検出する回転周波数検出手段31bとから構成される。
【0082】
この図8に示すフリーラン状態推定手段7fの各構成要素の動作は、図7に示したフリーラン状態推定手段7eの各構成要素の動作と同じである。
【0083】
すなわち、フリーラン状態推定手段7eに入力される、微分によって抽出されたα軸の電流リプル成分d/dt(iα)とβ軸の電流リプル成分iβの位相関係については、実施の形態2で説明したとおりであり、図5(c)(d)及び図6に示したようになる。すなわち、微分によって抽出されたα軸の電流リプル成分d/dt(iα)とβ軸の電流リプル成分iβの位相関係(図5(c)(d))と、微分によって抽出されたα軸の電圧リプル成分d/dt(vα_ref)とβ軸の電圧リプル成分vβ_refの位相関係(図5(a)(b))は同じであるので、最終符号判別手段25bでは、前述した式(19)に基づいて、フリーランの回転方向を判別することができる。
【0084】
このようにこの変形態様においては、直流電流指令値の印加期間中における第1のフリーラン回転方向判別結果が積分されるため、実施の形態2の効果に加え、ノイズの影響等で図6に示した判定条件に基づく判別が失敗した期間があっても影響を平均化によって薄めることで、S/N比を改善した第2のフリーラン回転方向判別結果が得られ、より正確な回転方向の判別をなし得る。
【0085】
なお、実施の形態3のリプル抽出手段6e、6fとしては、後段のフリーラン状態推定手段7e、7fでリプルの振幅情報を用いないことから、微分演算後にリプルの符号判別を助けるために適当なゲインを積算してリプル成分信号の振幅を大きくしたり、微分演算の代替として時間の割り算を省略した差分演算を利用したり、高周波ノイズを過大に増幅させないように微分演算の代替としてハイパスフィルタ演算を利用するようにしてもよい。
【0086】
実施の形態4.
つぎに、図9および図10を用いてこの発明の実施の形態4について説明する。図9は実施の形態4における誘導電動機の制御装置を示すものでものである。この実施の形態4においては、リプル抽出手段6gは、直交する固定子座標軸の2軸に対する電流指令値と実際電流値との偏差を夫々算出し、それらの結果をフリーラン状態推定手段7gに出力するようにしている。
【0087】
すなわち、リプル抽出手段6gは、電流指令値生成手段4から入力されるα,β軸の電流指令値iα_ref、iβ_refと、電流検出手段3から入力されるα,β軸の電流値iα、iβとを用い、下式によってα,β軸における実際電流値と電流指令値との偏差を算出している。
iα−iα_ref …(20)
iβ−iβ_ref …(21)
【0088】
ここで、従来技術の説明で述べたように、電流ループの機能が働くことによって、実際のα,β軸電流iα、iβの平均値iα0、iβ0は、電流指令値生成手段4から出力されるα,β軸電流指令値iα_ref、iβ_refに追従(一致)する。
【0089】
したがって、iα、iβのリプル成分をiαp、iβpとすると、下式(22),(23)が成立する。
iα=iα0+iαp=iα_ref+iαp …(22)
iβ=iβ0+iβp=iβ_ref+iβp …(23)
【0090】
従って、リプル抽出手段6gにて、上式(20)(21)に示すように、iα−iα_ref、iβ-iβ_refを演算することにより、抵抗値を用いることなく、各軸のリプル成分を抽出することが可能である。
【0091】
図10(a)は、α軸における実際電流値と電流指令値との偏差iα−iα_refを示すもので、図10(b)は、リプル抽出手段6gから出力されるβ軸における実際電流値と電流指令値との偏差iβ(この場合、iβ_ref=0)を示すものであり、実線が正転時を、破線が逆転時を示している。
【0092】
図10からも判るように、リプル抽出手段6gでは、微分処理等は用いないため、リプル成分の位相の進み遅れは生じない。よって、これらの位相の関係は先の図12で示したものと全く同様である。従って、フリーラン状態推定手段7gでは、従来技術のフリーラン状態推定手段7hでの処理と同一の処理手順で回転周波数の検知、回転方向の検知が可能である。すなわち、図13に示したように、回転方向については、iβが「−」から「+」への符号反転をするときにiα−iα_refが「+」であれば、正転と推定し、iβが「+」から「−」への符号反転をするときにiα−iα_refが「−」であれば、正転と推定し、iβが「−」から「+」への符号反転をするときにiα−iα_refが「−」であれば、逆転と推定し、iβが「+」から「−」への符号反転をするときにiα−iα_refが「+」であれば、逆転と推定する。また、回転周波数については、リプル計測期間をT[sec]、この期間中の符号反転の回数Nを計測して、これらの計測値を用いて回転周波数を式(N-1)/(2*T)[Hz]によって算出する。
【0093】
このようにこの実施の形態4によれば、抵抗値を用いることなくiα、iβのリプル成分を抽出可能である。よってリプル成分抽出結果に実際の抵抗変動の影響を受けないという効果が得られる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、リプル抽出に微分演算を用いるようにしたので、誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、これにより実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【0095】
つぎの発明によれば、α軸およびβ軸のリプル成分抽出に双方とも微分演算を用いるようにしたので、誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、これにより実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【0096】
つぎの発明によれば、直流分の重畳しているα軸の電流値或いは電圧指令値に微分演算を施してリプル抽出を行うようにしたので、電流或いは電圧指令値のα軸およびβ軸リプル成分の位相関係が、誘導電動機の回転子が正転の場合ほぼ180度、逆転の場合ほぼ0度となるため、直流電流指令値を印加中の任意のタイミングで、各リプル成分の符号を確認するだけで容易に回転方向判別が可能となる。
【0097】
つぎの発明によれば、直流電流指令値の印加期間中における第1のフリーラン回転方向の判別結果が積分するようにしているので、ノイズの影響を平均化によって薄めることができ、これによりノイズの影響があってもより正確な回転方向の判別をなし得る。
【0098】
つぎの発明によれば、電流リプル抽出に偏差算出演算を用いるようにしたので、誘導電動機の抵抗値を用いずに電流値或いは電圧指令値の直流分を除去することができ、これにより実際の抵抗値が温度変化などによって変動しても、精度良くリプル成分の抽出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の誘導電動機の制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態2の誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態2の誘導電動機の制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図5】 (a)(b)は図3に示す誘導電動機の制御装置におけるフリーラン状態推定手段に入力される2つの信号の波形を示す図であり、(c)(d)は図4に示す誘導電動機の制御装置におけるフリーラン状態推定手段に入力される2つの信号の波形を示す図である。
【図6】 実施の形態2の誘導電動機の制御装置におけるフリーラン状態推定手段でのフリーラン回転方向の判定条件を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態3の誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態3の誘導電動機の制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態4の誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 実施の形態4の誘導電動機の制御装置におけるフリーラン状態推定手段に入力される2つの信号の波形を示す図である。
【図11】 従来技術を示すブロック図である。
【図12】 従来の誘導電動機の制御装置における各種信号の波形を示す図である。
【図13】 従来の誘導電動機の制御装置におけるフリーラン状態推定手段でのフリーラン回転方向の判定条件を示す図である。
【符号の説明】
1 誘導電動機、2 電力供給手段、3 電流検出手段、4 電流指令値生成手段、5 電圧指令値生成手段、6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h リプル抽出手段、7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g,7h フリーラン状態推定手段、21a,21b,22a,22b 符号判別手段、23a,23b 積算出手段、24a,24b 積分手段、25a,25b 最終符号判別手段、31a,31b,31c 回転周波数検出手段、41 比較タイミング発生手段、42 位相比較手段。

Claims (3)

  1. 誘導電動機と、
    誘導電動機の電流指令値を出力する電流指令値生成手段と、
    誘導電動機の電流値を検出する電流検出手段と、
    電流指令値生成手段から出力される電流指令値と電流検出手段から出力される電流値とから電圧指令値を算出する電圧指令値生成手段と、
    電圧指令値生成手段からの電圧指令値を用いて誘導電動機へ電力を供給する電力供給手段と、
    を備える誘導電動機の制御装置において、
    上記誘導電動機がフリーラン中に、上記電流指令値生成手段から直流電流指令値が出力された場合、前記電流検出手段からの電流値または電圧指令値生成手段からの電圧指令値を微分してリプル成分を抽出するリプル抽出手段と、
    このリプル抽出手段の出力を用い、前記リプル成分の周波数と位相関係から誘導電動機のフリーラン状態を推定するフリーラン状態推定手段と、
    を備え、
    上記電流指令値生成手段は、直交する固定子座標軸のうちα軸の電流指令値を所定の直流量とし、他方のβ軸の電流指令値を0として前記電力供給手段に出力するものであり、
    前記リプル抽出手段は、α軸の電流値またはα軸の電圧指令値を微分してリプル成分を抽出し、
    前記フリーラン状態推定手段は、リプル抽出手段からのα軸の微分電流値と前記電流検出手段からのβ軸の電流値とに基づく周波数と位相関係を用いるか、あるいはリプル抽出手段からのα軸の微分電圧指令値と前記電圧指令値生成手段からのβ軸の電圧指令値とに基づく周波数と位相関係を用いることにより、誘導電動機のフリーラン状態を推定する
    ことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 前記フリーラン状態推定手段は、
    上記リプル抽出手段が出力するα軸の微分電流値またはα軸の微分電圧指令値の符号を判別する第1の符号判別手段と、
    前記電流検出手段からのβ軸の電流値または前記電圧指令値生成手段からのβ軸の電圧指令値の符号を判別する第2の符号判別手段と、
    前記第1および第2の符号判別手段の出力の積を演算して第1の回転方向判別結果を出力する積算出手段と、
    上記積算出手段の出力を積分する積分手段と、
    この積分手段の出力の符号を判別し、この判別結果を最終的なフリーラン回転方向として出力する最終符号判別手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機の制御装置。
  3. 誘導電動機と、
    誘導電動機の電流指令値を出力する電流指令値生成手段と、
    誘導電動機の電流値を検出する電流検出手段と、
    電流指令値生成手段から出力される電流指令値と電流検出手段から出力される電流値とから電圧指令値を算出する電圧指令値生成手段と、
    電圧指令値生成手段からの電圧指令値を用いて誘導電動機へ電力を供給する電力供給手段と、
    を備える誘導電動機の制御装置において、
    前記誘導電動機がフリーラン中に、前記電流指令値生成手段から直流電流指令値が出力された場合、前記電流指令値生成手段からの複数の直流電流指令値と電流検出手段からの複数の電流値との対応するそれぞれの減算値を複数の電流リプル成分として抽出するリプル抽出手段と、
    このリプル抽出手段の出力を用い、前記複数のリプル成分のうちの少なくとも一つの電流
    リプル成分の周波数と前記複数の電流リプル成分の位相関係から誘導電動機のフリーラン状態を推定するフリーラン状態推定手段と、
    を備えることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
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